今回はVISACの強化計画です。
ここ何回かの撮影で分かったのですが、どうもVISACでガイドすると1-2時間経つと天体が画面中央から右にドリフトして(流れて)いきます。これはガイド鏡と鏡筒が相対的にズレていくことが原因なのですが、同じガイド鏡を使ってもFS-60CBやTS−120を使った時には気付かなかったので、VISAC自身の問題の可能性が高いです。もちろんVISACの場合焦点距離が1800mmと長いので、より目立つだけという可能性もあります。でも900mmと約半分焦点距離のTS-120で同じようにたわむなら、半分程度のドリフトはあるはずですが、これまで気になったことはありません。
改めてVISACを見てみると、鏡筒の筒自身の金属の厚さが薄く、相当ペラペラです。下部にはVixen規格のアリガタが全長にわたって付けてあるのでまだいいのですが、上部は人工皮の柔らかいベルトがついているだけでなんの補強もありません。筒自身が自重でたわみ、赤道儀の回転とともに丈夫に取り付けてあるガイド鏡がずれていくのは十分ありえる話だと思いました。
そんなドリフトのことをTwitterで呟いたら 、けーたろさんより鏡筒バンドを使うとたわみが 一気に解決というアドバイスがありました。確かにHIROPONさんが教えてくれた参照したページを見ると、昔から皆さんVISACでのガイドに苦労しているみたいです。
このページにはガイドがうまくいかない例から書いてましたが、私の場合はSharpCapで極軸の精度をそこそこ出しているので、ガイド自身はうまくいっています。また、クランプ部分を二つつかうといいといことも書いてありますが、CGEM IIのクランプはそこそこ長いのでこれも問題なさそうです。
その上でたわむ場合は鏡筒バンドがいいということで旧誠報社のものを紹介していましたが、今は誠報社自身がありません。
少し調べると、Vixen製でRS200用に同じ232mm径のものが1万円程度と安価に出ていました。
ただし、固定がねじ1本で心許なそうです。更に調べるとタカハシからもε180用に同じ232mm径のものが出ていて、こちらは固定が2本ネジ。でも価格が5万程度と跳ね上がります。三基光学でも232mmがありましたがこちらもタカハシと同程度の価格です。日本で買えるのはこの3種程度のようです。流石に鏡筒バンドに鏡筒を買った値段と同程度かける気にはなれず、Vixen製としました。
同時に、moreblueのLosmandy規格の352mmのアリガタと
アマゾンでアルカスイス互換の400mmのプレートを注文しておきました。
これで上下からプレートで挟み込めるので、強度的にも改善されると思います。
届いたものを並べるとこんな感じ。
元々下に長いVixen規格のアリガタ、上に皮バンドがついていたVISACが随分と変わりました。Losmandy企画のアリガタを少し接眼側にはみ出して重心を取りやすくして、上はガイド鏡などの固定と持ち手を兼ねたアルカスイスプレートを取り付け、こんな写真のようになりました。アルカスイスプレートは全部のネジ穴がインチ規格で、中止を通る長穴がギリギリM6ネジが通らなかったので、固定したい位置にドリルで穴を広げてM6ネジが通るようにしました。
触った感じでもかなり頑丈そうです。固定が1本ネジで心配でしたが、上下にプレートをつけることでそこそこ頑丈になったようです。もしこれでもヤワいようならリングを3本にするか、ネジ穴をリングの固定部に空けて、更に強固に固定するかもしれません。
さて、この日は新月期で天気も良く、しかも昼間の立山を見るに透明度も良さそう。3択です。
結局VISACの結果をどうしても見たくて、とりあえず自宅で撮影して、そのまま放っておいて夜中くらいに移動してアンタレスの上の青い馬星雲を狙うことにしました。ところがこれがトラブルだらけ。
まずは強化したとかしないとか以前の問題で、アラインメントで試しに星を入れて視野をカメラで見てみたのですが、なんと全部の星が彗星のように尾を引いています。どうも、元からついていたアリガタプレートが鏡筒を歪ませていて、外した段階で光軸が相当ずれてしまったようなのです。これまで星像がオニギリになるとか言っていたのですが、その比ではありません。しかたないので光軸調整です。
今回は鏡筒部の歪みで光軸がずれたと考え、主鏡と接眼部はいじらずに、鏡筒の先端についている副鏡のみをいじることにしました。押し引きネジ構造なのですが、真ん中の引きネジがあまりに固くてプラスネジ時だったのでナメるのが怖くて、周り3本の押しネジのみで調整することになりました。押しネジは六角レンチなのですがこちらも結構固く締められています。カメラに映った星を見ながら押しネジをいくつか緩める方向で調整することで、完全とは言い難いですがそこそこの星像にはなりました。
次に困ったのが鏡筒バンドに置くときの鏡筒の回転方向の角度決めです。きちんとスパイダーが水平垂直になるように鏡筒とカメラを置かないと、撮影時に光条線がへんな方向を向いてしまいます。
いろいろ考えたのですが、結局やったことをまとめておきます。
少し撮影もしたのですが、長くなるのでこれはまた次の記事にします。短時間露光で分解能を狙うことを考えています。
ドリフト
ここ何回かの撮影で分かったのですが、どうもVISACでガイドすると1-2時間経つと天体が画面中央から右にドリフトして(流れて)いきます。これはガイド鏡と鏡筒が相対的にズレていくことが原因なのですが、同じガイド鏡を使ってもFS-60CBやTS−120を使った時には気付かなかったので、VISAC自身の問題の可能性が高いです。もちろんVISACの場合焦点距離が1800mmと長いので、より目立つだけという可能性もあります。でも900mmと約半分焦点距離のTS-120で同じようにたわむなら、半分程度のドリフトはあるはずですが、これまで気になったことはありません。
改めてVISACを見てみると、鏡筒の筒自身の金属の厚さが薄く、相当ペラペラです。下部にはVixen規格のアリガタが全長にわたって付けてあるのでまだいいのですが、上部は人工皮の柔らかいベルトがついているだけでなんの補強もありません。筒自身が自重でたわみ、赤道儀の回転とともに丈夫に取り付けてあるガイド鏡がずれていくのは十分ありえる話だと思いました。
たわみ対策案
そんなドリフトのことをTwitterで呟いたら 、けーたろさんより鏡筒バンドを使うとたわみが 一気に解決というアドバイスがありました。確かにHIROPONさんが教えてくれた参照したページを見ると、昔から皆さんVISACでのガイドに苦労しているみたいです。
このページにはガイドがうまくいかない例から書いてましたが、私の場合はSharpCapで極軸の精度をそこそこ出しているので、ガイド自身はうまくいっています。また、クランプ部分を二つつかうといいといことも書いてありますが、CGEM IIのクランプはそこそこ長いのでこれも問題なさそうです。
その上でたわむ場合は鏡筒バンドがいいということで旧誠報社のものを紹介していましたが、今は誠報社自身がありません。
強化道具を探そう
少し調べると、Vixen製でRS200用に同じ232mm径のものが1万円程度と安価に出ていました。
ただし、固定がねじ1本で心許なそうです。更に調べるとタカハシからもε180用に同じ232mm径のものが出ていて、こちらは固定が2本ネジ。でも価格が5万程度と跳ね上がります。三基光学でも232mmがありましたがこちらもタカハシと同程度の価格です。日本で買えるのはこの3種程度のようです。流石に鏡筒バンドに鏡筒を買った値段と同程度かける気にはなれず、Vixen製としました。
同時に、moreblueのLosmandy規格の352mmのアリガタと
アマゾンでアルカスイス互換の400mmのプレートを注文しておきました。
これで上下からプレートで挟み込めるので、強度的にも改善されると思います。
改造開始
届いたものを並べるとこんな感じ。
元々下に長いVixen規格のアリガタ、上に皮バンドがついていたVISACが随分と変わりました。Losmandy企画のアリガタを少し接眼側にはみ出して重心を取りやすくして、上はガイド鏡などの固定と持ち手を兼ねたアルカスイスプレートを取り付け、こんな写真のようになりました。アルカスイスプレートは全部のネジ穴がインチ規格で、中止を通る長穴がギリギリM6ネジが通らなかったので、固定したい位置にドリルで穴を広げてM6ネジが通るようにしました。
触った感じでもかなり頑丈そうです。固定が1本ネジで心配でしたが、上下にプレートをつけることでそこそこ頑丈になったようです。もしこれでもヤワいようならリングを3本にするか、ネジ穴をリングの固定部に空けて、更に強固に固定するかもしれません。
実際に夜に試してみた
さて、この日は新月期で天気も良く、しかも昼間の立山を見るに透明度も良さそう。3択です。
結局VISACの結果をどうしても見たくて、とりあえず自宅で撮影して、そのまま放っておいて夜中くらいに移動してアンタレスの上の青い馬星雲を狙うことにしました。ところがこれがトラブルだらけ。
たくさんの彗星が見えた!?
まずは強化したとかしないとか以前の問題で、アラインメントで試しに星を入れて視野をカメラで見てみたのですが、なんと全部の星が彗星のように尾を引いています。どうも、元からついていたアリガタプレートが鏡筒を歪ませていて、外した段階で光軸が相当ずれてしまったようなのです。これまで星像がオニギリになるとか言っていたのですが、その比ではありません。しかたないので光軸調整です。
今回は鏡筒部の歪みで光軸がずれたと考え、主鏡と接眼部はいじらずに、鏡筒の先端についている副鏡のみをいじることにしました。押し引きネジ構造なのですが、真ん中の引きネジがあまりに固くてプラスネジ時だったのでナメるのが怖くて、周り3本の押しネジのみで調整することになりました。押しネジは六角レンチなのですがこちらも結構固く締められています。カメラに映った星を見ながら押しネジをいくつか緩める方向で調整することで、完全とは言い難いですがそこそこの星像にはなりました。
鏡筒の回転方向の調整
次に困ったのが鏡筒バンドに置くときの鏡筒の回転方向の角度決めです。きちんとスパイダーが水平垂直になるように鏡筒とカメラを置かないと、撮影時に光条線がへんな方向を向いてしまいます。
いろいろ考えたのですが、結局やったことをまとめておきます。
- まずは鏡筒にカメラを取り付け、鏡筒の角度はどうでもいいので、カメラで写した光条線の十字が水平垂直になるようにカメラの向きを合わせます。
- その後、適当に明るい星を画面中央になるようにコントローラーで持ってきて、SharpCap上で画面に十字の線を出します。
- 赤緯を動かしたときに、星が線と平行に動くようになるまで鏡筒バンドを緩めて鏡筒全体を回転させます。
撮影
少し撮影もしたのですが、長くなるのでこれはまた次の記事にします。短時間露光で分解能を狙うことを考えています。
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