ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 調整・改造

あぷらなーとさんはじめ何人かの方がMatlabを購入し画像処理に活用し始めましたようです。



私もMatlabは学生の頃から使っていて、今調べてみたら一番古いファイルは1998年でした。なので20年以上使っていることになりますが、 これまで画像処理に使ったことはありませんでした。

あぷらなーとさんが指摘しているように、確かにMatlabは行列を容易に扱えるので、2次元が基本の画像処理は向いているはずです。最近過去のコードをpython化したりしてるのですが、pythonは2次元だと必ず繰り返し処理が入るので、コードが冗長になりがちです。私も少し試してみたのですが、どうやら画像処理に関してはMatlabの方がコードがかなりシンプルになり見通しが良くなるので、有利というのは正しそうです。とうわけで、遅ればせながら私もMatlab画像処理に参画します。

Matlabを使ってまず手始めに試したのが、昨年3月依頼謎が解けなくて止まってしまっているASI294MC Proのノイズ解析の続きです。

 


最初にごめんなさいと謝っておきます。今回の記事はかなり細かくてめんどくさい話で、ほとんどの人には役に立たないです。しかもうまくいかなかったという結果なので、ほんとに興味のある方だけ読んでみてください。

Matlabで画像処理を始めてみたいという人がいたら、もしかしたらコードが参考になるかもしれません。


以前のおさらい 

ざっとおさらいしてみます。ZWO社のASIシリーズは性能を示すデータを公開してくれています。例えば広いセンサー面積を利用した電視観望や、撮影にも十分に使うことができるASI294MC Proのページを見ていくと、下の方にいくつかグラフが出てきます。このグラフ、一見分かりそうで分かりにくいところもあるので、以前その読み方を解説しました。



上のページでも解説している通り、SharpCapを使うとZWOのページにあるようなデータを測定することができます。冷却バージョンのProも



で実際に測定した記事を書いています。特にGain[e/ADU]の値はコンバージョンファクターとも呼ばれて、設定gainが0の時のコンバージョンファクターはユニティーゲインなどにも直結するような非常に重要な値になります。少しコツは必要ですが、SharpCapのスクリプトでCMOSカメラの特性を実測すると、ZWOにあるような値に非常に近いものを測定することができます。2つのツールで同様のデータが取れているということはかなり信頼が置けるはずです。さらにもう一歩進めて、このようなツールでのスクリプトでなく、実際に自分でノイズを撮影して解析してみようと試したのが、昨年3月までの一連の記事になります。

ところが、実際に撮影して解析してみるとどうしてもZWOのデータやSharpCapでの解析結果と合いません。

SharpCapで撮影した時の撮影条件は限りなく再現させたと思っています。具体的には撮影対象の明るさ、カメラのゲイン、露光時間です。明るさは同等のものが撮れているので、撮影に関しては問題ないと思います。問題はノイズです。明るさとノイズの関係からコンバージョンファクターを求めるのですが、撮影された画像の明るさのばらつきが、想定していたものよりかなり大きいと出てしまいます。具体的には標準偏差を用いるとノイズが大きすぎると出てしまい、苦肉の策で(ノイズが小さいとでる)平均偏差を使うと、大体ZWOとSharpCapの測定と一致するという結果でした。

ヒントになるかと思いモノクロのASI290MMで測定したら、標準偏差で計算してもZWOやSharpCapと一致した結果を得ることができました。ということはやはりカラーの場合も平均偏差などを使わずに標準偏差を用いるのが正しいのではと推測することができます。

そんな折、あぷらなーとさんがRGGBを一素子づつ解析したCFA(Color Filtr Array)で評価した場合と、RGBにdebayerした場合では、debayerの方が標準偏差で考えて0.75倍とか0.79倍程度に小さくなることを示してくれました。



それでもdebayerで計算してもまだZWOやSharpCapでのノイズの少なさには辿りつきません。

いろいろやっていて結局行き着いたところはこの画面で、

IMG_6436

小さいと思われるRGBの標準偏差よりも、Lの標準偏差の方がなぜかさらに小さいことがSharpCapの一枚の撮影で出てしまっていることです。いまだにSharpCapが内部でどうやって計算しているのかよくわかりません。このLの標準偏差を仮定するとノイズはかなりZWOもしくはSharpCapのスクリプトで測定した結果に一致します。言い換えると、これくらい小さい標準偏差くらいのばらつきになっていないと結果は一致しないということです。


Matlabでの画像処理の実際

やっと前振りが終わりましたが、今回Matlabで以前のpythonコードを書き直すかたらわら、どうしたら一致した結果を出せるか、なぜSharpCapのLがノイズが小さく出ているかを念頭に置きながらいろいろ試してみました。

Matlabを初めて使う人が一番面食らうのは、配列の表記法かと思います。これが独特なのですが、この独特な表記によりコードがシンプルになるので避けるわけにもいきません。私が書くよりももっといい説明がたくさんあるかと思いますが、今回の画像処理に必要な最低限だけ書いておきます。

まず2次元の配列、Matlabだと行列といっていますが、例えば2行x3列の配列Aを

>> A=[1 2 3;4 5 6;]

A =
     1     2     3
     4     5     6

と作ります。例えば第2行,第1列成分を見たい場合には

>>A(2,1)

と打つだけです。答えは

ans = 4

と出ます。これは至って普通です。独特なのは:(コロン)の使い方で、例えばAの1行目すべてを見たい場合は

>>A(1,:)

と打ちます。答えは 1 2 3となります。:はどこからどこまでを意味し、

>>A(1,1:2)

だと

ans =     1     2

となります。:(コロン)だけだとその次元の最初から最後まで全部という意味です。これがMatlabで絶対理解しておかなければならない表記法の一つです。

今回は画像を扱うのに4次元の配列を使っています。1、2次にy座標とx座標。左上からyは向かって下に、xは右に移動していきます。3次目はRGBやCFAのインデックス。RGBなら3つ、CFAなら4つとっています。 4次目は何枚目の画像かを表しています。今回8枚の画像を使っていますが、その何枚目かを表します。あと成分を表す数字は1から始まることにも注意です。0からではありません。 

例えば、AにRGBで別れた画像が8枚入っているとすると、5枚目のG画像を表す時は

A(:, :, 2, 5)

と表します。:が2つあるのはy、x座標それぞれ全部を表しています。"2"はRGBの2番目と言う意味です。Bなら3ですね。"5"は5枚目と言うことです。

例えばサンプルコードの最初の方にある

 Raw(:, :, i) = fitsread(ファイル名);

はi番目の画像にfitsファイルを読み込んで、1次目にy座標のデータ、2次目にx座標のデータを全部入れていきなさいと言うのをわずか1行で表記したものです。

これらの表式は慣れるしかないのですが、ここらへんを感覚的に理解できるとコードもすらすら読めて、シンプルなコードを書くことができるようになるのかと思います。


モノクロセンサーASI290MMの場合

とりあえずMatlabでやってみた画像処理を説明していきます。まずはモノクロのASI290MMの結果です。

ASI290MM
このグラフを出したMatlabのソースコードをアップロードしておきます。使用した画像も(サイズを切り詰めるために中心部のみ切り取ったものですが)一緒に入れておきましたので、すぐに走らせることができると思います。もしMatlabを持っていて興味があったら走らせてみてください。

ASI290MM.zip 

メーカー値はコンバージョンファクターが3.6程度、ユニティーゲインが110程度ですので、グラフ内の数値と比較してみるとそこそこ一致していることがわかります。

また、以前pythonで書いたコードと比較して同等の結果を出すことできています。

Conversion_Factor_ASI290MM_std

Maltabでもこれまでと同様のことができることがわかり、かつ遥かにシンプルに書けることがわかりました。


カラー版ASI294MC Proの場合: CFAで解析 

さて、Matlabでの画像処理にも慣れたところで問題のカラーのASI294MC Proの解析です。

結論から言うと、結局今回も謎は解けずじまいでした。

まずはシンプルなCFAの方から。RAW画像からCFAへ分離するところはビルトインの関数とかはないようなので自分で書いてみました。以前は平均偏差(mad)で無理やり答えを合わせましたが、今回ASI290MMの結果なども含めていろいろ考えた末に、結局諦めて標準偏差(std)を使うことにしました。

ASI294MCPro_CFA

各測定点はそのまま解析した結果を表示していますが、フィッティングは無理やり合うように補正してます。考え方としては、謎な部分をunknown factorとしてフィッティングするところで無理やり補正するというやりかたです。今回のCFAの場合、unknown factorはノイズ(標準偏差の2乗)を2分の1とすることでZWO、SharpCapの結果と一致することがわかりました。

ちなみにメーカー値はコンバージョンファクターが3.9程度、ユニティーゲインが117程度です。繰り返しますが、CFAで測定されたノイズを無理やり半分にすることでメーカー値に近くなります。

先に説明したように、SharpCapでLのノイズが小さく出ている理由がわからなかったので、もうこのように無理やり合わせてしまうしかなかったという苦肉の策です。これはあぷらなーとさんが示してくれた、CFAとRGBで標準偏差で0.75倍違うというのを考慮してもまだ少し足りません。

まあ、このやり方に言いたいことはたくさんあるかと思いますが、とりあえず先に進むことにします。


カラー版ASI294MC Proの場合: RGBで解析

次はRGBでの解析です。

最初はMatabビルトインのdemozaicという関数を使ったのですが、これだと中で何か変に処理しているのかノイズが話にならないくらい大きくなりすぎました。仕方ないので自分でRGBに落とすコードを書いています。そこそこまともそうな値は出たのですが、ただしこのコードまだ未完成です。なぜかというと、センサーアレイはRGGBなのでG(グリーン)が二つあるのですが、その応答が少し違うことに起因します。Gを2つ使って求めると強度の山が2つでできてしまい、ばらつきが大きくなりすぎるからです。そのため今回は2つあるG素子のうち1つだけを使うことにしました。

ASI294MCPro_RGB

RGBになりあぷらなーとさんが示してくれた通り、CFAの時よりもばらつきは少なくなることがわかりました。それでもまだノイズが大きすぎるのでCFAの時と同様にunknown factorとしてフィッティングするところに無理やり入れました。RGBの場合、unknown factorはノイズ(標準偏差の2乗)をルート2で割ってやることでZWO、SharpCapの結果とかなり一致することがわかりました。


考察

ASI294MC Proで使ったファイルもアップロードしておきます。よかったら参考にしてください。

ASI294MCPro.zip 

今回はまだ苦肉の策で、無理やり答えを合わせるように測定結果を割っているだけなので、考察と呼べるようなものにはなりません。CFAの場合出てきたノイズを半分に、RGBの場合ルート2でわってやるとSharpCapやZWOの結果とかなり近い結果になりましたが、その理由は全然わかっていません。

前回のpythonコードを使った時はCFAやRGBの変換はPixInsightを使いました。でも今回はRAWファイルから直接計算してCFAもRGBも取り出しています。ここら辺はMatlabに移ったことでやりやすくなったところだと思います。このように今回はかなり噛み砕いてブラックボックスがないように進めてきたつもりです。撮影した画像はSharpCapのスクリプトで撮影したものと同等と仮定していいかと思います。これでも結果が一致しないということは、
  • ZWOもSharpCapも何か特殊なことをやっているか
  • もしくはまだ私が馬鹿なミスを犯しているか
です。とにかく怪しいのがZWOのLのノイズが小さく出過ぎていること。この謎が解けない限り進展がない気がします。


まとめ

週末を結構な時間費やしましたが、コンバージョンファクターに関しては結局昨年から進展がなかったので疲れてしまいました。それでも得られた成果としては、
  • Matlabでの画像解析の手法に慣れることができた。
  • あぷらなーとさんが出してくれた、debayerの方がCFAよりもノイズが0.8倍程度と小さくなることを確かめることができた。
ことくらいでしょうか。でも全然だめですね。これ以上は時間の無駄になりそうなので、一旦ここで打ち切ることにします。

それでもMatlabが使いやすいことは分かったので、今後の画像解析はMatlabで進められそうな目処はついたと思います。

元々この解析はダークノイズ解析につなげたいとか、EOS 6Dのユニティーゲインを測定したいとかで始めたのですが、なかなか進みません。いつ実現できるのかまだまだ未定ですが、諦めることはしたくないのでまたいつか再開する予定です。

連休ですが、富山は相変わらず天気はよくありません。こんな時はたまっていた課題を片付けます。


CMOSセンサーを顕微鏡で見るとどうなる?


事の発端は、小海の星と自然のフェスタでスタベのアルバイトのK君がASI294のセンサー面を実体顕微鏡で見てみたいと言った事です。ASI294は電視観望用に持っていますが、うちにはたまたま実体顕微鏡もあります。下の子Sukeの自由研究のために2017年の原村星まつりで買ったものです。これならなんとかなりそうです。

ところがシベットさんからコメントで実体顕微鏡では倍率が低すぎるのではという指摘がありました。なぜかうちには倍率の高い生物顕微鏡もあります。これも同じく下のSukeの自由研究のために2016年の原村星まつりで購入しています。というわけで、必要なものはそろっているので実際に見ることにしました。果たして何が見えるのか?

IMG_9068


まずは実体顕微鏡

手持ちの実体顕微鏡は対物レンズが4倍、接眼レンズが10倍で、40倍のものです。ここにASI294を置いてやればいいのですが、カメラ本体が大きすぎでレンズに近づき過ぎてしまいピントが出ません。仕方ないので、今回はもっと奥行きの短いASI224MCで試すことにします。K君、ごめんなさい。

ASI224MCのセンサーサイズは4.8×3.6mm、解像度は1304×976で一素子のサイズは3.75×3.75ミクロンとのことです。

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センサーは思ったより小さく、周りに金色の線がたくさんつながっています。これを40倍の実体顕微鏡で見てみました。とりあえずiPhoneのカメラで撮ってみます。

IMG_9036

よく見えていますが、センサー面はのっぺりしているだけでやはり全然倍率が足りないことがわかります。

でも実体顕微鏡は簡単には倍率を変えることができません。いろいろ考えて、手持ちのアイピースを利用することにしてみました。接眼レンズを片方外します。31.7mmのアメリカンサイズは径が大き過ぎたので、昔の1インチタイプのものを使いました。手持ちは20mmと12.5mmと9mmの3つ。

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最初に20mmのもので見てみます。1インチサイズだと今度は径が小さすぎるので、とりあえず固定せずに穴に入れるだけです。

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もともとついていた10倍のレンズより少しだけ大きく見えます。

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10倍レンズは焦点距離25mmとか30mmくらいなのかと思います。この時点で50倍とか60倍相当かと思います。当然これだけだとまだ倍率は不十分なので、さらに倍率を上げるために12.5mmレンズを取り付けます。

IMG_9041

これも穴に入れただけで固定していませんが、まあとりあえずそこそこ安定して見えるものです。像はというと、

IMG_9029

接続線は大きく見えてきましたが、センサー面はほとんど変化なしです。最後9mmを試します。

IMG_9043

IMG_9061

ここでiPadのLEDで光を当てたこともあり、基板のパターンが見えてきました。しかもピントを調整してセンサーの端をよく見ると目盛りのようなものが見えます。

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小さな目盛り10個につき大きな目盛りがあり、大きな目盛りを数えると長辺で14個、短辺で10個程度あります。センサーサイズが4.8×3.6mmなので、大きな目盛り2個で1mmはないくらいということがわかります。上2枚の写真のセンサーの枠の太さは同じなので、遡っていくと全体サイズまで直接比較することができると思います。

これで倍率は手持ちの1インチアイピースでは限界です。最終倍率は120倍程度かと思われますが、それでもセンサー面の構造は全く見えてきません。やはりもっと倍率の高い生物顕微鏡が必要なようです。


生物顕微鏡なら見えるか?

IMG_9094


さて、生物顕微鏡に移ったのですが、ここで問題が発生しました。ASI224MCでも奥行きがあり過ぎて、ステージを一番下に下げても対物レンズの間に入らないのです。

IMG_9093


最初はセンサーがついている基板を外そうかと思いました。

IMG_9092

ですが、基板の右側についているコネクタをうまく外すことがどうしてもできなくて、泣く泣く諦めることにしました。ちなみに左上についている赤い検品シールは触るとすぐに崩れるタイプで、ネジを緩めるとシールが簡単にとれてしまいます。改造したかどうかのチェックを兼ねている様です。なのでこのカメラはもうメーカーのサポートは受けることができないと思っておいたほうがよさそうです。もし個人で分解する際は気をつけてください。

結局今回は仕方ないので、下の写真の様に顕微鏡のステージを取り外すことにしました。

IMG_9076

ステージに置くことができないので、CMOSカメラを手で持ちながら見ることになります。バランスが悪いのですが、何度か撮影すればいい位置とピントで写ることもあり、何とかなりそうです。

倍率は対物レンズが4倍、10倍、100倍。接眼レンズが10倍と15倍のものがあります。

とりあえず対物4倍と接眼15倍で目で見てみます。明かりがもっと欲しかったので、先日中身を取り替えたパワータンクの強力LEDで照らすことにしました。この状態で目で見てみると、手でカメラを押さえながらですが、何とか見ることができます。

ここで秘密兵登場。今回の撮影のために、SVBONYの顕微鏡の差込口に挿すことができるアダプターを買っておきました。

IMG_9089

これはT2ネジが切ってあるので直接ZWOのASIカメラに取り付けることができます。

IMG_9084

これを生物顕微鏡の接眼レンズの代わりに取り付け、直焦点撮影をします。

最初はASI294MC Proを撮影用のカメラとして使いました。まずは最低倍率の4倍の対物レンズで撮影します。撮影はMacのASICAPを使いました。

2020-01-12-0626_0-CapObj_0001

すでに先ほどより大きく写り、遥かに精細に写っています。だんだん楽しくなってきました。

対物レンズの倍率を4倍のものから10倍のものに上げます。

2020-01-12-0607_4-CapObj_0000

おお!とうとうセンサー面の構造が見えてきました。

もっと倍率をあげたいのですが、100倍の対物レンズはセンサー面に相当近づけなければならなく、保護カバーを外さなければピントが合わなさそうです。さらに、かなり暗くなることがわかっているのであまりやりたくありません。いろいろ考えて、ASI294MCよりも一素子のサイズが小さくて分解能の高いASI178MCを使ってみることにしました。その結果がこちらです。

もうセンサー面の構造もはっきりと見えます。

2020-01-12-0634_3-CapObj_0000

でも構造は見えますが、RGBフィルターとかの影響がわかりません。目盛りがついているところから少し中に進むと紫のエリアがなくなる境目があるのですが、わかるのはこれくらいです。この頃になるとカメラの固定方法の工夫でかなりピントも合わせやすくなってきました。下はピントや撮影カメラのゲインを相当合わせ込んだ場合です。

2020-01-12-0636_7-CapObj_0000

かなりはっきり見えて、センサー10素子で目盛りが一つ進むこともわかります。なので目盛りはセンサーの数を表していたんですね。でも、これでも全部同じ素子のように見えてしまっています。

どうやっても進展がないので、ここでかなり悩みました。最後にとった方法が、わざとカメラを回転させて素子を45度傾けてみること。理由ははっきりとわかりませんが、これでやっとうまく見ることができました。最終結果です。

2020-01-12-0702_0-CapObj_0000

見事にRGGBフィルターの配列を見ることができます。これを見て改めて思うのですが、これだけの微細構造を作る技術は見事なものです。これが民生レベルで安価に購入できるというのはなんと幸せな世の中なのでしょう。

最後に、その時の撮影風景です。

IMG_9083


考察

とりあえずセンサー面の構造とRGGBフィルターの存在を確認することができました。対物レンズの倍率を上げ、十分な灯りを用意することができれば、もっと微細な構造を見ることができるかもしれません。

RGGBフィルターがかかっている部分と、かかっていない部分の境目もはっきりとわかります。RGGBフィルターは全面にかかっているわけではなく、センサーの端の方はフィルターはないことがわかります。


問題はここから何を引き出すかです。K君と話した時、サッポロポテト現象を解明したというようなことを言っていた気がします。サッポロポテト現象はあぷらなーとさんも困っているようです



サッポロポテト現象は各素子についているマイクロレンズ効果が原因のようですが、はっきりとした解決策はあまりないようです。今回はやっとCMOSセンサーの素子の構造が見えたくらいなので、まだゴールまでは程遠いと思います。

今回の結果をどう活かすのかが今後の課題でしょう。


まとめ

こんなふうに工夫でどんどん見えてくるような実験は超面白くて大好きです。

とりあえず今回分かったことは、
  • 実体顕微鏡ではCMOSセンサーの構造を見るには倍率が低すぎる。
  • 生物顕微鏡を使うことでCMOSセンサー面の構造、RGBフィルターの様子を見ることができる。
  • センサー1素子そのものを十分な解像度で見るには至らなかったが、まだ拡大率を上げる手は残されているので、1素子をもう少しはっきり見ることもできるかもしれない。

課題としては
  • センサーを置く架台をしっかりしたほうがいい。
  • センサー面についている保護ガラスを外して、高倍率で撮影してみる。
  • 動画撮影でスタックするとさらに解像度が上がるかもしれない。
  • ASI294MCのセンサー面を見てみる。
ことくらいでしょうか。あー、今回も面白かった。


K君、遅くなってすみませんでした。やっとなんか見えるくらいにはなってきました。

K君、次は何を見てみたいですか?



帰省で生えたレンズ2本

年末年始に実家の名古屋に行った際、PENTAX 6x7レンズが2本生えてきました。帰省生えの一種ですね。

IMG_9028

今回見つけたのは
  • ASAHI OPT Super-Multi-Coated MACRO-TAKUMAR/6x7 135mm F4
  • ASAHI OPT Super-Multi-Coated TAKUMAR/6x7 300mm F4
です。購入先はトップカメラ。名古屋では昔からある大型カメラ店で中古品もたくさん扱っています。135mmはアメ横の中のトップカメラで、300mmは栄本店での購入です。栄の本店は中部地区では最大級の中古在庫があると店員さんがいっていました。

PENTAX 6x7レンズも選ぶのに困るほどたくさんあって、中でも300mmは大きくて場所をとるせいかかなり割安な値段のものが多かったです。その中でもなぜか一本だけ1980円とホントかと思うような値段のものがあったので、店員さんになんでこんなに安いんか聞いてみました。やはりあまり出ないらしく、特に問題があるわけではないが、安くでも売ってしまいたいとのことでした。レンズを覗いてみましたが、問題もなさそうです。FS-60CBが焦点距離355mmでレデューサーをつけたら255mmになるので被ってしまいます。さらに前回の同じく格安の200mmは赤ハロで使い物にならなかったので、若干というか、かなり心配なのですが、まあこの値段なら多少被っても失敗してもいいやと思い購入です。


これまでのPENTAX 6x7レンズ

これまで75mm/f4.5、200mm/f4、105mm/f2.4と3本のPENTAXの6x7レンズを試してみましたが、





戦績は1勝(75mm)、1敗(200mm)、1分け(105mm)と言ったところでしょうか。今回の2本も星像を比較してみます。


期待の135mm

まずは135mmです。前回買った105mmからFS-60CB+レデューサーの255mmまで2.5倍の開きがあるので、そこを埋める意味でも欲しかった焦点距離の一つです。f4で暗いのは仕方ないですが、期待しながらのテストです。

たまたま途中から晴れた週末の金曜日、満月の夜なので撮影も気乗りしないので、絶好のテスト日和です。オリオン座付近で撮影してみました。条件は以下の様になります。
  • EOS 6Dに6x7からCANON EFようの変換マウントを取り付け
  • ISO1600
  • 露光時間5秒
  • f4
カメラのモニターで10倍に拡大してピントを合わせます。星像が最小になる点を超えるのでピント合わせをきちんとすることはできます。最小点を超えると盛大に赤ハロが出ます。赤ハロが出る直前が再焦点と判断し、そこに合わせました。

全景と、中心/周辺像です。
IMG_5378

IMG_5378_16

あれあれ?という感じです。これだとさすがにコマ収差が大きくて使い物になりそうにないです。何とかならないかと絞ってみました。
  • ISO3200
  • 露光時間5秒
  • f5.6
IMG_5380_16

同じく
  • ISO3200
  • 露光時間10秒
  • f6.8
IMG_5382_16

絞れば多少はマシになりますが、やはり厳しそうです。ちょっと期待していたのに、残念ですがお蔵入り決定のようです。


ついでの300mm

こちらは正月で半分浮かれたかったレンズなので、あまり期待していません。全くだめだった200mmより安かったくらいです。あと、重い。条件は以下の様です。
  • EOS 6Dに6x7からCANON EFようの変換マウントを取り付け
  • ISO1600
  • 露光時間5秒
  • f4
こちらもピント合わせは問題なく、同様に最小点を超えると赤ハロが出ます。こちらも赤ハロが出る直前に合わせました。


IMG_5377

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おおっ!135mmより遥かにマシです。周辺減光も流石に中判なのでかなり良好。ただ、星像のキレがあまりないか。というか、青ハロみたいなのが出ていますね。撮影に使うにはどうでしょう?ちょっと厳しいでしょうか。でもこのレベルならなんか使い道はありそうです。


次回テスト

本当はもう少しテストを続けたかったのですが、ここらへんで曇ってきておしまいです。例えば105mm/f2.4を絞ってf4くらいで撮ってみるとか、NIKONの135mm/f2.8もまだテストしていないので試してみたいです。曇ったついでに月に少し傘が出ていたので撮影してみました。こちらはSamyangの14mmです。右下にオリオン座が入っています。

IMG_5397_2_cut

この日は半影月食でしたが、曇ってきたので諦めて寝てしまいました。でもどうやらその後晴れたみたいです。残念。



まとめ

一枚画像ですが、とりあえず星像を見てみました。結果は1敗(135mm)、1分け(300mm)と言ったところでしょうか。PENTAXレンズトータルでは1勝、2敗、2分け(自己評価)となります。

まだ懲りていないです。Wikipediaによると6x7レンズ21種類あるとのこと。あまり必要ない300mm以上やズームを除いても14種類あります。その中で持っているのはまだわずか4つ。最初に当たってしまうとダメですね。75mm位の使えるレンズに当たるをの追い求めてもう少し集めることになりそうです。



 

いまの若い人には全く通じないタイトルですが、気分はホントにこんな感じです。

あっかさんのブログ
で、笠井から3倍の星座ビノCS-BINO 3x50が発売されていたことを知って、私も年末に早速注文しました。年越し観望には間に合いませんでしたが、年明けに実家の名古屋から富山に帰ってすぐに届きました。それでも富山は全然晴れなくてなかなか試せません。この日もずっと曇りで、夜もダメかと思ったのですが、22時頃外に出てみたら、少し薄い雲があるところもありますが、結構晴れています。月齢11日の明るい中ですが、早速3倍ビノの見え味を試してみました。

ちなみに、以前7種類の星座ビノの見比べの記事を書いたことがあります。よかったらご覧ください。




笠井の星座ビノたち

笠井からは3 種類、単眼を合わせたら4種類の星座ビノが販売されていることになります。
  • 古くから販売されているWideBino28
  • WideBino28の廉価版と言ってもいいCS-BINO 2x40。2019年春の発売。これはSIGHTRONのStella Scanと色違いの同等品とのことです。
  • 単眼バージョンのCS-MONO 2x40というのもあるので、これも入れたら笠井から販売されている星座ビノ(単眼にビノはおかしい?)は4種になります。
  • そして今回発売されたCS-BINO 3x50です。
前回のまとめ記事ではまだCS-BINO 2x40を手に入れてなかったのですが、5月の連休の時に名古屋のSCOPIOで手に入れ、その後見え味などのレポートも書いています。今回はまとめて3種レビューしてみようと思います。


CS-BINO 3x50と、CS-BINO 2x40のレビュー

CS-BINO 3x50と、よく考えたら前回のまとめ記事以降CS-BINO 2x40はきちんとレビューしていないので、ついでにこちらもまとめて書いておきます。

CS-BINO 3x50、2x40ともにはケース付きの星座ビノで、落下防止の首からかけるヒモがついています。2x40の時には付いてこなかったレンズキャップも、対物側だけですが付属されるようになりました。

品名: CS-BINO 3x50
販売: 笠井トレーディング
倍率: 3倍
口径: 公称48mm (対物側が実測で47.5mm、接眼側が実測で18.5mm)

長所: 倍率が高いので、暗い星までよく見える。CS-BINO 2x40よりは高いが、それでもまだ安価。
短所: 周辺の歪みが多少ある。倍率が高すぎるので、星座ビノというには星座の全景が見えにくい。

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品名: CS-BINO 2x40
販売: 笠井トレーディング
倍率: 2倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で40.5mm、接眼側が実測で17.5mm)

長所: 安価。星座ビノの中では最安。星座ビノとしては一般的で十分。 
短所: 周辺の歪みが多少ある。

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では3種を比べてみましょう。上からCS-BINO 3x50、CS-BINO 2x40、WideBino28です。

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付属品なども含めてです。あ、どれもレンズ拭き取り布が付属していますが、今回はケースの中に入れっぱなしです。

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外観を見るとCS-BINOは2x40とCS-BINO 3x50は作りがよく似ています。同じメーカーなのでしょうが、倍率の違いを除けば歪みも含めて見え味もよく似ているので、設計思想がやはり同じなのかと思われます。接眼レンズの大きさはWideBino28がかなり小さいのに比べて、CS-BINOは2x40, 3x50はともに同じ大きさに見えます。ですが実測すると少し違いがある様です。3x50はその名の通り対物レンズが50mmと一番大きいのですが、前後の長さが意外に長いので、比べると大きい印象を持ちます。それでも普通の双眼鏡に比べたら遥かにコンパクトで軽いので、ずっと首からぶら下げていてもそれほど気にならないでしょう。ただし紐が細いので、できればもう少し太い紐だと首に食い込まなくていいかもしれません。


明るいところでの見え味

まずは昼間の明るいとことで覗いてみます。
  • 視野ですが、CS-BINO 2x40が倍率2倍、WideBino28が2.3倍、CS-BINO 3x50が3倍なので、当然倍率が高くなるほど見える範囲も狭くなってきます。
  • 明るさの違いは昼間ではほとんど分かりません。
  • 中心像は3機種ともどれもそれほど大差ないように見えます。分解能も特に不満はありません。低倍率なので手持ちで使う分には十分な性能だと思います。
  • WideBino28は光軸中心から目がずれるとボケるのですが、CS-BINOは2x40、 3x50も同様にボケます。さらに周辺の歪みがWideBino28より大きいと感じます。ですが以前のレビューでも書いたように、昼間では気になる周辺の歪みも夜に星を見ている限りは、(少なくとも私は)ほとんど気になりません。
まあ、昼間に見てもただの倍率の低い双眼鏡にしか見えないので、その魅力は全くわかりません。夜の評価に移りましょう。


実際の星を見て

夜の星を見てみました。見比べたのは月齢11日の上弦の月を越えて満月に近づきつつある、かなり月明かりのある日です。ここでもWideBino28が基準になります。

一般的に星座ビノを使うと、この日の月の明るさや自分の目の悪さもあり、肉眼で見るより遥かに見える星の数が増えます。星座早見番をみながら、一つ一つの星が十分にトレースすることができるくらいです。WideBino28は基本性能もしっかりしていて星座を見るという目的は十分に達成することができます。星座早見盤に載っていない様な小さな星も見ることができるので、そこら辺がさらなる星座ビノの面白さと行ったところでしょうか。

それに比べてCS-BINO 2x40は倍率が少し低いため、見える範囲が広がって星座の全景が見やすくなる反面、逆に暗い星が見えにくくなるので見える星の数が減ります。ですが印象としては両方共ほとんど変わらないと言っていいかと思います。歪みも共に昼間に見るときほど気になりません。あえていうなら、CS-BINO 2x40のほうが星を見た時のインパクトが少し小さいかということくらいでしょうか。倍率が少し低いということとほぼ同義なのですが、見える範囲が広くて星座の形がわかりやすい代わりに、細かい所が少し見えないということです。でも繰り返しますが大した差ではないです。むしろWideBino28のバランスの良さを褒めるべきでしょう。

さて、肝心のCS-BINO 3x50です。一言で言うとものすごくよく見えます。いや、はっきり言って想像以上の見え方です。あっかさんがブログで言っていたことがよく理解できます。

まず星の数が圧倒的に増えます。ある明るさの空でどこまで暗い星が見えるかは(口径に依らずに)倍率のみで決まる(理由は以前の評価記事、もしくは望遠鏡で見える星の数の記事参照)ので、2倍と3倍の比較なら単純に3/2=1.5の2乗で、2.25倍暗い星、大雑把にいうと1等分位暗い星まで見ることができます。2等星と3等星の星の数の違い、3等星と4等星の星の数の違いを考えてもわかるように、数で考えると1等暗い星が見えると飛躍的に星の数が増えて見えます。

星座を見ていても細かいところの星までよくわかるようになります。例えばオリオンの小三つ星ですが、CS-BINO 2x40だと「あ、星が縦に並んでいる」というくらいです。これがCS-BINO 3x50だとはっきりと「星が3つある」という感想に変わります。月のすぐ横にあったM45プレアデス星団すばるも、CS-BINO 2x40だと「あ、すばるだ」とひとまとめの感想ですが、CS-BINO 3x50だといくつ星があるか数えたくなってきます。明るい環境でも暗い環境でも単純に見える星の数が増えるので、この日も月明かりに負けることなく十分に楽しむことができました。


星の色がよくわかる

星の数の違いはある程度予測できていて期待通りだったのですが、期待していなかった違いは星の色でした。そこに気づいたのはしし座の首の根本の星Algiebaを見た時でした。Algiebaは赤い星で目立つのですぐにわかるのですが、そのすぐ横にある小さな星が青く綺麗に対比して見えるのです。この対比はCS-BINO 2x40で見ても、WideBino28で見ても、まあ頑張れば見えることは見えるのですが、気付くことはありませんでした。あと、北極星ポラリスはこんなにオレンジなんだとか、すばるって他と比べるとやっぱり青いんだとか、ほかの星と広範囲で見比べることができるので、倍率の高い双眼鏡でその星だけ見ていてもなかなか気づけないことに気づくことができます。星座の形と対比して一つ一つの恒星の特徴が分かるので、例えば牡牛座の角のところのアルデバランもすごく目立ちます。これは今までの星座ビノにない面白さです。


欠点

一方、拡大率が大きいので、これまでの2倍程度のビノで楽しめた星座の全景が入らなくなりがちで、どの星座を見ているのか分かりにくくなることがあります。オリオン座とか、あからさまに星座の形がはっきりわかっているもはいいのですが、星座自身は知っていてもその形まで覚えていないものは、途中で迷ってしまうことがありました。加えて星の数も増えるので、特に初心者だと少し混乱してしまうかもしれません。


CS-BINO 3x50は買いか?

では、はじめての星座ビノとしてCS-BINO 3x50は買いかどうかということですが、これが最初だとしても間違いなく面白いと思います。でも、できるなら通常の2倍程度の星座ビノを一度見てから、もしくは併用しながら見ると、その違いや星座の全景と細かいところが交互に見えるなど、より「星座」というものを認識できると思います。私個人の意見としては、3x50は2台目の星座ビノとしてが一番のお勧めでしょうか。

こうやって考えるとWideBino28のバランスの良さがよくわかります。倍率2.3倍というのは星座全景も多く楽しめて、細かいところまで見える、絶妙なバランスなのかもしれません。

実は星座ビノではないのですが、MIZARの倍率4倍という双眼鏡を持っています。普通の双眼鏡としてはかなり低倍率の部類です。星座用にと2017年の原村星まつりでたまたま見つけたものです。これ確かに星の数が増えるのですが、4倍だともう拡大しすぎで星座の形を捉えること自体が困難になってきます。なので、結局あまり使っていなくてお蔵入りになってしまっています。4倍は星座全景を見ようとすると倍率が高すぎることは確かで、そういった意味では3倍という倍率はギリギリの線なのかもしれません。

値段的にはCS-BINOシリーズは星座ビノとしては最安の部類に入ります。最初から2x40と3x50をまとめて買ってしまっても、得られる感動と実用度から考えたら相当パフォーマンスがいいのかもしれません。


まとめ

結論ですが、星座ビノを既に持っていてその性能を実感できる人にはCS-BINO 3x50は絶対お勧めです。見え方の違いを存分に楽しめるでしょう。初めての星座ビノとしてCS-BINO 3x50を使う場合、星座の全景を見るのに少し慣れは必要ですが、夜空にはこんなに星があるのかと実感できることでしょう。特に都会や、月夜の明るいときに見ると劇的な星の数の増加にびっくりするはずです。CS-BINO 3x50で天の川はまだ見ていませんが、これも夏になった時の楽しみの一つです。

レビューを兼ねたCS-BINO 3x50のファーストライトでしたが、感想はとにかく「あー面白かった」です。この値段なら間違いなく「買ってよかった」です。常時車の中に入れておいて末長く使うこととなりそうです。 

星を始めた時にAdvanced VX用に同時に購入したセレストロン製パワータンク 7。もう3年半使っていますが、結構な頻度で使っていてさすがにバッテリーの持ちが悪くなってきました。特に冬になり気温が低くなると顕著です。中身のバッテリーのみはサイズ違いでいくつか持っていて、自動車用のバッテリーケーブルなどで直接繋いでも使えるのですが、パワータンクのガワ(外皮)にライトがついていたりして便利なことも多いので、結局持ちが悪くなってきてもついついパワータンクを使ってしまいます。でもパワータンクごと新品に買い替えるのももったいないので、中身のバッテリーだけ交換することにしました。


注 意
  • 電源関連を触る場合、感電や火災などの原因になる場合があります。この記事は中身のバッテリー交換を推奨する目的ではありません。あくまで自分でやったことのメモに過ぎません。参考にする場合も必ず自己責任で行うようにしてください。
  • また製品を分解した場合には、当然メーカーの保証などは受けられなくなりますので、こちらも自己責任でお願いします。 


まずは分解

まず、中身のバッテリーがどんなものかを確認する意味でも分解してみます。

1. 上の小さいライトのはそのままリングを回転させて外してしまいます。赤いリングも忘れずに外してください。赤いキャップも紐を解いて外します。

2. 裏側の蓋を開けて付属のケーブルが入っていたら取り出します。

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3. 裏側からネジを外していきます。ドライバーのサイズはPH2です。PH2にしては通し穴が小さいので、少し細めのドライバーが必要です。きちんとサイズの合ったドライバーを使わないとすぐネジの頭を舐めてしまうので注意です。ネジは全部で8本外します。裏蓋のケースの奥にもネジがあるので気をつけてください。 

3. 下の大きいライトは電球部分は取り出す必要はありません。そのままの形で、付け根のところのネジを外して、反対側から中のシャフトを引き抜きます。 ここからライト部分を外すのに苦労するかもしれません。真上方向に引き上げるのが正しい外し方ですが、これでさえも結構大変です。あせってプラスチックの付け根部分を折ったり、繋がっているケーブルを切断したりしないようにしてください。蛇足ですが、実はネジとシャフトを外した後に見える六角ナットは金属でできていて、ライト部分から外れるのですが、最初に分解するときは気づかないと思います。ここはあえて外す必要はないので、気づかなくても構いません。

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4. ネジ8本と大きいライト部分をなんとか外せば、パカっと全体が開くはずです。その際スイッチ類がポロっと落ちるかもしれないので注意です。

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5. これでやっとバッテリーにアクセスできるようになります。端子を二つ引き抜くとバッテリーを取り出すことができます。端子は少し固いかもしれませんが、引っ張るだけです。その際2つを同時に触らないように注意してください。通電してしまいます。慣れていない場合はゴム手袋などをして絶縁して作業した方がいいかもしれません。


バッテリー

さて、使われてるバッテリーを確認してみるとその名の通り「X-POWER TANK」というもので12V 7Ahのもの。

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セレストロンもこのバッテリーの名前を踏襲して「パワータンク7」とつけたのかと思います。ですが、流石に7Ahは今となってはやはり少し容量不足かと思います。でもこの便利な「ガワ」を使おうとするなら大幅な容量増加は望めないので仕方ありません。サイズは65mm x 95mm x 150mmくらい。これに適合するバッテリーを探します。

同様の仕様でパッと手に入りそうなのは2機種で共に数千円。
値段はYUASAの方が千円くらい高いです。サイズがLONGの方が少しだけ大きいですが、入っていたケースのスペースを見ると長さと高さは余裕があります。ただ、奥行きはケースいっぱいに入っていたので、この1mmが仇になる可能性があります。

でも結局購入したのは
1mm奥行きが長いのは同じ、容量が9Ahなので2割増しくらいです。これでもYUASAの7Ahのものよりも安いです。一応NP7-12/NPH7-12/PE12V7.2/RE7-12/互換と書いてあるので多分大丈夫でしょう。


さてさて、何日か前に注文していたバッテリーですが、本日佐川急便経由で商品が届いたので、早速交換してみることにします。

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再度組み立て

既存のバッテリーに付いているケーブルを取り外し、新しいものに交換します。バッテリーを交換したあとは、逆順で組み立てるだけです。バッテリーケーブルは挿さっているか、スイッチ類がきちんと取り付けられているか、

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ベルト端がきちんと棒にはまっているか確認します。問題ないようなら本体を再び合わせてネジを止めます。大きいライトは外す時よりははめるときのほうが簡単かと思います。予備ケーブルが長いので、折り返してうまく収納します。

肝心なバッテリーのサイズですが、新しいものが1mmほど奥行き方向に大きい違いは全く問題になりませんでした。蓋を閉めるときは少し苦労しますがこれはサイズ違いのせいでなく、ゴム板を一部使っているところがあってクッションのようになるので、オリジナルのバッテリーでもネジをはめるまでは蓋の全周囲がピタッと閉まることはありません。ある程度うまくハマっていると思ったら、ゆっくりネジを順に閉めていってください。途中どうしても溝が縮まらなかったら何か噛んでいるので、再度外して確認してみてください。

組み立て終わったら、無事に電源が入るか、二つのライトは点灯するかなどを確認して完了です。またこれで長持ちするはずです。


充電テスト

新しく購入したバッテリーはフルで充電されていないので使う前に一度充電しておいた方がいいです。私は急速充電用にラジコン用の1万円程度の充電器を使っています。これだと、どれくらいの容量を充電したのか、充電にかかった時間はどれくらいかなどがわかります。当然ですが、急速充電器と謳っているので、パワータンク付属の充電用のACアダプターよりも早く充電できます。

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手持ちの充電器は5年ほど前のものなのでちょっと古いタイプですが、いまだに汎用的に天文用のバッテリーの充電器として使えています。持っているのは当時としてはそこそこ大容量だった5Aタイプですが、これでも十分です。

アマゾンで「RC 充電器」とかで検索するとズラーっと出てきます。リチウムイオン/ LiPo / Life / LiHV NiCD / NiMH PB用とか書いてあれば使えるはずです。特にパワータンクには「PB」と書いてあるタイプが必要です。鉛蓄電池用という意味ですね。Pbがモードが省略されているモデルがあるので購入時は注意が必要です。また、5A以上の大容量に見えても充電器への電源入力がDCタイプになっているタイプがあります。これは充電器以外に別途大容量DC電源を必要として、価格、複雑さ共に増大してしまいますので気をつけてください。

調べてみるとDC電源が必要なタイプが多いので、ACタイプですぐに使えそうな例を挙げておきます。でも私が実際に使ったわけではないので、本当に使えるかどうかの責任は取れません。あくまで自己責任で試してみてください。
  • 例1 6A ACタイプ:SkyRC imax b6 【正規品】 (B6 AC V2 (ACアダプター内蔵))
  • 例2 6A ACタイプ: ICQUANZX b6 V3 80Wプロフェッショナルデジタル放電器
実はこの手の充電器、いくつか触ってみるとわかるのですが、エンジンの開発元は全て同じみたいで、メーカーごとに多少オプティマイズしているだけのようです。

充電は「Pb」モードで「12V、6セル」タイプに設定します。でも今回新しいバッテリーで初充電してみたところ42分23秒かかってフル充電されて、315mAhしか充電されなかったので、最初からフルに近い状態で充電されていたことがわかりました。ちなみにこんなに時間がかかっているのは、フル充電に近くなると充電時間が延びるからです。空に近い場合はもっと効率よく充電していきますので、空からの充電時間でも2時間以内です。

あと、アマゾンで「鉛 充電器」などで検索しても別系統の充電器がズラーっと出てきます。12Vタイプの鉛蓄電池を充電するだけなら専用のこれらのものでもいいのかもしれませんが、私は使ったことがないのでよくわかりません。大電流タイプもありそうで、充電時間が短縮できる可能性もあります。でも見ている限り、どれくらいの時間でどれくらいの容量を充電したのかあらわに表示はできないように見えます。あとコネクタが直接パワータンクにつながらないので、別途うまく接続できるケーブルや端子を探さなくてはいけないと思います。


まとめ

セレストロン製のパワータンク7の中身のバッテリーを交換しました。ほぼ同じサイズでオリジナルの7Ahのものから9Ahのものにしたので、稼働時間は増えることを期待しています。交換自体は特に難しいこともなく、工作などの経験のある方なら特に問題なく進めることができると思います。実際の厳冬期での試用記はまた機会があるときに書こうと思っています。

くれぐれもご注意いただきたいのは、電源関連は最悪の場合、感電死、爆発、火事などの甚大な被害を及ぼすことがあります。鉛蓄電池は電圧もそれほど高くなく、爆発の危険も少ないですが、それでも十分な注意を払って、もしこの記事を参考にする場合も、あくまで自己責任で進めるようにしてください。



おまけ: YUASAのPORTLACシリーズについて

実は手持ちでYUASAのPOLTALACの12V 5AhのバッテリーPXL12072を2つ持っています。この機種は低温下でも定評があり、3年前の福島のフターライトフィスティバルで一個千円で手に入れました。

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パワータンクが使えなくなったときの予備でいつも車に積んでありますが、実際にはほとんど出番はなかったです。本当は今回これの後継機種でサイズが合うものを探しました。見つかったことは見つかったのですが、眼玉が飛び出るほど高いです。パワータンク7がまるまる買えてかつ十分なお釣りが来るくらいの額です。なので今回は諦めてコストパフォーマンス重視です。ダメになったらまた替えればばいいかと。


2019/12/29 追記: 実際に使用してみて

冬なのに珍しく晴れたので、撮影を兼ねて新しいバッテリーを使用してみました。夜の22時くらいから使い始めたので少し遅めです。寝ている間に朝まで撮影を続けて、8時頃に起きて片付けてもまだ全然バッテリー切れの様子がありません。

朝バッテリーが切れていると何時まで取れたかなあと心配になります。久しぶりにバッテリーが切れることを心配せずに撮影できました。でも、オチとしてはカメラのバッテリーが切れていたので、結局朝何時まで取れていたかチェックする羽目になったのでした。画像を見たら5時過ぎで止まっていましたが、4時半くらいから薄い雲が出ていたので実質そこで打ち切りでした。

その後フル充電してみたら

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4178mAh使ったことがわかりました。充電時間は161分でした。まだまだ余裕っぽいです。冬の寒さでこれならしばらくは安心できそうです。


(先週の)土曜の昼間、少し時間を取ることができたので、ずっと放っておいたVISACの調整をしてみることにしました。

まず前提条件です。以前8月の暑い時にVISACで撮影した星像です。あからさまに三角になっています。

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ブログの記事にはしていませんが、この後にも再度星像が三角になる事を試しているので、再現性もありです。これを直したいということです。

いろいろ調べてみると、どうも
  • 主鏡の固定ネジを締めすぎているために、主鏡が歪んでしまっているのが原因
という説と
という意見が主流のようです。


VISACの分解開始と清掃

まずは中を見てみようと、筒側部分にあるネジを3本外します。さらにアリガタを取り付けているネジ2本の計5本を外すと、主鏡部分が筒から簡単に外れます。

寒いところから暖かい部屋の中に持ってきたので、反射面が少し曇っていたためにあからさまに気づいたのですが、恐ろしく汚いです。

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最初曇っていることにさえ気づいていなかったので、なんじゃこりゃと思ったのですが、しばらく時間が経つと曇りが消え、一見綺麗に見えるようになりましたが、流石にレンズクリーナーで清掃しました。

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かなり綺麗になったのですが、それでもやっぱり完全には汚れを取りきれません。とりあえず今回ここは妥協します。


3つの爪をいじる

爪が3つ見えるのですが、これはどうやら固定に使っているというよりは落下防止のようです。歪みを引き起こしいてるネジは別にあるという話ですが、今回はそこまで達していません。慎重を期すために、まずはこの3つの爪だけを考えます。

と、ここで気づいたのですが、どうやら他のVC200Lには主鏡押さえ用のリングが入っているようです。私の個体にはありませんでした。古いモデルなので最初からついていなかったのか、それとも以前のオーナーがとってしまったのか定かではありません。でも現行モデルにはついているということはやはりあった方がいいのでしょう。時間がある時に自作することにします。とりあえず今回はリングのことは今度の課題として残しておきます。

爪自身が歪みを作っている可能性も否定できないので、まずはどれくらい主鏡を押さえつけているか調べてみました。ところが、ネジがゆるゆるでほとんど締まっていません。本当に万が一の落下を防止するような感じです。もう一つの可能性が、爪の形自身が光を遮って三角に見せている可能性があるかもということです。なので今回2つのことを試してみました。
  • 一つは爪をひとつ外してみます。これは光を遮っているならば3角の形が変わるだろうと推測したからです。
  • もう一つは、残り2つの爪のネジをかなりきつく締めてみることです。これで主鏡が歪むなら星像が変わるはずです。
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外した爪です。L時型でゴムでできています。
ネジが当たるところに金属の板を被せてあります。

ところが2つのことを一度にやったのはやりすぎでした。夜になって見てみた星像の結果が下の写真になります。

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これを見ると点像から全くずれてしまったことがわかります。


すぐに元に戻すが三角にならない

流石に焦ってしまい、すぐに再現性を見るために爪のネジの締め具合を元のゆるゆるに戻し、外していた爪も元に戻しました。光軸が少しずれた可能性もあり、実際内外像を見てもずれているのがわかったので、星像を見ながら主鏡側の押し引きネジを調整し光軸を合わせます。なんとか元に戻ったように見えます。

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ところがここでもう一つの失敗に気づきました。以前撮影した三角の星像は確認していたので、今回は星像を見る前に昼間に分解をしてしまったのです。光軸を合わせても、星像が丸になってしまうのです。温度が高い方が主鏡が膨張するので、夏の方が三角になりやすいという記述を思い出しました。

ここで3つの可能性が出ました。
  1. 冬なので温度が低く、主鏡の歪みが少なくなり星像が丸くなった。
  2. 光軸調整を失敗して点像が出なくなり、星像が肥大化してしまい三角が出なくなった。
  3. この日はシンチレーションがすごく悪かったので、そもそも短時間でもブレてしまって星像が丸くなってしまう。
というものです。以前撮影したM57の星像が残っているので、今の状態で撮影したものと比較すればわかるのですが、冬のこの時間ではM57はとっくに沈んでしまっています。この時期でもまだ早い時間だとM57は見えるので、できれば来年になる前に、晴れてシンチレーションがいい時に一度試したいと思います。


もう一つの可能性

ここでもう一つ、もしかしたらということに気づきました。まだ全然仮定の段階ですが、もしかしたら星像が三角になるのは振動のせいかもしれないということです。飛騨コスモスの時も高度の低いM57を見たときは星像は丸で、天頂付近のM1を見た時には三角になったのです。夏にM57で星像が三角になったときは暑い上に天頂付近での撮影。今回トラベジウムを見ているときは寒い上にまだ低空です。しかも赤道儀を叩いても鏡筒を叩いても、コスモス天文台の時ほどではないですが、星像が揺れます。でも結局三角の星像を再現することができなかったので結論は出ず。やはりまずはM57で星像が肥大化していないか一度比較してみることにします。

でもなんでこんなことを思ったかというと、分解した際に主教の反射面をかなり注意深く見たのですが、少なくとも私の目には歪みのようなものが全く見えなかったのです。主鏡歪み説が本当かどうかは、今のところなんの証拠もありません。出来るだけ他の情報に惑わされずに、自分で納得しながらもう少し客観的に検証を進めていこうと思います。

あともうひとつ、振動説の可能性をなんで思ったかというと、筒がペラペラすぎるからです。主鏡を取り外す時やはめる時に力を入れると簡単に曲がってしまいそうなほどペラペラです。軽いのはいいのですがもう少し強度があってもいいと思いました。なので、取り外しの回数をどうしても減らしたくて、2つのことを一度にやってしまったのが今回の敗因の一つでした。取り外しは何度か試して多少慣れたので、次回はもう少し分解回数を増やして慎重に事を進めたいと思います。


トラペジウムで試写

こんなどうしようもない状況ですが、一応トラペジウムで試写をしてみました。
  1. 露光時間: 0.1秒、gain: 570(max)、撮影枚数500枚
  2. 露光時間: 1秒、gain: 370(maxの10分の1)、撮影枚数50枚
  3. 露光時間: 10秒、gain: 170(maxの100分の1)、撮影枚数50枚
でもこの日は結局シンチレーションが悪すぎました。下のGIFアニメは0.1秒露光の動画の最初の100コマです。トラペジウムの間の距離の半分くらいはシンチレーションで動いてしまっています。
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0.1秒露光の星像の動き。

でもこの0.1秒露光をAutoStakart!3で500枚中の上位250枚コンポジットした場合、それほど壊滅的にはならなくて下のようにそこそこ綺麗になってしまいます。
10s
0.1秒露光を250枚コンポジットした画像。

さらに10秒露光で50枚中上位25枚コンポジットしたものが、下のようになります。シンチレーションのせいと思いますが星像の肥大が見えます。
10s_cut
10秒露光を25枚コンポジットした画像。


グダグダだけど、一応まとめ

上記結果と、以前星像がどこまで小さくなるか検討した時の議論



および、今年の3月にMEADEの25cmシュミカセでトラペジウムの分解能を測定した記事の結果を合わせると、



やはり今回は短時間露光と長時間露光で星像の肥大が認められるので、シンチレーションが悪かったと結論づけることができると思います。そのため分解能を議論するほどの結果は得られなかったと言えると思います。

もう一つ、今更ながらVC200Lの三角星像の海外記事を読み直していました。この記事の結論としては、
  • きちんと温度順応をしてから
  • スパイダーを避けるマスクを作ってから
  • 光軸調整をきちんとやってみると
三角星像は改善したという事です。今回確かに、VC200Lを外に出してかなり放っておいてから光軸調整をしたので三角が無くなった可能性も否定できません。もし本当にこれが正しいならばもうこれ以上することはなくなります

いろんな可能性がありすぎてまだ迷走状態ですが、少なくとも
  • 現在の星像は丸である
  • 周辺まで含めてコマ収差などの星像の歪みは見られない
  • 光軸がまだずれていて星像が甘い可能性もあるが、MEADEの中心像くらいの分解能は出ている
ということは言えます。MEADEはコマ収差と片ボケがあったので撮影使うには厳しかったのですが、これに比べたらVISACはすでにかなりマシで、とりあえずもう使い始めてもいいのかもしれません。


さて、飛騨コスモス天文台の鏡筒ですが、撮影レベルで使えるかどうかの検証の続きです。今日は前回と違って時間はたっぷりあったので、色々試しました。


飛騨コスモス天文台の機材

まずは赤道儀と鏡筒ですが、改めて見てもどうもよく分かりません。赤道儀は少なくともタカハシ製で、最初NJPかと思っていたのですが、シリアルナンバーを見るとどうやら1978年製。このころはまだTS式システム160J赤道儀/J型赤道儀というシステムで販売されていたものらしくて、どうやらJPとかNJPとか単体で呼ばれる前のものだったのかもしれません。

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鏡筒についてですが、ちょうど日曜に富山県天文学会の忘年会があったので、そこで昔のことを詳しい方達に聞いてみました。焦点距離3000mmというのと口径250mmという情報から、やはりタカハシのミューロンの初期のものではないかとのことでした。でもやっぱりWebで調べても形が所々違うんですよね。

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色は赤道儀と同じです。昔のタカハシカラーなのか、もしかしたら後から赤道儀と鏡筒を合わせて別の色で塗っている可能性もあります。とりあえず機材に関してはあまり進展なしです。

(2019/12/21追記: スターベース さんで聞いてきました。少なくともタカハシ製ではないとのことです。日高光器製との情報もありますが確定ではありません。確かにネットで調べてみると、日高光器デザイン、ヨシオカ光器制作の反射型のデザインに似ているところもあります。色はどうやら赤道儀と合わせて後から塗ったのは確定のようです。)


極軸調整

まずは簡単なところからはじめす。いつものようにSharpCapでの極望です。ところがここの機材、あまりにまとまりすぎていてCMOSカメラを取り付けるところが全然ありません。いろいろ探した末、モーターのカバーを取り付けているネジを一本外して、そこに無理やりアルカスイスプレートを固定し、そこにいつものアルカスイスクランプ付きのCMOSカメラを固定しました。

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実際に現在の誤差を測定してみると、なんと20分角以上もあります。これでは流石に前回の撮影中に星像がどんどんずれていったはずです。

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とりあえず写真に写っている水平調整と、六角レンチを指している垂直方向の調整で、1分角くらいの精度まで合わせこみました。

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ただしカメラがASI178MCで、そこに焦点距離50mmのCマウントレンズをつけてあるだけなので、精度は不十分で、誤差を考えると1分角は出ていないはずで、せいぜい数分角程度かと思います。それでもずれはこれまでの10分の1程度にはなったはずなので、ノータッチガイドでもある程度の時間撮影を続けることができるはずです。


光軸調整

光軸調整の方は厄介です。とにかく鏡筒が普段触っているものより大きく、高いところにあるので扱いにくいです。まずは鏡筒を水平近くに持っていって、地平線上に見えるくらいの星を入れて、副鏡に手が届くようにしてから光軸をいじってみました。副鏡のネジは4つ。自由度はpitchとyawに分離できるので、基本的に触るのは2つのネジだけです。それぞれの自由度でどちらのネジをいじるかを決めて、もしネジを全部締めこんでしまった場合や緩めすぎになる場合は、反対側のもう一方のネジで調整するようにします。

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もともと恒星が明らかに尾を引いていたので、それを消すように調整します。ただし、中心で合わせても四隅ではコマ収差のためにどうしても尾を引いてしまうようです。カセグレン式のこの鏡筒は眼視がメインと思われるので、致し方ないです。そのうちにコマ補正を試せればと思います。


ASCOMでの動作

光軸調整後、後々のガイドなどのことを考えて自分のPCで赤道儀を操作できるか試してみました。もともとドームにあるラップトップPCにはステラナビゲーターが入っていて、LX200モードで自動導入が可能になっているようです。なので自分のPCにもLX200用のASCOMドライバーを入れて、そのドライバーを介してCartes du Cielから操作してみようと思いました。

まず、接続自身は問題なくできます。Cartes du Cielのカーソルを押すと、その方向に赤道儀が動いているのが分かります。ところが、同期だとか、導入をしようとすると、赤道儀から現在地がどこなのかの反応がないと怒られてしまいます。赤経赤緯の読み取り値を見てみると、数値は両方とも出ていますが、片方は緑色、もう片方は赤色でどうも片方だけうまく読み取れていないようです。時間ももったいなかったので、この時点で諦めて、ドームにもともとあったPCでの接続に戻して再び自動導入をできるようにしました。Cartes du Ciel以外のソフトを使う手もあるので、ドライバーがうまく動いていないのか、プラネタリウムソフトが何か悪いのか、パラメーターが悪いのか、次回の課題です。

この日はガイドは諦めるとして、ここでM57を撮影してみました。30秒露光なのでガイドなどは必要ありません。こと座の高度はだいぶん下がってきていて、山のすぐ上くらいにあります。なので枚数は全然稼げませんでしたが、前回は10秒露光、今回は30秒露光でほぼ同じような星像の大きさになったので、少しは光軸調整の効果が出ているようです。下の写真はdebayerだけしてオートストレッチをかけたものをJPEGにしたものです。星像は変な形はしていませんが、分解能はまだまだでVISACのように点像とは言い難いです。カセグレン式は中心像は結構いいと思っていたのですが、それほどでもないのかもしれません。

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M1かに星雲の撮影

さて、問題はここからです。M57も沈んでしまったので、今日のメインのM1、かに星雲の撮影を試みることにしました。M57での星像を見るに、分解能はそれほど期待できないかもしれません。M1はこの時間かなり高い高度にきているので、鏡筒を真上近くに向けます。ところがM1を導入してみてびっくり。全ての星が全然丸くありません。どちらかというと三角形です。

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拡大して見てみると星が三角になってしまっています。

うん?鏡筒を反対側に持ってきたので光軸がずれたか?と、気を取りなおしてまた鏡筒を水平近くに持ってきて光軸調整をしようとしますが、まだ何も触っていないのに星像がまともな丸になっています。なんで?とりあえず何も触らずにまた上の方のM1に戻すとやはり三角っぽい形です。この時点で、これは光軸のずれのせいではないと思い直し、落ち着いて考えてみました。

星像をよくみていると、どうも形が時系列で変わっています。時には丸のこともあれば、時には三角、さらには細長い時もあります。あー、と思いおもむろにいろいろなところを揺らしてみました。するとわかったのは、
  • ピラーがかなり、目で見てわかるくらいに簡単に揺れること。
  • 鏡筒とウェイトでダンベルのようになっていて、それが赤道儀の赤経周りの回転モードで励起されていること。
これらの2つのモードが励起されると、ちょうど星像が三角形のように撮影されるということです。しかもかなりQ値が高いようで、なかなか減衰しません。半減期は5秒とかのオーダーでしょうか。周波数も真面目に測っていませんが、数10Hzはありそうです。下の写真はピラーと鏡筒を叩いた時の同じM1の周りを0.25秒の露光時間で撮影したものです。2つのモードが励起されて星像が円を描いているのがわかります。

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コンと叩いただけでここまで揺れるのは流石にいただけないです。地面や風の揺れだけで星像がおかしくなるのも納得です。何らかのダンパーが必要になるのかと思います。

さて今回の記事はここまでで、次回は撮影したM57とM1を処理したものです。でもやはり像が甘いのであまり期待できません。

 

一つ気にになっていることがありました。この間購入したPENTRAXのTAKUMAR LENS、言わずとしれたオールドレンズです。このようなオールドレンズにはアトムレンズとかトリウムレンズなどとも呼ばれ、性能の向上を図ったレンズの可能性があります。前回の撮影で思ったよりも収差も少なかったので、もしかしたらアトムレンズなのではと思い調べてみました。

 


アトムレンズとは

アトムレンズとはレンズ基材に微量ながらも放射性物質である酸化トリウムを混ぜ、高屈折かつ低分散を実現させ、現在のフローライトレンズと同じような効果を狙ったものです。屈折率が高いとその分同じ厚さでもより光を曲げることができるため、レンズを薄くすることができその分湾曲を防ぐことなどができるというわけです。

ただ一つ、欠点があって、古いアトムレンズは覗いてみると黄変とか言って、劣化で黄色く見えるなどの特徴があるそうです。この黄変は製作後数年で出てくるそうで、アトムレンズが生きのこらなかった理由の一つが、黄変が短期間で出てきたことがあると言われているようです。黄変は屈折率などには関係ないので、ホワイトバランスが崩れることや、透過率が下がるなどの弊害はありますが、星撮りでは後の画像処理が入るために、それほど大きな問題にはならないと考えられます。


測定対象としたレンズ

今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4とは別に、NIKONのオールドレンズを50mm/f1.4と35mm/f1.4の2本持っていて、こちらもアトムレンズの可能性があります。実際のところ、どれがアトムレンズに相当するのかよくわからなかったので、今回この4本を市販の簡易放射線カウンターで測定してみることにしました。

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今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4

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昔手に入れたNIKKOR50mm/f1.4と35mm/f1.4

 
黄変の具合

測定の前に、黄変の具合を見てみます。左上からNIKKOR 35mm f.1.4、右上がNIKKOR50mm/f1.4、左下がPENTAX 75mm f/4.5、右下がPENTAX 200mm f/4になります。
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上のNIKKOR2本は目で見ると明らかに黄色くなっています。特に35mmの方はかなりはっきりわかる黄変です。50mmのほうは、写真で見るとわかりにくくなってしまっていますが、目で見ると誤差の範囲でなく黄色いです。今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4の2本は目で見る限り黄変のような兆候は見られませんでした。




実際の放射線量の測定

実際の測定結果は以下のようになります。上がレンズのフロント側、下がレンズのカメラ側になります。左上からNIKKOR 35mm f.1.4、右上がNIKKOR50mm/f1.4、左下がPENTAX 75mm f/4.5、右下がPENTAX 200mm f/4です。出来るだけセンサー位置をレンズ中心になるようにおきました。木の棒が置いてあるのはレンズ面にセンサーが触れるのを防ぐためです。

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レンズのフロント側。

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レンズのバック側(カメラ側)

まずは今回購入したPENTAXの2本ですが、レンズの上に乗せて測ってみても表示は0.1μSv/h程度と、あまり普通の場所での値と変わりません。NIKKORの50mmも同様です。ところが、NIKKORの35mmに近づけた途端に0.3とかに跳ね上がりました。レンズの前で測ると最終的に2μSv/h程度、レンズの裏に至っては4μSv/h以上にまでなりました。

日本の年間平均自然被曝量が2mSv程度とのことなので、500時間身につけていて自然被曝量程度になります。通常使用では全く問題のないレベルです。


アトムレンズの写り具合

昔、この35mmのアトムレンズを使って、ASI294MCを取り付けて固定撮影でオリオン座付近を撮ったことがあります。



フォーサーズサイズのセンサーでも星像は4方向に伸びていっているのがわかります。今回手に入れたPENTAXの75mmの方が、フルサイズでも星像がかなりマシなので、アトムレンズが必ずしも絶対的に性能がいいというわけではなく、あくまで相対的には性能のいいレンズが作れたということでしょうか。しゃんすがあれば今一度晴れた時に試して見たいと思います。


まとめ

アトムレンズの実測をしているページは探すとすぐにいくつも見つかります。それでも、NIKKORレンズにはアトムレンズは存在しないのではというページもあったり、今回の35mm f1.4がアトムレンズだという記事はありましたが、実測している記事は私が探した範囲では見つけることができませんでした。

アトムレンズは黄変だけで判断するのも難しそうです。NIKKORの35mmと50mmを比較すると明らかな差はわかりますが、単体で50mmだけを見ても黄色く見えるので、迷うかと思います。

PENAXのTAKUMARも、収差が少ないのでもしかしたらアトムレンズかもと思っていたのですが、完全に気のせいでした。やはりきちんと測定などして確かめることが大事です。今回自分で測定し色々調べてみて、実際にいつの年代のどこのメーカーのレンズがアトムレンズの可能性が高いのか、どれくらいの放射線量なのか、どのくらいの時間使っていると危険なのかの目安など、実感として納得しながらわかることが多かったです。こうやってみるとアトムレンズはかなり限られていて、古いレンズで黄変していても、アトムレンズは意外に少ないのかもしれません。

あ、それでもやはりあぷらなーとさんは持っていて、しかもきちんと実測してました。



最初の方でアトムレンズは星撮りに問題にならないと書きましたが、あぷらなーとさんによると、放射線にセンサーが反応してノイズになるとのことです。さすがあぷらなーとさんの解析です。私はまだまだこの域には程遠いです。


朝からずっと曇りだった昨日、夜中に短時間ですが東側がひらけてオリオン座がものすごくきれいに見えていたので、電視観望関連で少しやってみたかったテストを敢行しました。題して「格安電視観望」です。


目的とセットアップ

今回の目的は、電視観望の裾野を広げるために最低限の機材でどこまで値段を安くできるかというものです。とりあえず試してみて、その後のアップグレードにつなげる最初のステップという意味もあります。

今回、3つの方法でオリオン大星雲を見比べをします。
  1. いつものFS-60CBにASI294MC Pro(常温で駆動)をつけて、光害防止フィルターのQBPは無し 、AZ-GTiにのせて。
  2. Celestronの格安持ち運び望遠鏡トラベルスコープ 70に ASI294MCをつけて、光害防止フィルターのQBPは無し 、AZ-GTiにのせて。
  3. CanonのカメラレンズEF 55-200/4.5-5.6 II USMにアダプターを介してASI224MCをつけてたものを、AZ-GTiもしくは普通の三脚に載せて。
です。 


1. いつものタカハシFS-60CB

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まずはいつものセットアップで見てみます。焦点距離は355mmに旧フラットナーをつけて合成焦点距離374mm。比較しやすいようにQBPは外しています。露光時間は1.6秒、LiveStackで10フレーム程度なので、総露光時間は15秒程度です。画像はいつもやっているように見栄えがするようにあぶり出します。 これを比較の基準とします。

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露光時間は1.6秒、ゲインは最大の570。スタック回数が少ないので少しノイズが残っていますが、さすがに明るいM42だけあって、綺麗に見えています。フラットナーが旧タイプなので周辺は少し放射状に広がっています。中心の星像はかなりシャープですが、カメラのゲインが大きいため明るい恒星はサチってしまっています。

2. トラベルスコープ70

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 次は入門用の鏡筒です。鏡筒としての性能は求めず、焦点距離が400mmと短いこと、現行機種で安価で入手しやすいことが今回選択肢に選んだ理由です。アマゾンで収納カバン付きで実売1万円を切っています。カメラはASI294MCとしましたが、次との比較のためにASI224MCにしたほうがよかったかもしれません。ASI224を使うとまだ焦点距離が長すぎることが多いので、安価なレデューサがあったほうがいいのですが、今回はそこまで気が回らなくて294を使ってしまいました。

実際にはアイピース口にカメラを取り付けると、接眼部を伸ばし切ってもまだ短くてピントが合いません。私は31.7mm用の延長筒をつけましたが、なければ付属の45度正立プリズムを使ってもいいかもしれません。

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1と比べたら実売で10分の1程度の安価な鏡筒ですが、これをみる限り十分に見えています。電視観望では鏡筒の性能の差が出にくいと考えて良さそうです。ただし、よく見てみると恒星の周りにハロが出ていることと、星像が1の時ほどシャープでなく、ボテっとしています。また、そのせいかサチっているのが目立ちやすくなっています。昔、トラベルスコープ にASI224MCをつけてM57で試したことがあります。技術的にはまだ稚拙だったところもありますが、その時にも色は出ていたので、評価は特に変わらず、電視観望なら十分に使うことができるというものです。


キットレンズクラスでの電視観望

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今回の一番の目的です。このEF 55-200/4.5-5.6 II USMというレンズは入門用のレンズで、以前EOS Kiss Digital Nのキットレンズとして付属していたものらしいです。あまり記憶がないのですが、多分キタムラで数千円で購入しました。

かなりの数が出ているはずの一眼レフカメラ用のキットレンズクラスでどこまで電視観望ができるかを試します。最長で200mmの焦点距離なのですが、今回200mmにするとASIカメラにCanonレンズを接続するアダプターを最長まで伸ばしても焦点を合わせることができませんでした。なので、焦点距離は150mm程度で試しています。ASI224MCはASI294MCに比べるとセンサーが一辺で4分の1、面積だと16分の1になるので、150mmの焦点距離である程度近いくらいの画角になります。露光時間は同じ1.6秒、10枚スタックですが、ゲイン最大だとノイズが目立ったので、224の最大ゲインの600から2段階ほど落として500にしてあります。

結果はというと、以下のようになります。

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どうでしょうか?まず、カメラが1、2で使ったASI294とは違うため解像度が落ちていて、PCの画面の解像度に負けています。そのためノイジーに見えてしまっています。またF値が少し低いので、多少暗く、それもノイズ増加につながっているのかと思います。でもそれはLiveStackでもう少し待っていればいいだけの話で、それほど問題にはならないはずです。それよりも、やはり星像がより大きく出てしまっていて、サチっているのがよくわかります。これはレンズのせいともあるかと思います、実際にはカメラのせいもあるのかと思います。ASI224MCは12bitでダイナミックレンジがASI294と比べて小さく、飽和容量も4分の1とサチりに対して耐性が低いです。でも今回は、安価なということと、キットレンズで手に入る焦点距離で試すために、あえてこちらを使いました。

でも、そういったことを知らなくて、これはこれで単体で見れば、M42などの明るい星雲ならキットレンズクラスで十分見栄えのする電視観望になるのかと思います。

最後に試したのが、架台をAZ-GTiでなくて、普通のカメラ三脚に載せて追尾なしで電視観望をした時です。条件は同じ露光時間1.6秒、10枚スタックです。結果は以下のようになります。

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自動追尾はできないのですが、SharpCapのLiveStackでのAlignment機能が秀逸で、星の位置を認識して縦横、回転だけでなく、画面を歪ませてスタック画像を重ね合わせてくれます。なので星だけ見るとずれは全然ありません。その代わりに、ちょっとわかりにくいですが撮影画面の右側に黒い帯が見えることと、ノイズが筋のように流れて見えます。これが追尾しなかったせいでずれていった跡です。15秒でこれくらいなので、5分程度なら追尾なしでも十分に持たせられることがわかります。

このことは通常のカメラ三脚だけでも電視観望は十分可能だということを示しています。ただし、導入は慣れないと結構苦労します。

AZ-GTiは安価で眼視や電視観望では十分な性能の自動導入経緯台ですが、電視観望にはイチオシです。自動導入がついている普通の赤道儀でもいいですが、自動導入はなくても自動追尾だけでも電視観望は可能です。でもここで示したのはAZ-GTiや、赤道儀などを持っていなくても、まずはカメラ三脚でもいいので試してみることも十分できるということです。その際は、とりあえずは星が流れていってもいいので少し時間をかけてSharpCapの機能を試すことと、暗いものをあぶり出すテクニックを練習してから実際の星雲などを入れるのがいいのかと思います。

もう少し試そうとしたのですが、ここで雲がかかってきてしまい断念。今度はもう少し小さい天体をデジタル上でトリミングズームしてみて比較してみたいと思います。


まとめ

今回はどこまで安価に電視観望を試すことかを目的として試してみました。CMOSカメラASI224MCが税込で3万数千円、カメラレンズとの接続アダプターが6千円ちょっと、一眼レフカメラを持っていれば手持ちの200mm程度のレンズを使ってみる、架台はカメラ三脚、PCもあれば手持ちのもの。それでも三脚にどう固定するかとかいう問題があります。私はカメラ背面についている1/4インチネジ穴を使って適当なL字金具を固定して三脚の自由雲台に取り付けています。

電視観望をまずは試して見たい方は、上記のセットアップを参考に各自で工夫してみて、面白ければ次の便利な自動導入だとか、センサー面積の広いカメラだとかに手を出すというのも一つのアップグレードの道だと思います。

今月号(2019年10月号)の天文ガイドに天の川沿いの赤い星雲ガイドがありました。こうやって実写とともに、位置情報まで含めて一覧で見どころを示してくれているのは今まであまりなかったのでありがたいです。これに沿ってどれくらい見えるのか電視観望でいくつかみてみました。条件は前回の記事と同じ機器で、QBPをはめてです。


QBPでの電視観望でここまで見える

まずは、前回の記事のテストでも試した天文ガイドのページに沿って、北アメリカ星雲です。何枚か撮ったうちの一つです。

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位置はサドルより下流でも、さすがに天文ガイドの記事のトップに来るくらいメジャーで明るい星雲です。電視観望でも十分見栄えがします。

次は白鳥座のガンマ星、二等星のサドルがある付近です。

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天文ガイドでは星3つで「とにかく明るい」と書いてある場所で、電視観望でもその場で結構楽に見ることができてます。

調子に乗って、サドルから少しデネブ方向に移動してみました。天文ガイドには「3つの連なった青い星雲」とありますが、写真の右の少し下くらいのところです。残念ながら、それらしい青いものは見えません。もしかしたらQBPは青を出すのが苦手なので、そのせいかもしれません。

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ここらへんで、やはりかなり明るいものでないと厳しいといことがわかってきました。

次は天文ガイドには書かれていませんでしたが、やはり白鳥座にある三日月星雲です。

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こちらも形はきちんとでているようです。少し拡大してあります。

同様に網状星雲です。網状星雲が電視観望でこんなに綺麗に見えたことは私は初めてです。QBPの効果絶大かと思います。周辺減光がひどいので、フラット補正をしたほうがより見栄えするのかもしれません。

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ずーっと飛んで胎児星雲です。こちらは天文ガイドで星二つ。それでも明るいので星三つでもいいのではと書いてありました。電視観望だとこれでやっとかろうじて見えるくらいです。

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網状星雲もそうなのですが、意外に画角が広いので、もしかしたらレデューサを入れたほうがいいかもしれません。ただしレデューサーの効果で、もともと小さくしか見えないM57とかは流石に小さくなりすぎると思うので、分解能的に厳しいかもしれません。M57は輝度が高く電視観望の目玉の一つなので考えものです。

ちなみに、胎児星雲までずーっと飛んだわけは、ここまで星二つとか星一つのSh2がほとんどだったからです。でもケフェウス座のIC1396はきちんとトライしてみてもよかったかもしれません。ただ、富山は北のほうがかなり明るいのであまり北寄りだとやはり厳しいいかもです。もう少し時間が経つとカリフォルニア星雲とか勾玉星雲とかが見えたかもしれませんが、昨晩はここらで時間切れでした。


逆にQBPが電視観望に向かないケース

ここからは失敗例です。

意外だったのがM31アンドロメダ銀河です。先日の演奏会とのコラボの時もそうだったのですが、意外に綺麗にでません。もう天頂付近に来ていたので、雲とかのせいではないです。もしかしたらQBPのせいなのかもしれません。

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一度QBPを外したものと比較してみたいです。

あと、M45すばるもダメ。悲しいくらいの苦労の跡が見えますが、どうやっても青が出ませんでした。これもやはりQBPのせいでしょうか。

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ちょっと気になって調べてみました。まず、中川光学研究室ブログにQBPでM45を撮影した例が出ています。綺麗に反射光の青が出ています。ではこの青の波長はというと、ここを見ると430nmらしいのですが、これだと下のグラフからもわかるようにQBPを透過することができません。

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M45の波長データが違うのか?QBPの透過周波数特性が違うのか?今度自分できちんと撮影して確かめてみることにします。



最後は二重星団です。SynScan Proのリストでパッと目に入ったので導入してみました。

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失敗と言ってしまうのもあれなんですが、QBPに関係なく、やはり恒星はシャープさがなかったり、偽色が出たりで、電視観望で見るのはイマイチです。こちらは絶対にアイピースで見たほうがいいでしょう。電視観望だとみんなで一緒に見えるというくらいのメリットしか見い出せません。球状星団なら電視観望で淡いところも出せるので、まだマシかもしれません。

今回のテストはこれくらいです。実は時間的な順序では網状が最後でしたが、この時点でバッテリー切れと、気力切れでした。


改善点

今回のテストは一般の観望会を想定しています。安全のため、それほど暗い場所でなく、たくさんのお客さんがいるために装備はトラブルレスを第一に、とことんまでシンプルにというような方針です。

これ以上の改善をするなら、
  • CMOSカメラを冷却してノイズを減らす
  • ダークフレームを撮影してリアルタイムで補正し、輝点ノイズなどを減らす
  • フラットフレームを撮影してリアルタイムで補正し、周辺減光を減らす
  • 暗い場所に行く
  • 月のない日を選ぶ

などでしょうか。確かにこうやってみると改善の余地はまだありそうですが、時間の限られている観望会でこれをするかどうか?お客さんを待たせないようにとか、少し考えなくてはいけないかもしれません。


まとめと結論

秋も電視観望で色々な天体を楽しむことができることがわかったかと思います。ただ、北アメリカ星雲とかはいいのですが、サドル付近とかを観望会で見せて果たして一般の人は喜んでくれるのかどうか。胎児星雲ももう少し画角が必要です。網状星雲はインパクトがありますが、三日月星雲を一般の人に見せてどんな反応を示すのかとかはちょっと興味があります。

天文好きな人は反応がめちゃくちゃいいのはいうまでもなく、以前の福島の星まつりで三日月星雲が見えて大騒ぎした覚えがあります。福島の時も確か月が明るかったです、その時から比べてもASI294MC ProとQBPが投入されたことで電視観望の技術もずいぶん進歩したことがわかります。

あと、QBPが苦手そうな天体があることがわかったのも儲けものでした。こちらはQBPを外す手段を考えるとか、2台体制でいくなどを考えたほうがいいのかもしれません。アンドロメダ銀河なんかはもう少し見えるかと思っていました。

あ、ちなみにこのテストはちょうど満月の日に行われました。星雲を見るのには最も適していない日です。煌々と輝くまん丸のお月様の下でこれだけ見えるなら、多少の光害地でも、観望会で見せるくらいのネタはなんとかなることがよくわかりました。


QBPがあれば、もうこの電視観望、場所と日を選ばずに星雲見えそうで超強力な観望会ツールになりそうです。あ、もちろん雨とか雲はダメですよ。
 

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