先週届いたタカハシのTSA-120。平日なかなか晴れなかったのですが、週末の土曜やっと晴れました。待ちに待ったファーストライトです。




赤道儀への取り付け

実は到着した時、箱から出すだけでもドキドキでした。思ったより前が重いのと、(少なくともしばらくの間は)傷つけないように丁寧に扱います。でもまずは赤道儀に取り付けなければ何も始まりません。

今回手に入れた中古品はラッキーなことにタカハシ純正の鏡筒バンドが最初から付いています。タカハシ のホームページによると新品ではファインダーの有り無しを選べるようなのですが、今回のものはファインダーも付いているモデルだったようです。

鏡筒バンドはタカハシの赤道儀につけるためのM8の穴が35mm間隔で2つ空いています。手持ちの赤道儀はCelestron。鏡筒の重さがファインダーと鏡筒バンドと合わせても8kgほどなのでAdvanced VXにもCGEM IIにも載せることができます。ただし両方ともアリガタ固定なので、高橋の鏡筒バンドから何らかの変換が必要になります。いずれこれまでのFS-60QやFC-76のようにK-ASTECの鏡筒バンドとハンドルに変えようと思っているのですが、とりあえずこの日は昔星まつりで100円で買ったVixex製の古いアリガタに取り付けます。ちょうどM8の穴が同間隔で開いているのでそのまま取り付けることができます。

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2017年の胎内で買ったみたいです。
一番下の100円の札がついているやつです。
FC-76の時もそうでしたが、意外に役に立ちます。

次にファインダーを取り付けます。ファインダー固定台の向きが最初わからなかったのですが、マニュアルが後日送られてきたのを思い出し、きちんとマニュアル通りに固定しました。ファイダーの真ん中にセロテープが巻かれていましたが、これは何のためなのでしょうか?ここで固定して傷をつけないため?でもあまり好きでないので剥がしてしまいました。

赤道儀は玄関にそのまま置いてあるCGEM IIにしました。でもこれ、一度C8を落下させた過去があります。VIxen規格とLosmandy規格の両方のアリガタを固定できるのですが、Vixen規格の溝がちょっと浅いんですよね。今回は初めての取り付けなので、傷つけないように運ぶのはもちろん、赤道儀にも慎重に取り付け、確実に固定されていることを何度も確認します。

ウェイトは5kgを一番端に取り付けてちょうど赤経側のバランスが取れました。鏡筒を触った時の揺れを考えると10kgのウェイトにして内側に持っていった方が揺れにくいかもしれません。フード部分を伸ばすと思ったより前側が重たいです。鏡筒バンドを一度緩めて少し鏡筒位置を後ろにずらします。

大体バランスが取れたところで赤道儀の電源を入れます。今日は眼視だけの予定なので水平だけはとって極軸は適当。しかもソーラーアラインメントで月だけでの初期導入です。ここら辺はAZ-GTiの経験から来ています。水平さえとっておけば、撮影レベルでなければ十分実用なくらいに導入、追尾できます。私にしてはめずらしくファインダーもつけているので、多少ずれてもなんとかなります。

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ファーストライトはお月様

早速月でアラインメントをとり、じっくり見てみました。あ、今日のアイピースはいつも使っているの特価アイピースではなく、なんと

バーダーのHyperionの13mmとPENTAXのWX5

Hyperionは一番最初に星を始めた時にニュートン20cmと一緒に

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PENTAXは星を始めた2016年の胎内の星まつりで5mmと3.5mmをセットで買いました。
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3.5mmなんてまだ袋に入れっぱなしです。
多分1、2回しか使っていないはずです。

こんないいアイピースも持っているのですが、胎内から帰ってすぐに電視観望に走ってしまったので、ほとんど、多分ほんの数回のレベルでしか使ったことがなく、これまでは完全に宝の持ち腐れでした。特にHyperionも5mmを持っているいので、5mmはバーダーとPENTAXで見比べをすることもできるはずです。

まず最初は13mmで月を覗いてみました。焦点距離が900mmなので900/13で倍率は70倍になります。ぱっと見るだけでも、もう当たり前のようにはっきりと、キレッキレで見えます。冬場で星も瞬いていたのでシンチレーションは大きかったのでしょう。ユラユラも当然のように見えてしまいます。この日は月面Xとかもあったのでが、せっかくの晴れ間で他にやりたいことも目白押し。早速眼視でやってみたかったことに移ります。


リゲルの伴星とディフラクションリング

性能のいい屈折機でやってみたかった事の一つは伴星を見ること。今回の目的はリゲルの伴星です。さすがにこの日は極軸が適当なせいもあり、月からリゲルへは少し遠くて自動導入ではうまく入りません。でも月の導入の時にファインダーも位置合わせしておいたので全く問題なし。手動でリゲルを導入します。70倍程度なら簡単に導入できます。でも体制がキツかったです。どれくらいの性能で伴星が見えるか全然見当がついていないので、念のため天頂プリズムとかも無しにしておいて、地面に這いつくばって覗くはめになりました。あと、ピント合わせの時に鏡筒に触ると星が結構揺れることに気づきました。ウェイトと、やはりアリガタは幅広のLosmandy規格の方がいいかもしれません。

とりあえずリゲルの伴星は全くの初めてで、しかもシンチレーションで揺れているのでどうもよくわかりません。仕方ないのでPentaxの5mmに交換しました。倍率は180倍になります。そこでまず気づいたのが、ディフラクションリングがもう普通に見えています。もちろんリング自身もシンチレーションで揺れているのですが、こんなに簡単に、しかもこれほど明瞭に見えているのにはびっくりしました。これが高級屈折の実力なのか、私がこれまで眼視を全くやってこなかったので気づいていなかっただけなのか、よくはわかりませんが、こんなにはっきり見たのは初めてで、最近の天文関連のことでは強烈なインパクトでした。

肝心なリゲル伴星ですが、5mmにしたらあっさり気付くことができました。初めてのことなのでそこまで確証はないのですが、ディフラクションリングのちょっと外側にポツンと暗いのが一つだけあったので、多分あっていると思います。


さらにシリウスの伴星に挑戦、でもあえなく撃退

リゲルの伴星が意外にすんなり見えたことに気を良くして、次は難敵と言われているシリウスの伴星に挑戦。導入も5mmのままでも全然問題なしでした。でも肝心のシリウスBは結局どうやって見てもわからず。途中ちらっと、もしや!と思うものはありましたが、シンチレーションに混じっていて最後まで確証が持てませんでした。それよりも、同時にディフラクションリングもじっくり見ていたことになるのですが、ディフラクションリングがシンチレーションでチラチラ、チラチラ揺れる様子がまるで線香花火そっくり。シリウスBは見えなくても、その幻想的な見え方にうっとりしていました。


まとめ

今日の眼視はこれくらい。惑星とかでの眼視の経験はもちろんありますが、屈折で恒星を極限近くまで頑張って見てみるという、ある意味初めての自分でやってみたまともな眼視体験と言っていいかと思います。結果は思っていたより超楽しい。エアリーディスクがどういうものか自分で計算したりしたこともあり、星を始めた頃だとわからなかった楽しみ方かもしれません。




でもこの楽しさ、このブログを読んでくれている方にうまく伝わったでしょうか?眼視の場合写真を使うわけにいかないので、文章での表現が全てになります。絵心とかあればスケッチとかで伝えるてもあるのですが、そちら方面は全くダメです。

一方、使って見て今回の購入に価値があったかどうかですが、もともと絶対的な信頼がおけるリファレンス的な鏡筒が欲しかったというのがあり、ディフラクションリングも簡単に見えてしまうなど、TSA-120は十分な性能がありそうなことがわかりました。自分的には価値は十分にあったと思えます。相当満足です。


今後の展開

手持ちの高性能アイピースは焦点距離が短いものばかり。天リフで紹介されていたような、長焦点の低倍率広視野アイピースも興味が出てきました。2インチアイピースも視野に入ってくるのでさらに可能性が広がりそうです。

シリウスBはシンチレーション のいい日に再挑戦します。惑星も楽しみです。眼視もまだまだ試したいですが、その一方撮影にもつなげていきたいです。そのためにはフラットナーやカメラの接続アダプターなどまだまだ様々なアクセサリーを用意しなくてはいけません。遠征のためにはケースも必要です。余裕があるなら鏡筒バンドも早く取り替えたいですし、レデューサーとかにも手を出して見たいです。でもしばらくは節約なので、少しづつ揃えていくつもりです。