皆さん、この大変な時期に如何お過ごしでしょうか。新月期で天気もいいのに、なかなか遠征にも行けずにヤキモキしている方も多いと思います。

天リフさんでもベランダ天文台が流行っているようですが、私もZoomでの配信も見据えて家の中からリモートで、庭に置いた機材を操作して星を見えるシステムを考えてみました。


自宅からリモートで電視観望

この日は昼からずっと雨で、夜の21時くらいにやっと少し星が見え始めました。本当は庭で撮影したくて、子持ち銀河のM51狙って赤道儀を出そうと思って外に出たら、また雨がふってきました。しばらく待って、また星が見えたと思って準備をしようと思ったらまた雨。こんなことを繰り返してました。

仕方ないので待ち時間の間に超簡単なリモート電視観望装置を組んでみました。基本的には ASI294MC(Pro)に焦点距離50mmのNIKKORレンズを付けた広域電視観望システムがベース同じです。



焦点距離が短いので自動導入とかは必要なく、ただの三脚にカメラとレンズを載せて、普通のカメラのように見たい方向に、手で合わせていました。ターゲットの星雲をPCの画面でリアルタイムで「見ながら」導入するのです。今回はその手で合わせていた部分をAZ-GTiにして「リモート化」しています。

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自動導入もいいのですが、手軽さ重視でAZ-GTiをただのモーター付きの経緯台として使います。ポンと置くだけでいいですし、位置が気に入らなければヒョイと持ち上げて、適当なところに適当な向きにまたポンと置くだけです。

操作はというと今回はiPhoneとかiPadとかの端末は使いません。AZ-GTiをステーションモードで自宅LANに繋いでしまえば、SynScanまたはSynScan ProがインストールしてあるどのPCからでも操作することができるようになります。Wi-Fiが届く範囲にさえAZ-GTiをおくようにしてやれば、端末を持って近くにいる必要もなくなるというわけです。

画像取り込みには撮影用のStickPCを使いました。上の写真のハーフピラーのところに写っていますが、見ての通り超コンパクトです。実際にはハーフプレートにマジックテープをつけて、バッテリーとStickPCにもマジックテープをつけて、亀の子状態でくっつけてあります。ケーブルは少し長めにとって、水平方向位何回か回転しても大丈夫なようにしておきました。ただしこのStickPC、非力なのでよく落ちます。特にSharpCapは結構な計算量を必要とする時があり、今回はLiveStackの時に何度かSharpCapが落ちてしまい、その都度立ち上げなければなりませんでした。ここは少し改良の余地ありです。

機材を組み上げた後は、外に出てポンとそれを庭に置いて、AZ-GTiとStickPCの電源を入れます。別途PCの画面でカメラ映像を見ながらピントさ合わせたらそれでセッティングはおしまいです。超お手軽です。

早速部屋に移動して見てみます。

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画面右下に自宅の屋根が写っています。屋根が見えるということは北向きの空ということになります。この頃にはまだ方角によっては雲が残っていたりしてたのですが、こちらの電視観望の方が面白くなってしまい、この時点でこの日の撮影は諦めました。風が結構強かったこともあります。

最初の頃は、実際の空を見ていない状態での操作に慣れていないせいもあり、いまいちどこを見ているか迷いがちでした。迷うとカメラを下の方に向け、景色を見て方角を確かめます。自宅なら北から東向き、お隣さんなら北から西向き、高い木が見えたら南向きとかです。そのうち、間抜けなことにROIで画面を4分の1に制限していることに気づき、元の画角に戻したら星座全体が一画面に入るようになり、これでどこを見てるか認識できるようになり、やっと快適になりました。

これでだいたいリモートでの電視観望の方の目処がついたので、他の方にも中継で見てもらおうとZoomの準備を始めることにしました。


Zoomによる星空中継

Zoom自身は私は普段使い慣れているので特に問題ないですが、初めてで興味のある人も多いと思います。誰かが開いている会議に参加するだけならものすごく簡単で、どこかで知ったアドレスをクリックするだけです。自動的にソフトがインストールされ、パスワードを入れるなどして会議にアクセスできればそれでおしまいです。デフォルトでは立ち上げ時にマイクが入りっぱなしになっているので、声がダダ漏れになってしまうことくらいでしょうか。ミュートするのを忘れないでください。

会議を立ち上げる場合にはアカウントを作る必要があります。ネットを漁ればいろんなところにやり方は書いてあるので詳しい事は書きませんが、ポイントは会議は自分のIDでの会議室ではなく、毎回会議を個別に立て、毎回必ずIDを変えること。今回のように不特定多数の人が参加する場合はこれが必須でしょう。あとパスワードを設定して、アナウンスの際にパスワードを抜いたアドレスをアナウンスすること。Zoomに言われたアドレスをそのまま晒すと、パスワード込みなので本当に誰でも、スパンユーザーでも入ってきてしまうので注意です。パスワードは別途知らせるようにしましょう。


実際の電視観望中継、参加者は3人

やっとZoomの準備とテストもできたのが0時半頃でしょうか。Twitterで参加を呼びかけたら、このブログでもたびたびコメントしてくれるnagahiroさんがすぐに入ってきてくれました。さらに「星を求めて」でお会いした、お子さんと一緒にKYOEIの赤道儀をいじっていたzhyaさんが参加してくれました。その後しばらくしてスタベのアルバイトのK君も参加。

中継を初めてすぐの私一人の時は、まだ北の空でうろうろしていて、前回撮影したM101が見えないかなと探していたくらいでした。nagahiroさんが入ってきてからは、こと座でM57を見ましたが流石に小さすぎて点にしか見えず、ヘルクレス座の球状星団M13は結局見つからなくて諦め。仕方ないので、そのまま一気に南の空に行きました。もうこの時間だと天の川がそこそこの高度にきています。

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上の画面わかりますでしょうか。部屋のMacから外のStickPCにリモートデスクトップで接続し、そのリモートの画面をZoomで中継している画面です。右下にSyncScan Proも出ていますが、こちらもStickPC上で動かしています。天の川の中心部がはっきりと写っています。リモートデスクトップの遅延も、Zoomの遅延もほとんどきになりません。右下に干潟と三裂星雲、中央上にオメガ星雲とわし星雲がはっきり見えます。この画面が見えた時、nagahirozさんと二人で「おおっ」となりました。

実際の星空中継はかなり楽しく、またZoomの高解像度で遅延の少ない配信により、星のような一見ノイズと勘違いされやすい映像でもそこそこ見ることができるようです。実際自分でもモニター用に別のPCで見ていたのですが、大元で見ている画面からもあまり遜色なく見ることができています。中継中に参加全員にも聞いてみましたが、十分認識できるくらいきちんと見えているようでした。

次の画面は少し後の時間のものですが、左上に干潟と三裂星雲が写っています。この画面でもわかりますがM6とかM7の散開星団はよくわかりますが、画角には入っているはずのM19やM62などの球状星団はわかりにくいようです。この解像度では球状星団は固まりすぎて見分けがつきにくいのだと思います。最初の方のM13が見つからなかったのも仕方ないかもしれません。

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次に、南から東の空に移ります。途中アルタイルが認識でき、矢座がわかったので、M27を探してみました。下の画像の真ん中ら辺の緑色のがそうです。さすがに50mmしかないので、かなり拡大していてもせいぜいこれくら、かろうじて緑と赤の形がわかるかどうかというところでしょうか。

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ここで、LiveStackでノイズを下げようとしましたが、LiveStackが全くうまくいきませんでした。理由ですが、StickPCが非力でLiveStackの計算が重いことがあると思います。ROIでが面を区切って軽くしてもうまくいかないです。LiveStackのAlignmentのオプションで、認識できた星を表示する機能があるのですが、全然星を認識できていません。重すぎるからなのか、画角が広すぎるからか、それとも星像が歪んでいるからか?ちょっと原因不明なので、後日検討します。Zoomでの会話の中で、星の歪みならPENTAXの6x7レンズで試したらどうかという意見がありました。ちょっと暗いですが、暗さは露光時間を伸ばせばなんとかなるので、うまくいくかもしれません。

Alignment無しで、重ねるだけのLiveStackをしてもいいのですが、10秒もすると星がどんどん流れていきます。AZ-GTiのモーターはその方向に向けるためだけに使い、追尾していないので当たり前ですね。本当は自動追尾するように初期アラインメントをきちんとすればいいのですが、それだとポン置きの手軽さが失われてしまいます。ここはトレードオフです。

最後の画像はサドルから、北アメリカ星雲付近です。右下に網状星雲も見えています。

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富山とは言え普通の住宅地。ある意味光害地の自宅からでこれだけ中継できれば十分でしょう。もちろんアメリカンサイズのQBPが入っているおかげもあり、天の川もこれだけ簡単に見ることができます。こうやって中継で星空を見るのももちろん楽しいですが、これをネタに全国の星仲間と話ができるのも何よりの魅力でしょう。

残念ながらzhyaさんがご家族が寝ているとのことで、声を聞くことができませんでした。遅い時間からの開催でzhyaさんには申し訳なかったです。もう少しして天の川が早い時間に上がってくるようになったら、ぜひ星を求めてでお会いしたお子さんにもみてもらえたらと思います。他の二人とは結構ずっとおしゃべりモードでした。実際の交流があまりできないこの時期、こうやって話ができるのはストレス解消にもなります。また、星空中継だけでなく画像処理とかの経緯の中継にも使えそうで、会話が弾みそうです。

夜も更けてきて、zhyaさんは1時半頃には退散、結局nagahiroさんは午前2時前くらいまで、K君は結局2時過ぎまでいてくれました。K君はM57の撮影をしていたらしくて、最後私と二人になったところで、お互いに撮影状況を映しあっていました。K君は自宅すぐ前の、本当に東京近郊の街中での撮影でした。私もカメラを下に下げて横に360度一周して「こんなところだよ」とか言って説明してみました。互いにこんなことができるのもZoomの魅力かと思います。


まとめ

今回は外出が自粛される状況の中、リモート(と言っても庭ですが)で自宅からの星空の電視観望をZomを通して中継するというテストをしてみました。Zoomの性能に助けられたこともあり、ほとんど不満なく星空を共有できたと思います。また、夏の天の川で広域電視観望システムを確かめたかったのですが、こちらも自宅から天の川を十分見ることができることもわかり、大満足です。

今回はテストでしたが、また気が向いたら中継やりたいと思います。Twitterで呼びかけますので、よかったらフォローしてチェックしてください。