ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 観測・撮影

前回までに5分露光のトータル7時間コースでNGC4216、4時間コースでM104ソンブレロ銀河を撮影しました。





ところが両方ともどうも星像がボテっとしていて、いまいち不満が残ります。光軸調整やピント精度、シンチレーションなどいろんな原因が考えられますが、やはり一回の露光が5分と長いので、シンチレーションでの揺れがそのまま積分された星像になり、ボヤっとなってしまっている可能性が高いです。今回は露光時間を10秒と短くして、シンチレーションの影響をみようと思います。


短時間露光の効果

この手のことは以前ラッキーイメージ撮影と、その後の考察で試していて、やはり短時間露光の方が解像度が出るという結果でした。http://hoshizolove.blog.jp/archives/37040131.html

 
 

これと同様なことを銀河で試してみたかったのです。ただし、撮影枚数が膨大になるので、今回はLivestackを使いリアルタイムでスタックすることで撮影枚数を減らそうと考えています。露光時間は銀河なので淡いため、とりあえず10秒で始めます。これは以前のラッキーイメージのテスト(オリオン大星雲で、かなり明るかった)での一番長い露光時間にあたります。それでも前回の撮影の5分(300秒)と比べたら30分の1と相当短くなります。

最近注目なのはgotodebuさん。30cmのドブソニアンとASI294MM Proで、かなりの分解能で成果を出しています。素晴らしいです。

 

MMいいなあ。カラーでの分解能の限界を感じたら、そろそろモノクロに移るかもしれません。


3通りで比較

ターゲットはVISAC復帰第一弾で撮影したNGC4216、NGC4206、NGC4222です。
  1. 前回の撮影で4月5日にgain120で5分露光したもの
  2. 今回4月10日に改めてgain120で5分露光で撮影したもの
  3. 今回4月10日にgain420で10秒露光を30回LiveStackしたもの
の3通りです。撮影時間はいずれも22時半前後です。2.から3.でgainを300 = 30dB = 20dB+10dB = 10倍x約3倍 = 約30倍増やしました。1回の露光時間を300秒から10秒にした30分の1をちょうど相殺するため、得られた画像はほぼ同じ明るさになります。これを30枚Livestackすることでトータル同じ露光時間(同じ光子量)とします。それぞれの画像はABEでフラット化して、STFとHTでオートストレッチしています。


短時間露光、LiveStackの問題点

でもこの3番目の方法、もう一つ大きな欠点があります。例えガイドをしていてもLivestack中に微妙に位置がずれてしまうと、例えばホットピクセルが動いてしまい、後でダーク補正をしても補正しきれなくなります。フラットも同じことで、画面にゴミなどの影があったりするとそれが動いてしまうので、補正しきれません。周辺減光は後でABEやDBEをかければなんとかなるでしょう。

この欠点をリアルタイムでダーク補正することで緩和します。SharpCapには露光ごとにダークとフラットを補正できる機能があります(ただし有料版のみだったはず)。フラットはこれまでうまくいったためしがないので、今回はダーク補正のみです。10秒で64枚撮ったものをダークフレームとして使いました。でもこれが吉と出るか、凶と出るか、長時間撮影して画像処理までしないとわからないです。高々640秒、10分程度の露光のマスターダークなので、まだそこに残っているノイズはライトフレームの後のスタック時にそのまま加算されるはずです。それが縞ノイズとかになるかも知れません。

このダークフレームに残ったノイズの緩和や、ゴミの影を除去しきれない問題は、ディザーである程度解決します。十分揺すってやれば多少のコヒーレントなノイズは散らされて目立たなくなるはずです。「ディザーは七難隠す」はこんな時でも有効です。


一枚画像での比較

まず、スタックをする前の一枚撮りでの比較をします。それぞれ撮影した画像からわかりやすいところを一部切り出しました。左から、1.、2.、3.となります。

comp
左1: 4月5日の300秒露光、真ん中2: 4月10日の300秒露光、右3: 4月10日の10秒露光の30枚LiveStack

まず1.と2.を比べます。基本的にセッティングは全く同じで、同じ時刻なのでほぼ同高度。VISACの補強が違うのみです。あ、縦横入れ替えました。それでも2.の方が圧倒的に解像しているので、4月5日より4月10日の方が明らかにシンチレーションがいいことがわかります。

次に2.と3.を比べます。2を写した直後に3を写しているので、時間的な差はほぼないはずです。ピントなども前後でいじってないので、直接比較ができるはずです。一見そこまで差がないように見えますが、じっくり見るとやはり3.の短時間露光方が明らかに解像しているように見えます。その代わりに大きなゲインで増えた読み出しノイズを、30回ぶん読み込んでいるので、その分ノイジーになっているのかと思います。

でも、果たして露光時間を30分の1にしたにしては、星像の違いが少なすぎる気もします。これ数学的にモデル立てられないでしょうか?理論と実測を比較してみたいです。


10秒x30枚露光画像を12枚スタックしてみる

この比較撮影後、3.の状態で12枚、合計1時間分の画像を撮影したのでそれをスタックしてみます。

スタックはPixInsightのWBPPで最初やったのですが、ちょっとてこずりました。ダーク補正はリアルタイムでしているので、バイアス、フラット、フラットダークをそれぞれ撮影して、それらをWBPPに放り込んで処理したのですが、どうもうまくいきません。カラーバランスが全然崩れた暗い画像になってしまいます。

問題点は3つありました。
  1. ライブスタック後のfitsファイルは既にDeBayerされているらしく、ライトフレームのCFAをオフにする必要がありました。
  2. もう一つはリアルタイムダーク補正の時にバイアスも一緒に補正していたので、WBPPでバイアスを補正してしまうと過剰補正になってしまう点でした。なので結局WBPPではフラット(とフラットダークも合わせて)のみ補正しています。
  3. フラットも問題でした。できたフラットファイルはBayer配列でモノクロです。でもライトフレームはカラーなので、補正できません。そのためできたマスターフラットフレームを手作業でDeBayerして、それをWBPPで使っています。

スタック直後、ABEだけかけてオートストレッチしたものです。

integration_ABE

前回5分露光で、トータル7時間撮影したものと比較してみます。左が前回、右が10秒x30を12枚です。

comp

分解能だけ見ると、今回の右の短時間露光が圧倒的ですね。銀河の模様もはっきりしてますし、星像も鋭いです。一方、微恒星に関してはさすがに左の7時間の方が出ています。というよりノイズの差でしょうか。トータル時間でも差が出ますし、10秒露光の30回ということはその都度リードノイズ入ってくるので、ノイズ的にはやはり右は不利なようです。

実際には分解能の差は、まずは第一に日の違いによるシンチレーションの差が大きいでしょう。その上で、1枚で比べたときの差からも分かるように、やはり露光時間の差も出ているのかと思います。


試しに仕上げてみる

さて、その1時間ぶんのスタックした画像ですが、試しに画像処理をして仕上げてみます。

integration_ABE_DBE_PCC_ABE_DBE2


どうでしょうか?前回の仕上げた画像(縦横ひっくり返っています)と比べてみましょう。一部を拡大して向きを合わせました。左が前回4月5日の300秒露光をトータル7時間、右が今回4月10日の10秒露光の30枚LiveStackを12枚でトータル1時間です。

comop

色の濃さの違いは置いておくとして、分解能は銀河の模様も恒星も右が圧勝ですね。でもこの違いはシンチレーションの違いが大きいので、短時間露光がそのまま効いているわけではないことに注意です。短時間露光の効果を比べたい場合は、先に出した1枚画像の真ん中と右を比べるべきです。

ただ、色を出そうとしたりして炙り出すことや、微恒星(背景のノイズと言い換えてもいい)に関しては、左の7時間の方がさすがに圧勝です。ここらへんはトータル露光時間が正義といったところでしょうか。


まとめ

シンチレーションか短時間露光かわかりませんが、少なくともVISACでここらへんまでの解像度を得られることが分かりました。星像の鋭さも含めて、これくらいがコンスタントに出るのなら、そこそこ満足です。シンチレーションが悪い日に短時間露光をしてみるとか、シンチレーションがいい日に長時間露光を試すとか、今後も検討していくことになるかと思います。

いまのところまだ、短時間露光の効果と画像処理の煩雑さなども含めると、どちらが有利か分かりません。LiveStackでの重ね合わせはそこまで問題ない気がしています。これで枚数が多くなりすぎるのを避けることができるなら、有効かと思います。例えば10秒をそのまま保存して7時間撮影したら、360 x 7 = 2520枚と流石にちょっと処理するのに大変な数になっていました。

とりあえず今後いくつかの天体を、この短時間露光の手法で撮影してみたいと思います。

VISAC復帰第2段です。前回のNGC4216に続き、今回はM104ソンブレロ銀河。




今回のターゲット

M104にした理由ですが、あまりこだわりはなくフォーサーズのASI294MCの画角に合うところを探したらM104だったといっても良いかもしれません。M104は意外に大きくて、VISACの1800mmとフォーサーズでもそこそこの大きさになります。自宅から見てくらい東や南の空でこの画角にちょうど良い大きさの銀河が意外に少ないのです。

でもM104って、南のかなり高度がかなり低い位置にいるんですよね。撮影期間が意外に限られているので、ちょうどよかったかもしれません。


撮影

セットアップは前回のNGC4216と同じなので、ピント合わせくらいでほとんどいじるところはありません。露光時間などもNGC4216の時と同じゲイン120で5分露光で撮影しています。

22時頃から撮影を始めたのですが、平日なので撮影が始まったら放っておいて寝てしまいました。あとからチェックしたら、使えるのは50枚だったので、5分 x 50枚 = 250分で、合計4時間10分となります。


NINAで自動で天頂越え


そういえば前回から撮影ソフトにNINAを使っています。最近はCMOSカメラでの撮影は課金までしたAPTから完全にフリーのNINAに移りつつあります。構図決めや導入時のプレートソルブもうまくいくので非常に快適です。LiveViewでのオートストレッチも便利で、短時間の露光でターゲット天体が見えるので、一決めも正確です。

最近の撮影時間は結構長いので、どうしても天頂越えをしてしまいます。前回の撮影からNINAの赤道儀の自動反転機能を使い始めています。ケーブルの絡みが心配だったので、最初だけはその場にいて見ていましたが、全く問題なさそうです。最近はケーブルの固定位置を赤道儀の赤緯体の可動部付近だけ一箇所にしていて、他は余裕があるようにかなり緩めています。こうすることで、最終稼働部である赤緯体のモーター位置から、鏡筒やカメラまでのケーブルの長さが固定されるのでトラブルが少ないです。赤緯体からバッテリーやStick PCまでのケーブルはあえて固定せず、余裕があるケーブル長さでプラプラしています。赤経体が回転する時にケーブルが引っかからないか心配なのですが、赤経体がホームポジションにある時に北側から見て左右対象になるようにStick PC、バッテリーなどを配置し、(赤道儀の電源口が片側に寄っているので全部は無理なのですが)ケーブルもできるだけ左右均等になるように配置します。そうすると、たとえ赤経体が反転しても、反転前後どちらの場合もケーブルもバランスよく配置されるので、スムーズに反転します。



画像処理と結果

バイアス、ダーク、フラット、フラットダークも前回のNGC4612の時の使い回しです。セットアップが同じで冷却カメラで、カメラの回転角とかを触っていないと、これらのファイルがそのまま使えるので、画像処理が楽になります。

銀河はまだ画像処理に慣れていないのか、少し迷走しています。あまりシンチレーションが良くなかったこともあると思いますが、焦点距離が長いこともあり、星像がどうしてもボタっとしてしまいます。最初はArcsinhStretchでストレッチしたのですが、色は出てもすごく眠い恒星となったので、結局STFとHistgramTransformationのみでストレッチしました。なので恒星の色があまり出ていません。それでもまだ鈍い星像には不満で、ピントが合っていなかったのか、5分露光で長すぎたのか、赤外の収差で大きくなっているのか、まだまだ改善の余地がありそうです。


結果

結果です。

「M104: ソンブレロ銀河」
masterLight_ABE_DBE_PCC_HT
  • 撮影日: 2021年4月7日22時4分-4月8日3時28分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、-10℃
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、gain120、露光時間300秒x50枚 = 4時間10分、ダーク128枚(gain120、露光300秒、最適化なし)、フラット256枚(gain120、露光40ミリ秒)、フラットダーク256枚(gain120、露光40ミリ秒)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

恒例のAnnotationです。

masterLight_ABE_DBE_PCC_HT_Annotated

今回も水平がバッチリ決まっていて気持ちいいです。


まとめ

まだまだ反省点だらけです。星像をキリッとさせるためにまだできることがたくさんありそうです。ピントはEAFを導入した方がいいかもしれません。VISACの星像がまだ安定しないので、ピントが合ってないのか光軸がまだずれているのか迷う時がよくあります。撮影に関しても、露光時間が長すぎるのでラッキーイメージが効果的かと思います。ノーフィルターの方向性は間違っていないと多いますが、どうもIRで星像が肥大化している可能性があるので、UV/IRフィルターは入れた方がいいのかもしれません。それとは別に、最近赤外が流行っているので分解能目的でIRだけを撮るのはありかもしれません。

次回は鏡筒自身の強度を上げるために、VISACを改造します。でもこれも大きな落とし穴があったのでした。


前回の撮影で、おとめ座銀河団をFS-60CBで一網打尽にしました。



その中でいくつか面白い領域があることがわかりました。画像を切り出して拡大とかもしたのですが、流石に口径6cmで短焦点355mmでは分解能に限界もあります。長焦点のVISACを使って、狭い領域を切り出して撮影しようと思っています。


VISACでの撮影

しばらく使っていなかった、口径200mm、焦点距離2000mmの VC200L、通称VISACを久しぶりに使います。最後の使用が約1年前、TSA-120と比較してM51などを撮影していました。星像がなかなか微妙で、うまく行く時とダメな時の差が激しいです。

今回狙うのは前回範囲の右下のNGC4216、NGC4206、NGC4222と3つの大きな銀河が見えるところです。3つ入れるとフォーサーズのASI294MCでちょうどいい範囲になりそうです。

ACEC8A1E-767B-4215-A2DD-B0C56992D4AC

4月3日と5日の二日間にかけて撮影しました。と言っても1日目はすごい風で、鏡筒が揺れまくって星像も伸びてしまっているのがほとんどで使い物にならなかったです。でもFS−60やTSA−120で同じくらいの風が吹いても、ここまで星像が崩れることはないので、焦点距離が長いことの難しさか、もしくはVISACやわ過ぎのどちらかです。2日目は平日でしたが、長い時間にわたり概ね順調でした。実際には軌道にのってからは寝てただけですが...。

撮影できた星像を見てみると、うまく真円に近いものもあれば、三角っぽくなっているものや、伸びてしまっているものなど、いろいろです。少なくともTSA−120みたいに、全部の枚数が使えるとかの安定性は無さそうです。それでもよほどひどくないものでなければ平均化されることを見越して、2日目に撮影した86枚中、81枚を使って画像処理をすすめます。

フラットフレームは部屋の明るい壁を写すだけです。最近はずっとこの方法です。安上がり、手軽で、ほとんど失敗していません。撮影時の機材を何もいじらずに壁に近づけ、影にならないように気をつけます。唯一の欠点は、部屋の外の明るさを光源とするので、昼間しか撮影できないところでしょうか。明るさの調整は、ヒストグラムのピーク位置がちょうど真ん中になるくらいになるように露光時間を調整します。今回は40ミリ秒で256枚撮影しました。その状態で鏡筒に蓋をして、フラットダークを撮影します。

ダークは新たに128枚撮影しました。冷却CMOSカメラは、当たり前ですが温度が一定にできるので、後からダークを撮影できて楽でいいです。IMX294センサーはアンプグローが目立つので、ダーク補正の時の最適化がきかないため、同じ露光時間の5分で撮影します。128枚なので撮影だけで半日作業です。


画像処理

いつも通りPixInsightのWBPPでスタックまでしてしまいます。今回はABEもDBEも全く必要がないくらいフラットが合いました。20cmの大口径に入ってくる部類でも壁際フラット法は十分有効なようです。Pinkstarを復元し、PCCをかけます。

銀河団の処理は前回やりましたが、銀河だけの画像処理は久しぶりです。ライトフレームはArcsinhStretchでストレッチしたのですが、長焦点の成果どうも恒星がぼやっとしています。見栄えを良くするためにExpornentialTransformationのPIPで恒星のピークを出しました。これをPhotoshopに渡します。

星マスクを作るのですが、StarNetが小さい銀河と恒星を分離できないことに困りました。星マスクはストレッチ前にクローンを作り、HTで控えめにストレッチして、ExpornentialTransformationのPIPで恒星のピークを出し、さらにMorphologicalTransformation (MT)で星像を小さくして、やっとうまく分離できました。これをMTで星像を少し拡大して星マスクとして、Photoshopに渡します。

トータル露光時間が長かったせいか、Photoshopでのあぶり出しはそこまで困ることはありませんでした。結果は以下のようになります。


NGC4216、NGC4206、NGC4222

masterLight_cut_ABE_pink_ASx4_ET_ok_tune4a

  • 撮影日: 2021年4月5日20時12分-4月6日4時14分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、gain120、露光時間300秒x81枚 = 6時間45分、ダーク128枚(gain120、露光300秒、最適化なし)、フラット256枚(gain120、露光40ミリ秒)、フラットダーク256枚(gain120、露光40ミリ秒) 
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

どうでしょうか?長時間の撮影のせいもあるのか、ノーフィルターにもかかわらず銀河内の模様もそこそこ出ているのではと思います。ただ、恒星がまだぼてっとしている気がします。もう少し鋭く撮影できればと思います。これは鏡筒の分解能と言うよりは、シンチレーションで揺れが積分しされてしまっているからだと思います。


ついでアノテーションです。

masterLight_cut_ABE_pink_ASx4_ET_ok_Annotated

こんな小さな領域の中にも20個以上の銀河が写っています。NGC4216とNGC4222を結ぶように、淡いリングがあるのですが、今回さすがにこれは出ませんでした。というか、少しは期待していたのですが、どれだけあぶり出してもかすりもしなかったです。もっと暗いところに行くか、口径の大きな望遠鏡を使うか、露光時間をもっと増やすか、まだかなりの努力をしなくてはダメなようです。


切り出し画像との比較

前回撮影した広域の画像から、同じ構図で切り出してみます。あれ?ここではじめて今回縦横間違えて撮影していたことに気づきました。なので、今回は左側が北側になります。

cut

もちろん今回撮影した方が分解能も色も何もかも良く出てるのですが、口径と焦点距離から考えたら広域で撮影したものも思ったより善戦している気がします。


そういえばAVX

今回久しぶりにVIASACを持ち出したのですが、この間のカリフォルニア星雲とかおとめ座銀河団の撮影あたりからAdvanced VXも久しぶりに引っ張り出してきました。いつも玄関にCGEM IIがおきっぱなしにしてあるので、FS-60とかの軽い鏡筒でもそのままCGEM IIで済ませてしまっていたのですが、最近2台撮影体制を考えているので、軽いものはAVXで済まそうという考えです。その過程でガタつきを無くすとかの調整をしてきました。



AVXの何がいいって、CGEM IIに比べてとにかく軽いことです。CGEM IIの持ち運びでコツを覚えたからか、AVXなら5kgのウェイトをつけたままでも移動することが出来ます。ケーブルとかもつけっぱなしにしておけば、玄関から運んでかなりの短時間で撮影が開始出来ます。おかげで玄関には赤道儀が二台。昔CGEM IIを買った時にバレないようにこっそりAVXと入れ替えて誤魔化して以来(結局カード明細でバレて修羅場となったのですが)、久しぶりに玄関にAVXが鎮座するようになりました。


まとめ

今回久しぶりにVISACを使い銀河を撮影しました。VISACでやりたいことがいろいろあります。春は銀河を少し撮影していきたいと思っています。

長焦点はMEADEの25cmとC8とVISACがあるのですが、前者二つはコマ収差が大きいので周辺像は流石に厳しいです。VISACが唯一周辺まで星像がいいはずなのですが、本当にこいつはじゃじゃ馬です。いい時はすごくいいのに、星像が不安定で突然悪くなったりします。いまだに原因ははっきりしませんが、まずは鏡筒の強化から始めたいと思います。またブログの記事にしていきます。



 

休日で晴れていたので、久しぶりの太陽撮影です。用事があり、余り時間がなかったのでアニメとかは諦めました。

黒点はありませんでしたが、8時方向に比較的大きなプロミネンスが出てました。2つのリングを形成するプロミネンスの中に、残った輪が宙に浮いているように見えます。

10_28_53_lapl4_ap10625_IP_cut
  • 撮影日時: 2021/4/3 10:28
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0beta (64bit)
  • 撮影条件: ser形式でgain 80, 1.25ms x 2000フレーム中上位50%もしくは30%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

また、5時方向のプロミネンスが、光球面のフィラメントとつながっているのですが、これを画像処理でうまく表現するのがものすごく難しいです。光球面とプロミネンス部分で輝度が全く違うので、ちょっと凝った画像処理をやってしまうだけで分離されてまるで別物のように見えてしまいます。つながって見せようとすると、両方の明るさを合わせて、できるだけ差のない画像処理をしなければいけません。何度もいろんなことを試して、結局どれも気に入らなくてほとんど処理のないところに戻ってしまいました。今回はここらへんで諦めます。

12_02_41_lapl4_ap10625_IP
  • 撮影日時: 2021/4/3 12:41

何かいい方法はないのか?今後の課題です。

 

今回はおとめ座銀河団に挑戦です。はてさて、うまく写るのでしょうか?

でもなんでマルカリアンの鎖でなくておとめ座銀河団?

普通はマルカリアンの鎖 (Markarian's chain) ですよね。なんでおとめ座銀河団なのでしょうか?理由は単純で、この撮影の前にカリフォルニア星雲をFS-60CBと6Dで撮っていて、それがこの季節は22時くらいで西の空の住宅の屋根にに沈んでいくので、その後にどうしようかと全く設定を変えずに試しに撮影したからです。焦点距離350mmクラスで、フルサイズのカメラだとマルカリアンの鎖よりもかなり広い範囲になります。なので「銀河団」とタイトルにしました。

設定が同じだと、バイアス、フラット、ダーク全てが使い回しができるので、かなり楽でパフォーマンスがいいのです。というわけで、露光時間180秒、ISO800、フィルターなしです(実はカリフォルニア星雲、フィルターなしで撮影してたと思ってたのですが、CBPが入っていたことに気づいて、その後本当にフィルター無しで撮影しました。これはまた後日記事にします。)。

今回こだわったのは位置です。マルカリアンの鎖はもちろん、見栄えのいいM100をどうしても入れたかったのと、M87もM90も入れたいし、反対側はNGC4216とIC3064も入れたかったのです。でもFS-60CBに1.04倍のマルチフラットナーを入れると、フルサイズの6Dでも本当にいっぱいいっぱいです。なので、ditheringの幅は相当小さくし、端が切れないよう最低限の動きにしました(このditherの小ささは後に問題となります)。それでもシャッターの影ができることはわかっているので、そこら辺は画像処理でどうにかするしかありません。

実際の撮影は?

撮影は3日に渡って行いました。
  1. 3月17日: 23時10分から23時29分まで6枚。その後曇り。
  2. 3月18日: 22時15分から23時18分まで14枚。その後曇り。
  3. 3月19日: 22時44分から翌日4時27分まで89枚。
最初の2日は雲に悩まされ枚数をあまり稼げなかったのでもうバッサリ捨てて、結局使ったのは3日目の89枚のみ。南天越えのために一度反転しています。(この反転も後に問題の一つとなります。)

明るさ比較ですが、同じISO800と同じ露光時間3分で、3月18日21時40分頃、西に傾いたカリフォルニア星雲の撮って出しJPEGだとこれくらい、
LIGHT_180s_ISO800_20210317-22h35m53s926ms
一見、ほぼ何も写ってませんね。よーく見ると淡ーいピングがあります。

一方同じ日に同じ条件で続けて撮影した、22時20分くらいの南天前のおとめ座銀河団の撮って出しJPEGはこれくらい
LIGHT_180s_ISO800_20210317-23h10m04s723ms
ずいぶん明るさに違いがあるのが分かると思います。自宅撮影の場合、暗い東から南天の少し高いところをを含む天頂過ぎくらいまでにかけてはISO1600とか3200でもいけそうです。一方南天を過ぎて少し西に傾きかけるとISO800位に抑えざるを得ないのかと思います。

画像処理ですが、普通通りPIのWBPPでスタックです。スタックしたマスターライト画像をDBEしたものを一旦見てみますが
integration1_DBE
人様に見せるものではないですね。ゴミがひどいです。しかも南天で赤道儀を反転したために、ゴミが軸対称に同じ位置に出てしまっています。しかも大きなゴミが途中で動いたのでしょう。補正しきれていない部分と、過補正のところが出てしまっています。

これを防ぐためにマスターフラットにぼかしをかけて処理したらとか考えたのですが、まずはフラット補正なしの画像を見たら、全く補正しないと細かいゴミが全部浮き出ることがわかり諦めました。
masterLight_integration_DBE1
フラット補正無し画像を、ゴミが見えるようにDBEしたもの。
フラット補正した画像よりさらにひどく、物凄いゴミの数。 

マスターフラット画像を見てみます。ABEで見やすくしますが、

masterFlat_RGB_VNG_clone_ABE
同じような位置に、やはり相当な数のゴミがあります。

今回スタックしたライト画像にゴミが目立ったことの理由の一つが、ditherの幅が小さく散らしきれていないためです。なのでフラット補正は必須になり、補正なしではさらに細かいゴミまで目立ってきてしまいます。フラット補正をしても残ったゴミについては、もう誤魔化すしかないです。これを反省して、この後6Dのセンサー面の掃除をしたので、これはまたそのうち記事に書きます。

気を取り直して、処理を続けます。今回はシャッターの影になるところも使う必要があるので、ABEではなくDBEで細かくムラをとります。暗黒帯とかない銀河の薄い方向なので、全体が一様になる方向で進めます。PIでStarNetをかけて、恒星のマスクを作り、さらにRangeSelectionで星雲のマスクを作り、Photoshotpに渡します。

後から切り出すことを考えているので、いかに小口径を取り繕う解像度を出していくかです。今回はその目的でSharpenを使ったので、解像度に関しては少しインチキしてるといえるかもしれません。

まずは出来上がり。

「おとめ座銀河団」
up_DBE_DBE_PCC_AS_HT_all_disks_back2_rot_denoise_larage_cut
  • 撮影日: 2021年3月19日22時44分-3月20日4時27分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x90枚 = 4時間30分、ダーク73枚(ISO3200、露光90秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO3200、露光1/1600秒)、フラットダーク256枚(ISO3200、露光1/1600秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

Annotaionも付けます。今回、これが楽しみでこの領域を撮影しました。ものすごい数の銀河ですね。PGCなんかもういくつあるのか。でも拡大するとわかりますが、小さなものは写っていないものも多いです。ここら辺は次回以降、光学系をもう少し変えて、拡大しての撮影になるのかと思います。

up_Annotated

PGCの数が多すぎるので、PGCを抜いて少しシンプルにしたものです。

up_Annotated_noPGC


切り出してみよう!

全体像だけだと個々の銀河のインパクトがないので、いくつか見栄えのする領域を切り出したいと思います。少しでも見かけの解像度を良くするために、上の出来上がり画像を拡大します。拡大にはTopaz labsのGigapixel AIを使って2x2倍の解像度にしています。ただ、このGigapixelなかなか扱いづらかったです。恒星が多少ひしゃげてしまいます。もしかしたらPhotoshopで単純に拡大した方が良かったかもしれません。

あと、切り出したそれぞれにもAnnotationを付けます。例え分割してもまだまだ銀河がたくさんあるので、名前付けも十分情報を含んでいます。それでは行きます。


1. マルカリアンの鎖付近

言わずとしれた、一番見栄えのするところです。M87とM88まで入れてみました。
03_Markarian_all

_03_Markarian_all_Annotated

2. M99とNGC4216

M99の渦巻きがかっこいいです。右下のNGC3つの存在感があります。
05_M99_wide

_05_M99_wide_Annotated

3. M87からM91一を網打尽

縦長で、連番を全部入れました。
06_M90_wide_portrait

_06_M90_wide_portrait_Annotated


4. M99とM100
渦巻きが2つ。これもかっこいいです。
04_M100_wide

_04_M100_wide_Annotated


さらに拡大

ここからさらに拡大して、もう少し細かいところに注目します。でも公開するかどうか迷いました。さすがにこれくらいになるとアラが見えます。お見苦しい点は今後の期待とし、今回はご容赦ください。

5. M99
07_M99_small

6. M100
13_M100_small



7. M88とM91
10_M91_M88

8. NGC4216まわり
08_NGC4216_small

どうでしょうか?銀河団は大枠で撮って、面白いところを切り出しても、意外に見えるみたいです。まあ、拡大しすぎると限界はありますが、4時間半という露光時間と、画像処理でのごまかしも効いていて、あまり大きな画面で見なければなんとかなりますでしょうか。


過去画像と比較して

 さて、前回おとめ座銀河団の中のマルカリアンの鎖を撮影したのが、2017年の3月なので、4年も前のことになります。



MARKARIAN_edit2

焦点距離600mmのFS-60QとAPS-CのEOS60Dでの撮影なので、今回より範囲は大分狭いです。前のときもノーフィルターでした。というより、フィルターなんか持ってなくてノーフィルターでいいのかなと、不安になりながら撮影してたのを覚えています。でも回り回って銀河はノーフィルターの方がいいのではという結論で今に至り、今回も(でも今回は自信を持って)ノーフィルターとなりました。

4年経った、今回撮影した画像から、ほぼ同角で切り出してみました。
01_Markarian_comp
切り出しにもかかわらず、今回の方が見栄えはいいです。本質的には粗く撮影しているので、いかに画像処理で出しているかだけなのですが、よく言えば技術が進んだ、悪くいえばいかにごまかせるようになったかでしょうか。

当時はAnnotationなんていう技術は知らなかったので、手で何が見えているか書き込んでいますが、これはこれでいい思い出です。

markarian_signed_final


まとめ

銀河団は面白いけれど、細かくみないと迫力に欠けてしまいます。なので今回切り出しということを積極的に試してみました。自分では面白かったかと思うのですが、どうでしょうか?

切り出した画像はそのまま見てもいいですが、次回撮影のアングルの候補としても使えます。手持ちの機材なら、焦点距離900mmのTSA-120と6Dなんかで撮ると解像度が上がって面白いかもしれません。

一枚の画像からたくさん楽しめたので、パフォーマンスがよくてなんかもうかった気分です。
 

今回は大人気のMちゃんシリーズです。

3つの箱

今週水曜日、3つ同じものが自宅に届きました。

IMG_2034

シュミットでまとめて投げ売り状態になっているMILTOLです。さっそく1台箱から取り出してみましたが、そこそこの重量で、フードも取り付け用の足もついています。華奢かと思っていた足も、なかなかどうして、十分頑丈なようで揺れも心配なさそうです。

IMG_2035

思ったより相当しっかりと作ってあり、あまりの安価で申し訳ないくらいです。しかも3つもあれば多少加工とか失敗しても取り返しがつきます。これは使い甲斐がありそうです。


Mちゃんを誘ってみた

次の日の木曜、昼は曇りですが、夕方から晴れる予想。この日は私は休暇をとっていて、子供の用事を済ませて午後から時間があったので、Mちゃんのお母さまに連絡。

Mちゃんは富山市科学博物館の観望会で会った現在小学5年生、4月から6年生になる宙ガールで、以前自宅にもきてくれました昨年末の観望会で会った時にお母さんが「赤いカメラを欲しがってる」とか言っていて、本人に話すとどうも電視観望のようなことをやりたがっていたので、今回のMILTOLがぴったりなようです。

電話越しでお母さんの横にいたMちゃんですが、「キャーキャー」言ってるのが聞こえるので、既に興奮気味のようです。まあ電話ではなかなか伝わりにくいので、とりあえず午後3時を目処に自宅に来てもらうことにしました。

年末に貸していた「ナイトウォッチ」をもう持ってきていたので、「え、もっと持ってていいですよ」と言ったら、既に手に入れたとか。確か中古本がすごい値上がりしてたと思いますが、たまたまアマゾンで新品で定価であったみたいです。(今調べてみたら、確かに新品で出てます。増刷したんでしょうか?)結構読み込んでいるみたいで、太陽のこととか聞かれました。たまたま玄関にPST付きのC8が転がっていたので、少しだけ話しました。小学生にとっては分厚い本だと思いますが、楽しんで読んでいるようです。


なぜMILTOL

今回は、MILTOLの箱開けから、カメラとの接続、組み上げ、設置、観察まで、基本的には全部Mちゃんに手を動かしてやってもらうつもりです。でもその前に、なぜMILTOLが必要なのか、Mちゃんが既に持っているポルタの80mmの望遠鏡だとダメなのかを理解してもらわなくてはいけません。いや、せっかくの機会なのできちんと理解して、納得しながら進めてもらいたいのです。

さてさて、小学生に焦点距離と口径とF値のことをきちんと理解してもらうのはなかなか大変です。実際聞いてみると、焦点距離と口径については意味は分かっていたようですが、F値はやっぱり理解できていなくて、焦点距離と口径の関係も理解できていませんでした。なのでまずは焦点距離から入ります。焦点距離というよりは、倍率ですね。鏡筒の焦点距離をアイピース の焦点距離で割ったものが倍率になるということは、きちんと理解していました。

まず倍率1倍というと、目で見ているのと同じです。何も拡大していなくて、全体が見えます。簡単のため目で見えるとして180度の視野があると仮定します。そうすると倍率が2倍になると視野が半分になるはずなので、90度の視野になるはずです。その分その狭い視野を拡大して見るということになります。3倍だと60度、10倍だと18度と計算していってもらいます。と同時に、直感的に両腕を狭めていってどれくらいの範囲を見ているのかを理解してもらいます。結果として、焦点距離が長い鏡筒ほど見える範囲が狭くなることを理解してもらいます。ここらへんは全然問題なく、最初から分かってるような感じでした。

次に口径です。Mちゃんの持っているポルタの口径80mmを基準に考えます。口径が倍の160mmになったら明るさは何倍になるかという問題です。これは円の面積を考えれば簡単ですね。と思って話を進めたら、いまいちピンときていないみたいです。どうやら円周のことはわかっていても円の面積がわかっていないみたいでした。調べて見ると円の面積は6年生で習うみたいですが、でもMちゃんはまだ5年生。「勉強しておけばよかった」と悔やんでましたが、まあその場で理解してもらいます。円をいくつもの扇型に分けるような円の面積の求め方の原理を少し説明して、あとは正方形で考えてもらったらかなり実感したようです。正方形でも一辺の長さを倍にしたら面積は4倍と同じですね。これで、口径を倍にしたら4倍の明るさ、3倍にしたら9倍の明るさということがわかったようです。

もう一つ重要なことは、同じ口径で焦点距離を2倍伸ばしたら明るさは4分の1になり、焦点距離を半分にしたら明るさは4倍になることです。これは見える面積を考えてもらったらすぐにピンときたようです。焦点距離が長くなると、狭い範囲を引き伸ばしてみるので、その分暗くなるということです。

ここまでくるとF値は簡単です。焦点距離と口径の比ですが、F値の大きな細長い鏡筒と、F値の小さなずんぐりムックリの鏡筒のイメージを持ってもらうのと、焦点距離とか口径を知らなくてもF値そのものが鏡筒の性能を表す指標になるというイメージを持ってもらいました。例えばFが小さいと明るい、Fが大きいと暗いとかです。

ポルタが口径80mmで、簡単のため焦点距離800mmと考えます。今回のMILTOLが口径5cmで焦点距離200mmです。F値が10と4なので、本質的にMILTOLの方が明るいことと、ポルタで4/3インチサイズのASI294MCを使って見るのと、MILTOLで1/3インチサイズのASI224MCを使って見るのは同じ範囲を見ることになります。これは実際にセンサー面積をASI224MCとASI294MCと見て実感してもらいました。初心者がいきなりセンサー面積の大きいASI294MCに行くことはなかなか厳しいので、まずは小さいサイズのセンサーで始めてもらう。そのために短い焦点距離のMILTOLが必要だったと、やっとMちゃん本人とお母さんにも理解してもらいました。

おもしろかったのが、Mちゃんが「時間と速度と距離の関係と似ている」と言っていたことです。確かに口径とF値をかけると焦点距離になるのは、時間と速度をかけると距離になるのに似てますね。


MILTOLの組み立て

さて、一応頭では色々理解できてきたので、次は実際の組み立てです。まずはMちゃんに新品のMILTOLの箱を開けて、中身を取り出してもらいました。最初恐る恐るでしたが、もう全然壊してもらってもかまいせん。むしろ、使い込みすぎて故障したくらいの方が嬉しいくらいです。

MILTOLは一見カメラレンズのようなので、じゃあカメラにつけてみたらと言って、下の子が使っているEOS Kiss X5に取り付けてもらいました。そもそも一眼レフカメラに触るのも初めてなので、これも恐る恐るです。(私の中ではデフォルトの)マニュアルモードで、露光時間とISOを調整して外の景色を何枚かとってもらい、その際ピント合わせが必要ということを理解してもらいました。

次にCMOSカメラとして今回はASI224MCを使ってもらうことにしました。いくつか候補はあったのですが、安価なSV305-SVは借り物ですし、ASI178MCは感度では負けます。ASI224MCは惑星でも使いますが、最近ASI462MCを手に入れたので、しばらくは必要ありません。ASI224MCなら最初の頃私も電視観望で使っていたので、十分使えることもわかっています。

まずはPCにドライバーをインストールしカメラを認識させることをやってもらいました。あ、PCだけは自分の家から持ってきてもらいました。聞いたらお父さんと一緒に使っているものだそうです。カメラが認識されたことを確認するために、ASIStudioも一緒にインストールしてもらいました。ドライバーとかソフトはZWOのページなのですが、小学生なので当然英語は読めません。でもEdgeに翻訳機能があるんですね、十分理解できるような日本語になっていました。

IMG_2040

カメラ単体で、ASILiveで明るさが変わってカメラに反応しているのが見えたので、カメラ部分はOK。次にMILTOLとの接続です。今回購入したMILTOLはCanon EFマウント用ですが、そのEFマウント部分は回すと取り外せるようになっていて、外すとT2ネジ(M42、075mmピッチ)のオスネジが出てきます。ASI224MCにはT2ネジのメスが切ってあるので、ここに直接取り付けることができます。とりあえずMILTOLとASI224MCはくっつきましたが、これはまた後でピントが出ないというトラブルになります。

鏡筒をどう固定するかは初心者にとって難しい問題なのかと思います。市販の既製品ならいいですが、自分で色々組み合わせる場合は大変です。多くの初心者が最初に持つ経緯台は、ほとんどはVixenのアリミゾになるのかと思います。最初からVixenアリガタが鏡筒に付いていればいいのですが、特に短焦点を探り出すとカメラレンズの方向になり、普通は足も何もついていません。MILTOLの場合はラッキーなことに、リングと、アリガタではないですが足がついていました。なのでここに必要な規格のプレートを取り付ければOKです。

IMG_2043

手持ちで余りのアリガタプレートがいくつかあったのですが、穴が合いません。そもそもMILTOLのねじ穴がインチ規格なので、ネジも手持ちでは長さが限られてしまいます。1/4''のネジがハマるのを確認しましたが、これだとプレートの穴がM6で微妙に小さくて通りません。

なのでMちゃんにドリルで穴を広げてもらうことにしました。M6.5のドリルを使い穴を広げてみます。ドリルはお父さんが日曜大工も好きで、一緒に使ったこともあるみたいなので、ほとんど問題なく進みました。無事に穴も空きましたが、二つの穴でネジを止めようとすると、もう一つ最初から穴を開けなければならないので、とりあえず一つだけで固めにネジを固定して、まずは使ってみようということになりました。


さあ、見えるかな?

アリガタをつけることができたので、Mちゃんのポルタの三脚と経緯台を車から出してもらって、取り付けてみます。この時点で17時くらいでしょうか、まだまだ明るいのでどこか遠くの景色を見てみます。

と、ここである程度予測はできていたのですが、やはりバックフォーカスが足りなくてピントが出ません。T2で接続しているのでT2の延長筒とかあればいいのですが、なかなか都合がいいのは手持ちではなく、その代わりに一度Canon EFのアダプターをつけて、さらに手持ちのZWOのCanonマウントからT2へのアダプターを間に挟むことにしました。これでやっとピントが出ました。

IMG_2046

まだ明るいですが、空もかなり雲が無くなってきて、白い月が顔を出しています。じゃあさっそく月を見ようということになりました。でもやはり、経緯台での導入はかなり大変です。原因の一つがセンサー面積が小さいことで、それを解決するために短焦点のMILTOLを選んだのですが、それでもなかなか月さえも入りません。ここは少しだけ手伝いました。私がある程度のところまでアタリを持っていって、あとは微動ハンドルで振ってやると、月を捉えることができました。

ピントを合わせて、経緯台なので当然自分で追っかけて行かなければならなくて、でもよっぽど嬉しかったのか、地面に膝を立てて夢中で操作をしています。この時も最初はASILiveを使ったのですが、やはり英語で苦労しているようです。調べてみたら、ASICapは日本語化されいるようです。惑星が主な用途ですが、月なので明るくてもちろんぴったりです。早速ASICapに変えてみて、日本語になったらずいぶん楽になったようでした。見てるとありとあらゆる機能を試していて、みるみるうちに操作はマスターしたようです。

IMG_2047

この間に3回くらい「椅子に座った方がやりやすいよ」と声をかけたのですが、私の声は全く届かず、ひたすら自分の世界に入っていました。お母様も苦笑い。どうやらいつものことのようです。

しばらく月を操作して、画像も保存できて、やっと満足したみたいです。お腹が空いたとのことなのでいったん食事をとってきてもらい、まだ続けたいというので再び夜に戻ってきてもらうことにしました。いました。その間に私も食事です。


暗くなってからが本番

戻ってくると辺りは既に真っ暗。と言っても月齢12日の月が出ているので、かなり明るいです。早速再開し、M42オリオン大星雲に挑戦です。今度は最初から全部自分で導入です。最初リゲルを探していましたがちょっと方向が違いそう。そのうち明るいのが見えて、多分三つ星の一つだとわかりました。位置的にはアルニタクなのでそのまま下にいけば見えるはずです。そうこうしてると明るい領域が一瞬通り過ぎて「あーっ」と言って戻すと、ヤッター!見事オリオン大星雲です。

IMG_2049

ASICapのパラメータをいじって、ある程度見栄えが良くなることを確認して、ノイズを落としたくなったので、次はASILiveに戻ります。ASICapで慣れたのか、今度は操作もそこまで迷いません。ライブスタック関係だけが新しい機能でした。それでも見てると全部の機能を試しているようです。どうしてもわからないとたまに聞いてくるので、その場で答えるとすぐに吸収してしまいます。画像保存、ライブスタック、Brightness contrast saturationをいじってのあぶり出し、ヒストグラムをいじってのあぶり出し、とまあ、本当にあっという間に一通り学んでしまったようです。子供はとんでもないくらいに吸収が早い早い。びっくりするようなスピードです。私はほとんど何もいうことがないので、もう楽で楽で、途中お母さんと雑談してるのですが、Mちゃんの耳にはやはり全く入っていないみたいです。

トラブルといえば、露光時間も調整しましたが、1秒か、せいぜい2秒が限界です。なぜかというと、経緯台で追尾も何もしていなので2秒でも流れ始めてしまうからです。

次に、燃える木と馬頭星雲に挑戦。上のほうに行って、アルニタクを目印に燃える木はすぐに見えましたが、露光時間が伸ばせなくて馬頭星雲がどうもわかりません。月が明るいのでこの日はここらへんまででしょうか。

再びM42に戻って、少し余裕が出たのか「きれーい...」とため息混じりにうっとりしていました。今までずっとポルタだけで、見えるものは多分見尽くして、星雲が見えないことに悔しくて悩んで、やっと自分で組んだシステムで見えたわけです。多分私が想像するより、ずっと楽しいんでしょう。このころしか味わえない楽しさだと思います。私はそれを見てるだけで幸せです。

21時頃になりました。とにかくこれで最低限、自分で楽しめるはずです。そのまま一揃い持って帰ってもらいます。ASI224MCはあまり使ってないのでいつか返してもらえればいいです。MILTOLはこのために買ったようなものなのでずっと使ってもらえればと思います。ZWOのキャノンアダプターは必要なので、T2の延長など代替品を探します。

アップグレートもいろいろ考えられます。
  • マニュアル導入ならファインダーがあるといいのですが、でもどうやって取り付けるか。何処かに穴を開けてタップを切るかでしょうか。
  • 穴と言えばアリガタ固定の穴をもう一つ追加した方がいいでしょう。
  • Mちゃんの自宅は私のところより街中なので、かなりの光害地です。QBPがあるとさらに見えるのかと思います。
  • 銀河とかまで見るのなら、自動導入もあった方が楽でしょう。AZ-GTiなら小学生でもお年玉とかで買える範疇に入ると思います。
こうやって性能を追求していくのもまた楽しいと思います。

そうそう、お母様から「MILTOLのお金を払う」と言われたのですが、今回は私の趣味も入っているので断りました。それよりも「もし余裕があるならAZ-GTiの予算に回してあげてください」と伝えました。この日、Mちゃんが喜んでいるのと、導入で苦労しているのを見ていて、早いうちにあった方がいいと理解してくれたみたいで、納得してくれました。でもそこで、SkyWatcher製品が軒並み入荷遅れになっていることを思い出しました。

そもそも、Mちゃんは熱中しすぎるのでしばらく天文中断命令が出ていたらしいです。やっと春休みになって、長時間集中できる時間が取れるので今回のお誘いはちょうど良かったとのことです。なのでAZ-GTiもこの春休みにと最初思ったらしいのですが、いまの遅延だと数ヶ月のオーダーでかかりそうです。まあ必要なら私のを持っていけばいいのですが、まずは今のセットを使いこなしてからですかね。

そうそう、CP+の中継、Mちゃんも1時間遅れくらいで見てくれたそうです。中継時には習っている剣道の最中だったみたいです。面白かったと言ってくれました。あまり小学生が見ることは考えてませんでしたが、理解してくれたみたいで嬉しかったです。

I heard some people are wathign Youtube video for CP+ EAA broadcasting. They can use realtime translator function but mayby my voice is sometimes difficlut to be translated.

I hope it will be some help to understand my talk for non Japanse speakers, I translated my slids into English.

If you are interested in, please see the slids blow with Youtube;




Slides

slide1

slide2

slide3

slide4

slide5

slide6

slide7

slide8

slide9

slide10

slide11

slide12

slide13

slide14

slide15

slide16

slide17

slide18

slide19

slide20

slide21

slide22

slide23

slide24

slide25

slide26

slide27

slide28

slide29

slide30

slide31

slide32



Please enjoy!

How was it? It was the first time to me to transrate my hobby's slides.  I am glad if you are really interested in EAA, and if you try it farway from Japan.

If you have any qestions or if you succeeded in, please let me know to leave your comments on this blog.

Enjoy it!

前回撮影したカリフォルニア星雲ですが、1時間半ほどの露光とそこまで長くないので、それ相応のあぶり出しはできていて、そこまで不満はないです。それでも淡い部分、例えば画面の右下あたりに分子雲があるようなのですが、少なくとも前回の画像を見る限りノイズとほとんど見分けがつかなくて、はっきりしません。




ISOを増やしてみる

今回の目的は、露光時間は同じでISOだけを上げた場合に淡い部分が出てくるかどうかです。ISOを4倍の3200にして、同じ露光時間の3分で、他の部分は出来る限り同じようなセットアップで撮影します。例え恒星がサチっても気にしないとします。さすがに4倍もISOを変えてやれば、淡いところならば何か違いが見えるのではないかという狙いです。

撮影は2021年3月10日。まだ前回のセットアップをほとんど崩していなかったので、準備も楽なものです。撮影できた枚数は33枚、合計1時間39分なので、前回の1時間48分と大体同じです。光害地で高ISO、長時間露光で撮影しているので、画像は相当明るくなってしまいます。撮影時はこんな感じで、ヒストグラムも相当右側に行ってしまっています。

BYE01

通常はここからスタックをして画像処理に進むわけですが、前回からの違いを比較しやすいように、前回の画像と今回の画像を、Photoshopに渡す直前(PixInsightでABEとDBEをかけて、PCCで色合わせ、ArcsinhStretchまで終えた状態)まで持っていきます。Stretchの欠け具合で見え方が変わってくるので、最後に直接比較ができるようにSTFでAutoStretchをかけた状態にします。


実際の比較

前回のISO800のときと
masterLight_integration_DBE_DBE_rot_PCC

今回のISO3200のとき
masterLight_integration_ABE_ABE_cut_DBE_RGB_PCC

まず大きく違うのは、恒星の周りのにじみです。前回はかすみがあったのでしょうか?それとも黄砂?いまだに理由はわかっていません。特に、真ん中の一番明るい星の左にある明るいにじみは謎です。前回のスタック前の各画像を改めて見てみると、ditherで恒星の位置が動いても、このにじみは動いていなかったので、たまたまにじみの真ん中にあるように見える恒星はおそらく関係ありません。一番明るい恒星の何処かでの反射でしょうか?

と思って調べていたら、もう一つ決定的なミスに気づきました。なんと前回と今回の撮影、ノーフィルターかと思っていましたが、実はCBPフィルターが取り付けてありました。Sh2-240を撮影した時にCBPを入れたのをすっかり忘れてしまっていて、フィルターが入ってないと思い込んでいました。というわけで、フィルターでの反射で起きたゴーストの可能性もあるかと思ったのですが、それでも前回も今回もフィルターは入っていて、前回のみ出て、今回消えた理由にはならない気がしています。

ISOの違いがこのにじみに関係しているのか?これもよくわかりませんが、おそらく関係ないだろうと思っています。

さてにじみはとりあえず置いておいて、ここからが重要です。一見わかりにくいですが、右下のほうに恒星が見えにくい暗黒体のような部分があります。ここが今回一番比較したかったところです。わかりやすいように拡大してみました。

左がISO800、右がISO3200です。
comp

ここはISOの違いで思ったよりも差が出たところでした。画像処理の違いも多少聞いているかもしれませんが、同じパラーメータのABE、DBEを適用しています。右のISOが高い方が明らかに暗黒体を分離できていて、左のISOの低い方は暗黒体と思われるところがノイズときちんと分離できていません。もちろん(時間帯はほぼ同じですが)日にちを変えて撮影しているので天気の条件は違います。左の方が天気から来るかすみか何かが効いている可能性も否定しきれません。

ですが、この暗黒体のような淡い天体に関しては、スタックによって軽減するスカイノイズ、ショットノイズなどは関係なくなっていき、最後はシャッター枚に必ず加算される読み出しノイズとの戦いになります。高いISOもしくは高いゲインでは入力換算で考えたときの読み出しノイズは小さくなることは一般的にわかっていて、今回のようにISOで4倍の差だと、特にISOが低いところではノイズが4分の1になります。ISOが大きいところだと、読み出しノイズは一定値に漸近していくため、その効果は小さくなります。EOS 6Dで測定された読み出しノイズを調べてみると、ISOが800から3200の場合は4.45e-から2.30e-に下がるそうなので、約2倍程度よくなるようです。

このように、見たい対象が暗くて読み出しノイズと同程度の場合にはISOを上げることが効果がある場合があります。逆に言えば、ISOを上げようが下げようが、明るい星雲とかでは差はほとんど分からなくて、差が顕著になるはずの相当暗い部分にいったっても、高々これくらいの差しか出ないわけです。

と、一応理屈通りに見える結果は出ました。というか、最初にISO800で見えるはずの暗黒体がなんか見えているような、見えていないような状態だったので、同じ露光時間で飽和しない限界のISO3200で何か効果が見えるのではないかと思ってやってみたわけです。でも、先にも書きましたが、天気の差の可能性も捨てきれないので、もう少し検証が必要かと思います。


最後まで仕上げてみる

さて、今回撮った画像を仕上げてみます。

Image66._ASx2_HT2

  • 撮影日: 2021年3月3日20時23分-22時15分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: SIGHTRON CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x33枚 = 1時間39分、ダーク39枚(ISO3200、露光90秒、最適化あり)、フラット128枚(ISO3200、露光1/800秒)、フラットダーク128枚(ISO3200、露光1/800秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

恒星に関しては明らかに今回の方が変なにじみもなくまともです。また暗黒体も上で見た途中経過だけでなく、仕上げた時でもやはり前回よりはっきり出ました。それと同様の効果でしょうか、星雲部の淡い部分もやはり前回よりも明らかに自然に出ています。前回はノイズに埋れているところを無理やり出した感満載でしたが、今回は少しはましになっています。

逆に唯一前回よりもダメだったことは、恒星の中心部の飽和が増えたことでしょうか。前回はほとんど気にならなかったのですが、今回は途中ピンクスターを除去する処理を加える必要がありました。


まとめ

前回、今回と、ISOを変えて他はできるだけ同条件で撮影してみました。

結果としては、やはり淡い部分を出したい場合には、読み出しノイズが効くようなレベルであれば、理論通りISOを上げた方が得するようです。今回は自分が思っていたたよりも違いが大きく出ました。

もちろんこの結果が全てと言うわけではなく、条件によって有利不利はあるかと思います。特に読み出しノイズに制限されていないような状況や、一枚の画像の中でも明るい部分などは、差はほとんど出ないでしょう。

また、今回の結果も天候に依存する可能性もあり得るので、ISOがどこまで効くのかというテーマについては、もう少し結論は先延ばしにしたいと思います。


3月3日の雛まつりの日の夜、月の出が22時18分なので、夕方から準備すればしばらくの間撮影できそうです。狙いは迷ってましたが、早い時間なので季節遅れのカリフォルニア星雲にすることに。結構大きいので、FC-60CBと6Dで視野角的にもちょうど良さそうです。今回も狙いは自宅でフィルターなしでどこまで写るのか? (2021/3/19 追記: 勘違いで、CBPが入ったままでした。)ISO800で、露光時間3分にして、6Dのヒストグラムで見て一番明るい青が1/3くらいでした。

前回Sh2-240を同じセットアップで撮っていて、まだ機材はそのままの状態でほとんど残っています。なので、準備も時間で済み、仕事から帰って、夕食後から用意しても20時過ぎくらいには撮影を開始できました。撮影時間はちょうど月が昇る22時半ころまで。実際には西に傾き屋根に隠されて終了となりました。その後すぐに空が霞んできて曇りのようになったのでここで撤収です。

後でチェックしてみると39枚撮影して使えるのは36枚。3枚は屋根が入っていました。星像が流れているようなものはありません。後半になるに従って西の空に傾くので明るくなってきてしまうのですが、今回はそれらも全部使うことにしました。


WBPP 2.0

次の日フラットとフラットダークを同ISO800、1/400秒で128枚撮影し、ダークは以前撮った同じ範囲の温度をものを使用してWBPP(WeightedBatchPreprocessing)で処理。最近WBPPがメジャーアップデートされて2.0になり、かなり変更がありました。以前のバージョンから使っている人はまあ普通に使えるかもしれませんが、1箇所だけ注意。全てのファイルを登録後、新しくできたControl PanelタブのFLATのところでファイルを選択すると右側にオプションが現れます。これまではライトフレームはカラーかどうか選択するためにCFAオプションがあったのですが、今回からFLATもCFAが選べるので、もしフラットフレームもカラーで撮影したなら必ずCFAオプションにチェックを入れます。

今回のバージョンから処理過程を図にしてくれるのですが、FLATのCFAがオフのままだと下の写真のようになって、フラットが適用されていないのが分かります。

IMG_1943

きちんとFLATのCFAをオンにすると
IMG_1942
のように、きちんとフラットが適用されていることがわかります。

さて、その下のSeparate CFA scalling factorはまだよく理解していないのですが、とりあえず今まで通りオフでやってみました。ただ、オンにするとRGBで別々の係数を使い、オフだとまとめて一つの係数を使うということです。今回のフラットフレームはカラーバランスが取れていないので、もしかしたらオンにした方がいいのかもしれません。


あとは画像処理

出来上がったライトフレームをいつも通りDBE、PCC、ArcsinehStrech、HT、StarNetなどで処理をして、Photoshopに渡してさらに炙り出し。とりあえずできたのがこれです。

Image53_2

恒星がいまいち鋭くないとかいくつか不満はありますが、これはこれで完成です。さあ、ブログと書こうと今に至っているわけですが...

あれ?ダークがおかしい

...と(既に画像処理も終えて、このブログを書くために改めてダークファイルの数を)チェックしていて変なことに気づきました。WBPPのControl PanelにmasterDarkが多数枚登録されているのです。

IMG_1947

そしてDarksタブを見てみると露光時間ごとに一枚づつ、多数のmasterDarkが登録されているのが分かります。

IMG_1946

ところが、試しに今回撮影したフラットフレームとかライトフレームを登録してもこんな変な状況にはなりません。ダークフレームのみこのような状況になります。

ファイル名からdarkというのを取り除いたり、ヘッダ情報を見たりいろいろしたのですが、原因はもっと単純なことでした。ダークファイルが存在する上流のフォルダ名に一つでも「master」という文字が含まれているとこのような状況になってしまうようです。例えば今回は以前撮ったダークフレームを使い回したために「master」というフォルダの下に、さらに露光時間やISO別に幾つかのフォルダに分散してためてあったものを使ったために起きた問題でした。例えば「master」を「mas」とか抵当に名前を変更してダークフレームを登録するだけで、masterDarkでない普通のダークフレームとして登録されます。

さてさて、間違った多数の1枚偽masterDarkファイルで処理したものときちんとダークを登録して処理した画像と、で画像の差はあったか興味がある方もいるかと思います。拡大すると正しいダークを登録した方が明らかに黒い小さな点がなくなる、もしくは緩和されていました。差がわかる部分を拡大して比較ものが下の画像です。左が間違ったもの、右が正しいものです。このような小さな点が画像全面に散らばっています。

comp

ただ、最終仕上げに影響があるかというと、ドット単位くらいの話ですし、間違ったダークと言っても多少の補正はできているので、拡大してじっくり見ない限りはわからないレベルでしょう。

ちなみにこの「master」というフォルダ名、ダークだけでなく、バイアスやフラットを登録する際にも全く同じことが起きて、いずれもマスターファイルとして認識されてしまいます。これだとあまりにも制限が多いので、そのうちもう少し良い方法で解決されると思いますが、PixInsightを使う際にはmasterというのは特別な意味を持つので、むやみやたらに、少なくとも読み込む画像ファイルに関するところには使わないほうがいいでしょう。


仕上げ

このあとまた一通りの炙り出し過程をすませ、不満だった恒星部をもう少し出します。ついでに赤いところももう少しだけ。

master_cut_rot_DBE_DBE_PCC_SCNR_ASx4_HTx2_CT2
  • 撮影日: 2021年3月3日20時26分-22時29分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: 無し SIGHTRON CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x36枚 = 1時間48分、ダーク50枚(ISO800、露光180秒)、フラット128枚(ISO800、露光1/400秒)、フラットダーク128枚(ISO800、露光1/400秒)  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC、DeNoise AI
Dark補正の違いはほぼ何も影響がないですが、2回炙り出しをやったのでいい訓練となりました。自宅でフィルターなし、2時間弱でこれくらい出るのなら、気楽でいいのかもしれません。

それでもやはり背景はノイジーなのは否めません。分子雲がもう少しあるはずなのですが、もっとはっきり出す技術をまだ確立できていません。今回2時間弱と短かったので、まだまだ撮影時間を伸ばしてみるのもいいのかもしれません。もしくはISOをもう少し上げて恒星がサチるのには目をつぶり、背景を重点的に出すことを考えてやってみるのもいいのかもしれません。

あ、そうだ真ん中らへんの一番明るい星の左のなぜか明るく見える星。ここだけボワッとにじみが出ています。そもそもこんなに明るい星でもないですし、もっと明るい星でもこんな滲みは出てません。ここのファイルはそれほど目立つにじみでもなく、いまだになぜか理由がわかりません。とりぜず理由がわかていないのでそのままにしています。

いつものAnotationです。

master_cut_rot_DBE_DBE_PCC_SCNR_ASx4_HTx2_CT2_Annotated


過去画像との比較

2年ちょっと前の2018年11月に撮影したカリフォルニア星雲です。

NGC1499_CUT

これは直接比較していいものなのでしょうか?記録を見ると撮影時間30分となっています。露光時間も約4倍、画像処理も今と全く違うので、淡いところも全然見えるようになっています。さすがに今回の方が圧倒的に進歩していますね。


まとめ

PixInsightのWBPPですが、まだメジャーアップデート直後でこなれ切れていない気がします。自分の慣れのこともありますし、また不具合などもあると思ってしばらく付き合っていくべきでしょう。

実際にはこれまであやふやだったフラットのCFA処理とかもはっきりしたり、コントロールパネルも見やすくていいです。これからもWBPPの進化に注目していきたいです。



カリフォルニア星雲(2): 撮り増し」に続く
 

先週末の2月27日の太陽ですが、ほとんど忘れてましたが、一応撮るには撮ったのでブログに記録だけしておきます。

この日はCP+の中継の前日で、スライドとか機材とか色々準備してた最中でしたが、晴れてしかも黒点が出てるという情報で、我慢できなくなって撮影しました。もう裏側へ回り込む直前ですが、前回(2/21)と違い今回ははっきりとした黒点になっています。

13_01_29_lapl4_ap1700_IP_cut

が、見ての通りシンチレーションが悪くてボケボケです。

13_06_46_lapl4_ap1651_IP_cut

プロミネンスが光球面のフィラメントとつながっています。いまだに両方をうまく出すのが難しです。と言っても今回はこのボケ具合であまり気合い入らず、光球面とプロミネンス層の境界の処理も適当です。こんなのを、シンチレーションのいい日にアニメで撮りたいです。でも処理が大変だろうなあ。

あとは多少大きなプロミネンスがいくつか。
13_13_54_lapl4_ap1552_IP_cut

13_11_27_lapl4_ap2057_IP

13_12_06_lapl4_ap1565_IP_cut

13_18_59_lapl4_ap2398_IP_cut

最後二つはかなり淡いものです。

と今回はこんなところです。少し活発になってきたので、また晴れたら撮影します。

一応データです。
  • 撮影日時: 2021/2/27 13:01-13:011
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影条件: ser形式でgain 110-150, 1.25ms x 2000フレーム中上位50%もしくは30%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

このページのトップヘ