以前光軸調整したVISAC。
その後の進展状況です。
ある晩、期待に胸を膨らませ、実際夜に星を見てみました。
結果は見るも無惨で、内外で三角形と細長の形を行き来しているような状態でした。焦点近くでは点像に全くならずに、 三角と細長が混ざったようなひどい形。
光軸が「全然」ダメなのか、「微」調整が取れていないからダメなのかも全くわからないくらい惨敗です。最初は副鏡だけでしたが、そのうち主鏡も、接眼部も、全部の調整ネジを闇雲にいじったのですが、よくなっていく様子は全くなく、どんどん悪くなって全く手がかりなし状態になってしまいました。
しかたないので別の日の昼間の明るいうちに、再びコリメーターと、こんどは点光源に近いものを実際に見て、それがどういう形になるのか視野をカメラで映してじっくり見ながら調整してみました。
あらためて明るいところでやってみると実感するのですが、どうやらこのページが示しているように、調整時にものすごい精度が必要なようです。何度曲げるとかよりは、ネジを少し力を入れて締め込む、ネジを心持ち緩めるとかで、その形が劇的に変わります。反射では普通は3つのネジのうち2つをいじれば角度に関しての自由度は足りるのですが、VISACは3つのネジが形を歪ませるように効くようで、3つともいじる必要があります。
気になるのは内外像が全く違うこと。片方は中心遮蔽部がものすごく大きくて、明るいところが1-2割とかしかなく、もう片方は遮蔽部がかなり小さくて、明るい部分が8-9割くらいで筒内気流がよく観察できるような感じです。
スパイダーが上下左右4本見えていますが、全体の形は三角です。
焦点近くになってくると、3つの像が重なるような形になります。
全部が重なるとそこそこ丸くなるようにも見えます。一度これで星を見てみることにします。
あと、今回の補正は主に主鏡の方で行いました。副鏡の調整がいまいちどこに効いているか分かりにくいです。唯一分かったのは、内外像の形を変えるというより、光の中心をずらす効果が大きいように思えました。
1. 副鏡を縦にずらし、主鏡で補正した場合。
2. 副鏡をすこし戻し、主鏡で再び補正した場合。
3. 副鏡を元に戻し、主鏡で再補正した場合。
光の強度の中心が上下にずれるのがわかると思います。でも内外像を見ると、像の形自身はほどんどずれてないんですよね。ただし副鏡のずれは主鏡とも自由度がカップルしているようで、そこまではっきりとしたことは分かりませんでした。
あと、途中迷走してどうにも状態がわからなくなった時はコリメータを入れて目で見ると良かったです。こんな時は十字線が大きくずれてしまっていて、まずはコリメータで見てそこそこおかしくないように合わせます。副鏡は中心の円が同心円になっていない場合は大きくずれているようですが、微調整まではコリメータでは分かりませんでした。主鏡は十字線が合うようにすればいいので、難しくないです。コリメータでそこそこあってれいれば、内外像の微調整レベルになってきます。逆に、内外像で調整済みのものをコリメータで見ると、これでもかというほどぴったりあっているように見えます。
少なくとも明るいところでの調整は再現性もあり、やり尽くした感があります。そこそこ点像になっている気がします。
実際に星を見ると、やはり三角。というより結局今回の調整は歪(いびつ)な三角形を頑張って正三角形にしたような感じです。だめですね。
また落胆してたのですが、バックフォーカスを調べている途中でものすごいページに行き当たりました。「銀命堂」様のページです。その中のVISACのシミュレーションのページが超秀逸です。このような解析をしていただいて、ものすごく感謝しています。
4年越しの計算ということで、かなり苦労されたようですが、三角形の像をものの見事に再現しています。このシミュレーションを信じると、主鏡の端で0.05mmズレたらもう像はボロボロです。ネジのピッチが0.5mmだとして、10分の1回転=36度で激変とすると、少なくともその10分の1くらいが調整の単位でしょう。ネジの回転でわずか3度ですよ!これなら難しいのも納得ですし、実際の微調整具合とオーダーで間違っていない気がします。
副鏡のずれを主鏡で直せそうと書かれていますが、その像を見るとやはり三角形。ということは、副鏡も主鏡も両方ともばっちりあってやっと円になるということです。
このシミュレーションから、光軸合わせがものすごく難しいことはよーくわかりました。それでもこれは大きな大きなヒントです。どこをどういじると、像はどう変わるのか。しかもそのいじる量のオーダーもわかります。
次回晴れた日の休日、昼間にまた点光源を見ながら調整してみます。
その後の進展状況です。
実際に星を見る
ある晩、期待に胸を膨らませ、実際夜に星を見てみました。
結果は見るも無惨で、内外で三角形と細長の形を行き来しているような状態でした。焦点近くでは点像に全くならずに、 三角と細長が混ざったようなひどい形。
光軸が「全然」ダメなのか、「微」調整が取れていないからダメなのかも全くわからないくらい惨敗です。最初は副鏡だけでしたが、そのうち主鏡も、接眼部も、全部の調整ネジを闇雲にいじったのですが、よくなっていく様子は全くなく、どんどん悪くなって全く手がかりなし状態になってしまいました。
昼間に調整
しかたないので別の日の昼間の明るいうちに、再びコリメーターと、こんどは点光源に近いものを実際に見て、それがどういう形になるのか視野をカメラで映してじっくり見ながら調整してみました。
あらためて明るいところでやってみると実感するのですが、どうやらこのページが示しているように、調整時にものすごい精度が必要なようです。何度曲げるとかよりは、ネジを少し力を入れて締め込む、ネジを心持ち緩めるとかで、その形が劇的に変わります。反射では普通は3つのネジのうち2つをいじれば角度に関しての自由度は足りるのですが、VISACは3つのネジが形を歪ませるように効くようで、3つともいじる必要があります。
気になるのは内外像が全く違うこと。片方は中心遮蔽部がものすごく大きくて、明るいところが1-2割とかしかなく、もう片方は遮蔽部がかなり小さくて、明るい部分が8-9割くらいで筒内気流がよく観察できるような感じです。
スパイダーが上下左右4本見えていますが、全体の形は三角です。
どっちが内でどっちが外かわかりませんが、
内外でこれくらい差があります。
内外でこれくらい差があります。
焦点近くになってくると、3つの像が重なるような形になります。
全部が重なるとそこそこ丸くなるようにも見えます。一度これで星を見てみることにします。
あと、今回の補正は主に主鏡の方で行いました。副鏡の調整がいまいちどこに効いているか分かりにくいです。唯一分かったのは、内外像の形を変えるというより、光の中心をずらす効果が大きいように思えました。
1. 副鏡を縦にずらし、主鏡で補正した場合。
2. 副鏡をすこし戻し、主鏡で再び補正した場合。
3. 副鏡を元に戻し、主鏡で再補正した場合。
光の強度の中心が上下にずれるのがわかると思います。でも内外像を見ると、像の形自身はほどんどずれてないんですよね。ただし副鏡のずれは主鏡とも自由度がカップルしているようで、そこまではっきりとしたことは分かりませんでした。
あと、途中迷走してどうにも状態がわからなくなった時はコリメータを入れて目で見ると良かったです。こんな時は十字線が大きくずれてしまっていて、まずはコリメータで見てそこそこおかしくないように合わせます。副鏡は中心の円が同心円になっていない場合は大きくずれているようですが、微調整まではコリメータでは分かりませんでした。主鏡は十字線が合うようにすればいいので、難しくないです。コリメータでそこそこあってれいれば、内外像の微調整レベルになってきます。逆に、内外像で調整済みのものをコリメータで見ると、これでもかというほどぴったりあっているように見えます。
少なくとも明るいところでの調整は再現性もあり、やり尽くした感があります。そこそこ点像になっている気がします。
星を見てみる
実際に星を見ると、やはり三角。というより結局今回の調整は歪(いびつ)な三角形を頑張って正三角形にしたような感じです。だめですね。
何がおかしい?
- やっぱりVISACって本質的に三角なんですよね。これが何かの2次的な効果で出てくるのかとしたら、調整はよほど難しいということになります。
- そもそも、スパイダーは4つ割です。3つ割になっているところは限られていています。副鏡は真ん中のネジを緩めても像は変わらないので、多分歪みとは関係なし。接眼部は反射も透過も、とにかく光学系がないので多分白。主鏡はあやしいです。全バラして固定ネジを緩めた方がいいかもです。
- 内外像の差はもしかしたら副鏡位置が間違ってるかもです。副鏡を取り付ける際ワッシャーが何枚かはいっていました。これを調整すると何か変わるかもしれません。もしくは、CMOSカメラの位置が間違っているか?
- 接眼側に補正レンズが入っているので、バックフォーカスは重要なはずです。とりあえずカメラを適当に置いているので、問題かもしれません。
- あと、鏡筒が地面に対して垂直に立っている時もしくは水平とは違う時と、調整時と同じ水平になっている場合で三角の鋭さが違う気がしました。水平の方が円像に近くなります。これは主鏡に重力がかかっているからなのでしょうか?
すごいシミュレーション結果を載せているページが!
また落胆してたのですが、バックフォーカスを調べている途中でものすごいページに行き当たりました。「銀命堂」様のページです。その中のVISACのシミュレーションのページが超秀逸です。このような解析をしていただいて、ものすごく感謝しています。
4年越しの計算ということで、かなり苦労されたようですが、三角形の像をものの見事に再現しています。このシミュレーションを信じると、主鏡の端で0.05mmズレたらもう像はボロボロです。ネジのピッチが0.5mmだとして、10分の1回転=36度で激変とすると、少なくともその10分の1くらいが調整の単位でしょう。ネジの回転でわずか3度ですよ!これなら難しいのも納得ですし、実際の微調整具合とオーダーで間違っていない気がします。
副鏡のずれを主鏡で直せそうと書かれていますが、その像を見るとやはり三角形。ということは、副鏡も主鏡も両方ともばっちりあってやっと円になるということです。
このシミュレーションから、光軸合わせがものすごく難しいことはよーくわかりました。それでもこれは大きな大きなヒントです。どこをどういじると、像はどう変わるのか。しかもそのいじる量のオーダーもわかります。
次回晴れた日の休日、昼間にまた点光源を見ながら調整してみます。
コメント
コメント一覧 (5)
悩ましいですね。。。。
一度分解されて、主鏡を清掃等で取り外した事がおありなら圧迫を疑ったほうが良いかもしれません。爪のネジをギリまで解放してみたらどうでしょうか?
一般に大口径の方が歪みやすいので、、、、m(_ _)m
こたろうさん、こんばんは。
主鏡の圧迫は依然疑っていますが、銀命堂のシミュレーションで、主鏡圧迫と関係なく三角は出るようなので、まずは角度調整でやってみようと思ってます。いや、シミュレーションは救世主ですよ。やっと方向性と精度の指標が示された感じです。
差し出がましい様で恐縮なのですが、VISAC解析のきっかけをいただいた方と、調整法について色々と検討してきました。
その中で気が付いたことを書かせてください。
VISACの場合、接眼部と副鏡のスクエアリング(0.02°以内)と、主鏡副鏡との間隔(0.5mm以内)をどう測るかの2点が重要なようです。
とんでもなく厳しい要件に思います。
http://ml29050.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-dad0.html
上記URLは有名な山中氏が冷却カメラのマウントと撮像子のスクエアリングをする動画ですが、これを応用できないかと思いました。
天井からではなくても、赤道儀に載せた状態でも出来るかと思います。
相当しっかりした床か台が必要になりそうです。
まずドローチューブに鏡を付けて接眼部(鏡筒)をレーザーに正対させ、そののち鏡を外して副鏡のスクエアリングをするという手順です。
ドローチューブにレーザーを付けても距離が短いので十分な精度が出ないようで、2m以上の距離があると良いのではないかと思います。
(単純にtan0.01°×2000で見当を付けただけです)
接眼部を外して取り付け面を基準にすれば、ドローチューブの垂直性も検証出来るかもしれません。
それから通常の主鏡調整をするという手順です。
最終的には星像で調整ですが、副鏡や接眼部を触らずに、主鏡のみで出来る様にしたい所です。
夜間星像を見ての修正はとても辛いですから。
・・・800字を越えてしまう様で、続きを書き込みます。
次に主鏡と副鏡の間隔についてです。
これはあくまでネットにあった構成図を信用するとしてですが、ドローチューブ固定部のエッジから142.872mmに焦点があるとなっています。
メーカーではこれを基準にコリメーターで主鏡と副鏡間隔を合わせているのではないかと思われます。
一番確かなのは星像をナイフエッジで切り、その位置を確かめる方法ではないかと思います。
視度の問題がありますが、アイピースの視野環がこの位置に来るようにして、主鏡の押し引きねじの範囲で調整するしかないように思います。
間隔が0.5mm増えると焦点位置は約3mm短くなる感じです。
星を見て光軸修正をしていると、ピント位置が変わるのを実感されていると思います。
指定位置から±3mmを外さない範囲で、主鏡の光軸修正をする必要があると思います。
デジカメでも良いかと思いましたが、撮像子の前のロ―パスや赤外カットフィルターの厚みがあるので、それをどうするかは分かりませんでした。
実機を触ったことがないものが、このような話をして本当に気が引けるのですが、山中氏の方法は一度試してみる価値はあるのではないかと思います。
長々と申し訳ありませんでした。
少しでも参考になりましたら幸いです。
銀命堂さんこんばんは。コメントとてもありがたいです。
主鏡も副鏡も精度がものすごく厳しいんですよね。さすがにこれだとユーザーに調整させるわけにいかないと、Vixenが判断したのが理解できます。
今いろいろ考えています。主鏡、副鏡の距離によらずに、視野の中心だけは歪まないのが使えないかなと思っています。こういうのはできるだけ自由度を分離するのがコツな気がします。まず、とにかく角度を合わせようという方針です。いまだに副鏡と主鏡の関係を実感として得ていません。シミュレーション結果から考えると動かしすぎていたと思われます。
主鏡-副鏡間の精度も尋常ではないです。角度さえ合わせてしまえば、副鏡は3本ネジを触らない限り中心ネジを緩めてもある程度の再現性がありそうでした。なので、角度を合わせてから主鏡-副鏡間を微調するという方針です。
あと、バックフォーカスの情報ありがとうございました。調べたけどいくつか説があってはっきりしませんでした。こちらは今度は最初から合わせておこうと思います。
とにかくまだ精度を出せる目処まではついていないので、いろいろ試してみようと思います。またシミュレーションも自分でやってみたいです。とにかくものすごい情報を見せていただいているので、もう感謝しかありません。またブログで報告しますので、(成功しても失敗しても)結果を是非聞いて頂きたいです。