ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > Advanced VX

赤道儀のセッティングの記事のコメント欄で延々と続いていた、Advanced VXの時刻の保持の謎がやっと解けました。

わかってしまえば簡単なのですが、謎が解けるまでにいろんなことをやりました。このブログは自分の天文関連の日記のような役割もあるので、読んでくださる方にはまためんどくさいことをと思われるかもしれませんが、一応失敗したことも含めて書いておきます。

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ハンドコントローラーの内部。
基板上に内蔵電池らしきものは見当たりません。(後述)


Celestron Advanced VXのアップデート手順

時刻の保持とは関係ないかもしれませんが、まずはファームウェアのアップデートです。はっきり言ってこの手順も分かりにくいですね。自己責任らしいのですが、他の方にも役立つかもしれないので、とりあえず試した順に書いておきます。
  1. 機器の接続ですが、ハンドコントローラー (NexStar+、以下コントローラー) と赤道儀本体は繋いでおいて、電源もいれておきます。コントローラーとPCの接続はRS232Cです。最近のPCでRS232Cがついているものは稀なので、USB-RS232C変換ケーブルなどを購入してつなぎます。RS232C端子とコントローラーは、赤道儀を買った時についてくる付属のRS232C-4pinモジュラー変換ケーブルで接続します。私はこのケーブルの存在を完全に忘れていて、過去に改めて買おうと思ったことがあるので注意が必要です。持っていないという方は箱の中を探してみてください。最初から付属しています。
  2. 一方ソフトの方ですが、CelestronのサイトからSUPPORT -> Manuals & Softwareに進み、Drivers & Softwareのページに行きます。その後たくさんあるソフトの中から適したものを選ばなければいけまえん。Hand Control Firmware Updatesとか、Motor Control Firmware Updatesとかそれらしい名前があるのですが、これらは古い機種用のアップデートツールみたいです。Advanced VXの場合は、Celestron Firmware Manager (CFM)を選びます。私がダウンロードしたのは2.3.7111というバージョンでした。
  3. ダウンロードしたzipファイルを解凍して、その中のCFM.jarファイルをダブルクリックします。あ、Windowsでしか動かないのと(追記: あれ?JAVAだから機種依存しない?未確認です。)、あと、JAVAがインストールされていないと実行できませんので、必ずJAVA(JRE)をインストールしておきます。
  4. ここまでできたら、あとは勝手にCFMが機器を認識してくれるはずです。最初ちょっとわかりにくかったのですが、コントローラーと赤道儀本体の「2つ」の機器が認識されたと出るはずです。一度のアップデートで、コントローラーと赤道儀本体の二つともアップデートしてくれます。
  5. うまく認識されたら、Updateボタンが押せるようになるはずなので、押します。12個のファイルをアップデートして終了です。
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アップデート時の様子。
この写真を撮っているときにケーブルを触ってしまい、
この後、失敗します。

ところがここでポカをやらかしました。12個目のファイルをアップデートしている最中にケーブルが外れてしまったのです。アップデートは当然停止、しかも赤道儀を立ち上げると「Bootloader invalid pkg: 0002」とかいうエラーが出て何もできなくなります。ここから迷走し出したのですが、Celestron Firmware Managerで機器が認識できない時に出る解説の通り、一旦赤道儀の電源を切り、コントローラーの左下のボタンと、すぐ上のMENUボタンを同時に押して、立ち上げなおします。「BOOT LOADER Serial User Keyoad Entry」とでて、本来これでファームウェアが壊れていても接続できる状態になっているはずなのですがなにをどうやっても接続できません。ファームが壊れて接続自身ができなくなったと思い込んでしまいました。

この段階で小一時間格闘して、別のPCを持ってきてやっと原因が判明しました。COMポートの自動選択がうまくいかなかったようです。最初のPCにはCOMポートが複数あり、うまくいった時は自動で赤道が繋がったものを見つけ出したようですが、うまくいかなくなった時はコントローラーが繋がっていないCOMポートを見ていて、その結果繋がらないというメッセージを繰り返していたというわけです。別のPCはCOMポートが一つしかなくて間違えようがなかったということです。Celestron Firmware Manager はCOMポートの選択を任意にできないようなので注意が必要です。

とにかく、ケーブルの接続に注意して再びアップデート。今度はうまく行きました。バージョンを見てみると
  • HC:GEM 5.28.5184
  • MC:7.11.4244
から
  • HC:GEM 5.29.7137
  • MC:7.15.8270
にアップデートされていました。 HCはハンドコントローラーのこと、MCがモーターコントローラーで赤道儀のことを表しているとやっと理解できました。

ファームウェアは日本語が含まれるものと含まれないもの2種類あるのは、以前CGEMIIをアップデートした時のブログのコメントでの情報で知っていましたが、今回は自動的に日本語が含まれるファームが適用されました。
 
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時刻の保持

やっと今回のメイン記事に当たるのですが、ここでも結構手こずりました。無駄なことも含まれてますが、やったことを書いておきます。

  1. アップデート後、一旦アラインメントで時刻を設定し、再度立ち上げなおして時刻が保持されるか確認しましたが、時刻は最初に設定した時のままで進まず。
  2. アップデート時に工場出荷時にされますが、りっくんさんがされたようにあえて再度工場出荷時にリセット。それでも同じで、立ち上げた時に設定した時刻が残るのみです。
  3. いろいろ触っていて一つ気づきました。「MENU」ボタンを押して上下ボタンを適当に押すと出てくる「時刻・場所の表示」です。これを押すと「位置を記憶」というのが出てきます。ここでEnterを押してやると、その時の時刻が保存されるようです。でも時刻が進むことはありません。でも保存時刻をコントロールできることはこの時点でわかりました。
  4. 半分諦めかけて、昼食を食べ買い物に行って帰ってきてから、後片付けの前に最後にと思って「advanced vx time keep」で検索してCloudy nightsでやっと答えが見つかりました。「MENU」ボタン -> ユーティリティー -> RTCのON/OFFです。RTCとはReal Time Clockとのことで、これをオンにすると内部時計が電源を切っても進み出します。
  5. でもこれもなかなか曲者で、時刻を合わせても、なぜかRTCをオンにすると「現地時刻」が30分くらいずれてしまいます。諦めずに、再度工場出荷時にリセットし、最初の時刻を合わせ、RTCをオンにし、30分くらいのズレが出ても「MENU」ボタン -> スコープセットアップ -> 時刻・場所の設定で時刻を合わせなおして、やっと現地時刻が正確な時間になりました。
  6. 確認方法は、赤道儀のスイッチを入れた時に、これまで時刻を合わせていたところで突然場所の設定が表示されてしまいます。ここでビビらずに、下ボタンを押すと現地時刻が表示され、しかも時間がリアルタイムで進んでいるのが分かります。

幾つか不具合や謎らしきものも見受けられました。
  • ユーティリティー -> スコープセットアップ -> 時刻・場所の設定でtoyamaを選択してもなぜかakitaになってしまう。何度かやったらやっとtoyamaになりました。
  • Cloudy Nightsによると、しかも電池(CR2032)もあると。前回ネジを外してカバーを取って基板を見ても見つからなかったので、今一度、裏表も含めてきちんと見てもやはり見当たりません。2032なら大きいのですぐに見えるはずなのですが、不思議です。
  • 内部電池が見えないので、まさかと思って一旦ハンドコントローラーも赤道儀も電源ケーブルも全て外してしばらくしてから再接続し、再起動しましたが、時間は保持しているようです。何かどこかに時間を保持する電力があるはずなのですが、今のところ不明です。(追記: Twitterで情報がありました。電池は赤道儀本体側にあるとのことです。)

とはいえ、やっとAdvanced VXの時刻保持の謎が解けました。結構長かったです。知っている人にとってはあたりまえのことかもしれませんが、りっくんさんもkiharaさんも私もそうだったのですが、このことに気づいていない人は意外にたくさんいるのかと思います。

外は大雪。こういったことに時間をかけられるのは、なかなか星の出ない北陸の冬だからこそですね。
 

赤道儀のセッティングの続きを少しだけ。初期アランメントで一発目に度くらいの精度で入ってくるかという話です。比較するのは、前回の記事で評価した

  • 水平インデックス法
  • 鏡筒水平法

の2通りの方法で実際どれくらいの誤差になりそうかというのを評価してみます。今回も極軸は十分な精度であっているとの仮定が入っています。あ、便宜上名前は勝手につけてしまいました。全然正式な名前ではありませんのでご了承ください。


水平インデックス法

1. 三脚の脚の長さででる水平度の誤差:
水準器を見ながら、最下部の脚の開きがざっくり1mくらいの幅で、手で3mmくらいの精度の脚の長さを合わせるのはできそうなので、
0.003[m] / 1[m] x 180[deg] / pi[rad] ~ 0.2 [deg] 

2. AVXの赤経体の直径が10cm(半径5cm)くらい、インデックスマークの幅が2mmくらいで半分の半分くらい幅の幅では少なくとも合わせられるとして、
(0.002[m] / 4) / 0.05[m] x 180[deg] / pi[rad] ~ 0.57[deg] 

3. 同じくAVXの赤緯体の直径が10cm(半径5cm)くらい、インデックスマークの幅が2mmくらいで半分の半分くらい幅の幅では少なくとも合わせられるとして、
(0.002[m] / 4) / 0.05[m] x 180[deg] / pi[rad] ~ 0.57[deg] 

4. 時刻の精度ですが、実際に時刻を打ち込んでからいつが赤道儀が動き出す最初かあまり確定していないのですが、30秒くらいの精度では合うとして、
0.5[min] / 60[min] / 24[h] x 360[deg] ~ 0.125[deg]


誤差は1から4までの2乗和のルートくらいになり、

sqrt(0.2^2 + 0.57^2 + 0.57^2 + 0.125^2) ~ 0.84[deg]

となります。この精度がどれくらいの意味を持つかというと、基本的にそのまま赤道儀の初期アラインメントの一発目がどれくらい中心からずれるかを示します。
  • 典型的な光学ファインダーの視野が、例えばVixenで7倍、50mmで実視界7度とのことなので、十分ファインダーには入るはずです。
  • 電子ファインダーで例えば、焦点距離50mm、1.8インチのASI178MCだと8度x6度と十分すぎる画角です。
  • 例えばFS-60Qで焦点距離600mmの鏡筒でフォーサーズサイズのASI294MCだと1.6x1.2度なので、まあなんとか入ってくるくらいです。
  • 例えばFS-60CBで焦点距離355mmの鏡筒で1/3インチのASI224MCだと0.8x0.6度くらいなので、ちょっと厳しいですね。


鏡筒水平法

一方鏡筒水平法では、誤差は結構変わってくるはずです。基本的に、三脚の脚の長さ調整の誤差と赤経のインデックスマークの誤差が、鏡筒においた水準器の精度に置き換わります。水準器の誤差はホームセンターで普通に売っている簡易なものでも簡単に0.1度くらいは出るようです。赤緯のインデックスマークの誤差は同じとします。全部の誤差を考えると

sqrt(0.1^2 + 0.57^2 + 0.125^2) ~ 0.59[deg]

くらいで、 
  • 光学ファインダーで電子ファインダーでも当然一発目で入ってきて、
  • 焦点距離600mmの鏡筒でフォーサーズサイズセンサーだとかなり真ん中に来て、
  • 焦点距離355mmの鏡筒で1/3インチセンサーでもなんとかギリギリ入ってくるくらいです。

確かにこのあいだの実際のテストでも、何度かやってみても鏡筒水平法の方が真ん中近くに来ていたので、あながち間違った見積もりでもないでしょう。

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水平インデックス法: 視野のギリギリで入るくらいです。入らない時もあります。

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鏡筒水平法: だいぶ真ん中に寄ります。視野に入らないことはまずありあません。

あと、鏡筒の光軸自身が赤道儀に取り付けたアリガタの向きからずれれている誤差は今回入れていません。これがずれていると、上の誤差以上のずれが出るかもしれませんが、見た目でそこそこ合わせているならそれほど大きくずれることはないでしょう。私は極軸を合わせた時に、カメラの視野の真ん中が極軸になるようにある程度光軸を合わせてあるので、実際に上の誤差よりも十分小さい範囲で合わせこまれていることになります。これはSharpCapで極軸調整した際に一回合わせてしまえば、それ以降アリミゾと鏡筒を外したりしなければあまりずれないので、一度はきちんと合わせておいてもいいかと思います。


いずれにせよ、水平インデックス法に変えて、鏡筒水平法にせよ、ファインダーレベルで一発目に入らないのはさすがに論外な誤差と言えるので、何か根本的におかしいと思っていいはずです。例えばりっくんさんは、AVXの設定を工場出荷時に戻したら、少なくとも一発目でファインダーに入るようになったというので、あまりに状況がおかしかったら他の原因を考えるのも解決につながるかもしれません。

先々週の赤道儀のセッティングの記事で、水平出しのことが議論になりました。コメントがいくつかあったのですが、かんたろうさんとその後もメールのやり取りをして、白熱した議論となりました。以後の議論では赤道儀の極軸は十分な精度であっていて、また、鏡筒も極軸と平行に設置されるものと仮定しています。

突き詰めていくと、今回の論点は、

  • Celestronの赤道儀Advanced VXで、ワンスターアラインメントでの初期アラインメントの時に、水平出しをしていることで、きちんと視野に入るかな入らないかに影響があるか?

というものになります。私は水平出しをしていなければ入らないという主張で、かんたろうさんは必ずしも水平出しをしていなくても、赤緯体が天頂方向を向いていれば、きちんと視野に入るというものです。

もう少し噛み砕いていうと、私はいつも赤道儀の水平出しをしてからインデックスマークを合わせるので、赤緯体は基本的に誤差の範囲内で天頂方向を向きます。かんたろうさんのは赤道儀の水平を出していなくても、赤緯体を天頂方向に向ければそれでよくて、その場合は赤経のインデックスマークが(水8兵からずれた分だけ)ずれた状態となるということです。赤緯体を天頂方向に向ける方法は、赤緯方向を90度傾けて鏡筒を東西に向ける。鏡筒の上に水準器を乗せて、赤経を調整して水平を出せば、赤緯体は天頂方向を向くというものです。

議論は平行線で、やはり実際に確かめなければ納得できなかったので、久しぶりに晴れた今日、試してみみました。

まずは、自分の方法できちんとワンスターアラインメントで入ることで、機器に異常がないかどうか確かめます。三脚についた水準器で赤道儀の水平を出し、

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SharpCapで極軸を1分角以下の精度であわせて、

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ワンスターアラインメントで手近なカペラを導入します。まあいつもやっているのでわかっているのですが、結果はきちんと視野の中に入ってきて、

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左がASI178に50mmのレンズをつけた電子ファインダー、右がASI294MCを600mmのFS-60Qに取り付けた鏡筒の視野です。両方とも明るいのがカペラです。電子ファインダー、鏡筒の視野ともに、赤いクロスの交点は一致しています。すなわち、右の鏡筒でクロス点にきているなら、左の電子ファインダーでもクロス点にきます。実際の導入はファインダーでざっくり0.8度くらい中心からずれた位置で導入されています。水平出しやインデックスマークの誤差もこれくらいのオーダーなので、特におかしくない精度です。機器に特に異常もないと思われます。


次に、三脚の脚の一本を数cm伸ばします。

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三脚につけた水準器はこの時点で全く水平を示していません。

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この状態で極軸をSharpCapを使って再び1分角以内の精度で合わせ直します。

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ここから、赤緯を90度程度傾けて、鏡筒に水準器を乗せて、赤経を調整してその水準器が水平になるようにします。

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この時点で赤緯体は天頂方向を向き、赤経のインデックスマークは当然ずれます。

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90度傾けた赤緯を戻して、赤緯のインデックスマークを合わせて準備完了です。この状態でワンスターアラインメントを実行します。

私の説が正しければ天体は導入できない、かんたろうさんが正しければ天体は導入できることとなります。果たして結果は...



なんと、見事カペラが導入されました。

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確かめるべく、ベテルギウス、リゲルなどもそのまま導入してみましたが、きちんと導入されます。これは完全に私の負けです。

さてここでやっと、なんできちんと導入されたのか考えました。答えはすぐにわかりました。私はワンスターアランメント(2スターアラインメントの最初でも同じです)のアルゴリズムは「赤道儀の水平」を仮定していると思い込んでいたのですが、実際にはアルゴリズムは「赤緯体が天頂を向いている」ということを仮定していたわけです。落ち着いてよく考えてみると確かに、水平を仮定するよりも赤緯体が天頂を向いていると仮定する方が、より条件が緩く、かつこれで十分だということがわかります。

すぐにかんたろうさんに電話して、私が間違っていたことを素直に伝えました。最後まで意見を変えなかった頑固な私に、ずっと付き合って頂いたかんたろうさん、どうもありがとうございました。改めてお礼を述べさせていただきます。


というわけで、赤道儀の初期アラインメントで一発目に天体を視野に入れるためには、必ずしも水平は必要ないと訂正しておきます。ただし赤緯体を天頂に向ける必要があることは変わりありません。かんたろうさんの方法を使ってインデックスはずれた状態で赤緯体を天頂に向けるもよし、赤道儀のの水平を出してインデックスを合わせて赤緯体を天頂に向けるもよしです。

ちなみに、言うまでもないかもしれませんが、「初期アラインメントで一発目」にさえこだわらなければ、水平も出す必要はないですし、赤緯体を天頂に向ける必要はありません。2スターアラインメント以上でマニュアルで一つづつ丁寧に導入していけば、自動導入可能な状態までもっていけます。


とにかくやっと納得しました。やはり自分で実際に試すのが一番わかりやすいです。かんたろうさんはじめ、コメントをくれたせろおさん、りっくんさん、いろいろお騒がせして申し訳ありませんでした。

ブログのコメントで赤道儀のセッティングについて議論があったので、少しまとめておきます。


目的

赤道儀の設定で何が重要かを考えてみる。
具体的には極軸を取るだけでいいのか、赤道儀の水平を取るのは必要なのかを考えます。


検討すべき状況

自分が地表のある経度、ある緯度、ある高度にいるとします。その位置において赤道儀を設置することを考えます。


考えるべき自由度の確認

極軸の向きで2自由度、赤経の初期位置の不定性で1自由度、同じく、赤緯の初期位置の不定性で1自由度の、計4自由度が考えられます。 


さて、検討を始めます。

極軸をきちんと合わせた状態ではどうなるか?

赤道儀の極軸調整だけして、水平とかは全然とれていない場合は何ができて何ができないのでしょうか?実はマニュアルで天体を導入して、あとは自動追尾するだけなら、これで十分です。赤道儀の水平が出ていようが出ていまいが、関係ありません。赤経、赤緯のクランプを緩めるなり、微動であわせるなりしして、マニュアルでターゲットの天体さえ導入さえすれば、あとは自動で追尾していきます。

自動追尾で時間とともに天体がずれていくのは別の問題で
  • 極軸あわせの精度が悪い
  • モーターの回転精度が日周変化とあっていないなど
  • ピリオディックモーションもこの範疇
などが原因です。いずれにせよ、極軸さえ合わせれば、自動追尾はできます。


自動導入は?

極軸をとるだけでは自動導入まで考えると不十分でしょう。では水平を取ればいいのか?他に気をつけることはないのか?
  1. まず初期アラインメントのことを考えてみます。簡単のために、赤道儀の極軸調整は理想的に取れていて、赤経軸は正しく極軸に一致していると仮定します。
  2. 各メーカーの初期アライメントの詳しいアルゴリズムはよくわかりませんが、普通にプログラミングのことを考えると、何かを仮定しなければいけません。ぱっと考えて、最初はまず鏡筒がきちんと極軸を向いているということを仮定するでしょう。
  3. これをもう少し分解すると、初期アラインメントアルゴリズムは(極軸は理想的にあっているとするので) A. 赤緯の初期位置(クランプを緩めて赤緯の回転体の矢印を二つを合わせて、きちんと北向き(極軸方向)にとるということ)はあっていると仮定する(かんたろうさんとの議論で今回の記事をここから何箇所か訂正しました)でしょうしかもしれませんし、さらにB. 赤経の初期位置(クランプを緩めて赤経の回転体の矢印を二つを合わせて、きちんと地面に対し垂直に向けるということ)もあっていると仮定するでしょうかもしれません。さらに、C. 赤道儀は水平に設置されていることも仮定するでしょうかもしれません。
  4. でもBとCは自由度としては同じことを言っていて、例え水平がずれていても、(極軸は理想的と仮定しているので)赤経の矢印合わせのところで少しずらして補正してやれば同じことです。なので、本質的には自由度はAとBCを合わせた2つになります。セレストロンの実際のアルゴリズムは赤緯体が天頂方向を向いていることだけを仮定しています。なので、赤緯体が天頂を向いていれさえすれば、必ずしも水平が取れている必要はありません。ただし、その場合赤経の矢印もずれることになります。
  5. でもこのことは、実際の初期アラインメント時には正しくないです。たとえ赤緯体がきちんと真上を向くように赤経を合わせてあっても、初期アラインメントプログラムは「水平が取れている状態できちんと赤経の0度が真上を向いているのか、水平がずれていて赤経の0度も真上から少しずれているのに赤緯体が真上を向いているか」を知る手段がないからです。なので普通にプログラムを組むことを考えた場合、赤経が0度が上を向いていて、かつ水平も取れている状態を仮定するでしょう。
  6. なので、一発目の導入をきちんと視野に入れたい場合には、赤緯体を天頂に向けるか、水平を取って赤経、赤緯はきちんと矢印を合わせたほうがいいというわけです。



実際の導入手順

上記のことより、実際の赤道儀のセッティングのしかたは例えば以下のような手順が考えられるでしょう。ここではコメントにあったAdvanced VXを例にとって考えます。

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  1. 初期アラインメントで一発目からある程度天体を導入したい場合は、赤緯体を天頂方向に向ける必要があります。インデックスマークを使う場合は水平を出す必要があります(赤緯体を天頂に向ける方法が他にあるなら、水平にこだわる必要はありません)。手持ちのAdvanced VXには水準器がついていないので、ホームセンターで小さな全方向の水準器を買ってきて、上の写真のようにエポキシ接着剤で三脚に取り付けました。
  2. 最初に水準器を取り付ける時の水平は、三脚と赤道儀の間に板を挟み、そこに水準器を乗せて足の長さを調整して水平を出し、その足の長さを保ったまま、水準器を三脚の上に移動し、水準器が水平を示すように接着剤でつけました。ここまでが事前準備です。
  3. ここからが、毎回の設置時の話です。初期アラインメントの前に、極軸合わせですが、さらにその前に、毎回必ず三脚の水準器で水平を出します。
  4. 水平を出しておけば、赤道儀を設置する場所の緯度が大きく変わらない限り、北極星の高さはほとんど狂わないので、赤道儀の下の横の2本のネジでYawだけを調整して北極星を視野中心に入れます。私の場合、鏡筒(600mmとか)につけたASI294MCをSharpCapで見た画面のだいたい真ん中くらいに北極星が入るようにします。
  5. この状態でSharpCapの極軸調整で1分角程度まで合わせこみます。
  6. その後、赤道儀の電源を入れ、赤経と赤緯の矢印マークをできるだけきちんとモーターで合わせてから初期アラインメントを始めます。
  7. 基本的に水平出しと、極軸合わせこみでほとんど一発目で、鏡筒につけたカメラのSharpCapの画面の中に入ってきます。
  8. ASI224MCの時はセンサー面積が小さく流石に600mmだと一発で入らない時もあったので、50mmのレンズにASI224をつけて電子ファイダーで一発目の導入を補助していましたが、それでも二発目は十分に600mm+ASI224で入ってきます。

実は最初に書いてませんでしたが、鏡筒を赤緯体に取り付ける時にきちんと鏡筒が赤緯軸に対して垂直な面内に存在するという仮定もしています。この仮定が破られている状況とは、例えば極軸がきちんとあっていて、赤緯が0度を向いているのに、鏡筒の頭が下がっていて全然極軸方向を向いていないなどです。アリガタやアリミゾの精度が悪かったり、アリガタに対して斜めに鏡筒を取り付けてしまったときに起こります。上記設定手順を試して、それでも初期アラインメントの一発目に目標天体が入らない時は、鏡筒の取付時のずれを見直してみるといいかもしれません。

というわけで、本当は最初に説明した極軸2自由度、赤経、赤緯の不定性2自由度、さらに赤緯体に対する鏡筒の向きの2自由度の計6自由度があって(厳密にいうと、赤緯の不定性と鏡筒の向きのYaw方向は同じ自由度なので計5つ)、極軸を合わせることで2自由度減り、残り4(厳密には3)自由度を求める必要があります。初期アラインメントの一度の導入で2自由度決まるので、2スターアラインメントで一応4自由度が求まるはずです。3スター以上だと、極軸のズレまでわかると思うのですが、そのアルゴリズムはどうやっているのかあまり想像できません。結構大変そうです。

また、1スターアラインメントだと、原理的に自由度が足りないので、どこかが合っていると仮定せざるを得ません。なので、簡易アラインメントと考えるべきでしょう。でも上記方法で赤道儀を設置すると、1スターアラインメントでも十分実用的になります。

最近のアルゴリズムは相当優秀なので、一発目に導入したいという要求を外してしまえば、2スターアラインメント以上を使えば、多少赤緯体が天頂からずれていても大丈夫ですし、水平もこだわる必要はないですし、矢印も多少ずれていても構いません。下手をすると多少極軸がずれてしまっていても補正しながら追尾することも可能かもしれません。

もっと言うと、赤道儀下部の極軸合わせのPitchとYawの押しネジのところにモーターをつけて、最近はやりのPlate Solvingなんかまで駆使したら、本当にポンと置いて全自動で極軸を取って、アランメント完了まで全自動でできそうな気がします。経緯台など、簡易的なものではすでに実現されつつありますが、元気のある中国メーカーとかが、撮影に耐えられるくらいの安定したレベルのものを赤道儀で作ってくれませんかね?


毎度長々と書いてしまってすみません。とりあえずパッと考えたことを書いただけなので間違ったことを言っているかもしれません。何かおかしなところがあったらコメントなどで指摘していただけると嬉しいです。 ->かんたろうさんのコメントとその後の議論で、初出の記事からいくつか訂正しました。



 

アンタレス付近を撮影した時に気になっていたAdvanced VXのガタつきですが、やっと原因がわかって修理が完了しました。気づいてしまえば簡単で、結構一般的に有用なことだと思うのですが、多分ほとんどのユーザーは気づいていないと思うので情報をシェアしておきます。

まず問題点の確認ですが、赤経の回転体がガタつきます。0.1度もないくらいでしょうか。ほんの少しのガタつきですが、撮影時に強い風が吹いていたりすると星像が一方向にブレてしまいます。ガタつく方向は回転方向のみ。軸方向に引き抜こうとしても、軸方向から傾けようとしてもピクリともしないくらい全く問題はありません。このことから、回転体と枠との間に隙間があるとか、何か詰まっているようなことではないことが推測されます。

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上の写真に写っている金色の二つのギヤに遊びはありますが、手でこのギヤを回してみると、回転体自身はきちんとギヤの回転に応じて素直に回転します。このギヤによる回転とは独立に回転方向にガタがあることが問題なようです。

以前シャフトが折れた時にウォームホイールからはずれてしまって、それを無理やりネジで止めているだけなので、今でも簡単に取り外して内部を見ることができます。

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色々いじくり回していて気づいたのですが、ウォームホイール部のねじ止めを完全にせず少し緩んでいる時に、ウォームホイールをウォームギヤ側に押し付けるとガタが小さくなり、ウォームホイールをウォームギヤから離す方向に傾けるとガタが大きくなることがわかりました。これは大きなヒントでした。ということは、きちんとネジを締めた状態でウォームホイールとウォームギヤの相対位置が近づく方向になるようになんとか設定してやればいいということになります。

ところがここから少し苦労しました。全然調整機構が見つからないのです。無理やり曲げたりするのは流石におかしいと思い、外れるカバーは外し、外せるネジは外していくと、奥の方の非常に見にくところにネジがあるのを見つけました。

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写真の真ん中に見えるのがネジですが、素直にアクセスできなさそうです。

最初、このネジにアクセスするのに写真に写っているオレンジ色の回転部分を外す必要があるかと思ったのですが、よくよく見ると、このネジにアクセスする通り道が反対側にあることに気づきました。ただしちょっと長めのレンチが必要になります。また、このネジがかなり固く締めてあるので、私はL字型のレンチをペンチで挟んでトルクを大きくしてやっと緩めることができました。

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先ほどのネジにアクセスできるように裏側に切り欠きがあります。

ネジが緩んだのを確認して、モーター側(ものすごく外しにくいですが、コの字型のプラスチックのカバーもあらかじめ外しておいた方が力が入りやすいかもしれません。)を押してウォームギヤをウォームホイールに押し付けるようにします。ある程度押さえてガタがなくなったことを確認してからネジを締めます。ネジを締めた後に再びガタがないことを確認してやっと完了です。

このガタつきのためだけに今回も合わせて多分もう5回くらい分解しています。なかなか原因までたどり着けなかったのですが直って良かったです。まだまだ現役で使えそうです。


ゴールデンウィークもその前後も、忙しかったり、時間があると天気が悪かったりで全然星を見ていません。先週末の金曜日の午後、晴天でしかも久しぶりに時間が取れそう。ウキウキして準備をしようとしていたら、なんと夕方にドン曇りです。GPVでもずっと曇りの予想。一度は諦めたのですが、19時過ぎ頃になってちょっと薄曇りのところも出てきたので、ダメ元でもいいやと思い立って、久しぶりに娘のNatsuを誘って牛岳に行きました。雪が溶けた後、今季では初めてです。20時半頃には着いたでしょうか。でもついさっきまで曇っていたせいか、金曜なのに人っ子一人いません。それでも空は、うっすら雲はかかっていましたが、星はそこそこ見えていました。ただ、撮影できるほどではないので早々に切り上げて、以前目をつけていた富山の南の県境付近まで行ってみました。

車から降りると、なんとGPVの予報が大外れで空一面の星です。狭い道で、スペースはあまりありませんが、ちょうどそこだけ山が開けていて、360度そこそこ見ることができます。さすがに真北だけは富山の明かりでちょっと厳しいですが、北極星の上あたりからは十分に暗くて撮影にも支障なさそうです。まだ22時過ぎで時間もあったので、狭いスペースながら撮影を開始しました。今日の狙いはアンタレス付近です。あの赤、青、黄色の綺麗な三色を一度撮影してみたかったのです。準備を始める頃にちょうどアンタレスが山の上からのぼり始めていました。

アンタレス付近を全て入れようとするとかなり広域なので、FS-60CB状態にして焦点距離を短くします。撮影用にフラットナーをつけて焦点距離370mmとし、フルサイズの6Dで撮影しました。本当はレデューサーがあるといいのですが、まだそこまで予算が回っていなくて未購入です。いつか手に入れたいです。

さて、いつものように極軸からピント合わせ、ガイド開始と、準備も整ったのですが、一つだけ問題がありました。風がものすごく強いのです。車の中にいてもゴーゴーと風の音が聞こえます。それでもまあ仕方ないと撮影を開始しました。ISO3200で3分露光です。23時半くらいから、午前2時くらいまで、結構な枚数をとりました。が、後で画像を見ると、やはり風のせいでかなりぶれています。星像がまともなのは27枚撮って11枚でしたが、さすがにこれだとわずか30分ちょいなので、もう少しかろうじて使えそうな6枚ものを加えて仕上げたのが以下です。

light_BINNING_1_integration_DBE_color_stretch_PS2_cut
富山県富山市伏木, 2018年5月11日23時29分
FS-60CB + flattner + Advanced VX赤道儀
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出3分x17枚 総露出51分
f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
PixInsight、Photoshop CCで画像処理


それでも合計高々50分と短い時間なので、さすがに色を出すのが難しく、無理して色を出すとどうしても上のようにノイジーになってしまっています。特に赤を出すのが難しい。フィルターとか使うべきなのでしょうか?また、星像が伸びているものも加えたので、真円からずれてしまっています。本来、数時間くらいはかけていい領域です。いつかリベンジしたいと思います。(追記: 次の週の平日、早速リベンジしました。)

ちなみに、失敗した画像をよく見ると、どれもある一方向だけに一瞬だけぶれているので、どうやら赤道儀の赤経方向に少しガタがあるのではと疑いました。次の日調べて見ると、やはり赤経方向にカタカタします。これがなければ多少風が吹いていてももっと救えたはずなのに、非常に残念です。赤道儀は後日分解して見直してみます。

wind



とりあえず初めての場所でしたが、ここは自宅から20分くらいでとても便利なので、これからも気軽に来ることができそうです。撮影を終えて空を見上げると、天の川が綺麗に見えていました。
 

最近便利と思っている細かいテクニックです。赤道儀の修理ついでに紹介します。

どちらも100円ショップのアイテムを使ったものですが、一つはマジックテープの利用です。大きめの粘着テープタイプのマジックテープを赤道儀の三脚の脚に貼ってしまいます。Advanced VXの三脚は円筒形なのですが、大きめのテープタイプものなら多少曲率があっても貼ってしまえばきちんとものを固定することができます。私はStick PCを使っているので、Stick PCの裏面と、必要なバッテリーのおもて面と裏面に全部貼ってしまいます。こうすることで亀の子状態で積み上げることができます。曲がった面につけることになるのですが、3段くらいは余裕です。

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その際、土台側をどちらのマジックテープにするかを一旦決めて、それ以降そのルールで貼っておくといいです。私は土台側がフック側、くっつけたいものの裏面が網状の引っかかる側です。

もともとStick PCやバッテリーは袋に入れてぶら下げておいたりしたのですが、袋をひっかけるところがあまり無くて苦労したり、ぶら下げた袋が風で揺れてりして苦労していました。しかもケーブルの長さが限られているので、結構上にぶら下げなくてはならなかったのが難しかったりしたのですが、マジックテープ方式はかなり上の方に付けられる上に、思ったより安定しているので相当便利です。

 今回BKP200についているフォーカサーのコントローラーも同じように、鏡筒側にマジックテープを貼ることでずいぶんスッキリしました。 

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もう一つのテクニックは、三脚の脚に反射板と蛍光シールを貼っておくことです。これまで何度か三脚の脚につまずいてずらしてしまったことがあったのと、車とかが気づかずに当たることがあるか(ほんとにぶつけられましたが)との思いから、真っ暗な中でも蛍光シールで、光があればきちんと反射して三脚の場所を知らせてくれます。3本ともに全部貼っています。これらのシールも100円ショップで売っています。

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上の明るいのが反射板、下の小さい白く見える細長いテープが蛍光シールです。
蛍光シールは明るいタイプというの買ったのですが、
きちんと蓄光しておかないとあまり明るく光りません。 


あとついでに、ちょっと高級な便利グッズの紹介です。福島スターライトフェスティバルでHBさんが使っていたのですが、一眼レフカメラのストラッップを簡単に着脱できるPeakDesignの「L-BL-3」がかなりいいです。

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カメラストラップは天体写真の撮影時に暗いとよくひっかけることがあります。かと言ってベルトが全くないと、昼間の手持ち撮影の時には落下が怖いです。これは付けたい時に一瞬ですぐに付けることができ、外したい時にすぐに外せるので全くストレスがありません。ただし、ベルト自身は少し細いので、常用ストラップとしては厳しいかもしれません。私は三脚撮影が主で、本当にたまに手持ち撮影なのでほとんど気になりませんが、手持ち撮影が主の人は首が痛くなるかもしれません。ストラップにしては少し値は張りますが、一つで2台のカメラに取り付けることができます。事故防止とも考えるとかなりお得です。
 

車にぶつかって赤経の極軸シャルフとがバッキリと折れてしまったAdvanced VX。メーカーからは修理不能と言われ、一応自分で頑張って直してガイドまでうまくいっていたのですが、この間から少し調子が悪いです。

赤経のクラッチを外すと普通は回転するのですが少し噛むところがあって、この間ガチガチに噛んでしまいました。一旦かなり無理して外して、傷があるところを削ってコンパウンドをかけて滑らかに回るようにしたのですが、今日重い鏡筒を載せると傾いてしまうようで、再び噛んでしまいました。

多分こんなところを直す人は他にはいないと思いますが、いくつかわかったこともあるのでメモがわりに書いておきます。もちろんですが、こんなことをすると当然メーカーの保証外になってしまうので、試したい方は(恐らくいないとは思いますが)くれぐれも自己責任でお願いします。私のはそもそもメーカでも諦められたもので、直ればもうけものというくらいで試行錯誤でやっているので、自己責任でやっています。同じ方法でうまくいかなくても何の責任もとることができませんので、ご了承ください。

まず噛んでしまって引っ張っても外れない外部円筒部分を外すのは、下の写真のように裏からM6のネジを入れてやるとわりと簡単に外れます。ネジを2本が、ダメなら4本入れてそれぞれ少しづつ奥に入れていきます。ただし、中に入っているプラスチックのリングが傷ついてダメになってしまうので、必要ならばプラ板などで作り直すといいでしょう。今回はプラ板の代わりにグリスをたっぷり塗ることにしました。

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次に、外部円筒部分の内側は2段で内径の小さいところがあります。上の方法で上の段の内径が小さい部分はネジで途中まで外れても、途中からネジの長さが足りなくなり下の段で引っかかることがあります。その場合は下の写真のようにテコの原理で外すと楽です。ただし、内側の円筒の外面を傷つけないようにくれぐれも注意してください。

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うまく外れてからは、一旦グリスを拭き取って、再びはめ合わせてみます。途中多分噛むので、潤滑剤を吹き掛けたりしながら、無理をせずにはめ込みます。はめ込めないときは断面が傷ついている可能性が高いので、600番から1000版程度のヤスリで磨きます。傷がついている部分が削れるとスッと入っていきます。

その後一旦一番下まではまり込むことが確認できたら、再び外して潤滑剤を拭き取り、粗いコンパウンドのを付けて再びはめます。

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コンパウンド(右)と、ヤスリ(左)。
ヤスリはこの台座が使い勝手がいいので、張り替えて使っています。


ハマったら回転が滑らかになるまで、ひたすら手で回し続けます。回転が滑らかになったら再び外します。削れたところは写真に見えるように黒くなってわかります。必ず外した後は一旦コンパウンドを拭き取ります。

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ちょっとわかりにくいですが、手前の左側に削れた金属が黒くなって出てきています。

コンパウンドを徐々に細かいものにしていって、回転がスムーズになり、黒いのが出なくなるまで繰り返します。仕上げ用コンパウンドでも黒いのが出なくなったら全てのコンパウンド、潤滑剤など一旦綺麗に拭き取ります。

ここからグリスを塗って最終的にはめるのですが、前回はこのグリスの選択で失敗しました。用意したグリスは2種類で、ShinEtsuのシリコングリスのG30MとSUMIKOの二硫化モリブデン系のモリーペスト300です。

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シリコングリスは白くて柔らかく、モリブデン系は濃い灰色でもっと粘度があります。負荷がかかるところはモリブデン系がいいとのことなんですが、前回はこの円筒部分にシリコングリスを使ってしまいました。組み上げてから冬で粘度が高いはずなのに、かなり軽く回ることに驚いていました。どうもこのことが原因で、重い鏡筒を取り付けた時に負荷がかかり円筒部分が傾いて噛んでしまったようです。今回は最初からモリペーストの方にしたので、だいぶんましになりました。それでもまだ軽いので、もう少し粘度の高いグリスを手に入れる必要があるかもしれません。

いずれにせよ噛むようなことは今の所無くはなったので、しばらく様子をみようと思います。

さて、重い鏡筒と言っているのは久しぶりに出したBKP200のことで、ASI294MCと合わせて明るい電視の準備です。来週末に八ヶ岳に行くのでそれまでに一度くらいテストのために晴れて欲しいです。






 

自分で修理したAdvanced VXのテストの一環として、カメラ撮影を試してみました。2017年11月25日の晩、対象は月が沈んだ頃に出てくるオリオン座が一晩中いるので、その中の馬頭星雲と燃える木。テスト撮影なので、色々試せるように自宅の庭での撮影です。

月が沈むまでに時間があったので、ついでに冬場の寒さに備えての家の中からのリモートコントロールを試しました。Advanced VXとCarte du CielとAstro TortillaをASCOMでつないでの自動導入とPlate solvingです。この組み合わせは春の寒いうちにやっていたことがあるので、その再テストになります。前回の記事で書いたように、Windows10に色々問題点もあったのですが、その甲斐あって夜のテストではほとんど問題なく導入と、BackYardEOSから画像を撮って、AstroTortillaが解析、さらにCarte du Cielへのフィードバックアラインメントの自動補正で、またBackYardEOSから画像を撮ってAstroTortillaで位置の再確認まですることができました。このおかげで自動導入の精度に全く困らなくなるので、暖かい家の中から導入から撮影まで安心して実現でき、非常に快適です。


さて、実際の撮影ですが機材はCarte du CielやStellariumで持っている機材の場合の画角を調べるとFS-60Q(焦点距離600mm)にAPS-CEOS60Dの組み合わせが良さそうです。実は9月に改造版の6Dを購入しているのですが、未だに使うチャンスがありません。MagicLanternもインストールして準備はできているのですが、使い始めはいつになることやら。ということで結局いつものセットアップで進めます。

AVXですが自動導入までは志摩でのテストで心配ないことはわかっているので、今回は実際にガイド撮影をしてのテストです。ところがこの日はものすごく風が強く、そのせいかわかりませんが、赤緯側に分単位の周期的な変動があります。壊れたのは赤経側ですが、もしかしたら偏心みたいな影響があるのかもしれません。それでも撮影している画像を見る限り、ほとんど流れたりすることはなく、むしろ風の影響のブレが大きいくらいでした。どれくらい風が強かったかというと、午前1時頃に撮影を始めてから眠ってしまったのですが、朝4時頃にあまりの風の音に目が覚めて心配で外に出たら、セットしてあったテーブルが風で遠くに吹っ飛んでいってしまっていました。色々置いてあったものも散らばっていて、写真を見てみると結局午前2時半頃以降はうまく撮れていなかったようです。まあ、三脚が倒れなかっただけでもよかったかもしれません。それくらい風が強かったので、ダークもフラットも撮る間も無くすぐに撤収しました。

というわけで画像処理したものですが、風でブレているものと薄雲がかかっていた分を除くと3分x13枚と大した枚数は稼げずに、粗い画像となってしまいました。もう少し色が出るかなと思ったのですがこれ以上出すと背景のノイズばかりが目立ってきます。自宅だとこれくらいが典型的なのかもしれません。やはりこれ以上は暗いところに遠征に行かざるを得ないみたいです。

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富山県富山市, 2017年11月26日1時24分
FS-60Q + Advanced VX赤道儀
EOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出3分x13枚 総露出39分
f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
Steller Image 8、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理



さて、壊れてなんとか自分で修理したAdvanced VXですが、ガイドでも一応撮影に耐えうるくらいは動くみたいです。ただ、赤緯の周期変動が気になるので、今一度風のない日に試してみようと思います。

(追記: 2018/2/920187/2/17に赤経の回転が噛んでしまいました。さらに修理です。)





先日、真っ二つ分断されたAdvanced VXですが、販売店からはメーカに問い合わせてもらった結果として修理不能という回答がきました。送料と修理費で新品の値段を超えてしまうそうです。程度のいい中古が出そうという情報もいただきましたが、それでもなんとか直してみようと思い、いろいろ考えてみました。

分断された極軸シャフトは、ベース側に残った方が厚さ5mmくらいのパイプ状になっていて、そこの断面にタップを切ってネジで固定してやればなんとかなりそうです。ただ、自分が出せる工作精度と、受け側の残りの厚さの強度から考えてM3のネジでは太すぎます。M2.6でギリギリでしょうか。あまり細いとネジとネジ山の強度が心配なのと、長いネジが存在しなくなるので、ここら辺が妥協点です。下の写真ではすでに穴が開けてありますが、断面にタップを切るのはなかなか大変でした。

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次の外れた側の写真を見るとわかりますが、内側にリブが6本入っているので、そこを避ける形で円周上に6本ネジを取り付けるのが配置的にも妥当です。ただ、ここの部分が本来のパイプの径よりもかなり内側を削ってあるので、ネジ穴が断面の半分だけに空いているような形になっています。このような加工は家庭用のドリルだけだとなかなか難しいのですが、最初に反対側から穴を開けてドリルの刃がぶれないようにする形で掘るとうまくいきました。

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最初の穴は、上の写真の裏に当たる、下の写真にある側から開けています。実際の穴がきちんと六角形の頂点になっていないのですが、これは折れたところの断面が少しガタガタしていて、ドリルで穴を開けるときにまっすぐ入っていかないところがあったので、できるだけ平らもしくは少し凹んでいて、安定に穴が開くところを選んだからです。

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これまでの経験から、自宅にある工具だけだとなかなか精度が出ません。なので、上の写真の穴を開ける時の垂直だけは気を使って、別途ドリルを固定して垂直にだけ移動するような工具を使いましたが、後はこの穴の垂直の精度を元に、外れた部分をテープなどで元の位置に固定して、受け側の方にも同じ位置に穴をコピーする形開けました。タップは穴さえ空いていれば難なく切ることができました。

切り屑をできるだけきちんと取って、グリスを塗り直して、分断した部分を再度取り付けて、ネジで固定してみました。結局必要なネジはM2.6x12でしたが、12mmの手持ちが3本しか無かったので仮止めですが、最低限の固定はできたようです。ネジで5回転分くらいは引っかかっています。それでもちょっと少ないかもしれません。

とりあえずガタもないようですし、スムーズに回転します。強度試験はネジをもう3本入手してからです。


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ドリルの穴あけやタップを切っているときに思ったのですが、極軸シャフト自身があまり固く無いように感じました。簡単に穴が空き、タップもほとんど抵抗なく切れます。ポロポロ削れてくるような感じで、粘りのようなものが全く感じられません。タップのネジ山がどれくらいもつのか少し不安です。

極軸シャフトの周りにベアリングに相当するリングがあり、そこまで穴を開けていいのなら、もう少し外側にM3かそれ以上で大きめのネジで固定できそうです。そのかわり多分取り外しができなくなると思うのですが、保証も効かないことなのでそれでもいいかと。一旦今のM2.6の状態で試してみて、強度的に不安ならばM3ネジを追加しようと思います。

これでうまく直ってくれればうれしいのですが。

その3に続きます。
 

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