ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 観測・撮影

なんか先週と同じようなタイトルですが、今週は自宅での撮影です。天気も良く今週も遠征かとも思ったのですが、車のタイヤをスタッドレスに変えることができなかったので、夜中に走らなければならないことも考えて山の方へ行くのは諦めました。

今週は
  1. 地球照
  2. VISACの調整とトラペジウムの分離度
  3. 魔女の横顔
  4. 春の銀河先取り
と4つがトピックになります。


地球照撮影

まずは一つ目の地球照です。11月30日の土曜日で月齢は3.7日。三日月より少しだけ太いくらいです。撮影自身はどうってことはないです。これまでどおりCMOSカメラで動画撮影します。
  • 鏡筒: FS-60CB+旧型フラットナーで焦点距離374mm
  • カメラ: ASI178MC
  • 架台: AZ-GTi
とお気軽撮影になります。

今回、HDR撮影に挑戦しようと思い、露光時間とゲインを変えて撮りました。三日月の模様と地球照の模様が同時見えたらいいかなと単純に思っただけです。撮影した設定は
  1. 露光時間:0.01sec、gain:410
  2. 露光時間:0.025sec、gain:160
  3. 露光時間:0.2sec、gain:310
  4. 露光時間:0.2sec、gain:410
  5. 露光時間:0.4sec、gain:410 
  6. 露光時間:0.8sec、gain:410
の計6ショットになります。上から2つが三日月部分を差散らないように撮影したもの、下4つが地球照をメインに撮ったものになります。それぞれAutoStakkart!3でスタックして、Registax6で細かいところを出します。

all


HDR処理

と、ここまでは全然問題なかったのですが、その後のHDR処理で路頭に迷い今に至っています。

まず、PhotoshopやPixInsightでのHDR自動処理を試したのですが、全くうまくいきませんでした。そのため、まずはダイナミックレンジ処理を理解をするためにも手作業でやってみることにしました。難しいところは地球照が綺麗に出ている時の三日月部分が全部ホワイトに飛んでしまっている部分で、ここをどうやってごまかすかです。方針は2通りありそうです。
  1. ホワイト部分を暗くして、そこに三日月を埋め込む。
  2. ホワイトを明るく残したまま三日月を飛ばし気味で埋め込む。
共に、ホワイト部分の面積のほうが三日月部分の面積より大きくなってしまっているので、その空いてしまった隙間をどう補完するかという問題があります。前者はその隙間が黒に近くなり、後者はその隙間が白に近くなります。

前者はうまくいくと綺麗かと思っていたのですが、やってみると中途半端に飛びそうになっているところがイマイチどの色にすればいいか決まらず。さらに隙間の黒い部分と他の明るい部分に差がありすぎてあまりに不自然です。とりあえずこの方向はすぐに諦めました。

後者は明るい中に三日月を入れるので、三日月部分のディテールが潰れてしまいます。その一方隙間と他の明るい部分の差が少ないので、不自然さは減ります。6枚撮ったのですが、結局使ったのはそのうち2枚だけ。枚数が増えると継ぎ目の処理が大変になるので、枚数を減らしました。でも結局のところ三日月部分を埋め込んでみるとどうやっても合成っぽいのしかできません。あまり気は進まないのですが、載せるだけ載せておきます。

2019-11-30-0920_2-all_RS

やはり不自然ですよね。もう一つ載せておきます。

2019-11-30-0920_2-all_RS2

少し三日月部分の重ね方を見直して、見た目の印象に近いように地球署の部分を暗くして、全体に赤に少し寄せています。

いずれにせよイマイチです。HDRまだ慣れていないのでこれくらいが今の限界です。


普通の地球照

HDR処理など何もしていない、撮って出しに近いものにいろんな意味で勝つことができません。下はRegistaxで仕上げた後何もしていないのですが、こちらの方がはるかに自然に見えて好きです。

2019-11-30-0916_0-Capture_lapl5_ap2700_RS


まとめ

地球照のHDR合成は思ったより難しいです。輝度差がありすぎて、どうやっても不自然さが出てしまいます。よほどうまく処理するといいのかもしれませんが、私にはまだそこまでのテクニックはないです。

いつかまたリベンジしたいですが、今回のでノックアウトされたのでいつのことになるやら。


先週末の撮影ですが、やっと最後の記事になります。

飛騨コスモス天文台ドームの調整後
、ピラーと赤道儀の振動のために星像が三角になるという問題は依然ありますが、せっかくなので撮影を敢行しました。


初めてのM1:かに星雲

最低限の光軸調整はできました。振動は手元にあるものではどうにもなりそうにありません。今度来るときまでに太いゴムバンドでも用意して、振動をダンプさせようかと思います。星像は後で画像処理で何とか誤魔化すとして、撮影を試みました。

ドームの3000mmの鏡筒にASI294MCをつけて、十分寒いのでとりあえずは冷却もなしで撮影してみます。露光時間は60秒、ゲインは470、枚数は121枚撮ったうちの106枚を使いました。合計106分ということになります。bias補正100枚、ダーク補正100枚撮っています。flatは無しです。結果は以下のようになります。

integration_average_DBE_CC_morph_cut2


画像処理は星像の三角をごまかすのがかなり大変でした。色々試しましたが、結局PixInsightのMorphologicalTransformationを使いました。星像をDilationで一旦大きくしがてら円形に近づけ、その後Eroisionで再び元の大きさに縮めます。ただ、その時の星雲マスクがあまりうまくできなくて、星雲内の恒星が分離できなかったので、星雲内の星像は三角はままで結局手付かずでした。

なお、今回Starnet++がうまく分離処理できなかったので、使うのを諦めました。M57で試した時も一度うまくいかないことがあったのですが、長焦点で星像がボテっとしているようなものはどうも苦手なようです。そのため、マスクなしで処理したので恒星の色が過剰に出てしまっています。

また、光状線が二重になっているのと、きちんと十字にならないことも気づきました。おそらくまだ光軸がずれているのと、スパイダーが曲がっている可能性があります。

とまあ反省点は多々ありますが、初めてのかに星雲です。長焦点で撮ってみたいものの一つでした。モジャモジャもなんとか出たので、まあ満足です。

あ、M57も撮影していたのですが、撮影枚数が少ないのと、分解能がまだVISACに全然追いつかないので今回はお蔵入りです。


まとめ

結局4つの記事になってしまいましたが、やっと先週末のまとめが終わりました。普段あまり遠征とかしないので、寒い中コンビニ飯を温めたりしてなかなか楽しかったです。

飛騨コスモス天文台で撮影までしようとすると、まだまだ問題点があることがやっとわかってきました。テコ入れの方法はまだありそうなので気長にやっていきたいと思います。現地はもう雪が降り始めているらしいので、多分春になってからでしょうか。

今回、画像処理に時間がかかってしまいましたが、今週末撮影した画像がすでに処理を待っています。忙しいですが、もう年末ですが今年やっとまともに撮影できている感じです。日本海側は冬は全然ダメなので、今のうちが数少ないチャンスです。
 

飛騨コスモスで撮った画像、やっと処理をする時間が取れました。2本のレンズ、PENTAX 6x7マウントの105mm f/2.4で撮影したものと、PENTAX 6x7マウントの200mm f/4で撮影した画像を処理してみます。


機材と撮影条件1

最初は105mmです。アトムレンズの性能を見い出せるかがポイントです。
  • カメラ: Canon EOS 6D HIKIR改造
  • レンズ: ASAHI PENTAX Super TAKUMAR/6x7 105mm f/2.4 (アトムレンズ)
  • 撮影条件: ISO1600、露光時間90秒 x 36枚、総露光時間54分
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市数河高原
  • 撮影日時: 2019年11月23日21時19分 - 22時14分
撮影範囲は北アメリカ星雲からサドル付近を含んだ範囲、かなり賑やかなところです。夏の星座なので、高度もある程度下がってきていて、山に沈むまでの時間で制限されました。


画像処理と結果

今回は結構綺麗に出ました。使ったソフトはPixInsiteとStarnet++、Photoshop CCです。前回Starnet++を使ってみてかなり楽だったので、今回も味をしめて星雲と恒星を分離してから、星雲をあぶり出しています。

masterLight_integration_DBE_DBE_DBE_CC_STR_SNP2_cut

色もわりと簡単に出ます。画像処理の過程で、黄変は全く気になりませんでした。周辺に少しコマは残りますが、拡大してみない限りはそこまで気にならないレベルです。そもそもf/2.4の開放での撮影なので、少し絞ればもっとマシになるのかもしれません。次回チャンスがあるときに試してみたいと思います。

結局アトムレンズのことは画像処理の間は全く気になりませんでした。特に悪いところも、特筆すべきところも意識できませんでした。周辺減光が少ないのは中判だからかと思います。センサーに放射線がノイズとして現れるというのがあぷらなーとさんから報告されていましたが、PIでホットピクセル処理をするのと、Integrationのときにminimumになるように重ねることで、ほとんど気になりませんでした。



さて後半ですが、ここからはもうただのおまけです。200mmは全然ダメでした。

機材と撮影条件2

撮影の時に目立った赤ハロがどうなるかがポイントです。
  • カメラ: Canon EOS 6D HIKIR改造
  • レンズ1: ASAHI PENTAX SMC TAKUMAR/6x7 200mm f/4
  • 撮影条件: ISO3200、露光時間90秒 x 47枚、総露光1時間10分30秒
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市数河高原
  • 撮影日時: 2019年11月23日23時50分 - 11月24日2時13分
こちらはエンゼルフィッシュ星雲です。少し焦点距離が長かったかもしれません。エンゼルフィッシュが大きくなりすぎて、全然エンゼルフィッシュになりませんでした。

画像処理

いやあ、このレンズは星撮りにはダメでした。赤ハロの処理がこんなに大変だとは。

まずはごく普通の処理でやりましたが、全く歯が立ちません。背景はざらざら、色は出ない。

こうなったら持っている技術を注ぎ込みます。例えばPixInsightt上でRGB分解してRのみ星像を小さくしてみます。それでも残る赤いシミをいかに誤魔化すかにすごい手間がかかりました。75mmでの自宅撮影ではあんなに簡単に色が出たのに、はるかに光害の少ない場所での撮影で全然色が出ません。

時間ばかりかかる割に、全然仕上がりまで辿り着きません。四隅のコマ収差も酷いですがもうそれどころではないです。もう諦めてここら辺にします。撮影する時間も、処理する時間も結構かけたのですが、こんな仕上がりなら載せない方がいいかもしれません。

このレンズはお蔵入りです。

masterLight_integration_DBE_DBE_DBE_CC_RGB_STR_SNP_PS_cut
疲れました...。限界です。


まとめ

PENTAXのレンズ3種を画像処理まで試したことになります。

まずはさすが中判、3本とも周辺減光がほとんど気になりません。今回フラットは撮っていないですが、PixInsightのDBEを軽く適用するくらいでした。周辺の補正はほとんど無いレベルでした。

一方、コマ収差に関しては75mmが圧倒的にいいです。たとえるならFS-60CB+レデューサーで出てくる歪みくらいでしょうか。FS-60CBに新フラットナーを合わせたときには負けますが、個人的には全然不満にならないレベルです。105mmのアトムレンズのコマ収差は無視できないレベルですが、もう少し絞ったらマシになるかもれません。それでもまだ許容範囲の口です。200mmのコマは許容範囲外です。それよりも赤ハロのひどさには閉口しました。撮影の時にはこんなもんかと思っていたのですが、画像処理をして大変さを実感しました。

というわけで、同じPENTAXの6x7マウントといっても手に入れた範囲だけでも色々です。75mmはこれからも使い続けます。かなりお買い得でした。105mmは絞ってからもう一度判断したいです。でもアトムレンズの性能が味わえたかというと、ちょっと微妙です。値段的にも(中古なので十分安いですが)75mmと比べると少し割高だと思いました。200mmはもう使いません。あの赤ハロでは時間の無駄になってしまいます。あ、昼間のレンズとしてなら使うかもしれません。

それでも結構面白い経験でした。もしかしたら当たりを求めてもう少し6x7レンズ買い足すかもしれません。また沼ですかね。
 

先週末、透明度が良さそうだったので、月が出るまでの時間だけでもと思い急遽コスモス天文台に向かい、ドームの望遠鏡を活用することができないかと、少し試してきました。時間が限られていたので、ASI294MC Pro(ただし、冷却はせず)をそのまま取り付けてM57をテスト撮影してみました。


ドームの機材

さてドームの中の機材ですが、実はこれまであまりきちんと確認したことがなくて、聞いているところでは口径250mm、焦点距離3000mmのf12鏡筒ということはわかっています。 カセグレン式だと思うのですが、メーカーはおそらくタカハシ。タカハシでこの条件に当たるのはミューロン250だけです。でも旧式だからでしょうか、結構形が結構違うのでもしかしたら他のメーカーかもしれません。赤道儀はたぶんNJPかと。そこにLX200互換モードで駆動するモーターが後付けで付いているようです。

IMG_8360

IMG_5140



カメラを取り付けて星を見てみた

ドームの鏡筒はいつもは眼視でしか使っていませんが、カメラで見たときにどれくらいの撮像になるのか興味があります。とりあえずテストで画面に映し出して、様子を見てみました。
  • まず、光軸がおそらくきちんとあっていません。内外像もかなり差がありました。
  • 鏡筒に触ると、星像がある一定時間一方向に伸びます。どうもある振動モードだけが励起されやすいようです。
  • 長時間たつと像がずれていくので、極軸がきちんとあっていないようです。
今回は時間があまりなかったので、調整は諦めました。極軸はSharpCapのPolar Align機能ですぐに合わせられると思います。光軸はまだちょっとよくわかりません。


M57を撮影

光軸がおそらくあっていないのですが、とりあえず一番まともそうなピントで撮影してみました。露光時間は10秒で301枚、合計50分10秒です。テストなのであまり気合を入れて画像処理はしていません。なので、フラットもダークも無しです。結果は以下のようになりました。

integration_DBE_STR_cut

やはり星像がぼーっとしています。今まで撮った中で一番まともなVISACの画像と比較してみます。左が今回のコスモス天文台、右がVISAC。解像度はまだまだ雲泥の差です。

comp

ただ、口径が250mmで焦点距離が3000mmあるので、ポテンシャルは高いはずです。光軸を一度きちんと合わせて再度挑戦してみたいと思っています。

あと一つ気づいたことですが、今回は10秒露光なのである意味ラッキーイメージングに相当するかと思います。そのせいか、相当透明度は良かったはずなのに、そばに見えるはずのIC1296がほとんど出ていません。やはり露光時間が短いせいなのかと思います。ラッキーイメージの星像の鋭さと、淡い星雲をあぶり出すことを両立するのは、やはりHDRのような多段階露光が必要になるのかなと思います。


また来年か

ドームを使って撮影するのは初めての経験です。今回はあまり時間もなかったのでまだまだ調整不足ですが、次回機会があったら時間をかけて光軸調整までして撮影に臨みたいと思います。

でも間も無く雪のシーズンが始まります。豪雪地帯のコスモス天文台は冬の間は近づくことさえできません。今年無理なら、来年暖かくなってからの課題としたいと思います。



初の中判レンズ

先日秋葉原のキタムラに寄った際に、ちょっと面白いオールドレンズを手に入れました。PENTAXの6x7マウントのSMC TAKUMARレンズの75mm/f4.5と200mm/f4を2本まとめ買いです。値段は2本合わせても1諭吉さんちょっと。格安です。

今回の購入の狙いは単純で、中判レンズのような大きな面積で使われていたならば、現在のフルサイズカメラで使えばレンズの中心像だけを使うことになり、周辺減光なども少ないのではないかというものです。

IMG_8437
帰りの新幹線の中で早速物色

購入時、店頭でレンズを覗かせてもらったら、特に黄変などもなく、外観もきれい。少しゴミが見えたのですが、ブロアーを貸してもらって吹いたらほとんどなくなったので全く問題なし。即買いです。でも実は75mmの方が200mmに比べて3倍近い値段だったんです。なのでむしろ200mmはおまけです。

実はオールドカメラレンズについてはあまり詳しくないのですが、6x7は55mm × 70mmに相当し中判カメラに分類されるとのこと。現在のデジカメの主流のフルサイズの24mm x 35mmと比べても、辺で倍以上、面積だと4倍以上大きな像を写すことができるレンズだったようです。調べてみると、アサヒペンタックス6×7(1969年7月発売)シリーズ用のレンズで、今回購入したモデルは1975年には少なくとも存在していたみたいです。実際いつ作られたものかはわかりませんが、モデルとしては45年ほど前で、私がまだ鼻たれ小僧だった頃です。

さてこれらのレンズ、実際には写りはどうなのでしょうか?半世紀近くたった星の撮影で使い物になるのでしょうか?


機材と撮影条件

手持ちのEOS 6DにPENTAX 6x7レンズを取り付けるために、K&Fというメーカーの変換アダプターを購入しました。アマゾンですぐに手にはいります。このアダプター取り付ける時は多少硬いですが、無理してはめ込むほどではありません。取り付け後のガタですが、レンズが回転する方向に少しあります。回転方向なので、撮影には影響はないと思っていいでしょう。それ以外の方向は上下左右に触っても全く揺れることはありません。

IMG_8618

実は一時期、同じ中判のMAMIYAレンズで同様のことを試そうとしたのですが、変換アダプターが高すぎて断念したことがあります。なのである意味、PENTAXでのリベンジということになります。

今回はまず75mmの方を試してみました。

IMG_8606

取り付けて実感したのですが、とりあえずまあ、でかいレンズです。


さて、撮影機材です。
  • カメラ: Canon EOS 6D HIKIR改造
  • レンズ: ASAHI PENTAX Super-Muti-Coated TAKUMAR/6x7 75mm f4.5
  • 撮影条件: ISO1600、露光時間90秒 x 99枚、総露光時間2時間28分30秒
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • 撮影場所: 富山市自宅
  • 撮影日時: 2019年11月9日午前2時43 - 5時14分
  • 撮影枚数: 99枚
今回は庭撮りですが、魔女の横顔を出したかったので、多分青系をカットしてしまうQBPなどの光害防止フィルターは使っていません。


四隅の星像

まずは試しに一枚、JPG撮って出しです。

IMG_4305

次に、四隅を見てみます。。

IMG_4305

  • 拡大して見てみると、中心像はほぼ丸。やはり4隅が僅かに歪みますが、私的には十分許容範囲です。いや、むしろ購入した値段が値段なのでこれなら文句はないでしょう。
  • 周辺減光もさすが中判、ほとんどフラットに近いです。右側が暗く見えますが、これは撮影時右の方が天頂に近く、実際の空がより暗いからです。
  • 気になっていたハロですが、この時点ではほとんど確認できません。これは期待以上でした。画像処理が進むともっと明らかになっていくと思います。
  • 気になったのが、無限遠が出ているかです。焦点リングを無限の方向に回すと、星像は小さくなっていきます。かなり小さくなったのですが、最小を超えて大きくなるところまでは確認することができませんでした。
  • また、絞りは横にマニュアルかオートを選べるスイッチがあるのですが、マニュアルの時のみ絞りを調整できます。問題は手を離すと勝手にオートになってしまうので実質絞りは使えず、いつもf4.5のままです。この仕組みはよくわからなかったです。何かテープとかで固定するしかないのでしょうか?


オリオン座周辺の撮影

遡ること、この撮影の2日前の11月6日、本当に久しぶりに夜に晴れたので、同画角での撮影を敢行しました。月の沈む(明けて7日の)0時半頃から薄明まで、約5時間。平日なのでセットアップして撮影開始したらあとは寝ていましたが、朝起きて片付けがてら画像を見てみると、撮影開始ほぼ直後から雲が出始め、全枚数の8-9割方、どこかに雲がかかっていました。画像処理までしたのですがさすがに無理があったので、再度11月8日の金曜(実際には明けて土曜)の夜中からリベンジ撮影です。

この日は月が沈むのが3時近くと遅いのですが、空は快晴。次の日は休みなので、本当は暗いところまで遠征に行っても良かったのですが、最近近所でクマに襲われた事件を連日聞いているので、妻から一人遠征のストップが出て結局自宅での撮影になりました。まあ、まだ初機材のテスト撮影なので自宅で十分でしょう。星は瞬いていますが、昼間も立山がよく見えていたので、透明度は良いようです。

午前2時すぎ、機材を準備し始めますが、前々日と全く同じセットアップなので楽なもんです。SharpCapで極軸もきちんと取っても、2時40分頃には撮影開始となりました。撮影開始後はもう眠いので、そのまま就寝です。


画像処理と結果

朝起きて機材を片付け、画像を無事に回収してチェック。全ての枚数で綺麗に撮れていることがわかりました。そのままフラット、バイアス、ダークを新たに撮影し、画像処理に入ります。フラットはiPadのColor Screenというソフトで白色を出し、iso100, 100msで50枚撮影、バイアスは1/4000秒でiso1600で100枚撮影、ダークは同じiso1600、90秒露光で50枚撮影です。

基本的に処理ソフトはPixInsight。Batch Processingでほぼ自動処理。その後、DBEで残ったカブリ除去とPCCで色合わせ。適当にストレッチしてからPhotoshop CCに引き渡します。

今回は途中、最近はやりの星を除去できるStarnet++を使いました。ここからコマンドライン版のMac版をダウンロードして展開。あとは処理したい画像を同じフォルダにコピーしてきて、

./rgb_starnet++ ファイル名.tiff

とやるだけです。処理時間はきっちりと計っていませんでしたが、15分程度だったでしょうか?出来上がった画像が以下です。かなり綺麗に星雲のみ分離できます。

light_BINNING_1_integration_DBE_DBE2_PCC_stretch_s

そこから元画像との差分で星だけ取り出したものがこちら。

light_BINNING_1_integration_DBE_DBE2_PCC_stretch_star

M42の一部のみ残っていますが、まあ優秀なものです。

その後、Photoshop CCで処理しましたが、背景と恒星が分かれているので処理が随分楽です。懸案だったハロはほとんど出てきませんでした。結果が以下のようになります。

light_BINNING_1_integration_DBE_DBE3_PCC_stretch_s5_brighter_cut

目的だったIC2188魔女の横顔星雲も、Sh2-264エンゼルフィッシュ星雲も綺麗に出ています。バーナードループ は電視観望とかでうっすら見たことがありますが、今回初めて写すことができました。実は魔女の横顔もエンゼルフィッシュも初めて撮影しました。さすがにこの領域は盛り沢山ですね。

あ、初と言いましたが、実はむかーし三脚固定撮影でバーナードループ を試したことがありますが、あれは5秒 x 100枚で完全に遊びです。今回は、やっとまともな撮影となりました。


中判レンズを使ってみて

うーん、PENTAXの中判レンズでのテスト撮影のつもりが自分では結構というか、かなり満足のいく仕上がりになってしまいました。狙い通り周辺減光が少ないことと、ハロがほとんどなかったことが幸いでした。

200mmも早めに使ってみたいです。手持ちのFS-60CBにレデューサをつけると255mmです。それより少し画角が広いくらいです。

実はもう一本、ちょっと前にNIKKORの135mmのオールドレンズもジャンクで購入したのですが、こちらもまだ未テストです。

あと、Starnet++がなかなかいい仕事をしてくれるので、あぶり出しがしやすいです。自宅のニワトリで光害フィルターもなしでこれだけ出せるのなら十分な満足です。

今年は晴れている日が少ないので久しぶりの撮影でしたが、十分に楽しむことができました。


朝からずっと曇りだった昨日、夜中に短時間ですが東側がひらけてオリオン座がものすごくきれいに見えていたので、電視観望関連で少しやってみたかったテストを敢行しました。題して「格安電視観望」です。


目的とセットアップ

今回の目的は、電視観望の裾野を広げるために最低限の機材でどこまで値段を安くできるかというものです。とりあえず試してみて、その後のアップグレードにつなげる最初のステップという意味もあります。

今回、3つの方法でオリオン大星雲を見比べをします。
  1. いつものFS-60CBにASI294MC Pro(常温で駆動)をつけて、光害防止フィルターのQBPは無し 、AZ-GTiにのせて。
  2. Celestronの格安持ち運び望遠鏡トラベルスコープ 70に ASI294MCをつけて、光害防止フィルターのQBPは無し 、AZ-GTiにのせて。
  3. CanonのカメラレンズEF 55-200/4.5-5.6 II USMにアダプターを介してASI224MCをつけてたものを、AZ-GTiもしくは普通の三脚に載せて。
です。 


1. いつものタカハシFS-60CB

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まずはいつものセットアップで見てみます。焦点距離は355mmに旧フラットナーをつけて合成焦点距離374mm。比較しやすいようにQBPは外しています。露光時間は1.6秒、LiveStackで10フレーム程度なので、総露光時間は15秒程度です。画像はいつもやっているように見栄えがするようにあぶり出します。 これを比較の基準とします。

IMG_8567

露光時間は1.6秒、ゲインは最大の570。スタック回数が少ないので少しノイズが残っていますが、さすがに明るいM42だけあって、綺麗に見えています。フラットナーが旧タイプなので周辺は少し放射状に広がっています。中心の星像はかなりシャープですが、カメラのゲインが大きいため明るい恒星はサチってしまっています。

2. トラベルスコープ70

IMG_2392


 次は入門用の鏡筒です。鏡筒としての性能は求めず、焦点距離が400mmと短いこと、現行機種で安価で入手しやすいことが今回選択肢に選んだ理由です。アマゾンで収納カバン付きで実売1万円を切っています。カメラはASI294MCとしましたが、次との比較のためにASI224MCにしたほうがよかったかもしれません。ASI224を使うとまだ焦点距離が長すぎることが多いので、安価なレデューサがあったほうがいいのですが、今回はそこまで気が回らなくて294を使ってしまいました。

実際にはアイピース口にカメラを取り付けると、接眼部を伸ばし切ってもまだ短くてピントが合いません。私は31.7mm用の延長筒をつけましたが、なければ付属の45度正立プリズムを使ってもいいかもしれません。

IMG_8568

1と比べたら実売で10分の1程度の安価な鏡筒ですが、これをみる限り十分に見えています。電視観望では鏡筒の性能の差が出にくいと考えて良さそうです。ただし、よく見てみると恒星の周りにハロが出ていることと、星像が1の時ほどシャープでなく、ボテっとしています。また、そのせいかサチっているのが目立ちやすくなっています。昔、トラベルスコープ にASI224MCをつけてM57で試したことがあります。技術的にはまだ稚拙だったところもありますが、その時にも色は出ていたので、評価は特に変わらず、電視観望なら十分に使うことができるというものです。


キットレンズクラスでの電視観望

IMG_8583


今回の一番の目的です。このEF 55-200/4.5-5.6 II USMというレンズは入門用のレンズで、以前EOS Kiss Digital Nのキットレンズとして付属していたものらしいです。あまり記憶がないのですが、多分キタムラで数千円で購入しました。

かなりの数が出ているはずの一眼レフカメラ用のキットレンズクラスでどこまで電視観望ができるかを試します。最長で200mmの焦点距離なのですが、今回200mmにするとASIカメラにCanonレンズを接続するアダプターを最長まで伸ばしても焦点を合わせることができませんでした。なので、焦点距離は150mm程度で試しています。ASI224MCはASI294MCに比べるとセンサーが一辺で4分の1、面積だと16分の1になるので、150mmの焦点距離である程度近いくらいの画角になります。露光時間は同じ1.6秒、10枚スタックですが、ゲイン最大だとノイズが目立ったので、224の最大ゲインの600から2段階ほど落として500にしてあります。

結果はというと、以下のようになります。

IMG_8574

どうでしょうか?まず、カメラが1、2で使ったASI294とは違うため解像度が落ちていて、PCの画面の解像度に負けています。そのためノイジーに見えてしまっています。またF値が少し低いので、多少暗く、それもノイズ増加につながっているのかと思います。でもそれはLiveStackでもう少し待っていればいいだけの話で、それほど問題にはならないはずです。それよりも、やはり星像がより大きく出てしまっていて、サチっているのがよくわかります。これはレンズのせいともあるかと思います、実際にはカメラのせいもあるのかと思います。ASI224MCは12bitでダイナミックレンジがASI294と比べて小さく、飽和容量も4分の1とサチりに対して耐性が低いです。でも今回は、安価なということと、キットレンズで手に入る焦点距離で試すために、あえてこちらを使いました。

でも、そういったことを知らなくて、これはこれで単体で見れば、M42などの明るい星雲ならキットレンズクラスで十分見栄えのする電視観望になるのかと思います。

最後に試したのが、架台をAZ-GTiでなくて、普通のカメラ三脚に載せて追尾なしで電視観望をした時です。条件は同じ露光時間1.6秒、10枚スタックです。結果は以下のようになります。

IMG_8576

自動追尾はできないのですが、SharpCapのLiveStackでのAlignment機能が秀逸で、星の位置を認識して縦横、回転だけでなく、画面を歪ませてスタック画像を重ね合わせてくれます。なので星だけ見るとずれは全然ありません。その代わりに、ちょっとわかりにくいですが撮影画面の右側に黒い帯が見えることと、ノイズが筋のように流れて見えます。これが追尾しなかったせいでずれていった跡です。15秒でこれくらいなので、5分程度なら追尾なしでも十分に持たせられることがわかります。

このことは通常のカメラ三脚だけでも電視観望は十分可能だということを示しています。ただし、導入は慣れないと結構苦労します。

AZ-GTiは安価で眼視や電視観望では十分な性能の自動導入経緯台ですが、電視観望にはイチオシです。自動導入がついている普通の赤道儀でもいいですが、自動導入はなくても自動追尾だけでも電視観望は可能です。でもここで示したのはAZ-GTiや、赤道儀などを持っていなくても、まずはカメラ三脚でもいいので試してみることも十分できるということです。その際は、とりあえずは星が流れていってもいいので少し時間をかけてSharpCapの機能を試すことと、暗いものをあぶり出すテクニックを練習してから実際の星雲などを入れるのがいいのかと思います。

もう少し試そうとしたのですが、ここで雲がかかってきてしまい断念。今度はもう少し小さい天体をデジタル上でトリミングズームしてみて比較してみたいと思います。


まとめ

今回はどこまで安価に電視観望を試すことかを目的として試してみました。CMOSカメラASI224MCが税込で3万数千円、カメラレンズとの接続アダプターが6千円ちょっと、一眼レフカメラを持っていれば手持ちの200mm程度のレンズを使ってみる、架台はカメラ三脚、PCもあれば手持ちのもの。それでも三脚にどう固定するかとかいう問題があります。私はカメラ背面についている1/4インチネジ穴を使って適当なL字金具を固定して三脚の自由雲台に取り付けています。

電視観望をまずは試して見たい方は、上記のセットアップを参考に各自で工夫してみて、面白ければ次の便利な自動導入だとか、センサー面積の広いカメラだとかに手を出すというのも一つのアップグレードの道だと思います。

10月26日に小海の星と自然のフェスタのたくさんある講演の中で、電視観望の講演を行いました。KYOEIさんとの合同講演で、前半がKYOEIさん、後半が私です。講演自身は立ち見が出るほど盛況で、質問もたくさんでました。その後の夜の星雲を実際に見ながらの実演でも、かなりの人が来てくれました。

それでも時間はどうしても限られてしまい、わかりにくいところや、もっと理解したいところ、質問したくても人が多すぎて聞けないような方もいたかもしれません。今回、講演に使ったスライドを多少の補足も加えながら、公開したいと思います。


導入部

最初のページです。この記事ではカットしても良かったのですが、実はタイトルはすごく大事です。なんでこんな手軽な機材でも、電視観望だと十分に星雲などを楽しむことができるかを理解してほしいと言う思いをタイトルに込めました。

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動機です。2016年当時の原村の星まつりでドブの方達に聞いたのは、子供なら感度があるので緑系は色がつくかもしれないと言う話でした。その時一緒にいたうちの子に(当時4年生)にたぶんM57だったと思うのですが、色付きで見えるか聞いてみたら「見える!」とのこと。でも多分子供なので暗示だと思います。私にはどうやっても色がついているようには見えませんでした。
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電視観望と言う言葉は、胎内で出会ったHUQさんの造語で、当時「電視」としたかったのにこれだと中国語でテレビの意味になってしまうから「観望」をつけたとのこと。最近は電 "子"観望と呼ばれることもありますが、このブログでは命名者に敬意を表して電"視"観望と行っています。でも言葉は進化していくものなので、どちらでも構わないと思います。
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機材説明

続いて機材の確認です。電視観望に特化した機材と、一般的な機材です。最後の方のスライドで出てくるのですが、光害フィルターはもう必須に近いので、このページに入れてしまった方がいいかもしれません。
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鏡筒は短焦点ならもっと安価なものでも構わないと思います。電視観望は写真撮影ほど性能を求めないので、高性能な鏡筒と普及帯の鏡筒でもそこまで差が出ないです。なので、手持ちの手軽な入門用鏡筒から始めるのも一つの手です。
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カメラ選びですが、一番最後におまけスライドでもっと詳しい表を載せています。

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実際にどう見えるかの例

電視観望の一例です。講演前日の懇親会の日の夜に撮影したオリオン座周りの画像も入れることで、臨場感を出したつもりです。

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当日、講演時間が短くなりそうだったので、直前でカットしたスライドが何枚かあります。これはその中の一枚です。惑星は、惑星撮影をしている方にとっては見慣れた映像かもしれません。月は意外に面白くて、観望会でここをみたいとか言われたら、画面上でトリミング拡大してさも月旅行に行った気分になるとか、拡大して大気揺らぎを見るとか、カメラのゲインを思いっきりあげて地球照を見るとか、いろいろ応用があります。

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これもカットしたスライドです。明るいところでも天の川が結構よく見えてしまいます。最近の子供たちは天の川を見たことない子が大多数なので、かなりウケがいいです。あと、星座観察なんかもできます。都会だと星座をトレースするのも難しいので、画面で説明しながら、星座ビノなんかで見て実際に形を認識してもらうとよく理解してくれます。
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太陽にも電視観望を応用することができます。このスライドは話すかどうか最後まで迷っていたのですが、時間のこともあり結局カットしたものです。太陽が好きな人にとっては、観望会で一つネタが増えるきっかけになるかと思います。実際に撮った動画をここにアップしています。でも、明るすぎてPCの画面が見えにくいと言うのがオチです。
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電視観望の方針とセッティング

これも多分当日カットしたスライドだったと思います。ちょっとうろ覚えで、もしかしたら話したかもしれません。手軽なセットアップはやはり便利で、軽い、ケーブルの数が少ないなどを目指しています。観望会の準備の時間が意外に少なかったりするときもあるので、すぐに準備できるということはかなり重要です。また、見せることに特化することを目指して、画面を選択して自動導入など複雑なシステムにしないというのも心がけています。これはトラブル防止につながり、お客さんを待たせることをできるだけなくすことにつながります。凝ったことをやろうとするとたいてい本番で失敗し、さらに焦ってパニックでどうにもならなくなります。
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SharpCapをすでに使っている方にとっては、電視観望用に必要となるであろうセッティングをまとめました。
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本当は次のように文書でもスライドを用意していたのですが、(時間制限に関係なく)カットしました。動画の方がわかりやすいと思ったからです。
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動画になります。実際の動画はここにアップしてあります。途中ノイズが軽減される様子を強調するために、途中多少明るくして最後に暗くしていますが、明るすぎる必要は全くないです。また、彩度も少し強調しすぎかもしれません。ちなみに彩度はLiveStackのヒストグラムの横の赤青緑のバーの横の灰色のバーで強調することができます。これは意外に知らない人が多いかもしれません。
当日講演内で見せたように、動画の一番最初と一番最後を交互に見てみると、before and afterで違いがよくわかります。
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小口径電視観望のメカニズム

ここからが、今回の講演で一番伝えたかったことです。
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そもそもカメラの分解能、鏡筒の分解能の方が、PCの画面の分解能よりもポテンシャルが高いので、PCの画面上でトリミング拡大してもそこそこ見えてしまいます。M57より電視観望で小さいものを見るのは(少なくとも私は)あまりないので、これ位まで見えれば十分ではないかと言うことです。ちなみにこの状態で、大きなものではアンドロメダ銀河がちょうど画面に収まるくらいです。アンドロメダから惑星状星雲を見える範囲としてターゲットとしていると言ってもいいのかもしれません。
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明るさはヒストグラムの左2本線をいじり、レベル補正とガンマ補正に相当するあぶり出しで改善されます。ノイズはライブスタックで改善されます。空間分解能はPCの画面で制限されるのであまり問題になりません。ただし、ダイナミックレンジだけは犠牲にしていて、明るい恒星は白とびしてしまいます。ASI224MCからASI294MCにカメラを移行した時に、ダイナミックレンジが12bitから14bitになって、飽和容量も4倍になっているので、白飛びはだいぶん改善されました。それでもまだ十分ではないです。

カメラの感度がまだまだ足りていないのは事実なので、本当のリアルタイム映像を満足した画質で見ることは現段階では不可能です。今の状況ではリアルタイム性を追求するより、その時間をノイズ除去に当てた方が見栄えがいいと思います。なので、導入はリアルタイム、導入してからはライブスタックでノイズを下げると言うようなやり方で運用しています。

RASAを一度使ってみたいです。8インチのRASAなんかでSharpCapで電視観望したら、露光時間が10分の1くらいで同等の見え味なので、0.1秒オーダーのリフレッシュレートになり相当リアルタイムに近くなるはずです。
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もう少し補足します。SharpCapの設定でさらっと書きましたが、ゲインは最大近くに持っていっています。これはまず短時間で明るくしたいと言う要請が一番の理由です。さらにもう一つ、実は講演が終わってから考えていて気づいたのですが、読み出しノイズを考えると、これも最小になっています。ここは少しわかりにくいかもしれませんが、ゲイン最大だと画面上に出てくる読み出しノイズは最もたくさん出てきます。ただし、そのたくさんの読み出しノイズを大きなゲインで割るので、S/N(信号と雑音の比)の観点からは一番得をしています。これがグラフで表されている読み出しノイズが最小と言う意味です。

短時間で明るく表示できて、なおかつS/Nがいいと言うのが、ゲインを最大にしている理由で、小口径でも上手く見える理由の一つです。その代わりにダイナミックレンジはかなり制限されるので、白飛びに関してはあえて妥協をしているわけです。

以上のことが、次のスライドにもつながります。手軽な小口径というのは魅力の一つでもあります。これで慣れてから、さらに不満な場合には大口径に移行するというのが正しい道筋な気がしています。大口径はメリットはもちろんありますが、手軽さ、視野角など、よく考えないとデメリットも少なからず存在すると言う意味です。RASA8は最強ですが、RASA11やRASA14だと今のセンサーサイズから考えると視野角の不利さが出てきてしまうかもしれません。
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光害フィルターの効果と、おまけスライド

光害地での電視観望ではQBPのような光害防止フィルターを使うと効果的です。でも逆に見えにくくなってしまう天体もあるので注意が必要です。
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最後におまけで、カメラの特徴を示した表です。といってもこのページの焼き直しなのですが。
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まとめ

どうでしょう、講演のスライドを解説付きで公開するというのはこれまであまりやったことがないのですが、役に立ちますでしょうか?講演の時間も制限があったので、話が早くて理解不足のところもあったかと思います。スライドをゆっくり見ていただいて、さらに理解を深めていただければと思います。わかりにくいところがあればまたコメントなどしてください。できる限り答えるようにしたいと思います。

できることなら、小口径でなぜ電視観望が成り立つのかの理由を理解してもらい、さらに皆様からいろんなアイデアを出してもらい、電視観望が発展していくことを期待しています。同時に、電視観望を通じて深宇宙への敷居を下げることで、天文人口の裾野を広げることができればと思っています。

いろいろ試して、何か面白い結果が出たりしたら、またコメントにでも報告してください。Enjoy it !


台風19号が過ぎた日の夜、少しだけ晴れ間がありました。ほぼ満月だっとことと、雲も多かったので、何か簡単にできることと思い、10月26日、27日に開かれる長野県小海の「星と自然のフェスタ」の準備をすることにしました。

それはそうと今回の台風19号、私がいる富山はそれほどでもなかったですが、日本全国で見ると被害は甚大でした。特に長野は堤防が決壊し、よく使う北陸新幹線の車両が水に浸った映像は、かなりショックでした。スターライトフェルティバルに行こうとしていた福島も阿武隈川の堤防が決壊し多数の犠牲者が出たようです。小海でも数日間の間停電が続いたと聞いています。まだまだ生活を立て直すことができない方も大勢いらっしゃると思います。一日も早く復旧できるよう願っています。

さて、来たる 「星と自然のフェスタ」で、なんと電視観望について講演をすることになりました。講演プログラムはこちらになります。私の講演の時間は26日の土曜日午後15時30分からで、KYOEIの方と時間を分け合って話します。以前原村で、のんたさんから言われた「電視観望の話をどこかの星まつりでしたら、ものすごく受けるのではないか」という助言が早くも実現する形になります。さらっと記事を書いているように見えるかもしれませんが、内心ものすごく嬉しくて、できる限りわかりやすく、私が持っている電視観望の経験を惜しむことなく伝えることができたらと思っています。

伝えたいことは「なぜ小口径の鏡筒で電視観望が成り立つのか?」ということです。具体的な機器や操作法はもちろんですが、一番伝えたいのは「なぜ?」という理由の部分です。このブログをよく読んでくれている方にとっては新しいことではないかもしれません。でも最近「なんで小口径で見えるのかよくわからない」とか「暗くてよく見えない」とか、実際に困っている人が結構いることを知りました。わけもわからずやるより、絶対に背景にある理屈を理解して試した方がはるかに面白いだろうし、次のことを試す場合にもいろいろ応用が効くはずです。そんな思いで、講演用のスライドを作っています。

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その一つとして、SharpCapでの画像調整の動画を撮影しました。宣伝も兼ねてここに掲載しておきます。


もう一つ、スライドの中から実際の画面での説明のページも掲載しておきます。

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でもあくまで講演のメインは「なぜ?」の部分です。講演当日は「なぜ」このようなSharpCapの設定になるのかを理解してもらえるように話したいと思っています。そしてもし天気が良ければ、夜はそのまま電視観望の実演をしたいと思います。当日の講演でも、夜の実演のときにもできる限り質問にも答えたいと思います。

もし興味がある方がいましたら、ぜひ「星と自然のフェスタ」にいらして下さい。電視観望の話以外にも他の方のたくさんの面白そうな話があります。昨年は個人的には五藤テレスコープの分光の話がすごく面白かったです。今年は日曜日の昼前の重力波の話も面白いかもしれません。なんでも研究者が子供の頃どんなだったかとか、地元の子供達に向けてこんな世界もあるんだよ、というような話も交えてしてくれるそうです。


日本の電視観望の現状を振り返ってみようと思います。できるなら、これから電視観望を始める人の機材とかの選定に役立ってくれればと思います。


「電視観望」に至るまでの歴史

アマチュアレベルで、CCDカメラを使って星雲星団などを撮るという意味では、おそらく最古に近いものは昔の天文ガイドに出ている1980年年代前半くらいなのでしょうか。


上の記事では宇宙科学研究所と書いてあるくらいなので、アマチュアというよりは研究室レベルの話なのかもしれません。その後、CCDカメラが発達してアマチュア天文家に撮影の門戸が開かれていったのかと思いますが、それでもカメラの値段は相当高価で、一部のハイアマチュアの方に限られていたのかと思います。

むしろ電視観望に直結するのは、それよりも以前に行われていたイメージインテンシファイアを使ったリアルタイム表示でしょうか。昔の1981年1月号の天文ガイドにも記事があります。当然私はこの時代のことは知らないのですが、いつの時代にも同じようなことを考える人は必ずいるのかと実感させられます。そのころのイメージインテンシファイアは、当然星雲に色なんかつかないですし、値段からいっても一般の人にとってはとても手が出るものではなかったのかもしれませんが、今ではそれよりはるかに高感度なセンサーが、もう全然手の出る値段で出ています。以前のこの記事



でもないですが、天文に関して言えば今は夢にまで見た未来の世界なんだと思います。

一般のアマチュアでも星雲を高感度のCCDや一眼レフカメラを使って電視観望っぽいことをやっていた方は、結構前からいたようです。動画という意味で一番古そうなのは、Youtubeで見つけた限り7年前。でもこれらは今の電視観望のような、リアルタイムでその場で見るというよりは、「天体を動画で撮影をしてみる」という意味合いが強かったように思えます。

Sonyのα7Sが出た2014年あたりから、さらに電視観望に近いことをやっていた方が増えているのは特筆すべきです。やはり、高感度カメラの一般化とともに発展していくような技術なのかと思います。それでもまだ、モニターに映してみんなで見るというようなスタイルにはなっていなくて、あくまで動画で撮影してみるという類のものだったと思われます。


「電視観望」の始まり

「電視観望」という言葉は、SWATマニアで有名な愛知のHUQさんの造語です。HUQさんの方法は、α7Sを使うところはそれ以前と同じなのですが、それをHDMIで外部モニターにつないで、赤い星雲をみんなで共有して見ていたところが新しいのかと思います。当然α7Sも天体改造済みで、さらに色がおかしくならないようにUVカットフィルターも入れていたはずです。



HUQさん曰く、もともと「電視」としたかったらしいのですが、これだと中国語でテレビの意味になってしまうので「観望」をつけて電視観望としたとのことです。最近は電”子”観望と言われることもあるようですが、「でんしかんぼう」という造語を端に「電子観望」もできたものなので、大元は「電視観望」なのでしょう。言葉は時代とともに変わっていくので、どちらでも良いのかと思いますが、私は個人的にこの手法を直接見せてくれたHUQさんに敬意をはらい「電視観望」の方を使っています。


CMOSカメラを使っての電視観望のはじまり

おそらく日本では私が最初に、ZWO社のCMOSカメラを使ってその場で見ることを目的に電視観望を始めたのかと思います。当時調べた限りでは、少なくともCMOSカメラを電視観望相当のことに使っている例は見つかりませんでした。



当時私はまだ星を始めたばかりで、α7Sなんていう高級機はとても買えませんでした。上のHUQさんの方法をなんとか使えないかと、苦し紛れに、惑星用に使っていた同じSonyセンサーのASI224MCを流用したわけです。たまたまセンサーの感度がSony製で物凄く良かったこと、センサー面積などの制限から、小口径短焦点化など、逆に色々と発展させることができたのではと、後になって理解することができました。


海外の状況

ちなみに海外で電視観望に相当するのは別の言葉があって、EAA(Electronically-Assisted Astronomy)というのが正式名称のようです。直訳すると「電子補助天文」くらいでしょうか。調べてみるとEAAという言葉ができたのはそう古いことではなく、Cloudy Nightsでは2015年くらいから使われ始めたようです。私が始めたのが2016年なので、その一年くらい前ということになりますが、EAAの概念はもっと前からあったと思われます。2016年にはEAAをより一般化しようとするRevolution Imagerという製品がすでにできていました。



私はその当時、海外の状況を全然(それどころか、日本の天文事情もまだほとんど全く)知らなかったので、今の日本の電視観望の方法はある意味独立に発展してきたと言っていいと思います。というより、私は今だに海外のEAAの状況をあまり把握していないので、これまでの日本での電視観望の技術がどれくらい通用するか、一度海外の方で披露などしてみて、技術をすり合わせてみたいと思っています。少なくとも今の光害地でも余裕で見ることのできる技術は、海外と比べてもそんなに引けを取るものでもないと思っているのですが、どうでしょうか?


電視観望の広がり

さてこんな状況なのですが、日本では2016年夏の当初、電視観望なんて言葉は全く浸透していませんでした。その後、星まつりで披露して注目を浴びたり、



2017年にCAMPで披露してハイアマチュアの方の目にも入ったりしたのですが、



実際に電視観望という言葉がかなり一般的になってきたのは、2018年に入ってからくらいかと思います。日本で最大規模の販売店のKYOEIさんが力を入れてくれたり、天リフさんで積極的に取り上げてくれたのも影響が大きいと思います。

そんなこんなで、今では少なくとも天文マニアの間では電視観望という言葉はほぼ一般用語となり、会話の中でも普通に使われていますし、実際にかなりの人数の方が電視観望を試してくれていて、各地の観望会で成果を挙げているようです。


電視観望の分類

独断と偏見でですが、現在の電視観望を分類してみたいと思います。大きく分けて4通りくらいあるかと思います。
  1. まずはHUQさんが用いたオリジナルのα7Sを使う方法。これは後に明るさに走り、RASAを用いるような形に発展していきます。
  2. 2つ目は私が始めたCMOSカメラを比較的小口径の鏡筒で使う方法。これはひとえにSharpCapというソフトがあって発展した方法だと思います。今の日本で電視観望というと、これが主流なのかと思います。
  3. もう一つはRevolution Imagerを使った、PCを使わない簡単な方法。日本ではKYOEIさんで販売が開始されたのがきっかけです。
  4. さらに最近はASIAIRを使った方法なども出てきています。
これに加え、公共天文台などの大型望遠鏡を使った電視観望も始まっていますが、こちらはここ一年くらいでやっと公共天文台も注目し始めてくれたといった状況でしょうか。まだ、どこの天文台にもあるという状態からは程遠いです。大型モニターなどを常設することで、より多くの方に宇宙の深淵を身近に、リアルタイムに感じてもらうことができると思います。


さて、毎度長くて申し訳ないのですが、ここまでが前置きです。今回の記事の目的は、こんな背景を元にこれから電視観望を始める人がどんな方法があるのか、機材はどんなものを揃えたらいいのかというのを理解してもらうことにあります。

というわけで、まずは1から4の方法をもう少し詳しく見ていきましょう。

1. α7Sを使った方法

この方法が電視観望のオリジナルの方法と言ってしまっていいと思います。なぜなら電視観望という言葉を作ったHUQ氏本人が提唱している方法だからです。

  • 発案者: HUQ氏
  • カメラ: Sony α7S(天体改造済み)
  • 鏡筒など: F値の低い明るいカメラレンズ、のちにRASAに発展。
  • その他: HDMIケーブルで外部モニターにつなげると、みんなで共有して見ることができます。
  • 金額: α7Sが中古で10万からα7SIIが25万円くらい+天体改造3万円くらい、レンズはピンキリ(1万程度から、明るいレンズだと10万円以上の場合も)。HDMIモニターが1万円位。RASAだと8インチで25万円、11インチで45万円。11インチRASAを駆動するなら中~大型赤道儀でそれだけでも数十万円コースか。
α7Sの超高感度特性を利用した方法です。当初はカメラの天体改造も含め敷居が高かったのですが、最近は中古で10万円程度でα7Sを手に入れることができるので、かなり敷居は下がりました。

初期の頃は、50mm程度でF1.2というそこそこ広角のかなり明るいカメラレンズを使い、天の川なども含めてモニターに映す方法を取っていましたが、のちに焦点距離を伸ばす方向にも発展していきました。

カメラ単体は高感度なのですが、ISOを上げることのみで、外部ソフトを使うなどは基本できないので、どうしても鏡筒の明るさが欲しくなります。行き着く先はRASAなどの大口径で超低F値のものとなり、2017年の福島では11インチRASAで電視?と一部世間を騒がせました。



流石に11インチRASAは、それを乗せる赤道儀まで考えるとちょっと敷居が高くなりますが、ある意味究極の方法なのかもしれません。

ちなみに、α7S動画の場合の露光時間が秒最長でも0.25秒なので、その制限もあり明るさに限界があるのですが、必ず0.25秒刻みより速く見えるので、逆にリアルタイム性ではこれが一番面白いです。


2. 高感度CMOSカメラを使った方法

おそらく現在では、電視観望と言えばこの方法が主流なのかと思います。特徴はSony製の超高感度CMOSセンサーを使ったカメラを使い、比較的安価で小口径な鏡筒でもそこそこ見えるため、最初に始めるのには敷居が低く、とっかかりやすいことだ思います。

  • 発案者: Sam
  • カメラ: CMOSカメラ、ASI224MCやASI385MC、ASI294MCなど。
  • 鏡筒など: 短焦点で安価なものからOK。自動導入があるといいのでAZ-GTiがおすすめ。
  • コントローラー: SharpCap
  • その他: 画面を写すためにPCが必要。
  • 金額: カメラがセンサーサイズに応じて3万から10万円、鏡筒が安価な1万円くらいのものから。AZ-GTiなどの自動導入ができるもの3.5万円。計算機が5万円くらいから。
一番最初こそ口径20cm、F4の明るい鏡筒+FireCaptureで試しましたが、SharpCapの存在をRevolution Imagerの開発者のMikeに教えてもらってからは、ひとえにSharpCapに助けられて小口径化していきました。SharpCapを使うのはリアルタイムで画像処理を行っているようなもので、オートストレッチとLiveStackで星雲などあぶり出すために鏡筒を選びません。私は基本的に普段は口径60mmの小型のFS-60CBで電視観望をしています。

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PCが必要なのは、余分な機材が必要ということから欠点の一つもと言えます。逆に、PCの自由度の高さから任意のソフトが使え、特にSharpCapでカメラと鏡筒の能力の限界まで引き出せるのは利点ともいえるでしょう。値段も鏡筒を選ばないなど、いろいろ安価にする工夫がとれそうです。

また、広角のカメラレンズを使って、星座電視観望とか天の川電視観望なんかも楽しむことができます。


3. Revolution Imagerを使った方法

手持ちの望遠鏡などがあり、新たに簡単に試してみたいときはこれが一番でしょう。セットを買うだけで、必要な機材が全て入っています。PCもいらないのでとにかくお手軽です。

もともとアメリカのロサンゼルス近郊のOrange County TelescopeのMikeが機材を組み合わせて販売したのが始まりです。たまたま出張でこのショップに遊びに行った際、店長のMikeから日本に紹介してほしいと頼まれたものです。現在ではKYOEIから販売されています。
  • 発案者: Mike (Orange County Telescope)、日本への紹介者: Sam
  • カメラ: Sony製アナログカメラ(PAL出力)
  • 鏡筒など: とりあえず手持ちのものでOK。焦点距離を縮めるために0.5倍のレデューサが付属。
  • その他: モニターも付属。
  • 金額: Revolution Imagerが4万円程度。あとは手持ちの機材で。
PCを必要としない、最も手軽な電視観望セットです。画像処理に相当する機能がカメラに含まれています。日本語にも対応しています。

その代わり、自由度は少ないのでPC+SharpCapには機能的にかないません。ただし、付属のカメラは素子サイズがASI294MCよりも大きいので、感度は相当いいです。実はこれをビデオ入力ができるUSBキャプチャーアダプターなどを通してPCに入れて、SharpCapでLiveStackなどするという方法をあっかさんという方が試しました。これは素子サイズの大きさから侮れないくらいよく見えるようです。


4. ASIAIRを使った方法

2018年終わりころからでしょうか、当時から電視観望に力を入れていたKYOEIのMさんが、ZWO社のASIAIRを使った電視観望を提唱し始めました。当初はRED Cat51などの小口径の鏡筒を使っていましたが、最近は8インチのRASAと組み合わせて使っているようです。理由の一つが、ASIAIRの画像処理が、レベル補正の上と下しかいじれないことで、ガンマ補正に相当するものがなく、やはりある程度明るい鏡筒を必要とするからだと思われます。

  • 発案者: KYOEIのMさん
  • カメラ: ASI294MCなど
  • 鏡筒など: 明るいものがいいが、とりあえず小口径でも可能。
  • コントローラー: ASIAIR
  • 金額: ASIAIRが2.5万円、手持ちのスマホやタブレットがモニタになります。あとはカメラ、鏡筒、赤道儀など。小口径の場合は安価ですが、明るい方がいいのでRASAとかにすると、金額はそこそこ高くなります。
CMOSカメラを使っているので、2番の方法と変わらないと思えそうですが、PCのいらないASIAIRで、スマホなどがモニタがわりになるのは特筆すべきでしょう。さらに、ASIAIRに標準装備のplate solvingが物凄く優秀で、適当にセットしても、その時の画像を解析して位置を割り出し、赤道儀にフィードバックすることで、いとも簡単に精度よく目的の天体を導入してしまいます。

ASIAIRの画像処理が、やはりSharpCapに比べると機能的に劣るのは否めないのですが、もしこのまま開発が進んでSharpCapに匹敵する画像処理機能やLiveStackを持ったら、多分最強になります。


参考: Night Vision

電視観望ではないですが、Night Visionにも少し触れたいと思います。

といっても私は全然詳しいわけではなく、今年の原村で一度覗かせてもらったくらいです。色とかはつかないのですが、完全リアルタイムで淡い星雲を見ることができます。ドブソニアンとかの組み合わせで、さらに感度が出るので、DSO観測にかなり向いていると思われます。

ただし、値段がものすごく高いのと、明るいところで使わないなど、扱いが相当大変なようです。ナイトビジョン自身はものとしては昔からあるものですが、数が出るものでもないので値段がこなれるのがあまり期待できないのが難しいところでしょうか。観望会でお客さんにより気軽にみてもらうという観点からは、電視観望と相通づるものがあるのかと思います。


どんな機材で始める?

最近、電視観望を始めたいが、どんな機材から始めたらいいかわからないという話をちょくちょく聞きます。上で説明したように、いろんな方法があるのですが、
  • 手持ちの機材があるなら、CMOSカメラかRevolution Imagerを買えば比較的簡単に電視観望セットを構築することができると思います。
  • 手持ちの機材がないなら、最初は小口径の短焦点の安価な鏡筒でいいかと思います。
  • その時のカメラはASI224MCかASI385MCでしょうか。カメラ選びは以下のページを参考にしてください。
  • ASI294MCはセンサー面積が大きいのでやはりいいです。予算が許すならこれでしょう。何が違うかというと、広い範囲が一度に見えるので導入が圧倒的に楽です。
  • 自動導入はあった方がいいので、最初はAZ-GTiが安価で現状ではほぼ一択でしょう。もちろん普通の自動導入ができる赤道儀でも全然構いません。
  • あとは適当に余っているPCなどを流用して一度試すことだと思います。
  • ASIAIRは手軽さ、精度など兼ね備えています。画像処理がもう少し良くなればこれが決定打なるかもです。
  • 突き詰めていくと、究極的にはやはりRASAだと思います。RASAの明るさを生かすことで、ごまかしなしの本当にリアルタイムで星雲に色がつきます。α7Sとの組み合わせはある意味最強です。でも敷居もものすごく高いので、相当なマニア向けです。
とまあこんなところですが、参考になりますでしょうか?


今後の発展

今の電視観望の技術だけでも、自分で見て楽しんだり、観望会で実際にお客さんの反応を見たりすると、かなりのインパクトがあるのかと思います。

それでも電視観望はまだ非常に歴史が浅く、今現在もどんどん技術が進んでいます。例えば最近でもQBPを入れると格段に見やすくなるなど、まだまだ工夫の余地がありそうです。センサーの進化にも大きく依存するはずなので、今後も飛躍的に電視観望が発達して観望の中の重要な位置を占めてくるかもしれません。

まとめ

もしちょっと面白そうだなと思った方がいましたら、是非とも始めてみてください。わからないところがあれば、このブログのコメント欄にでも書いてもらえれば、できる限り答えたいと思います。

それでも機材を持っていないゼロからの状態だと、それなりの初期投資が必要となります。どこまで安く実用的に電視観望ができるのか、できたら今度挑戦してみようと思います。


あ、以前電視観望のトラブル解決集を作ったの思い出しました。よかったらどうぞ。(そろそろ一回更新しないと...。)




休日に名古屋に行く用事がありました。


まずはショップ訪問

せっかくの名古屋なので、SCOPIOによって店長さんと少し話しました。話題は「最近若い人来ますか?」というもの。

店長さん曰く「結構来ますよ」とのこと。天文部の学生や、若い社会人のマニアの方も多いみたいです。スターベース名古屋店が閉店になってしまったので、名古屋の天文ショップは本当にここだけになってしまいました。そのせいもあってか、近辺のマニアはもちろん、一般の方も結構来るみたいです。夏が始まる前から秋くらいまでは小・中学生を連れた親子もたくさん来るとか。まだまだ期待が持てそうです。流石に冬はマニアがメインとのこと。

そんな話をしていると、ちょうど「テレビで見たから来ました。」と、小学4年生くらいの男の子を連れた親子が店に入ってきました。名古屋ではSCOPIOは結構テレビで取材されていて、それを見てくる人も多いみたいです。と思っていたら、さらに小学生くらいの子を連れた親子連れと、さらにさらに中学生くらいの子を連れたお母さんが「駐車場ここだけですか?」と言いながら入ってきました。車は3台しか駐めることができません。もう少し居たかったのですが、せっかくきてくれた子を逃すのは惜しいので「あ、私もう出ますよ」と言って空いたスペースに車を置いてもらいました。

滞在時間15分くらいでしょうか。珍しく短かったですが、フレキシブルハンドルのジャンク品を2つ手に入れて満足でした。店長曰く、「あ、いいもの見つけましたね」とのことでした。


名古屋市科学館が面白い

その後、寄ったのが名古屋市科学館です。以前は名古屋に来るたびに子供と来ていたのですが、最近はご無沙汰でした。星を始めてからは2年前に来た以来、多分2度目でしょうか。今回は到着が午後3時半頃と遅かったので、プラネタリウムの券はすべて売り切れでした。プラネタリウムでアンドロメダ銀河とか見ようと思って、星座ビノとさらに双眼鏡もカバンの中に用意してきたので、ちょっと残念でした。

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それでも見所はたくさんあります。今回の注目は5Fの「宇宙のすがた」コーナーにある望遠鏡の内部構造です。まずはタカハシの屈折。上が口径10cm、下が7.6cmと書いてあるので、FC-100とFC76でしょうか。レンズの位置がよくわかります。特に下の方は、レーザーを使ってどうやって光線が焦点に向かっていくかがわかるようになっています。

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上の写真にも少し写っていますが、タカハシの反射とMEADEのシュミカセも同じように丸裸にされています。

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こういった工夫は科学館ならではだと思います。写真だけでは面白さが全然伝わらないので、是非とも名古屋市科学館で実際に見てもらいたいと思います。

もう一つ面白かったのが、トリウムレンズです。昔のレンズで放射性物質を含んでいて、その崩壊過程をγ線センサーで検出しています。他のものと比べて結構頻繁にセンサーが鳴ります。安全性については問題ない距離においてあるはずなので、ここでは議論はしませんが、科学的には目に見えないものを測定するという観点から、非常に面白い展示なのかと思います。ちなみに私も2つ持っています。

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もう一つの目的、科学館で知り合いの方に会うことができました。なんでも毎月観望会を開催しているらしくて、その中で電視観望も試しているとか。最近はASI294MCも手に入れて、名古屋のど真ん中で色々見ているようです。そうか!名古屋でもどれくらい見ることができるのか、早速この日の夜に自分でも試してみようと思いました。


名古屋のヨドバシカメラ

科学館は結局閉館時までいたのですが、その後、せっかく矢場町らへんに来たついでに名古屋のヨドバシカメラに寄っていきました。なんとヨドバシが松坂屋の中にあるんですよ。しかも3フロア占めています。時代も変わったものです。望遠鏡を見ていきましたが、VixenとMEADEが置いてありました。びっくりしたのはミニポルタがまだ置いてあること。残念ながら展示してあるのは可動部が壊れていましたが、まだ在庫あるのでしょうか、普通に買えるみたいでした。

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ただやはり、周辺パーツはほとんど置いていないので、これなら富山のケーズデンキの方が遥かにマシな気がしました。東京のヨドバシはまだ色々置いてあるので流石です。

でもホントに、天体望遠鏡ってどこで買えばいいのでしょうか?一般の人にとっては専門のショップは敷居が高い気もしますし、やはりネット?できれば初心者ほど、きちんと見て、アドバイスを聞いて買った方がいいと思います。


初めてのカメラ雑誌

せっかく都会に来たので、栄方面まで歩いて、ついでにMARUZEN(名古屋有数の大型の本屋)に寄りました。ここでやっと話題のアサヒカメラの9月号を手に入れることができました。富山の本屋では軒並み売り切れでした。例の自然画のレタッチしすぎの件です。ちなみにカメラ雑誌を買ったのはこれが初めてです。

私はそもそも、一眼レフカメラで自然どころか、明るいところでほとんど撮ったことがない、初心者にも入門者にもならないようなズブの素人です。記事をただ読むことくらいしかできません。それでもあえて一言だけ言うなら「手に入る技術は目一杯試すべき」なのかと思います。そこで不満が出てきたときに全く新しい技術を生み出すようなすごい人が出てくるはずです。自然を自然らしくと言うのは理解できますが、そのために技術の進化ををさえぎるような、技術を使わないことを記事の中で推奨するのはどうかと思います。ハードウェアというカメラを作る努力と、撮影時に工夫したり苦労したりすることと、画像処理アルゴリズムを独自で組むような姿勢に、なんら変わりはないと思います。星なんかレタッチの究極みたいなもんですからね。


やっと電視観望

というわけでここまでが前書きで、やっと今回の記事のメインに入ります。今回のテーマは「都会の光害下で、QBPをつかった場合に電視観望は実用になるのか?」です。前回の記事で、満月のときに富山でQBPを使って電視観望試したのですが、明るい時と言ってもそれでも田舎の富山。都会の光害には遠く及びません。富山駅前でも同様のことをQBPで試したので、感触がもてそうなことはわかりますが、やはり実際に都会で試してみたくなります。場所はだんだん定番になってきた、名城公園のスターバックの横の、階段の上の踊り場です。

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今年の初めにここで同じように電視観望を試したのですが、その時はQBPを途中から入れたのですが、画面半分にカブリがあるとか、あまりうまくいっていませんでした。今回はそのリベンジも兼ねています。現場では向こうに名古屋城が見えています。

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名古屋での電視観望の見え方 with QBP

さて、まずは手始めにM57。QBPの威力でしょう、全く問題なく見えています。
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次にM27。こちらも都会の光害地とは思えないくらい綺麗に見えています。輝度のある星雲は全く問題ないですね。

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と、ここで曇ってきてしまったのでちょっと休憩。スターバックスに大好きな抹茶クリームフラペチーノを買いに行きました。スターバックスにすぐに行ける観望会なんて、結構すごいと思うのですがどうでしょうか?そんな便利なところで星雲まで見えるのです。

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ちょっと脱線、月と雲

月も上ってきました。雲がかかっていますが、その雲と月とのコントラストがすごく綺麗で、これを全部表現するのにはダイナミックレンジが全然足りないのかと。

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名古屋でもここまで見える

しばらく待っていると、天頂部分が晴れてきました。さすがに富山と比べると多少厳しいですが、比較のために北アメリカ星雲です。

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まあ、名古屋の繁華街の近くの公園でこれだけ見えれば十分ではないかと思います。

あとこれらも比較のための網状星雲と三日月星雲です。とりあえず形がわかるくらいは十分に見えています。

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Twitterで呼びかけしていた22時すぎ、明日の仕事があるのでここで終わりにし、片付けの後22時半頃に実家へと向かいました。


まとめと感想

もう十分満足しました。確かに富山と名古屋では差があることはわかりましたが、QBPの威力はすごいです。名古屋でこれだけ見えれば、あとは東京でどれくらい見えるかですね。東京の本当の繁華街でどれくらい見えるかとか、一度試してみたいです。

ちなみにこの日の一人観望会、直前にTwitterで声をかけて反応は上々だったのですが、さすがに平日前の休日だったので現場には誰も現れてくれませんでした。それはまだいいのですが、普通の人もだーれもいません。せっかく綺麗に見えたので、少しくらい見て欲したったです。残念。


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