SCA260の撮影時、右下に変な模様が出るので、接眼部を一旦バラして見てみました。これをきっかけに色々発見がありました。

変な模様の原因

天気が悪いなりにも、折を見て適時撮影を試しているのですが、何か変な右下に模様があることに気づきました。。
ASI290MMPro_dust

流石にこれだと画像処理にも困りそうなので、原因を探ります。
  1. まず、鏡筒先端にカバーをつけてダーク状態で模様が見えることを確認します。
  2. フォーカサー部分を丸ごと回転させてみます。SharpCap画面上で模様の位置が動かなかったので、原因はフォーカサーより後ろ(カメラ側)ということになります。
  3. 次に、カメラのみホイールとの接合ネジを緩めながら回転させてみます。それでも模様の位置が動かないのでカメラが原因ということになります。
  4. 一旦カメラを外して、キャップをつけセンサーに入る光を遮り模様が見えるか試します。ところがここで模様が消えてしまいました。
  5. この時点で少し迷いますが、キャップをつけて真っ暗になったら見えなくなったので、何か光に対する影で、センサー面に何かついているのではないかと考えました。少し光を入れるとやはり模様が出てきました。
  6. センサー面を見ると、かなり大きな繊維のようなものが付いていました。
  7. ブロアーで吹き飛ばして、再度画面から模様が消えたことを確認して完了です。

とまあ、ここまでは特に何のことはないホコリ取りだけです。


光漏れの最大原因

でもふと我に返って思いました。

「あれ?なんで鏡筒カバーしてるのに
光が入ってるんだろう?」

そもそもホコリは光が入っていないと見えません。一番最初に書いた「鏡筒先端にカバーをかけてダーク状態を作り出した」というのは全く嘘だったようです。

そもそもこの作業は昼間の明るい部屋の窓際で行いました。最初のダークだと思っていた状態で窓のカーテンを開け閉めすると、SharpCapでの画面の明るさが思いっきり変わります。明らかに鏡筒のどこかで光が漏れています。具体的には画面の真ん中に丸い明るい領域がドカンと居座ります。

次に試したことが、再びカメラを外してキャップをします。鏡筒につけている時より遥かに暗くなり、バイアスノイズらしきものが見えてきます。でもこれでも真っ暗ではないようで、太陽光をカメラに当てた時と、カーテンの影に置いた時でSharpCapでの画面の明るさが変わります。ただし、変わるといっても微々たるもので、カメラを鏡筒につけていた時から見たら誤差の範囲です。

再びカメラを鏡筒に取り付けます。カメラ単体よりもやはり遥かに明るいです。色々試しながらどこから光が漏れているか確認していきました。途中最も怪しいと思ったところがオフアキの継ぎ目でした。下の写真で見てもわかるように、アダプターに3箇所切れ目が入っていていかにも光が漏れそうです。パーマセルテープなどをつけたりして確認しましたが、どうもここが原因なような、原因でないような?

44DBCCEA-9B93-4B9C-808B-A2393749474F

結論を言うと、オフアキ部は白で光漏れは確認できませんでした。

本当の原因はフォーカサー。下の写真のようにフォーカサーを一番短くすると光の漏れはかなり小さくなります。
FC805673-C2E5-426C-82EB-AEAF1CAEE5A3

SCA260_forcuser_shortest.02JPG

逆にフォーカサーを一番伸ばすと、相当量の漏れになります。
20B053DE-A552-4115-9D19-4D8748C0C4B1

SCA260_forcuser_longest
真ん中に明るい丸い部分が出てくるのがわかります。漏れ光の量はフォーカサーの引き出し量に比例します。

フォーカサーを最大限引き出しても、隙間にパーマセルテープを貼り付けるとかなりマシになり、最も縮めた場合と同程度となります。
4F23184A-9273-4AE3-8BE6-F737234CACC2

SCA260_forcuser_longest3

これはフォーカサー固有の問題なので、おそらくSCA260だけのことではなく、同様の形のフォーカサーにかなり一般に言えるのかと思います。なので、

もし撮影画像の真ん中が
明るくなるようなことがあったら
フォーカサー部からの光漏れを
疑った方がいいかも

ということが言えそうです。今回はこのことが言いたくて記事を書いています。特に、カメラを代えたら突然真ん中に明るい丸が出たとか言う場合は、カメラが原因ではなくて焦点位置が変わったためフォカサーを引き出して光が漏れるようになったことが原因とかかもしれません。


その他の光漏れ

では漏れに関してはフォーカサーさえきちんと対処すれば完璧かというと、まだそうではありません。よくよく調べると、ファンのところからも光が漏れていることがわかりました。SCA260には鏡筒内の温度を外気温と早く同等にするために、接岸側に3つのファンがついています。

A93BA32F-9B88-4E21-9439-5DE04B26D49B

ここは穴のようなもので、光がどうも鏡筒内に漏れ入るようで、ここを塞ぐと明らかにSharpCapの画面の明るさが変わります。それでもフォーカサーでの漏れ光と比べると誤差の範囲になってきます。さらに先にも書きましたが、カメラ単体にも漏れ光があります。比較すると

フォーカサー >> ファン > カメラ

といったところでしょうか。

これは明るいところで比べたので漏れ光としてSharpCapで確認できましたが、DSOなどの撮影時は鏡筒周りは十分暗くなるはずなので漏れ光は理想的には問題にならないはずです。ですが実際には光害があったり、赤道儀やバッテリーのLED、様子を見るためのヘッドライトなどの光、遠征地ではたまに来る車のライトなど、必ずしも真っ暗ではないことも多いです。このような環境下では漏れ光は十分に問題になることもあるでしょう。大原則は一番漏れるところを抑えること。今回の結果ではフォーカサー部です。最短状態に縮めて使えればいいのですが、そんなことは稀なので、光を通さないパーマセルテープや適当なカバーなどでフォーカサーの可動部の継ぎ目を塞ぐといいのかと思います。

現実的には、実際の撮影時に真ん中に明らかに明るい部分がある場合、もしくはフォーカサーを縮めた状態から撮影する位置まで伸ばした時に、SharpCapで見て明るくなるかどうかで判断すればいいのかと思います。

あと鏡筒先端につけるSCA260付属のカバーですが、柔らかいものでいささか心許ないと思っていたのですが、遮光性はバッチリでカーテンの開け閉めでも漏れ光は確認できませんでした。


他の鏡筒との比較 

かなり以前、MEADE 25cmで撮影した際に真ん中に明るい部分が出たことがあります。その時は原因がわからなかったのですが、実はこの時も同タイプのフォーカサーを使っていたことを思い出しました。今となっては確かめられませんが、フォーカサーが原因だったのかもしれません。

SCA260が設計時に参考にしたと言われているタカハシのCCA250ですが、このようなタイプのフォーカサーは使っていません(持ってないので実際には見てないですが)。代わりに、モーターで副鏡を移動させることで焦点を変える方式を採用しています。何でそんな面倒なことをするのかと思っていたのですが、もしかしたら設計時にフォーカサーの欠点を把握していたとかかもしれません。


まとめ

ちょっとしたホコリ対策から光漏れを調べる事になってしまいましたが、これまでそんなことは全然気にしていませんでした。何事も当たり前と思わずに、常に何が正しいか、疑いを持つくらいで進めた方がいいのかと思います。特に私は自宅撮影が多いので明るい場合も多く、これまでも光漏れとかもあったのかもしれません。