連休初日、朝からVISACにかかりきりでした。懸案事項だった光軸調整です。色々やりましたが、多分正しい方法に辿り着いたと思います。


準備

道具はASI294MCと小さなCマウントレンズ。副鏡あたりにピントを合わせて見るために、別途レンズが必要です。VISACには2インチのアイピースなどが取り付けられるアダプターを使います。カメラで映した画面を見るためのPCなども必要です。

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最初の試み

まずは最初の挑戦です。これは失敗その1となります。

1. ASI294MCに50mmのCマウントレンズを取り付ける。
2. VISACに2インチアダプターを取り付け、そこにレンズごとASI294MCを取り付ける。
3. 取り付ける際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けること。
4. カメラの像をPCに映す。使ったソフトはSharpCapです。同心円状のガイド線を出すとわかりやすいです。
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画面を見る限り、中心から明らかにズレているのがわかります。

5. 画面に見えている副鏡の中心が、画面の中央に来るように、鏡筒手前の内側の3つの押し引きネジを調整する。
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すでに結構あっているように見えます。でもまだ早とちりです。

6. 画面に見えている中心の副鏡の外周が中心に来るように、副鏡の角度を3本の押しネジと、1本の真ん中の引きネジで調整しようとしたら、画面に見えている副鏡の中心も動いてしまったので、接眼部の調整が全く意味が無いことになり、ここで行き詰まります

ざっと試してみてこの段階で分かったことは、2インチアダプターにカメラを挿入しても結構隙間があるのでガタガタ。横に揺れるというよりは、ぐらぐら回転してしまいます。ネジの固定具合で画面の中心が簡単にずれてしまいます。ネジを占める際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けると、毎回同じように固定でき再現性があることがわかりました。


2ndトライアル

少しVISACの光軸調整で検索してヒントを得ることにしました。すると副鏡を外すことで、そのねじ穴を接眼部の調整の指標にするアイデアが見つかりました。でも結局はこの方法も途中で行き詰まり、失敗2となります。新しいところは赤で書いておきます。

1. ASI294MCに50mmのCマウントレンズを取り付ける。
2. VISACに2インチアダプターを取り付け、そこにレンズごとASI294MCを取り付ける。
3. 取り付ける際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けること。
4. カメラの像をPCに映す。
5. 副鏡を取り外す。
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外した副鏡の鏡面を見てみると、大したことないですが少し汚れてました。
良い機会なので掃除をしておきます。

6. 副鏡を取り付けるネジ穴の位置を画面上で確認。
7. ネジ穴の中心が画面の中心にくるように、鏡筒手前の内側の3つの押し引きネジを調整する。
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8. 副鏡を再度取り付け、
画面に見えている中心の副鏡の外周が中心に来るように、副鏡の角度を3本の押しネジと、1本の真ん中の引きネジで調整する。
9. 鏡筒手前の外側の3つの押し引きネジを調整し、4本のスパイダーが中心になるように持っていく。
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10. これで完了と思ったのですが、ASI294MCの前面をアダプターにぴったりくっつくようにしながら、アダプターのネジを緩めて、カメラを180度回転させると、なんとが全てあっていた同心円とスパイダーが画面中心からずれてしまいました。ここで失敗と判断しました。

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合わせ終わったと思ったところ。

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カメラを180度回すと、画像の中心から全然ズレてしまいました。


一体何がおかしいのか

ここでかなり迷いました。何がおかしいのか?ずれている可能性があるものを挙げてみると
  1. カメラセンサーの法線と、カメラの円筒ケースの軸もしくはカメラの前面の平面がずれている。
  2. フォーカサーが接眼部の軸と平行に取り付けられていない。
最初に考えたのはこの二つです。

でも1はこれまでもカメラを回転させたりして撮影していますが、ここまで顕著にずれが見えたことはありません。
2についてはフォーカサーを前後に動かしてみましたが、画面は対称に拡大縮小されるので、恐らくこれも大丈夫そう。

ここで思いついたのが、もしかしたらCマウントレンズの光軸がズレているのではというものです。

最初床の上でレンズをつけたままカメラを転がしてみたのですが、どうもよくわかりません。ここで、副鏡を外したVISACに取り付けて、カメラをアダプターにピッタリつけたまま回転させてみました。センサーがきちんと取り付けられていて、レンズの光軸もずれていなければ画面の中心を軸として画面が回転するはずです。ここで明らかにずれが見えたので、レンズの軸がずれていると考えることにしました。


3度目の正直か

レンズの光軸にずれがあると仮定して、どうしたら光軸調整ができるか考えたのが、次の方法です。
  1. ASI294MCに50mmのCマウントレンズを取り付ける。
  2. VISACに2インチアダプターを取り付け、そこにレンズごとASI294MCを取り付ける。
  3. 取り付ける際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けること。
  4. カメラの像をPCに映す。
  5. 副鏡を取り外す。
  6. 副鏡を取り付けるネジ穴の位置を画面上で確認。
  7. ASI294MCの前面をアダプターにぴったりくっつくようにしながら、アダプターのネジを緩めて、カメラのみ回転させる。
  8. 回転させた時の画面上の回転中心が、ネジ穴の中心になるように、鏡筒手前の内側の3つの押し引きネジを調整する。これはレンズの光軸ががカメラセンサーの法線とずれている可能性があるからです。
  9. カメラのみをアダプターから傾けて、画面の中心にネジ穴の中心が来るように、頑張ってアダプターのネジを調節し固定する。このアダプターですが、ネジが2つしかないので、もう一つ穴を開けタップを切って3つのネジにしたほうがいいかもしれません。
  10. 上手く固定できたら、それがずれないように気をつけながら副鏡を取り付け、画面に見えている中心の副鏡の外周が中心に来るように、副鏡の角度を3本の押しネジと、1本の真ん中の引きネジで調整する。
  11. 同じくカメラがずれないように注意しながら、鏡筒手前の外側の3つの押し引きネジを調整し、4本のスパイダーが中心になるように持っていく。
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最終的に合わせ終わったところです。
まだカメラは傾いたまま取り付けられています。

写真を撮る余裕がなかったので、取れたのは調整後の写真だけです。 

最後に、カメラのズレを直して見てみました。
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なんと、上下は少しずれてますが、触る前の一番最初の写真の位置とよく似ています。おそらく、最初から光軸はかなりあっていたと思われます。長くかかりましたが、そのことに確証が持てただけでも良かったのかと思います。


まとめ

この方法、原理的には多分正しいと思います。少し心配なのは、
  • カメラをずらして固定するのが難しかったので、少しズレがあるかも。先にも書きましたが、3つ目のねじ穴を空けた方がいいかもしれません。
  • そもそもカメラをずらした方が良かったのか、カメラをずらすのでなく見えている中心を画面中心と改めて定義してから合わせた方がいいのか?
2つ目の疑問は、多分前者の方が正しいと思います。全然間違ったことをやっていないか、星像を見て試そうと外に出たのですが、曇りで月も見えません。なのでこのブログを書いているというわけです。
(2021/8/22 追記: レンズの光軸ずれの誤差が大きいと思い、その影響を小さくする光軸調整の方法を考えていました。)




あと、今回の記事の鏡筒内のどの写真にも写っていますが、主鏡の固定具でしょうか3つの遮蔽物がかなり目立ちます。おにぎり星像の原因の可能性大です。本当は光軸調整よりこちらを隠すようなリングを作るべきなのですが、今回は光軸調整としました。(2021/8/21 追記: 主鏡どめのマスクを作りました。)




四連休は

明日の金曜はMちゃんが来る予定。UV/IRフィルターを入れて星像がどう変わるか試してみようと思っています。
明後日土曜はいよいよ天リフさん主催の「星と宇宙の夏ライブ2021」です。気合を入れて参加します。