ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 調整・改造

先日シュミットさんに立ち寄った際に、ラッキーなことに生ブラック☆パンダさんにお会いすることができました。その際なんと「面白いものを作ったので是非試してみてください」とNEWTONYの接眼部に取り付けるヘリコイド方のピント調整装置を手渡されてしまいました!


385A6A43-CA1B-45DB-A8C1-FCBF3E01D6C2

休日前の月が出ている日で、雲もありましたが、夜中から晴れてきたので、手持ちのNEWTONYで少し試してみました。


テスト機材しょ

機材ですが、まずは教育用ニュートン反射望遠鏡の「NEWTONY」。これにCMOSカメラとしてCeres-Cに取り付け、架台のAZ-GTiに載せます。
IMG_7035

そもそもNEWTONYは接眼部の中奥深くにカメラを入れ込まなければならないために、通常のCMOSカメラにノーズアダプターを付けただけではピントが出ません。Ceres-Cは1.25インチの円筒型のカメラのためにアイピース口の奥に入れ込むことができるために、NEWTONYにとっては数少ないピントが出るカラーカメラとなっています。円筒タイプのCMOSカメラですが、

モノクロタイプはPlayer Oneでもいくつか


ZWOでもいくつか


カラータイプは他にQHYCCDからいくつか出ています。


Ceres-Cも含めてほとんどのものがガイド用カメラとか、惑星用カメラとか謳われているもので、センサー面積が小さいものが多いですが、電視観望に利用することが可能です。実際にはカラーの方が楽しいかと思いますが、Hαフィルターなどを利用して、モノクロでコントラストよく見るという手法なども考えれられると思います。


そもそもの問題点

これらのカメラをNEWTONYで使うときに問題となるのが、接眼部の固定方法です。コストを抑えるためだと思いますが、接眼部はねじ込み式になっていて、そのねじ込み具合でピントを調整します。問題は二つあります。
  1. ねじ込む際にカメラが回転してしまうこと。
  2. ねじが緩いので、途中のねじ込み状態ではカメラがグラグラしてまうこと。
これらの問題のために、NEWTONYでの電視観望ではピントを合わせるのがなかなか大変で、その回避策として私はネジのところに輪ゴムを巻いたりしてぐらつき具合を軽減して使用していました。
IMG_4575

今回、この部分を新しいヘリコイド型のピント調節アダプターで置き換えてみます。
IMG_7029

IMG_7028


星を見てみる

その後、CMOSカメラを取り付けて、実際に星を見てみます。まず、ピント合わせ時に視野が回転しないのが圧倒的に楽です。というか、さすがヘリコイドです。ガタつきがほぼ何もないので、PCの画面を見ながらかなり微妙な調整が効き、ピント合わせがこれまでより遥かに遥かに楽になりました。

IMG_7027

画面を見ながら調整すると、これくらいはすぐに出ます。
06_Orion_helicoid

その後、電視観望のためにフィルターをつけて試してみたくなりました。ただしブラックパンダさんによると

作った後から気づいたのだが、フィルターをつけるとピントが出ないかもしれない。

とのことです。え!、本当なのか?もしそうならとても惜しい!?これは実際に自分で試さなくては。

と言うわけで、実際にCBPを取り付けてみます。
IMG_7033

カメラ先端が5mmほど長くなります。ヘリコイド内部の径が先端で小さくなっているところがあり、そこでつっかえてしまうので、やはりその分カメラが接眼部の外側に出てきてしまいます。

さて結果はというと、やはりフィルターアダプターの厚みのためにカメラが奥まで入り切らずに、ピントが出ません。下の写真くらいが限界でした。かなりずれたのがわかります。
06_Orion_helicoid_filter

Ceres-Cはセンサーの前にねじ込み式の保護ガラスがついているのですが、それを外してCBPフィルターを取り付けてみました。
IMG_7034

ただし穴のねじ径の方が大きいため、ねじ込みで固定は出来なくて、セロテープで貼り付けて固定して試しました。テープですが、最初マスキングテープでフィルターアダプターの両側を留めましたが、テープが厚すぎて接眼部の中に入って行きませんでした。セロテープも両側で止めると多分厚すぎなので、片側だけの固定で試しました。

IMG_7024

さて結果はというと
06_Orion_helicoid_filter_no_cover

少しマシになりましたが、やはりピントが合うところまでいきません。

その後、CBPをアダプターから外して、フィルターのみテープで固定しようとか思ったのですが、流石にここまでくると初心者に薦めることはしない方がいいと、この時点で思いとどまり、今回は泣く泣く諦めることにしました...。


ついでに電視観望

ちょっと悔しいので、上記セットアップでフィルター無しで少しだけ電視観望をしました。

M42: オリオン大星雲、約3分40秒
08_orion

馬頭星雲と燃える木、約3分
07_horse

ウルトラの星がある(笑)M78星雲、約7分
10_M78


コーン星雲ですが、30分かけてかろうじて形が見えるくらいでしょうか。
13_corn

フィルターなしでもこれくらいは見ることができます。でもやはり、QBPやCBPなどのフィルターを入れるともっと見えるようになるかと思います。改良版に期待です。でもブラックパンダさん確か「100個くらい作ってしまった。」とか言っていたのでどうなることやら...。アイピースで見る分には影響ないので、眼視ユーザーに売れてくれればいいのですが。


まとめ

NEWTONYの接眼部をヘリコイドタイプに変えて電視観望を試してみました。ピント合わせはこれまでよりはるかに楽になりました。ただ、電視観望目的だとやはり光害防止フィルターを入れたいのですが、ブラックパンダさんが言っていた通り、今のままだとカメラが入り込まずにピントが出ません。ここら辺を改良していただけると、NEWTONYユーザーで電視観望をしている方には相当な朗報だと思います。

いつもユーザー目線で独自商品を開発してくれるサイトロンさんは素晴らしいと思います。今後もどうしても期待してしまいます。







先日久しぶりの晴れで自宅庭撮りでまゆ星雲の撮影(画像処理は後日)をしました。SCA260での撮影でしたが、問題点がいくつか発覚し、メンテナンスすることにしました。

実は5月に撮影したM81とM82の画像処理がまだ残っているのですが、これが延び延びになっている理由の一つがL画像のフラットをとっていなかったことです。今回接眼部を外す前に、Lのフラットを含めて、RGBAOSの全フィルターのフラットを撮影時のゲインと同じ120で、それぞれ128枚撮影しておきました。これでやっとM81とM82の画像処理を進め出すことができました。


メンテナンスメニュー

今回のメンテナンスは
  1. 光軸がずれていたので、コリメーションアイピースを使い光軸調整。
  2. SIIフィルターをBaaderのものに変更。
  3. これまでLフィルターを入れてなかったので、とりあえずSVBONYのUV/IRフィルターを入れてみる。
  4. フィルターホイールを開けてみたらBフィルターがかなり汚れているので清掃。
の3つです。4月にM104ソンブレロ銀河を2倍のPowerMATEをつけて撮影した時以来、久しぶりに接眼部を鏡筒から外します。フィルターホイールごと外し、そこにアメリカンサイズのアイピースアダプターを取り付け、コリメーションアイピースを取り付けます。でも本当は接眼部はできるだけ外したくないんです。PowerMATEををつけた時もセンサー面にホコリが大量についてしまい、掃除が大変でした。


1. 光軸ズレ補正

光軸は撮影時に結構ずれていたので、途中から許容範囲を超えたと判断して、恒星の内外像を見てそこそこ合わせた後に撮影を続行しましたが、改めてコリメーションアイピースを使い見てみると、副鏡、主教共に結構ずれてました。SCA260の光軸合わせは比較的素直で、マニュアルに書いてある通りにやれば撮影時に困らないくらいにすぐに合わせることができます。


2. SIIフィルター交換

SIIフィルターはM17を撮影した際に赤ハロが出た原因となっていたので、先日の星もとで手に入れたBaaderのSIIに交換しました。ただし、Baaderのナローバンドフィルターのアダプターの内径は微妙に大きくて、ASI294MM Proのフォーサーズサイズだと四隅が蹴られてしまうことがわかっています。そのため、アダプターを別の手持ちの内径が少しだけ大きいものに交換します。その後、フィルターホイールに取り付けます。これでHαとOIIIに合わせて3つともBaaderになりました。


3. Lフィルター装着

これまでフィルターホイールのL位置には何も入れていなかったのですが、もしかしたら赤外とかがハロになる可能性があると思い、UV/IRカットフィルターを入れた方がいいと思うようになりました。他と同じBaaderが良かったのですが、とりあえず手持ちの安価なSVBONYのもので試してみます。ゴーストとか出るようならまた考えます。


ちょっと脱線、NINAのオートフォーカスについて

メーカーが違うので厚さの違いがあるかと思いますが、最近NINAのAF(オートフォーカス機能)がかなりうまく再現性よくピント合わせをしてくれるので、もう厚さの違いはほとんど気にならなくなりました。移動の際に必ず目標値を超えオーバーシュートし、さらに戻って目標値に行くので、オフセットを内外で繰り返すことになりうまくキャンセルするのがかなり効いているようです。

Fd6aaigacAA-BR9

それでも1発目の一番右の点から次の一つ左に行くときの線がうまくフィッティング曲線に乗りません。これを解決すればもう少し精度が上がるはずなのですが...。オフセットの調整は色々試しましたが、解決には至りませんでした。最初に右に動かしすぎで星像がボケすぎなのかとも思いましたが、左側はもっと外側に行ってもフィッティング曲線に乗っているので、どうもそうではないようです。


4. Bフィルターの汚れ

フィルターホイールの蓋を開けた時になぜかBフィルターだけ表面が曇った様な状態になっていました。フィルターを外してレンズクリーナーで丁寧にふくと、やっと曇りが取れましたが、なぜこんな状態になっていたのか不明です。少なくとも前回かなり汚れていたので掃除してから入れたはずです。

あれ?今思い出したのですが、そういえば前回もこんなふうにBフィルターだけ曇った様な状態でした。もしかしたら長時間で曇った様になる原因があるのでしょうか?次回開ける時に今一度気をつけて見てみたいと思います。


あー、やっぱりホコリが...

さてここまではカメラを外すこともなく、センサー面をつねにフィルターで覆った状態にして絶対に暴露せずに、かなり気をつけて作業をしました。

し・か・しです。その後テスト撮影をしてみると明らかにホコリがついていることがわかりました。画像はライブスタックして埃を見やすくしています。

Capture_00001 13_26_58_WithDisplayStretch

仕方ないので、再度カメラを外してブロアーで保護ガラス面を吹きます。これでかなり改善されました。
Capture_00001 13_30_42_WithDisplayStretch

それでもまだホコリが残っているので、いつものスワブで拭きます。
Capture_00001 13_48_46_WithDisplayStretch

左上にどうしても少し残っていますが、以前のフラットを見ても残っていて、しかも他のと比べても微妙に輪っかが小さいことがわかったので、
masterFlat_BIN-2_4144x2822_FILTER-L_mono

これは裏面についている可能性が高くて、これまでも撮影には影響してないという判断で、これで清掃は完了としました。よく見ると、保護ガラスではなくセンサー面についていると思われるかなり小さなリングがありますが、ここでは相当炙り出してしかもスタックして見ているので、撮影時ではこれらもほとんど気にならないでしょう。


まとめ

それにしても相当気を使って作業をしていてもセンサー面に簡単にホコリが付いてしまうことがわかりました。フィルターの取り外しなどはしているので、ねじ込みの時の切り子が何らかの拍子についてしまうのかもしれません。いずれにせよ、ブロアーはその場でついた埃はかなり飛ばせるので、作業をした後には最低限ブロアーは必要そうです。



先週の「星もと」でSuper WideBino36を購入しました。販売開始はかなり前でずっと気になっていたのですが、でもなかなか購入に踏み切れなかった星座ビノです。今回は、Super WideBino36を含んだいくつかの星座ビノの見栄えを比較してみようと思います。

以前の比較記事などは




になります。ご参考に。


エントリー機種

今回の比較のエントリーです。

3DADACF0-2AFA-402D-B67D-9C57F89DC7E3


購入順に
  1. Nikon TC-E2を利用した星座ビノ(2019/4/12 ヤフオクで上板2丁目さんから落札) 
  2. 笠井CS-BINO 3x50(2020/1/4 Amazonで購入
  3. SIGHTRON Stella Scan 3x48(2021/1/17 SCOPIOで購入
  4. Canon TC-DC10を利用した星座ビノ(2021/11/13 小海「星と自然のフェスタ」で上板2丁目さんから購入
  5. Super WideBino36(2022/9/18 「星をもとめて」でUCトレードから購入
となります。前回比較以降に手に入れた星座ビノは全て入れてあります。


比較の基準

比較は飛騨コスモス天文台の観望会の際に行いました。ただしここは、暗くなると星が見えすぎてしまい裸眼と星座ビノの差があまり出ない可能性があるので、今回は星座ビノの効果が最も現れる、少し明るめの薄明終了前くらいの空で行いました。

まず基準となる星座ビノを、今回のエントリーの中では一番古くからあるNikonのTC-E2にします。星座ビノの最高峰と言われるTC-E2を基準にするのは少々酷かもしれませんが、今回はそれくらいハイレベルの戦いになります。


Nikon TC-E2

まずはNikon TC-E2です。これは市販品ではなく、以前ビデオカメラ用に使われていた、像を拡大するためのテレコンビノというものを2つ利用した、基本自作品になります。上板2丁目さんという方が数多く制作されていて、星まつりやヤフオクなどで販売されています。現在は入手が困難になりつつありますが、突き詰めていくとこのTC-E2に行き着くという方も多く、テレコンビノの最高峰と呼ばれることもあります。

はい、というわけで、これを見ている限り不満はありません。収差、像の閉まり具合、コントラスト、どれも素晴らしいです。これで不満があるというなら、もう星座ビノというもの自身の不満になるかと思います。でもですねー、今回Super WideBino36を見てこの評価が変わったんですよ...。詳しくはSuper WideBino36の項で。


CS-BINO 3x50

次は笠井のCS-BINO 3x50です。笠井は星座ビノを2系統販売しています。一つは市販の星座ビノとしては最初期からあるWideBinoシリーズで、実視野で28度を誇るWideBino28と今回比較する実視野なんと36度のSuper WideBino36の2種類です。もう一つが安価なCSシリーズで、2倍のCS-BINO 2x40と3倍のCS-BINO 3x50です。CSシリーズには2倍の単眼バージョンもあります。

とにかくCS-BINO 3x50の特徴は3倍であるということ。これまでも何度か説明していますが、見える星の数は原理的には倍率のみで決まります。口径などは関係ありません。3倍の星座ビノはこれまでの2倍のものよりも圧倒的に見える星の数が増えます。

そういった意味ではNikonのTC-E2よりはるかに見えていいはずなのですが、実際の星の数はあまり違いがありません。厳密にいうと3倍のこのCS-BINO 3x50の方が暗い星まで見えますし、星の色の違いもCS-BINO 3x50のほうがよくわかります。でもNikonは十分それに迫っています。これはCS-BINO 3x50が悪いのではなく、Nikonの方が良すぎると言った方がいいでしょう。

それよりもNikonと決定的に違うのは、CS-BINO 3x50は倍率が3倍なので「大きく見えてしまい」、「見える範囲が小さくなる」ことです。なので、星座によっては全部一度に視野に入らなくなることも多々あり、星座の形をよく知っている人にはオススメですが、星座の形をあまり思い浮かべることができな初心者の方にはやはり2倍のものがオススメかと思います。

このCS-BINO 3x50の利点は圧倒的に安価なことです。CS-BINOの2倍と3倍両方買っても税込みで約2万3千円。見比べ等もできることから、2つ一度に買ってしまった方が遥かに楽しめると思います。


Stella Scan 3x48

こちらも3倍のもので、サイトロンから販売されています。笠井の3倍の後に出たもので、昼間に比べてみると明らかに周辺像が改善しているのがわかります。

ですが夜に星を見ながらだと、その違いは全く分かりませんでした。人工的な直線などで比較すると分かる違いですが、そういった比較物がない夜の星だけだと、少なくとも私の目では違いを見出すことができませんでした。なので見え味としては笠井のCS-BINO 3x50と感想はほとんど同じで、普通の2倍の星座ビノより見える星の数は圧倒的に増え、その一方で見える範囲は減ります。最高峰のNikonのTC-E2と比べてしまうと見える星の数はそこまでは変わらず、見える範囲はTC-E2より狭いというものです。

Stella Scanも2倍のものが出ているので、こちらも一度に2倍と3倍を両方買ってしまって、比較などして楽しむのも一つの手です。


Canon TC-DC10

こちらも高性能と評判のCanon製のテレコンビノを利用した星座ビノです。NikonのTC-E2よりはマイナーなので星座ビノとしてはそれほど作られていないと思われます。TC-E2と比較したくて、2021年の小海の星まつりで上板2丁目さんから譲っていただきました。

TC-DC10だけで見ている限り、とてもよく見えると言うのが最初の印象でした。それでもTC-E2と直で比べるとその差がわかってしまいます。TC-E2や3倍で見ると見える星が、TC-DC10だと見えないことがあります。例えば今回夕暮れの明るいうちにこと座を見比べて見たのですが、TC-E2と3倍で見えたこと座の平行四辺形の4つの星のうちの一番暗い三角よりの星が、TC-DC10だと見えませんでした。

かといって、TC-DC10が悪いのかというと全くそんなことはなく、普通の2倍の星座ビノと比べると見える星の数に見劣りはなく、シャープさではかなり優秀な部類です。2倍のものを3倍と比べることなどが本来無理があるというわけです。そう考えるとTC-E2の性能の良さを改めて実感でき、比較目的で手に入れたこのTC-DC10は私的にはそれだけで価値のあるものです。他の2倍の星座びの同様、観望会で活躍してもらいます。


Super WideBino36

最後は今回の目玉のSuper WideBino36です。改めて確認しておきますが、倍率は2倍です。それでも見える星の数はTC-E2や3倍のビノとに比べて全然遜色ありません。明らかに通常の2倍ビノとは差があり、最高峰と言われているTC-E2に迫っています。

しかもパンフォーカスでピントを合わせることができないTC-E2と違って、Super WideBino36は当たり前ですがピント調整が普通にできます。これは私個人のことなのですが、眼鏡の度数があまり合っていなくて普段あまり星をきちんと見ることができていません。とくに右目がだいぶ悪くなってしまっているために、右だけを比べると明らかにSuper WideBino36のほうがよく見えています。

私はTC-E2の唯一の欠点がピントを合わせることができないことだと思っていたので、Super WideBino36はこの欠点を完全に解決しています。かつ見え味はTC-E2に相当するので、個人的な評価としては目の悪い人でも最高クラスの星座ビノを味わうことができると言う意味で、Super WideBino36のほうが上という判断です。

Super WideBino36があまりに素晴らしいので、頑張って欠点を探してみました。唯一気づいたのが、木星クラスの明るい星を見た時で、ジャスピン位置が合わせきれないように見えたことでしょうか。ピントを内外にずらすと、点像が縦方向横方向にそれぞれ伸びるのですが、注意してピントを合わせても完全に縦横のずれが消えることがないことがわかります。ただしこれ、飛び抜けて明るい星以外では全くわからないです。なので欠点というには至らなく、シャープさ、コントラストなど、私としては満足の逸品です。

NikonのTC-E2の入手性がかなり悪くなってきている現在、それを置き換えることのできる、今のところ唯一の星座ビノがSuper WideBino36だと思います。TC-E2を持っていて目がいい人はあえて買わなくてもいいかと思いますが、TC-E2を持っていても目が悪い人、TC-E2を手に入れるのが難しい人は迷わずSuper WideBino36でいいかと思います。3倍の星の数と、2倍の視野の広さを兼ね備えていると言ってしまってよく、少し値段は高くなりますが、一台選ぶとしたらこれをお勧めします。

その一方、2倍と3倍を2台もつ楽しさ(比較や二人で見る場合など)もあるので、Super WideBino36を1台だけにするのと迷います。いや、いっそのこと3台買ってしまうのが一番幸せかもしれません。ちなみに私は手持ちで11台の星座ビノがあるので、3台くらいなら全然アリだと思います。


まとめ

今回はハイレベルな星座ビノの比較となりました。星座ビノに一般的な2倍という倍率でも、機種によっては性能差があることがわかり、一部は3倍相当の星の数が見えることがわかりました。市販されている星座ビノの種類もかなり増えてきていますが、今回満を辞して手に入れたSuper WideBino36は、現行モデルでその可能性を味わうことができます。まだまだ星座ビノも発展する余地があるのかもしれません。



Vesperaを借りることができました

電視観望関連の評価で一体型のものを一度触っておく必要があり、今回サイトロンさんにVesperaかStellinaをお借りできないかお願いしました。「Vesperaならすぐに手配できます」ということですぐに送ってきて下さいました!ものすごく素早い対応、本当にありがとうございました。その後なかなか晴れなかったのですが、やっと少し晴れた日があり、試用してみました。

今回の目的は、一体型の電視観望機器を触って感触を得ること、これまでの電視観望とどう違いがあるのか比較することです。そういった意味では今回十分なインパクトを味わうことができました。アマチュア天文の視点になりますが、レポートしてみようと思います。


Vesperaについて

IMG_6567
実際の送付は、さらにこの外側の段ボール箱に上記の箱が入っています。

Vesperaはフランスのvaonis社が開発している一体型の電視観望望遠鏡です。本国フランスではすでに発売されているようで、おそらくUS$だと思いますが、2022年9月現在$2499となっています。日本ではサイトロンが取り扱う予定になっていて、発売開始は以前は今夏とのことでしたが少し遅れているようで、現在は発売時期、価格ともに未定になっているようです。

日本ではまだ未発売ですので、今回はVesperaの導入を考えている方や、純粋にVesperaに興味がある方を念頭に、使用感、使い勝手、ファーストインプレッションなどを中心に書いていきたいと思います。


開封

箱を開けると、本体(鏡筒、経緯台含む)、専用のコンパクトな三脚、電源関連、専用の水準器が入っています。
IMG_6568

本体以外の中身はこんな感じ。

IMG_6569

マニュアルの類は何も入っていません。とりあえず見た目ですぐにわかる三脚を組み立て、本体を載せてみます。本体の形を見てもわかるとおり、とてもスタイリッシュでシンプル、かなりかっこいいです。重さも5kg程度と、子供でも十分運べるくらいの重さです。


組み立てはとても簡単

IMG_6571

ぱっと見LEDがあるくらいで、押しボタンとかもなく、それ以上はよくわからないのでマニュアルを「vespera manual」で検索して探してみます。

すぐにここからリンクが見つかります。どうもヘルプページも充実しているようです。こちらはそのリンク先でマニュアル直リンクになります。

但し、マニュアルといっても本体機械の説明マニュアルで、操作そのもののことはほとんど書いていません。それでも重要な、電源の入れ方とアプリのことが書いてありました。電源ボタンは本体横にあるリング状のLEDのところの真ん中で、押すタイプのボタンではなく、タッチするタイプのボタンでした。

電源オン 

実際に電源を入れてみます。本当にこの部分を触るだけです。

IMG_6576


アプリで操作

アプリは「Singularity」という名前で、App SgtoreやGoogle PLAYで手に入れられるということもわかりました。「Singularity」という名で検索すると他にもいろいろ出てきたので、「Singularity vespera」と検索するとすぐに出てきました。

私は最初大きい画面がいいのかと思い、iPad Proにダウンロードしましたが、WiFiをVesperaに繋ぐ必要があり、インターネットに繋げなくなってしまい、天気など一部情報が見えなくなってしまうので、途中からiPhoneにして、Vesperaとインターネット接続を併用しました。

最初ユーザー登録をする必要があります。その後WiFi経由でVesperaと接続し、Initializationをします。本体マニュアルに
  • Initialzation
  • Object choice
  • Pointing and settings
  • Observation
  • Saving and sharing pictures
の5つのステップを踏むと書いてあったので、見通しがたちました。


設置

Vesperaを外に設置する際には、空が広くひらけている場所を選ぶべきです。初期アラインメントの時に、適当な方向を向くのですが、向いている方向に山や建物など障害となるものがあり星が見えないと初期化が完了しません。

さらに、水平を取る必要があります。付属の水準器を本体のバッテリーケーブルを指すところに取り付け、本体が水平になるように三脚の端部のネジを回して脚の長さを調整します。これは電源を入れる前にやっておいた方がよくて、うまく水平出しが終わってから電源を入れて、次のInitializationに進みます。


いよいよ操作、最初は初期化

Initializationはボタンを押すだけで基本何もしなくていいです。
IMG_6580

Vespera本体が動き出し、鏡筒部が上を向きます。
IMG_6582

その過程で、ピントもフォートフォーカス機能で自動で出してくれます。
IMG_6584

数分も待っていると準備完了。これで天体を導入してみることができます。拍子抜けするくらい簡単です。
IMG_6586


初トライはM13を見てみる 

次は見たい天体の選択です。今見えるお勧めの天体がズラーっと表示されるのはいいですね。とりあえず一番最初に出ていたM13を選んでみました。右隣にはM27が出ています。天体の左上に出ている15minとかいう時間は、15分間ライブスタックしていると綺麗な画像になりますよとかいう意味です。
IMG_6588

M13を選ぶと、その時間の意味や高度や方角も出てきます。
IMG_6589

ここでOberveを選んぶと自動導入の開始です。導入の間に英語ですが、目標までの角度と共に解説が出るなど、かなりの親切設計です。
IMG_6590

ターゲットの方向へと向き終わり、最初の露光の間はこんな画面が出て、
IMG_6594

準備ができると目的の天体(この時はM13)の画像が現れます。
FA822202-16B0-46A3-93D5-021F2EEAFA64

上の画像は10秒露光で1ショットです。しばらく待っているとどんどんライブスタックされていきます。下は6枚ライブスタック時点です。右下の数字が6になっているのがわかります。
DCB09838-2522-42BE-8EA7-E072E433BE49

ここからさらにスタックして、10分ほどしてから画像ファイルとしてスマホ上(iPhoneだと「写真」アプリに取り込まれ、普通の写真画像のように保存されるようです。)に取り出したものが下になります。そのまま取り出しただけで、手元で画像処理などは一切していません。
8E68C534-80ED-40C8-BE92-25613257DB6E

これをみる限り、電視観望ついでの簡易的な撮影としては十分な画質だと思います。何も処理せずにこれだけの画像になるのなら、初心者にはかなり楽しめるのではないでしょうか。

ちなみに上の画像はjpeg撮って出しなのですが、以下のようなオプションをオンにすることで16bit TIFFで保存することもでき、後で自分で画像処理するための画像として保存することもできるようです。
23233B50-1467-4429-9675-355E5AC8B487

これ以降は、以下のように設定しました。
CBBED216-1739-46BF-AD7B-A18C4C8972AF


次はM27亜鈴状星雲

次はM27亜鈴状星雲を試してみます。1ショットと
FBE9CE57-7E21-47A8-8464-61ACDF9165C6

35スタックでトータル5分50秒露光。
040A0A8D-E758-43D3-8B26-4257B052BFF6

保存された画像は以下のようになります。
4E20A89C-8242-4550-B850-DDCA67E91757

輝度の高いM27はかなり綺麗に見え、画像も十分鑑賞に堪えるものが得られることがわかります。


網状星雲

それでは、もっと淡い星雲、例えば網状星雲はどうでしょうか?推薦画面を見ると、60分露光すると良いと出ます。
ADC5935D-D68A-4874-909C-F8E3A2458CD5

とりあえず今回は60スタック、トータル10分露光です。
106BBB7F-5533-4311-B801-2F06D9FB3BF6

やはりちょっと淡いですね。自宅でノーフィルターでの画像なので、これくらいで十分納得です。

フィルターに関しては、Vesperaの場合は専用フィルターがオプションで提供されるようです。せっかくサイトロンから発売される予定なので、QBPやCBPを取り付けられるように開発などしてもらえると、日本向け製品としてかなりのアピールになるかと思います。


M57惑星状星雲

では逆に、小さいけれども輝度の高いM57惑星状星雲ではどうでしょうか?

C31017BC-4A64-4950-8EFB-B453CE14097C

鏡筒が焦点距離200mmなのでかなり小さく写りますが、解像度としては十分そうです。画面上で拡大してみます。

1DE45F17-B639-4233-BA24-AEB0096CEC63
かなり拡大しているので、恒星も少し大きくなってしまっています。問題はM57自身が少し明るすぎることです。なんとかできないかと、マニュアルを読んでみるとエキスパートモードというのがあり、露光時間を調整できるようです
B5800B37-163F-41A6-BBA0-B15D73BD93F5

ただしエキスパートモードでターゲットの天体を導入するのには、天体の名前ではなく、下の画面のように赤経、赤緯を直接打ち込まなくてはならないので、少し手間で、通常使用するような想定ではないようです。
B5800B37-163F-41A6-BBA0-B15D73BD93F5

それでも試しにエキスパートモードでM57を導入し、現在の露光時間の10秒を半分の5秒とかに短くして再度M57を見てみます。50ショットのライブスタックでトータル2分10秒です。
AAEAB3E2-11F1-43A1-A54E-BCD0197A827B

他のもっと短い露光時間も試してみたのですが、基本的には1ショットの露光時間を短くしてもノイジーになる方向で、SharpCapなどで言うブラックレベルを調整できるわけではないようです。ここら辺は簡単さと自由度のトレードオフで、最初のうちは不満ないかもしれませんが、Vesperaに慣れてもっと色々やってみたくなった際には、もう少し調整できるパラメータを増やしてもいい気がしました。

具体的にいうと、エキスパートモードでも天体を指定しての自動導入を可能にして、ヒストグラムを表示しながらブラックレベルとミッドレベルを調整できるようになると、ハードに手を加えることなくソフトだけで一気に見える範囲が広がるはずです。くれぐれも初心者に対する簡単さを壊すことなく、エキスパートユーザーのための拡張機能として、アプリ側をもう少し充実させていけば、息の長い製品になると思います。


その他の天体

他に見た天体を載せておきます。時間も限られていたのであと3天体です。

まず北アメリカ星雲。カリフォルニカらメキシコ部分ですね。網状星雲と同じで、大きくて多少淡いので、一部しか見えません。光害防止フィルターを入れることが可能になれば、見栄えが全然変わると思います。
3645FB4F-13BF-46FE-A879-098B682570CE

次はM17オメガ星雲です。大きさ的にも明るさ的にもちょうどいいくらいで、見応えがあります。わずか2分露光でこれくらいです。
F6B49FD2-25BE-47FD-A577-21B3E438527F

最後はらせん星雲です。1-2ショットでは全然出ませんが
2D3BB77B-EF18-4AF3-AB2C-3F47DC53EB26

スタックを重ねると出てくる星雲の典型で、10分露光でも見栄えは全然変わります。
43F8639C-28D7-4056-A5F4-446C8C1260E5
もう少し長い時間露光すれば、かなり見応えが出てくると思われます。


一体型の操作性

この日、Vesperaを使って7つの天体を見ました。操作を進める過程はとにかく親切で、ほとんど何も迷うことがなかったです。実際のSingularityの操作も、天体を見るまでマニュアルなど見る必要もなく、箱を開けてから小一時間で観望まで辿り着けました。

これだけ親切なのは、既存の電視観望とは全く違います。これなら全くの天文初心者でもほとんど問題なく天体までたどり着けるのかと思いました。実はここら辺が味わいたかったところで、普段のSharpCapでの電視観望とどれくらい違うかと比較したかったのです。簡単だろうとはある程度予想していましたが、ここまで親切だとは。気をつけるのは水平に置くことと、ある程度空が開けたところで試すことでしょうか。空が狭いと、初期アラインメントの時に向いた方向に星がないことがあります。ホントそれくらいです。ピントも自動で合わせてくれるし、見頃な天体も紹介してくれるし、天体の解説も詳しいし、想像していたより遥かに楽でした。これなら本当に初心者でも簡単にDSOが楽しめると思います。

逆に、あまりに簡単で何も調べなかったりすることもあり得そうなので、せっかく天体を見たら、別途色々調べてみることを頭に入れておいた方がいいくらいかもしれません。そうすることでより興味が湧き、長期で楽しむことにつながるかと思います。


まとめ

初めての一体型の電視観望でしたが、想像より遥かに親切にきめ細かく作り込まれていることがわかりました。これなら天文初心者にも十分に勧めることができます。あとは販売時期と値段でしょうか。ドルでの価格を見てみると、日本での販売価格は個人で初めて買うには少し高価になるのかもしれません。それでもコンパクトかつスタイリッシュで、鏡筒やカメラ、アプリまで含めて一体設計で、全くの初心者が確実に星雲星団など見えると考えると、それだけの価値は十分にあるのかと思います。また、科学館など公共の観望会で使うために、安定した電視観望を提供するという意味では十分な効果が見込まれると思います。

今回、一体型電視観望機器の様子を実際に操作してみて、どのようなものなのかかなり細かく知ることができました。突然の申し出にもかかわらず、快くVesperaをお貸しいただいたサイトロンさんに感謝いたします。どうもありがとうございました。
 

長く続いてきたSV405CCの評価も佳境になってきました。今回の記事は作例とともに、青ズレの謎に迫ります。さてさて、どこまで解明できるのか?


北アメリカ星雲再び

まずは作例です。今回の一連の記事のその2で出した北アメリカ星雲の再撮影です。

目的は2つ、
  • 前回の撮影は透明度がかなり悪く、階調がほとんど出なかったので、そのリベンジ。
  • 四隅の流れを改善しておきたい。
といったところです。本当はあと一つ、あわよくば青ズレを直す方法が見つかったらと思いましたが、この時点ではそれは叶いませんでした。

まず透明度ですが、今回の撮影では白鳥座の羽の先が見えるくらいよかったです。その影響はかなり大きく、見た目だけなら今回の3分露光の1枚で前回の全スタック分くらいの諧調が出ています。(アップロードの関係でサイズを各辺半分にしています。)

2022-07-02_00-00-47_NGC 7000_180.00s_g120_0.10c_0050_low

依然青ズレは出ていますが、これならインテグレーションしたら階調に関してはかなり期待できそうです。

もう一点、マルチフラットナーを使っているにもかかわらず、前回までバックフォーカス長を適当にとっていたため、SV405CCでもASI294MC PRoでも、いずれの撮影にも関わらず四隅の星像が流れまくりでした。

2022_07_01_01_39_49_M_20_180_00s_g120_0_10c_0034_mosaic
前回までの間違ったバックフォーカスでの四隅の一例。

タカハシの鏡筒はCanonやNikonといった、一眼レフカメラのバックフォーカス長に合わせてアダプターなどの製品を提供しています。今回は手持ちのタカハシ純正のCanon用の一眼レフカメラ用のアダプターを使ってマルチフラットナーのバックフォーカス長に合わせるようにしました。このアダプターに合わせてCMOSカメラを使う場合は、例えばZWOから出ているCMOSカメラとCanon EFマウントに変換するアダプターを使うこと、ほぼ何も考えることなくバックフォーカス長があった状態にしてくれるので楽です。

今回は、かなり前に買ったZWOのCanon EFマウントアダプターを使ってみました。現行モデルはフランジ長が固定ですが、初代のZWOのCanonマウントアダプターはフランジ長を1cm位調整できます。CBPを取り付けたくて、SV405CCに付属の1.1.25インチフィルター用のリングをセンサー部に取り付けたので、ZWOのCanonマウントアダプターは少し手前で固定されるはずです。そのため、マウントアダプターの長さは最短に調整しました。この状態で四隅を見てみると、

2022_07_02_00_00_47_NGC_7000_180_00s_g120_0_10c_0050_mosaic
のように四隅の流れはほぼ無くなりました。

その後、撮影前に少しだけ青ズレを直せないか試したのですが、この日は結局太刀打ちできず、透明度も良くて時間ももったいなかったので、そのまま撮影続行としました。結局天文薄明開始までの午前3時前まで3分露光で72枚撮影しました。前半は雲が通ることも多かったですが、後半はずっと快晴でした。使えたのは雲のない44枚の2時間12分ぶんでした。


画像処理

インテグレーション直後の画像をオートストレッチしたものです。

integration1

一部拡大するとわかりますが、依然青ズレがあります。

integration1_Preview01

もう一つ、今一度上の画像をクリックして拡大して見てもらいたいのですが、微恒星の中心が暗く抜けてしまっています。最初はピントが合っていなかったと思っていたのですが、実際にはかなりピントは気を付けて合わせているにもかかわらず、ほぼ毎回こうなります。また、そーなのかーさんがSV405CCで撮影した画像も同様に中心抜けになっているようなので、どうもこれはピンボケというよりは何か系統的に問題があるような気がしています。

恒星に関しては仕方ないとして、そのまま画像処理を進めます。

途中やはり恒星部分で苦労しました。一番大変だったのは、StarNetのバックグラウンドと恒星部の分離の時に、色ズレのせいかハロの部分がバックグラウンドと認識されてしまい、ここを誤魔化すのが大変で、最後まで不満が残ってしまいました。

Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT_bg

パッと見はわかりませんが、B画像を抽出してみると同様のハロが他にもたくさん残っていて、あぶり出しとともにたくさんのハロが目立ってきます。

結果


Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT3_cut_tw
  • 撮影日: 2022年7月2日0時38分-2時53分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: SIGHTRON CBP(Comet BandPass filter)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: SVBONY SV405CC (0℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分x44枚で総露光時間2時間12分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 0.3秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

淡いところの階調もかなり出ています。前回の透明度の悪い時より相当良くなっています。庭撮りでここまで出るならまあ満足でしょう。あとはやはり恒星です。

普通ならここでおしまいなのですが、もう少し続きます。ここから大きな進展です


青ズレ検証その後

上の北アメリカ星雲の撮影のあと、もう少し青ズレに関して何かわからないかと思い、後日いろいろ試してみました。ただし雲が多く出ていたので、その隙間でのテストであまり時間をかけることができませんでした。

とりあえず、SharpCapで3分露光を何ショットか撮影しました。最初のショットがやはりこれまでのように暗くなるのが再現され、やはりドライバーレベルで何かやっているのかと思います。この時、雲の動きが速く、雲間が貴重なためにすぐにNINAに移りました(ここで焦っていたのが後で効いてきます)。

NINAでは少し雲が薄くなってきて余裕も出てきたので、じっくり青ズレを見ながら、ASI294MC Proとも交換しながら、何が問題かじっくりみることができました。

一つ疑っていたことがあって、オフセットが40と小さすぎることが原因ではないかということです。SV405CCの場合、オフセットは最大255まで設定でき、今回はわずか40と、最大の6分の1くらいとしています。ちなみにASI294MC Proの場合は最大80で半分の40としています。前回のPedestalの記事であったように、オフセットが低くて輝度の低いところが問題を起こしているのかと思ったわけです。でもオフセットが40の場合でも、120にした場合でも、青ズレに関してはなんら違いが見られませんでした。なので、オフセットは無関係かと思います。

結局、このとき画面を見ながら出した結論は、ASI294MC Proでは何をどうやっても(ゲインやオフセット、露光時間など)青ズレのようなものは出ない、その一方SV405CCでは何をどうやっても(こちらおゲインやオフセット、露光時間など)青ズレを消すことはできない。ということでした。

その後、改めてSV405CCのRAW画像を、RGBで分離して見たり、4つのセグメントごとに見たりしました。
  • SV405CCのBayer パターンがなぜかGRBGであること。ASI294MC ProはRGGB。
  • でもなぜか星雲の濃さから判断するとCF0:G1, CF1:B, CF2:R, CF3:G1のように見えること。
  • CF2の恒星中心部近くに極端に暗くなっている欠損部が多いこと。輝度は周りの1%程度であるが0でないこと。
  • CF1に星の中心部近くに輝度が完全に0のところがあること。CF2ほど欠損の数は多くないこと。
などがわかりました。そーなのかーさんも同様のレポートをしていたので、再現性もあるようです。

結局、この時点ではどうすることもできなくて諦めて、次はNINAで触れないパラメータをいじってみるのかなと思っていました。というのも、CMOSカメラはどこかに設定が保存されていて、例えばSharpCapで触った設定が、FireCaptureを立ち上げるとそのまま引き継がれるというようなことがあるからです。


なんと、原因判明!

そんなことを考えながら昨晩、上の北アメリカ星雲の画像処理を終えて、次回テストの準備をしようと思い、「そういえばSharpCapでSV405CCで撮影した画像があったなあ」と何の気無しに開いてみたら、どこをどう見ても青ズレが見えません。

Capture_00001_20_47_33_RGB_VNG
SV405CCでSharpCapで撮影。青ズレは皆無です。

2022_07_04_21_28_47_NGC_7000_30_00s_g120_10_00c_0084
上の画像の直後にSV405CCでNINAで撮影。明らかに青ズレが出ています。

わかりやすいように拡大して比較して見ます。
ShapCap_NINA_SV405CC
左がSharpCap+SV405CC、右がNINA+SV405CCです。

明らかに違いがわかると思います。ただし、SharpCapでの露光は180秒、NINAでの露光は30秒です。露光時間が逆だったらまだ疑いの余地もありますが、NINAでわずか30秒で青ズレが出てしまっているので、結論は覆らないでしょう。これは明らかにどうやっても青ズレが消えなかったNINAとは、状況が全く違います。

カメラのドライバーはSharpCapでもNINAでも同じ「SVBCameraSDK.dll」を使っています。一応念のために改めて確認しましたが、SVBONYで配布されている1.7.3のカメラドライバーを普通にインストールしたあと、SharpCapは最新版を改めてインストールすると、SVBCameraSDK.dllに置き換わっていました。その一方NINAでは現在の最新版でも、カメラドライバーは最新のものに自動的に置き換わらず
、その前に使っていた1.7.2のままだったので、マニュアルでSharpCapにインストールされていたSVBCameraSDK.dllをNINAの方にコピペして、改めてNINAを立ち上げて1.7.3になったことを確認しています。

ここまでの検証が正しければ、最新版のNINAでの読み出し方の問題ということになります。


よく考えると、SharpCapで撮影した時は雲が流れてたので、時間がなくあせっていて青ズレをきちんと画面で確認していませんでした。そういえばSharpCapで電視観望した時もSV40CCで青ズレが出なくて、彩度もSV405CCとASI294MCで変わりがなかったことを改めて思い出しました。この時は露光時間が短かったからかと思っていましたが、どうもNINAとSharpCapの違いの方が濃厚そうです。

今のところCMOSカメラを使ってのDSOの撮影はShaprCapではディザーガイドがやりにくいなど、NINAやAPTなどに頼らざるを得ません。SV405CCはAPTは対応していないので、実際はほぼNINA一択になるかと思います。NINAでこの青ズレがある状態は致命的です。

というわけで、SVBONYさんの方に今回の結果を報告し、開発陣に連絡してもらうように頼みました。これでキチンとNINAでも対応してくれるように手配してもらえれば、青ズレ問題はとりあえず解決することになりそうです。

今の段階であとやれることは、次に晴れた時に改めてSV405CCを使ってSharpCapで撮影、画像処理までしてみて、(ディザーはやりにくいのでパスするかもしれませんが)青ズレが出ない仕上げ画像まで作ってみることでしょうか。


まとめ

ここまでの結果が正しいのなら、問題はハードではなくてソフトで解決できるということになります。ここが切り分けられるだけでも、かなりSV405CCの未来は明るくなります。その際、彩度がこれまで通り出なくなるのかちょっと気になりますが、まあ優先度としては次の話でしょう。

SV405CCの初期の評価、長かったですがやっと解決につながる道を見つけることができました。やっとあぷらなーとさんにお渡しすることができそうですが、どうもあぷらなーとさん骨折で入院しいるとかで心配です。焦らせてしまっても申し訳ないので、活動できるようになってから渡るようにしたいと思います。


前回の撮影時の記事から少し間が空いてしまいましたが、前回FS-60CBでSV405CCとASI294MC Proで撮影した画像を処理してみました。

 

この撮影後、6月13日付の新しいドライバーが発表されましたが、今回の記事はその前の6月11日にメールで送られてきたものを使っています。そのため(おそらくゲイン120以上で)HGCモードに入りますが、さらにゲインが200プラスされた状態で撮影されています。今回はゲイン120としましたが、実質は320と同等と推測され、ダイナミックレンジが犠牲になっていますので、その点ご注意ください。


共通条件

撮影日の透明度がかなり悪かったため、ここでは比較することを主目的とし、仕上げはさらっと軽めに処理するだけにしました。撮影については、後日透明度のいい日にリベンジしたので、最終画像は後で示します。

ASI294MC ProとSV405CCで共通の事情は、
  • 鏡筒はタカハシのFS-60CB。赤道儀はCelestronのCGEM II。
  • マルチフラットナーをつけていますが、1.1.25インチのノーズアダプターをつけているので、バックフォーカスが合ってなくて、四隅が流れてしまっています。
  • 冷却温度は0℃。
  • 光害防止フィルターとしてCBPの1.25インチをノーズアダプターの先に付けています。
  • 120mmのサイトロンのガイド鏡にASI120MMをつけて、PHD2でガイド。
  • 1枚あたりの露光時間は3分で、10枚に制限し、トータル30分の露光時間。
  • ゲインは120ですが、SV405CCはドライバーがまだ改良途中で実質ゲインが320になっていると思われます。
  • 公平を記すために同日の撮影にして、SV405CCで15分、ASO294MC Proで30分、さらにSV405CCで15分撮影した画像を使用しています。
  • 画像処理はPixInsightでWBPPを使いインテグレートまでしたのを、オートストレッチしています。
となります。


ASI294MC Proの画像(参照)

まずはASI294MC Proです。最初の画像処理でフラット画像に問題があることがわかり、フラットを後日再撮影しました。そのためライトフレーム撮影時についていたゴミが、フラット撮影時に取れてしまったようで、ペリカンの目の下あたりと、下辺中央あたりに丸い大きなスポットが残ってしまいました。カメラの評価にはあまり関係ないのでそのままにしておきます。

下の画像がPixInsightでスタックしてSTFとHTでオートストレッチストレッチだけした画像です。あまり主観的な操作が入っていない段階のこれで比較します。

ASI294MCPro_autostretch_180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

この時のヒストグラムは、再掲載になりますが

histgram_ASI294MCPro

となります。至極真っ当そうに見えます。


SV405CCの画像

一方今回の評価対象のSV405CCの画像です。同じく、PixInsightでスタックしてSTFとHTでオートストレッチストレッチだけした画像です。

SV405CC _-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

ヒストグラムは

histgram_SV405CC

となります。まだドライバーでおかしなところがあるため、ゲインを120と設定しても実質のゲインが320
となっていると思われ、同じゲイン設定のASI294MC Proのヒストグラムに比べて全体に右にシフトしていています。120と320で10倍違うはずなのですが、平均は4186から7385と2倍にもなっていないので一見おかしいと思うかもしれません。でもオフセットの値込みの平均値なので10倍になっていないのは問題ないです。

おかしなところは2点、
  • 赤のノイズの広がり方が大きすぎること
  • 60000(最大値の65536でないところが不思議)くらいの値のところに大きなピークがあること
です。その後、ドライバーをアップデートすることで、前者の赤のノイズのおかしいところは解決されることがわかっています。ですが、60000のところのピークは最新ドライバー1.7.3でも解決しないことまでは確かめました。

後もう一つ気になるところは、120秒以上の露光でアンプグローがなくなるというSVBONYの説明です。ですが、マスターダークフレームを見る限り、アンプグローは残っているようです。

masterDark_EXPOSURE-180.00s

それでも撮影時に気になることがあって、ほぼ毎回ですが、長時間露光の場合、一連の露光を開始する最初の1枚だけ、画面全体が暗いです。SharpCapでの撮影もNINAでの撮影も同じです。もしかしたら何かしようとはしているのかもしれませんが、ダークフレームでみて上の様になっているので、少なくともまだうまくいっていないようです。次の最新のドライバーでも注目したいと思います。


比較

両画像を比較してみましょう。オートストレッチ後なので一見どちらもよく似ていて、両者それほど変わらないように見えます。両方とも左が明るく、右が暗いような、1次のカブリがあります。これは左が北側に近く、富山の街の明かりが効いているものと思われます。

あえて言うなら、SV405CCの方が少し赤や緑が濃いでしょうか。でも誤差の範囲の気もします。

大きく違う点は、恒星です。中央下の二つの並んだ星を見るとわかりやすいでしょうか。

starspsd
左がASI294MC Pro、右がSV405CC

一見SV405CCの方が彩度が出てると思うかもしれませんが、よくみると明らかな右上方向への青ズレのようなものが出ています。

実はこれ最初は見逃していて、ここまで拡大することなく、遠目で単に色が出てる恒星だなと思っていたくらいでした。SV405CCで北アメリカ星雲をさらに1時間30分撮影したのですが、その画像処理の時に青ズレが出ているのが気になって、最後までどうしても残るので元を辿っていくと、一枚一枚のライトフレームに載っていることがわかりました。

最初、CBPでのゴーストかとも思ったのですが、ASI294MC Proでこれまでも今回もそんなことに困ったことはないのでおそらく関係ないです。FS-60CBの収差かとも思いましたが、それならやはりASI294MC Proでも出てもいいはずです。この青ずれの方向が常に一定なのも気になります。

とりあえず比較はここまでにして、これ以降は透明度の悪い日の高々30分露光の画像で処理を進めても、あまり意味はなさそうなので、次はこれ以降にSV405CCで撮影した1時間半の画像での処理を進めます。


画像処理

次に気になったのが、SV405CCの画像にPCCをかけた時、同パラメータをいじっても背景が青や緑に寄ってしまうことです。。BackgroundNeutralizationでパラメータをかなりいじって試しても同様だったので、画像の方に何か問題がありそうです。いろいろ探っていって、どうやらRのノイズ幅がおかしいことが原因という結論にたどり着きました。上で見せたSV405のRGBのヒストグラムで赤の幅が大きく、山の高さが低いことです。このグラフの縦軸はlogスケールなので、あまり差がないように見えるかもしれませんが、実際にはGBと比べて1/3から1/4ほどです。

histgram_SV405CC

PCCやBackgroundNeutralizationは幅の方は補正してくれますが、高さの補正はしてくれないようです。そのため、今回はLineaFitで高さを合わせました。しかも1回ではまだ合わせきれなかったので2回LineaFitをかけ、その後PCCをかけると、やっと背景もまともな色になりました。この変な赤の振る舞いは、6月13日付のドライバーをインストールした後は出ていません。もし古いドライバーを使って撮影している方は、最新ドライバーにアップデートしたほうがいいでしょう。

PCC後はストレッチなどした後に、Photoshopに受け渡しました。上で述べた青ズレは仕方ないものとして画像処理を進めました。なので、恒星がいまいちなのは気にしないでください。また、透明度が悪かったためにノイズ処理などもしているので、カメラの性能をそのまま見ると言うよりは、SV405CCで少なくともこのくらいまでは出せるという目安くらいに考えてください。

Image94_clone2

透明度がかなり悪い日の撮影にしては、そこそこ色も出ているのではないでしょうか。この後、透明度のいいに日再度同じ画角で撮影しているので、随時画像処理していきます。


まとめ

今回の記事を書くのにものすごく時間がかかりました。理由は青ズレの解明でかなりの時間を使ったからです。

SVBONYさんとも連絡を取りながら、欠点もブログで正直に書いていくということ、そして開発側にフィードバックしてさらに改善していくことを互いに確認しました。ここらへんはメーカーとしての基本方針のようで、かなり好感の持てるところです。SVBONY初の冷却カメラです。ユーザーとしても新たなカメラメーカーが選択肢として出てくるのは大歓迎です。今後の成長も含め、できるだけ協力し、期待したいと思います。

まだ青ズレの原因は完全にはわかっていませんが、今回の一連の記事の中でできるだけ理由に迫ってみたいと思います。

次回の記事から新型ドライバーを適用します。さて、どこまで改善されているのでしょうか?


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露


庶民の味方SVBONYから新しいCMOSカメラ、SV405CCのレビューを頼まれました。天気がなかなか安定せず撮影はまだですが、少し触ってみましたので、一部ですがレポートします。


SVBONYのカメラ

そもそもSVBONYのカメラはSV105から始まります。私は購入していませんが、当時から7千円ほどと圧倒的に格安で、2018年の京都るり渓の「星をもとめて」で少しだけ触らせてもらったことがあります。露光時間が500msにハード的に制限されていたため、惑星などの用途に限られていましたが、その価格は将来のカメラのアプデーとを期待させるものでした。

次のSV205はUSB3.0を採用し、価格も1万円程度で安価という方針は変わらず。IMX179というセンサーで、ピクセルサイズが1.4μmとかなり小さく、電視観望用途では厳しそうだったため、私は触らずじまいでした。

次のSV305はフィルターの有無などでいくつかのバージョンが販売されました。その当時やはり同クラスのカメラでは最安値で2万円程度でした。私はサイトロンからでたSV305SJのプロトタイプを使わせていただきました。オリジナルのSV305が赤外線カットフィルターを内蔵していて、Hα天体を見るためにフィルターを割って使っていた方もいました。当然保証外になってしまうため、SJバージョンではそのフィルターを普通のクリアフィルターにし、UV/IRカットフィルターを添付してHα天体の撮影に対応したものです。そのカメラとEVOGUIDE 50EDを使い、電視観望で2021年のCP+で発表させていただき、かなりの反響を得ることができたのかと思います。

今回のSV405CCは満を辞しての冷却カメラ、しかもセンサーは定評のあるフォーサーズサイズのIMX294です。ここまでくると、DSOなどの本格撮影も視野に入ってくるので、カメラの性能が結果を大きく左右します。そんなカメラのレビューを頼まれましたので、気合を入れて解析です。


SV405CCの到着

もともとゴールデンウィーク頃には届くと聞いてたいのですが、実際の出荷が5月末、自宅には6月初めに到着しました。到着早々からでしょうか、早速各ユーザーからいくつかのレポートが上がってきていています。XRAYさんからは作例としてM8を撮影されていて、SVBONYの公式ページにすでにアップロードされています。

さて、私も少しづつですがテストをしています。他のユーザーと重なる部分もありますが、やっていることを書いていきたいと思います。

まず、梱包ですが、カメラ以外のパーツに至るまで3重、カメラはケースを入れると4重になっているので、かなり安心です。実際一番外の箱は輸送の過程のせいか、かなりへこんでいました。

CCA32F64-5F26-470C-89C7-B7BAA4FC0AAF

カメラケースはしっかりしたものです。
EED93A04-F1C4-421C-A4A0-217FA02A29A6

このケースですが、カメラにピッタリサイズで、個人的にはもう少し深く作っても良かったのかと思います。例えば初期の頃のASI294MC Proでは実際のカメラよりもケースが深く作られていて、1.25インチのノーズアダプターをつけたまましまうことができます。ところが、ASI294MM Proではケースサイズが小さくなってしまっていて、ノーズアダプターを付けるとチャックを占めることができません。SV405CCのケースは残念ながらMMの小さいケースと同じくらいの大きさでした。コストもあるかもしれませんが、こういった付属品などもユーザーよりの目線で考えてもらえるといいのではないかと思います。

関連してですが、1.25インチのノーズアダプターの先につけるキャップは付属されていません。大したものではないかもしれませんが、使い勝手を考えると付属してもらったほうが戸惑わないと思います。

ノーズアダプターはあくまで脇役なので、2インチキャップが付属されていればいいと考えてあるのかもしれません。問題はその2インチのキャップサイズが微妙に大きく、はめてもスカスカですぐに外れてしまいます。私は操作時、保管時含めて、にホコリの付着を防ぐためにセンサー面を下向きにして扱います。ケースに入れるときも当然下向きに入れます。その際にキャップがスカスカだと安心してケース内に入れることができません。このキャップは是非とも再検討して欲しいと思います。

さて、カメラを机の上に置いてみたら、妙に安定するなと思ってよく見たら、カメラ筐体の下面に切り欠きが入れてあるのに気付きました。写真でわかりますでしょうか?

CD976838-7E4F-4557-A1B8-13B5C385A1E9

水平で安定するのでこれはいいです。惜しいのは、前面と後面についている円盤には切り欠きがされていないため、円筒部の切り欠きの効果がほとんどなくなってしまうことです。あとこの切り欠き、3方向なのですが、できれば4方向がよかったです。4方向にあれば撮影時に切り欠き面に合わせるなどの応用ができそうです。


まずはSharpCap付属のドライバーで触ってみる

最初のテストはSharpCapで行いました。ドライバーはSharpCap標準です。そのためSharpCapは最新バージョンにアップデートしておく必要があります。私が試したのは6月6日更新の4.0.9011.0です。いくつか気づいたことを書いておきます。

露光時間ですが、きりのいいのが設定できない時があります。例えば5msと指定しても4.99msになるとか、6msとしても6.01msとかになってしまいます。これとよく似た状況はSV305SVの時もありました。ゲインを50の倍数の霧の良い数字にしないと何故か1減った数になってしまうとです。入力した値が渡されるときのどこかの計算式が間違っているのかと思います。

ゲインはかなり制限があります。270までしか上げることができません。このゲインというのは0.1dB単位なので、270ということは27dBに当たります。では27dBが何倍かというと、

27db = 30dB - 3dB = (20dB + 10dB) - 3dB = (10 x 3) / sqrt(2) = 約21倍

までしかありません。ちなみに、ZWO社の同じIMX294センサーを使ったASI294MC Proは570まで上げることができます。570は57dBのことで、57 = (60 - 3) [dB] = 1000/sqrt(2) = 707倍になります。おそらく途中400程度からはデジタルゲインなのですが、それでも400ということで100倍までゲインを上げることができます。DSO撮影時にはダイナミックレンジを保つために低ゲインで使うことが多いので問題ないと思いますが、私がよくやる電視観望ではASI294MCで450程度までゲインをあげるので、やはりせめてもう10倍程度ゲインが欲しくなります。ゲインが足りない分は露光時間を上げる必要が出てくるので、反応が遅くリアルタイム性が低くなる代わりに、リードノイズ的には有利になるかと思います。

日曜に少し晴れそうだったので撮影のセットアップしたのですが、天文あるあるなのか、セッティングがほぼ終わった時点で曇ってしまいました。撮影がまで実行できていないので、操作性などはここまでとして、センサーの解析をしてみました。


参照データ: ASI294MC Pro

まずは参照として、ASI294MC Proを常温状態でSharpCapの「センサー解析」機能を使い、測定してみます。

IMG_5693

測定はiPad ProのColor Screenというアプリで画面の明るさと色を調整し、ヒストグラムのRGBがそこそこ重なるようにしています。

結果は以下のようになりました。
ASI294MCPro
結果を見るとわかりますが、ZWOが出しているデータとほぼ一致しているため、測定はそこそこ正しくされていると思われます。

各項目の簡単な説明

データ項目の詳しい内容はここを見て頂くとして、

 

この記事では各項目ついて簡単に解説しておきます。

1. e/ADU
「コンバージョンファクター」とか「システムゲイン」とか、単に「ゲイン」と呼ばれることもあります。基本的には電子の数とADCのカウント数を変換する係数です。横軸の「Gain」が左側の低い時はe/ADUの値が大きく、多くの電子が入ってやっとADCのカウント数が上がる、「Gain」が右側の高い時はe/ADUの値が小さくなり、少ない電子数でADCのカウント数が上がるという意味です。なんでこんな変換係数があるかというと、様々な結果をADCのカウント数だけで比較すると同一条件で比較するのが難しいためです。その代わりに、全てを電子数の「e」と変換してやることで、結果を公平に比較しやすくするためです。

2. Full Well[e]
これは一つのピクセルがどれだけ電荷を貯め込むことができるかという値です。これ以上の電荷をカウントしたらサチって(飽和状態)しまいます。実際のカウントはADCのカウント数の [ADU] でされるのですが、これを上のe/ADUを使って電子数に換算して評価します。横軸Gainが低い時はより多くの電子を貯めることでき、その一方ADUへの変換効率は悪く、横軸Gainが高い時は貯め込む電子の数は減り、その一方ADUへの変換効率はいいということです。面白いのは、SharpCapの測定結果で試しにこのFull Well [e]をe/ADUで割ると、Full Well [ADU]は16384(=2^14)ぴったりになります。これはSharpCapのセンサー解析があくまで簡易的で、横軸Gain0のときのe/ADUを測定して、後は実測のゲインでe/ADUを割って求めているだけということがわかります。

3. Read Noise [e]
日本語では読み出しノイズと呼ばれています。カメラから画像を読み出すたびに必ず発生するノイズです。読み出しで出るノイズなので、露光時間を伸ばして読み出し回数を減らすと、発生回数を減らすことができ有利になります。電子で換算した[e]で見ると、横軸Gainが高くなるにつれて小さくなり、途中からほぼ一定になることがわかります。これはむしろADUで見たほうがわかりやすくて、上記グラフ最下部にADUに換算したものを載せておきました。このグラフを含めて、ほとんどがlog-logで見るとほぼ一直線になります。

4. Dynamic Range
Full Well[e]をRead Noise[e]で割ったものをビット(正確には2の何乗か)で表示したものです。ADCの分解能の14bitの意味ではなく、実質的に表現できるダイナミックレンジとなります。Full WellとRead Noiseの単位がともに同じeであることに注意してください。このように対等に換算するためにe/ADUというシステムゲインが重要になってきて、互いに割ったりできるわけです。

グラフがとちゅうで折れているのは、ここでアナログアンプのゲイン切り替わって上がり、Read Noiseが[e]単位で見ても、[ADU]単位で見ても減っていることがわかります。Full  Wellやe/ADUはゲイン切り替わりの影響を受けていません。その結果、Dynamic Rangeでも切り替えポイント以降で得をしています。切り替え前、切り替え後でも、いずれも実質的なDynamic Rangeが14bitに到達していないので、ADCの持っている14bitという分解性能で事足りるということがわかります。


SV405CC: 初期ドライバー

さて、参照データとグラフの説明はこれくらいにして、今回のSV405CCをまずは常温状態でSharpCapでセンサー解析してみましょう。まずは最初にリリースされたドライバーでの測定です。

IMG_5700

まず測定中に気づいたことは、感度はASI294MC Proより少し高いのではということです。SharpCapでのセンサー解析に使ったiPadの明るさ設定を、SV405CCの方が暗くしなければスタートできませんでした。この時の設定は、iPad ProのColor ScreenというアプリでR13, G5, B12でした。ASI294MCの測定時の設定がR39, G29, B27だったので、数分の1くらいでしょうか、結構暗くしたことになります。この時、露光時間が512ms, Gain0で測定スタートできました。最近のSharpCapのセンサー測定は非常によくできていて、適切な明るさにうまく導いてくれます。

e/ADUを測定するときに、輝度とその分散の関係が直線にならないという報告が一部からなされていましたが、少なくとも私のところでSharpCapで測定している限りはそんなことはなく、ほぼ一直線になっていました。

IMG_5712

測定結果です。
SV405CC_old_driver
  • まずわかることは、データが全て一直線なので、HCGと呼ばれる、アナログアンプのゲイン切り替えがされている様子が見えません。
  • 先にも述べたように横軸のGainも270までしかないのも大きな差(707 \ 21 ≒ 34倍)です。
  • 次に、e/ADUとFull WellがASI294MC Proと比べて小さすぎます。e/ADUが小さいということは、より少ない電子数でADCのカウントが上がるということなので、感度が良いと思ったことと一致します。
  • [e]で見るRead NoiseはASI294MC Proと比べると一見小さく見えますが、[ADU]で見るRead NoiseはHCGが作動するまでの低ゲインではASI294MC Proと同程度で、結局Dynamic RangeもHCGが作動するまでは同等です。
  • ASI294MC ProはHCGが作動した後の高いゲインではRead Noise、Dynamic Rangeも得をしているため、SV405CCとは大きく差がついてしまっていることがわかります。撮影となると、HCGモードがオンになるところが実際かなりおいしいので、まずはここの改善が必要ということがわかります。

SV405CC: 新ドライバー

2022年6月11日の夕方、ここでちょうどSVBONYから新ドライバーがメールで送られてきたので、入れ替えです。HCGモードがオンになるとのことで楽しみです。

ドライバーが送られたのは一部のユーザーだけのようで、もしまだ新ドライバーを手に入れられていない方は、本国SVBONYのサイトからダウンロードする必要があります。

SharpCapの6月13日の最新バージョン4.0.9033.0で

Fix missing temperature, binning info to FITS files saved from cooled SVBony cameras

と書かれているので、最新のドライバーに変わったものかと思われたのですが、その後調べたらSharpCapには(ドライバーの更新日時から判断したところ)最新ドライバーは含まれていない様で、別途自分でインストールする必要があるようです。なので最新のドライバーを試したい方は、本国のSVBONYのページ、

https://www.svbony.com
 

に行き、上のタブの「SUPPORT」 -> 「Software & Driver」 -> 横の「Windos」と進み、「SVBONY Cameras」の最新版(Release date:2022-06-13以降)をダウンロードする必要があります。


ところがexeファイルを実行してインストールしてからも、SharpCapでの測定結果が何も変わっていないので一旦ここで中止して、ドライバーをよく見てみました。まず、ドライバー内のexeファイルは、ファイル名からASCOMドライバーなのかもとも思えますが、説明がないので不明です。わかりにくかったのは、X64もしくはX86の中のファイルを自分でマニュアルでSharpCapやNINAのフォルダにコピーしなければならないことです。これはRead Me.docを読んで初めてわかりました。もし新ドライバーを個別に手に入れた方は、インストール方法に注意です。

改めてSharpCapのインストールディレクトリ直下のSVBCameraSDK.dllを新しいものに自分でコピペして入れ替え、再度センサー解析をしてみます。結果は?
SV405CC_new_driver

ヤッター!見事段ができていて、HCGモードがオンになったのが分かります。FUll Wellの値も増えました。

ところがこの結果、よく見るとまだ色々おかしいです。本来HCGモードがオンになっても、e/ADUやFull Wellは一直線のままに保たれるべきです。Dynamic Rangeを見ても、結局HCGモードがオンになっている領域でも何も得していないのでこれでは意味がありません。

何が問題なのでしょうか?これはSharpCapの出力結果の、実際に測定されたゲインを見るとよくわかります。横軸のゲインと実測のゲインをグラフ化してみまます。

gain

本来設定したゲインに比例した明るさが実測されるはずで、グラフは一直線にならなければなりません。この横軸「ゲインの設定値」を、縦軸「実際のゲイン」に受け渡すところで、ドライバーないで何か間違えて計算してしまっているのかと思われます。

ここが直ればゲインが高く出てしまっている部分はもっと右にずれます。ジャンプした部分を右に120ほどずらしてやると、グラフが一直線になることから、おそらく(ASI294MC ProでHCGモードが発動する)120から240までがすっぽり抜けてしまっている状態かと思われます。

これをきちんと修正すれば、設定できるGainの範囲が少なくとも270+120=390まで広がり、e/ADUは正しく(実測ではなく)計算されるはずです。その結果、[e]で見たRead Noiseだけでなく、[ADU]で見たRead NoiseもHCGモードで得をするはずで、結果Dynamic Rangeも得をすることになるはずです。

ところでこの390という値に見覚えがある方はいらっしゃいますしょうか?ピンときたか方はすごいです。そうです、あぷらなーとさんによると、階調が14bitから13bitに切り替わる所です。デジタルゲインに切り替わるところかもしれません。ASI294MC Proはここから独自のことをやっている可能性があるので、逆にいうとここまではセンサー固有の同じような性能のはずなので、SV405CCも390までは出ていいはずなのかと思うわけです。



あと、ちょっと微妙なのが、Full WellとRead Noiseが明らかにASI294MC Proより2-3割大きいことです。よく見るとe/ADCも微妙に大きいです。ここは次の課題としたいと思います。心当たりはあって、ある程度の測定結果も得ていますが、まだ確証が持てません。次のドライバーでもしかしたら解決するかもしれませんが、残った場合は再度精査して報告したいと思います。


この時点で撮影する場合

梅雨に入ってしまい、なかなか天気が良くなる見込みもなく、まだSV405CCで撮影できていません。でももし今のドライバーを使って撮影するなら、どこのゲインを使えば良いのか?

上に書いたように、ちょうど旨味のある本来のGain120から240あたりがすっぽり抜けていて、今のところユーザーではそこに設定することができません。明るい天体、もしくは長時間露光でGain0を狙うのはありなのかと思います。今の「設定Gain」を上げると120以降では実際は+130されていると考えるべきで、あまり高ゲインにすることはDynamic Rangeを損なうので注意した方がいいと思います。高いゲインを狙う場合は、無理をせずに新ドライバーを待つべきかと思います。


次の課題

できたら撮影を敢行したいと思います。センサー解析の結果と、撮影画像は必ずしも一致するわけではなく、ノイズの種類によってはDynamic Rangeの不利を回避できるかもしれません。

また、冷却関連も試したいと思います。一部既に試していますので、近いうちにレポートできるかと思います。

実は今私のところにあるこのSV405CC、どうも聞くところによると、次にあぷらなーとさんのところに行くことになっているようです。SVBONYさんからは期限は問わないと聞いていたので結構のんびりしていたのですが、あぷらなーとさんの見解も早く聞きたいのでこれは急がなければと、急ピッチで進めています。あぷらなーとさんからは「じっくり試してください」と言ってもらっていますが、早く晴れてくれないか、撮影だけはやろうと思っています。


まとめ
 
まだドライバーは完全とは言えず、本当はもう少し改善されてから撮影を含めて本格的に試したいと思いますが、あまりのんびりもしていられないようです。実際もう少し試したいアイデアもありますが、どこまで時間をかけられるかが勝負になってきました。

今回の結果は全てSVBONYさんにお伝えし、既にエンジニアの方にフィードバックされたと聞いています。ある意味SVBONY初の、本格DSO撮影用のカメラです。まだまだカメラメーカーとしては経験不足のところもあるかとは思いますが、レスポンスの速さなどからSVBONYの本気度が伺えます。ぜひともきちんとドライバーを作り込み、ユーザーの選択肢の一つとして成長することを願っています。やっぱり冷却でIMX294でこの値段は魅力なのだと思います。



  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露

今回の記事は悪いことをしているので真似しないでください(笑)。

冗談はさておき、撮影の準備をどこまで短縮できるか考えてるのですが、最近大きな進歩があったので書いておきます。


赤道儀のセットアップ

私は普段は自宅での撮影なので、赤道儀が玄関に置いてあります。全部CelestronでAdanced VXとCGEM IIとCGX-Lと、3つあります。

97E8C9BD-8951-454B-9A68-774EBC1A07FA
  • AVXは軽いので、組み上がったまま、ウェイトも鏡筒もつけたまま(クランプは緩めて)運びます。ケーブルまで含めて組み上がっているので楽です。
  • CGEM IIは三脚と赤道儀をまとめて運びます。これで運べるギリギリの重さで、ウェイトや鏡筒が載っているととてもじゃないけど運べません。でもケーブルとかは赤道儀までは接続されているので、まだ楽です。
  • CGX-Lは赤道義単体だけでもすごく重いです。ウェイトバーはまだつけたまま運びますが、毎回三脚から切り離して運びます。三脚も上二つとは段違いにゴツくて、三脚単体で運ぶのだけでも大変です。固定するのはM10のキャップネジ3本なので、載せて固定するのに六角レンチが毎回いるのでちょっと面倒です。ケーブル類も当然毎回接続し直しです。

でも今日の話はこんなことではありません。この後の話です。

三脚、赤道義、ウェイト、鏡筒がそろった段階からは共通で、
  1. 赤道儀についている水準器を使って水平をとる。
  2. SharpCapで極軸を合わせる。
  3. 鏡筒をホームポジションに合わせる。
  4. 赤道儀の電源を入れる。
  5. ワンスターアラインメントで初期導入をする。
  6. ガイドカメラの映像をSharpCap上で大まかにあっていることを確認する。
  7. メイン鏡筒のカメラをSharpCapで見て中心に持っていく。
この中から二つの大きなステップを省きます。この二つはペアなので、片方だけやるとまずいかもしれません。思いついた順で時系列で書きます。


省ける操作1

まず一つは、赤道儀の自動導入は私の場合ワンスターアラインメントなのですが、鏡筒の移動が終わった後に星が視野に入ったことを何も確認しません。その代わりにSharpCapのプレートソルブでズレを確認し、赤道義側にフィードバックすることで自動導入の精度を担保します。プレートソルブで、目的の天体をほぼ視野(例えば焦点距離1300mmでセンサーはフォーサーズサイズくらいの視野でも)の真ん中に入れてくれます。

その際気をつけることは、Celestronのコントローラーの場合、ワンスターアラインメントで導入して、星が入っていない段階で、「Enter」ボタンと「Alignment」ボタンを押して、アラインメントを終了させておくことです。これができてないと、プレートソルブで赤道儀を返そうとするとエラーになります。あと当然ですが、赤道儀に誤差を返すためSharpCap上であらかじめ赤道儀に接続しておく必要があります。

これだけで時間にしてうまくいくと5分程度時間が短縮できます。


省ける操作2

最近思いついたもう一つの省ける点ですが、水準器で赤道儀の水平をとることをしません。私は長らく「赤道儀の水平をとることはものすごく重要で、ここをサボると精度が出ない」と主張してきました。基本的な考えは変わってませんが、そもそもなぜ赤道儀の水平をとる必要があるか、よく考えてみると疑問が出てきました。

通常の場合、水平出しの一番の目的は、初期アラインメントの時にきちんとガイド鏡もしくは主鏡の視野に天体が入っていくることです。でもこの条件は、既に上のようにプレートソルブに任せてしまったので、必須条件になっていません。

あともう少し条件があります。極軸が十分な精度でとれていることです。SharpCapだと極軸を1分角以下の精度で余裕で合わせることができるので、これくらいきちんと合わせてあれば、水平が合っているかどうかに関わらず、十分な追尾ができます。極端なことを言うと、極軸さえあって入れば、自動導入でもマニュアル導入でも、水平がとってあってもなくても、追尾精度は同じでですよね。自動導入があると便利というだけです。

あと水平が出ていないと、初期導入時の誤差が大きくなるので、繰り返しになりますが、プレートソルブは必須(少なくとも合った方が楽でしょう)です。極軸の精度が出ていない場合、プレートソルブがない場合は、真面目に水平をとった方がいいのはこれまでとなんら変わりはありません。

この水平出しを止めることでも、うまくいくと5分程度時間を短縮することができます。


実際の感想

5月末のこの季節、21時近くに天文薄明が終了します。大体20時半近くに、玄関からCGX-Lをえっちらおっちら運び始めて準備を始めます。トラブルがなければ実質30分以内に準備が済んで、21時には撮影を開始できます。準備の30分のうち、5分とか10分とか時間を短縮できるのは無視できないくらいの効果があり、精神的にもかなり楽です。

プレートソルブを使った初期アラインメントの簡略化はかなり前からやっていましたが、水平出しを無視するのは最近始めました。既に3度ほど撮影していますが、今のところ精度が落ちたようなことはありません。といっても、いつも同じような場所に置くので、実際にはものすごく水平からズレるということはあまりないです。水平を確認しないだけで、そこそこの水平度は出ているので、極端に大きくずれているというのは検証していませんが、まあ原理的には大丈夫なはずです。

あ、あと私は(極軸の精度は十分出しているので)ワンスターアラインメントしかしませんが、ツースターとかスリースターアラインメントをすると追尾中に赤緯も動かす可能性があるので、もしかしたら上の話は成り立たないかもしれません。


まとめ

とまあ、今回はやってはいけないことシリーズとなります(笑)。もし試す場合はくれぐれも自己責任でお願いします。これで精度が出なくて写真がうまく撮れなかったとか言われても、私は何の責任も取ることができません。



CGEM IIの限界

SCA260を耐荷重ギリギリのCGEM IIに載せた時の振動問題。いろいろ対策はしてきましたが、この間ちょっと小さめのM100を撮影してみると、どうしても揺れが目立ってしまい、やはり限界を感じてきました。M100の画像処理はまた別記事にするとして、これまで作例として出してきたM33馬頭星雲など、ある程度画面いっぱいに広がるものは多少のごまかしが効きます。でもNGC253とか、もっと小さな銀河を目指そうとすると1分露光くらいが限界で、それ以上ではどうしても揺れが目立ってきてしまいます。


サイトロン本社にて

今後の長期的なことも考えて、もっと頑丈な赤道儀、例えばEQ8を念頭に色々考えていました。そんな折、CP+の収録でサイトロン本社に立ち寄る機会があって、昨年購入させて頂いたSCA260の結果共々、振動のこととを話していると「EQ8でいいのがありますよ」という話になったわけです。実際に展示してあったEQ8Rを触らせてもらいましたが、ちょうどSCA260が搭載されていて、触ってみても揺れそうな気配が全然なく、もう羨ましい限りでした。でも内情はというとサイトロン訪問の数日前に雪道で車で事故を起こしてしまい、車を買い替えなくてはならなくなり、妻からは「しばらく天文機材禁止」とのお達しが出てしまっていたのです。なのでEQ8などしばらくは夢のまた夢です。

そんな恥ずかしい話をしていると「CGX-Lはどうですか?」という話になりました。皆さんご存知の通り、サイトロンは長い間セレストロンの代理店でした。その当時の展示品の一つか何かで、以前から故障していて使えるかどうかもわからないものだそうです。ジャンクとして自分で直して使うのなら格安で譲ってくれるというのです。

少しだけ動かしてもらうと、何やらエラーは出ていますが、モーターは一応回転します。エラーをスキップして初期アラインメントを試しても何か動きはします。聞くと「エンコーダーを交換したり色々やってみたが、それでも直らないのでもう使う予定はない」とのこと。「物としては大きく場所もとっているので、もし自分で直してみる気があるなら...」ということなので、速攻で「やってみます」と返事をしました。そもそも、自作で大型のイギリス型の赤道儀でも作るしかないかと思っていたくらいです。動けばラッキー、ダメでも基本構造はそのまま使えるでしょうという目論見です。


どデカい箱が到着!

その後何度かやりとりをし、保証も修理もサポートもできないけれどという約束で、本当に格安で送ってもらうことになり、待つこと数週間。3月26日の土曜日の朝、とうとう自宅に届きました。配送のお兄ちゃんは力もありそうでしたが、それでも流石に大変そうなくらい大きな段ボール箱なので、一緒に手伝いながら家の中へ運びます。大きな箱が2つと、小さくて重い箱がひとつ。赤道儀、三脚、ウェイトでしょうか。

94F0B160-97DA-404C-BE7E-B54BD68D951A

靴と一緒に撮りましたが、そのとんでもない大きさがわかるかと思います。

一番大きな箱から開けてみます。
A28A9022-A5DA-4ABC-B4F3-CED52C5C1FF0
どうやら三脚のようです。それにしてもでかい。これまでのAVXやCGEM IIのものと違い、内側に開き具合を制限するフレームが付いているのと、3本の脚をまとめるベルトのようなものが付いています。

広げて玄関に置いてみます。
58CE54E7-C0C1-4F3C-BB05-1193D187B72C
脚の太さは5cmから7cmに変わっただけとのことですが、とてつもなくゴツく見えます。

もう一つの大きな箱の赤道儀も出してみます。
10540A8C-947C-445C-BF05-07A266A6D1A2
テーブルの上に置いてみましたが、隣のMacBook Proと比べてもその大きさがわかるかと思います。ただ、持ち運びに関しては取っ手が上下についていてバランスよくしっかりつかむことができるので、実際の重さと比べても幾分楽になります。また、このようにテーブルの上にまっすぐ置くことができるのもありがたくて、メンテナンスが楽になります。普通は赤道儀の下は平ではなく、メンテナンスで稼働させようとすると結局三脚の上に乗せる必要があったりします。

6581C0FF-F44F-4BC8-A415-ACC49C02DA85

細かく工夫されているのは、水平調整のネジの先端が丸くなっていることでしょうか。
F8E16538-C97C-4BFD-8D29-D1777695797B
CGEMIIの水平調整ネジも先端はある程度加工していますが平な部分がわかります。一方、CGX-Lのほうは完全に球面になっています。

三脚と赤道儀を取り出した空箱ですが、うまく入れ込むと赤道儀の大きな箱と中身、ウェイトの小さい箱がちょうど丸々三脚の箱の中に入ります。赤道儀の二重箱の外側の箱は入らないので畳んで上に置くなどする必要がありますが、かなりコンパクトになります。

3C0119B8-99F1-497B-9CED-37DEF802B467
と言っても、一つでもまだ大きいことには違いありません。

さて、赤道儀を実際に三脚に載せてみます。赤道儀の固定は横三方向から付属のM8ネジで止めることになります。その際、手で回すだけではガタついてしまうので、毎回六角レンチで締める必要があり、ちょっと手間です。
97E8C9BD-8951-454B-9A68-774EBC1A07FA
こうやって3台並べると、今回のCGX-Lがあからさまに大きいことがよく分かります。3台同じメーカーで並べると壮観で、さながら展示場みたいでしょうか(笑)。その後、まだ繋がっていないハンドコントローラーと、電源ケーブルを電源と繋ぎ、動作確認となります。


動作チェック

ここからは賭けになります。動けば以前のPSTジャンクみたいに超ラッキー、動かなければ大きな置き物にもなり兼ねません。

まず電源を入れると、早速エラーメッセージが。写真はDecですが、何度か試すと、RAの時もあります。
951A9801-C64B-42D3-B978-353AD354AC8E

これをそのまま進めると、DECの回転が始まり、矢印ボタンで止めたりしない限り、ずーっと動き続けます。RAの時も同様で、何かしない限りは止まりません。どうもこの機能、電源を入れたら自動的にホームポジションに移動するという、CGX以上で搭載されている目玉の機能のようです。この機能があるために、赤経も赤緯も初期位置を示す三角マークとかが見当たりません。自動でホームポジション状態になるので、そのようなマークは必要ないということみたいです。

とりあえずBackボタンでスキップできるようなので、何度かBackボタンとEnterを押して次に進みます。するとCGEM IIの初期画面と同じになります。ここからさらに進め、(昼間の確認なのでまだ確実ではないですが)ベテルギウスで初期アラインメントを取ってみると、どうやらそれらしい方向を向くようです。その後、耳を澄ますとジーッという音がしているので、追尾も一応動いているようです。

この時点でエラーが出るのはエンコーダに問題があるのではと推測しました。そこで、Stellariumで赤道儀と接続して信号がどう出ているのかチェックしてみることに。初期アラインメントで赤道儀はすでにベテルギウスらしい方向を向いています。この状態でStellariumを赤道儀に接続すると、なんとStellarium上では既にベテルギウスにいると指し示しているではないですか!これは明らかにエンコーダーは生きていることを示しています。ここから考えるに、どうもエンコーダの故障とかではなく、CGX以上では初期位置確認のセンサーが独立にあって、今回はこれがなんらかの理由で働いていないようです。

言い換えると、エンコーダも動いているので、最初のホームポジションへ行くのさえ手動でやってしまえば、あとはガイドやプレートソルブさえも動くかもしれません!


トラブルシューティングの一例

ここで一旦動作確認を終えて、電源を入れ直しエラーについてもう少し把握することにします。まず、ハンディーコントローラーに問題がないか試します。

同じメーカーの機器を使い続けることの利点の一つが、共通の部品を使えることです。今回は、コントローラーが計3つあるので、CGEM IIのものとAdvanced VXのものに順に交換してみました。コントローラーによってはなぜか赤緯モーターが回らないことがありましたが、エラーメッセージはどのコントローラーでも出るので、コントローラーが原因とは考えにくく、CGX-L本体からエラーが発生している可能性が高いという結論を出すことができます。

何度か電源を入れると、たまにCGX-Lと認識されずに、機種がわからないか、オリジナルのGTとして認識されることがありました。この時はCGX-Lのバージョンなども不明と出てしまうようです。これは電源を入れ直すことでCGX-Lと認識されたのと、頻発するようではないので、まあ放っておくことにしました。

さて、こういった時のトラブルの際の解決方法の例ですが、まずは表示を日本語から英語にします。出てきたエラーメッセージをGoogleなどで検索すると、日本語のページでは引っかかりませんでしたが、海外には同じような状況になっている人が何人かいるようです。その中で、Cloudy Nightsにドライバーのアップデートで解決したというのがまず見つかりました。そのため、CelestronのFirmware Managerを使いハンドコントローラーとCGX-Lのドライバーを最新のものにアップデートします。

3B3DD55F-BA9B-47EA-A13C-AB8D88996229
この時少し失敗して、もともとどのバージョンが入っていたか確認するのを忘れてしまいましたが、とにかく繋がっている機器(今回の場合はハンドコントローラーとCGX-L)のファームを最新のものに置き換えてくれるようです。アップデートが終わると、更新された様子が表示されます。
5D66B512-D414-494C-AE9B-9C1D52888454
ただしこれ、ハンドコントローラーで確認すると違う数字が出るのですが、まあ気にしないでおきましょう。
D38FBA48-AFE6-4D90-9451-4CC75168F955

少なくともFirmware Managerで出てきたバージョンはCloudy Nightsで示されたものより新しいので、大丈夫でしょう。

さてこれで再度電源を入れ直します。結果はというと、やはりまだ同じエラーメッセージが出ます。念のため工場設定に初期化することなどもやってみましたが、それでもダメです。

どうもファームのせいではなさそうと判断し、もう少し探ります。すると、ケーブルが抜けているのが原因だったという投稿がCloudy Nightsに見つかりました。構造的にケーブルがねじれて抜けるか切れるかする可能性があるとのことです。さらにそのリンク先を辿っていくと、CGXの全バラ写真が大量に投稿されているページに行き着きます。CGXとCGX-Lは三脚の違いが主なので、このページはかなり助かります。

どうやら一部分解してケーブルのチェックをすることで何とかなりそうな目処がついてきました。実際の分解は次回時間がある時にやるとして、この時点で天気が良さそうなので外に出して実際に設置してみて、できれば撮影まで試してみることにしました。


外に出してみる

まず移動ですが、少なくともCGEM IIのように赤道儀と三脚を一度に運ぶことは到底できません。重さもそうですが、大きすぎて赤道儀があると三脚を掴むところまで手が届きません。運ぶときは3つのネジを六角レンチで緩めて一旦外し、別々に運んでまた組み上げてネジを締める必要があります。両手で持てる2つの取っ手がついていることと、赤道儀の下面が平らなので、そこら辺に置くことができるので、運搬に関しては思ったより苦にはなりません。

その上にSCA260を載せてみました。これまでのCGEM IIよりもかなり位置が高くなるのですが、鏡筒にも取っ手をつけているのと、同時に下側のアルミプレートの先端を持つと斜めに傾けながら持ち上げることができるので、そこまで無理することなく赤道儀に取り付けることができます。標準で10kgのウェイトが付属しているのですが、かなり端の方に固定するとこのウェイト一つでバランスを取ることができました。また、鏡筒を載せた状態で脚の一本を持ち上げ、水平を撮るために脚を伸ばしたりすることもできました。とりあえず、思ったより持ち運びと設置は大変ではなく、遠征に持って行くのも無理ではないなとの感想です。

263774C7-C69F-4C5E-A8F6-7ED6A85F6AA4

SCA260を乗せた後に、実際に突っついて揺らしてみました。明らかに揺れが小さいです。全く揺れないわけではないのですが、共振周波数が高くて揺れがすぐに収束します。もしうまく動いてくれるならですが、これは期待できそうです


極軸調整

暗くなってきたので、次はガイド鏡を取り付けてのSharpCapでの極軸調整です。ほとんどの過程は問題なかったのですが、最後に固定ネジを締めると角度がずれてしまうことがわかりました。垂直は2つのネジを手で締めて固定、水平は4つのネジを六角レンチで締めて固定します。この時、最後の最後のキュっと締めるときにどうしてもずれてしまいます。そのため、そこそこ極軸が合ってきたらある程度ネジを締めてしまい、最後はあまりきつく締めすぎないようにそこそこ固定することで、ズレを抑えて極軸を合った状態に保ちました。


実際に天体を入れてみる

その後、あらかじめ赤経赤緯ともにホームポジション付近に固定してから、赤道儀の電源を入れます。昼間に試したようにポジションエラーをスキップして、あとはこれまでのCGEM IIと同様にワンスターアラインメントでベテルギウスを導入、自動追尾といきます。少なくともみている限り特に問題はないようです!

ハンドコントローラーのUSB端子とPCを接続して、SharpCapでプレートソルブも試しましたが、全く問題なく赤道儀に信号を返して位置補正までしてくれました!

また、PHD2を使ってオートガイドも試してみました。ここで一つ問題発覚です。どうも赤経方向に周期的に揺れが出ます。
93190212-31D4-47AB-8763-22C2BCBA1114
上の写真のグラフの横軸は全部で400秒ですが、左から真ん中にかけてに10秒くらいの周期で大きな揺れが出ているのがわかると思います。(追記: その後調べましたが、CGXでちょくちょくこの現象出てくるようです。赤経のみで赤緯での報告は見つかりませんでした。なにか根本的に理由があるのかもしれません。)その結果として、右の同心円グラフでみても横方向に大きな幅が出ているのがわかります。その時の撮影画像が下になりますが、やはり一方向に伸びているのがわかります。この方向は赤経方向に一致します。

_2022_03_27_20_56_00_NGC_2237_LIGHT__10_00C_600_00s_G150

ここで露光時間を1秒から0.2秒することで周期的な揺れを抑えることができました。上のPHD2の画面の途中で変えたので、グラフの半分くらいから右側で周期的な揺れが減った様子がわかるかと思います。

その後、いくつか設定を変えて続けてみたのが下の写真になります。露光時間以外もいじっているのがわかるかと思います。
E311AB18-0B34-43E1-AE89-B4BF8A78A20A
結果として、同心円でみても縦横のバランスが取れた状態になったことがわかります。


フルサイズでの四隅の状態

その後カメラにフルサイズセンサーの借り物のASI2400MCを使い、バラ星雲を導入し撮影まで試してみました。揺れの影響を見るために、3分、5分、10分と撮影しました。

3分露光。
_2022_03_27_21_23_35_NGC_2237_LIGHT__9_90C_180_00s_G150

5分露光。
_2022_03_27_21_31_48_NGC_2237_LIGHT__9_90C_300_00s_G150

10分露光。
_2022_03_27_21_47_18_NGC_2237_LIGHT__10_10C_600_00s_G150

なんと、驚くことに10分でも4隅までほぼ真円を保っています。思わずヤッターと叫んでしまいました。これはもう十分すぎるほど満足な結果です。これまでの苦労が何だったのかというくらいです。でもだんだん改善されていく様子はものすごく楽しかったですし、またこれまでの苦労があったからこそ、このありがたみが実感できるのかと思います。

もう少し見てみます。3分と10分を比べると、3分の方が星像が鋭いこともわかります。これはシンチレーションなども合わせた揺れが積分されたため、長い時間の露光の方が大きくなってしまったのかと思われます。


いよいよオフアキを本格稼働か

その後、もう一つ気づいたことがありました。上で喜んだ後、三つ子銀河を導入し、実際に長時間撮影を試み何枚か撮影していると、途中から複数枚にまたがって斜めに大きく流れはじめたことに気づきました。

_2022_03_27_23_25_02_M_66_LIGHT_10_00C_600_00s_G150
_2022_03_27_23_25_02_M_66_LIGHT__10_00C_600_00s_G150_mosaic

このフレームの少し前に子午線を越えてしまっていて、それが原因なのかわかりませんが、PHD2で見ても流れていないので、何らかのたわみが発生し始めたのかと思います。赤道儀を反転したらこの流れは無くなりました。今のところはっきりとした原因は不明ですが、もしたわみだとしたらいよいよオフアキの出番となります。


今後

とりあえず今回はここまで。初期ホームポジションの移動以外はすでに実用的にも問題なく、十分振動が抑えられてかなり満足なのですが、やはりきっちり直したいので、次は分解してエラーメッセージが出なくなるか試してみます。








最近太陽撮影でよくコメントをくれるhiroさんが、Lusol-Guideという太陽撮影でオートガイドを実現するソフトを見つけたと教えてくれました。私も試してみたので記事にしておきます。


なぜ太陽撮影にオートガイド?

太陽撮影は基本明るいので短時間で終わるためにオートガイドする必要はないのですが、プロミネンスの動きなどタイムラプス映像をするときにはオートガイドが欲しくなってしまいます。一番の理由はPSTなどの入門用太陽望遠鏡の場合、エタロンの精度があまりよくないため、画面内でHαの出方にムラができてまうことです。そのため撮影の位置がずれると後のタイムラプスの一コマ一コマで画像処理が一様にならなくて、動画の見栄えが悪くなってしまいます。

ところが、太陽のオートガイドはあまりいいのが無くて、例えばFireCaptureには撮影した画像にある物の形を認識してそれを保つように赤道儀に返すような機能もありますが、やはりどうしても途中で飛び跳ねたりして安定度がいまいちです。ここら辺の基本的な考え方や、hiroさんとのやり取りはこのページ

や、そこのコメント欄を追ってもらえるとわかるかと思います。


LuSol-Guide

さて、今回hiroさんによって発掘されたLuSol-Guideですが、2016年くらいに開発されたものでしょうか、もう結構古いもので、その後の開発は止まってしまっているようです。すでにhiroさんから同ページのコメント欄で結構うまくガイドできているとの報告がありますが、私も実際に使ってみました。

マニュアルがここにあります。


多少の癖があったり、使わないとわかりにくいところもありますので実際使用して気づいたことを書いておきます。


実際の使用記

まずガイド鏡を用意します。普通の夜の撮影で使うガイド今日で構いませんが、太陽光を軽減するフィルターを必ずつけてください。そうしないとカメラセンサーが焼けてしまうなどのダメージがあるので気をつけてください。

カメラですが、私は撮影用にASI290MM、ガイド様にもASI290MMを使いましたが、どうも同じカメラが2つというのは想定していない様で、Lusol-GuideかSharpCapのどちらかでカメラを動かすと、どちらかが止まってしまうという状況でした。仕方ないのでガイド用カメラをASI120MM miniにすると、すんなりと両方とも動ようになりました。

キャプチャ4


さて、操作手順です。
  1. 左下の「Camera」ところでガイドに使うカメラを選択し「Start」を押すと、ガイド鏡で映した画像が出てきます。横の「Setting」で適当なパラメータを設定してください。後で説明しますが、サチるくらいに明るくしたほうが安定するようです。
  2. 次に右上「Mount」のところの「Connect」で赤道儀に接続します。ASCOM platformと各自の赤道儀にあったドライバーなどはあらかじめインストールしておいてください。
  3. 右下の「Calibration」ボタンでキャリブレーションを始めます。ガイドカメラの縦横の向きは出来れば撮影カメラの縦横と合わせておいた方がいいでしょう。
  4. 1-2分待つとキャリブレーションが終わます。
これでガイド準備可能となりますがその後のパラメータがわかりにくいです。

  1. まずD.Minですが、これはこの値以下のピクセルのずれはガイドしないという意味のようです。言い換えるとPHD2のように、恒星の強度分布からピクセル以下の位置を推測する様な高度なことはしていなくて、1ピクセル単位のガイドが最も精度が良いということになります。なのでここの値は「0」が一番精度がいいです。撮影鏡筒の焦点距離が2000mm、ガイド鏡の焦点距離が120mmなので、2000/120 = 17と、ガイド鏡が1ピクセルずれるだけで撮影画像は17ピクセルと大きなずれになります。D.Minの値を「1」にすると、上下左右1ピクセルずれていても何もしないようなので、撮影画像では最高でも2ピクセル分の34ピクセルの精度になってしまいます。
  2. D.Maxはその値以上はガイドしないというだけなので、適当な値例えば50とか100で構わないようです。
  3. Agressivenessはデフォルトの5でいいみたいです。増やしすぎると発振することがありました。
  4. Thresholdがまたわかりにくいです。これは太陽の位置認識の感度のようです。小さくすると小さな円で、大きくすると大きな円でフィッティングするようです。明るさで判断しているので、この値を中途半端にすると少し明るさが変わっただけで円の大きさが大きく変わります。位置もそれに引きずられてブレるので、ブレの範囲を小さくするためには、カメラの設定を太陽がサチるくらい露光時間を長めかゲインを高めにしておいたほうがいいいみたいです。 
hiroさんがThresholdの値を高めに設定した方が安定すると書いてくれていたのは上のような理由からで、明るさの変化にあまり依存しないように、最大径でフィッティングした方が誤差が少ないからだろうと思われます。


実際のガイド精度

あとは特に説明しなくてもなんとかなるでしょう。ただ、上にも書いた通りもっとも精度が良くても撮影画像で17ピクセルの誤差があるので、かなり揺れます。風とかあるとガイドカメラでも数ピクセルずれることはあるので、撮影画像で50ピクセルくらいずれることはよくあります。それでもFireCaputureでのオートガイドとかよりはマシで、少なくとも飛んでいってしまう様なことはあまりありません。雲や電線など、ガイドカメラの像が不安定だと大きく揺れてしまいますが、それは仕方ないでしょう。


まとめと今後

とりあえず最低限の実用性はありそうです。もう少し精度を良くするためには、ガイド鏡の焦点距離を長くすることですが、太陽全体を見る必要があるのでより大きなセンサーサイズが必要になってきます。もしくはピクセルサイズのできるだけ小さいカメラをガイドカメラに使っても精度は上がりますが、ASI290MMもそこまで大きなピクセルサイズではないため、ピクセルサイズ側で大きく精度を向上させるのは難しそうです。

タイムラプスのための画像の位置合わせについては次回以降の記事で書くことにします。
 

このページのトップヘ