前回までの電視観望、うまくいきましたでしょうか?



今回は電視観望をリモートで楽しもうという記事です。


家の中からお気楽電視観望

夏は夜でも暑かったり、外だと蚊に悩まされます。冬は地方によっては夜はかなり寒くなります。そんな時は、家の中から快適リモート電視観望というのはいかがでしょうか?

自宅のテレビに大画面にリアルタイムで見える星雲などを映して、家族に楽しんでもらうこともできます。普段なかなか理解されない星の趣味をアピールするいい機会にもなるかもしれません。

今回の記事では、VIRTUOSO、電視観望をするPC、リモートで操作するPCのすべての機器を自宅のLANにWi-Fiに接続することで、安定したリモート電視観望を実現します。接続方法に関してはいろんなやり方があるかと思いますが、ここで示すような方法を参考に各自の環境に合わせて接続方法をカスタマイズしていくのがいいのかと思います。


準備

前回までの電視観望に加え、今回リモート電視観望を実現するために新たに必要なものを挙げておきます。天文関連の機材というよりは、主にPCやネットワーク関連です。
  • 家庭内LANと、望遠鏡周りでのWiFi接続環境。
  • もう一台自宅内でのPC。WindowsでもMacでもどちらでも大丈夫です。
  • 電視観望に使っているPCがWindows10「 Pro」であること。リモートデスクトップ環境のために必要です。ProでなければVNCなどの別途リモートデスクトップ環境。


前回までの確認

リモート電視観望に挑戦するには、前回までの電視観望ができていることが前提です。もしうまくいっていないなら、まずは鏡筒近くのリモートでない状態できちんと動作するようにして下さい。鏡筒の近くで試してもうまくいかないとすると、リモートだと更に難易度が上がります。

逆に言うと、通常の電視観望がきちんとできているなら、あとはネットワークの設定等の問題なので、リモート化はそれほど難しくありません。


自宅ネットワークの確認

最初のポイントはどうやって望遠鏡の近くに電視観望で使っているPCにアクセスするかです。

今回は、家庭にはネットワークがあってWiFi接続ができる状況にあるとし、電視観望用PCが自宅の近く、例えば庭とかで自宅のWiFiに接続できることとします。

これは重要なことなのですが、ネットワークは2.4GHzのみ、もしくは2.4GHzと5GHz両方あるのはかまいませんが、5GHzだけの場合はだめです。これはVIRUTOSOのネットワークが2.4GHzしか対応していないからです。もし5GHzしかない場合は、ルーターの設定で2.4GHzも有効化するか、5GHzしかないルーターの場合は、2.4GHzを持っているルーターを別途用意して、自宅の既存のネットワークに繋がるようにして下さい。

自宅W-Fiのネットワーク名(SSID)と接続するためのパスワードはあらかじめ確認しておいて下さい。これも必ず2.4GHzのものを選ぶようにして下さい。


VIRTUOSOの自宅ネットへの接続

VIRTUOSOの電源をオンにして、前回までのように一旦はスマホなどで接続します。スマホ上のSynScan Proの初期画面から「設定」 ->「SynScan Wi-Fi」に行き、下の画面のように「ステーションを変更する」を押してから、「ステーションモード」のところをクリックしてステーションモードを有効化します。先に調べておいた自宅W-Fiのネットワーク名(SSID)を入力し、ネットワークに繋ぐパスワードを入力します。
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その後、右上の「適用」を押し、出てくるグルグルマークを押します。ごくまれに、ここから元の画面に戻らないことがあるので、その場合「キャンセル」などを押します。

自動的に上の画面に戻って、うまくWi-Fiに接続されるていると、先ほど入力したSSID名が「SSID」の所に表示されているはずです。この名前が表示されていない場合は自宅Wi-Fiには接続されていません。SSID名やパスワードを再度確認してみて下さい。どうしてもつながらない場合は、そのSSIDが5GHzでないか疑ってみて下さい。私は(5GHzはつながらないことを知っていても、その場になると忘れるとかで)ここで過去に何度かハマっています。
 
うまくいったらVIRTUOSOの設定はおしまいです。次は電視観望をしているWindows PCの接続設定です。
 

リモートデスクトップでの接続

今回はWindowsに付属のリモートデスクトップを使うことにします。星などの暗くてノイズと見分けがつきにくい画面は、ネットワーク越しだと綺麗に見えないことがあります。Windows付属のリモートデスクトップ機能は画面転送の圧縮が上手くて、星や星雲を見るのに適しています。

まずはサーバー側の設定です。電視観望に使っている鏡筒近くのPC上で、「スタート」->「設定」 ->「システム」->「リモート デスクトップ」の順に選択し、「リモート デスクトップを有効にする」をオンにして、サーバー機能を有効にしておきます。

この際の注意なのですがWindows 10の「Home」エディションだとこのリモートデスクトップ機能を使うことができません。リモートデスクトップを使う場合は、Windows 10の「Pro」を使って下さい。Proかどうか確認するには、[スタート] 、 [設定] 、 [システム]、 [バージョン情報]の順に移動し、[エディション]を探します。

もしProでない場合は、VNCや、最近流行りのChrome リモートデスクトップなど、別途リモート環境を探してみて下さい。

もしくはWindowsに付属のリモートデスクトップを使うために、あえて安価なStick PCなどを買ってしまうのも一つの手です。Stick PCは値段のわりに何故かWindows Proを採用していることも多く、実際私は



をリモート電視観望に使っています。電源、キーボード、マウス、モニターなどがセットアップ時には必要ですが、一旦リモート接続ができればあとはStick PCと電源だけでいいので、非常にコンパクトなシステムを構築することができます。初期アラインメントなどするときも、ノートPCを鏡筒近くに持っていって、その場でこのStick PCにリモートで接続して操作したりしています。

もう一つ、鏡筒近くに置くPCがWi-Fiに接続される時にIPアドレスがいつも同じになるように設定しておくと便利です。これはWindowsの方の設定ではなく、ルーターの方の設定になります。設定方法はルーターの機種によりますが、自宅LANに繋がっているPCから、ウェブブラウザを立ち上げ、アドレスのところに通常は192.168.XX.1(XXは繋がっているPCのIPアドレスを調べるとわかります。)などと打ち込んでルーターにアクセスします。
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左に見える「DHCP固定割り当て設定」とかいうのを選び、電視観望に使っているPCのWi-FiアダプターのMACアドレスと、適当な固定したいIPアドレスを打ち込み関連づけます。PCのWi-FiアダプターのMACアドレスは「スタート」->「設定」 ->「ネットワークとインターネット」->「ネットワークのプロパティを表示」の順に選択し、「物理アドレス(MAC)」のところを見ます。

ここまでの接続の確認は昼間でもできるので、あらかじめ夜になる前にテストしておくといいでしょう。


実際の接続

さて、ここまできたらあとは夜を待って実際に電視観望を始めるだけです。
  1. 初回はやはりその場でピントなども合わせる必要があるので、まずはターゲット天体を導入しSharpCapの画面に表示するところまでは、前回までのように済ませておきましょう。
  2. 次に、VIRTUOSOがきちんと自宅のWi-Fiに繋がっているか確認しましょう。
  3. 電視観望をしているPCも自宅Wi-Fiに繋ぎましょう。
  4. 電視観望をしているPCでSynScan Proを立ち上げて、自宅Wi-Fi経由でVIRTUOSOに接続しましょう。
  5. 自宅に入り、部屋の中のPCから電視観望をしているリモート先のPCにリモートデスクトップで接続します。クライアントはWindowsでもMacでもどちらでも大丈夫です。

Windowsなら「スタート」->「Windowsアクセサリ」->「リモートデスクトップ接続」を立ち上げ、そこに先に指定したIPアドレスを書き込み「接続」を押します。

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私はMacを使っているので、Mac版のMicrosoft Remote Desktopを使用しています。

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上の写真のように、先に指定したIPアドレスで登録しておきましょう。そうすると次回以降の起動が楽です。

リモート先の画面は出てきましたでしょうか?

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このように部屋の中からリモート先の画面が出て
操作することができるようになります。

うまく接続できると、画面を通してすべての操作ができます。自動導入などもできますので、自宅からいろいろ楽しんでみて下さい。


まとめ

リモート接続の実践編どうでしたでしょうか?アイデア次第ではYouTubeやZoomでの中継など、いろいろ活用法があるかと思います。家の中なら家族も見てくれると思うので、もしかしたら天体趣味の株が上がるかもしれません。

でも本当は星は外で見るのが一番です。今回はVIRTUOSOという望遠鏡込みの自動導入経緯台で星空観察をしましたが、自分の目で空を仰いで星を見るのは望遠鏡とは違った楽しみ方になるはずです。せっかく星に興味を持ったのです、もしまだ体験していなければですが、月のない真っ暗な場所で、満天の星を見上げて宇宙の中に生きているんだということもぜひとも実感してみて下さい。

次は応用篇。主に導入の補助についてです。
 



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