今年最後の飛騨コスモス天文台での観望会です。この日は天気も良いせいか、前回9月30日の観望会に引き続き、たくさんのお客さんが来ました。 




飛騨コスモス天文台へ向けて出発

11月6日の土曜日、昼くらいから準備を始め車に荷物を積み込みます。この日はなんか色々やることがあってドタバタしていて、富山を出発したのは16時過ぎでした。途中、夕食がわりにコンビニでどうしても食べたくなったシューマイ弁当をその場で食べ、さらに夜食におにぎりやサンドイッチを買い込みます。

車で走っていると、どうやら天気予報の通り富山の方が天気がいいかもしれません。最初快晴だったのが、途中から少しづつ雲があるところが増えてきました。飛騨コスモス天文台に到着すると、少し雲はありますが、夜中から天気が良くなる予報なので、何も見えないことはないでしょう。

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現場に着くとすでにいつものかんたろうさんと、富山県天のOさんがいました。富山県天からはKさんも途中から参加してくれました。

実はその前日の金曜夕方、かんたろうさん、Oさん、Kさんが飛騨コスモスに来ているというので誘われたのですが、次の土曜日観望会で行くことになるので私はパスしました。後で聞いたら、かんたろうさんは木曜から来ているとのことで、すでにここで車中2泊。さすがに疲れてきたと言っていましたが、すごいパワーです。


現地でのセットアップ

最初少し雲がありましたが、すぐに一旦快晴。でもお客さんが来る頃には薄雲が出てきてしまいます。この日は所々晴れ間があり、たまに天の川が見えるといった、快晴でもなく、かといって全く星が見えなくなるわけでもなく、総じてずっと薄雲といったところだったでしょうか。でもどこかの方向では色々見ることはできたので、基本とても楽しかった観望会でした。

県天のOさんが山の中にドームを作るというので、飛騨コスモスのドームも見てみたいとのこと。現場に到着直後にドームの鍵を開けて、中は散らかし放題でしたが見てもらいました。でも観望会の準備があったのであまり時間をかけて説明できなくて申し訳なかったです。

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今日の装備は主に電視観望です。C8を出すか迷っていましたが、他の人の鏡筒も出そうなので、やめておきました。いつものSCORPTECHもあるので、C8もあると前回の経験から電視観望に全く手が回らなくなりそうだったからです。ただし、観望会後の撮影などのためにCGEM IIにTSA-120を載せたものと、Advanced VXだけは時間のあるうちに、あらかじめ出しておきました。


電視観望

電視観望の準備ができる頃には結構な数のお客さんが到着していました。今日の電視観望用の機材は、究極シンプルセットのFMA135+ASI294MC+AZ-GTiです。焦点距離が135mmと短く、フォーサーズのセンサー面積なので、かなり広い範囲を見ることができます。この場所は十分に暗いので、フィルターもなしです。このセットアップは次の週にある小海の「星と自然のフェスタ」のテストも兼ねています。

時折雲もあったので、雲と雲の合間を狙ったのですが、雲以外は空は悪くありません。いくつか代表的な天体を入れていきました。

最初はM27、こぎつね座にある亜鈴状星雲です。明るい星雲で写しやすいM27ですが、FMA135の視野から見たらものすごく小さいのですが、SharpCap上で拡大しても全然耐えることができて、恒星もきちんと表現されています。ちなみに下ので250%、かなり拡大しています。6.4秒露光で13枚、計1分25秒くらいです。
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極小対決で、M57ことざのリング状星雲です。上のM27よりもっと小さいです。全画面で見ると小さすぎて恒星と見分けがつきません。FMA135だと、ちょうどこと座の全景が入るくらいの視野があるので、M57も場所を知っていればすぐにどこにあるか見分けられます。下の画面は倍率600%、FMA135ではもう限界近いです。それでも恒星がそこまで破綻しないのと、M57のリングの色の変わり方がわかるのがすごいです。フィルター無しでも、赤外の収差もほとんどないことがわかります。
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北アメリカ星雲。フィルターなしでこの描写です。6.4秒露光で31枚、計3分20秒くらい。ちなみにこれも拡大しています。(ちょっとわかりにくいですが)画面の右と下のバーのところを見てもらうとわかりますが、辺で言って3分の2位、面積で行って全画面の40%くらいを見ています。これでSharpCapの表示で言うと50%とかになります。なので上のM57の拡大率はは600%だったので、さらに辺で言って12分の1、面積で言うとわずか150分の1のエリアを見ているわけです。北アメリカ青雲で40%くらいのエリアなのでM57で見ている範囲は全エリアの350分の1くらいというわけです。
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暗い空で「フィルターが無いこと」の何がいいかって、銀河を見る時にわざわざフィルターを外さなくていいところです。光害防止フィルターを使うと、銀河などはどうしても一部情報を落としてしまいます。下はM31アンドロメダ銀河ですが、電視観望でここまで出れば御の字ではないでしょうか?これで6.4秒露光で41枚、計4分20秒くらいです。
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一方、M42すばるは薄雲越しでした。青いのはわかりますが、流石に分子間雲までは見えなかったです。
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観望会での電視観望はすこぶる好評で、新しい天体を入れるたびに周りはたくさんの人だかりです。定番のアンドロメダが「星雲」か「銀河」かの話や、すばるはなぜ青いのかとか、いろいろ話しながら私自身が楽しむことができました。やはりこうやって考えると、電視観望はイベント向きです。一人で見ても楽しいですが、大勢の人と見ながら会話が弾むのは、眼視とも撮影ともまた違った楽しみ方になるのかと思います。

実際には電視観望もずっとやっていたわけでなく、雲の位置のよっては途中SCOPETECHで木星とか土星をお客さんい入れてもらったり、天の川が見えている時は天の川の見方を説明したりと、かなり充実していました。

そういえば飛騨コスモスに来る途中で、いつものMちゃんのお母さんからメッセージが入っていていました。もう最近は飛騨コスモス観望会の常連にもなってしまったMちゃんですが、気づいたら到着していて電視観望を始めていました。ところが、PCがすぐに使えなくなってしまったようです。それもそのはず、かなり寒くなってきて、バッテリーの出力が落ちていると思われます。11月といえど、私も上はスキーウェアで、途中からは下もワークマンで買ったモコモコの風を通さないズボンを上から履いています。Mっちゃんもしっかりスキーウェアを着てきているらしいです。

ここ数河高原は過去にスキー場があったくらいの豪雪地帯です。11月末には雪が降り始めるかもしれません。だんだん星見には厳しい季節になってきています。


お土産用に印刷した写真を

今回は子供たちがたくさんきてくれていて、みんなものすごく楽しそうでした。なんでこんなに子供たちがきてたのか、途中で訳を聞いたのですが、以下のようなことでした。

今回、これまで撮り溜めた天体画像をLサイズに印刷したものをたくさん持っていきました。青雲、銀河、惑星、月と、全部で23種類、各10枚の計230枚です。印刷はフジプリを使いました。1枚11円とかなり安価です。これだけ枚数が多いと、送料も誤差のようなもので、気楽に頼むことができます。

前回の観望会にテストで20種くらいを各1枚ずつ印刷して、観望会に来てくれた子供達に渡したのですが、ずいぶん喜んでくれました。その時に、写っている天体の名前を何度も聞かれたので、天体の名前を写真に入れておこうということになり、今回の本番印刷にしました。

その中の一人の子が、前回よほど楽しかったのか、同じ学校の友達を5人くらい連れてきてくれました。聞いたら小学2年生だそうです。電視観望している時は格好の会話のチャンスです。例えば北アメリカ星雲やすばるなどは、PCの画面と渡した写真を比べて、向きはあってるかとか、ここに星があるとか会話がはずみます。私は時々星は本当に動いているかとか、地球が動いているのを感じることができるかとか、天文に関するクイズを出すのですが、みんなでキャーキャー言いながら答えてくれます。

とても楽しかったみたいで、帰る時にわざわざ「今日はどうもありがとうございました。」と丁寧に挨拶をしにきてくれました。とても嬉しかったです。「もっと写真を集めたい」と言っていたので、また来てくれるかもしれません。雪が溶ける来年になってしまいますが、楽しみに待ちたいと思います。


観望会終了後の眼視大会

もう23時くらいにはなっていたでしょうか?観望会も終わりつつあり、お客さんが少なくなってきてからは、残ったメンバーで眼視大会が始まりました。今回もかんたろうさんがOrionのニュートンの25cmでいろいろ見せてくれました。私もTSA-120を出して眼視観測です。この時残っていたのは、スタッフの方と、いつものMちゃん親子です。

この時のことは別記事にします。ちょっと眼視に目覚めつつあるかもです。




まとめ

非常に楽しい観望会でした。やっぱり電視観望は観望会に向いています。一番いいのは会話ができること。寒い中でも、子供たちは生き生きしていました。お土産の写真もとても喜んでくれていたみたいなので、うれしかったです。

電視観望の画質についても、ある程度満足できるクオリティーになってきたかと思います。暗い空なので綺麗に見えるのはもちろんなのですが、光害地でもフィルターを使うことでかなり対応できることがわかってきています。コンパクトシステムで鞄の中にすっぽり入るのもいいです。

でも次にやるとしたら、一般受けは全くしないかもしれませんが、真逆の長焦点電視観望かもしれません。あとは眼視でしょうか。