CBPの作例の3つ目(三裂星雲も入れたら4つめ)です。前回の北アメリカとペリカン星雲に引き続き、今回は三日月星雲です。




セットアップ

前回まではFS-60CBだったのですが、再びTSA-120に戻ります。画角的に焦点距離900mmとフォーサーズのASI294MC Proでぴったりです。実は三日月星雲、その前の週に三裂星雲を撮ったときに、最後に20分ほどだけ撮影して感触を掴んでいました。簡単に三日月本体が出たので、結構舐めてました。

セットアップが前日と違うので、ガイド鏡をTSA-120に載せ替えるなど少し時間がかかります。Twitterで初期アラインメントで議論が盛り上がっていたので少しだけ。

いつも通りSharpCapのPolar Alignで極軸を取ります。初期アラインメントは1点のみ。極軸の精度が1分角以下までとってあるので星像のズレは大きくなく(パッと計算すると4分間で最大1秒角のズレ。紙を使わず頭だけでできる計算方法はここを参照。)、1点アラインメントで全く問題ありません。もっと言うならアラインメントプロセス自体必要なく、手動でターゲットを入れてあとは恒星時で自動追尾していれば大丈夫です。この場合、ピリオディックモーションが星像のズレを支配するような状態になります。長時間露光になるのでガイドは必須ですが、極軸を十分な精度で合わせてあるため、ガイドはピリオディックモーションのみに集中すればよく、変な負担も全くかかりません。

準備も終わりPHD2でガイドも初め、NINAで20時半頃には撮影を始めました。ただし、プレートソルブが全然動かなかったので、ここは再度検証が必要です。StickPCで新しくインストールにたNINAなので、まだ設定がうまく行ってないのかと思います。

撮影自身は順調でしたが、この日は三日月星雲の撮影は22時40分でおしまい。40枚撮影して、少し流れていた7枚を除いて33枚を拾い上げました。この後は登ってきたらせん星雲にバトンタッチですが、こちらの画像処理はまた次に。三日月星雲は高度が高いのでこれからも長い期間撮影することができますが、らせん星雲は南天時でも高度が低く、撮影できる期間が限られているのでこちらを優先します。

でも、この判断があっていたのかどうか...? 三日月星雲の露光時間が短すぎて、画像処理に相当苦労しました。


画像処理

画像処理はいつものように、最初はPixInsightです。使うのはライトフレームとダークフレームのみ。フラットはTSA-120の広いメージサークルのうちフォーサーズだけ使っているので省いています。バイアスもダークに含まれているとしてなしです。さらにダークは三裂星雲の時に撮影したものを使い回しです。結構手抜きですね。

今回、PixInsightのアップデートがありました。嬉しいのはStarNetがデフォルトの機能として取り込まれました。これまでMacだとコマンドを打って起動していたので、GUIで統一されます。StarNetは「Process」メニューの「MaskGeneration」の中に入っています。起動したら右下のスパナマークを押して、PixInsightをインストールしたフォルダからLibrary以下を選び、mono_starnet_weights.pbとrgb_starnet_weights.pbを選ぶと使えるようになります。 このラブラリの場所ではデフォルトでインストールした場合以下の場所になるとのことです。

Linux: /opt/PixInsight/library​
macOS: /Applications/PixInsight/library​
Windows: C:\Program Files\PixInsight\library​

コマンドの場合と違って、「Create star mask」にチェックを入れておけば、星雲のみでなく恒星のみの画像も同時に作ることができるので便利です。「Stride」の値はデフォルトは128ですが、コマンドラインのデフォルトが64だったので、とりあえず64で試すことにしました。ちなみにこのバージョンはまだCPUだけを使うそうですが、将来的にはGPUを使うことも考えているらしいので期待大です。

星雲部と恒星部が分離されたファイルができた後は、Photoshopに受け渡し、それぞれレイヤーに置いて「覆い焼き(リニア)- 加算」で重ねます。最初しばらくの間、恒星がなんか小さいなと思ってたら、「比較(明)」になってました。無理に恒星を合わせようとかなり大きくしてしまったところでやっと気づきました。やはり覆い焼き(リニア)- 加算のほうが自然になるようです。


結果

結果は以下のようになりました。

「三日月星雲」
masterLight_ABE_PCC_STR_SNP10_cut

  • 撮影日: 2020年8月20日20時30分-22時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー + CBPフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、温度0℃
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: NINA、露光時間180秒x33枚 = 1時間39分  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
炙り出しは相当苦労しました。まず良かったところは、三日月本体の背部の青いとことろが出たのでびっくりでした。三日月星雲はナローバンドでの撮影の作例が多く、それぞれの基線の色をRGBに置き換えているので色はあまり信頼できなくて、あの青いのは置き換えした後の色かと思っていました。CBPで見てもきちんと存在しているようです。その一方、その青はとても淡いのでかなり無理してあぶりだしています。境がはっきりするサイドはきちんと出たのですが、上の淡いところはぼやけて出てしまっています。

三日月本体の赤ははっきり出ています。中心部の淡い赤はまだ不十分かもしれません。それよりも、背景全体に広がる赤がかなり淡いです。これは約1時間半の露光時間が決定的に足りないと思うに至りまた。赤の色がそもそも北アメリカとかとは違うみたいです。どちらかと言うと緑というか、黄色っぽい赤しか出ません。QBPでよく出る朱色に近い赤とも違います。なのでその赤の色がなかなか決まらないです。 かなりノイジーで無理して炙り出しているので、いつかもっと露光時間を伸ばしてリベンジしたいと思います。 


適した画像の大きさ

あと、最後の微調整でかなり迷いました。大きな画像でいいと思うものを、サムネイルクラスの小さな画像にするとインパクトが弱いのです。具体的にいうと、小さな画像では暗く、色が目立たなく見えます。逆に小さな画像でいいと思うものは、なんかモクモクしているようなやつで、それを大きな画面にしてしまうと背景が明るすぎて霞んで見えてしまうのです。

背景の明るさや、暗黒帯、淡い星雲部の炙り出しはまだまだ完全に経験不足です。一度10時間クラスの露光時間で試してみて、何が正しいかを自分自身できちんと認識する必要がありそうです。


最後に

あー、このブログの記事を書くのがすごく苦痛でした。画像処理に納得していないとなかなか筆が進みません。実は次のらせん星雲も撮影失敗して露光時間短くなってしまったんです。明日以降、のんびりと再び画像処理からはじめます。