前々回前回とVISACで試した、10秒露光の30枚ライブスタック


 

を普通の300秒露光で以前撮影したM104ソンブレロ銀河で再び試してみました。でも今回は結果が出なかったので、単なる記録記事です。


撮影と結果

今回の撮影時間は 10秒露光x30枚ライブスタックx32枚 = 2時間40分です。スタックした直後の画像をオートストレッチして見てみます。

masterLight_ABE_ABE_PCC

前のM104と比べてみます。左が前回の連続300秒露光、右が今回10秒露光の30回ライブスタックです。

comp

違いは
  1. ○ 今回の方が星像はほんの少しだけ締まっています。
  2. × ノイズは今回の方が圧倒的に多いです。
  3. × 微恒星も今回は完敗です。
これはNGC4216で見た傾向と全く同じです。というか、トータル露光時間のさは前より小さくなっている(前は7時間と1時間、今回は4時間と2時間半)のに、ノイズに関しては差がさらに大きく出ています。ノイズに関しては2つ理由が考えられます。

まず一つは読み出しノイズです。そもそも読み出しノイズは一回露光したら必ず読み出されるノイズなため、一回の露光時間を伸ばすのが唯一の改善策です。もちろん撮影枚数を増やすことでもへらすことができますが、その効果は小さいです。実際、300秒から10秒にしたので、√30で5.5倍くらいになります。トータル撮影時間が前回が4時間10分で、今回が2時間40分なので、250分/150分 = 5/3のルートで1.3倍。読み出しノイズがゲイン120のところと420のところでまあ1.3倍くらいよくなるので、これでトータル露光時間での悪化と相殺とすると、やはり5倍強程度悪くなっていることになります。

もう一つは、リアルタイムのダーク補正をしているのですが、このダークファイルのノイズがコヒーレントに重なってしまっていることが考えられます。ダークファイルは10秒露光で8枚撮影して平均したものです。ライトフレームのトータル露光時間減るべきノイズよりも、ダークファイルのノイズの方が遥かに大きい状況かと思います。ディザーが十分なら、適当にちらされるはずなのですが、どうもディザーの振幅が小さかった可能性があります。ホットピクセルやクールピクセルは後で検出して画像処理で除去できるので、もしかしたらダーク補正はしないほうがいいのかもしれません

一応最後まで仕上げましたが、やはりノイズが大きいことが災いしてか、全くダメです。

masterLight_cut_ABE_ABE_PCC_ASx3_ET3

どうも露光時間を30分の1にしているのに、星像の改善があまりにも少ないです。また、ノイズと微恒星に関してもちょっと厳しい結果になっています。もう少しやり方を変えた方がいいのかもしれません。

星像の改善に関しては少し計算して見ました。結構面白い結果が出たので、これについてはまた記事にします。


最近の撮影時のトラブル

VISACでの銀河撮影を始めて、ASCOM経由で接続している赤道儀が動かないことが2−3度ありました。一度はケーブルを赤道儀のコントローラーに繋いでいないという間抜けなミスでした。あとはちょっといやなトラブルで、接続されていると表示されるのに信号を送っても赤道儀が反応しないというものです。接続しているソフトやセレストロンドライバーを落とした後に発生するみたいで、これが起きるとPCを再起動する以外は解決策がなかったです。

銀河撮影の後に、FS-60CB(青い馬星雲を撮影しました。また画像処理して記事にします。)で撮影した時、BackYarEOS (BYE) でカメラに接続できないことが一度ありました。カメラの電源が切れたのかなと思ったのですが、そうでもありません。また、PC再起動直後だったので前の接続がとかいうことはありません。結局BYEを再起動することで解決しました。

あと、PHD2が何故が赤経側の一方向にずっとドリフトがあり、補正信号を出し続けているという現象が起きました。最初VISACの固定方法を疑ったのですが、問題になるようなところは見当たらず、その後に変えたFS-60CBでも同様のドリフトが起きたので、PHD2自身か赤道儀に問題がありそうです。でもこれは赤道儀の電源を入れ直したら直りました。


VISACのさらなる強化

今回のM104撮影後、まだどうも鏡筒を横から弾くと星が振動します。一番の問題はやはり一つの鏡筒バンドに対して、下側一本のネジで固定していることです。鏡筒が赤道儀から横に転げ落ちるようなモード(一般的にロールモードと言います)が弱いです。鏡筒がお辞儀するようなピッチモードや、水平面に回転するようなヨーモードは、たとえ鏡筒を叩いて励起しても、星像はほとんど揺れません。

ただ、ネジを補強するにしてもどうやればいいのか?鏡筒バンドとアリガタとの設置面積がちいさいので、ネジなどをつけるのもなかなか大変です。

Twitterで呟くと、何人かの方反応してくれました。その中でrimpaさんがアリガタ下からの押しネジでリングを固定しているとのこと。「そうか、押しネジでいいのか!」と思い、さらにシンプルに改良しました。

もともと橋頭バンドとアリガタを取り付けたM6のネジの左右に、M8のいもネジを入れました。これで押し引きネジ構造になります。

IMG_2194

下の写真の左側、鏡筒の先の方は穴にねじ山が切ってあったのですが、右側、接岸側はただの穴でした。そのためM8のタップを切り、そこに同様にいもネジを入れました。

IMG_2192

手で触っても違いがわかるくらいガチガチになりました。次回これで撮影を試してみます。


まとめ

VISACについてはある程度クセが見えてきました。強化は必須ですね。まだ不十分かもしれません。

光軸は副興側はある程度調整しましたが、接眼側もふくめて調整する必要がありそうです。今のところおにぎり星像が出る確率は減ってきました。でもこれは光軸調整がまだ不十分だからという可能性もあります。

ラッキーイメージはもう少し見直します。シンチレーションも大いに関係するのですが、分解能ができるだけ出るようなパラメータをもう少し見つけたいと思います。