(先週の)土曜の昼間、少し時間を取ることができたので、ずっと放っておいたVISACの調整をしてみることにしました。

まず前提条件です。以前8月の暑い時にVISACで撮影した星像です。あからさまに三角になっています。

Capture_00_19_48_00_19_48_lapl5_ap3050_DBE_cut

ブログの記事にはしていませんが、この後にも再度星像が三角になる事を試しているので、再現性もありです。これを直したいということです。

いろいろ調べてみると、どうも
  • 主鏡の固定ネジを締めすぎているために、主鏡が歪んでしまっているのが原因
という説と
という意見が主流のようです。


VISACの分解開始と清掃

まずは中を見てみようと、筒側部分にあるネジを3本外します。さらにアリガタを取り付けているネジ2本の計5本を外すと、主鏡部分が筒から簡単に外れます。

寒いところから暖かい部屋の中に持ってきたので、反射面が少し曇っていたためにあからさまに気づいたのですが、恐ろしく汚いです。

IMG_8761

最初曇っていることにさえ気づいていなかったので、なんじゃこりゃと思ったのですが、しばらく時間が経つと曇りが消え、一見綺麗に見えるようになりましたが、流石にレンズクリーナーで清掃しました。

IMG_8767

かなり綺麗になったのですが、それでもやっぱり完全には汚れを取りきれません。とりあえず今回ここは妥協します。


3つの爪をいじる

爪が3つ見えるのですが、これはどうやら固定に使っているというよりは落下防止のようです。歪みを引き起こしいてるネジは別にあるという話ですが、今回はそこまで達していません。慎重を期すために、まずはこの3つの爪だけを考えます。

と、ここで気づいたのですが、どうやら他のVC200Lには主鏡押さえ用のリングが入っているようです。私の個体にはありませんでした。古いモデルなので最初からついていなかったのか、それとも以前のオーナーがとってしまったのか定かではありません。でも現行モデルにはついているということはやはりあった方がいいのでしょう。時間がある時に自作することにします。とりあえず今回はリングのことは今度の課題として残しておきます。

爪自身が歪みを作っている可能性も否定できないので、まずはどれくらい主鏡を押さえつけているか調べてみました。ところが、ネジがゆるゆるでほとんど締まっていません。本当に万が一の落下を防止するような感じです。もう一つの可能性が、爪の形自身が光を遮って三角に見せている可能性があるかもということです。なので今回2つのことを試してみました。
  • 一つは爪をひとつ外してみます。これは光を遮っているならば3角の形が変わるだろうと推測したからです。
  • もう一つは、残り2つの爪のネジをかなりきつく締めてみることです。これで主鏡が歪むなら星像が変わるはずです。
IMG_8772

IMG_8771
外した爪です。L時型でゴムでできています。
ネジが当たるところに金属の板を被せてあります。

ところが2つのことを一度にやったのはやりすぎでした。夜になって見てみた星像の結果が下の写真になります。

IMG_8779
これを見ると点像から全くずれてしまったことがわかります。


すぐに元に戻すが三角にならない

流石に焦ってしまい、すぐに再現性を見るために爪のネジの締め具合を元のゆるゆるに戻し、外していた爪も元に戻しました。光軸が少しずれた可能性もあり、実際内外像を見てもずれているのがわかったので、星像を見ながら主鏡側の押し引きネジを調整し光軸を合わせます。なんとか元に戻ったように見えます。

IMG_8784

ところがここでもう一つの失敗に気づきました。以前撮影した三角の星像は確認していたので、今回は星像を見る前に昼間に分解をしてしまったのです。光軸を合わせても、星像が丸になってしまうのです。温度が高い方が主鏡が膨張するので、夏の方が三角になりやすいという記述を思い出しました。

ここで3つの可能性が出ました。
  1. 冬なので温度が低く、主鏡の歪みが少なくなり星像が丸くなった。
  2. 光軸調整を失敗して点像が出なくなり、星像が肥大化してしまい三角が出なくなった。
  3. この日はシンチレーションがすごく悪かったので、そもそも短時間でもブレてしまって星像が丸くなってしまう。
というものです。以前撮影したM57の星像が残っているので、今の状態で撮影したものと比較すればわかるのですが、冬のこの時間ではM57はとっくに沈んでしまっています。この時期でもまだ早い時間だとM57は見えるので、できれば来年になる前に、晴れてシンチレーションがいい時に一度試したいと思います。


もう一つの可能性

ここでもう一つ、もしかしたらということに気づきました。まだ全然仮定の段階ですが、もしかしたら星像が三角になるのは振動のせいかもしれないということです。飛騨コスモスの時も高度の低いM57を見たときは星像は丸で、天頂付近のM1を見た時には三角になったのです。夏にM57で星像が三角になったときは暑い上に天頂付近での撮影。今回トラベジウムを見ているときは寒い上にまだ低空です。しかも赤道儀を叩いても鏡筒を叩いても、コスモス天文台の時ほどではないですが、星像が揺れます。でも結局三角の星像を再現することができなかったので結論は出ず。やはりまずはM57で星像が肥大化していないか一度比較してみることにします。

でもなんでこんなことを思ったかというと、分解した際に主教の反射面をかなり注意深く見たのですが、少なくとも私の目には歪みのようなものが全く見えなかったのです。主鏡歪み説が本当かどうかは、今のところなんの証拠もありません。出来るだけ他の情報に惑わされずに、自分で納得しながらもう少し客観的に検証を進めていこうと思います。

あともうひとつ、振動説の可能性をなんで思ったかというと、筒がペラペラすぎるからです。主鏡を取り外す時やはめる時に力を入れると簡単に曲がってしまいそうなほどペラペラです。軽いのはいいのですがもう少し強度があってもいいと思いました。なので、取り外しの回数をどうしても減らしたくて、2つのことを一度にやってしまったのが今回の敗因の一つでした。取り外しは何度か試して多少慣れたので、次回はもう少し分解回数を増やして慎重に事を進めたいと思います。


トラペジウムで試写

こんなどうしようもない状況ですが、一応トラペジウムで試写をしてみました。
  1. 露光時間: 0.1秒、gain: 570(max)、撮影枚数500枚
  2. 露光時間: 1秒、gain: 370(maxの10分の1)、撮影枚数50枚
  3. 露光時間: 10秒、gain: 170(maxの100分の1)、撮影枚数50枚
でもこの日は結局シンチレーションが悪すぎました。下のGIFアニメは0.1秒露光の動画の最初の100コマです。トラペジウムの間の距離の半分くらいはシンチレーションで動いてしまっています。
2019-11-30-1325_7-Capture_F001-051_a
0.1秒露光の星像の動き。

でもこの0.1秒露光をAutoStakart!3で500枚中の上位250枚コンポジットした場合、それほど壊滅的にはならなくて下のようにそこそこ綺麗になってしまいます。
10s
0.1秒露光を250枚コンポジットした画像。

さらに10秒露光で50枚中上位25枚コンポジットしたものが、下のようになります。シンチレーションのせいと思いますが星像の肥大が見えます。
10s_cut
10秒露光を25枚コンポジットした画像。


グダグダだけど、一応まとめ

上記結果と、以前星像がどこまで小さくなるか検討した時の議論



および、今年の3月にMEADEの25cmシュミカセでトラペジウムの分解能を測定した記事の結果を合わせると、



やはり今回は短時間露光と長時間露光で星像の肥大が認められるので、シンチレーションが悪かったと結論づけることができると思います。そのため分解能を議論するほどの結果は得られなかったと言えると思います。

もう一つ、今更ながらVC200Lの三角星像の海外記事を読み直していました。この記事の結論としては、
  • きちんと温度順応をしてから
  • スパイダーを避けるマスクを作ってから
  • 光軸調整をきちんとやってみると
三角星像は改善したという事です。今回確かに、VC200Lを外に出してかなり放っておいてから光軸調整をしたので三角が無くなった可能性も否定できません。もし本当にこれが正しいならばもうこれ以上することはなくなります

いろんな可能性がありすぎてまだ迷走状態ですが、少なくとも
  • 現在の星像は丸である
  • 周辺まで含めてコマ収差などの星像の歪みは見られない
  • 光軸がまだずれていて星像が甘い可能性もあるが、MEADEの中心像くらいの分解能は出ている
ということは言えます。MEADEはコマ収差と片ボケがあったので撮影使うには厳しかったのですが、これに比べたらVISACはすでにかなりマシで、とりあえずもう使い始めてもいいのかもしれません。