ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 調整・改造

先日、名古屋に帰省したときに生えてきたFC-76を、自宅に帰ってから実際に試してみました。

FC-76はフローライトレンズを使った口径76mm、焦点距離600mmのアポクロマート鏡筒です。往年のタカハシの作り込み感が半端なく、質実剛健、細部ものすごく丁寧、高級感に溢れていて、持っているだけでも満足感が満たされます。レンズキャップが鋳造物で、重いので下を向けると落ちてしまうと購入時に注意を受けました。キャップだけみても今では考えられないこだわりです。元々はファインダーもあったようですが、今回はファインダーはついていませんでした。でもどうせCMOSカメラで電子ファインダーにしてしまうので特に問題ありません。問題は対物レンズ。結構な白濁です。その分本当に、その場で決断できるくらい格安でした。

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レンズの白濁について

いろいろ調べてみると、この白濁現象は1987年くらいまでの初期のFCシリーズに使われたレンズの反射防止膜がモノコートだった時代のものに、時間が経つとどうしても起きてしまうようで、避けようがないとのこと。1987年より後の後期型のマルチコートになったものはこのような白濁現象は起きないとのことです。

白濁が起きる場所は、弱いと言われている2枚目のフローライトではなく、最初の一枚目の対物レンズの背面(接眼側)だそうです。確かによく見てみると、表面は綺麗。中のどこかが汚くて、ちょうどその表面に見えるレンズの裏面くらいの位置に見えます。

結構ひどいので、この白濁をなんとかできないか調べてみました。まずタカハシはもう清掃や再コーティングなどは受け付けていないようです。(2019年5月11日追記: スターベース東京で確認したところ、現在でも清掃、調整を受け付けているとのことです。)他のメンテナンス会社でも、いくつか清掃をしてくれるところが見つかりました。自分で分解して、レンズ研磨のようなことをして強者もいるみたいです。一眼レフカメラの昔のレンズの白濁除去で探すと、アルカリ溶液でコーティングを除去してしまう例も見つかりました。

おそらく今回のものはコーティングの劣化なので、コーティングを除去してしまえば白濁は無くなるだろうと予測しています。その代わり反射防止の効果がなくなるので、一般的には4%ほどの反射が出てしまいます。ARコートは普通1.数%の反射率に抑えてくれるので、3倍くらいの反射光が出ることになります。大したことないかもしれませんが、多重反射でゴーストにもつながるので注意が必要です。

あと、自分で分解してクリーニングする場合には、光軸調整をきちんとして元に戻さないとダメなようです。私は屈折の光軸調整はごくわずかしかなく、全然自信がないのが正直なところです。これを機会に屈折の光軸調整に挑戦してもいいのかとも思いますが、タカハシなのでやはり躊躇してしまう気持ちもあります。まあとりあえずこの白濁が実際にどれくらい影響するかよくわからないので、まずは一度覗いてみることにしました。


FC-76の実際の見え味

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接眼側から対物側を覗いても、白濁がはっきり分かるので心配でした。とりあえず手持ちのタカハシの鏡筒バンドでサイズが合うものに取り付けて、アリガタを噛ませて赤道儀に載せました。アイピース口も元々25.4mm用ですが、手持ちのVixenの31.7mm交換アダプターで現行のアイピースが使えるようにします。アイピースはとりあえずそこらへんにあった、Vixenのポルタに付属の格安のものです。

昼間の景色を見てみます。白濁のひどさからあまり期待していなかったのですが、覗いた瞬間、その見え味にうっとりしてしまいました。もちろん白濁の影響はあるのでしょうが、アイピースで見ている限り全く気になりません。多分コントラストは落ちているのでしょう。確かに少し眠い気もします。それでも収差の少なさ、カリッカリの分解能の良さ、これで2諭吉さんちょっとなら十分すぎるくらいの性能です。FS-60Qでもそうですが、やっぱりフローライトっていいんですかね。分解清掃はもっと白濁が耐えられなくなるくらい進むまでしないことにしました。電視観望用にと考えていましたが、この分解能だともったいないくらいです。新型フラットナーを持っているので、うまくいくと撮影にも使えそうです。

試しにFC-76にASI294MC Proをつけて直焦点で撮影してみました。.serファイルで動画で撮影した一枚をjpegにまで落として、上下ひっくり返したものです。画像処理は何もしてません。拡大してみるとわかりますが、遠くのBSアンテナの4つのビスまできちんと写しこんでいます。ぱっと計算すると、ビスの直径が13秒角くらい、ビスの円を描いている黒線が3秒角くらいで、これだけみるともう少し出てそうです。3秒角でもすでにエアリーディスク径の2倍くらいなので、まあ相当なもんです。

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実は同じ構図でMEADEの25cmと比較していたのですが、分解能は口径と焦点距離の分FC-76が不利なはずなのに、口径差3倍以上でもFC-76も決して負けていません。焦点距離を合わせたら口径の差は消えてしまいそうなくらいです。それよりも考えさせらたのは画像の安定度で、軽いこともあるでしょうし、光軸調整が流石にタカハシレベルなのもあるのでしょうか、むしろFC-76の方がブレないです。この件もう少しまとまったらまたレポートします。

というわけでかなり使えそうなので、まずは鏡筒バンドとアリガタプレートなど、実戦配備に耐えうるように少し予算を割くことにしました。


GW特集の記事、もしかしたらもう一本書くかもしれませんが、こちらはちょっと時間がかかるかもしれません。

星座用のビノがたまってしまいました。いつの間にやら7個です。今回は実際に見たときの感想も含めて、それぞれレビューしてみます。

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左上から下に向かって、
WideBino28(新)、WideBino28(旧)、星座望遠鏡(双眼)、星座望遠鏡(単眼)、
右に移ってテレコンビノで、cokin、JAPAN OPTICS(?)、Nikonです。

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接眼レンズ側です。cokinのレンズ径の大きさが群を抜いています。



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ケースやキャップなども一緒に。順序は上と同じです。

タイトルには星座用ビノと書きましたが、正式な一般名称がよくわかりません。もともと2倍テレコンを利用して自作していたのが主流だったこともあり「テレコンビノ」と呼ばれていることもあります。商品名になるのでしょうが「星座望遠鏡」は分かり易い名前だと思います。でも一般の人にはそれでもなんのことやら、星座用の望遠鏡って???だと思います。「星座観察用双眼鏡」なんて長い呼び方もあるようです。とりあえずここでは「星座ビノ」と呼ぶことにします。


星座ビノとは

ここで少し、どれくら星座ビノがすごいのか説明しようと思います。まずこれらのビノを昼間にのぞいてもほとんどその価値はわかりません。ちょっと拡大されるだけで目で見るのとあまり変わらない。なんでこんなものにこんな値段を出すのか、全くわからないと思います。実際私がそうでした。原村の星まつりで昼間にのぞいても全然理解できなかったのです。でもこれを夜に、しかもある程度の光害地で使うと評価は全く変わります。大抵は「何これ!」「めっちゃくちゃ見える!」「こんなに星があるの!」と驚嘆の声を上げることでしょう。


見える星が増える理由 

見える星の数が増える理由はひとえに低い倍率にあります。普通双眼鏡というと10倍とかそこそこの倍率で、一見倍率が高い方がいいと思ってしまうかもしれません。ところが星座ビノの倍率はどれも2倍程度です。この2倍というのが非常にバランスが取れた倍率なのです。2倍の倍率ということは、2x2=4で4倍暗い星まで見ることができます。これはビノをのぞいたときに一辺2倍の長さに拡大してみるということなので、面積で考えると4倍に拡大してみることになります。すなわち明るさは4分の1になるわけです。ところが星は点光源なので、面積がなく広がらないために明るさは変わりません。星の明るさは変わらず周りの明るさを4分の1にするので、4倍暗い星まで見えるということになります。

では4倍暗い星(明るさが4分の1倍の星)とはどういうことでしょう?星は等級という単位で明るさを表します。都会や光害地では肉眼ではせいぜい2等星程度までしかみることができません。3等星まで見ることができればまだそこそこ暗いところになりますい。この等級という単位、2等級の差があると明るさは5倍違います。星座ビノでは4倍くらいの暗い星を見ることができるので、ざっくり2等級近く暗い星まで見ることができます

では等級ごとにいくつくらいの星があるのでしょうか?

1等星:21個、2等星:68個、3等星:183個、4等星:585個、5等星:1858個、6等星:5503個

だそうです。たとえば2等星までしか見えない都会や光害地では約90個の星が見えます。これが2等級余分に見えるようになって4等星まで見えるとすると、約850個にまで見える数が増えます。なんと約10倍の数の星が見えるのです。実際には上の表には南半球で見える星も入っているので、数としては半分程度ですが、10倍近くの数の星が見えるようになるということは変わりません。高々2倍倍率を上げるだけで、10倍近くの星の数が増えるというのだから効率がものすごくいいのです。

では調子に乗ってさらに倍率を上げたらどうでしょうか?確かにより暗い星までみえるので、見える星の数は増えます。が、今度は視野が狭くなって「一度に」見える星の数が減ってきます。しかも狭い範囲を見ることになるので、いったい空のどこを見ているかがわからなくなってくるでしょう。この2倍程度という倍率は、大多数の星座の一つ一つがすっぽり視野に入るくらいの倍率なので、自分がなんの星座を見ているかすぐにわかるのです。しかも星座にある小さな星まで見えてくるので、星座早見盤と見比べながら星座を自分で一つ一つ確認して形をトレースすることができます。自分でやってみるとわかりますが、これはかなりおもしろいですよー。星座ってホントにこんな形を結んでできているんだと実感することでしょう。こんな理由から「星座」ビノなんて呼ぶのが適しているのかと思います。

2倍という倍率は本当に微妙で、覗いてみてもあまり視野が狭くなった気がしません。もちろん視野は狭くなっているのですが、人間の目が焦点を合わせられる範囲はそれほど広くはないので、ちょうどそこらへんの範囲と、星座ビノで視野が狭くなる範囲が一致するくらいにあるためだと思います。一方星の数は上の理屈通り、本当に増えて見えます。これはびっくりするくらい増えたように感じます。「わー、こんなに星が隠れてたんだー」という言葉を発したくなるくらいです。

さて長くなりましたが、いよいよレビューといきます。まずは現行機種で、簡単に手に入れらるものからです。


現行機種

WideBino28

販売: 笠井トレーディング
倍率: 2.3倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で39mm、接眼側が実測で8mm)
入手方法: アマゾン、各種天文ショップ
値段: 1万6千円程度

長所: 入手しやすい。歪みは少ない。おすすめ。
短所: 接眼側の径が小さい。ピント合わせが軽いので首からぶら下げておくと服とかに当たってずれる。光軸中心から目がずれると大きくぼやける。現行機種の中では少し値段が高いほう。


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私が一番最初に手に星座ビノです。星を始めた年の原村の星まつりで見たのが最初です。もっとも、その時は価値を全く理解できずに、「なんだ大して拡大もしないのに高い双眼鏡だなと」思ってしまいました。望遠鏡で暗い星が見えるようになる理由がわかってから、天の川を倍率の低い双眼鏡で見たらどうなるのだろうと思った時に、初めて「あ、だから原村であんなのが売ってたんだ!」とやっと理解できてすぐに入手しました。

もともと笠井トレーディングからの販売で、私はKYOEIで買いましたが、一般の天文ショップでも売っています。今ではAmazonで手に入れられるとのことで、とても入手しやすくなっています。たまにヤフオクとかで元の笠井よりも高額な値段をつけてあることがありますが、専門業者でもなんでもないところが高く売りつけようとしているだけなので、こんなところでは買わないように注意してください。

とても見やすく、値段もそこそこ。入手性もよく、一番おすすめです。ピントも合わせやすいですが、つまみが軽くて、首からぶら下げていると服とかに当たって勝手につまみが回ってしまい、ピントがずれてしまうことがよくあります。見え方も特に不満なく、よく見えます。倍率も2倍より少し高いので、多少暗い星まで見ることができます。

接眼レンズが少し小さいのですが、視野に関しては特に不満はありません。光軸中心から目の位置がずれると大きく像がボケるのが気になります。なんでこんなことを書くかというと、子供はなかなか上手く光軸中心に目を合わせられないからです。子供は最初はピントを合わせるのさえも難しいです。大人なら多分全く問題ないです。

私としては入手性や見え方なども考え、これが一番おすすめで、とにかく迷ったらこれです。


星座望遠鏡(単眼、両眼)

販売:  スコープテック
倍率: 1.8倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で42mm、接眼側が実測で20mm)
入手方法: アマゾン(単眼双眼セット)、各種天文ショップ
値段: 単眼7千円程度、両眼1万4千円程度

長所: 現行機種では接眼側のレンズ径が大きい。入手しやすい。日本での開発、設計で、スコープテックが日の出光学に持ち込んで企画したもの。単眼だと一番安価(ただし、この記事を書いている間に笠井から最安値のCS-BINO 2x40が販売されました)。
短所: 周辺が少し歪む。

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発売は2017年だったと思います。原村星まつりで販売された直後のものをスコープテックのブースで手に入れました。もともと単眼で売っていたものを、去年2018年の原村の星まつりの頃に両眼アダプターの販売が始まりました。2つとアダプターを買うと双眼になるというものです。私は双眼の方も原村の星まつりで手に入れました。今では双眼用のセットとして、2つとアダプターが一緒になって売っているようです。

私が買った時は全部単眼(合計3つ)でレンズキャップがついてこなかったですが、今は単眼のものは対物側のキャップは付属するみたいです。でもアマゾンの写真を見ている限り、双眼セットにはキャップがついてこないように見えますが、どうなのでしょうか。

倍率が1.8倍とより視野を広く取れる代わりに、暗い星までは少し見えにくくなっています。光軸ずれに対しては上のWideBino28よりはるかにマシですが、周辺像が少し歪みます。でも実は、星座ビノ一般に言えることですが、歪みは昼間は目立って気になるかもしれませんが、夜に星を見ているとそこまで気にならないです。

値段が安いのも特徴で、試しに単眼でというなら7千円程度で購入できます。倍率も低いのであっさりした見え味が特徴でしょうか。でもこのあっさりというのは、コストも考えたらなかなかできるものではなく、日本のメーカーという特徴が出ている一品だと思います。とりあえず単眼で試してみたいというのならこれ一択です。


その他、現行機種

現行機種でまだ購入していないものが2つ (3つ?) あります。VixenのSG2.1×42とサイトロンの星空観測双眼鏡Stella Scan 2x40です。Vixenのは現行機種では結構高めなのと、サイトロンのは店舗に行ったときに何も欲しいものがないときに買おうと思ってとってあります。特にサイトロンのものはケーズデンキで購入することもできるので、天文ショップなどがないところでも、実際のものを見て決めることができると思います。これらはいつか購入したらまたレビューしたいと思います。

さらにこの記事を書いている間に、つい先日WideBino28を販売している笠井トレーディングからCS-BINO 2x40という星座ビノが発売されましたが、どうやらこれはサイトロンのものと同等の色違いらしいという噂があるのですが、実物を見たわけではないのでわかりません。単眼でも販売しているようで、価格もかなり戦略的なものになっていて、星座望遠鏡よりも安価になっているようです。(追記: 初出でCS-BINO 2x40の販売元を間違ってしまいました。ご迷惑をおかけしました。)


旧型機

ここからは現在では普通には販売されていない、多少入手困難なものです。入手順に書いていきます。普通のお店で手に入れるのは難しくなりますが、それでも特筆すべき特徴を持ったものもありますので、参考に書いておきます。


旧型WideBino28

まずはWideBino28の旧型。

販売: 笠井トレーディング
倍率: 2.3倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で39mm、接眼側が実測で8mm)

長所: 歪みは少ない。
短所: 接眼側の径が小さい。光軸中心から目がずれると大きくぼやけるのは現行機種と同じだった。

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三重県のアイベルに行ったときに入手しました。現行機と違って白色がベースです。笠井のページで見ると、旧型機でも黒いので、さらにもう少し昔のもかと思われます。適合目幅や重量など多少違いはありますが、倍率など大きなところは同じです。見え味も現行機とほとんど変わらない印象です。中古のせいか、紐がついていなかったりキャップがなかったりします。安く入手できるのでなければ、現行機を買ったほうがいいかと思います。



テレコンビノ

ここからはテレコンビノと呼ばれる、デジタル用の2倍程度のテレコンを双眼用に自作したフレームに取り付けたものになります。基本的にピントを合わせる機構がないので、目が悪い人は星もボケて見えてしまいます。その代わりにレンズ径が大きいので、メガネをかけても視野が狭くなりません。目が悪い人はメガネをかけて見るほうがいいです。


cokin テレコンビノ

販売: ケンコートキナー (DIGITAL TELE LENS-200-52mm)
倍率: 不明、実視ではSCOPTEHCの星座望遠鏡とほぼ同じなので1.8倍?
口径: 対物側が実測で65mm、接眼側が実測で38mm

長所: とにかくレンズ径が大きい、ピント合わせをする必要がない(できない)ので、子供でも扱いやすい。
短所: 周辺ひずみが大きい。分解能が少し劣る。

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cokin製の2倍のテレコンを利用した自作のビノです。昨年の小海の星フェスで、趣味で作っているという方から手に入れました。このビノの特徴はとにかくレンズ径が大きいことです。対物側も大きいのですが、接眼側もそれに負けないくらい大きいのが特徴です。そのためすぐに星を視野に入れることができて、ほとんど迷うことなくすぐに見ることができます。初心者の方、特に子供に大人気です。観望会でも「これが一番いい」という方が多いです。欠点はピント調整ができないこと。これはテレコンビノに共通で、私はこのピント調整ができないということを最初知らなくて、購入してから「あ、しまった」と思いました。ところが意外や意外、観望会では調整をする必要がない(できない)ので、逆に扱いやすく、これも一番人気の理由です。このことが元で、もっとテレコンビノが欲しくなり、下の2種を最近ヤフオクで落としました。

ピント調整ができないと言っても、パンフォーカス(被写界深度を深くする事によって、近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見える)なので、調整がないこと自体は気になりません。それでも目が悪い人はそれなりにしか見えないので、眼鏡をかけて見たほうがいいです。私は最近度が進んでしまっていてメガネがあまりあっていないので、ちょっとボケてしまいます。

見え味ですが、レンズが大きく見やすいのはとてもいいのですが、かなり歪みます。夜だとあまり歪みが気にならないのと、レンズ径が大きいのには代え難い扱いやすさがあるので、もし入手できるのならこれはかなりおすすめです。ただ、分解能が少し劣るのを不満に思う方がいるかもしれません。


メーカー不明 テレコンビノ

販売: 不明、JAPAN OPTICS? (DIGITAL HIGH DEFINITION 2X TELEPHOTO LENS)
倍率: 公称2倍?、実視ではSCOPTEHCの星座望遠鏡とほぼ同じなので1.8倍?
口径: 対物側が実測で45mm、接眼側が実測で31mm

長所: ひずみが少ない。軽い。安価だった。
短所: 多分入手がすごく困難。色収差が目立つ。分解能が少し不満。

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まだ購入したばかりなので、実戦では使えていません。でも明るいところで見る限り、歪みとかは少ないです。あえていうなら少し色収差が大きく、分解能が他と比べると足りないことがわかります。


Nikon TC-E2 テレコンビノ

販売: Nikon (Tele Converter TC-E2 2x)
倍率: 公称2倍、実視ではSCOPTEHCの星座望遠鏡より倍率は高く、笠井WideBino28よりは倍率が低い。
口径: 対物側が実測で52mm、接眼側が実測で17mm

長所: ほとんど文句がない。キリッとしていて、ひずみも少ない。意外に入手しやすい。
短所: 中古だが、最近レンズ単体が高騰していて高い。

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念願のNikon TC-E2を使ったテレコンビノをやっと手に入れることができました。以前、小海で実物を見せてもらったのですが、見え味は素晴らしかったです。その時は他に買いたいものもあり手が出ませんでしたが、ヤフオクで手の届く値段で出ていたので今回落札しました。ところが、フレームの作りやパッケージがcokinのテレコンビノとよく似ています。もしやと思ってヤフオクで連絡を取ってみたら、小海でcokinを売ってくれた方と同じ人で私のことも覚えていてくれていたらしく、Facebookでも友達になってしまいました。この方はまだいくつもNikonのTC-E2を持っているとのことで、最近フレームを大量に作ったのでこれからもいくつか販売するらしいです。フレームを自作するのは結構大変そうなのと、テレコン自身も高騰しているのですが、こういった方から入手できるというのはありがたいことです。

見え味は改めて見ても素晴らしいです。歪みも色収差も少なく、これがテレコンの最高峰と言われている理由がよくわかります。接眼側のレンズ径がcokinには負けているので、子供とかの評価ではパッと見の視野は負けるかもしれませんが、大人なら間違いなくこちらの方が見え味に納得すると思います。


まとめ

7機種(実質はWideBino28が新旧の違いだけ、星座望遠鏡が双眼と単眼の違いだけなので5機種)をじっくり見比べてみました。1機種だけだとあまり気にならないことも、さすがにこれだけ一度に見比べると違いがよくわかります。Nikonは間違いなく見え味は最高でしょう。ピントを合わせられないのが唯一の欠点と思えてくるくらい、本当に素晴らしいです。今ならまだ入手することもそれほど難しくはありません。笠井のWideBino28は現行機種の中ではおすすめです。SCOPTECHの星座望遠鏡は双眼で買っても2つの単眼として二人で使うこともできるのでお得です。私は持っていませんが、サイトロンのStella Scanは全国にあるケーズデンキで実物を見ながら購入できるので、こちらもいいかもしれません。

色々比べましたが、基本的にはどの機種を持っていっても、実際の星空を見ればびっくりするでしょう。本当に「こんなに星が隠れてたのか!」というのを実感できるはずです。一般の方にはこんな小さな双眼鏡にしては少し高価に感じるかもしれませんが、下手な望遠鏡とか、倍率の高い双眼鏡よりもはるかに楽しかったりします。まだ経験されたことがない方は、騙されたと思って是非とも一度お試しください。

つい最近(2019/3/24)、Stellariumが0.19.0にバージョンアップされました。最近Stellariumがかなりすごいです。


星雲星団の実画像表示

星雲星団の実画像の充実に気づいたのは何ヶ月か前、バージョン0.18.2から0.18.3にアップデートされた時(アップデート自身は2018/12/22)です。ちょうどプラネタリウムソフトで星雲や星団がきちんと写真レベルで表示されないかなと思って色々試している時でした。撮影時の実際の星雲の広がり具合とかをあらかじめ比べたかったからです。あれ、0.18.3になってなんか綺麗な画像が増えたなと思って当時ちょっと調べてみました。Mac版の場合、アプリケーションフォルダの中のStellariumのファイルを右クリックして、「パッケージの内容を表示」で、Contents->Resources->nelulae->defaultの中を見ると、実際の星雲星団の画像がたくさん入っているのがわかります。

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上の写真の一番下のファイル数で比べると、0.18.2->0.18.3で248ファイルから439ファイルと倍増近くになっています。0.18.3->0.19.0は439->473と数はそれほど増えたわけではないですが、細かく見ると画像のクオリティが上がってたりするのがわかります。

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左が0.18.3付属のIC1805、右が0.19.0のもの。
サイズは1MB->509kBと小さくなっているのに、
クオリティは明らかに上がっている。

例えばオリオン座のM42です。Stelalrium上でかなりの画質で表示させることができます。

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これを見るとトラベジウムあたりは飛んでいってしまていますが、拡大すると徐々に画像を消すなどしてうまくトラベジウムが見えるようにしているようです。

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それでも星雲の画像を表示させたくないときもあると思います。そんな時は、右の端にカーソルを持っていくと出てくる「設定画面」から「Extras」タブで「星雲の背景ボタンを表示」にチェックをしておいて、カーソルを画面下に持っていって出てくる「深宇宙の背景画像」をオフにしてやれば下の画面のように画像を消すことができます。

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まだ一部もやっとした光も残っていますが、これは天の川の一部として低解像度で表示されているものです。これも右端で出てくる「空と表示の設定」から「空」タブで「Milky Way brightness/saturation」をオフにすると完全に消すことができます。


自分の持っている機材で視野角を確認

さて、前項のこういった星雲や星団の実画像があると何が便利なのか?それは撮影時の実際の視野角と簡単に比較することができるからです。

ご存知の方も多いと思いますがStellariumでは自分で持っている機材を登録して、視野を直接画面の中に表示することができます。右上の左から二番目の四角の枠だけのアイコンを押すと、画面の中に赤い枠が出てくると思います。これが現在設定されている視野です。これを自分の持っている機材に変更します。同じく右上の一番右のアイコンを押します。タブに「望遠鏡」、「補正レンズ」、「CCD」、「アイピース」がありますが、それぞれ設定します。「望遠鏡」は鏡筒、「補正レンズ」はバローレンズやレデューサなど、「CCD」はCCDカメラやCMOSカメラ、一眼レフカメラでももちろん構いません。赤道儀の機能は「望遠鏡」のところの「赤道儀」をクリックします。実際の視野の回転は「CCD」のところの「回転角(度)」で調整します。ここは大抵0度か90度ですね。

いくつか鏡筒やカメラを登録すると、右上の左から二番目の四角アイコンを押した時に、登録した機材を画面を見ながら変更することができます。この時、星雲の実際の画面があると、どれくらいの視野で、どのような機材で撮影すればいいのかが一発でわかるのです。


他波長での背景表示

もう一つ面白い機能を紹介します。多波長で空を見た場合、その画像をStellariumの背景として表示させることができます。これはバージョン0.18.0から搭載された機能で、まだテストレベルのようです。

画面右端で出てくる「空と表示の設定」から「Surveys」タブで「Deep Sky」を選び、ズラーっと出てくるリストが衛星や観測装置など研究レベルで撮影されたデータになります。たくさんあるのですが、アマチュア天文で撮影に使用する場合はほとんどがあまり関係なく、この中でお勧めできるのは「DSS colored(2つあるうちの下の方の)」と「DSS2 Red(F+R)」です。

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DSS colored

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DSS2 Red(F+R)

上のように分子雲モクモクの背景を表示させることができます。写真ではカラーの方が見栄えが良くなってしまっていますが、実際のPCの画面ではモノクロの方が見やすいかと思います。特に構図を決める時はかなり狭角で見ることになるので、モノクロの方がより分子雲の度合いがわかります。一方、広角で見る場合はモノクロの場合はつぎはぎになってしまうのでカラーの方がお勧めです。

この画面を表示させるためにはもう一つやることがあります。このやり方が最初どうしてもわからなくてしばらくの間ずっと画像を表示できなくてやきもきしていたのですが、色々調べてやっとわかりました。画面右端にカーソルを持っていくと出てくる「設定画面」から「Extras」タブで「Show HiPS button」をオンにして、画面下に出てきた「Toggle Hierarchical Progressive Surveys (experimental)」をオンにすると、やっと上のような画像が出てきます。でもこの機能はとても重いのと、多分データをその都度ダウンロードしているようなので、ある程度早いCPUパワーとネットワークが必要になるかと思います。

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他に面白いのは、「IRAS IRIS HEALPix survey, color」でしょうか。天の川全体を表示させるような場合は、IRAS IRIS HEALPix survey, color上のDSS coloredのように、カラー化されたものの方が見やすそうです。

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IRAS IRIS HEALPix survey, color

Surveysの方のリストはたくさんありすぎて私も全部は見ていません。いくつかのデータは表示してもほとんど何も変化がなかったりもするので、もしかしたら多少加工しなければ見えないようなデータもそのまま表示してしまっているのかもしれません。もしリストの中で他にも撮影の役に立ちそうなものがあったら、コメントなどで情報共有してもらえるとありがたいです。

あと全く別の同様の機能に、「デジタル・スカイ・サーベイ(DSS)ボタン」があります。こちらも画面右端にカーソルを持っていくと出てくる「設定画面」から「Extras」タブで設定できます。画面下に出てきた「デジタル・スカイ・サーベイ(TOAST)」ボタンを押すと、分子雲なども多少見ることができる背景が表示されますが、「Survey」で表示されるものの方が見やすいかと思うので、あまりこの機能はお勧めしません。

いずれにせよ、上の両機能ともものすごく重いので、お勧めの表示のさせ方を書いておきます。
  • まずプラネタリウム表示の時間経過を止める。画面下の三角ボタンを押すと止まります。
  • 画面を移動する時には、両機能ともオフに。
というくらい気を使うことになると思います。

また、最近のステライメージも最新版では多波長に対応しているとのこと。おそらく、画像を多少加工してあるのでしょうか、ステライメージの方が見やすくなっているようなので、こちらもお勧めです。

分子雲モクモク画面を見ていると、かなり構図決定の参考になるかと思います。これからもこういったものを撮影に活用していければと思います。

 

もう先々週になってしまいますが、3月8日金曜日の帰宅後、ちょっと疲れていたのですが新月期で天気も良かったので、かねてより試したかったAZ-GTiによる2軸ガイドを試してみました。これができると、かなり軽量コンパクトな撮影システムになるので、海外や登山でも持っていけそうです。

撮影対象はM42、オリオン大星雲です。画像処理に時間がかかってしまったので、記事にするのに時間がかかってしまいました。撮影結果を先に示しておきます。本来ガイドを試して星像を見るテストなのですが、今シーズン最後のオリオンになるだろうことと、撮影時間1時間弱にしてはそこそこ出たので、AZ-GTiで(まだまだ稚拙ですが)ここまでは出るという指標として、きちんと画像処理までしたものをあげておきます。

light_M42_PCC_maskstretched_ok_HDR_dark

富山県富山市下大久保 2019/3/6 21:23-23:04
f=600mm, F10 + AZ-GTi(赤道儀モード)
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW)
300sec x 11frames 総露出時間55分 + HDRのため3sec x 12
PixInsight , Photoshop CCで画像処理




AZ-GTiのこれまでの経緯

これまで、これまでAZ-GTiを赤道儀モードも含めていろいろ試してきました。
  1. AZ-GTiのファーストテスト
  2. AZ-GTiの赤道儀化(その1): ハードウェア編
  3. AZ-GTiの赤道儀化(その2): ソフトウェア編
  4. AZ-GTiの赤道儀化(その3): 極軸調整とオートガイド
  5. AZ-GTiの赤道儀化(その4): Stick PCでのガイドとTips

実際4のところでガイドも試していますが、露光時間が30秒と短すぎたのでまだちゃんとしたテストにはなりませんでした。その後、この赤道儀モードでもう少し時間をかけた撮影を試みました。
  1. 昨年11月2日にAZ-GTiの赤道儀モードでノーガイドでテスト。
  2. 11月3日にAZ-GTiの赤道儀モード2軸ガイドに挑戦するが、接続問題で断念。
  3. その後、ブログの記事にはしていませんが、11月15日に少しくらい山の方に行ってAZ-GTiの赤道儀モード2軸ガイドに挑戦するが、ISO1600、3分で13枚だけとって、そのうち成功はわずか2枚、Maybeが5枚で、失敗6枚とほとんどダメだったので、検証は失敗。原因は風が強くて全く点像にならず。
と、現状はこういったところです。

この頃はまだQBPフィルターを手に入れる前なので、自宅ガイド無しで露光時間90秒が最長、山の中のガイドありでも3分が最長で、その代わり特に自宅だと露光時間の短さを補うためISOが6400と高めです。それからだいぶん日にちが経ってしまいましたが、今年の目標の中にはまだAZ-GTiの赤道儀モード2軸ガイドは入っていました。なかなか天気が良くなかったり、途中レデューサーフラットナーのテストも入ったりしたのですが、それらのテストも一巡して、FS-60CBだった鏡筒もやっとエクステンダーを付け直して、焦点距離600mmのFS-60Qに戻りました。やっと久しぶりのテスト再開です。


目標

さて、この「AZ-ZGiでの2軸ガイド」計画の目標ですが、具体的には
  1. 焦点距離600mmの鏡筒をAZ-GTiの赤道儀モードで稼働し、2軸のガイドを実現すること。
  2. フルサイズのカメラで撮影して、少なくとも3分以上の露光で、赤道儀起因の流れが十分無視できる程度の撮像が得られること。
  3. 撮影枚数のうち、8割以上の成功率を実現すること。
の3つです。これは海外へ行く時など、できる限り軽量で実用的な撮影ができるという条件から設定しています。この目標が達成できれば、十分海外へ持っていっても使い物になると考えることができます。

1については上で書いたように、赤道儀化テストの4番目や、昨年11月15日にシステムとしては稼働しているので、すでにほぼ目標達成です。2については上記の3に書いてあるように、3分で2枚だけ成功しているのですが、風が弱かった時での成功で、もしかしたらピリオディックモーションがたまたま小さかった時のみの成功かもしれません。なので主にここからの検証です。

機材とソフトウェア

  • 鏡筒: タカハシ FS-60Q (口径60mm, 焦点距離600mm)
  • 赤道儀: AZ-GTiを赤道儀モードで使用
  • センサー: Canon EOS 6D(HKIR改造)、ISO3200、露光時間5分x11枚、計55分 + HDR合成のため、3秒x12枚、バイアス画像100枚、ダーク画像5秒x15枚、フラット補正無し(撮影後、フラットを撮る前にセッティングを変えてしまったため)
  • 初期アラインメントおよび追尾ソフトウェア:iPhone上でのSynScan Pro、その後Windows10上のSynScan Pro
  • 自動導入および視野確認: Carte du Ciel + SynScan Pro AppのASCMOドライバー、Astro Trotilla + BackyardEOS
  • ガイド時のソフトウェア: Windows10上のSynScan Pro AppのASCMOドライバーにPHD2 + BackyardEOSでガイド+ディザー撮影
  • ガイド機器: ASI178MC + 50mm Cマウントレンズ
  • フィルターサイトロン Quad BP フィルター(クアッド バンドパス フィルター、 以下QBP)
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 日時: 2019年3月6日、21時23分から
  • 月齢: 29.6(新月)、天気快晴、風が少々
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


セットアップ

まずはAZ-GTiを赤道儀モードで稼働させることが前提です。経緯台モードでも2軸ガイドができるという情報もありますが、私はまだ試したことがありません。

AZ-GTiでの2軸ガイドのポイントの一つは、SynScan App用のASCOM driverをインストールして、PHD2からのガイド信号をSysScan経由でAZ-GTiにフィードバックすることです。すなわち、PC上で信号のやり取りはほぼ済んでしまうために、ケーブルとしてはガイドカメラからのUSBケーブル一本、あとは今回の場合BackYard EOSを使ってディザーガイドをしているため、PCとEOS 6DをつなぐUSBケーブルが一本の、計2本です。AZ-GTiの電源は乾電池で内臓、EOS 6Dの電源も電池のため内臓で、AZ-GTiの駆動はWi-Fi経由なので、本当にケーブル2本、もしディザーをしなくてカメラ単体でとるのならわずかケーブル1本での2軸ガイドが可能です。

さらに今回の場合、Stick PCを使い、PC自身も三脚あたりに取り付けてしまったため、本当にコンパクトな2軸制御システムとなりました。Stick PCの操作はWiFi経由なので、自宅からぬくぬくと撮影、モニターをすることができます。


実際の撮影

極軸合わせはいつも通りSharpCapで行いました。一つだけポイントを挙げておきます。

AZ-GTiは構造的にそこまで頑丈ではないです。SharpCapの極軸合わせで90度視野を回転させる場合、手で回す際はウェイトバーがついているところのネジを緩める必要があるのですが、その時全体が大きくたわんでしまいます。90度回す時はモーターで回転させた方がはるかに精度が出ます。

さて、実際の撮影はフル自動導入の赤道儀とほぼ同様に扱うことができます。これは、Carte du CielなどのプラネタリウムソフトでAZ-ZTiを制御して自動導入することもできますし、Astro Tortillaなどでplate solvingすることもできるので、撮影した写野から位置を特定することもできることを意味します。ようするに、操作性だけ言えば大型で高機能な赤道儀に全然遜色ないということです。

視野が決まれば、あとは撮影です。QBPを使っているので、5分露光くらいまでは十分耐えることができます。ISOは3200としました。撮影中は自宅にいたのですが、今回は星像が気になってしまい、仮眠をとったりすることができませんでした。というのも、最初のうちはガイドは非常に安定していたのですが、30分くらいしてからガイド星の位置が結構頻繁に飛びはじめたのです。しかもピリオディックモーションが出ないはずの赤緯の方です。時に上に行ったり、時に下に行ったり、ガイドがかなり頑張って補正しているようでした。何か調子が悪いのかと思って外に出たらすぐに納得しました。明らかに風が強くなっていたのです。どうやらAZ-GTiは、撮影レベルになるとやはり外乱の影響を受けやすくなってしまうようです。もちろん三脚などでも変わると思うので、もう少し大型の三脚に載せてもいいかもしれませんが、それだと売りのコンパクトさが損なわれてしまいます。使えるのは風が強くない日限定でという制限をつけた方がいいかと思います。

この頃は冬も終わりに近づき、オリオン座も西に傾く時間がはやくなってしまっているので、結局撮影に使えた時間は21時半くらいから23時くらいまでと1時間半で、総露光時間は55分と1時間を切ってしまいました。


撮影結果

結局14枚撮って(ただし、撮影最後の西に沈んで影になった3枚はカウントから覗きました)11枚が成功でした。と言っても衛星が大きく通った一枚も失敗とカウントしたので、星像という意味では実際には14枚中12枚が成功と言っていいと思います。86%の成功率なので、目標達成といっていいでしょう。

隅の星像を(自作プログラムを改良して8隅が出るようにしました。)拡大してみます。大体のガイド性能までわかると思います。ただし、AZ-GTiのそもそものピリオディックモーションが+/-75秒程度とかなり大きいので、ガイドをしてもその影響を取り去ることはできません。また、風の影響も多少あります。

星像がまともと判断したものの中でベストに近いもの。まあまあ、丸になっていますが、やはり完全ではなく、わずかに斜め方向に伸びています。

M42_LIGHT_6D_300s_3200_+7cc_20190308-21h47m38s110ms_8cut


星像がまともと判断したものの中でワーストに近いもの。ここら辺までが許容限界としました。スタックすると多少は平均化されるのですが、拡大すると明らかに縦方向に伸びています。主に風の影響です。

MAYBE_M42_LIGHT_6D_300s_3200_+6cc_20190308-22h50m46s955ms_8cut


また、下のように風の影響で星像が2つに分かれてしまっているものもあります。一瞬大きな風が吹いたのかと思われます。これはもちろん使えないとしました。

BAD_M42_LIGHT_6D_300s_3200_+6cc_20190308-22h57m53s875ms_8cut


画像処理

画像処理は今回のテーマでないのですが、1時間弱にしては結構出すことができたので少しだけ書いておきます。

結果は一番上の画像を見ていただくとして、とりあえず処理してみると分子雲が結構出てきたので、少し強調してみました。露光時間が短いのでまだ粗いですが、自宅撮影でQBPがあればここら辺までは出せることはわかりました。また、青を出す方法も少しわかってきました。といっても、トーンカーブで青の真ん中らへんを持ち上げるだけですが。やはりQBPだと青色が出にくいので、少し強調してやる必要がありそうです。

最後に、全てスタックして画像処理をした画像(一番最初に示した画像)の星像です。やはり、ごくわずか縦長になってしまっています。どれくらい歪むかは風の強さによるかと思いますが、あとは歩留まりで調節するのかと思います。私的にはここら辺までなら、まあ許容範囲です。

light_M42_PCC_maskstretched_ok_HDR_dark_8cut




まとめ
  • AZ-GTiの赤道儀モードで、PHD2とSynScan用のASCOMドライバーを使った2軸ガイド撮影はそこそこ実用レベルで使用することができる。
  • 具体的には焦点距離600mm程度なら、露光時間5分でもある程度の歩留まりで星像は安定する。
  • ただし軽量システムのため、風に弱い点は否めない。
なんとか目標の歩留まり8割にたどり着きました。軽量コンパクトな撮影システムの構築という目的はある程度達成したと思います。次回海外へ行く時や、登山(多分することはないとわかっているのですが...)で持っていくシステムとしては完成です。このシステムは電視観望システムを含んでいるので、海外とかでのデモンストレーションもできることを考えると、当分コパクトシステムはこれで行くことになりそうです。やはり2軸制御できるところがポイントです。惜しむらくはピリオディックモーションです。もう少し小さいと星像ももっと安定すると思うのですが、この価格でそこまで求めるのは酷かもしれません。SWATなどの方がここら辺は利がありそうです。

AZ-GTiの購入から半年ちょっと、すごく楽しめました。軽量撮影システムとしてはこれで大体完成なのですが、本当に撮影で普段使いをするかというとこれはまた別問題。やはり風に弱いという欠点があるため、車が使える時や、自宅では頑丈な赤道儀を使っての撮影になるかと思います。あ、でも電視観望ではAZ-GTiは完全に主力ですよ。

AZ-GTiは、特に天文を始めたばかりの人でも、アイピースでの観察から電視観望、経緯台モードでの簡易撮影から、赤道儀モードでの本格的な撮影までこれ一台で相当楽しめるはずです。コストパフォーマンスを考えたら間違いなくオススメの一品です。


昨日の記事の続きです。やっとなんとか形になりました。

ノイズを標準偏差で評価するか、平均偏差で評価するか迷っていたのですが、Twitteでガウス分布から外れているのなら飛んだ値が多いはずなので、(飛んだ値に影響されにくい)平均偏差の方がいいのではという意見をもらいました。なるほど、考えてみればその通りで、標準偏差と平均偏差にすでに無視できないような有意な差があるということは、いいかえてみればガウス分布から外れた値も多いということが言えるのではと思います。

Fits画像のhistogram


というわけで実際にヒストグラムで分布を見てみました。まず、debayerなど何の処理もしていないRAW画像です。 

histgram_raw

見ての通り、ガウス分布からかなり外れていることがわかります。これはRGBでそれぞれ反応が違うために山がいくつもできるのかと思われます。

次に、同じ画像をdebayerしてRed、Green、Blueに分けたヒストグラムものを示します。

まずはRed:
histgram_R
次にGreen:
histgram_G

最後にBlue:
histgram_B


不思議なのは、RGBに分離しても山がいくつも見えることです。debayerの際に周りのピクセルの状況も読み込んでいるからなのか、もしくは画面の中で場所によって明るさに違いがあって、それが山になっているのかもしれません。また、RGBを合わせてもRAWの山の形になりそうもないことも不思議です。一瞬違う画像を処理したかと思ってしまったのですが、きちんと確認しても同じRAW画像から分離したものです。debayerもそんなに単純でないようです。

最後に、その中の50x50ピクセルを取り出してきた場合のヒストグラムです。
histgram_50x50
山がいくつもあるようなことはなくなり、大まかな形としてはガウス分布にだいぶん近づきます。それでもサンプル数が少ないことによるばらつきがあるのも確かなので、ここでは平均偏差でいくのが良いと考えることにします。



Conversion Factor

さて、実際にコンバージョンファクターを求めてみました。サンプル数を多くするために画像中心付近の100x100ピクセルを選んで解析しています。

結局今回はPythonで平均偏差を求めるルーチンをを自前で書いて、各ピクセルごとに計算しています。書き忘れてましたが上のヒストグラムも全部Pythonで書いています。やっとPythonでの画像解析に慣れてきました。結果ですが、以下のようになります。

20190302_01_Conversion_Factor

ついにここまでくることができました。結果はグラフの中にも数値で書いてありますが、コンバージョンファクターとして4.12、そこから計算できるUnity gainが200 x log10(4.12) = 123となり、メーカー値の117とわずか0.6dB、1.07倍の誤差くらいの範囲で求めることができました。

検証


もう少し検証してみます。

IMG_3262

上のようなSharpCapでの自動測定の結果のグラフと比べると、自動測定の測定値を伸ばしていくと0点近くに行きますが、自分で測定したものは0点に向かわずに、y切片で-352くらいのところにあたります。本当にきちんと測定しようとするならバイアスノイズをのぞいたり、フラット補正をすべきなのですが、今回は省いています。それでもSharpCapもそれ専用の測定はしていないように見えるので、うまくy切片が0になるような補正をかけているものと考えられます。

もう一点、自動測定の場合、測定点がいくつか重なっているように見えます。おそらくこれはRGBと分解した3点が重なっていると推測されるのですが、それにしても横軸(ADU)が一致しすぎています。普通に測定すると、自分で測定した時みたいにRGBで光源も違えばセンサーのフィルター特性も違うはずなので、ずれるはずです。これもSharpCapの自動測定では何らかの補正をしているものと思われます。


まとめ

結局、上の結果を得るまでに2週間くらいかかりました。色々苦労しましたが得たものも多く、まずPythonでの画像解析の環境がだいぶ揃いました。既存ライブラリに頼らない、ピクセルごとに解析する手法もある程度得ることもできました。統計的にどのようにアプローチすればいいのかも少し学ぶことができました。

次はEOS 6Dのユニティーゲインを求めることでしょうか。
あー、ホントはCP+行きたかったです。

今回はCMOSカメラ、ZWOのASI294MC Proの性能評価の一環で、全ての測定の元になるADUからeへの変換のコンバージョンファクターの測定についてです。結論から言いますと、SharpCapの自動測定機能での結果と、SharpCapでマニュアルで一枚一枚撮影しその画像を自分で解析した結果がどうしても合いません

この記事は多分ほとんどの人にはめんどくさい話で、よほどでない限り興味がないことと思いますし、しかもうまく結果が出なかったものなので、公表するかどうかも迷っていたのですが、それでも自分のメモがわりに書いておこうと思います。ご容赦ください。


動機

もともとダークノイズを評価する過程の一環で進めているのですが、今回の測定の動機は2つあります。
  1. ダークノイズの測定は多岐に渡るので、まずは解析環境をpythonで整えようとするのにちょうどいい練習になる
  2. 天体用CMOSカメラだけでなく、一眼レフカメラの性能評価もできないかと思ったから
です。特にEOS 6Dのユニティーゲイン(ADUとeの比が1になるゲイン)、引いてはコンバージョンファクターの測定まで自前でできたらなと目論んでいたのですが、今のところ見事に失敗。

最近ブログをなかなか更新できなかったのは、天気が悪くて星が見えないとか、仕事が忙しいとかもありますが、この解析が全然うまくいかなくてずっと悩んでいたというのが、一番大きな理由です。


測定方法

各画像の撮影はSharpCapで撮影します。共通の設定は
  • iPadのColor Screenというソフトを光源とした
  • RAW16
  • Gain = 0
  • Brightness = 8
  • White Bal(R) = 50
  • White Bal(B) = 50
  • 温度15度程度(コントロールなし)
となります。この状態で露光時間を変更して10枚程度の画像を撮影します。上記設定や露光時間はSharpCapでのセンサー性能を測る時のパラメーターを参考にしています。というか、最初適当に設定していたのですが、結果が全然合わないので、最後はコンバージョンファクターを測る時の状況に限りなく合わせるようにしました。

ゴールとしては下の写真(SharpCapのセンサー性能測定機能で自動測定した場合)の

IMG_3260

右のようなグラフが得られればOKです。横軸(各ピクセルの明るさ)が10000程度の時に縦軸(ノイズの2乗)が2500程度です。グラフの傾きは0.25程度、その傾きの逆数が今回求めたいコンバージョンファクターになり、普通に測定すると1/0.25=4程度になるはずです。この値はZWOが示している値ともほぼ一致しています。

コンバージョンファクターはちょっと理解が大変かもしれませんが、関係式と意味についてはこのページの1のところに、式の証明についてはこのページの一番最後のおまけのところに書いてあります。


測定結果

ところが自分で測定してみた結果は散々なものです。普通に画像を撮影してそのまま何も考えずに解析すると、そもそもDebayerもされていなかったりするので、ノイズが大きく出すぎてしまいます。結果を見せるのもあほらしいのですが、

mymag_all


のようになり、SharpCapの結果にカスリもしないくらいノイズが大きく出てしまっています。傾きが30くらい、コンバージョンファクターは0.03とかで、メーカー値の100分の1以下です。ここから苦難のノイズハンティングの道が始まりました。結局やったことをまとめると
  1. SharpCapでfitsファイルを撮影
  2. PixInsightでCosmeticCorrectionでホット、クールピクセルを除去 (飛び抜けて明るいピクセルなどあるとばらつきが大きく出てしまう)
  3. PixInsightでDebayerをしてカラー化 (RGBでゲインが多少違うため、debayerせずに標準偏差を取るとばらつきが大きく出てしまう)
  4. PixInsightでR、G、B画像に分離し、一枚一枚を個別に保存する (今回解析に使ったirafは天文研究に使われるソフトで、モノクロがほぼ前提なので、カラー画像を解析できない)
  5. 中心近くの50x50ピクセルのみを選択して解析 (画像全体だと周辺減光などの影響で、ばらつきが大きく出てしまう)

4番まで進めた時のグラフが

mymag _rgb_all


のようになりますが、まだ傾きが10程度、コンバージョンファクターにして0.1程度しかありません。

さらに5番目の中心部分のみを解析するようにして、やっと下のグラフくらいにまでなりました。

mymag_rgb_cut


それでも結局傾きが0.35程度、コンバージョンファクターが1/0.35で3程度になり、どうしてもまだ4近くにまでなりません。

考察と今後

なぜこの差が縮まらないか、もう少し検証します。まず、横軸(各ピクセルの明るさ)が10000の時に縦軸(ノイズの2乗)が2500くらいになるためには、ノイズはそのルートの50程度でなければなりません。ではノイズと言っているものが何かと言うと、画像から測定したピクセルの明るさのばらつきということなので、普通は標準偏差(standard deviation)をとればいいと思われます。この標準偏差を求めるのに今回は天文研究でよく使われているirafを使いました。ところが、明るさ10000程度の50x50ピクセルの明るさのばらつきの標準偏差をirafで測定すると60程度になってしまいます。グラフの横軸でいうと2乗なので3600程度になってしまうわけです。

ここでirafを疑いました。何か間違った結果が出ているのではと思ったのです。そこでPixInsightの統計ツールで測定したのですが、標準偏差はやはり60程度とでます。それどころか、SharpCapでも画像の選択したあるエリアの各色の標準偏差をリアルタイムで測定できるのですが、それもやはり60程度なのです。

SharpCapで測定しても60とでるならば、SharpCapの自動センサー性能測定の測定はどうやってやっているのでしょうか?何か特別なことをやって50と出しているのか、それともまだ私が何か勘違いをしているのか

PixInsightの統計ツールで少しヒントになるようなものを見つけました。標準偏差ではなくてオプションでAverage absolute deviationという値を出すことができるのですが、この値がちょうど50程度になるのです。

IMG_6410
標準偏差(stdDev)が60ちょい、Average absolute deviation(avgDev)が
50切るくらいになっているのがわかると思います。

Average absolute deviationのは一般的にはMean absolute average (around the mean)というらしくて日本語では単純に平均偏差というらしいです。標準偏差が各値(Xi)から平均値(M)を引いたものを2乗したものの総和を総数Nで割ったもの

1Ni=0N(XiM)2

に対して平均偏差は各値から平均値を引いたものの絶対値の総和を総数で割ったもの

1Ni=0N(XiM)

となります。他にもMean absolute average (around the median)というのもありますが、こちらは平均値を引く代わりに中心値を引きます。

標準偏差が2乗和のルートになるので、ばらつきがより効いてくることになり一般的に

標準偏差 > 平均偏差

となるそうで、確かに標準偏差より小さい値になっていて納得です。

さて、平均偏差を使えば、メーカー値もしくはSharpCapで測定した値に近い結果が出るはずなのですが、そもそも平均偏差を使っていいものなのか?やはり普通に考えると標準偏差を使った方が、あとの統計的な評価が簡単になりそうで、素直な気がします。

さらに、irafなどの一般的な解析ツールでは平均偏差を出すことができるものが少ないので、グラフまで出せるくらいにきちんと解析するのなら自前で統計処理の部分のコードを書く必要があります。

そんなこんなで、今pythondで書いているのですが、果たしてこの方向が正しいのかどうか?
まだ色々迷っています。


先日作った画像四隅切り抜きソフトを使って、FS-60CBでの星像を比較してみました。比較対象は焦点距離の長い順から
  1. FS-60CB + エクステンダー => FS60Q: F10、焦点距離600mm
  2. FS-60CB + 旧フラットナー(フラットナー FS-60C): F6.2、焦点距離370mm
  3. FS-60CB + 新フラットナー(FC/FSマルチフラットナー1.04): F6.2、焦点距離370mm
  4. FS-60CB + レデューサー(RD-C0.72×): F4.2、 焦点距離255mm
です。条件などです。

  • カメラは2番目の旧レデューサーのみEOS 60DでAPS-Cですが、他3つは6Dでフルサイズになります。
  • また、旧レデューサー以外はQuad Band Passフィルターが入っています。ほとんど影響はないと思いますが、稀に星像が歪むという報告もあるようなので、一応気に留めておいてください。
  • 撮影場所は全て富山市の自宅ですが、どれも撮影日が違うので、条件は同じでないことをご了承ください。
  • 画像は全て撮って出しのJPEGですが、ホワイトバランスはその時々でいじっているので色はあてにならないです。
  • 何も校正していないので、周辺減光を読み取るのは厳しいです。

それでも下に示す画像を見てもらえればわかりますが、同じ鏡筒でも取り付けるオプションによって星像の違いがはっきりと出るのがわかります。


エクステンダー: 600mm 

まずは、1番のエクステンダーです。四隅と真ん中をそれぞれ250ドット角で切り取った画像と、その元の画像(モンキー星雲)になります。

LIGHT_6D_300s_3200_+3cc_20190109-22h33m50s976ms_4cut

LIGHT_6D_300s_3200_+3cc_20190109-22h33m50s976ms


四隅でもほぼ真円になっています。これなら全く文句ないです。


旧フラットナー: 370mm

次に旧フラットナーです。カメラが60DなのでAPS-Cサイズでの撮影であることに注意してください。北アメリカ星雲です。

NORTH_AMERICA_LIGHT_60s_3200iso_+30c_20170913-21h38m38s_4cut

NORTH_AMERICA_LIGHT_60s_3200iso_+30c_20170913-21h38m38s996ms

やはり四隅がかなり流れているのがわかります。結局旧フラットナーではちゃんとした撮影はこの一枚だけでした。それでも天リフの今日の一枚に選ばれた感慨深い一枚です。

星像比較とは関係ないのですが、この画像の撮影日は2017年9月13日で一年以上前です。フィルターも何もなしで、ISO3200で露光時間1分ですが、他の3つと比べてこれだけかなり背景が明るくなっています。他の3つはQBPで露光時間を伸ばせているので、QBPの効果がかなり大きいことがわかります。


新フラットナー: 370mm

新型のフラットナーです。昨日の記事で出したものと同じ画像でカモメ星雲です。

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms_4cut

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms


星像ですがほぼ真円。それでも拡大してエクステンダーとよく見比べてみると、四隅で極々僅かに円周方向に伸びているのがわかります。でもこれくらいなら私的には十分許容範囲です。


レデューサー: 255mm

最後はレデューサーです。オリオン座のM42と馬頭星雲一帯です。

ORION_LIGHT_6D_300s_800_+5cc_20190114-22h39m34s849ms

ORION_LIGHT_6D_300s_800_+5cc_20190114-22h39m34s849ms_4cut

まず、広角なのでさすがに周辺減光が目立ってくることがわかります。フラット補正は必須でしょう。星像も真ん中はまだそれほどでもないですが、四隅では円周方向にもそれと垂直にも伸びていて、十字のように見えます。それでも旧フラットナーよりはましですが、新フラットナーには完全に負けています。

拡大しなければ気にならない範囲とも言えますが、これは画像処理での補正方法を検討した方がいいのかと思います。ちょっと色々試してみようと思います。


まとめ

今回はFS-60CBについて、4種類のアダプターを試してみました。結果としては

エクステンダー > 新フラットナー >  レデューサー >> 旧フラットナー

といったとことでしょうか。ほぼ評判通りで、メーカーの言っていることも正しいと思います。やっぱり自分で確かめると納得しますね。細かい違いもよくわかりました。

できれば、これをレンズ設計ソフトで再現してみたいです。だれかFS-60CBのレンズデータとかどこかにあるか知りませんでしょうか?タカハシに聞いてもさすがに教えてくれないだろうなあ。


今週の火曜日、水曜日と新月期で、冬なのに珍しく晴れていました。外に出てもそれほど寒くないので、平日ですがQBPを使って宅撮りです。前回の撮影ではレデューサーを試したので、今回は新タイプのフラットナーのテストです。ターゲットは、これまで何度か撮ろうとしては雲が出てできて失敗しているかもめ星雲です。

機材セットアップ

今回の目的は、先日購入した新フラットナーでの撮影です。以前の旧フラットナーから星像がかなり改善されているそうなので楽しみです。
  • 鏡筒: タカハシ FS-60CB (口径60mm, 焦点距離355mm) + FC/FSマルチフラットナー1.04で焦点距離370mm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D(HKIR改造)、ISO800、露光時間5分x41枚 、計3時間25分
  • ガイド: ASI178MC + 50mm Cマウントレンズ、PHD2 + BackyardEOSでガイド+ディザー撮影
  • フィルターサイトロン Quad BP フィルター(クアッド バンドパス フィルター、 以下QBP)
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 日時: 2019年2月5日、19時22分から
  • 月齢: 0.6(新月)


撮影

撮影は準備から含めて極めて順調。唯一大変だったのが、前回の撮影で使ったレデューサーからフラットナーへの切り替えだけです。最初は短い方の中間延長アダプターを入れて、回転アダプターを鏡筒バンドから外に出して試したのですが、やはりピントがでませんでした。なので、再び中間延長アダプターを外して、カメラは回転しにくいですが、地面に鏡筒を置いた状態であらかじめカメラの水平を出して、カメラ回転アダプターを固定してから赤道儀に取り付けました。

カメラ回転が面倒な代わりに、新型フラットナーには48mm径のQBPをきちんとねじ込んで取り付けることができました。さすが新デザインで、より汎用性が高まっているようです。

いつものようにSharpCapで極軸をとり、CGEMIIのワンスターアラインメントで初期アラインメントです。実は最近ツースターアラインメントさえ使っていません。極軸がきちんと取れていれば、ワンスターアラインメントで十分です。ただし、流石にワンスターアラインメントだけの自動導入だとズレも出てくるので、Carte du CielとAstroTortillaでplate solvingしながらの構図決め。これは極めて便利で、準備始めから30分くらいで撮影を始めることができました。

何枚か撮れていることを確認して、仮眠をとりました。仮眠のつもりがぐっすり寝てしまい、夜中12時頃目を覚したら外は結構すごい風。しかも天頂越えで最後の何枚かは流れてしまっていたので、すぐに片付け。あとはダーク50枚ほどの撮影を放置しながら、また朝まで寝ていました。


画像処理

次の日フラットとバイアスを50枚づつ撮影して、そのまま全てPixInsightで処理です。枚数も4-50枚と少ないのですぐに終わります。 ストレッチは前回同様、赤とびを抑えるためにArcsinhStretchは使わずにScreenTransferFunctionとHistgram Transformationで済ませました。

今回は彩度までPixInsightで出してみました。今回はColorSaturationツールを使いましたが、Curves TransformationツールでSアイコンを選んで彩度を上げる手もあるようです。でもまだまだ手探りで機能を理解しきっているとは言い難いです。もう少し時間をかけて探ります。あとは、いつも通りPhotoshopに送って仕上げです。


出来上がり画像

出来上がった画像は以下のようになります。

light_PCC_stretched_morfing_satiration_DBE_morph_ps2a

新月期で時期的にはよかったとはいえ、それでも光害地での宅撮りでこのクオリティーなら個人的には十分満足です。3時間以上の露光とはいえ、それでもやはりQBPの威力は大きいでしょう。ただ、少しづつQBPに対する不満も出てきました。列挙しておくと
  • 恒星のオレンジが出ない。
  • 赤が、紅に近い赤で、紫がかった赤や、ピンクっぽい赤は出にくい。(ただし、燃える木のピンクはうまく出るようです。)
  • 恒星が赤飛びしやすい。
  • 青い星雲は出にくい。
といったところでしょうか。やはり透過波長域からもわかるように緑系や濃い青、また黄色やオレンジ領域もどうも苦手なようです。これはある意味当たり前で、そのために露光時間を延ばすことができるというわけなので、贅沢な悩みと言えるかもしれません。画像処理で多少誤魔化さなければならないところも出てくるので、ここら辺は腕の見せ所となのでしょう。


Plate solving


話は変わりますが、実際の導入と構図極めの際にはplate solvingとしてAstro Tortillaを使っています。でもあまり高機能でなく、解析結果もいたってシンプルであまりわかりやすくはないのですが、撮影時にBackYardEOSを使っているのである意味仕方なく使っている面もあります。一方、同じplate solvingのソフトなのですが、もう少し高機能なAll Sky Plate Solverを使うと、画像に星雲の名前などを入れてくれたりします。

seegull


右の方で名前がはみ出してしまったりしているのは愛嬌として、今回はいろんな星雲星団がある領域だったので、少し広角を狙いました。フラットナーがちょうどいい画角だったというわけです。plate solvingを使ってこんな解析も楽しいのではないかと思います。

本当はAll Sky Plate Solverが、そのままダイレクトにBackYardEOSに対応してくれたらと思うのですが、とても惜しいです。あ、一応BackYardEOSで撮影して、そのファイルを読み込ませるだけならできます。でもその足で赤道儀にフィードバックして位置を合わせ直すので、何度もそれをやるのは面倒だというだけです。Astro TorttilaとBackYardEOSなら、全自動で赤道儀の位置の合わせ直しまで繰り返しでやってくれるのでものすごく楽なのです。


新フラットナーの実力

この画像処理と並行して、昨日の記事で四隅を切り出すプログラムを作ったのですが、その結果を示しておきます。昨日の記事では画像処理後のものを出したのですが、よく考えたら撮って出しJPEGから切り取ったものの方が周辺減光の様子などもわかるのでいいのかと思います。

これが撮って出しのJPG画像で

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms

ここから上下左右と真ん中250x250ドットを切り抜いています。

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms_4cut


旧フラットナーの四隅の星像がどうしても気になって、使う機会があまりなかったのですが、今回の新型のフラットナーははるかに良くなっています。スターベースで店員さんから聞いた時には、それでも色によって極わずか収差で歪むとのことでしたが、これを見る限り私的には全く気にならないレベルです。

 

 

バイアスノイズで少しやり残したことがあるので、試しておきます。


疑問: バイアスフレームをマスターバイアスで補正してみたら?

前回、バイアスフレームを何枚かスタックしてリードノイズを求めてみましたが、枚数のルートで減っていくはずのリードノイズが実際には理論通りに減っていきませんでした。すべてのバイアスフレームに載っている共通のノイズがあると考えられたからです。

それでは、多数のバイアスフレームをスタックして最後に残った共通のバイアスノイズ(PixInsight用語では「マスターバイアス」というそうです)で、各バイアスフレームを補正してから、改めて何枚もスタックしたらどうなるのでしょうか?面白そうなので試してみましょう。


予測

単純に考えるとこんな予想ができます。
  • 前回の測定で、最後まで残った全バアスフレームに共通にあるノイズがさっぴかれるので、理想的に枚数のルートに比例してノイズが少なくなっていく。
  • 最終的にはあるオフセット(一定の輝度という意味)を持った、のっぺりした画像になる。
この予想は、実際に試す前に頭だけで考えたものです。さて本当にそうなるのか、もし違ったとしても実際にどこまで迫れることやら。


測定

さて、実際に試してみましょう。

マスターバイアスは再現性もチェックするために、前回撮影したのとは別に新たに撮影し直しました。枚数ですが、できる限りノイズの少ないものということで、1024枚重ね(て平均し)たものにします。このマスターバイアスで各バイアスフレームを先に補正してから1024枚スタックします。それでもノイズは単に理想的なものを1024枚重ねたものより、(マスターバイアスが足し合わさった分)ルート2倍大きくなるはずです。その分だけ理想的な枚数のルートでノイズが改善されるというのからはずれてくると思います。(と、ここら辺のズレくらいまで実際の測定前に頭の中で考えました。)

また、バイアスフレームも新たに撮影しました。マスターバイアスを作った際の1024枚でもいいのかと思ったのですが、それだと同じものから同じものを引いただけになってしまい、本来残って欲しいノイズもゼロになってしまうかと思ったからです。


結果


今回も1、4、16、64、256、1024枚の比較です。青色の理想的な場合と、緑色のマスターバイアスで補正されたもの赤色のマスターバイアスで補正されていない(前回と同じ)ものを載せています。あと、わかりやすいように縦軸をlogスケールにしました。理想的だとグラフは直線になります。

03_readnoise_vs_gain_02_masterbias


考察

さて、結果を改めて見てみます。マスターバイアスで補正したものは明らかに理想的なラインに近づいています。1024枚の時は同じ程度の(相関のない)ランダムなノイズを2回足し合わせていることになるので、理想的な場合に比べてルート2倍程度大きくなるはずです。無相関なノイズは足しても引いても2乗和のルートになるので、ルート2倍ということです。1.4倍くらいのはずが、実際には1.8倍くらいなので、それでも理論値より少しだけ大きい値になっているようです。256枚のところにも少なからずその影響が出ています。計算上は1.25のルートなので、1.18倍ですが、実際には1.24倍です。さらにマスターバイアスの枚数を増やせば1024枚のところでももっと理想的なラインに近づいてくるでしょう。


少し補足です。まずは1枚重ねで単純にマスターバイアスを引くことを試したのですが、平均値が同じものを差っ引くことになってしまうので、ADU(輝度)が0付近に行ってしまい、その影響で標準偏差も0に近い小さな値になってしまうことがわかりました。そのため次のようにして解決しています。
  1. まずマスターバイアスの平均値の半分の輝度を持ち、標準偏差0の全くのっぺりした画像を、PixInsightのNewImageで作成します。
  2. それをマスターバイアスから引くことで、マスターバイアスの平均値を半分にしました。
  3. そうやって作ったマスターバイアスを、それぞれのバイアスフレームから引きます。
  4. その結果、平均値が輝度0より十分に大きな、マスターバイアスで補正されたバイアスフレームを作り出しました。
IMG_6322


この過程を経て初めて正しそうな結果を得ることができました。


もう一つ、実際に処理した画像を比べてみましょう。左上の奥のがマスターバイアス補正をしていないもの、右下の手前の画像がマスター補正をしたもの。ともに1024枚スタックした時の画像で、輝度は揃えてありますす。

IMG_6328

PCの画面を直接撮影したので、モアレが少し残ってしまっています。見にくいところもあると思うのですが、それでもマスターバイアスで補正をすると残っていた縦線が明らかに消えているのがよくわかると思います。



まとめ

今回わかったことまとめておきます。
  • 全バイアスフレームに載っている共通のコモンノイズが存在する。
  • そのノイズは、多数枚のバイアスフレームをスタックして作ったマスターバイアスを使って、補正することができる。ただし、オフセットごと補正してしまうことに注意。
  • バイアスコモンノイズをさっ引いたバイアスフレームはかなり理想的なランダムノイズに近い。
と言ったところでしょうか。

うーん、今回はかなり予想通りにいったので、結構満足です。予測できなかったところは、マスターバイアスで単純に補正すると平均値が0になってしまい、ばらつきも少なくでしまうことでした。これは通常の画像処理でいう、オフセットをあげて暗い部分を切ることに相当します。

というわけで、画像処理は嘘をつかないということがかなりわかってきました、、、と言いたいところなのですが、すでに少しダークノイズを試していて、こちらはなかなか一筋縄ではいかないみたいです。また余裕ができたらまとめます。


それはそうと、今回新たにバイアスファイルを2000枚ほども撮影してしまいました。すでに合計3000枚、あぷらなーとさんにだんだん迫ってきてしまいました。やばい、これはやばい。まっとうな道を行きたかったのに(笑)。




 

今回はASI294MC Proのバイアスフレームについて色々検証してみました。結構面白い結果が出たのでまとめておきます。


はじめに

昨日の昼間、めずらしくものすごい快晴。これはと思い、早速夜からカモメ星雲を撮影しようと準備をして、やっと撮影を始めたらわずか数枚で雲がもくもく。こんな日はむしゃくしゃするので、諦めてASI294MC Proの評価の続きです。

さて、大きな目的としては、前回の課題の一つダークノイズがどれくらい撮影に影響があるかですが、今回はその前々段階くらいにあたる、リードノイズのいろいろなテストです。実はあぷらなーとさんの解析に触発され、自分でももう少し泥臭い検証をしてみたくなりました。


バイアスフレーム一枚からのリードノイズの算出

あぷらなーとさんが自作ツールでバイアスフレームを解析し、見事メーカーが公表しているリードノイズと値が一致しました。私も前回の記事でSharpCapのSensor Analysis機能を使うことで、メーカー値と同じ値を確認したのですが、もう少し自由に測定できないか試したくなりました。それでも独自ツールを作るのは大変なので、今回はPixInsightの「ImageInspection」の「Statistics」を使いってリードノイズを求めたいと思います。

まず、SharpCapを使い、ASI294MC Proのバイアスフレームを撮影します。条件は
  • モード: RAW16 (16bit)
  • 露光時間: 0.0032ms
  • Gain: 121
  • Brightness(オフセット): 20
  • ホワイトバランス: Red 50, Blue 50
とします。それをPixInsightで読み込み、Statisticsツールを起動し、開いた画像を選択します。

IMG_6308


Statisticsツールでは「14bit [0,16383]」を選び「Normalized」にチェックを入れます。その時のavgDevの値を読みます。この場合、2.1でした。単位はADUなので、eに変換するためにコンバージョンファクターを使います。前回の測定から

IMG_6283

ゲイン121のところ見ると、0.88とあります。先ほどの2.1 [ADU]にこの0.88 [e/ADU]をかけると1.85 [e]となります。SharpCapで測定した値が1.86 [e]なのでほぼ正しい値が出ているようです。

ちなみにコンバージョンファクターがわからない時は、あぷらなーとさんのブログの記事でも紹介されていたように、ユニティーゲイン (UG、eとADUが同じになるゲインのこと、すなわちコンバージョンファクターが1ということ)から求めても同じことです。メーカーによるとUGが117とのことです。ゲイン121の時とは(117-121)/10=-0.4dB違うので、10^(-0.4/20) = 0.95となります。コンバージョンファクターも0.95倍すればいいので0.95 [e/ADU]となります。SharpCapの実測の0.88 [e/ADU]とは少し違いますが、UGをメーカー値としたためこれくらいのズレはあり得るでしょう。UGが正しいとしてリードノイズを求めると、2.1 [ADU] x 0.95 [e/ADU] = 2.00 [e]となりますが、それでもそれほどのズレではないです。


ちょっと脱線します。SharpCapで測定したデータですが、実際に測定しているところは

Gain Value e/ADU Read Noise (e) Full Well (e) Relative Gain Rel. Gain (db) Dynamic Range (Stops)
0 3.99686 7.80246 65484.6 1 0 13.0349
59 2.04740 6.86512 33544.6 1.95217 5.81034 12.2545
61 1.99842 6.83844 32742.1 2.00001 6.02064 12.2252
100 1.28103 6.34598 20988.4 3.12004 9.88322 11.6915
119 1.03257 6.11416 16917.6 3.87080 11.7560 11.4341
121 0.88019 1.85936 14421.0 4.54092 13.1429 12.9211
200 0.35776 1.59308 5861.64 11.1717 20.9624 11.8453
300 0.11418 1.41354 1870.75 35.0044 30.8825 10.3701
400 0.03624 1.35693 593.803 110.280 40.8499 8.77350
500 0.01171 1.32912 191.794 341.432 50.6661 7.17294

だけで、あとは全て計算値です。このことは、例えばFull Wellの値とRelative Gainをかけてみると、全てのゲインで65484.6(上の表は小さな桁を丸めてあるので少しずれます。)と同じ値になり、さらにこれにゲイン0の時のe/ADUの値3.996863906をかけるとぴったりと14bitで整数値の16384になることなどでわかります。Full Wellは本来サチルくらいの光量をカメラに入れて測定から求めるべきなのですが、SharpCapは14bitの最大値をサチった値と仮定して簡易的に求めていることもわかります。ZWOのメーカー値もどうやら同じように測定されているみたいなので、これはこれでありなのかもしれません。


さて、本題に戻ります。一例としてゲイン120の場合で計算してみましたが、他のゲインはどうでしょうか?他のゲインの値も、実際に撮影した画像からPixInsightを使ってリードノイズの値を求めてみたので、グラフにしてみます。赤がSharpCapのSensor Analysis機能で測定した線青がPixInsightを使って一枚一枚マニュアルで求めた線です。

03_readnoise_vs_gain1


グラフを見ても、SharpCapとマニュアル測定の差はほとんど誤差の範囲だとわかります。

というわけで、PixInsightを使うことで、リードノイズの値を画像からいつでも求めることができるという手法を手に入れたということになります。



バイアス画像を多数枚スタックするとどうなるか?

とりあえず、簡単にリードノイズを測定することができるようになったので、色々やってみたいと思います。

まずは、これらバイアスフレームを多数枚スタックするとどうなるのでしょうか?

スタックするとばらつきが平均化されるので、もしバイアスフレームに存在するノイズが完全にランダムなら、理想的には枚数のルートに比例してノイズが小さくなっていくはずです。

2、4、16、256、1024枚と、枚数を増やして、上と同様にPixInsightで実測したリードノイズの値を求めてみました。その結果をグラフに示します。理想の場合(青線)と、実際にスタックした場合(赤線)での比較になります。スタックはPixInsightのIntegration機能を使いました。蛇足になりますが、Macbook Proでスタックした場合4144x2822の16bitのfits画像1024枚でスタック時間は7分くらいでした。これくらいなら待つことができます。



03_readnoise_vs_gain2


グラフを見るとわかりますが、理想的なノイズの減り方に比べて、実測の方が明らかにノイズの減り具合が悪いです。これはなぜなのでしょうか?


実際のスタックしたバイアス画像を見比べてみる

この謎を解決するために、実際にスタックした画像を見比べてみましょう。まずはこちら、

IMG_6310


左上の奥の画像から1、4、16枚、最後の右下手前の画像が256枚重ねたものです。輝度は1枚ときの画像に全て合わせているので、直接見比べることができます。ぱっと見てわかるのは、枚数が多くなると明らかにノイズが滑らかになっていることでしょうか。これを見る限りは理想的にはどんどんノイズ(ばらつき具合)は少なくなっていってもいいはずです。


では次に、同じ画像で輝度を256枚重ねた画像に合わせてみましょう。

IMG_6312


前は綺麗に見えていた256枚画像も、実は完全にランダムなノイズではないことがわかります。縦線みたいなものが残っています。逆に1枚の時には横線が目立っています。これは横線に関してはランダムに近いノイズで、枚数を重ねることで滑らかになっていくのですが、それでも全枚数に共通に存在する縦縞のノイズが残ってしまい、それがグラフでの理想値との差を生むと推測されます。実際に1枚重ねだけの画像を何枚も見比べてみると、横線がてんでバラバラに入っていることがわかります。

ここからわかることは、
  • 多数のバイアスフレームを使うのは、バイアスフレームのランダムに存在するノイズを減少させるため。
  • バイアスフレームでライトフレームを補正するのは、スタックしたバイアスでさえも残った、バイアスフレーム全てが持つ共通のノイズを除くため。
ということが言えるのではと思います。

まとめ


はあ、ババーッとまとめてさすがに疲れたので、今日はこれくらいにします。まだまだ面白いことはあるのですが、さすがに書くスピードの方が追いつきません。さて、今日のまとめです。
  • 単体のバイアスフレームから、リードノイズを見積もることができる。
  • SharpCapも全部のゲインで全部の測定をしているわけでなく、一部を測定して、あとは計算で出している。
  • バイアスフレームをスタックすると、ノイズは減っていくくが、無限に小さくなるわけではない。
  • バイアスフレーム全てに共通するノイズが存在し、それらはバイアス補正でライトフレームから差っ引くことができる。
といったところでしょうか。

ちなみに、あぷらなーとさんはバイアス解析だけ1万枚も撮影するというような、言わずと知れた変な人です。私はたかだか千枚ほどしか撮影していないので、あぷらなーとさんに比べて10分の1くらいしか変でないということがわかってもらえると思います。






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