一連のCBPのテストの一環で、作例として前網状星雲を示しました。




連日のFS-60CBでの撮影

今回、同様のセットアップで北アメリカ星雲とペリカン星雲を撮影しました。これも平日の自宅庭撮りになります。鏡筒がFS-60CBにマルチフラットナー で焦点距離370mm、カメラがEOS 6Dで露光時間3分が40枚、5分が35枚なので、合計295分、ほぼ5時間の露光です。

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前日と同じセットアップのせいもあり、撮影準備開始が19時半頃、撮影開始がまだ少し明るいうちの20時と、とても順調でした。後から見ると最初の方に撮ったのは明るすぎたので、実際に画像処理に使ったのは十分に暗くなった20時半過ぎからのものです。一番最初、前回の網状星雲と同じ設定の300秒で撮影したのですが、(その時は気づかなくて)まだ明るかったこともあり、すぐに180秒露光に変更しました。途中、0時頃に赤道儀の天頂切り替えの時にやはり暗すぎと思い、そこから300秒に戻し午前3時半頃まで撮影しました。


画像処理

他に溜まっている画像もあり、画像処理は焦らずに結構のんびりやっています。

ISO1600、露光時間1/200秒で障子の透過光を利用して撮影したフラットフレーム102枚と、同設定で暗くして撮影したフラットダークフレームは100枚は、前回の網状で使ったものの使い回しです。

今回露光時間が180秒と300秒で2種類あるので、ダークはオプティマイズオプションをオンにして、前回撮影した300秒のダークフレームを使いました。オプティマイズが効いていると、ライトの露光時間に応じてダークノイズを適当に調整してダーク補正をしてくれるはずです。ASI294MCはアンプグローが大きいのでこの手法は使えませんが、6Dの場合は変な特徴的なノイズはないので、オプティマイズ機能が使えるはずで、今回の結果を見る限り特に問題なだそうです。


出来上がり画像

結果は以下のようになりました。結構派手に仕上げています。

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  • 撮影日: 2020年8月19日20時26分-8月20日3時32分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO1600, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI290MCM、PHD2によるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒 x 40枚 + 300秒 x 35枚 = 4時間55分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC
まず第一の感想として、そこまで苦労せずコントラストも色も十分出ています。前回の網状星雲同様、自宅庭撮りでここま基本的に満足な結果です。5時間という長い露光時間も効いているのかと思います。


どこまで見栄え良くするか

多分一過性のものだと思いますが、最近派手目に仕上げています。インスタグラムの影響でしょうか?

冷静に理由を考えると、天リフやTwitterとかでなのですが、小さなサムネイルになった時に印象に残ることを考えているのかと思います。画面を小さくするとある程度はっきりさせておかないと、ぱっと見よくわからないと思うのです。例えば網状星雲なんかは細い線になってしまうので、大きな画面の状態である程度出しておかないとかなり印象が薄くなってしまいます。

といってもやってみるとわかるのですが、実は最初なかなかうまくいかなくて、炙り出そうとしてもノイズばかりが目立ってしまうことが多いです。ノイズの少ないコントラストの高い素材を最近やっと撮影できるようになってきて、ようやく派手目にすることができるようになってきました。

派手目というのを別の言葉に置き換えて良く言うなら、狭いところに押し込められた諧調をできるだけ余すところなく、可視の諧調に置き換えて使えるようになってきたと言ったところでしょうか。どこまでやるかは人それぞれかと思いますが、海外の方が派手目なのが多い気がします。

この傾向、今のところ悪い評価よりもいい評価の方が多いみたいです。特にこれまでなかった海外からの反応もあるので、やはりパッとみたときの最初の印象は大事なのかと思いました。

でも果たして濃い天文マニアの人たちから見たらどうなのでしょうか?この色合いは好き嫌いが分かれるかと思います。少なくとも素材をそのまま生かしただけのシンプルな画像処理とは違うので、お絵かきになる可能性も十分にあり、ここら辺は自分自身肝に銘じておくべきかと思います。


その他評価など

その他細かい評価です。
  • 最初赤だけを強調していたのですが、そうするとかなりのっぺりしてしまいます。赤に比例して青と緑もきちんと炙り出してやると階調豊かになるようです。
  • 北アメリカ星雲とペリカン星雲では、同じ赤でも結構違うのが分かります。ペリカンの方が赤のみが多いのに対して、北アメリカは青や緑成分がかなり混ざるようです。他の方の作例でもこの傾向は同じなので、あまり間違ってはいないと思います。
  • 明るい恒星3つが、右から青、オレンジ、緑と綺麗に出ました。これはCBPの利点の一つで、QBPではなかなか出てこないと思います。
  • いまいち暗部の諧調が乏しいです。特に中央の黒い部分です。 三裂星雲でも、網状星雲でも暗部の諧調が出にくいような傾向が見られました。これまで分子雲とかをきちんと出したことがあまりないので、経験的にまだまだなのかもしれません。今回の5時間の撮影時間も私の中では最長の部類ですが、暗部をもっと出すためには根本的に露光時間が足りないのかもしれません。もしかしたらCBPの特徴という可能性もありますが、今の私にはまだよくわかりません。ここら辺は今後検討していく必要があるかと思います。
繰り返しになりますが、庭撮りででここまで出たのは個人的には十分満足です。CBPがうまく働いたと考えていいかと思います。QBPでも赤は十分出たと思いますが、青と緑も含めた階調や、特に恒星の色はなかなか出なかったと思います。


3年の進歩

ちなみに下は3年前にフィルターなしで同じFS-60CBで自宅の庭で撮ったものです。カメラがその当時EOS 60Dだったので、今回EOS 6Dになった違いはありますが、それ以外はフィルターの有無の違いだけです。当時もかなり頑張って画像処理して、それなりに満足していました。そこから見たら画像処理の腕も上がっているとは思いますが、CBPが入ることで素材の時点で優れたものが撮れていて、仕上がりも無理をしなくても素直に出てくるのかと思います。

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こうやってみると、わずか3年のことですが、機器も画像処理ソフトも自分の処理技術も確実にレベルが上がっていることが実感できます。進歩が目で見てわかるということは、趣味でも仕事でもモチベーションを保つ上ですごく重要で、それが実感できる天体撮影はなかなかやめられません。


まとめと今後

庭撮りCBPの2作目ですが、思ったより思い通りに出ました。CBPやはり結構いいです。

まだ未処理画像が2つあります。画像処理はブログを書くよりもはるかに時間がかかります。こちらも焦らずに進めていこうと思います。次は三日月星雲の予定です。