ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 調整・改造

(先週の)土曜の昼間、少し時間を取ることができたので、ずっと放っておいたVISACの調整をしてみることにしました。

まず前提条件です。以前8月の暑い時にVISACで撮影した星像です。あからさまに三角になっています。

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ブログの記事にはしていませんが、この後にも再度星像が三角になる事を試しているので、再現性もありです。これを直したいということです。

いろいろ調べてみると、どうも
  • 主鏡の固定ネジを締めすぎているために、主鏡が歪んでしまっているのが原因
という説と
という意見が主流のようです。


VISACの分解開始と清掃

まずは中を見てみようと、筒側部分にあるネジを3本外します。さらにアリガタを取り付けているネジ2本の計5本を外すと、主鏡部分が筒から簡単に外れます。

寒いところから暖かい部屋の中に持ってきたので、反射面が少し曇っていたためにあからさまに気づいたのですが、恐ろしく汚いです。

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最初曇っていることにさえ気づいていなかったので、なんじゃこりゃと思ったのですが、しばらく時間が経つと曇りが消え、一見綺麗に見えるようになりましたが、流石にレンズクリーナーで清掃しました。

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かなり綺麗になったのですが、それでもやっぱり完全には汚れを取りきれません。とりあえず今回ここは妥協します。


3つの爪をいじる

爪が3つ見えるのですが、これはどうやら固定に使っているというよりは落下防止のようです。歪みを引き起こしいてるネジは別にあるという話ですが、今回はそこまで達していません。慎重を期すために、まずはこの3つの爪だけを考えます。

と、ここで気づいたのですが、どうやら他のVC200Lには主鏡押さえ用のリングが入っているようです。私の個体にはありませんでした。古いモデルなので最初からついていなかったのか、それとも以前のオーナーがとってしまったのか定かではありません。でも現行モデルにはついているということはやはりあった方がいいのでしょう。時間がある時に自作することにします。とりあえず今回はリングのことは今度の課題として残しておきます。

爪自身が歪みを作っている可能性も否定できないので、まずはどれくらい主鏡を押さえつけているか調べてみました。ところが、ネジがゆるゆるでほとんど締まっていません。本当に万が一の落下を防止するような感じです。もう一つの可能性が、爪の形自身が光を遮って三角に見せている可能性があるかもということです。なので今回2つのことを試してみました。
  • 一つは爪をひとつ外してみます。これは光を遮っているならば3角の形が変わるだろうと推測したからです。
  • もう一つは、残り2つの爪のネジをかなりきつく締めてみることです。これで主鏡が歪むなら星像が変わるはずです。
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外した爪です。L時型でゴムでできています。
ネジが当たるところに金属の板を被せてあります。

ところが2つのことを一度にやったのはやりすぎでした。夜になって見てみた星像の結果が下の写真になります。

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これを見ると点像から全くずれてしまったことがわかります。


すぐに元に戻すが三角にならない

流石に焦ってしまい、すぐに再現性を見るために爪のネジの締め具合を元のゆるゆるに戻し、外していた爪も元に戻しました。光軸が少しずれた可能性もあり、実際内外像を見てもずれているのがわかったので、星像を見ながら主鏡側の押し引きネジを調整し光軸を合わせます。なんとか元に戻ったように見えます。

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ところがここでもう一つの失敗に気づきました。以前撮影した三角の星像は確認していたので、今回は星像を見る前に昼間に分解をしてしまったのです。光軸を合わせても、星像が丸になってしまうのです。温度が高い方が主鏡が膨張するので、夏の方が三角になりやすいという記述を思い出しました。

ここで3つの可能性が出ました。
  1. 冬なので温度が低く、主鏡の歪みが少なくなり星像が丸くなった。
  2. 光軸調整を失敗して点像が出なくなり、星像が肥大化してしまい三角が出なくなった。
  3. この日はシンチレーションがすごく悪かったので、そもそも短時間でもブレてしまって星像が丸くなってしまう。
というものです。以前撮影したM57の星像が残っているので、今の状態で撮影したものと比較すればわかるのですが、冬のこの時間ではM57はとっくに沈んでしまっています。この時期でもまだ早い時間だとM57は見えるので、できれば来年になる前に、晴れてシンチレーションがいい時に一度試したいと思います。


もう一つの可能性

ここでもう一つ、もしかしたらということに気づきました。まだ全然仮定の段階ですが、もしかしたら星像が三角になるのは振動のせいかもしれないということです。飛騨コスモスの時も高度の低いM57を見たときは星像は丸で、天頂付近のM1を見た時には三角になったのです。夏にM57で星像が三角になったときは暑い上に天頂付近での撮影。今回トラベジウムを見ているときは寒い上にまだ低空です。しかも赤道儀を叩いても鏡筒を叩いても、コスモス天文台の時ほどではないですが、星像が揺れます。でも結局三角の星像を再現することができなかったので結論は出ず。やはりまずはM57で星像が肥大化していないか一度比較してみることにします。

でもなんでこんなことを思ったかというと、分解した際に主教の反射面をかなり注意深く見たのですが、少なくとも私の目には歪みのようなものが全く見えなかったのです。主鏡歪み説が本当かどうかは、今のところなんの証拠もありません。出来るだけ他の情報に惑わされずに、自分で納得しながらもう少し客観的に検証を進めていこうと思います。

あともうひとつ、振動説の可能性をなんで思ったかというと、筒がペラペラすぎるからです。主鏡を取り外す時やはめる時に力を入れると簡単に曲がってしまいそうなほどペラペラです。軽いのはいいのですがもう少し強度があってもいいと思いました。なので、取り外しの回数をどうしても減らしたくて、2つのことを一度にやってしまったのが今回の敗因の一つでした。取り外しは何度か試して多少慣れたので、次回はもう少し分解回数を増やして慎重に事を進めたいと思います。


トラペジウムで試写

こんなどうしようもない状況ですが、一応トラペジウムで試写をしてみました。
  1. 露光時間: 0.1秒、gain: 570(max)、撮影枚数500枚
  2. 露光時間: 1秒、gain: 370(maxの10分の1)、撮影枚数50枚
  3. 露光時間: 10秒、gain: 170(maxの100分の1)、撮影枚数50枚
でもこの日は結局シンチレーションが悪すぎました。下のGIFアニメは0.1秒露光の動画の最初の100コマです。トラペジウムの間の距離の半分くらいはシンチレーションで動いてしまっています。
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0.1秒露光の星像の動き。

でもこの0.1秒露光をAutoStakart!3で500枚中の上位250枚コンポジットした場合、それほど壊滅的にはならなくて下のようにそこそこ綺麗になってしまいます。
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0.1秒露光を250枚コンポジットした画像。

さらに10秒露光で50枚中上位25枚コンポジットしたものが、下のようになります。シンチレーションのせいと思いますが星像の肥大が見えます。
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10秒露光を25枚コンポジットした画像。


グダグダだけど、一応まとめ

上記結果と、以前星像がどこまで小さくなるか検討した時の議論



および、今年の3月にMEADEの25cmシュミカセでトラペジウムの分解能を測定した記事の結果を合わせると、



やはり今回は短時間露光と長時間露光で星像の肥大が認められるので、シンチレーションが悪かったと結論づけることができると思います。そのため分解能を議論するほどの結果は得られなかったと言えると思います。

もう一つ、今更ながらVC200Lの三角星像の海外記事を読み直していました。この記事の結論としては、
  • きちんと温度順応をしてから
  • スパイダーを避けるマスクを作ってから
  • 光軸調整をきちんとやってみると
三角星像は改善したという事です。今回確かに、VC200Lを外に出してかなり放っておいてから光軸調整をしたので三角が無くなった可能性も否定できません。もし本当にこれが正しいならばもうこれ以上することはなくなります

いろんな可能性がありすぎてまだ迷走状態ですが、少なくとも
  • 現在の星像は丸である
  • 周辺まで含めてコマ収差などの星像の歪みは見られない
  • 光軸がまだずれていて星像が甘い可能性もあるが、MEADEの中心像くらいの分解能は出ている
ということは言えます。MEADEはコマ収差と片ボケがあったので撮影使うには厳しかったのですが、これに比べたらVISACはすでにかなりマシで、とりあえずもう使い始めてもいいのかもしれません。


さて、飛騨コスモス天文台の鏡筒ですが、撮影レベルで使えるかどうかの検証の続きです。今日は前回と違って時間はたっぷりあったので、色々試しました。


飛騨コスモス天文台の機材

まずは赤道儀と鏡筒ですが、改めて見てもどうもよく分かりません。赤道儀は少なくともタカハシ製で、最初NJPかと思っていたのですが、シリアルナンバーを見るとどうやら1978年製。このころはまだTS式システム160J赤道儀/J型赤道儀というシステムで販売されていたものらしくて、どうやらJPとかNJPとか単体で呼ばれる前のものだったのかもしれません。

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鏡筒についてですが、ちょうど日曜に富山県天文学会の忘年会があったので、そこで昔のことを詳しい方達に聞いてみました。焦点距離3000mmというのと口径250mmという情報から、やはりタカハシのミューロンの初期のものではないかとのことでした。でもやっぱりWebで調べても形が所々違うんですよね。

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色は赤道儀と同じです。昔のタカハシカラーなのか、もしかしたら後から赤道儀と鏡筒を合わせて別の色で塗っている可能性もあります。とりあえず機材に関してはあまり進展なしです。


極軸調整

まずは簡単なところからはじめす。いつものようにSharpCapでの極望です。ところがここの機材、あまりにまとまりすぎていてCMOSカメラを取り付けるところが全然ありません。いろいろ探した末、モーターのカバーを取り付けているネジを一本外して、そこに無理やりアルカスイスプレートを固定し、そこにいつものアルカスイスクランプ付きのCMOSカメラを固定しました。

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実際に現在の誤差を測定してみると、なんと20分角以上もあります。これでは流石に前回の撮影中に星像がどんどんずれていったはずです。

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とりあえず写真に写っている水平調整と、六角レンチを指している垂直方向の調整で、1分角くらいの精度まで合わせこみました。

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ただしカメラがASI178MCで、そこに焦点距離50mmのCマウントレンズをつけてあるだけなので、精度は不十分で、誤差を考えると1分角は出ていないはずで、せいぜい数分角程度かと思います。それでもずれはこれまでの10分の1程度にはなったはずなので、ノータッチガイドでもある程度の時間撮影を続けることができるはずです。


光軸調整

光軸調整の方は厄介です。とにかく鏡筒が普段触っているものより大きく、高いところにあるので扱いにくいです。まずは鏡筒を水平近くに持っていって、地平線上に見えるくらいの星を入れて、副鏡に手が届くようにしてから光軸をいじってみました。副鏡のネジは4つ。自由度はpitchとyawに分離できるので、基本的に触るのは2つのネジだけです。それぞれの自由度でどちらのネジをいじるかを決めて、もしネジを全部締めこんでしまった場合や緩めすぎになる場合は、反対側のもう一方のネジで調整するようにします。

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もともと恒星が明らかに尾を引いていたので、それを消すように調整します。ただし、中心で合わせても四隅ではコマ収差のためにどうしても尾を引いてしまうようです。カセグレン式のこの鏡筒は眼視がメインと思われるので、致し方ないです。そのうちにコマ補正を試せればと思います。


ASCOMでの動作

光軸調整後、後々のガイドなどのことを考えて自分のPCで赤道儀を操作できるか試してみました。もともとドームにあるラップトップPCにはステラナビゲーターが入っていて、LX200モードで自動導入が可能になっているようです。なので自分のPCにもLX200用のASCOMドライバーを入れて、そのドライバーを介してCartes du Cielから操作してみようと思いました。

まず、接続自身は問題なくできます。Cartes du Cielのカーソルを押すと、その方向に赤道儀が動いているのが分かります。ところが、同期だとか、導入をしようとすると、赤道儀から現在地がどこなのかの反応がないと怒られてしまいます。赤経赤緯の読み取り値を見てみると、数値は両方とも出ていますが、片方は緑色、もう片方は赤色でどうも片方だけうまく読み取れていないようです。時間ももったいなかったので、この時点で諦めて、ドームにもともとあったPCでの接続に戻して再び自動導入をできるようにしました。Cartes du Ciel以外のソフトを使う手もあるので、ドライバーがうまく動いていないのか、プラネタリウムソフトが何か悪いのか、パラメーターが悪いのか、次回の課題です。

この日はガイドは諦めるとして、ここでM57を撮影してみました。30秒露光なのでガイドなどは必要ありません。こと座の高度はだいぶん下がってきていて、山のすぐ上くらいにあります。なので枚数は全然稼げませんでしたが、前回は10秒露光、今回は30秒露光でほぼ同じような星像の大きさになったので、少しは光軸調整の効果が出ているようです。下の写真はdebayerだけしてオートストレッチをかけたものをJPEGにしたものです。星像は変な形はしていませんが、分解能はまだまだでVISACのように点像とは言い難いです。カセグレン式は中心像は結構いいと思っていたのですが、それほどでもないのかもしれません。

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M1かに星雲の撮影

さて、問題はここからです。M57も沈んでしまったので、今日のメインのM1、かに星雲の撮影を試みることにしました。M57での星像を見るに、分解能はそれほど期待できないかもしれません。M1はこの時間かなり高い高度にきているので、鏡筒を真上近くに向けます。ところがM1を導入してみてびっくり。全ての星が全然丸くありません。どちらかというと三角形です。

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拡大して見てみると星が三角になってしまっています。

うん?鏡筒を反対側に持ってきたので光軸がずれたか?と、気を取りなおしてまた鏡筒を水平近くに持ってきて光軸調整をしようとしますが、まだ何も触っていないのに星像がまともな丸になっています。なんで?とりあえず何も触らずにまた上の方のM1に戻すとやはり三角っぽい形です。この時点で、これは光軸のずれのせいではないと思い直し、落ち着いて考えてみました。

星像をよくみていると、どうも形が時系列で変わっています。時には丸のこともあれば、時には三角、さらには細長い時もあります。あー、と思いおもむろにいろいろなところを揺らしてみました。するとわかったのは、
  • ピラーがかなり、目で見てわかるくらいに簡単に揺れること。
  • 鏡筒とウェイトでダンベルのようになっていて、それが赤道儀の赤経周りの回転モードで励起されていること。
これらの2つのモードが励起されると、ちょうど星像が三角形のように撮影されるということです。しかもかなりQ値が高いようで、なかなか減衰しません。半減期は5秒とかのオーダーでしょうか。周波数も真面目に測っていませんが、数10Hzはありそうです。下の写真はピラーと鏡筒を叩いた時の同じM1の周りを0.25秒の露光時間で撮影したものです。2つのモードが励起されて星像が円を描いているのがわかります。

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コンと叩いただけでここまで揺れるのは流石にいただけないです。地面や風の揺れだけで星像がおかしくなるのも納得です。何らかのダンパーが必要になるのかと思います。

さて今回の記事はここまでで、次回は撮影したM57とM1を処理したものです。でもやはり像が甘いのであまり期待できません。

 

一つ気にになっていることがありました。この間購入したPENTRAXのTAKUMAR LENS、言わずとしれたオールドレンズです。このようなオールドレンズにはアトムレンズとかトリウムレンズなどとも呼ばれ、性能の向上を図ったレンズの可能性があります。前回の撮影で思ったよりも収差も少なかったので、もしかしたらアトムレンズなのではと思い調べてみました。

 


アトムレンズとは

アトムレンズとはレンズ基材に微量ながらも放射性物質である酸化トリウムを混ぜ、高屈折かつ低分散を実現させ、現在のフローライトレンズと同じような効果を狙ったものです。屈折率が高いとその分同じ厚さでもより光を曲げることができるため、レンズを薄くすることができその分湾曲を防ぐことなどができるというわけです。

ただ一つ、欠点があって、古いアトムレンズは覗いてみると黄変とか言って、劣化で黄色く見えるなどの特徴があるそうです。この黄変は製作後数年で出てくるそうで、アトムレンズが生きのこらなかった理由の一つが、黄変が短期間で出てきたことがあると言われているようです。黄変は屈折率などには関係ないので、ホワイトバランスが崩れることや、透過率が下がるなどの弊害はありますが、星撮りでは後の画像処理が入るために、それほど大きな問題にはならないと考えられます。


測定対象としたレンズ

今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4とは別に、NIKONのオールドレンズを50mm/f1.4と35mm/f1.4の2本持っていて、こちらもアトムレンズの可能性があります。実際のところ、どれがアトムレンズに相当するのかよくわからなかったので、今回この4本を市販の簡易放射線カウンターで測定してみることにしました。

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今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4

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昔手に入れたNIKKOR50mm/f1.4と35mm/f1.4

 
黄変の具合

測定の前に、黄変の具合を見てみます。左上からNIKKOR 35mm f.1.4、右上がNIKKOR50mm/f1.4、左下がPENTAX 75mm f/4.5、右下がPENTAX 200mm f/4になります。
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上のNIKKOR2本は目で見ると明らかに黄色くなっています。特に35mmの方はかなりはっきりわかる黄変です。50mmのほうは、写真で見るとわかりにくくなってしまっていますが、目で見ると誤差の範囲でなく黄色いです。今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4の2本は目で見る限り黄変のような兆候は見られませんでした。




実際の放射線量の測定

実際の測定結果は以下のようになります。上がレンズのフロント側、下がレンズのカメラ側になります。左上からNIKKOR 35mm f.1.4、右上がNIKKOR50mm/f1.4、左下がPENTAX 75mm f/4.5、右下がPENTAX 200mm f/4です。出来るだけセンサー位置をレンズ中心になるようにおきました。木の棒が置いてあるのはレンズ面にセンサーが触れるのを防ぐためです。

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レンズのフロント側。

back
レンズのバック側(カメラ側)

まずは今回購入したPENTAXの2本ですが、レンズの上に乗せて測ってみても表示は0.1μSv/h程度と、あまり普通の場所での値と変わりません。NIKKORの50mmも同様です。ところが、NIKKORの35mmに近づけた途端に0.3とかに跳ね上がりました。レンズの前で測ると最終的に2μSv/h程度、レンズの裏に至っては4μSv/h以上にまでなりました。

日本の年間平均自然被曝量が2mSv程度とのことなので、500時間身につけていて自然被曝量程度になります。通常使用では全く問題のないレベルです。


アトムレンズの写り具合

昔、この35mmのアトムレンズを使って、ASI294MCを取り付けて固定撮影でオリオン座付近を撮ったことがあります。



フォーサーズサイズのセンサーでも星像は4方向に伸びていっているのがわかります。今回手に入れたPENTAXの75mmの方が、フルサイズでも星像がかなりマシなので、アトムレンズが必ずしも絶対的に性能がいいというわけではなく、あくまで相対的には性能のいいレンズが作れたということでしょうか。しゃんすがあれば今一度晴れた時に試して見たいと思います。


まとめ

アトムレンズの実測をしているページは探すとすぐにいくつも見つかります。それでも、NIKKORレンズにはアトムレンズは存在しないのではというページもあったり、今回の35mm f1.4がアトムレンズだという記事はありましたが、実測している記事は私が探した範囲では見つけることができませんでした。

アトムレンズは黄変だけで判断するのも難しそうです。NIKKORの35mmと50mmを比較すると明らかな差はわかりますが、単体で50mmだけを見ても黄色く見えるので、迷うかと思います。

PENAXのTAKUMARも、収差が少ないのでもしかしたらアトムレンズかもと思っていたのですが、完全に気のせいでした。やはりきちんと測定などして確かめることが大事です。今回自分で測定し色々調べてみて、実際にいつの年代のどこのメーカーのレンズがアトムレンズの可能性が高いのか、どれくらいの放射線量なのか、どのくらいの時間使っていると危険なのかの目安など、実感として納得しながらわかることが多かったです。こうやってみるとアトムレンズはかなり限られていて、古いレンズで黄変していても、アトムレンズは意外に少ないのかもしれません。

あ、それでもやはりあぷらなーとさんは持っていて、しかもきちんと実測してました。



最初の方でアトムレンズは星撮りに問題にならないと書きましたが、あぷらなーとさんによると、放射線にセンサーが反応してノイズになるとのことです。さすがあぷらなーとさんの解析です。私はまだまだこの域には程遠いです。


朝からずっと曇りだった昨日、夜中に短時間ですが東側がひらけてオリオン座がものすごくきれいに見えていたので、電視観望関連で少しやってみたかったテストを敢行しました。題して「格安電視観望」です。


目的とセットアップ

今回の目的は、電視観望の裾野を広げるために最低限の機材でどこまで値段を安くできるかというものです。とりあえず試してみて、その後のアップグレードにつなげる最初のステップという意味もあります。

今回、3つの方法でオリオン大星雲を見比べをします。
  1. いつものFS-60CBにASI294MC Pro(常温で駆動)をつけて、光害防止フィルターのQBPは無し 、AZ-GTiにのせて。
  2. Celestronの格安持ち運び望遠鏡トラベルスコープ 70に ASI294MCをつけて、光害防止フィルターのQBPは無し 、AZ-GTiにのせて。
  3. CanonのカメラレンズEF 55-200/4.5-5.6 II USMにアダプターを介してASI224MCをつけてたものを、AZ-GTiもしくは普通の三脚に載せて。
です。 


1. いつものタカハシFS-60CB

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まずはいつものセットアップで見てみます。焦点距離は355mmに旧フラットナーをつけて合成焦点距離374mm。比較しやすいようにQBPは外しています。露光時間は1.6秒、LiveStackで10フレーム程度なので、総露光時間は15秒程度です。画像はいつもやっているように見栄えがするようにあぶり出します。 これを比較の基準とします。

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露光時間は1.6秒、ゲインは最大の570。スタック回数が少ないので少しノイズが残っていますが、さすがに明るいM42だけあって、綺麗に見えています。フラットナーが旧タイプなので周辺は少し放射状に広がっています。中心の星像はかなりシャープですが、カメラのゲインが大きいため明るい恒星はサチってしまっています。

2. トラベルスコープ70

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 次は入門用の鏡筒です。鏡筒としての性能は求めず、焦点距離が400mmと短いこと、現行機種で安価で入手しやすいことが今回選択肢に選んだ理由です。アマゾンで収納カバン付きで実売1万円を切っています。カメラはASI294MCとしましたが、次との比較のためにASI224MCにしたほうがよかったかもしれません。ASI224を使うとまだ焦点距離が長すぎることが多いので、安価なレデューサがあったほうがいいのですが、今回はそこまで気が回らなくて294を使ってしまいました。

実際にはアイピース口にカメラを取り付けると、接眼部を伸ばし切ってもまだ短くてピントが合いません。私は31.7mm用の延長筒をつけましたが、なければ付属の45度正立プリズムを使ってもいいかもしれません。

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1と比べたら実売で10分の1程度の安価な鏡筒ですが、これをみる限り十分に見えています。電視観望では鏡筒の性能の差が出にくいと考えて良さそうです。ただし、よく見てみると恒星の周りにハロが出ていることと、星像が1の時ほどシャープでなく、ボテっとしています。また、そのせいかサチっているのが目立ちやすくなっています。昔、トラベルスコープ にASI224MCをつけてM57で試したことがあります。技術的にはまだ稚拙だったところもありますが、その時にも色は出ていたので、評価は特に変わらず、電視観望なら十分に使うことができるというものです。


キットレンズクラスでの電視観望

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今回の一番の目的です。このEF 55-200/4.5-5.6 II USMというレンズは入門用のレンズで、以前EOS Kiss Digital Nのキットレンズとして付属していたものらしいです。あまり記憶がないのですが、多分キタムラで数千円で購入しました。

かなりの数が出ているはずの一眼レフカメラ用のキットレンズクラスでどこまで電視観望ができるかを試します。最長で200mmの焦点距離なのですが、今回200mmにするとASIカメラにCanonレンズを接続するアダプターを最長まで伸ばしても焦点を合わせることができませんでした。なので、焦点距離は150mm程度で試しています。ASI224MCはASI294MCに比べるとセンサーが一辺で4分の1、面積だと16分の1になるので、150mmの焦点距離である程度近いくらいの画角になります。露光時間は同じ1.6秒、10枚スタックですが、ゲイン最大だとノイズが目立ったので、224の最大ゲインの600から2段階ほど落として500にしてあります。

結果はというと、以下のようになります。

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どうでしょうか?まず、カメラが1、2で使ったASI294とは違うため解像度が落ちていて、PCの画面の解像度に負けています。そのためノイジーに見えてしまっています。またF値が少し低いので、多少暗く、それもノイズ増加につながっているのかと思います。でもそれはLiveStackでもう少し待っていればいいだけの話で、それほど問題にはならないはずです。それよりも、やはり星像がより大きく出てしまっていて、サチっているのがよくわかります。これはレンズのせいともあるかと思います、実際にはカメラのせいもあるのかと思います。ASI224MCは12bitでダイナミックレンジがASI294と比べて小さく、飽和容量も4分の1とサチりに対して耐性が低いです。でも今回は、安価なということと、キットレンズで手に入る焦点距離で試すために、あえてこちらを使いました。

でも、そういったことを知らなくて、これはこれで単体で見れば、M42などの明るい星雲ならキットレンズクラスで十分見栄えのする電視観望になるのかと思います。

最後に試したのが、架台をAZ-GTiでなくて、普通のカメラ三脚に載せて追尾なしで電視観望をした時です。条件は同じ露光時間1.6秒、10枚スタックです。結果は以下のようになります。

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自動追尾はできないのですが、SharpCapのLiveStackでのAlignment機能が秀逸で、星の位置を認識して縦横、回転だけでなく、画面を歪ませてスタック画像を重ね合わせてくれます。なので星だけ見るとずれは全然ありません。その代わりに、ちょっとわかりにくいですが撮影画面の右側に黒い帯が見えることと、ノイズが筋のように流れて見えます。これが追尾しなかったせいでずれていった跡です。15秒でこれくらいなので、5分程度なら追尾なしでも十分に持たせられることがわかります。

このことは通常のカメラ三脚だけでも電視観望は十分可能だということを示しています。ただし、導入は慣れないと結構苦労します。

AZ-GTiは安価で眼視や電視観望では十分な性能の自動導入経緯台ですが、電視観望にはイチオシです。自動導入がついている普通の赤道儀でもいいですが、自動導入はなくても自動追尾だけでも電視観望は可能です。でもここで示したのはAZ-GTiや、赤道儀などを持っていなくても、まずはカメラ三脚でもいいので試してみることも十分できるということです。その際は、とりあえずは星が流れていってもいいので少し時間をかけてSharpCapの機能を試すことと、暗いものをあぶり出すテクニックを練習してから実際の星雲などを入れるのがいいのかと思います。

もう少し試そうとしたのですが、ここで雲がかかってきてしまい断念。今度はもう少し小さい天体をデジタル上でトリミングズームしてみて比較してみたいと思います。


まとめ

今回はどこまで安価に電視観望を試すことかを目的として試してみました。CMOSカメラASI224MCが税込で3万数千円、カメラレンズとの接続アダプターが6千円ちょっと、一眼レフカメラを持っていれば手持ちの200mm程度のレンズを使ってみる、架台はカメラ三脚、PCもあれば手持ちのもの。それでも三脚にどう固定するかとかいう問題があります。私はカメラ背面についている1/4インチネジ穴を使って適当なL字金具を固定して三脚の自由雲台に取り付けています。

電視観望をまずは試して見たい方は、上記のセットアップを参考に各自で工夫してみて、面白ければ次の便利な自動導入だとか、センサー面積の広いカメラだとかに手を出すというのも一つのアップグレードの道だと思います。

今月号(2019年10月号)の天文ガイドに天の川沿いの赤い星雲ガイドがありました。こうやって実写とともに、位置情報まで含めて一覧で見どころを示してくれているのは今まであまりなかったのでありがたいです。これに沿ってどれくらい見えるのか電視観望でいくつかみてみました。条件は前回の記事と同じ機器で、QBPをはめてです。


QBPでの電視観望でここまで見える

まずは、前回の記事のテストでも試した天文ガイドのページに沿って、北アメリカ星雲です。何枚か撮ったうちの一つです。

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位置はサドルより下流でも、さすがに天文ガイドの記事のトップに来るくらいメジャーで明るい星雲です。電視観望でも十分見栄えがします。

次は白鳥座のガンマ星、二等星のサドルがある付近です。

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天文ガイドでは星3つで「とにかく明るい」と書いてある場所で、電視観望でもその場で結構楽に見ることができてます。

調子に乗って、サドルから少しデネブ方向に移動してみました。天文ガイドには「3つの連なった青い星雲」とありますが、写真の右の少し下くらいのところです。残念ながら、それらしい青いものは見えません。もしかしたらQBPは青を出すのが苦手なので、そのせいかもしれません。

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ここらへんで、やはりかなり明るいものでないと厳しいといことがわかってきました。

次は天文ガイドには書かれていませんでしたが、やはり白鳥座にある三日月星雲です。

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こちらも形はきちんとでているようです。少し拡大してあります。

同様に網状星雲です。網状星雲が電視観望でこんなに綺麗に見えたことは私は初めてです。QBPの効果絶大かと思います。周辺減光がひどいので、フラット補正をしたほうがより見栄えするのかもしれません。

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ずーっと飛んで胎児星雲です。こちらは天文ガイドで星二つ。それでも明るいので星三つでもいいのではと書いてありました。電視観望だとこれでやっとかろうじて見えるくらいです。

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網状星雲もそうなのですが、意外に画角が広いので、もしかしたらレデューサを入れたほうがいいかもしれません。ただしレデューサーの効果で、もともと小さくしか見えないM57とかは流石に小さくなりすぎると思うので、分解能的に厳しいかもしれません。M57は輝度が高く電視観望の目玉の一つなので考えものです。

ちなみに、胎児星雲までずーっと飛んだわけは、ここまで星二つとか星一つのSh2がほとんどだったからです。でもケフェウス座のIC1396はきちんとトライしてみてもよかったかもしれません。ただ、富山は北のほうがかなり明るいのであまり北寄りだとやはり厳しいいかもです。もう少し時間が経つとカリフォルニア星雲とか勾玉星雲とかが見えたかもしれませんが、昨晩はここらで時間切れでした。


逆にQBPが電視観望に向かないケース

ここからは失敗例です。

意外だったのがM31アンドロメダ銀河です。先日の演奏会とのコラボの時もそうだったのですが、意外に綺麗にでません。もう天頂付近に来ていたので、雲とかのせいではないです。もしかしたらQBPのせいなのかもしれません。

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一度QBPを外したものと比較してみたいです。

あと、M45すばるもダメ。悲しいくらいの苦労の跡が見えますが、どうやっても青が出ませんでした。これもやはりQBPのせいでしょうか。

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ちょっと気になって調べてみました。まず、中川光学研究室ブログにQBPでM45を撮影した例が出ています。綺麗に反射光の青が出ています。ではこの青の波長はというと、ここを見ると430nmらしいのですが、これだと下のグラフからもわかるようにQBPを透過することができません。

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M45の波長データが違うのか?QBPの透過周波数特性が違うのか?今度自分できちんと撮影して確かめてみることにします。



最後は二重星団です。SynScan Proのリストでパッと目に入ったので導入してみました。

IMG_8089

失敗と言ってしまうのもあれなんですが、QBPに関係なく、やはり恒星はシャープさがなかったり、偽色が出たりで、電視観望で見るのはイマイチです。こちらは絶対にアイピースで見たほうがいいでしょう。電視観望だとみんなで一緒に見えるというくらいのメリットしか見い出せません。球状星団なら電視観望で淡いところも出せるので、まだマシかもしれません。

今回のテストはこれくらいです。実は時間的な順序では網状が最後でしたが、この時点でバッテリー切れと、気力切れでした。


改善点

今回のテストは一般の観望会を想定しています。安全のため、それほど暗い場所でなく、たくさんのお客さんがいるために装備はトラブルレスを第一に、とことんまでシンプルにというような方針です。

これ以上の改善をするなら、
  • CMOSカメラを冷却してノイズを減らす
  • ダークフレームを撮影してリアルタイムで補正し、輝点ノイズなどを減らす
  • フラットフレームを撮影してリアルタイムで補正し、周辺減光を減らす
  • 暗い場所に行く
  • 月のない日を選ぶ

などでしょうか。確かにこうやってみると改善の余地はまだありそうですが、時間の限られている観望会でこれをするかどうか?お客さんを待たせないようにとか、少し考えなくてはいけないかもしれません。


まとめと結論

秋も電視観望で色々な天体を楽しむことができることがわかったかと思います。ただ、北アメリカ星雲とかはいいのですが、サドル付近とかを観望会で見せて果たして一般の人は喜んでくれるのかどうか。胎児星雲ももう少し画角が必要です。網状星雲はインパクトがありますが、三日月星雲を一般の人に見せてどんな反応を示すのかとかはちょっと興味があります。

天文好きな人は反応がめちゃくちゃいいのはいうまでもなく、以前の福島の星まつりで三日月星雲が見えて大騒ぎした覚えがあります。福島の時も確か月が明るかったです、その時から比べてもASI294MC ProとQBPが投入されたことで電視観望の技術もずいぶん進歩したことがわかります。

あと、QBPが苦手そうな天体があることがわかったのも儲けものでした。こちらはQBPを外す手段を考えるとか、2台体制でいくなどを考えたほうがいいのかもしれません。アンドロメダ銀河なんかはもう少し見えるかと思っていました。

あ、ちなみにこのテストはちょうど満月の日に行われました。星雲を見るのには最も適していない日です。煌々と輝くまん丸のお月様の下でこれだけ見えるなら、多少の光害地でも、観望会で見せるくらいのネタはなんとかなることがよくわかりました。


QBPがあれば、もうこの電視観望、場所と日を選ばずに星雲見えそうで超強力な観望会ツールになりそうです。あ、もちろん雨とか雲はダメですよ。
 

昨晩、綺麗な満月が出ていたので、光害時を想定した電視観望のテストをしてみました。


目的

もしかしたら、Hαフィルターを使えば電視観望でももっと星雲をあぶりだせるのではないかと考え、試してみることにしました。元々のアイデアは、NV(ナイトビジョン)です。NVはそもそもモノクロなので、実際に見る時に、ターゲットを見やすくするためにナローのフィルターを入れているそうです。

そうか、カラーにさえこだわらなかったら電視観望でもナローフィルターを入れてみればもっとコントラスト良く星雲が見えるのではないか?と思ったわけです。たまたま胎内星まつりでHαフィルターを安く手に入れたので、これを使って試してみます。


機材

いつもの電視観望機材です。
  • 鏡筒: タカハシ FS-60CB (口径60mm, 焦点距離355mm) + 旧フラットナー
  • 架台: AZ-GTi(経緯台モード)
  • センサー: ZWO ASI294MC Pro
場所は自宅の庭。そこまでひどい光害地ではないですが、北は街明かりでほぼ全滅。年1-2日ですが、月のない透明度の良い日は、天の川がかろうじて見えるくらいの場所です。普段は天の川は全く見えません。


実際の比較条件

今回、3つのパターンを試します。
  1. フィルターなし
  2. サイトロン製QBP(Quad Band Pass)フィルターあり
  3. バーダープラネタリム社製、Hαフィルター(バンド幅7nm)あり
です。

ターゲットは北アメリカ星雲です。観望会を想定して、ライブスタックありで、数十秒待ちそこそこ見えるようになってきたものの比較です。私が普段の電視観望でやっているようなパラメーターを調整して、そこそこ頑張って、その設定でもっともよく見えるようにしたものです。

さあ、果たしてうまくいくでしょうか?


1. フィルターなし

先ずはフィルター無しの画像です。露光時間4秒で、20枚スタックしてあります。

IMG_8067

まあ、それでもきちんと見えていますね。ちなみにライブスタックなしだと、4秒露光で下くらいが限界。何か少し見えていますが、リアルタイムで見ているとは少し言い難いです。

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2. QBPフィルターあり

やはり星雲の形もはっきりして、かなり見えるようになります。2秒露光で70枚スタックしています。

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電視観望でここまで見えれば、かなり十分なのではないかと思うような結果です。

ちなみに、70枚スタックは実はあまり意味がなくて、見え方の改善があまりなくなったところで適当にシャッターを押しただけです。それよりもQBPは明らかに良く見えるので、露光時間を半分の2秒にしてもまだフィルターなしより良く見えるというところがポイントです。

ちなみに、スタック無しのものがしたのになります。3.2秒露光ですが、それでもかろうじて北アメリカの形がわかります。でもスタックなしだと流石にここら辺が限界です。これ以上劇的に露光時間を短くすることはできません。

IMG_8062

Hαフィルター

さて、かなり期待してHαフィルターをつけてみました。結果はというと

IMG_8069

確かにQBPよりも細かい描写ができている部分もありますが、やはり全体的にコントラストに乏しく見にくくなっていて、観望会に使うにはまあどうかと思います。ちなみに、4秒露光でこれくらい。これ以上短くするとかなり見えにくくなってくるので、この点からもQBPの方に軍配が上がります。。

スタックなしだと下のようになります。ほとんど何か良くわかりません。

IMG_8070


QBPとHαフィルターのまとめ

うーん、Hαフィルター思ったより出ませんでした。理由の一つはカラーCMOSカメラを使っているからだと思います。それでももう少しコントラスト良く出てくれてもいいかと思ったのですが、少し期待しすぎだったようです。もっとコントラストが良くなっていたら、あわよくば露光時間を短くできないかなとも思っていたのですが、この結果からはそれは難しいということがわかります。

結論としては、色付きで星雲を見るならQBPをつけたほうがいい。色がなくなることを犠牲にして、Hαに特化しようとしても、それほどのメリットはないということでしょうか。モノクロカメラだとまた結果は違ってくるのかもしれません。



ついでの実験

ちなみに、星座ビノにフィルターを入れたらもっとコントラスト良く見えるのではという実験もしみてみました。こちらは結果だけ書いておきます。

昔買ったφ31.7mmのかなり弱めの光害防止フィルターを星座ビノの片側の手前側(目の方)に置いて夜空を見てみました。光害防止フィルターを入れただけで、まず視界そのものが暗くなって見にくくなります。また恒星は基本白色に近いものがほとんどなので、光害防止フィルターは恒星の光もある程度カットしてしまいます。なのでコントラストがあがり星が多く見えるということも、ほとんどありませんでした。あえて言うなら、星の見える数はあまり変わらないが、全体が暗くなって見えにくくなるだけだったというところでしょうか。

結論としては、Hαでの電視観望とともに、星座ビノ光害フィルター作戦も完全に失敗です。




機材の振動(その1): 揺れの見積もりからの続きの記事となります。 今回は、揺れの減衰と前回出したQ値との関連を示して、実際に機材を使って揺れの測定をして評価してみました。


伝達関数の式

前回の復習を兼ねて、共振のグラフがどうやって書かれたのかと、なぜQという値を用いたかを少しだけ追加で説明したいと思います。

1次元の共振を伴う振動の周波数応答の伝達関数H(振っている振幅x0から、振られている振幅xへの比)は
H=xx0=ω20ω20+iωω0Qω2

のように書くことができます。ここでωは角周波数で、系を振っている周波数fを用いてω= 2π fωは共振周波数f0の時の角周波数で、ω0 = 2π f0です。は前回出てきたQ値のです。iは虚数のiですね。

この式は直感的で面白くて、もし振っている周波数fがずっと小さい時、すなわちものすごくゆっくり振っているときは<< fすなわちω << ω0となるので、分母の後ろの2項は1項目に比べてものすごく小さくなるので0とおいてやると
H=ω20ω20=1

となって、1になります。これは振った振幅がそのままの大きさで伝わることを示しています。

もし振っている周波数f0 と同じだったら、共振状態にあり、fすなわちω = ω0となるので、まず分母の1項目と3項目が打ち消しあって、次に分母の2項目のω0の2乗と分子のω0の2乗が打ち消しあって、結局
H=ω20ω20+iω20Qω20=iQ

となります。 -iは位相が90度遅れることを意味しますがここではあまり考えずに、とりあえずHの絶対値はQになるというところに着目します。これは共振付近で振っている振幅がQ倍に増幅されることを示しています。このようにちょうどQ倍になるように、あらかじめQを定義してあるというのがミソです。このQが一般の運動方程式の減衰定数とどう関わるかは、また別の機会に説明します。

もし振っている周波数fよりずっと大きい場合、すなわちものすごく速く振っているときは>> fすなわちω >> ω0となります。分母の最初の2項は3項目に比べてものすごく小さくなるので、0とおいてやると
H=ω20ω2f2

とな理ます。共振周波数より上の周波数では、振っている周波数の2乗に反比例して、振られているものの揺れが小さくなるというわけです。これは言い換えると、共振周波数より高い周波数においては、周波数の2乗で振幅が落ちていくような「防振効果」があるということです。ちなみに、- (マイナス)が出てきているので、これは位相が180度遅れるということを表しています。振った方向と反対方向に揺れるということです。

ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、Q値がなぜ便利なのか多少理解できたかと思います。本当に共振で揺れがちょうどQ倍されるということですね。


振動の減衰とQ値の関係

さて、ここからが本番です。上のような伝達関数で表される系に、インパルス的な衝撃が加わった時、系は最初大きく揺れて、やがてその揺れは収まっていきます。星を見ながら鏡筒にぶつかってしまうと星像が大きく揺れるのですが、ちょっとすると揺れは収まってまた元の星像に戻る「あの揺れ方」です。このようなインパルス応答は時系列の式で書くと
\[H(t)\propto\exp\left(-\frac{\omega_0 t}{2Q}\right) \sin\omega_0t\]
のようになります。これを共振周波数1Hz、Q=10の場合をグラフで表してやると、

damping1

のようになります。横軸は時間、縦軸は振幅です。時刻が0の時にインパルス(衝撃)によって大きく揺らされ、それがQ値で表される減衰項によって減衰し、振幅が小さくなっていく様子を表しています。

ここで特に振幅の部分
\[\exp\left(-\frac{\omega_0 t}{2Q}\right)\]
だけに注目します。は時間なので、この式は時間とともに振幅のエンベロープ(最大振幅を結んだ外側の線)がどうなるかを示しています。形としては指数関数の逆数になっているので、最大振幅は時間が経つと小さくなっていく様子を示しています。

こう考えるとこのインパルス応答の式は、ある周波数で揺れながら振幅が小さくなっていく様子、すなわち上のグラフで見た、またいつも機材が揺れる時に見る「あのだんだん収まっていく揺れ方」そのものを表しています。この振幅の中にQが入っているのが最大のポイントです。

ここからが重要です。すなわち、この揺れの減衰の様子を測定すれば、伝達関数を直接測らなくてもQ値が分かってしまい、地面の揺れがどれだけ増幅されるかが分かってしまうというわけです。これは結構すごいと思いませんか?


この恩恵にあずかるためには、あと少しだけ計算する必要があります。= 0の時の振幅が2分の1になった時の時刻をt1/2とします。そうすると
\[\exp\left(-\frac{\omega_0 t_{1/2}}{2Q}\right)=\frac{1}{2}\]
が成り立ちます。これをQについて解いてやると
\[\log_\mathrm{e} \mathrm{e}^{\left(-\frac{\omega_0 t_{1/2}}{2Q}\right)}=\log_\mathrm{e} \frac{1}{2}\]
\[-\frac{\omega_0 t_{1/2}}{2Q}=\log_\mathrm{e} \frac{1}{2}\]
よって
Q=12loge122πf0t1/2=4.53×f0×t1/2

となり、共振周波数fと振幅が2分の1になった時の時刻をt1/2を測定して掛け合わせて4.53倍すれば、なんとQ値がものすごく簡単に求めることができてしまうというわけです。

ちなみに、振幅が10分の1になった時間をt1/10とすると、
\[\log_\mathrm{e} \mathrm{e}^{\left(-\frac{\omega_0 t_{1/10}}{2Q}\right)}=\log_\mathrm{e} \frac{1}{10}\]
よって
Q=12loge1102πf0t1/10=1.36×f0×t1/2

が成り立つので、こちらも振幅が10分の1になるまでの時間を測定して、それに共振周波数と1.36をかけても同じようにQ値が出てきます。


どの周波数の揺れが問題か

実際の撮影で、どれくらいの周波数で揺れるのが一番問題になるでしょうか?まずガイドのあるなしで考えたいと思います。ガイドがないと、基本的に全ての揺れが星像に出てきます。露光時間が長いDSOの撮影なんかはガイドなしでは難しいのは言うまでもありません。

まず1Hz以下の低い周波数のゆっくりした揺れは、ガイドがあると揺れに追随して消すことができるのであまり問題になりません。極軸のずれからくるDC的なドリフト、ピリオディックモーションなんかがそうですね。地面振動も低い周波数の方が元の揺れは大きいのですが、1Hzから下くらいの低周波の揺れは基本的にガイドで打ち消すことができます。

では10Hz以上の高い周波数の地面振動はと言いますと、こちらは元々の地面の揺れ自身が十分小さいので、ほとんど問題になりません。例えば、10Hzの揺れは1Hzの揺れに比べて100分の1ほどです。

問題は1Hzから10Hzくらいの間の揺れです。ガイドも効かなければ、元の揺れも小さくありません。この間の周波数に機器の共振があると、元の揺れを大きく増幅してしまう可能性があります。

風の場合は時間によって揺れの大きさが大きく変わるため、高周波の共振でも揺れが大きくなることがあるので、注意が必要です。


Q値の実測

さて、ここから実測なのでどんどん面白くなります。

ほとんどの準備が整ったので、実際に鏡筒と赤道儀を使って、赤道儀の基本モードのQ値を測定してみましょう。まず、赤道儀に鏡筒を乗せて、測定しやすそうな天体を導入して追尾します。小さな揺れでも見やすくするために焦点距離は多少長めの方がいいでしょう。また、目で見て振動を測定するのは困難で精度が出ないので、測定しやすくするために動画の撮影できるカメラを接眼部に取り付けるといいでしょう。

今回、赤道儀はCelestronの中型のCGEM II。ここに鏡筒として13kg程度のMEADEの25cmのシュミカセLX-200-25を載せます。CGEM IIの耐荷重が18kgとのことなので、まだ余裕はありますが、鏡筒はそこそこ重く大きいので、低い共振周波数で何か見えるのではないかと思い実験してみました。星はとしてはわかりやすいように、面積のある木星を入れてみました。追尾しているので何もしなければ木星はずっと中央にます。そのため、回転方向に揺れている間も揺れの中心位置は常に変わらず、精度よく測定することができるというのがポイントです。もちろん追尾なしで、昼間に何かをターゲットにして試してもいいでしょう。


赤経周りの大きな揺れ

実際に何度か揺らしてみてわかったのは、赤経周りの揺れが一番低い共振周波数になりそうだということです。具体的には下の図の赤色の矢印の向きに、赤系軸が振動するように揺らします。

2modes

少し力を加えて、木星がカメラの画面上でずれたのを確認して手を離します。これはインパルス応答とは少し違い、ステップ応答になりますが、減衰の様子は基本的に変わらないのでこれで十分です。その時の木星の揺れ方を見てみましょう。


結構大きく揺らし、かつその揺れがそこそこ続いているのがわかります。


実際にQ値を求めてみる

さて、この揺れですが動画で撮ってあるので、何Hzくらいで揺れていて、振幅がどれくらいで半分になるか数えてみます。

まず共振周波数ですが、振動が10回続くのが1.26秒なので f = 1/0.126 = 7.9Hzとなることがわかります。

次に振幅ですが、動画をコマ送りしてある時の揺れが2分の1になる時間を、動画に記録された時間から測定すると1.38秒となることがわかりました。この時の測定ですが、振幅は一番最初から測る必要はなく、あるところの振幅を測って、その振幅が半分になるところまでの時間を測ればいいです。このことも測定を簡単にしているポイントの一つになります。

さて、その時のQ値はというと、

= 4.5 x f x t1/2 = 4.5 x 7.9 x 1.38 = 49.1

なんと約50と出ました。これは赤経の基本モードの共振のために7.9Hzの地面振動は50倍も増える!ということを示しています。ただし、実際には7.9Hzの地面振動は1Hzの地面振動に比べて7.9^2 = 62なので、62分の1になっていることに注意してください。7.9Hzの共振のおかげで増幅された振動と、1Hzの共振も何もない振幅が大体同じということです。でもこれを言い換えると、共振周波数が7.9Hzと高かったからこの共振が特別問題になりませんでしたが、もし鏡筒がもっと重くて共振周波数が下がってくると、共振周波数の減りの2乗で地面振動が増えていくので、問題は急激に深刻になっていくということです。このことが耐荷重ギリギリの鏡筒を載せる時の問題の一つです。

ちなみに、共振周波数7.9Hz、Qが49.1の時のグラフを書いてみると

damping2
となり、1.38秒くらいのところで元の振幅が半分になっているのがわかります。


赤緯周りの小さな揺れ

もう一つ面白い動画を見てみます。これは上の写真の青い方向、赤緯方向に揺らした時の木星の揺れです。赤緯方向なので、画面上では縦に揺れます。


このモードは測定できないほど高周波ですぐに減衰します。その後むしろ、カップリングのため赤経方向が励起されてしまっているのがわかります。なぜこれほどまでに違いが出るのでしょうか?その一つの原因が赤経方向と赤緯方向の慣性モーメントの大きな違いにあります。

そもそも赤経方向の揺れの上に載っかっているのは、赤緯体、鏡筒、ウェイトと、合わせるとかなりの重量物になります。その上、鏡筒とウェイトが軸中心から離れたところに置かれていてダンベルのような状態になっているため、慣性モーメントが非常に大きいです。

一方、赤緯方向の揺れの上に載っかっているのは、鏡筒のみ。しかも質量がむやみに両端によっているわけでもありません。

赤経方向の揺れにかかる質量が回転中心からざっくり30cmくらいのところに集中していて、赤緯方向の揺れにかかる質量が回転中心からせいぜい10cm(主鏡が一番重くて実際には中心から5cm程度しか離れていない)離れたところに中心があるとします。質量は赤緯に比べて赤径の方がざっくり倍(鏡筒とウェイト)くらいでしょう。慣性モーメントは距離の2乗で効くので、少なく見積もっても赤経の回転と赤緯の回転の慣性モーメントは20倍くらい違うということです。周波数でいうと赤緯の回転方向の共振周波数は150Hz以上とかなり高くなってしまうので、こちらは地面振動に関してはほとんど問題にならないことがわかります。


まとめ

今回の見積もりと、簡単な実測だけでもかなり面白い結果が出てくると思いませんか?少しまとめますと、
  • 機材を揺らし、その共振が減衰する様子を動画で撮影するだけの簡単な実測で、外乱による揺れがその共振によってどれくらい増幅されるかをQ値という値で評価することができる
ということです。もちろんこれは簡易的な測定に過ぎず、本当は加振器で赤道儀と鏡筒を揺すって、加速度計などでその揺れがどれだけのものになるのかなどの、周波数応答を測るのが正しいやりかただとおもいます。でも基本モードに限ってしまえば上記のような測定でもある程度の評価はできてしまうわけです。

もし本当に加振実験をすると、指紋や声紋ならぬ、赤道儀紋みたいなのが出てくるはずです。周波数応答を表す伝達関数を見ただけで、あ、あの赤道儀だ!とか、この赤道儀はこの共振が厄介だねとかいう議論ができるはずで、購入する時の重要な指針になるはずなのですが、流石にそんなデータはあまり存在しないですね。


最後に

簡単にまとめるつもりが、結局2回にわたる長い記事になってしまいました。振動に関しての理解のとっかかりくらいになってくれれば嬉しいです。わかりにくいところも多々あるかもしれませんが、コメントなどで質問していただければと思います。

今回の揺れのことに関してもそうですが、我々のいるアマチュア天文界は以外に神話のようなものが多く、誰々が言っていたとか、偉い先生が言っていたとかで信じてしまうことも多々あるかと思います。人の意見を参考にするのは、情報を集めるという観点からももちろん悪いことではありません。でも、必ずしも鵜呑みにせず、常に疑問を持って、できるなら自分で確かめることで噛み砕いて、納得していくことが大切なのかと思います。もしかしたらここで書いていることも、全然間違っているのかもしれません。多分、そうやって自分で考えていくことの方が面白いかなと、私自身は思ってしまうわけです。

まだ、運動方程式から共振の伝達関数の式の求め方とか書いていないので、気合があったらですが、もう少しだけ続きを書くかもです。

原村星まつり前にとったデータをまとめておきます。やったことは、赤道儀と鏡筒の揺れの測定です。この揺れの減衰を測定することで色々なことがわかります。

 趣味全開の記事なので、多少長くなっていることをご了承ください。今回の記事はまだ前半部くらいで、測定前の見積もりに当たります。次回くらいで実測までいけたらと思います。


目的

鏡筒を載せた赤道儀をインパルス的に揺らしてみて、その応答を見ることで外乱がどれくらい影響するかを評価します。 


背景

天体撮影の際、特に惑星や系外銀河の場合長焦点撮影になり、鏡筒や赤道儀の揺れが撮像に対して問題になってきます。基本的には、揺れを抑えることが星像を点像に近く捉えることに繋がります。地面が揺れるために防振するなどの努力は一般的になされていますが、そもそも地面がどれくらい揺れて、それが星像にどれくらい影響を与えるのかという検証は、これまであまりなされてきていないようです。今回この部分を評価してみようと考えました。

実際の撮影では、鏡筒自身の光学的性能や大気のシーイングなども問題になりますが、ここではそれらのことは考えずに、機材が物理的に揺れることのみを考えます。


地面の揺れの評価

まず、機材が三脚などを介して地面に固定されている状況を考えます。機材を完全な剛体と仮定すると、機材の重さにかかわらず、地面の揺れがそのまま機材を揺らしてしまうような状況となります。なので、まずは地面の揺れを最初に考えることにします。

地面は決して止まっているわけではなく、地震などが起こらなくても常に常時揺れています。その揺れの振幅(スペクトル)は一般的に1e-7/f^2[m/sqrt(Hz)]といわれています。グラフで書くと

20190901_seismic

のようになります。本当は実測データもあるのですが、個人で加速度計とかを持っているわけではないので、実測データを計算で表したグラフを示しています。横軸はその揺れの周波数。左はゆっくりとした揺れ、右は速い揺れを表しています。縦軸は振幅になります。この1Hzのところを見ると1e-7[m/sqrt(Hz)]という値になるという意味です。

1e-7/f^2[m/sqrt(Hz)]というややこしい数字については、この記事の最後に補足という形で書いておきますので、興味があったら読んでみて下さい。最後まで読むと得する情報があるかもです。ここでは簡単のため、ザックリと1Hzすなわち、1秒の周期で1um(マイクロメーター)くらいの振幅で揺れているとしてしまいましょう。


地面の揺れは星像にどれくらい影響するのか?

では1umの揺れとは実際の星像でどのようになるのでしょうか?望遠鏡で星を見る時は無限遠を見ていると仮定すると、回転のみが星像の揺れとなって表れ、地面が平行に揺れても星像には影響ないはずです。地面振動の回転成分がどれくらいか評価できればいいのですが、あまりきちんとしたデータはないようです。なのでここでは地面振動の水平揺れの成分が鏡筒を揺らすと仮定します。例えば、長さ1mの鏡筒を考えます。これは10cmの短すぎる鏡筒ではなく、10mの長すぎる鏡筒ではないという意味で1mということです。1mの鏡筒の先端が、アイピース口に比べて相対的に1um揺れていると考えます。そうすると角度にして1um/1m = 1urad (1マイクロラジアン)揺れているということになります。1uradということは度に直すとπで割って180を掛けてやればいいので 1/180 x pi = 60 [u degree (マイクロ度)]ということになります。0.00006度ですね。これを秒角にするには3600を掛けてやればいいので、約0.2秒角となります。では0.2秒角というのはどれくらいなのでしょうか?木星の視直径が40秒角くらいなので、木星の直系の200分の1くらいになります。

やっと答えが出ました。地面の1Hzの揺れは木星の200分の1くらいなのです。こんなに小さいなら大した影響はなさそうですね、と思いきや、実は機材がこの揺れを更に大きくするのです。このことを理解するには、共振とは何かということを理解する必要があります。


共振で揺れは増大する!

赤道儀など、機械的なものを製作すると、その形、構造、強度などに応じて必ず揺れが出ます。普通は一番弱いところが一番大きな揺れになって、例えば赤道儀では赤経体や赤緯体の首のところで一番揺れたりします。しかもその揺れは、ある特定の周波数で大きく揺れる共振という現象を伴って揺れることになります。高校の物理くらいでやる振り子やバネの共振のことです。一般的に振り子やバネを振ってやると、その周期によって揺れが大きくなったり、小さくなったりします。その様子をグラフに表してやると、

20190901_resonance
のようになります。横軸は振り子やバネを振ってやる周波数。左程ゆっくり振ってやって、右に行くほど速く振ります。縦軸は元の揺れに対して、振り子やバネの先にあるものが相対的にどれくらいの大きさで揺れているかの比(ゲイン)を表しています。ゆっくり揺らす場合は揺らしている振幅がそのままの大きさで伝わるので、ゲインは1になります。だんだん揺らす周期を速くしていくと、ある周波数(ここでは1Hz)になると大きく揺れます。このときの周波数を共振周波数と言います。更に速い高い周波数では、揺らされているものの揺れは小さくなっていきます。その小さくなっていく様は周波数の2乗で落ちていることがわかります。一般にバネや振り子は、高い周波数では防振の効果があります。

ここで重要なのは、ある特定の共振周波数付近では元の揺れが何倍にも、時には何十倍にも何百倍にも平気でなることです。複雑な構造を作れば作るほど、この共振の数は多く、また共振の形も複雑になってくるので、共振をなめてはいけないということです。

その共振の大きさはQ値というもので表されます。元の揺れが共振周波数でQ倍になるというように定義された値で、様々な構造体を評価する時に便利な値です。Q値がいくつ位になるかは、どれだけ共振のエネルギーが散逸するかによります。素材そのものによっても変わります。例えばゴムなどはとてもロスが大きいので、Q値は低くなります。一般的に金属はロスが小さいので、Q値は高いです。これを応用することで、エネルギーをうまく逃がしてやれば、Q値の高い大きな揺れを小さくすることもできます。例えば、揺れている部分にプラスチックやゴムの板を挟むなどです。

なんでこんなややこしそうなQという値を持ち出すかは後でわかるとして、普通にものを作ると、よほど揺れないようにできたものでもQ値が3から4、普通は10以上に簡単になってしまいます。すなわち、元の揺れは平気で10倍以上になってしまうということです。例えば、1HzにQ値が10の共振があるとすると、上で求めた木星は地面振動が10倍に拡大され、直系の20分の1くらは揺れてしまうことになります。木星の20分の1の揺れ幅だと、例えば惑星撮影の時とかはだんだん無視できなくなってくる値です。ちょっと心配になってきましたね。


共振周波数はどうやって決まる?

共振周波数のあたりで大きく揺れることはわかりました。では、その共振周波数はどうやって決まるのでしょうか?

基本的に、揺らされるものが「大きく」「重く」なると共振周波数は下がってきます。もう少し詳しくいうと、揺れているものが重くて、さらにその重さが揺れの中心から遠くにある時ほど「慣性モーメント」が大きくなって、共振周波数が低くなり、ゆっくり揺れるようになります。フィギアスケートでくるくる回転している時に伸ばしている手を縮めると回転が速くなるのもこれで説明できますね。手を伸ばしている時は回転中心から遠いのでゆっくり回り、手を縮めた時は回転中心に重さが集中していくので速く回るということです。

共振周波数を決めるもう一つの要因が、揺れの中心となる部分がいかに頑丈に作ってあるかです。これはバネの柔らかさに相当して、頑丈なものは硬いバネ、弱い物は柔らかいバネです。硬いバネほど共振周波数が高く、柔らかいバネほど共振周波数が低いです。例えば、入門用の細い赤道儀なんかは、小さく首のところも細いので、バネが柔らかく低い周波数で揺れます。逆に高級機と言われるガッチリした大型の赤道儀なんかは、バネが堅く高い周波数で揺れます。

すなわち、載せている鏡筒が大きく重いほど、支える赤道儀が小さく弱いほど、共振周波数は下がり、鏡筒が小さく軽く、赤道儀が大きく頑丈なほど共振周波数が高くなります。地面振動に関して言えば、共振周波数が高くなるほど元の地面の揺れが小さくなるので、揺れにくくなるわけです。このことをよく「共振を高い方に逃がす」とか言います。


少し脱線

よく間違って言われていることがあります。「機材は重ければ重いほど揺れない」ということです。私もベテランのアマチュア天文家の方からも何回か聞いたことがあるのですが、これは少なくとも地面振動に関して言えば間違いです。機材が重くなるほど共振周波数は下がるので、低い周波数の大きな地面振動が共振で更に大きくなり不利になります。正しくは「頑丈な赤道儀を用いるほど(共振周波数が上がるので、もともと地面振動が小さいに周波数帯に持っていけるため)揺れない」が正しいです。

ところが、風に対しては一概には言えなくて、同じエネルギーの風に対しては重いものほど動きにくというのは一理あるので、前者の「重いものほど揺れない」はあながち間違ってはいないのです。なので、今実際に揺れている原因は、地面なのか、風なのか、それとも他の何かなのかをきちんと分けて考える必要があります。

風でも「鏡筒が大きいとよく揺れる」ということもよく言われます。こちらは重さだけなく、大きくて風の当たる面積が大きいということと、さらに慣性モーメントが大きいので共振周波数が下がることが原因となります。繰り返しになりますが、「重いから慣性質量が大きいために揺れにくい」というのと、「重い(慣性モーメントが大きい)と共振周波数低くなる」は別のことになるので、やはり風の場合でも必ずしも重いからいいという訳ではなく、重くて小さくて、回転中心に質量が固まっていることが重要になってきます。

ちょっと脱線しましたが、今回は地面振動を考えるので、共振周波数が高いのか低いのかが重要になるとします。


ここまでのまとめ

少しまとめます。地面の揺れがどれくらい星像に効くかですが、
  • もともとの地面の揺れの大きさ
  • 機材の持っている揺れ(「モード」とかいいます)の共振周波数
  • そのモードのQ値
などが重要な要因で、その中で共振周波数は
  • 鏡筒の慣性モーメント(重さと、重さの広がり具合)
  • 赤道儀の構造、強度
などで決まり、元の揺れをどれだけ増幅させるかを表すQは
  • エネルギーをどう損失させるか
で決まります。なんでQだけ「など」で決まると書いてないかというと、数学的にはその系のロスをLとした時、

Q = 1 / L

と一意に書けるからです。何の事はない、Q値とロスは一対一の関係なんですね。



この時点でもうすでに長すぎの記事ですね。ちょっと疲れたので、続きは次回の記事にします。次回は一連の話のキモで、Q値と振動の減衰の関係です。一気に実測まで進むかも。さらに実用的になってくるはずです。




補足: 地面振動スペクトルの読み方

ごくごく簡単にですが、揺れの「スペクトル」の意味について書いておきます。

1e-7は10のマイナス7乗、すなわち0.0000001、0が7個ついてその後に1がきます。10^-7などと書くこともあります。例えば1e-7[m]とは0.0000001m、0.0001mm(ミリメートル)、0.1um(マイクロメートル)などと表すことができます。

f
は周波数を表し、1秒間に揺れる回数です。例えば1秒間に1回揺れるなら1Hz、1秒間に10回揺れるなら10Hzなどとあらわします。/f^2とは周波数で2回割っているということで、周波数が大きくなるほど、2乗で小さくなるということを意味します。例えば、10Hzの揺れは1Hzの揺れに比べて100分の1になります。100Hzの揺れはなんと1万分の1になります。高周波に行くほど、速い揺れになるほど、急激にその揺れの大きさは小さくなっていくということです。

わかりにくいところはその単位のm/sqrt(Hz)です。「メートルパールートヘルツ」などと言います。mは長さですが、/sqrt(Hz)というのは周波数密度あたりという意味になります。なので、どの周波数を見るかということを決めなければ実際の揺れの大きさにはなりません。観測する周波数帯のルートをとったものを掛けて、初めて実際の振幅(切り分けるためにrms振幅などと言います、rmsはroot mean squareの意味です。)になります。例えば高い周波数から100Hzくらいまでを測定することを考えると、100Hzのルートの10を掛けたくらいの値が実際の揺れになります。すなわち、1e-7/100^2 x10 = 1e-10[m]くらいの揺れとなるわけです。高い周波数から1Hzまでを考えると1Hzのルートは1なので1e-7/1^2 x1 = 1e-7[m]となります。すなわち1Hzの揺れは0.1um(マイクロメーター)くらいということです。「1Hzで1マイクロメーターの10分の1くらい揺れている。」この数字は覚えておいても損はないです。実際の地面の揺れの大きさは場所によって違っていて、これより揺れが大きい場合が多いので、ざっくり「1秒間に1マイクロメーター揺れている」と覚えておいてもいいでしょう。

ところで、なんでこんなややこしい「パールートヘルツ」なんていう単位を用いるのでしょうか?これは地面振動のようなピークのない「なだらかなノイズ」を表示するのに適しているからです。このなだらかなノイズをこのパールートヘルツという単位で表示すると、結果は常に一定になります。もしピークがあるようなデータをこのパールートヘルツで表示すると、表示の仕方(FFTのバンド幅の取り方)によってピークの高さが変わってしまいます。逆に「メートルパールートヘルツ」からパールートヘルツをとったメートル(rms)で表示しようとすると、ピークの高さはFFTのバンド幅によらずに一定になりますが、なだらかなところの大きさが今度はFFTのバンド幅によって表示ごとに変わってきてしまいます。グラフの単位も表示したいものによって、きちんと適したものを選ぶ必要があるということです。

この周波数密度のことをもっと知りたい場合はCQ出版の「計測のためのアナログ回路設計」という本を読んでみてください。かなりわかりやすく書いてあります。これより簡単な説明を少なくとも私はみたことがありません。

後半の記事に続きます。
 

20日くらい前に大型の天文機材の整理棚を設置したのですが、一瞬で全ての棚が埋まってしまいさらなる荷物置き場を必要としていました。先日、発注しておいた棚が到着し、休日の今日娘のNatsuにも手伝ったもらい組み立てました。

今回買った棚は前回よりかなり小さくて、幅887mm、奥行き462mm、高さは変わらず2100mmです。前回が幅1512mmで奥行きが612mmなので、面積だけで言ったら半分以下になります。 今回は2回目ということで、手順もわかってたのでスムーズに行きました。しかも暑さも前回設置した時よりもだいぶん和らいでいるので、かなり楽でした。

出来上がった棚を写真のように2本目を前回の棚に向かい合わせで設置しました。

IMG_7940

左が新しい棚になります。上の2段には、あふれている天文雑誌を入れる予定です。ちなみに今の本棚はこんな感じ。

IMG_7956

丸々一本天文雑誌で埋まっています。ここに収まりきらない雑誌がまだ余っています。

2本目の棚を設置して、やっと三脚まで含めて収まりつつあります。といってもまだ車の中に常時載せているFS-60QとかAVXとかAZ-GTiとか、玄関に出ている普段使いのCGEM IIとかSCOPTECHとか、倉庫に入っている巨大木製三脚が2組などを入れることを考えると、全部片付けるにはもう少しスペースが欲しい気もします。

せっかく機材がまとまったいい機会なので、ちょっとだけ数えてみました。ジャンクとかまで合わせると確認できただけで鏡筒23本、赤道儀多分7台、経緯台8台くらいと、もうドロドロのドロ沼状態です。数は多くても入門機が多く、高級機の数が少ないのがせめてもの救いです。今まで天文っ子に手渡す以外はほとんど手放してこなかったので、そろそろ売ることも考える時期なのかもしれません。


あ、星とは全然関係ないのですが、前回の棚の記事の写真にもちらっと写っていたうちの金魚の水槽の藻が、なぜか突然きれいになりました。以前は完全に水が深緑色で、その後確かに掃除をして水換えをしました。でも水を半分くらい替えただけなので、薄緑色になったくらいだったのですが、ある時を境にわずか1日くらいで水が完全に透明になったのです。

IMG_7947

写真を取り逃がすくらい、本当に一瞬でした。こんなことは初めてです。ネットで調べてもあまり理由はわかりませんでした。藻を抑制する薬とかを入れたわけでも、特に何かしたわけでもありません。唯一考えられることは、近くのお寺に流れている用水の水を汲んできたことくらいでしょうか。どなたか理由がわかる方いらっしゃいますでしょうか?


 

お盆休みの月曜日、昼からずっと空全体にかかっている薄雲が恨めしく、夕方以降何度外に出ても月がボヤーッと朧(おぼろ)状態です。ペルセウス座流星群が最盛期だとしてもこの月の明るさと、さらに雲なので何もやる気が起きず、もう寝ようかと思って22時頃外に出ると、雲がだいぶ無くなっていて月もキリッとしています。ここは気を取り直してVISAC君ことVC200Lのテスト再開です。

アペニン山脈の分解能

最初に試したかったことは、前回のファーストライトの時に撮影したアペニン山脈が、なぜ過去に撮影したC8で撮影した時の分解能にはるか及ばないかを調べることです。

comp_C8_VISAC
左のC8で撮った方がはるかに解像度が良いです。

口径は同じ200mm、C8の焦点距離は2000mmでVISACが1800mmなので高々1割の違い。それで解像度が大きく違うとは全然思えません。ましてやスポットダイアグラムの優れているはずのVISACが大きく劣るとは、なかなか不思議な結果です。一番大きな違いはカメラで、C8はASI178MCで1素子のサイズが2.4um、VISACがASI294MC Proで1素子のサイズが4.6um。2倍近く178の方が細かく撮れるはずですが、それだけで上の比較写真くらいまでの違いが出るものなのでしょうか?他にもピントがどれくらいあっているか、シンチレーションが違うのかなどもあるかと思います。

このナゾを解くため、今回はVISACにASI178MCを取り付けて、同様な画角で写してみます。撮影条件は12.5msec露光で、ゲイン120。1000コマ撮影して25%、上位250コマをスタックしました。その結果が以下になります。

Capture_ 23_34_49_23_34_49_lapl3_ap2661_RS_cut
VISACにASI178MCを載せて撮り直し。きちんと分解能が出ています。

月齢11.5日で満月に近く、陰影はあまりないですが、解像度は相当上がったように見えていて、C8で撮影したものにほぼ差し迫っていると思います。ということは少なくともASI178MCで同条件で撮影したら、以前C8でとったかなりの解像度までは迫ることができるということがわかりました。ただし、(これは最後の解析までしてやっと気付いたのですが)まだ少なくとも同じくらいのものが撮れたというだけで、この時点では他の条件の違いの可能性もあるので、カメラの違いかどうかの確証はありません。

と、ここでふと思いました。VISACでM57をASI178MCで撮ったらもう少し分解能が上がるのではないかと。


M57の中心星を出す

やることは単純です。VISACでカメラをASI178MCにして撮影するだけ。ただしセンサーサイズが1/1.8インチと小さいので見ている範囲がせまく、導入に少し苦労します。露光時間は10秒にして、ゲインは470と高めです。これはASI178MCの感度がいつも使っているASI294MC Proなどに比べて約4分の1と低いため、ある程度の露光時間をかけて、かつゲインも上げてやらなければ、そもそも満足に写りもしないからです。

とりあえず、10秒一枚の撮って出しを見せます。オートストレッチをかけてあるだけです。

Capture 00_59_11_Stack_16bits_7frames_70s
中心星がこんなに点で出るのは初めてです、

一枚なのでノイジーなのは仕方ないとして、驚くべきことにM57の中心星と隣の星がほぼ完全に点になっています。これまでこんなに点になるとは、考えることさえできなかったレベルです。

この時点でも、おむすび型の星像はまだ残っています。でも前回のテストは1秒露光で鏡筒が持っている星像がかなりそのまま出ていたはずですが、今回は10秒露光なので機材の揺れやシンチレーションで積分され、オリジナルな星像は鈍って多少真円に近くなっています。

これをスタックして画像処理をしてみます。Live Stackで6枚の60秒分の画像をSharpCap上でスタックし1枚の画像としそれを45枚、すなわちトータル45分の露光時間となります。ダーク補正は撮影中にリアルタイムでしてありますが、フラット補正とバイアス補正は今回省略しています。その結果が以下になります。

integration_DBE_PS2
中心星はOK、でも星の形がやはりいびつ。

M57の中心星と隣の星に関してはかなり満足なレベル。M57の12時方向の2つの距離の近い星も、何の苦労もなくはっきり分かれています。

フラット補正をしていないので、背景はグチャグチャで適当にごまかしています。こうなってくると星像のアラがどうしても目立ちます。次はおにぎりさんの改善を目指すことにします。今情報を集めてますが、少なくとも改善の方法はありそうなことがわかってきました。こちらはもう少し実践してからまた記事にします。


考察

さて今回の疑問は、1素子のサイズが高々2分の1もいかないくらいになっただけで、こうもいろいろ変わるのかということです?

いろいろ考えたのですが、なかなかこの差を説明することができなかったので、頭を切り替えて、C8で撮った画像をどれくらい解像度を落とすとVISACで撮ったのと同程度になるのか試してみました。

1素子のサイズ比 = 46./2.4 = 1.93なので、まずはC8の画像の解像度を1.93分の1にしてやってみました。でも結果はまだ全然、あからさまにC8のほうがいいです。やはり高々2倍くらいの素子のサイズ違いでは全く説明できないです。

そこそこ合うなと思ったレベルはC8の画像の画素数を一辺で8分の1にしたとき、すなわち3128 bx 2014 pixelの画像を、Photoshopで一旦391 x 263 pixelにまで落として、それをバイキュービック法で再び3128 x 2014 pixelに戻したくらいの相当荒い画像でやっと一致するということです。以下がその画像になります。

comp_C8_VISAC_x8
最初の画像の左のC8の方の分解能を8分の一くらいに悪くして、
やっと前回とったVISACと同等です。

これくらいまで落として、やっとVISACの画像と同程度か、下手をしたらまだいいかもしれません。流石にこれだけの違いをカメラの解像度だけで説明するのは無理なので、今回はおそらくVISACで最初に撮った画像がピンボケだったと言うくらいしかないです。ただし、VISACの方は視野の端で撮ったからという影響も無いとは言い切れていません。

ピンボケだったとするとまあ間抜けな話なのですが、でもこれはある意味怪我の功名で、少なくともカメラを代えたりしたり手間をかけての検証でしたが、M57の解像度を上げることにはつながったことになります。

じゃあM57の画像もピンボケだったのかと言うと、どうやら多分そうだったみたいです。今回VISACとASI178MCで撮った画像の解像度を半分くらいに落としましたが、まだまだ中心星も全然点像で十分な解像度があります。こちらも解像度を6分の1くらいに落としてやっと前回撮影したM57と同レベルになりました。

comp_camera
こちらも前回のASI294に一致させるためには、
解像度を6分の1くらい悪くする必要があると言う結果です。

こちらもこれだけの違いを、カメラの1素子のサイズの違いだけで説明することはやはり困難かと思います。前回はファーストライトでまだ慣れてなくてピンボケで、今回は気を使ったと言うことになるかと思います。


まとめ

でもまだ本当にピンボケだったのか、100%そうかと言われるとイマイチ自信がありません。今回のASI178MCの点像の出方が良すぎるからです。もしピント問題だったとすると、ピント位置は結構シビアな可能性が出てきます。今一度VISACにASI294MC Proをのせて、M57できちんとピントを合わせて見てみるなどすると、単にピント問題だったのかがより確定すると思います。

また、C8やMEADEでも例えばASI178MCを使えば同じように解像度よく出るのか、それともやはりVISACだけがすごいのか、まだもう少し検証してみたいです。

うーん、でもかなり楽しくなってきました。いままでC8とMEADEで全く無理だったこの点像。少なくともこの点像を出せるだけでもVISAC侮れないです。


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