牛岳集合

7月17日土曜日の朝、最近県天(富山県天文学会)に新しく入会されたHさんからお誘いがあり、牛岳に行くことに。ついでに天文仲間の小6のMちゃんにも声をかけておきました。Hさんは今年の3月に望遠鏡を買い、星を始めたのですがまだまだ色々悩んでいるようです。とにかく19時に待ち合わせ。私は昨晩撮影で4時に寝たのに、なぜか朝7時に目が覚めて、子供を部活最後の試合に送っていく羽目に。あまり寝てないので午後は丸々お昼寝です。

15時半頃、熟睡している途中になぜか 子供から電話が。17時に迎えに行くはずが、試合に負けてしまったとのことで迎えにきて欲しいとのことです。眠い目を擦りながら、Tシャツ短パンと、ほとんどパジャマのような格好で迎えに行き、ちょっと早いのですがかねてから約束していたくら寿司へ。今のくら寿司すごいですね。入店はタッチパネルで出てきた番号の席に行け、テーブルでの清算もお皿を自動カウント、会計も全部タッチパネルで、一度も店員さんに会うことがなかったので、パジャマのような変な格好でも全く気になりませんでした。まあ他のお客さんの目はありますが、あまり他の席の他人の格好まで気にしていないでしょう。

自宅に戻ると既にいい時間。急いで荷物を積み込み、18時半頃出発。19時10分くらいに牛岳に到着しました。既にHさんは到着していて、早速機材談義。

現在ポルタ経緯台にED80Sf(多分)を載せていているようです。当然ですが、特に高倍率だとすぐに導入した天体が逃げていってしまうのと、あとやはり揺れが気になるようです。ピントを合わせるだけで揺れてしまうのでかなり困っているとのことでした。まあ、ポルタ経緯台は入門機。片持で、三脚も柔いので、揺れに関してはある意味仕方ないです。そこで赤道儀を考えているとのことなのですが、選択肢も多くて悩んでいるみたいです。赤道儀は多分撮影までするかどうかでラインが引けるかと思います。耐荷重的には十数kg程度までの鏡筒を載せて、ガイドもできるとなると機種も限られています。日本で手に入りやすいメーカーも限られているので、あとはメーカーの特徴や予算や好みになってきます。Hさん自身も色々調べているようなので、「私だったら何を買うかなあ」とか、「次に買うんだったらどこのメーカーかなあ」とかいい所、悪い所を言い合ってました。赤道儀はCGEM IIを買うときに色々検討したので、興味のある方はここをお読み下さい。その後、ハーモニクスドライブが出てきたところが大きな違いでしょうか。でもまあ、今ならまだ最初は普通の赤道儀の方がいい気がします。

実際のCGEM IIを出して揺れの具合を見て、ピクっとも動かないことを確認してこんなに揺れないんだと驚いてました。そういえば三脚も最近はセレストロンタイプの下から押し上げるのが主流ですね。このタイプはホントに頑丈です。あとガイドでPCを使うかどうかとか、撮影用のPCにStick PCを使う話をしたりしてましたが、途中雨がぱらついてきて、機材を一旦車の中に退避させました。その後もしばらく雑談していると、月が時々見えてきたり、星が一部見えてきたり、雨も止んで夜に向かって晴れてくれそうな感じになってきました。

いつものようにその場で会った人と

話していると、子供連れの家族が一組到着。どうも星見のようなので声をかけてみると、小4の女の子で理科で星を見る宿題があるので来てみたとのこと。せっかくなので「望遠鏡見ますか?」と言って、いつものSCOPETECHの入門機を自由に使ってもらいました。最初はお父さんから挑戦して、お父さんがうまくできて安心したのか、次は子供にも月を自分で導入してもらいました。ところがこれがすごく面白かったらしく、その子はずっと望遠鏡をいじっています。Hさんと一緒に「そりゃあ自分で触った方が面白いでしょう」と頷いていました。

途中星雲の話が出てきたので、その間に電視観望の準備をして幾つかの星雲を見てもらいました。星雲の話をしているときもその女の子はソワソワしていて、どうやら望遠鏡で月を見たいみたいです。子供は興味があるもをやってもらうのが一番です。「こんな話なんかつまんないよね、どんどん好きなことをして下さい。」と言って、望遠鏡を触ってもらいます。上手く導入できると「入ったから見てー!」とか言ってパパとママに自慢げに見せるところは見ていて微笑ましいです。しきりに「望遠鏡欲しい」と言っていました。もし買うなら、ホームセンターで買うのでなく、安くてもきちんと作っているメーカーのものを買って下さいとだけアドバイスしておきました。SCOPETECHかVixen、今ならCelestronのStarSense  Explorerが面白いでしょうか。

Hさんは人に望遠鏡を見せることもほとんど初めてで、最初この女のことをMちゃんのと思っていたらしく、知り合いに話していると思っていたみたいです。でも途中で初めて会っただと気づいて、「こうやって人に見せるんですね」とか妙に関心していたみたいでした。

その後ももう一組、5歳の男の子と、もっと小さい赤ちゃんを抱っこした家族が一組きて、天の川が出るくらいの0時頃まで長居していました。木星も土星も登ってきているので、Hさんと一緒に導入にしてみてもらったりしました。途中大きな流れ星が見えてその男の子が興奮してました。

D499DDF6-4819-429D-969D-5DAE3E7D8C2E



電視観望はFMA135の実戦投入

電視観望の方はというと、今回の機材は気合を入れて準備したのに立山で活躍できなかったFMA135+ASI294MC Proです。これをAZ-GTiに載せてみました。手動導入でも良かったのですが、MちゃんがAZ-GTiを買ったというので、使える状態にしておこうと思いこの組み合わせにしてみました。感想はというと、やはり自動導入はあったほうが楽で、自分だけならまだいいのですが他にお客さんがいる時などは時間の節約になります。今回見たのは大したことなくて、M57、M27、北アメリカ星雲、M8とM20くらいです。

9CBD31F4-0830-4794-A2FF-629005D65050

23_31_37_Stack_188frames_301s_WithDisplayStretch
下の黒い斜めの影は、南側にある建物の屋根。

何組かのご家族や、たくさんきていた富山県立大学の天文部の方達が15人くらいでしょうか、彼らに見てもらいました。学生の中に電視観望に興味がある子がいて、部員の子達に色々説明してくれていました。県立大の人たちは天文部に新1年生を迎え、新歓観望会のような感じでした。カメラをいくつか持ってきていて天の川の星景狙いっぽかったですが、それまで手持ち無沙汰のようだったので、SCOPETECHや星座ビノを使ってもらいました。何人かの子達は星座ビノ見え具合にものすごく驚いていました。

眼視も面白い、眼視と電視の比較も面白い

途中、かんたろうさんが乱入してきました。ちょうど牛岳に来る途中で電話がかかってきて、そのとき長野の御岳にいると言っていました。「どうしようかなあ」とか言っていましたが、ホントに来たようです。かんたろうさんは25cmのGINJIをJPに載せて眼視で色々見せてくれました。M8の暗黒帯、M20とその強拡大での星の密集具合など、眼視もやはり面白いです。M8とかM27とか電視観望と眼視で見比べができたのが良かったです。他の人たちも喜んでいました。

Mちゃん到着

23時前でしょうか、Mちゃんとお母さんがやっと到着しました。科学博物館の観望会に出てから、その後運転して来てくれたようです。途中山に登る道が通行止めになっていると電話があったので心配してましたが、何とか到着できたようです。

Mちゃんも早速準備を始めます。とりあえず赤道儀から試してましたが、すぐに片側のモーターが不調で諦め他みたいです。

9A3AB171-CB60-414B-8263-7EEF733AE76B

23時を過ぎたあたりから、どんどん人が増えてきました。今日の月の入りは23時半頃で、この頃から天の川がどんどん見えてきます。月が完全に沈んでからしばらくしての天の川は見事なものでした。おそらく透明度も相当良かったのかと思います。別れて2本になるところもはっきりと見えました。木星と土星もかなりはっきり見えたので、シンチレーションも相当良かったのかと思います。


AZ-GTiでのファーストライト

その後、Mちゃんも今日のメインのAZ-GTiを出します。いつかくる誕生日のプレゼントを先取りとのこと。ちょうど在庫が出た時に発注して、先週くらいに到着したらしいのですが、学校のテストがありしばらくの間は封印。昨日の金曜にやっとテストが終わり、本日土曜の朝から開封していたとのことです。

でも今晩は初めての機器を実際に使うので焦らずにセットアップ。ハーフピラーに取り付けるところを少し手間取ってました。鏡筒部は以前組み立てたMILTOLとASI224MC。使っていたソフトはASI Image。画面上でとりあえず何かカメラに反応があるのを確認します。途中SynScanをSynScan Proに変えたり、ちょっとした接続トラブルがあったのですが、無事に接続できました。

最初木星でアラインメントを取りますが、まずは「あー、動いたー!」と大喜び。それもそのはず、自分の機器での自動導入は初めてです。

レンズが空に向いたので、星が見えるようにピントを調節。無事に星が見えてきました。最初にアラインメントで導入した状態では木星は入りませんでしたが、少しずらすと木星が見えます。中心にマニュアルで持っていきアラインメント終了。ところが、次のすぐ近くの土星を入れてみると、全然ずれて土星が画面内に入ってきません。これだけ近いのに導入できないのは何かおかしいです。聞いてみると、どうやら水平を取っていなかったと言うのでこれが原因でしょう。三脚についている水準器を見ながらあらためて水平を取り直します。

一旦AZ-GTiの電源も落とし、初期位置に戻し、また最初からアラインメント。こんどは木星、土星と立て続けに入ります。使っていたASI Imageは本来DSO撮影用のソフトです。基本的に暗い天体用なので木星も土星も明るすぎて、縞とか輪っかとか見えません。焦点距離が200mmなので、小さすぎて形まで見ようとするとゲインとか露光時間とか調整する必要がありますが、どうもASI Imageだと調整範囲が限られていて厳しいです。ソフトをASI Liveとかに変えようとしましたが、前にインストールしたはずのものが見つかりません。まあ惑星は諦めて、淡い天体に行きます。


とうとうDSOが!

明るい星は映るものの、どうも淡い星がうまく映らないので色々パラメータをいじります。結局ゲインがLowになっていたのが問題でした。淡い星がなんとか見えたので、Mちゃんはアルビレオを見ることに。ですが赤と青の組み合わせに見える星が画面内にいくつもあり、いまいちどれか分からず。恒星はあまり電視観望は向かないですね。

次はメインの星雲。比較的大きくて明るいM27をめざします。でも一発目ではやはり入りません。そこでまずはアルタイルを入れてもらうことに。やはりアルタイルも少し画面からはみでますが、明るいので少しずらせばすぐに画面内に入ってきます。そのときどの方向にずれていたかを頭に入れておきます。次にM27を導入して、それがアルタイルがずれていた方向にあると仮定して、そこが画面中心に来るような方向にずらしてやります。するととうとうM27がはいってきました。

「わー!!!こんなに綺麗に見えるんだー!!!」ともう大喜び。よっぽど嬉しかったのでしょう。「おもしろすぎ」とか「嬉しすぎ」とかキャーキャー声を上げまくり。それもそのはず、最初はポルタ経緯台でM42を導入して、赤道儀はさらに導入が難しく、やっと自動導入する手段を得たわけです。しかも放っておいても追尾してくれて逃げていかないので、撮影も落ち着いて出来ます。その後、露光時間を30秒程度まで伸ばしてどんどん綺麗な画像を出していきます。ASIのソフトすごいですね。ストレッチを常にオートでかけているので、露光時間を伸ばすとユーザーからは単純にノイズが減った効果だけがうまく見えるようになってます。

あ、ちなみにこれらの作業全部Mちゃんがやってます。私は基本見てるだけ、どうしても困ったときにだけ声をかけてます。露光時間の設定も、どう写っているかの確認も、実際に撮影モードで画像に落とすのも、どこのフォルダに保存されるかのの設定と確認も、きちんとファイルになっているかの確認も全部Mちゃんが自分でやっています。後、やはりASIのソフトが初心者に親切だと思ったのが、ストレッチされた見たままの画面がそのまま保存され得るのがデフォルトになっていたこと。普通はRAWがデフォルトなので、保存された画像を見て暗い!なんで?と思ってしまうはずです。

「M13って見えそうですか」と聞いてくるので、「うーんまだ大丈夫じゃない」と答える間も無く、自動導入を始めてました。今度は画面下の方ですが、一発で入ってきます。AZ-GTiの自動導入に感激したのか「これかなり便利ですね。」と赤道儀と比較して言います。

9D0203CB-5B0F-4E89-9B3E-45FED104EF46

次にM31のアンドロメダ銀河。入った途端に「わー!」露光時間を何通りか伸ばして、180秒は完全にサチることを理解。最後60秒に決めて撮影。ボソッと「沼だ...」とつぶやいていたのを私は聞き逃しませんでした。

最後、M57を導入しようとして、少し見えたところでPCのバッテリー切れで終了。Mちゃんのこの嬉しそうな様子を見て、お母さんもちょっと満足そうでした。なんでも自宅だとベランダ観望になり、北側が見えないそうです。AZ-GTiなら初期アラインメントに北側の星も必要ないのでちょうどいいと思ったみたいです。

私はというと、Mちゃんの様子を見ているだけで幸せでした。小学生にとってはAZ-GTiはかなり高価なはずで、勧めたはいいけど贅沢にならないかと少し心配していました。でもこれだけ喜ぶのなら今後使うことも考えて十分な価値があるのではと思います。そうそう、夏にキャンプに行くらしくて、そこで電視観望をしたいと思っているみたいです。一番の問題はPCのバッテリー。屋外で途中充電できないので、AC電源付きの大容量バッテリーがあるとなんとかなるのではと思いました。

この時点で午前2時くらい。多分小学生には限りなく眠い時間でしょう。お母さん曰く、こんな遅くまで起きてたことはないらしいです。多分ものすごく眠いのと、ものすごく嬉しくて興奮気味で、かなりハイになっていて、機材を片付けるのが大変そうでお母さんが困っていました。どう見ても眠そうなのですが「明け方までいる」と口ではいうものの、もう限界っぽいです。それでもお母さんは「まだいてもいいよ」と言っていましたが、流石に帰ることになったようです。大学生もいたので、ホントは色々話したりするも楽しいはずです。帰りの車の中ではいい夢を見るのではないかと思います。

あ、帰るときに自宅で焼いてきたというチョコクッキーを頂きました。今朝起きてから家族で食べたら「おいしいおいしいと」言って、下の子がほとんど食べてしまいました。私と妻が食べれたのは1枚づつ。ほんとにおいしかったです。


撤収

気づくと午前2時半。この日は3時には薄明に入り始めるので、ここら辺で撤収です。Hさん、かんたろうさんともまた再開を約束して帰路に着きます。結局は私はいつものように人がいるところでは撮影できず。透明度もシンチレーションもよかったので勿体無いと言えば勿体無いのですが、それよりも人がいる時は話していた方が楽しかったりします。