事の発端は先日の太陽黒点の記事で、RAINYさんが木曜日にコメントをくれたことです。なんでもP.S.T.をジャンクで手に入れたけど、どこのネジも固すぎて何も分解できないとのことです。ちょうど私も2台目のジャンクP.S.T.を手に入れていたのですが、ほったらかしでまだ何もしていないので、いい機会かと思い分解の過程をZoomで中継しようということになりました。
しばらくメールでやりとりして、時期は早いほうがいいかなと週末に決定。RAINYさんが日曜は忙しいとのことなので、明日の土曜日の午前にしましょうと決まったのが、金曜日の夕方です。
この時点で、分解中継を公開にするかどうかまだ迷っていました。というのも、そもそもPSTの分解なんてマニアックなこと、何人の人が興味を持つのか?でもまあ、中には見てみたい人もいるかもと思い金曜の夕方にTwitterでアナウンスしたので、またしても直前アナウンスになってしまいました。太陽望遠鏡の場合、改造には危険を伴うのでいつもようなオープンで参加してもらうのではなく、Twitterのダイレクトメールで参加表明してくれた方だけにアドレスをお知らせしました。
それでもだんだん大袈裟な話になってきたので、決定した金曜夕方らか準備に取り掛かります。必要な道具は円筒部分を挟んで回せる工具。パイププライヤーと言うらしいのですが、なぜか自宅にあるはずのが見つかりません。仕方ないので急遽近所のホームセンターでとにかく買いに行くことにしました。田舎でお店が20時には閉まってしまうので、夕食前に行くことに。
ホームセンターでは通常のものより大きく開くタイプのプライヤーを見つけました。普通は直径40mmくらいまでのものが多いのですが、今回70mmくらいまで開くのがあったので、PSTの鏡筒部分や太いエタロン部分でも大丈夫そうです。もう一つキッチン用のキャップオープナーを買ったのですが、結局こちらはなんの役にも立ちませんでした。
さて、こんなマニアックなテーマなのに、金曜のうちになんと4人もの奇特な方が参加表明してくれました。RAINYさんも他の人を個別に誘っている可能性もありますが、少なくとも私とRAINYさんも入れると6人にはなります。
PST自身は箱にものがきちんと入っていることだけ確認しました。以前到着した時に一度開けてはいますが、まだ太陽を見てもいないので、そもそも稼働するかどうかもわかりません。実際に分解できるかどうかは、臨場感を味わってもらうために、次の日の本番まで何も触らないでおきます。
朝も休みの日にしては少し早めに起きて、中継用のカメラの準備をしました。今回は手元をできるだけ広角で綺麗に映そうと、webカメラがわりにEOS 6DにCanon USが開発したWebcam Utilityを使うことにしました。実はこれ6D Mark IIは対応していますが、6Dは正式には対応していません。でも実際には対応外でも使えることをこの前テストしています。ただ、今のところWindowsでしか動かないので、別途Surfaceマシンを撮影用に使うことにしました。録画もこのSurfaceですることにします。他の操作は別途Macでやることにしました。
困ったのは音声です。やはりマイクとスピーカーはMacの方が良いようです。Surfaceではハウリングが起こりやすく、どのマイクをオン、どのスピーカーをオフとか制限が厳しかったのです。記録テストをしましたが、画像は記録しているPCが映しているもの、音声は他に接続されたPCからのものも全て録音することがわかったので、基本マイクとスピーカーはMacのものを使うことにしました。
準備が完了したのが開始時間10時の5分前くらい。最後にコーヒーを用意して、10時ちょうどくらいにPCの前に行くと、Niwaさんがすでに入ってくれていました。程なくして、シベットさん、RAINYさんも入って、Zoom中継の始まりです。と言っても、工具を忘れていたりで段取りが悪くて私の方がドタバタしてしまい、実際の開始は少し遅れてしまいました。メンバだーけ言うと、途中からやくもふさんが遅れて入ってきてくれて、さらにRAINYさん経由でMさんが入ってきてくれました。RAINYさんが他にも何人か声をかけてくれていたようですが、おそらくみなさん忙しいとのこと。かく言うMさんも仕事中とのことでした。あと、開始してからDMを届けてくれた方がいて、私が分解に夢中で気付けなくて参加できなかったので本当に申し訳なかったです。
さて実際の分解ですが、今回RAINYさんの1台に加えて、シベットさんもジャンクPSTを1台手に入れていて、あとは私が2台と、合計4台です。私の最初の1台はすでに分解したことがあるものなので、すぐに外せますし、外して構造を見ることもできます。一旦この1台目をある程度分解して解説します。
その後、他の3台の分解の挑戦です。まずは接眼部から。接眼部は2つ円筒がくっついています。RAINYさんは全然外せなかったとのこと、シベットさんは先のものだけは外せたようですが、もう一つ本体に付いている方は回そうとしても滑ってしまいどうしても外せなかったとのことです。私はと言うと、とりあえず手でひねってみたら先っぽの方は一つ外れました。
でも奥のもう一つはシベット さんと同じく、どのように力を入れても外れません。ここで道具の登場です。まず傷つけないように、円筒部にゴムの板を巻き付けます。昔100均で買ったCANオープナーを使いました。そこをパイププライヤーで挟み回します。でもやはり全然捻れません。かなり力を入れてもシベットさんが言う通り滑ってしまいます。
そこで秘密兵器です。1台目の分解の時に鏡筒部とエタロンがどうしても外れなくて一週間格闘して、最後にたどり着いたMR.HOBBYの「Mr.ツールクリーナー 改」です。これは模型用ですがかなり強力な溶剤で、筆やエアスプレーの機材を洗う時に使うもので、「模型の塗料剥がしには使わないでください」というものです。プラモデルとかだとプラモデル基材自身を溶かしてしまいます。昔一度、床にこぼしてひど目にあったことがあります。
このMr.ツールクリーナー 改をごく少量、外れない接眼部と本体の間にたらして、数分待ちます。そして再びゴムで保護しながらパイププライヤーで回すと、今度は先ほどまで力を入れなくても外れました。
外した跡をみると、接着剤がついていた後があるので、やはり製造の段階で強固に固定されていたことがわかります。また、「Mr.ツールクリーナー 改」が染み込んで乾き切っていない跡が見えるので、やはり接着剤の融解にかなり効果があったものと推測されます。
さらにさらにですが、中のプリズムが相当汚れていました。液体がいくつも飛び散って乾いたようになっていて、外した時に汚れたにしては液体の量が多すぎるので、今回のクリーナーではないと思います。おそらく製造過程でついたものか、考えにくいですが密閉状態で汚れていったものかと思われます。ラッキーなことにアルコールが含まれているレンズクリーナーで拭き取るとすぐに取ることができました。
と言うわけでどんどん進めます。次は鏡筒部分。RAINYさんは全く外せなかったとのこと、シベットさんはエタロンと本体は外れたけれど、エタロンと金色の鏡筒部分が外せなかったとのことです。私はまず手でやってみるとシベットさんとは逆で、エタロンと金色の鏡筒部分は簡単に外れましたが、エタロンと本体が外れませんでした。外れないところは同様に「Mr.ツールクリーナー 改」を垂らして染み込ませます。
シベットさんも事前情報でMr.ツールクリーナー 改を手に入れていたので同様に進めましたが、量が多すぎてロゴ部分にかかってしまい、塗料が簡単に取れてしまったそうです。
やはり「Mr.ツールクリーナー 改」は相当強力なので、気をつけて扱う必要があります。染み込ませて待っている間に時間があったので、少し会話になりました。今回はあまり自己紹介とかあらわに時間を取らなかったのですが、この時間が少し自己紹介がわりになっていたでしょうか。
そうそう、これは私が悪かったのですが、今回の改造は太陽を見る望遠鏡ということもあり、一番最初に危険であると言うことを確認してから始めるべきでした。このことを話したのがこの時か、もう少し後だったでしょうか。このブログを見ている方にも必ずお願いしたいです。
太陽望遠鏡の改造は危険を伴います。改造したものを目で見ると失明する恐れがあります。口径を大きくしたりする改造は高温で火災になる可能性もあります。改造の際は危険を認識し、あくまで自己責任で行うようにしてください。このブログはこのような改造をできると言うことは示しますが、決して改造を進めることを目的とはしません。またたとえ事故になったとしても責任を取ることはできません。PSTの改造を調べていくと、いずれ海外の例などで大胆な改造していることを知ることになるとおもいます。同様なことをしようとするときの注意点などを日本語で示すことができればと思っています。
繰り返しになりますが、失明などの恐れがありますので、改造などする際は危険を認識し、自己責任の範囲内で行ってください。私は改造後はアイピースで見るようなことはしていません。全てCMOSカメラで映すだけにしています。
と言うような注意を実際のZoom上でもしました。楽しい趣味でやっていることです。事故など起こしてつまらない思いをしないよう、本当に注意してください。
さて、会話をしている最中にパイププライヤーで「エイ、ヤッ」と回すと、多少力がいりましたが、簡単に外すことができました。さらにその後、鏡筒の先についた対物レンズは、クリーナーなしでプライヤーだけで外すことができました。
全部解体したところでまだ10時40分。12時まで考えていたので、遥かに順調に分解できてしまいました。RAINYさんはパイププライヤーは持っていましたが、Mr.ツールクリーナー 改がなかったこと、シベットさんは逆に、Mr.ツールクリーナー 改は用意していたけどパイププライヤーを持っていなかったことで、今回は分解はこれ以上進めることはできませんでした。やり方は少なくとも伝わったと思いますし、今回3箇所難しかったところを開けることができているので、たまたまと言うことはないはずです。それぞれ後日自分で試してみるとのことでした。
その後はエタロンの話になり、どうやって光の周波数が選別されるのかを解説したりしていました。Niwaさんは完全に理系の方のようで、鏡の反射率で折り返し回数を決めることができるという理屈をきちんと理解してくれていたようです。ここでのキーワードはFSR(エフエスアール、Free Spectral Range、フリースペクトラルレンジ)とFinessse(フィネス)です。FSRでファブリーペローエタロンの櫛形特性の櫛の間の波長が決まり、フィネスでそれ透過波長がどれだけ鋭くなるかが決まります。ブログでも以前ここや、ここでいろいろ解説していますので、興味のある方は是非お読みください。
あ、そうそう、実はNiwaさんとやくもふさんは、そもそもなんでPSTを分解する必要があるのかをまだ認識されていなかったので、そこから解説したりもしました。PSTは口径4cmしかなくて、分解能が公開で制限されてしまうために、鏡筒部分を同じF値の口径の大きいものに交換すれば分解能を上げることができるという話です。
これも話したのですが、分解能を上げるのにはPSTの改造とういうのはおそらく邪道です。現実的にはCORONADOやLUNTの大口径の太陽望遠鏡を買うか、DAYSTARなどのアイピース側につける太陽用エタロンを使うと鏡筒を選ぶことができ大口径化もできます。メーカー保証もあるので、普通はこういったほうが真っ当なやり方だと思います。PSTは入門用なので安価なこと。それでも新品だと10万円以上はするので、望遠鏡としてみたら決して安いものではありません。太陽望遠鏡の中でみると安価な方なので、それを改造した方がコストパフォーマンスよく大口径につなげることができると言うのが元々の動機です。こう言ったことも理解して、PSTの改造に臨むのですが、私の目指すのはC8で20cmの口径の太陽望遠鏡にすることです。
さて、時間があったので太陽望遠鏡にとどまらず、皆さん色々な方向に話が飛んでいきます。中でも盛り上がったのがホタルです。Mさんが多分私のブログのホタルの記事を見て富山にいつか来たいとか発言したのから始まったのかと思います。それぞれの地域での撮影場所の話はもちろん、何時頃光るのか、オスメスの違いや、満月だとあまり光らないとか、Niwaさんがホタルの写真を見せたりと、星からだんだん離れていきます。そのうちなぜかホタルとカワセミの関係の話になり、Mさん得意の野鳥の話になり、RAINYさんや私もキジの写真を見せたりとか、盛り上がりました。
まだまだ盛り上がりそうでしたが、ちょうど昼の12時になりキリがいいのと、RAINYさんが午後から仕事とのことだったので、ここで頑張って止めたような感じでした。
最近Zoomでの天文談義もさぼっていたのですが、やはりこんなふうにテーマが決まっていた方がやりやすいですね。もしくは、私は場所だけ提供して、適当に話してもらうとかでも逆に良いのかもしれません。今回のメンバーに聞いても、またこんな会を開いてほしいという意見が多かったので、そのうちにやりたいと思います。でも気まぐれなので、あまり期待せずに待っていてください。
とにかく、時間内に無事に分解できたのでホッとしているというのが一番の感想です。うまくいかなくて、どこも分解できなかったらどうしようかと思っていました。
なのであとは気楽なもので、私自身も会話を楽しむことができました。皆さん、おそらく楽しんでいただけたのではと思います。Niwaさんはまだ星を始めて一年経っていないとのことで、ずっと孤独でこんな風に話ができたがよかったと言ってくださったので嬉しかったです。
終わった後、自分自身は結構充実していて、でも疲れていて昼からソファーで座ってずっと居眠りしてしまいした。
しばらくメールでやりとりして、時期は早いほうがいいかなと週末に決定。RAINYさんが日曜は忙しいとのことなので、明日の土曜日の午前にしましょうと決まったのが、金曜日の夕方です。
この時点で、分解中継を公開にするかどうかまだ迷っていました。というのも、そもそもPSTの分解なんてマニアックなこと、何人の人が興味を持つのか?でもまあ、中には見てみたい人もいるかもと思い金曜の夕方にTwitterでアナウンスしたので、またしても直前アナウンスになってしまいました。太陽望遠鏡の場合、改造には危険を伴うのでいつもようなオープンで参加してもらうのではなく、Twitterのダイレクトメールで参加表明してくれた方だけにアドレスをお知らせしました。
それでもだんだん大袈裟な話になってきたので、決定した金曜夕方らか準備に取り掛かります。必要な道具は円筒部分を挟んで回せる工具。パイププライヤーと言うらしいのですが、なぜか自宅にあるはずのが見つかりません。仕方ないので急遽近所のホームセンターでとにかく買いに行くことにしました。田舎でお店が20時には閉まってしまうので、夕食前に行くことに。
ホームセンターでは通常のものより大きく開くタイプのプライヤーを見つけました。普通は直径40mmくらいまでのものが多いのですが、今回70mmくらいまで開くのがあったので、PSTの鏡筒部分や太いエタロン部分でも大丈夫そうです。もう一つキッチン用のキャップオープナーを買ったのですが、結局こちらはなんの役にも立ちませんでした。
さて、こんなマニアックなテーマなのに、金曜のうちになんと4人もの奇特な方が参加表明してくれました。RAINYさんも他の人を個別に誘っている可能性もありますが、少なくとも私とRAINYさんも入れると6人にはなります。
PST自身は箱にものがきちんと入っていることだけ確認しました。以前到着した時に一度開けてはいますが、まだ太陽を見てもいないので、そもそも稼働するかどうかもわかりません。実際に分解できるかどうかは、臨場感を味わってもらうために、次の日の本番まで何も触らないでおきます。
まだ箱に入りっぱなしの2台目のPST。
朝も休みの日にしては少し早めに起きて、中継用のカメラの準備をしました。今回は手元をできるだけ広角で綺麗に映そうと、webカメラがわりにEOS 6DにCanon USが開発したWebcam Utilityを使うことにしました。実はこれ6D Mark IIは対応していますが、6Dは正式には対応していません。でも実際には対応外でも使えることをこの前テストしています。ただ、今のところWindowsでしか動かないので、別途Surfaceマシンを撮影用に使うことにしました。録画もこのSurfaceですることにします。他の操作は別途Macでやることにしました。
朝の準備の様子。
困ったのは音声です。やはりマイクとスピーカーはMacの方が良いようです。Surfaceではハウリングが起こりやすく、どのマイクをオン、どのスピーカーをオフとか制限が厳しかったのです。記録テストをしましたが、画像は記録しているPCが映しているもの、音声は他に接続されたPCからのものも全て録音することがわかったので、基本マイクとスピーカーはMacのものを使うことにしました。
準備が完了したのが開始時間10時の5分前くらい。最後にコーヒーを用意して、10時ちょうどくらいにPCの前に行くと、Niwaさんがすでに入ってくれていました。程なくして、シベットさん、RAINYさんも入って、Zoom中継の始まりです。と言っても、工具を忘れていたりで段取りが悪くて私の方がドタバタしてしまい、実際の開始は少し遅れてしまいました。メンバだーけ言うと、途中からやくもふさんが遅れて入ってきてくれて、さらにRAINYさん経由でMさんが入ってきてくれました。RAINYさんが他にも何人か声をかけてくれていたようですが、おそらくみなさん忙しいとのこと。かく言うMさんも仕事中とのことでした。あと、開始してからDMを届けてくれた方がいて、私が分解に夢中で気付けなくて参加できなかったので本当に申し訳なかったです。
さて実際の分解ですが、今回RAINYさんの1台に加えて、シベットさんもジャンクPSTを1台手に入れていて、あとは私が2台と、合計4台です。私の最初の1台はすでに分解したことがあるものなので、すぐに外せますし、外して構造を見ることもできます。一旦この1台目をある程度分解して解説します。
その後、他の3台の分解の挑戦です。まずは接眼部から。接眼部は2つ円筒がくっついています。RAINYさんは全然外せなかったとのこと、シベットさんは先のものだけは外せたようですが、もう一つ本体に付いている方は回そうとしても滑ってしまいどうしても外せなかったとのことです。私はと言うと、とりあえず手でひねってみたら先っぽの方は一つ外れました。
でも奥のもう一つはシベット さんと同じく、どのように力を入れても外れません。ここで道具の登場です。まず傷つけないように、円筒部にゴムの板を巻き付けます。昔100均で買ったCANオープナーを使いました。そこをパイププライヤーで挟み回します。でもやはり全然捻れません。かなり力を入れてもシベットさんが言う通り滑ってしまいます。
そこで秘密兵器です。1台目の分解の時に鏡筒部とエタロンがどうしても外れなくて一週間格闘して、最後にたどり着いたMR.HOBBYの「Mr.ツールクリーナー 改」です。これは模型用ですがかなり強力な溶剤で、筆やエアスプレーの機材を洗う時に使うもので、「模型の塗料剥がしには使わないでください」というものです。プラモデルとかだとプラモデル基材自身を溶かしてしまいます。昔一度、床にこぼしてひど目にあったことがあります。
このMr.ツールクリーナー 改をごく少量、外れない接眼部と本体の間にたらして、数分待ちます。そして再びゴムで保護しながらパイププライヤーで回すと、今度は先ほどまで力を入れなくても外れました。
外した跡をみると、接着剤がついていた後があるので、やはり製造の段階で強固に固定されていたことがわかります。また、「Mr.ツールクリーナー 改」が染み込んで乾き切っていない跡が見えるので、やはり接着剤の融解にかなり効果があったものと推測されます。
さらにさらにですが、中のプリズムが相当汚れていました。液体がいくつも飛び散って乾いたようになっていて、外した時に汚れたにしては液体の量が多すぎるので、今回のクリーナーではないと思います。おそらく製造過程でついたものか、考えにくいですが密閉状態で汚れていったものかと思われます。ラッキーなことにアルコールが含まれているレンズクリーナーで拭き取るとすぐに取ることができました。
と言うわけでどんどん進めます。次は鏡筒部分。RAINYさんは全く外せなかったとのこと、シベットさんはエタロンと本体は外れたけれど、エタロンと金色の鏡筒部分が外せなかったとのことです。私はまず手でやってみるとシベットさんとは逆で、エタロンと金色の鏡筒部分は簡単に外れましたが、エタロンと本体が外れませんでした。外れないところは同様に「Mr.ツールクリーナー 改」を垂らして染み込ませます。
シベットさんも事前情報でMr.ツールクリーナー 改を手に入れていたので同様に進めましたが、量が多すぎてロゴ部分にかかってしまい、塗料が簡単に取れてしまったそうです。
PCの画面にシベットさんのCORONADOのO文字が一部消えてしまったのが映っています。
やはり「Mr.ツールクリーナー 改」は相当強力なので、気をつけて扱う必要があります。染み込ませて待っている間に時間があったので、少し会話になりました。今回はあまり自己紹介とかあらわに時間を取らなかったのですが、この時間が少し自己紹介がわりになっていたでしょうか。
そうそう、これは私が悪かったのですが、今回の改造は太陽を見る望遠鏡ということもあり、一番最初に危険であると言うことを確認してから始めるべきでした。このことを話したのがこの時か、もう少し後だったでしょうか。このブログを見ている方にも必ずお願いしたいです。
太陽望遠鏡の改造は危険を伴います。改造したものを目で見ると失明する恐れがあります。口径を大きくしたりする改造は高温で火災になる可能性もあります。改造の際は危険を認識し、あくまで自己責任で行うようにしてください。このブログはこのような改造をできると言うことは示しますが、決して改造を進めることを目的とはしません。またたとえ事故になったとしても責任を取ることはできません。PSTの改造を調べていくと、いずれ海外の例などで大胆な改造していることを知ることになるとおもいます。同様なことをしようとするときの注意点などを日本語で示すことができればと思っています。
繰り返しになりますが、失明などの恐れがありますので、改造などする際は危険を認識し、自己責任の範囲内で行ってください。私は改造後はアイピースで見るようなことはしていません。全てCMOSカメラで映すだけにしています。
と言うような注意を実際のZoom上でもしました。楽しい趣味でやっていることです。事故など起こしてつまらない思いをしないよう、本当に注意してください。
さて、会話をしている最中にパイププライヤーで「エイ、ヤッ」と回すと、多少力がいりましたが、簡単に外すことができました。さらにその後、鏡筒の先についた対物レンズは、クリーナーなしでプライヤーだけで外すことができました。
全部解体したところでまだ10時40分。12時まで考えていたので、遥かに順調に分解できてしまいました。RAINYさんはパイププライヤーは持っていましたが、Mr.ツールクリーナー 改がなかったこと、シベットさんは逆に、Mr.ツールクリーナー 改は用意していたけどパイププライヤーを持っていなかったことで、今回は分解はこれ以上進めることはできませんでした。やり方は少なくとも伝わったと思いますし、今回3箇所難しかったところを開けることができているので、たまたまと言うことはないはずです。それぞれ後日自分で試してみるとのことでした。
その後はエタロンの話になり、どうやって光の周波数が選別されるのかを解説したりしていました。Niwaさんは完全に理系の方のようで、鏡の反射率で折り返し回数を決めることができるという理屈をきちんと理解してくれていたようです。ここでのキーワードはFSR(エフエスアール、Free Spectral Range、フリースペクトラルレンジ)とFinessse(フィネス)です。FSRでファブリーペローエタロンの櫛形特性の櫛の間の波長が決まり、フィネスでそれ透過波長がどれだけ鋭くなるかが決まります。ブログでも以前ここや、ここでいろいろ解説していますので、興味のある方は是非お読みください。
あ、そうそう、実はNiwaさんとやくもふさんは、そもそもなんでPSTを分解する必要があるのかをまだ認識されていなかったので、そこから解説したりもしました。PSTは口径4cmしかなくて、分解能が公開で制限されてしまうために、鏡筒部分を同じF値の口径の大きいものに交換すれば分解能を上げることができるという話です。
私の場合、写っている10cmのアクロマート鏡筒にPSTを取り付けて分解能を上げています。
これも話したのですが、分解能を上げるのにはPSTの改造とういうのはおそらく邪道です。現実的にはCORONADOやLUNTの大口径の太陽望遠鏡を買うか、DAYSTARなどのアイピース側につける太陽用エタロンを使うと鏡筒を選ぶことができ大口径化もできます。メーカー保証もあるので、普通はこういったほうが真っ当なやり方だと思います。PSTは入門用なので安価なこと。それでも新品だと10万円以上はするので、望遠鏡としてみたら決して安いものではありません。太陽望遠鏡の中でみると安価な方なので、それを改造した方がコストパフォーマンスよく大口径につなげることができると言うのが元々の動機です。こう言ったことも理解して、PSTの改造に臨むのですが、私の目指すのはC8で20cmの口径の太陽望遠鏡にすることです。
さて、時間があったので太陽望遠鏡にとどまらず、皆さん色々な方向に話が飛んでいきます。中でも盛り上がったのがホタルです。Mさんが多分私のブログのホタルの記事を見て富山にいつか来たいとか発言したのから始まったのかと思います。それぞれの地域での撮影場所の話はもちろん、何時頃光るのか、オスメスの違いや、満月だとあまり光らないとか、Niwaさんがホタルの写真を見せたりと、星からだんだん離れていきます。そのうちなぜかホタルとカワセミの関係の話になり、Mさん得意の野鳥の話になり、RAINYさんや私もキジの写真を見せたりとか、盛り上がりました。
まだまだ盛り上がりそうでしたが、ちょうど昼の12時になりキリがいいのと、RAINYさんが午後から仕事とのことだったので、ここで頑張って止めたような感じでした。
最近Zoomでの天文談義もさぼっていたのですが、やはりこんなふうにテーマが決まっていた方がやりやすいですね。もしくは、私は場所だけ提供して、適当に話してもらうとかでも逆に良いのかもしれません。今回のメンバーに聞いても、またこんな会を開いてほしいという意見が多かったので、そのうちにやりたいと思います。でも気まぐれなので、あまり期待せずに待っていてください。
まとめ
とにかく、時間内に無事に分解できたのでホッとしているというのが一番の感想です。うまくいかなくて、どこも分解できなかったらどうしようかと思っていました。
なのであとは気楽なもので、私自身も会話を楽しむことができました。皆さん、おそらく楽しんでいただけたのではと思います。Niwaさんはまだ星を始めて一年経っていないとのことで、ずっと孤独でこんな風に話ができたがよかったと言ってくださったので嬉しかったです。
終わった後、自分自身は結構充実していて、でも疲れていて昼からソファーで座ってずっと居眠りしてしまいした。
コメント
コメント一覧 (22)
ものすごく楽しかったです!
P.S.T.には何の知識も無く参加したので、さらにその分解というマニアックな会なのでついていけるかという当初の心配は不要で、言葉の端々からいろんな学びがありました。どうしても正解となる知識を探してしまうのですが、実は創意工夫の上に成り立っていることが知れたのは収穫です。
それから、すごいぜエタロン!でした。イメージでは理解できたと思いますので、もう少し勉強します!!
またこういった機会に参加させてください。いつかは私もできるようになると良いと思っています。
いえいえ、Niwaさん全然ついてこれています。
たぶんNiwaさんも色々自分で試す人だと思うので、進歩が早いと思います。また何か面白い情報があったら教えてください。
エタロンはものすごく深いです。素人が組み立てとか調整しようとすると難しいので扱いにくいのも確かなのですが、太陽は面白い応用例だと思います。
私も2台目のPSTをどうするかとか、太陽活動が活発になるまでにはもっと大口径を試したいとか、まだ色々やりたいことがたまってます。
また何か計画しますので、次回もぜひ参加してください。
ドライヤーなどで加熱するとどうなのだろうとも思っていました。
私が分解しなければならなかった理由はERFが錆び?てしまい、交換用に入手したMeierのものを組み込むためでした。交換後はコントラストが格段に良くなりましたね。
cockatooさん、こんにちは。
溶剤の方が多分楽かと思います。加熱や冷却はエタロン部分はちょっと怖いです。他のところはまだいいかもしれませんが、エタロンはダメージを受けると直らないかもしれません。
ERFが錆びたと言うことは、初期型ですね。MAIERで実際にコントラストが良くなったというのは有用な情報です。ありがとうございます。今見ても$75と安価なので、初期型の人は交換する価値が十分にあると思います。
私の機材は新品で2009年ごろに購入したもので、製造国がUSAではなくMEXICOになったシリアル105xxxものですね。
このリスト(すでに古いですが)
https://www.cloudynights.com/topic/83886-pst-serial-list/?p=2138560
によると対物の色が金色で、そこがさびていくような もっと古いタイプもあるようですが、私のものは対物が青いコーティングがされているもので、ペンタプリズム直後の接眼ユニットの初段にあるフィルタ(ITF)がさびていて(取り外したフィルターを見ると外周部から明らかに変質)それをMaierのものに取り換えました。
対物が金色で錆びるさらに初期のものは光学エレメントの構成がだいぶ違いそうですね。
もっと最近のものはITFの劣化が進みにくいような改良がさらに進んでいるのか、単にまだ製造から時間が経っていないので症状が現れていないだけなのかがちょっと気になりますね。
あ、書き間違いに気付きました^^;
ERFではなくITFでした!
ITF(Induced Transmission Filter)とERF(energy rejection filter)って同じものかと思っています。透過光に注目するか、エネルギーをどこに逃すかの違いで、働きとしては結局ある目的波長以外の波長を通さないと言うものです。商品名なのか一般名詞なのかはわかりませんがあまり気にしなくていいのかと思います。
青コーティングのものなので、対物の方のサビではないのですね。でもアイピース側のも劣化した例を実際に聞いたのは初めてです。あのコーティングも確かに強いものには見えないので、いつか劣化を考えておいた方がいいと思います。あと、普通に売っている星雲用のHαフィルターも代わりに使えるのではと思っています。
それと比べると、BFのコーティングの方が遥かに丈夫に見えます。RAINYさんんが中継の最中に言っていましたが、ガラス材と融和させて作るとか言っていました。実際に開けてBFを見てみると、機材の厚み方向にグラデーションが見えて、どうやってあの狭い帯域の波長透過性を作るのか興味が尽きません。
ERFとITF、機能と方式による呼び方の違いですか。なるほど。
劣化の雰囲気は
https://www.google.com/search?q=rust+itf+pst&tbm=isch
などで検索できる、
https://stargazerslounge.com/topic/217458-scratched-itf-on-coronado-pst/?tab=comments#comment-2335509
のように劣化が周囲から進んでいました。透明感がなく、曇りガラスのような感じです。最初に気付いたのは眼視ではなく撮影していた時で、コントラストが低くなり不均一なゴーストが出てきました。
Maier以外にbeloptikも交換フィルターを販売していますが(値段は高め)、こちらにはフィルターの構造が示されており、星雲用のHαフィルターのような層も見えますね。
https://beloptik.de/en/itf-replacement-filter/
おお、やはり接眼側のERFもかなり劣化しますね。代替品が確保できるのは助かりますね。
BelOprikのものも以前どなたかに教えてもらいました。これも使えると思います。
こうやって見ると、やはり数が出ていてよく理解されているものは色々修理の手段もあるのかと思います。ここら辺もPSTのいいところの一つではと思います。
取り急ぎ、お礼まで!
おお、無事に外れましたか!それはよかったです。
中継した甲斐がありました。
ブログ楽しみにしています。
https://masahiko.me/amazing-etalon/
さっそくブログ見ました。わかりやすく書いていると思います。
そのうち太陽にも手を出しそうな勢いでは?
ありがとうございます!
まずはお星様です!
ZOOM会議どうもありがとうございました。
早速、溶剤を車で片道一時間かけて買ってきました。
Mr.TOOL CLEANER (R) 神です!すべて分解することができました。
それでもかなり力を入れなければならず、傷が結構ついてしまいました。
その上、まさかブロッキングフィルターがただ置いてあるだけとは知らず蓋と一緒にポーンと飛び出し一時行方不明になりました。
BFはやはり黒ずんでいるようですのでクリーニングにはいりますが、向きは金色部が下側でいいんですよね。
それでは、取り急ぎご報告まで。
重ね重ねどうもありがとうございました。
おお、シベット さんに続きRAINYさんも分解完了ですね!よかったです。
でも車で片道1時間とは、ガソリン代とでかえって大変だったのでは?
PSTはコストをかけない工夫が随所に見られます。BFの置き方といい、思ったよりシンプルなんですよね。
BFの向きですが、
http://hoshizolove.blog.jp/archives/29866947.html
の中の写真を見るとわかると思います。金色の方が本体側で正しいと思います。
黒っぽいなら、おそらく清掃できれいになると思います。
でも本当に中継やってよかったです。コメントを含めて、うまくいったという例が多いと、今後困る人も参考にできるのではと思います。
こんなに楽しい会議があったのですね。
告知を見逃してしまったのでご縁が無かったんだなと思いました。
自分はP.S.T.を持っていませんが、機材の分解工程やトラブルシューティングの参考にさせていただきたかったです。
もし、次回、何か分解修理なさるご予定がありましたら、
是非とも見学させて下さい!
よろしくお願い致します。
あまり計画性がなくていつもアナウンスから会議までの時間が短くてすみません。
こんなの人が集まるのかと思ってましたが、意外に反応があるので驚いてます。
またそのうちに何か計画します。でも気まぐれなので、気長に待っていてください。
あれっ?そんな話しましたっけ?
覚えているのは、ニュアンスが違うかもしれませんが、LUNTのブロッキングフィルターが前後がガラス付きの蓋で閉じたボックスに入っているんですけど、廻りどめの接着剤の蒸気が内側からガラスを汚して見えづらくなってメンテに出しました。という話はしました。
しかし、梅雨とはいえジャンク扱いとはいえまだ一度も見てないのに分解してしまいました。
さて、今日は少しだけ日が出てきたので部分日食LIVEのテスト配信をしたんですが、まわりが明るくてPCのモニターが大変見づらくピントが出しづらかったです。これはいつもの悩みですが、Samさんはどうされていらっしゃいますか?
その話は覚えてます。それとも他の人が言ったのですかね?そんな記憶があったので書いたのですが、全く記憶違いかもしれません。いくつかの話は作業をしながら聴いていたので、間違って理解していた可能性があります。ビデオで探そうとしたのですが、長すぎていつの会話か特定できなくて諦めました。
モニターが見づらいのは太陽の宿命ですよね。基本日陰にPCを置くのと、自分が明るいところにいるとモニターに反射するので、自分自身も車のトランクの影に入るとかしてできるだけ暗くします。
あと、カラーカメラの場合、カラー画像より、モノクロ画像にした方が、さらにカラーカメラよりモノクロカメラの方が見やすくなります。その上で、SharpCapのヒストグラムの真ん中の線を少し右に移動して暗くするとHαが見やすくなります。
それでも後で部屋に行って暗いところで見ると解像度が上がって見えるくらいなので、やはり外だと限界があると思います。
今日は、休みで晴れていますので、朝からBFを掃除したPSTをファーストライトして見ました。
ピントは天文台のよりも出ています。決して暗くも無いです。
部分日食LIVE用の太陽望遠鏡もこれでいこうと思います。
が、記事を拝見させていただくとリングを回すとエタロンと2枚のレンズとの間隔で見え方が変わる様ですが、どうもエタロンがうまく動いていないみたいでツブツブの見え方があまり変わらないみたいです。午前中は暑くて短時間しかできませんでしたので午後からもう一度チェックしてみます。
昨日のLIVE中継テスト中の模様はスタッフが後ろから撮影していました。
PC画面が見えなくて困っているところです。AZ-GTIには微調整用のリモコンを取りつけています。
@hoshibun_staff
RAINYさんこんばんは。
いえいえ、RAINYさんが覚えていないというなら、作業しながらだったので私の記憶違いの可能性大です。変な気を使わせてしまい申し訳ありません。
ピントもあってツブツブが見えているということは、少なくともエタロンは生きているようです。もしリング回転の効果がないなら、一度エタロン部分の入れ物を分解して見るのがいいと思います。カニ目レンチで簡単に取り出せます。
http://hoshizolove.blog.jp/archives/30113220.html
ただし、エタロン本体だけはできうる限り丁寧扱ってください。2枚鏡がずれるともうおしまいで、修復はおそらく無理です。
ここで、エタロンの角度がどうずれるかを見るとわかりますが、スポンジ状の物で支えるだけと、超チープな作りとなっています。まあある意味よく考えているのですが、海外ではこの調整を安定にできるような改造を施している人もいるようです。うまくエタロンが調整できない場合はここのスポンジのところのどこかに不具合があるのかと思います。
Windows10のPro以上に搭載されているリモートデスクトップを使うと楽です。ネットワーク上に繋がれているなら、接続して部屋の中で見ることもできます。ただし、Windows10のHomeエディションだとリモートデスクトップが使えないことと、リモートデスクトップを使っている最中は、サーバー側の画面が見えなくなることに注意です。