ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 調整・改造

3月3日の木曜の晩、新月期でとうとう晴れてくれました。SCA260で撮影がてらいくつかのことを確認したいと思います。


目的と対象天体

今回のSCA260での目的はいくつかあって、
  1. ナローバンドフィルターの枠を取り換えたことで周辺減光が緩和されたかどうか確認すること。
  2. 副鏡をきちんと固定したため、鏡筒の向きを変えても光軸がずれないことを確認すること。
  3. 3分露光で星像が丸になることを確認すること。
です。これらの効果を見るだけならどこでもいいので星空を1枚撮影すればいいのですが、せっかくなのできちんとターゲット天体を定めて枚数を撮影して作例としたいと思います。

ターゲット天体ですが、2つの可能性を考えました。まず一つはもともとSCA260は春の銀河まつり参戦の意味合いが強いので、星像がピシッと出るかどうを確かめたいこと。特に、焦点距離が1300mmとそれほど長いわけではないので、
  1. バローを入れて高分解能を目指す
  2. 以前タカsiさんが言ってくれたように、ASI294MMの1binを使って高分解能を目指す
  3. もしくはバローと1binの両方を使う
の3択でどれが一番良いかを確かめてみたいと思っています。ただし銀河なので基本はRGB撮影です。

もう一つは、ナローバンドの周辺減光を確かめるためにHα、OIIIなどで見える輝線星雲を狙うことです。現在次期フィルターホイールをどの方向でいくか迷っているので、今回はナローバンドフィルターの周辺減光を確認することを優先し、輝線星雲を撮影対象とします。ただ、この春になりかけの時期はだんだん銀河がメインになってくるので適した輝線星雲があまりありません。さらに、星像を他の方の結果と比較してみたいので比較的メジャーな天体がいいのかと思っています。

いろいろ迷って、一度撮ってみたかった馬頭星雲の拡大像にすることにしました。


撮影

オリオン座はもう西に行こうとしているので早めの撮影になります。なのでまだ明るいうちから準備を始め、天文薄明終了後すぐに撮影にはいります。これまでのSCA260での撮影と違うのは、繰り返しになりますがナローバンドフィルターのフィルター枠を1mmほど内円の径が大きいものにしたことと、もう一つはガイドをオフアキから120mm+ASI290MMに変えたことです。オフアキの方が精度が出るはずなのですが、ASI120MM miniの感度があまり良くないこともあり、見ることができる星の数が数個のオーダーで少なすぎるので、マルチスターガイドができません。もともとSCA260の焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、今回はマルチスターガイドを狙い普通のガイド鏡を使うことにしました。

撮影は最初順調に進みましたが、10枚撮ったところで曇ってしまい、その後も待ちましたが晴れることはなく撤収となりました。


結果画像

Hαフィルターで撮影した10枚の中で、比較的よく撮れた1枚撮りです。PixInsightでオートストレッチだけしています。
2022-03-02_21-21-53_IC 432_LIGHT_HA_-10.00C_180.00s_G120_0010
これを見る限り、ナローバンドフィルターの周辺減光は許容範囲内と言っていいでしょう。なので、手持ちのフィルターを活用すると言う意味でも、少なくともフォーサーズのASI294MM Proに対してはフィルターホイールは31.7mm用のもので十分で、まずは今の5枚入るものから8枚入るものにアップグレードします。

星像ですが、拡大図です。
2022_03_02_21_21_53_IC_432_LIGHT_HA_10_00C_180_00s_G120_0010_cut
それほど悪くなく十分に真円に近くて、私的には十分許容範囲です。副鏡をきちんと固定した効果はあったようで、光軸ずれももうほとんど起きないと言っていいでしょう。3分露光でもしこのレベルが安定して出せるなら十分です...が、

上の画像はかなりいい方のものです。比較のために、撮影したうちの画像処理に回せるレベルのものを5枚ピックアップして中心部を拡大したものをgifにしてみました。位置合わせまでしてあるので、星の位置は変わりません。
Blink
こうやって比べてみると、やはり真円かと言うとまだ程遠くて、細長くなったりしています。伸びる方向はランダムなので、これは赤道儀のせいというよりはシンチレーションでしょうか?

念のため、10枚撮影したうちの落とした悪い方5枚をみてみます。こちらは位置合わせができてないので、星の位置が動きますがご容赦ください。
Blink
何かの拍子に揺れてしまい(ほとんどがガイドのon/offで飛んだものかと思われます)こちらも方向はランダムです。赤道儀起因で揺れているとしたらですが、今回の撮影では赤経の揺れが垂直方向、赤緯の揺れが水平方向になるように合わせています。なので赤経のみとか、赤緯のみとかの特定のモードが出ているようなことはなさそうで、突発的な揺れ、もしくはシンチレーションなどの常時のランダムな揺れが支配的なのかと推測されます。風は比較的穏やかでしたが、風や地面の揺れの可能性もあるかと思います。ただ、やはり手で鏡筒を触ると揺れると言う事実は変わりないので、もう少し頑丈な赤道がは欲しいところではあります。

さて撮影ですが、3月2日に続いて、その後の3月3日と4日も馬頭星雲を撮影できたたので、なんとか仕上げるくらいの枚数にはなりました。それでも両日とも暗くなった後に晴れてきて、そこからオリオン座が西に沈む手前までなので、雲がかかったものやブレたやつとかを除いたら、初日の分も合わせてもトータルわずか1時間半ほどでした。こちらは画像処理が済んだらまた別の記事に書きます。


まとめ

SCA260がやっと3分露光でまともに撮影ができるようになってきました。ただしそれでも使えるのは高々3分露光で撮影したものの50%くらいと、まだ実用レベルと言うにはちょっと厳しいです。さらに長時間露光にしたら採択率も下がるでしょう。もっと頑丈な赤道儀があるといいのですが、もう少し我慢です。

前々回前回のトール兜星雲画像処理の時に、ライトフレームやフラットフレームを見ていて、いろいろ問題があることがわかりました。

 
 

問題点は以下の通りで
  1. Hα、OIIIのナローバンドのみ周辺減光が大きい、RGBはそれほどでもなく許容範囲。
  2. センサーの埃がひどすぎる。
  3. OIIIのフラットがムラだらけ。
とかいうものです。一つづつ見ていきます。


なぜナローとRGBで周辺減光に差があるのか?

同じバーダーのフィルターを使っているのに、撮影画像を見るとナローとRGBに明らかに差があります。

例えばR画像です。
Capture_00001 15_27_36_WithDisplayStretch
四隅も欠けて見えますが、かなり炙り出して見ているので、実際の撮影でフラット補正してしまえばほとんど気にならないレベルになります。GもBもRと同様です。

次にHα画像です。
Capture_00001 15_31_36_WithDisplayStretch
明らかにHαの方が欠けている部分が明らかに大きいのが分かると思います。ホコリのリングがあまりはっきり見えていないことから分かるように、たいして炙り出しもできていません。R画像と比べるても見た目以上に周辺減光が大きいことが推測できます。さすがにこのレベルだとフラット補正でも補正しきれなくて、画像処理の時に無視できないレベルで四隅は結構な範囲でクロップするしかなく、少しもったいないです。

何故こんな違いが出るのか、ナローバンドフィルターとRGBフィルターをよく見比べてみると、リングが結構違います。下の写真のホイールの裏から見た場合ですが、左側がHαフィルターで、右がBフィルターです。
IMG_4405

左のナローの方の内側のフィルターの受け皿の内径が明らかに小さいです。どうやらここが周辺減光の原因になっているようです。

とりあえず、ナローフィルターのフィルターだけをホイールに直接載せればいいかと思いました。

まずはHαフィルターをリングから外します。外したフィルターをフィルターホイールの穴に直接載せてホイールに付属のフィルム型のリングでとめようと考えました。ところがところが、フィルターをホイールの穴に置こうとしたらなんとそのまま通り抜けてしまい、センサーのところまで落ちていってしまいました。どうやらフィルター径の方が穴の径よりも小さいようです。

気を取り直してフィルターのリングはとりあえず使うことにしますが、さてどうしましょうか?

手持ちの機材をいろいろ漁ってみると、昔星まつりでジャンク価格で買った古いORIONのオレンジとかバイオレットとかの、さすがに使いそうにないフィルターがあり、そのリングが今回使えそうなことがわかりました。内径は少なくとも今のナローバンドのリングよりも小さそうです。
IMG_4408
IMG_4410
左がORIIONのOrangeフィルター、右がバーダーのHα

フィルターのリングを取り替えて、ホイールに再び取り付けます。さて再度カメラで見てみると...
Capture_00001 16_15_11_WithDisplayStretch

おお!周辺減光が明らかに改善しています。

OIIIも同様に変更しておきます。


センサーのゴミ

前回の記事で見せたマスターフラットです。

masterFlat_BIN_2_FILTER_HA_Mono_integration_ABE

ABEを4次で欠けてさらにフラット化しているので相当強調されていますが、流石にあまりにひどい汚れです。どこが原因か探ってみます。

まず鏡筒に対して接眼部全体を回転させてもホコリの位置がかわらないので、接眼部が原因です。さらにホイールに対してカメラのみ回転させてもホコリの位置が変わらないので、カメラで確定です。ホコリのリングの大きさかが全て同じなのと、その大きさから言って、センサー面ではなく少し離れた保護ガラス面に乗っかったホコリでしょう。

でも目で保護ガラス面を見ても全く汚れているようには見えません。おそらく相当細かいホコリか何かです。

とりあえずよくわかりませんが、保護カバー面を以前買ったセンサー掃除用のスワブを使いました。



持っているのは6Dのためのフルサイズ用でしたが、スワブの短辺が、フォーサーズセンサーの長辺と同じくらいなので、そのまま使うことができました。

一度拭っただけで効果は的面で、9割方のホコリをとることができました。
Capture_00001 16_53_05_WithDisplayStretch

欲を出して同じスワブでもう2−3度拭き取りましたが、逆にたくさんのホコリが乗っかってしまいました。えっ!と思いましたが、冷静になってブロアーで吹き飛ばすと、今度は完璧で、見る限りホコリは全て取れたと思います。
Capture_00001 17_02_03_WithDisplayStretch


ムラ

次にOIIIフラット画像のムラについてです。まずはOIIIのフラット画像を見てみます。少しホコリが乗っかってしまっていますが、これはブロアで吹き飛ばせるものです。
Capture_00001 17_01_02_WithDisplayStretch

でもこれ、左右で明るさの差はありますが、ムラには見えません。どうやら前回の画像処理の時にすでに勘違いしていたみたいで、改めて今回見るとOIIIはほぼムラはなく、逆にHαに同じような形のムラがあります。

おそらくですがこれはNINAの問題で、一旦シーケンスを走らせて、途中で止めてフィルターを別のものに入れ替えてから、シーケンスを再開するとフィルターが変わったことを認識せずに、そのままその時のフィルターで初めてしまうことがあるようです。フォルダ名やファイル名にフィルター名を書いておいても、実際に使っているフィルターでなく、最初にシーケンスで指定したフィルター名のままになってしまいます。

OIIIで撮ったと思っていたのが実際にはHαで撮影していてためにムラが出たしまったのかと思いますが、少し腑に落ちないところもあります。まあ、今回はとりあえずムラが見えているHαフィルターについて考えます。

Hαフィルターでのフラット画像をリアルタイムで見ながら、いろいろやってみました。例えば明るさやゲインを変えてみたりしましたが、暗いと見えにくくことはあっても消えるようなことはありません。形はカタカナの「コ」の字のようです。RGB、OIIIのいずれにもこんな模様は見えませんが、Hαには再現性を含めて存在しそうです。フィルターを回転させても模様は変わりません。

ここで、バーダーのHαフィルター自体に問題があるのではと思い、もう一枚持っていたサイトロン製の同じ7nmのHαフィルターに交換してみました。同じ7nmと言っても、見た目でフィルターの色が違うので、少なくとも特性が全く同じとは思えません。その結果が以下です。

Capture_00001 17_23_51_WithDisplayStretch

ホコリは無視するとして、ムラの形が相変わらずカタカナの「コ」でほとんど変わっていないのです。

これは何を意味するのでしょうか?

ふと立ち止まってしばらく落ち着いて考えていましたが、結局結論としてはセンサー面の個々のピクセルがこの波長に対して感度差があるのではということくらいしか思いつきません。可視光に対してはメーカーも感度ムラをきちんと検証していても、赤外に近いHαについては検証し切れていないのかもしれません。もしこれが正しいなら、ある程度仕方ないので、フラット補正を木tんとするということくらいしか対策はありません。次回、本当にきちんと補正ができるかなど、気を付けて見てみたいと思います。

あと、最後の画像でついたホコリについてです。できるだけセンサーを逆さにしながらフィルターを取り替えたりしましたが、結構なホコリが付くことがわかります。原因は、ネジを締める時の金属粉、指を使って閉める時に爪が少し削れた粉、空気中にあるホコリがフィルターを外した時についてしまうなどです。フラット補正で多少のホコリは問題ないことは分かっていますが、やはりあまり気分の良いものではないので、フィルター交換時などはできるだけ気をつけたいと思います。


まとめ

周辺減光もホコリ取りも十分な効果がありました。また、ムラはおそらく赤外に近い波長に対するセンサーそのものの感度ムラの可能性が高そうなことがわかりました。

今わかっている問題に対しては、手持ちの機材でできることはだいたいこれで対応し尽くした気がします。これ以上は赤道儀を大型化するとか、フィルターを大きくするとかしかないのかと思います。まずはこの状態で次の天体を撮影し、効果の程をみたいと思います。


次期フィルターホイール

RGB撮影と、AOO撮影は試したので、次はSAOとかに挑戦したいと思っています。その場合、今の5枚装着できるフィルターホイールでは不足です。かと言って、フラットがずれることや、今回わかったホコリが入ることなどから、フィルターをその場で入れ替えての撮影は避けたいと思います。

今フィルターは31.7mmですが、次期フィルターホイールをそのまま31.7mmで枚数だけ増やすか、36mmか、さらに2インチにいくべきか迷っています。将来的なことを考えたら2インチにしておくべきなのかもしれませんが、とにかくフィルターが高い!ナローバンド3枚で波長幅にもよりますが10万円から20万円コースです。36mmならZWOでグッと安いのがあり、とりあえずこちらにすべきか?

予算だけ考えるとまずは31.7mmの8枚ホイールだけを買うことになりそうですが...。

前回のSCA260でのトール兜星雲の撮影で、赤道儀を反転させると星像が大きく崩れてしまいました。



日曜の昼間をかけて光軸ズレの原因を探っていました。なかなか大変でしたがなんとか解決しました。


光軸の確認と副鏡の調整

天気は雪だったり曇りだったり時に晴れたりでコロコロ変わり、赤道儀を外に出すのは憚られたので 、少し狭いですが玄関で作業です。

まずは先日起きたことの再現です。

1. 鏡筒が西側に来て水平になるように、赤道儀を回転させます。接眼部にコリメータをつけて覗いてみると、そこそこセンターにいますが、少しだけズレています。
01_West_initial

2. 次に赤道儀を反転させ、今度は鏡筒が東側に来て水平になるようにします。再びコリメータを覗いてみると大きくズレています。縦方向にマーカーが下に落ちたようなずれかたです。これだけずれているなら、前回の赤道儀を反転させた時の星像のずれも十分説明ができるのかと思います。
02_West_low

3. 赤道儀を再反転し鏡筒を西側に戻し、再現性があるかどうかを確認します。マーカーがセンターにそこそこ来ることを確認し、反転時のズレよりはたいしたことないことがわかったので、十分再現性があると言っていいでしょう。
02_West_2nd

4. ここで、接眼部にガタがあることに気づきました。持ち上げるとカタンとずれます。原因は接眼部根本の回転部の3本のネジが緩かったことです。回転の滑り具合を調整し易くするために、元あったイモネジからキャップネジに変えています。その際、3本の固定ネジも調整したのですがゆる過ぎたようです。実際には接眼部を持ち上げてガタを取った時のズレが下の写真くらいです。これは反転したときに比べても大したズレではないので、無視して3本のネジをもう少し締めてガタをなくし、先に進みます。
04_West_2nd_focuser

5. ここで一度、大したズレではないですが一応副鏡を触って中心のマーカーがセンターで同心円になるようにします。 
05_West_center

6. 次に、何がずれているか確かめるために、鏡筒を東側にして、マーカーがズレた状態で副鏡二つのネジを90°程回して大きく調整し、センターに持ってきます。副鏡調整でマーカーをセンターにすることが可能だとわかったので、この時点でなんらかの理由で副鏡がずれていると判断しました。
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06_East_centering

7. 主鏡が少しズレているようなので(上の写真の一番黒いリングが、外のリングと同心円になっていない)、主鏡のネジを2つそれぞれ90°程度回転し、調整します。ですが、主鏡のズレはそれほど重要でないことが後でわかりました。

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上部アルミプレートを外したことの影響

次は、一番怪しいと思った上部プレートを取り付けて同じようなことを繰り返します。

1. この時点では上の一番最後の写真のように、鏡筒が東側にあって、マーカーがセンターに来ている状態です。

2. 作業しやすいように鏡筒をホームポジション(鏡筒が真上に来ていて北を向いている状態)に戻し、自分で取り付けた2つのハンドルを外し、もともとあったアルミのプレートを鏡筒上部に取り付けます。

3. 再び鏡筒を東側にして水平を取りますが、マーカーはほとんどずれていません。
IMG_4328
11_East_after_upperplate

4. 次に赤道儀を反転させ鏡筒を西側にしてコリメータを見てみます。これでズレてなければプレートを外したことが原因で鏡筒のたわみを引き起こし、副鏡がズレたことになります。果たして...ズレは???

12_West_after_upperplate

なんと、前回見た時と同じくマーカーが下に落ちたような状態でした。ズレ幅もほとんど変わりません。ということは、上のプレートは関係ない?言い換えると、鏡筒のたわみとかではない???


じゃあ原因は?

うーん、この時点で一時中断。いろいろ考えます。鏡筒を西側、東側どちらにおいて合わせても、反転するとマーカーが下に行く。ということは重力が関わっている可能性が高いです。

いろいろ考えながら鏡筒を見たり触ったりしていると、副鏡を触ったときに「カタッ」と音がなりました。鏡筒内に手を突っ込み、副鏡を下から持ち上げるようにするとなんとカタカタ動くではありませんか!どうやら副鏡周りのネジが緩んでいるようです。

ところが、副鏡調整の3本のネジを締めても、中央のネジをかなり締めてもまだ同じようにカタカタ動きます。副鏡がどうやって取り付けられているのかわからなかったので一旦外そうと試みますが、SCA260の副鏡はかなり大きくて、スパイダーの隙間から出てきそうにありません。スパイダーごと外すか迷ってネジに手をかけて緩めようとしてふと立ち止まりました。

もしやと思って、手をつっこんで副鏡を回転させてみると、なんと副鏡をネジを締める方向に回すとうまく固定できるではありませんか!実際、一回転以上の緩みとなっていて無視できないような量でした。

この緩みが最初からあったのか、途中からあったのかわわかりませんが、副鏡が緩んでガタつくことがあり得るということは心に留めておいた方が良さそうです。ちなみのこの副鏡のガタ、少し触ってくらいでは多分気づきません。鏡筒内に手を突っ込んで副鏡全体を手でつかんでわかるくらいです。


一難去って、また一難、真の原因は?

これで問題解決のはずなので、嬉々として鏡筒を東側と西側でそれぞれ水平にして念のためマーカの位置を確認します。さて、結果はというと....

13_submirror_screw

え、え、え???

ズレの量は3分の1くらいにはなりましたが、まだ有意にズレが残るようです。

念のため副鏡を揺らしてみると、それでもまだ少しカタカタ揺れるではありませんか!!!

もう副鏡はきちんとねじ込んであるのでしっかり固定されています。それでも微妙にどこかがカタカタ揺れるのです。

いろいろ触っていてわかったのですが、結論としては二方向あるスパイダーの片方の張り具合が十分ではありませんでした。鏡筒外側の大きなマイナスネジを両側で締め込み、十分なテンションを持たせることで、やっと揺すってもガタガタいうことは無くなりました。

IMG_4334

この時点で再び東西でマーカー位置を比べると、やっとどちら向きにしてもセンターに止まり、動かなくなりました!!!

おそらくですが、このスパイダーの緩みは上部プレートを外したことによって引き起こされた可能性が高いと思っています。上部プレートはそこそこの強度を保っていますが、スパイダーの張力と釣り合っていたはずで、プレートを外した瞬間にバランスが崩れたるんだのかと推測しています。この場合は完全に自己責任ですね。


結局プレートを外してもOK

その後、上部アルミプレートを再び外し、ハンドルに取り付け元に戻します。ここでも一応東西でマーカーのズレがないことを確認し、作業終了です。

プレートが原因でないことはかなり助かりました。プレートを再び取り付けなければならないとなると、また慣性モーメント激増で、揺れとの戦いに戻るからです。


まとめ

実際の原因は、予測したものと全然違っていました。むしろ予測よりもっと単純なものでした。でもこんなのでさえ、見つけるのは結構大変なんですよね。

今回2つの問題がありました。
  • 一つは、副鏡が回転してしまっていてきちんと固定されていなかったこと。
  • スパイダーの張りが十分でなかったこと。
これらがいつ発生したかは不明です。後者はおそらくプレートを外した時ですが、前者は一回転以上とかだったので、後から緩んだ量としてはちょっと多すぎるかと思います。M33とかでも赤道儀反転はしていましたが、天頂付近だったことと、まだ揺れとの戦いの最中だったので気づかなかったのかもしれません。実際、トール兜の一夜目の時もシーイングが悪いとこんなもんかと思っていました。

いずれにせよ、今回きちんと原因が確定して解決の方法もわかったので、今後SCA260での南天時の赤道儀反転も心置きなくできます。今後同様な問題が再び出たとしても、ここら辺を疑うことで回避できるのかと思います。

今回のように、マニア向けの天文機材の場合、問題が起きた場合や普段の調整なども含めて、ある程度自分で解決することが必要となります。これを不満と感じてしまうか、楽しいと感じるかは人それぞれかと思いますが、少なくとも私はこういったトラブル解決や改良などが楽しくてたまらなくて、天体趣味の大きな動機になっています。

次回撮影でどんな成果がでるか、とても楽しみです。


完璧ではないですが、やっと3分露光で満足のいく星像になってきました。でも深刻な問題が発覚です。

少し晴れたので撮り増し

この日は明るいうちからSCA260の光軸調整 。どうも光軸がずれている疑いがあったからです。

赤道儀に載せて遠くの南東方向にある山の上の鉄塔を導入し、常時取り付けてあるASI294MM Proの画像を見るのですが、像が結構ブレるのでやはり光軸があっていない様子。画面を見ながら副鏡を合わせようとしますが、結局どのネジをどの方向に回せばいいのか目処が立たず諦めました。

カメラをホイールとオフアキごと外して、アイピース口に付け替えコリメーターを挿します。こちらの光軸合わせはとても簡単で、マニュアル通りに副鏡と主鏡を合わせますが、5分とかかりません。コリメータで見る限り実際に結構ずれていて、副鏡とさらには主鏡も合わせ直してから再びカメラで同じ鉄塔を見てみると、かなり満足するくらいの像になっています。この像と比べると、やはり最初に触る前に見た像は常時ブレていてお世辞にもいいとは言えず、副鏡を触る前にすでに光軸がずれていたということかと思います。

ここまでの結果から、コリメータで合わせることで(少なくとも撮像を見て闇雲に調整するよりも)十分な光軸調整ができると結論づけていいかと思います。

この状態で夜を待ち、導入がてら調整時と同じ南東方向のリゲルを見ると、ディフラクションリングらしきものが見えます。光軸があったからなのか、シーイングがいいからなのか、いずれにせよ色々試せるチャンスです。リゲルBもきちんと写りました。ちなみにその後シリウスを見ましたが、シリウスBまでは見ることができませんでした。まだ低空だったこともあり、目で見ても少し瞬いて見えたので、劇的にシーイングがいいというわけではないと思いますが、そこまで悪くはないようです。

この状態で前回同様トール兜星雲をHαとOIIIで撮影します。撮影途中の画像を見ても、おそらく前回のよりもシャープに見えます。

スタック直後のHα画像です。
masterLight_BIN-2_EXPOSURE-180.00s_FILTER-HA_Mono
明らかに微恒星までシャープになっています。

前回と今回で比べてみましょう。切り出しはPixInsightのAberrationInspectorを使いました。

前回のHα: 恒星がボケボケといったところでしょうか
masterLight_FILTER_HA_Mono_integration_mosaic

今回のHα: 恒星が明らかに小さくシャープですが、その一方暗い星は透明度が悪かったせいか写っていません
masterLight_FILTER_HA_Mono_integration1_mosaic

この差が光軸のせいなのか、シーイングのせいなのかは切り分けは難しいですが、少なくともこの鏡筒は今回のレベルで星像を出せるポテンシャルがあるということがわかります。実際、今回のレベルで撮れればそこそこ満足です。

採択率もHα: 10枚/13枚 = 77%、OIII : 14枚/17枚 =  82%なので、 3分間露光での撮影はまあ合格と言っていいでしょう。

と、ここまでだけ見ると十分な結果なのですが、その後の撮影で深刻な問題があることが判明しました。


赤道儀を反転させると...

南天時を超えて赤道儀を反転させた後です。そのまま撮影したのですが、画像を確認して愕然としました。星像が目に見えて崩れているのです。念のためピントを合わせ直しました。中央でピントを合わせても四隅がかなりずれてしまいます。

masterLight_FILTER_HA_Mono_integration_mosaic

一見揺れでブレたように見えますが、これが同じような星像で何枚も続くので、おそらくブレではなく光軸ずれかと思います。

その後、再度赤道儀を反転させ元の状態に戻して撮影してみると、完全ではないですがそこそこ星像は戻ります。なので少なくとも反転で光軸がズレているのはほぼ確定でしょう。


どこがずれたのか?

まだどこの部分がズレたのかは不明です。3つの可能性があるかと思います。
  1. 可能性が高いのが副鏡。以前コメントでタカsiさんが指摘してくれていたように、鏡筒上部のアルミのバーを外して強度的に不足している可能性があります。
  2. 主鏡自体の重量で支えきれていなくて傾いた可能性がもう一つ。
  3. 接眼部には対物側からEAF、オフアキ、フィルターホイール、冷却CMOSカメラとそこそこの重量が搭載されているので、ここで撓んでしまった可能性も否定できません。
最初に書いたように、コリメータを使うことで光軸のズレは明らかに判明します。明るいうちに赤道儀を交互に反転させて、コリメータで見ながらどこがズレているのかある程度わかるかと思います。
  1. もし上部プレートを外したことによる強度不足が問題になった場合にはいろいろと難しくなってきます。プレートを戻さずに赤道儀を反転するたびに光軸調整をするのか、
  2. プレートを戻してまた揺れと戦うことになるのか、
  3. プレートを戻してもっと強度のある赤道儀を真剣に考えるか
主鏡が問題の場合でも念のため上部プレートは戻して確認することになる思います。あまり無いとは思いますが、万が一接眼部だった場合はプレートは関係ないはずなので今のままで、接眼部の補強とかになるのかと思います。

明日の日曜の明るいうちに試そうと思います。実は最初テーブルの上で鏡筒を上下逆さにすることで試そうとも思ったのですが、赤道儀に載せて南天を見た場合左側、もしくは右側の片側が固定されて吊るされたような状況になるので、再現のためには赤道儀に乗せることは必須かと思います。今日土曜は小雨で赤道儀を外に出すことができませんでしたが、明日は曇りなのでなんとか外に出して検証してみるつもりです。

SCA260の撮影時、右下に変な模様が出るので、接眼部を一旦バラして見てみました。これをきっかけに色々発見がありました。

変な模様の原因

天気が悪いなりにも、折を見て適時撮影を試しているのですが、何か変な右下に模様があることに気づきました。。
ASI290MMPro_dust

流石にこれだと画像処理にも困りそうなので、原因を探ります。
  1. まず、鏡筒先端にカバーをつけてダーク状態で模様が見えることを確認します。
  2. フォーカサー部分を丸ごと回転させてみます。SharpCap画面上で模様の位置が動かなかったので、原因はフォーカサーより後ろ(カメラ側)ということになります。
  3. 次に、カメラのみホイールとの接合ネジを緩めながら回転させてみます。それでも模様の位置が動かないのでカメラが原因ということになります。
  4. 一旦カメラを外して、キャップをつけセンサーに入る光を遮り模様が見えるか試します。ところがここで模様が消えてしまいました。
  5. この時点で少し迷いますが、キャップをつけて真っ暗になったら見えなくなったので、何か光に対する影で、センサー面に何かついているのではないかと考えました。少し光を入れるとやはり模様が出てきました。
  6. センサー面を見ると、かなり大きな繊維のようなものが付いていました。
  7. ブロアーで吹き飛ばして、再度画面から模様が消えたことを確認して完了です。

とまあ、ここまでは特に何のことはないホコリ取りだけです。


光漏れの最大原因

でもふと我に返って思いました。

「あれ?なんで鏡筒カバーしてるのに
光が入ってるんだろう?」

そもそもホコリは光が入っていないと見えません。一番最初に書いた「鏡筒先端にカバーをかけてダーク状態を作り出した」というのは全く嘘だったようです。

そもそもこの作業は昼間の明るい部屋の窓際で行いました。最初のダークだと思っていた状態で窓のカーテンを開け閉めすると、SharpCapでの画面の明るさが思いっきり変わります。明らかに鏡筒のどこかで光が漏れています。具体的には画面の真ん中に丸い明るい領域がドカンと居座ります。

次に試したことが、再びカメラを外してキャップをします。鏡筒につけている時より遥かに暗くなり、バイアスノイズらしきものが見えてきます。でもこれでも真っ暗ではないようで、太陽光をカメラに当てた時と、カーテンの影に置いた時でSharpCapでの画面の明るさが変わります。ただし、変わるといっても微々たるもので、カメラを鏡筒につけていた時から見たら誤差の範囲です。

再びカメラを鏡筒に取り付けます。カメラ単体よりもやはり遥かに明るいです。色々試しながらどこから光が漏れているか確認していきました。途中最も怪しいと思ったところがオフアキの継ぎ目でした。下の写真で見てもわかるように、アダプターに3箇所切れ目が入っていていかにも光が漏れそうです。パーマセルテープなどをつけたりして確認しましたが、どうもここが原因なような、原因でないような?

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結論を言うと、オフアキ部は白で光漏れは確認できませんでした。

本当の原因はフォーカサー。下の写真のようにフォーカサーを一番短くすると光の漏れはかなり小さくなります。
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逆にフォーカサーを一番伸ばすと、相当量の漏れになります。
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SCA260_forcuser_longest
真ん中に明るい丸い部分が出てくるのがわかります。漏れ光の量はフォーカサーの引き出し量に比例します。

フォーカサーを最大限引き出しても、隙間にパーマセルテープを貼り付けるとかなりマシになり、最も縮めた場合と同程度となります。
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SCA260_forcuser_longest3

これはフォーカサー固有の問題なので、おそらくSCA260だけのことではなく、同様の形のフォーカサーにかなり一般に言えるのかと思います。なので、

もし撮影画像の真ん中が
明るくなるようなことがあったら
フォーカサー部からの光漏れを
疑った方がいいかも

ということが言えそうです。今回はこのことが言いたくて記事を書いています。特に、カメラを代えたら突然真ん中に明るい丸が出たとか言う場合は、カメラが原因ではなくて焦点位置が変わったためフォカサーを引き出して光が漏れるようになったことが原因とかかもしれません。


その他の光漏れ

では漏れに関してはフォーカサーさえきちんと対処すれば完璧かというと、まだそうではありません。よくよく調べると、ファンのところからも光が漏れていることがわかりました。SCA260には鏡筒内の温度を外気温と早く同等にするために、接岸側に3つのファンがついています。

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ここは穴のようなもので、光がどうも鏡筒内に漏れ入るようで、ここを塞ぐと明らかにSharpCapの画面の明るさが変わります。それでもフォーカサーでの漏れ光と比べると誤差の範囲になってきます。さらに先にも書きましたが、カメラ単体にも漏れ光があります。比較すると

フォーカサー >> ファン > カメラ

といったところでしょうか。

これは明るいところで比べたので漏れ光としてSharpCapで確認できましたが、DSOなどの撮影時は鏡筒周りは十分暗くなるはずなので漏れ光は理想的には問題にならないはずです。ですが実際には光害があったり、赤道儀やバッテリーのLED、様子を見るためのヘッドライトなどの光、遠征地ではたまに来る車のライトなど、必ずしも真っ暗ではないことも多いです。このような環境下では漏れ光は十分に問題になることもあるでしょう。大原則は一番漏れるところを抑えること。今回の結果ではフォーカサー部です。最短状態に縮めて使えればいいのですが、そんなことは稀なので、光を通さないパーマセルテープや適当なカバーなどでフォーカサーの可動部の継ぎ目を塞ぐといいのかと思います。

現実的には、実際の撮影時に真ん中に明らかに明るい部分がある場合、もしくはフォーカサーを縮めた状態から撮影する位置まで伸ばした時に、SharpCapで見て明るくなるかどうかで判断すればいいのかと思います。

あと鏡筒先端につけるSCA260付属のカバーですが、柔らかいものでいささか心許ないと思っていたのですが、遮光性はバッチリでカーテンの開け閉めでも漏れ光は確認できませんでした。


他の鏡筒との比較 

かなり以前、MEADE 25cmで撮影した際に真ん中に明るい部分が出たことがあります。その時は原因がわからなかったのですが、実はこの時も同タイプのフォーカサーを使っていたことを思い出しました。今となっては確かめられませんが、フォーカサーが原因だったのかもしれません。

SCA260が設計時に参考にしたと言われているタカハシのCCA250ですが、このようなタイプのフォーカサーは使っていません(持ってないので実際には見てないですが)。代わりに、モーターで副鏡を移動させることで焦点を変える方式を採用しています。何でそんな面倒なことをするのかと思っていたのですが、もしかしたら設計時にフォーカサーの欠点を把握していたとかかもしれません。


まとめ

ちょっとしたホコリ対策から光漏れを調べる事になってしまいましたが、これまでそんなことは全然気にしていませんでした。何事も当たり前と思わずに、常に何が正しいか、疑いを持つくらいで進めた方がいいのかと思います。特に私は自宅撮影が多いので明るい場合も多く、これまでも光漏れとかもあったのかもしれません。



せっかくの素晴らしい画像なのに回転角がずれてる!?

Masa@MasaAstroPhotoさんの超長時間露光の北アメリカ画像を開いたときに、何度かカメラの回転角を合わせた形跡がありました。

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スタックされた画像を解析してみると、約9.5度南北からズレていることがわかりました。Annotationで赤経、赤緯の線を入れるとはっきりしますね。

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私は「天体写真は必ず北を上にしなければならない」とか言う暗黙のルールは特にこだわる必要がないと思っていて、例えどの方向が上でも、さらに東西南北以外の任意の角度が上でも全然構わないと思っています。ただし、今回のように露光ごとに角度が変わっているのは、場所によって露光時間が変わってしまい、均等な画像処理がしにくくなり、出来上がり精度も変わってくるので、もったいないと思います。

今回もあえて10度位ずらしたというなら全然問題ないのですが、途中でずれているところを見るときちんと合わせきれなくてずれてしまったのではないかと推測します。もし本当にそうだとしたら、ここまで丁寧に撮影した画像から言ったらちょっとした悲劇です。

なので今回の記事では、カメラの回転角を簡単に合わせる方法を記しておきたいと思います。


カメラ回転角を合わせる方法

私がこれまで処理した画像はよくAnnotationで赤経赤緯度の線を入れるのですが、画像処理の時に回転で合わせているのではなく、撮影時に合わせてしまっています。ほとんど1度以下くらいの精度であっていると思います。これくらいの精度では簡単に合わせることができます。

といっても新しい方法ではなく、やっている人は普通にやっていると思います。私はFacebookでSさんの書き込みから学びました。

カメラの回転角を合わせるのはいろんな方法があると思います。カメラに水準器を貼り付けているのも一つの方法ですね。鏡筒のスパイダーがきちんと縦横に向いているのなら、それが縦横に向くように合わせるのも一つの方法ですが、これは屈折だと使えないですね。

今回示す方法は至って簡単です。
  1. 赤道儀、鏡筒をセットし、カメラを取り付けその映像を見える状態にする。
  2. 赤道儀を適当に動かして目立つ星を導入して、画面に映す。
  3. 赤緯を一方向に動かして、その時の星の動きをPCの画面などで見る。
  4. この時、星がぴったり水平、もしくはぴったり垂直に動くならカメラの回転角は合っています。SharpCapなら同心円のレチクルを画面上に出しておくと縦横の線が出るのでわかりやすいでしょう。
  5. もし赤緯をモーターなどで動かして、星がこの線に沿って動かないなら、カメラの回転角を調整してください。
これだけです。私の場合さらに具体的には、
  1. SharpCapで縦横の線を出し、
  2. ターゲットの星がその交点に来るように赤道儀で導入して、
  3. そこから赤緯を一方向に星が画面の端に来るまで動かし、
  4. カメラの回転角を動かしてその星が十字線の上に来るように
調整します。

この方法はCMOSカメラとPCを前提としていますが、一眼レフカメラでもライブビュー画像を見ることができるなら十分可能です。私はEOS 6DをBackYardEOSでPC上にライブビューを映して合わせたりして同様の方法で調整しています。


星を使わなくても、昼間でも調整できる!

基本はこれだけなのですが、ここからはちょっとオリジナルなアイデアです。といっても同じような考えを思いついた方もたくさんいらっしゃると思いますが。

この方法をよく考えると色々応用が効きます。例えば目印にするのは星にこだわる必要はないのです。要するに、赤緯の動きに対してカメラで映した画像が斜めに動かないようにすればいいので、星以外、例えば何か目立つライトとかでもいいのです。

もっと言うと、わざわざ夜を待って合わせる必要もありません。明るいうちに何か遠くの目立つものにピントを合わせて、それが赤緯モーターの動きに合わせて、垂直か水平に動けばいいので、なんと昼間のうちにカメラ回転角が調整できてしまうのです。

以前Twitterでこの方法に言及したときに一番敏感に反応してくれたのがあぷらなーとさんでした。みなさんご存知の通り、何本もの鏡筒を同時に赤道儀に載せて撮影しているあのあぷらなーとさんです。「複数鏡筒のカメラの回転角を、昼間のうちに正確に合わせることができるのでかなり時間を短縮できる」というようなことをおっしゃっていたかと思います。


まとめ

私は毎回このような方法でカメラの回転角を合わせています。極軸を合わせたついでとかでしょうか。短時間でできて、画像処理で角度を合わせ直す必要がないくらいの精度で合わせることができるので、かなり便利です。

新しい方法というわけではないですが、これまで知らなかった方はぜひ一度試してみて頂けたらと思います。

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