久しぶりに集まりましょうと、先週計画されていた富山県天文学会の牛岳での惑星観望会。天気が悪かったため昨晩の2020年10月3日に延期でした。でもこの日も天気予報はずっと曇り。朝のうちに中止とのメールが流れましたが、どうもSCWで見るとそこまで天気は悪くなさそう。もしかしたらと思い、夕方少し昼寝しておいて目を覚ますと快晴です。メールにもやっぱり集まりましょうと流れていたので、早速荷物を詰め込んで18時半頃に出発。

機材はC8と25cmのMEADEのシュミカセとSCOPETECH、もしかしたら電視観望もするかもと思いFS-60Q一式です。赤道儀はCGEM IIと念のためAVX、それと汎用的にAZ-GTiです。さてさてどうなることやら。


牛岳二番乗り

19時過ぎに牛岳に着くと、すでにKさんが木星を導入してました。Kさんから画像処理をうまくやりたいけれどなかなかうまくいかないと相談を受けていたので、久日ぶりに会えたこの日はチャンスです。

私の方も早速準備を始めました。機材は迷ったのですがその前の日にC8で撮影したので、この日はMEADEで試すことにしました。


SCOPETECHはあいからわず大活躍

設置の途中に、親子連れがきていたので「望遠鏡見ますかー?」と声をかけ、いつものSCOPETECHを覗いてもらいました。もちろん覗くだけでなく、操作して導入もしてもらいました。4年生の女の子で、ちょうど理科で習うので星座早見板を持ってきて星座観察をしたかったみたいです。自宅では明るすぎで星座も見えないとのこと。でもこの日は満月の次の日で、流石に星座を見るのも大変でした。月と土星と木星、最後に火星と一通り見てもらいました。女の子もお父さんも導入に挑戦し、最初はうまくいかなかったようですが、途中だんだん導入できるようになり、ぐるっと回って最後に月に戻ったときには、自分で入れて自分で見ることができていました。下の女の子は聞いたらまだ年長さん。眠そうで「早く帰ろうよー」と言っていましたが、持っていたぬいぐるみにも望遠鏡を覗かせてあげていて可愛かったです。

少し後の時間にもう1組、小さな女の子と、もうお母さんの背中でぐっすり眠っているさらに小さな子の親子4人組がきてSCOPETECHを覗いていきました。お父さんが頑張って導入して、子供にかっこいいところを見せることができたようです。

やっぱりSCOPETECHクラスの長焦点の入門機はこう言ったときに大活躍です。私は星まつりで安価に手に入れたので、もう「壊してもいいので思う存分さわってください」と言っていつも触ってもらっています。これくらい言わないと、やはり光学機器は高価という印象か、なかなか自分では触ってくれないのです。


MEADEの見え味

MEADEのほうは、設置が終わり月と火星を眼視で見てみました。このMEADE、久しぶりに見ても中心像はかなりの分解能が出るのですが、中心から少しずれただけの周辺像も眼視で見ても収差があるのがわかります。そもそもこのMEADEはF6.3バージョンの明るいもの。シュミカセはF値の3乗に反比例してコマ収差が出るはずなので、周辺はあまり有利ではありません。結局この日は月と、火星を見たテストだけで終了してしまいましたが、一度気合を入れて昼間にでもフルテストをする必要がありそうです。


県天の人と

Nさんが初の電視観望をするとのことで、少し立ち会いました。カメラがASI178MCで、鏡筒がC8です。焦点距離2000mmで、惑星なのでこれくらいでいいのですが、導入が困難極まることを実際試してみて実感したようです。「星雲とかでは焦点距離200mmでやりますよ」とか話したら、ものすごく納得してました。多分知識としてはセンサ面積が小さいとか、焦点距離が短い方がいいというのはどこかで得ていたと思うのですが、やはり自分でやってみて初めて本当に納得するというようなのの典型だったようです。でもこの人は県天のメンバーで、電視観望は今回初めてとのことですが、普通にベテランの方です。それでも試して実感することが必要というのは、心に留めておくべきだと思いました。口だけの説明ではなかなか伝えることは難しく、よりわかりやすく、納得できるかつ簡潔な説明が必要だと改めて思いました。

今回は、久しぶりに皆さんに会えたことが一番の収穫でしょう。結局県天のメンバーだけでも9人集まりました。これだけ集まるのは本当に久しぶりです。K会長のFS-128で月を見せてもらいましたが、収差は私レベルでは全くわからず、あいからわずキレッキレです。FC-76使いのYさんはε130とLosmandyのG11赤道儀を購入したとのこと。かんたろうさんはC8のファーストライトでした。皆さん外に出れない間にいろいろ進んでいるみたいです。そういう私も、今回は持って行かなかったですがTSA-120でシリウスBトラペジウムがGHIくらいまで見えた話をしました。

そういえば、話の方に夢中で写真を撮るのをすっかり忘れてました。晴れたら火星を見て、曇ったら話すの繰り返しだった気がします。この日唯一の写真です。Sさんの鏡筒だったのでしょうか、スマホで月撮影です。アイピースの視野がなかり広いので、スマホも手持ちで合わせることができました。なぜか下の方でした月が入ってきませんでしたが、撮って出しで何の加工もなしで、そこそこ見えてしまいます。

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惑星撮影と画像処理のお手伝い

22時すぎくらいだったでしょうか、今日一番乗りできていたKさんがちょうど火星の撮影をしていました。一度手順を習いたいと言っていたので、少し一緒にやってみました。撮影に使っているのはSharpCapです。FireCaptureも一応紹介はしますが、使っているソフトを無理に変える必要もなく、撮影をするだけならSharpCapで十分なので そのまま続行です。撮影にもまだ慣れていないようでいくつか簡単なアドバイスだけしました。

今回問題だったのはRAW8で撮っていたこと、露光時間が10数msとまだ短くできそうなことと、それでもゲインが高くサチっていたことでした。RAW8とRAW16が実際結果にどこまで差があるかは私もきちんと検証したことがないので正確にはわかりませんが、ディスク容量に余裕があるなら念のためRAW16のほうがいいでしょう。露光時間は5msまで短くしました。ゲインも60(6dB)さらに下げてやっとサチらなくなりました。なので4倍くらい明るすぎたことになります。「あー、こんな暗くていいんだ」と言っていたので、画面で見るだけだとやはりわかりにくいのだなと改めて思いました。そもそもヒストグラムをこれまで見てなかったみたいなので、ヒストグラムの大切さも話しました。

この状態で火星を1分程度撮影をしました。できたファイルをKさんのPCにインストールしてあったAutoStakkert!2で早速スタックします。一応3もありますよと伝えておきます。画像処理ソフトもまだあまり試せていなかったようで、一から一通り試してみました。その後、RegistaxでWavelet変換をしようとしたのですが、Kさん「Registaxは入っていない」と言います。しかもPCのバッテリーがあと15分しか残ってません。と思ったら、この流れを忌みていた多分Oさんだったと思いますが、デスクトップにRegistax6のアイコンがあるのを発見。なるほど、インストールはしてあったのですが、まだ印象が薄かったようです。とりあえず、立ち上げてスタックしたファイルを読み込みます。Dyadicの方が効果が出やすいことを伝え、レイヤーの細かい方から順に上げていって、上げすぎでくどくならない程度に抑えることを伝えました。ちょうどこの頃は結構シーイングがよかったせいか、模様もかなりきれいに出ていました。

Kさんは2年くらい前でしょうか、新しく県天に参加したメンバーで、社長行を息子さんに譲って天文趣味を始めたとのことです。まだまだあまり経験がなく苦労しているようなのですが、とりわけPCが大変のようです。自分で立ち上げた技術会社の社長だったので、もちろん理系的な素養は十分にあると思うのですが、やはりPCは年配の方には大変だと言う話はよく聞きます。特に惑星はソフトもいくつか渡り歩きますし、プロセスも複雑です。

今の天文は眼視とかはいいのですが、撮影となるとデジカメ同様ほぼPCが必要となります。私は特に気にしないのですが、やはり初心者や年配の方のことを考えると、もう少しPCレスで楽しめる方法があってもいい気がします。やはり将来はスマホがキーデバイスになるのでしょうか。

一方私はと言うと、Kさんがうまく撮影できているを見て、せっかくだから撮影までしようとしたのですが、すぐに雲が出てきて結局諦めてしまいました。


機材の振動で議論に

その後、Kさんのところにかんたろうさんもきて、振動の検証となりました。まず、赤道儀の赤経ところで明らかに良く揺れます。まあ荷重がかかるところなので仕方ないですが、見ただけでも構造上なぜか結構細くなっているので、ここが揺れるのは当たり前かなあと思いました。一方赤緯軸はそれに比べると揺れはだいぶん少ないです。

と、ここら辺まで見ていてかんたろうさんが気づいたのですが、なぜか三脚あたりがグラグラです。まず、ハーフピラーを使っているのですが、そこの下段のネジをきちんと締めていなかったのが原因です。でも、それを締めてもまだ三脚部分が揺れます。どうも三脚の各足の根本の部分が弱くて、全体の水平回転のねじれに弱いようで、力を入れて赤道儀を水平要綱にねじると見た目で簡単にそのねじれが分かるほどです。足の根本のネジが緩んでいる可能性もありますが、やはり構造的に弱そうな印象は拭えませんでした。帰ったらとりあえずネジを締めてみるとのことです。

その後、隣に置いてあった私の重いMEADE25cmを載せてある赤道儀をねじったりしてみてもらったのですが、目で見るくらいではピクリともせず、その揺れのなさに納得していたようです。それでも撮影すると、これだけ重く焦点距離が長い鏡筒だと揺れは無視できないことも伝えました。

Kさん曰く「惑星撮影中にも、しょっちゅうカクッとずれてしまう」とのこと。確かに先ほどの撮影時も火星を中央に持ってくるときにカクンとなるようなことがありました。やはりグラグラだったので、少し触れただけでずれてしまっていたようです。


解散後もうだうだと

23時すぎでしょうか、雲も暑くなってきたので皆さん諦めて帰宅モードです。私も撮影を諦め片付けはじめたのですが、全部片付け終わって空を見るとまた晴れています。あー、惜しかったと思いましたが、この後もあと1-2回曇りと晴れを繰り返したりして最後はずーっと曇りになってしまいました。最後みんなで輪になって少し話して解散となりました。

でもKさんと、かんたろうさんと、私の3人で、Kさん差し入れのコーヒーとビーフジャーキーをつまみに、改めて椅子を出して輪になって、1時間弱でしょうか、話していました。Kさんとかんたろうさんが仕事のことでかなり盛り上がっていたのをずっと聴いていました。途中、以前京都の星もとで購入したJASONという言う今ではなもなきメーカーの実視界11度、7倍の50年くらい前の双眼鏡をみせたら、かんたろうさんがびっくりしてました。私自身あまり双眼鏡は詳しくないのですが、やはり実視界11度というのはかなりめずらしいようです。

0時半ころでしょうか、私もだんだん眠くなってきて、トイレに行って帰ってきたところくらいで解散となりました。


まとめ

今回は本当に久しぶりの星仲間の集まりです。やっとこういったこともできるようになってきたというところでしょうか。今週末は福島のスターライトフェスティバルです。こういったイベントもやっと少しづつ再開しています。楽しみですが、あまり油断せずやっていけたらと思います。

と、今回は写真もそこそこに、日記と思って記事を書きましたが、実は書きたい記事がまだ4つほどたまっています。迷人会の微動雲台の振動テストもその一つです。あせらず書いていくので、期待されている方もいらっしゃるかと思いますが、今しばらくお待ちください。