私にとっては「星と自然のフェスタ」で一番のメインとなる、電視観望の講演と実演についてです。講演に来てくださった皆さま、どうもありがとうございました。講演では立ち見もたくさんいて、夜の実演と合わせて大盛況で、大成功だったと思います。今回の記事は、発表する側の立場でどんな思いで講演や実演に臨んだのかという内容になります。
実はこの日は朝からメイン会場を回っていてもなかなか落ち着かなくて、一番楽しみなはずの特価品あさりも思ったより進みません。フリーマーケットで何も買わなかったと前回の記事で書きましたが、理由の一つが講演のことが結構頭から離れなくて、じっくり見ることができなかったというのがあります。でも、そんなことを吹っ飛ばすくらい今回の講演は充実していて価値があったのかなと思っています。
本当はタカハシの講演を聞きたかったのですが、その頃が準備で一番テンパってて、泣く泣くあきらめました。次の野鳥の話の時にはだいたい準備も終わり、スコープテックさんの講演を聞くことができるくらいになりました。座席について話を聞きながら自分の講演の最終調整をしようとPCを取り出したら、なんと予備のPC!やはり焦っていたんでしょうか、いつすり替わったのかは定かではないですが、当然講演ファイルは(古いバージョンしか)入っていません。再び部屋までPCを取りに。そんなこんなで、スコープテックさんの公演スタートに少し遅れてしまいました。ちょうど部屋に入る時に、原村でお会いしたマリーチさんが入りにくそうにしているので「気にすることないですよ」と言って、一緒に講演部屋に入りました。
スコープテックさんのお話は、フリーストップの片持ち経緯台ZEROの開発についての話で、是非とも聞いておきたい講演でした。実際ものすごく面白かったです。新製品の開発がいかに大変だということがよくわかります。まず理想があって、限られた予算の中でできるだけのことを詰め込んで、試作をして、量産品を作って、マニュアルなども整備する。なかなか一筋縄ではいかないことは容易に想像できます。ユーザーのためを考えて、かなり思いを込めて作った商品だということが十分に伝わってきました。コンパクトに折りたためて、かつ揺れないというのは非常に魅力的です。
特に、振動の減衰の様子をビデオで見せていたのですが、片持ちなのに相当早く揺れが収まります。これなら見ていても不満は感じないと思います。将来的にはエンコーダーなどを取り付けることができるように、各所にネジ穴などを空けてあるそうです。息の長い製品になりそうで、経緯台の決定版になるかもしれません。
後から実際にZEROを会場で改めて見たのですが、振動特性は申し分なく、三脚を揺すった時の振動とほぼ同等レベルの印象で、とてもバランスよく作り込んでいると思います。かなり頑丈に設計してあるようで、共振周波数も高めで変な励起などはなさそうです。鏡筒を覗きながら視野を動かしたりしてみますが、ほとんど揺れが気になりません。
間も無く量産に入るそうですが、こういった熱意のこもった製品を開発するメーカーには、絶対に生き残ってほしいと思います。
さて、スコープテックさんの講演の後はいよいよ我々の番です。開始時間は15時30分からなのですが、10分位前の時点でも既に下の写真くらいの人がいました。実際スコープテックさんの講演が終わった後もほとんど出て行く人がいなくて、さらに新たな人たちが入ってきたような状況で、立ち見の方もかなりいたようです。
この人数を見るだけでも、電視観望についての関心がかなり高いことが実感できます。今回は電視観望について、KYOEIさんと合同で話すわけですが、二人で30分とそれほど長いわけではないなので、できるだけスムーズに話す必要があります。前半はKYOEIさん、後半は私です。
さて、時間になり早速KYOEIさんのお話が始まります。
内容は電視観望とはどんなものかということから、「楽しい」をコンセプトに、観望会で電視観望がどのように使われるのか、実際の見え具合を交えてわかりやすく話してくれました。もちろんKYOEIさんはお店なので、どんな機材が良いかという紹介もしれくれます。初心者だと機材選びも大変なので、購入に際してもいろいろ相談に乗ってもらえるのかと思います。鏡筒はRASA、RedCat、カメラはASI294MCとRevolution Imager、制御とソフトはASIAirとSharpCapなど、入門からハイエンドまで幅広いラインナップを紹介していました。電視観望だけでなく、ついでに撮影までできるという紹介の仕方は私の視点にはなかったので、こういったアプローチ方法もあるんだと参考になりました。
メイン会場のKYOEIブースの前にはRASAとASI294MC Proの組み合わせで機材を見ることができ、夜にはRASAとASIAirで電視観望の実演もしていました。
KYOEIさんの話はすごくわかりやすくて作例も多いのですが、すでに制限時間30分のうちの15分が過ぎていて、まだ終わりそうにありません。「あ、これはオーバーしそうだ」と思い、土壇場で自分のスライドの数を少し減らしました。結局ほぼ20分で前半が終了。残りの時間は約10分です。最終的に用意したスライドは16枚。時間は厳しかったですが、それでも前半で基本的な概念をわかりやすく説明してくれていたので、私は少し凝った話をすることができました。
タイトルは「なぜ小口径6cmの鏡筒で電視観望が成り立つのか?」です。いつも電視観望で使っているFS-60QをAZ-GTiに載せた機材も横に置いて話しました。丸ごと片手で持てるくらいコンパクトな機材です。
トークのはじめの方で、電視観望を実際にやっている、もしくは試したことがある方に手を挙げてもらったのですが、半分くらいは挙がったでしょうか。思ったより多い数です。星まつりで知り合った星仲間もたくさんきてくれていました。このブログを読んでくれている方や、Twitterでフォローしてくれている方もたくさんきてくれていたと思います。かなりの人が本気で電視観望に興味があるはずです。
小口径電視観望には必須のSharpCapのパラメータやコツに加え、「なぜ」小口径でも電視観望が成り立つのかという理由のところをできるだけ理解してもらえるように話を進めたつもりです。また、作例では昨晩の実演練習で見たオリオン座と馬頭星雲も早速見せて、小海の地での電視観望の実例を盛り上げるようにしてみました。
講演は10分という短い時間だったので、全部を読み上げるわけにはいかず、主要なところを説明するようにしましたが、言いたいことは十分伝わったのではないかと思います。講演が終わってからも、次の方の講演のギリギリの時間まで、かなりたくさんの方が質問で手を上げてくれました。KYOEIさんと私とで手分けしながら回答をしていましたが、質問される方や聞いている方の反応を見ていると、手応えとしては十分すぎるくらいあったのかと思います。
講演が終わって片付けをしてから外に出ても、何人もの方からさらに色々質問を受けたり、お話ししたりしました。ずっとブログを読んでくれているという方もいました。本当に嬉しい限りで、今回改めて講演やってよかったと、この時実感しました。
講演の最後の方で、この後暗くなってから会場のどこかで電視観望の実演もしますと宣伝しておきました。できるだけ操作とかを実際に見てもらって、わかりにくところなどを色々話しながら解決できたらと思ったわけです。この日は天気予報では夜から晴れるはずだったのですが、暗くなってからもなかなか雲が無くなりません。雲というか、まるで霧の中にいるような感じです。それでも19時すぎくらいからでしょうか、雲の隙間から少しづつ星が見えてきます。早速車から機材を運び、昨晩と同じような場所で電視観望のセッティングを始めました。準備の時から人が集まり始めていたのですが、空はなかなか晴れてくれません。とりあえず曇りの間に試しに見たM57が次の写真です。
さすがに雲が結構ある中なので、どうしてもコントラストが悪くなってしまいます。この後また曇って見えなくなったり、少し見えたりを繰り返しているので、逆にその間に色々状況や手法を解説することができました。そのうち、空が完全に晴れてきたときのM57がこれです。
やはりあからさまにコントラストが違います。このころにはかなりの人が集まってきていて、綺麗な画像が出てくると「オーッ」と声援が上がります。
とにかくみんなでワイワイガヤガヤ、星雲を見ながらいろんな議論が始まります。技術的な話、コンセプト、昼間わかりにくかったところの解説とか、全然時間が足りません。
特にナイトビジョンのAさんの奥様から聞くことができた、初心者から見た電視観望の印象はとても参考になりました。マニアには常識的な星座の名前や星や星雲のことも、初心者にとっては未知のものです。観望会とかではそこに気を使う必要があるようです。例えば、惑星状星雲といっても多分何が何だかわからないので、見えている画面にテキストで名前を入れるとか、天体の解説をテキストで書いて画面に出しておくだけで、さらに興味を引くことができるはずです。そのうちに、別モニターで解説を出しておけばいいとか、いやそれだと明る過ぎて星が楽しめないとか、もう画面を見ながらいろんな話が飛び交うのです。「あー、こんなのが電視観望でやりたかったんだ!なんか幸せだなあと」と実は一人で感慨深くなっていました。
21時過ぎくらいでしょうか、雲が一面を覆ってきたので、私は一旦多機材を片付けました。でも片付け終って先ほどの場所に戻ったら、また少し星が見えてきています。Aさんのナイトビジョンも出ていて、まだまだこれから盛り上がりそうでした。もう一回出すかとも思ったのですが流石にかなり疲れてしまっていたので、とりあえずその場を後にし、温泉に行って少し休憩。露天風呂の中からかなり星が見えたので、風呂上がりにこの日はアイスを5本も食べて、再び先ほどの場所へ。
すぐに目に入ったのが、Aさんと友人で、最近このブログのコメントでやり取りをしているシベットさんが、Revolution Imagerのカメラを使ってSharpCapで電視観望をしているではないですか。アンドロメダ銀河を入れていて見ようとしていました。このカメラはアナログ出力なのですが、LiveStackの機能がカメラについているのが最大の特徴で、他にもカメラ自身に結構な画像処理の機能がついています。シベットさんと一緒にパラメータの絞り込みをしていったのですが、このカメラの画像処理機能が逆に悪さをしているところがあり、とりあえずカメラ側を出来るだけノーマルな出力にして、SharpCapに処理を任せることでかなりマシな像になりました。シベットさんも講演に来てくれて、その後いろいろ一緒にできたのもまた嬉しい経験でした。
次の日も忙しくなりそうなのと、運転のこともあるので、結局0時過ぎくらいに部屋に戻りました。かなり疲れたのですが、ものすごく充実した一日で、非常に心地よい疲れです。講演に続いてその晩に実演と、自分で考えていたことにかなり近いことができました。今回講演に来ていただいた方、実演を見ていただいた方が地元に帰って観望会などで電視観望を試してくれるなら、かなりの数の観望会で電視観望が披露される可能性があります。これは本当に嬉しいことです。
一方、nabeさんのTwitterのコメントでしたでしょうか、「あまり注目されなかった普通の望遠鏡」というような意見がありました。こういった状況はよくありません。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。あくまで電視観望も観望会などでの一手法として確立してくれればと思っているだけです。早く電視観望がごくごく一般の方法になって、アイピースでの観望も含めていろんな方法で宇宙を楽しむことができればと思っています。そして、天文人口の裾野が広がって、子供達が宇宙や科学に興味を持ってくれるきっかけになってほしいと心から願っています。
なお、今回の自分の分の講演内容については、スライド内容を別の記事で全部掲載したいと思っています。パッと見ただけだとわかりにくいこと、忘れてしまうことなどもあるかと思いますので、お役に立つのならと思っています。掲載まで今しばらくお待ちください。(2019年11月2日公開しました。)
講演前
実はこの日は朝からメイン会場を回っていてもなかなか落ち着かなくて、一番楽しみなはずの特価品あさりも思ったより進みません。フリーマーケットで何も買わなかったと前回の記事で書きましたが、理由の一つが講演のことが結構頭から離れなくて、じっくり見ることができなかったというのがあります。でも、そんなことを吹っ飛ばすくらい今回の講演は充実していて価値があったのかなと思っています。
本当はタカハシの講演を聞きたかったのですが、その頃が準備で一番テンパってて、泣く泣くあきらめました。次の野鳥の話の時にはだいたい準備も終わり、スコープテックさんの講演を聞くことができるくらいになりました。座席について話を聞きながら自分の講演の最終調整をしようとPCを取り出したら、なんと予備のPC!やはり焦っていたんでしょうか、いつすり替わったのかは定かではないですが、当然講演ファイルは(古いバージョンしか)入っていません。再び部屋までPCを取りに。そんなこんなで、スコープテックさんの公演スタートに少し遅れてしまいました。ちょうど部屋に入る時に、原村でお会いしたマリーチさんが入りにくそうにしているので「気にすることないですよ」と言って、一緒に講演部屋に入りました。
スコープテックの講演にて
スコープテックさんのお話は、フリーストップの片持ち経緯台ZEROの開発についての話で、是非とも聞いておきたい講演でした。実際ものすごく面白かったです。新製品の開発がいかに大変だということがよくわかります。まず理想があって、限られた予算の中でできるだけのことを詰め込んで、試作をして、量産品を作って、マニュアルなども整備する。なかなか一筋縄ではいかないことは容易に想像できます。ユーザーのためを考えて、かなり思いを込めて作った商品だということが十分に伝わってきました。コンパクトに折りたためて、かつ揺れないというのは非常に魅力的です。
特に、振動の減衰の様子をビデオで見せていたのですが、片持ちなのに相当早く揺れが収まります。これなら見ていても不満は感じないと思います。将来的にはエンコーダーなどを取り付けることができるように、各所にネジ穴などを空けてあるそうです。息の長い製品になりそうで、経緯台の決定版になるかもしれません。
後から実際にZEROを会場で改めて見たのですが、振動特性は申し分なく、三脚を揺すった時の振動とほぼ同等レベルの印象で、とてもバランスよく作り込んでいると思います。かなり頑丈に設計してあるようで、共振周波数も高めで変な励起などはなさそうです。鏡筒を覗きながら視野を動かしたりしてみますが、ほとんど揺れが気になりません。
間も無く量産に入るそうですが、こういった熱意のこもった製品を開発するメーカーには、絶対に生き残ってほしいと思います。
いよいよ電視観望の講演に
さて、スコープテックさんの講演の後はいよいよ我々の番です。開始時間は15時30分からなのですが、10分位前の時点でも既に下の写真くらいの人がいました。実際スコープテックさんの講演が終わった後もほとんど出て行く人がいなくて、さらに新たな人たちが入ってきたような状況で、立ち見の方もかなりいたようです。
この人数を見るだけでも、電視観望についての関心がかなり高いことが実感できます。今回は電視観望について、KYOEIさんと合同で話すわけですが、二人で30分とそれほど長いわけではないなので、できるだけスムーズに話す必要があります。前半はKYOEIさん、後半は私です。
さて、時間になり早速KYOEIさんのお話が始まります。
内容は電視観望とはどんなものかということから、「楽しい」をコンセプトに、観望会で電視観望がどのように使われるのか、実際の見え具合を交えてわかりやすく話してくれました。もちろんKYOEIさんはお店なので、どんな機材が良いかという紹介もしれくれます。初心者だと機材選びも大変なので、購入に際してもいろいろ相談に乗ってもらえるのかと思います。鏡筒はRASA、RedCat、カメラはASI294MCとRevolution Imager、制御とソフトはASIAirとSharpCapなど、入門からハイエンドまで幅広いラインナップを紹介していました。電視観望だけでなく、ついでに撮影までできるという紹介の仕方は私の視点にはなかったので、こういったアプローチ方法もあるんだと参考になりました。
メイン会場のKYOEIブースの前にはRASAとASI294MC Proの組み合わせで機材を見ることができ、夜にはRASAとASIAirで電視観望の実演もしていました。
いよいよ自分の番です
KYOEIさんの話はすごくわかりやすくて作例も多いのですが、すでに制限時間30分のうちの15分が過ぎていて、まだ終わりそうにありません。「あ、これはオーバーしそうだ」と思い、土壇場で自分のスライドの数を少し減らしました。結局ほぼ20分で前半が終了。残りの時間は約10分です。最終的に用意したスライドは16枚。時間は厳しかったですが、それでも前半で基本的な概念をわかりやすく説明してくれていたので、私は少し凝った話をすることができました。
タイトルは「なぜ小口径6cmの鏡筒で電視観望が成り立つのか?」です。いつも電視観望で使っているFS-60QをAZ-GTiに載せた機材も横に置いて話しました。丸ごと片手で持てるくらいコンパクトな機材です。
トークのはじめの方で、電視観望を実際にやっている、もしくは試したことがある方に手を挙げてもらったのですが、半分くらいは挙がったでしょうか。思ったより多い数です。星まつりで知り合った星仲間もたくさんきてくれていました。このブログを読んでくれている方や、Twitterでフォローしてくれている方もたくさんきてくれていたと思います。かなりの人が本気で電視観望に興味があるはずです。
小口径電視観望には必須のSharpCapのパラメータやコツに加え、「なぜ」小口径でも電視観望が成り立つのかという理由のところをできるだけ理解してもらえるように話を進めたつもりです。また、作例では昨晩の実演練習で見たオリオン座と馬頭星雲も早速見せて、小海の地での電視観望の実例を盛り上げるようにしてみました。
講演は10分という短い時間だったので、全部を読み上げるわけにはいかず、主要なところを説明するようにしましたが、言いたいことは十分伝わったのではないかと思います。講演が終わってからも、次の方の講演のギリギリの時間まで、かなりたくさんの方が質問で手を上げてくれました。KYOEIさんと私とで手分けしながら回答をしていましたが、質問される方や聞いている方の反応を見ていると、手応えとしては十分すぎるくらいあったのかと思います。
講演が終わって片付けをしてから外に出ても、何人もの方からさらに色々質問を受けたり、お話ししたりしました。ずっとブログを読んでくれているという方もいました。本当に嬉しい限りで、今回改めて講演やってよかったと、この時実感しました。
電視観望の実演
講演の最後の方で、この後暗くなってから会場のどこかで電視観望の実演もしますと宣伝しておきました。できるだけ操作とかを実際に見てもらって、わかりにくところなどを色々話しながら解決できたらと思ったわけです。この日は天気予報では夜から晴れるはずだったのですが、暗くなってからもなかなか雲が無くなりません。雲というか、まるで霧の中にいるような感じです。それでも19時すぎくらいからでしょうか、雲の隙間から少しづつ星が見えてきます。早速車から機材を運び、昨晩と同じような場所で電視観望のセッティングを始めました。準備の時から人が集まり始めていたのですが、空はなかなか晴れてくれません。とりあえず曇りの間に試しに見たM57が次の写真です。
さすがに雲が結構ある中なので、どうしてもコントラストが悪くなってしまいます。この後また曇って見えなくなったり、少し見えたりを繰り返しているので、逆にその間に色々状況や手法を解説することができました。そのうち、空が完全に晴れてきたときのM57がこれです。
やはりあからさまにコントラストが違います。このころにはかなりの人が集まってきていて、綺麗な画像が出てくると「オーッ」と声援が上がります。
とにかくみんなでワイワイガヤガヤ、星雲を見ながらいろんな議論が始まります。技術的な話、コンセプト、昼間わかりにくかったところの解説とか、全然時間が足りません。
特にナイトビジョンのAさんの奥様から聞くことができた、初心者から見た電視観望の印象はとても参考になりました。マニアには常識的な星座の名前や星や星雲のことも、初心者にとっては未知のものです。観望会とかではそこに気を使う必要があるようです。例えば、惑星状星雲といっても多分何が何だかわからないので、見えている画面にテキストで名前を入れるとか、天体の解説をテキストで書いて画面に出しておくだけで、さらに興味を引くことができるはずです。そのうちに、別モニターで解説を出しておけばいいとか、いやそれだと明る過ぎて星が楽しめないとか、もう画面を見ながらいろんな話が飛び交うのです。「あー、こんなのが電視観望でやりたかったんだ!なんか幸せだなあと」と実は一人で感慨深くなっていました。
21時過ぎくらいでしょうか、雲が一面を覆ってきたので、私は一旦多機材を片付けました。でも片付け終って先ほどの場所に戻ったら、また少し星が見えてきています。Aさんのナイトビジョンも出ていて、まだまだこれから盛り上がりそうでした。もう一回出すかとも思ったのですが流石にかなり疲れてしまっていたので、とりあえずその場を後にし、温泉に行って少し休憩。露天風呂の中からかなり星が見えたので、風呂上がりにこの日はアイスを5本も食べて、再び先ほどの場所へ。
すぐに目に入ったのが、Aさんと友人で、最近このブログのコメントでやり取りをしているシベットさんが、Revolution Imagerのカメラを使ってSharpCapで電視観望をしているではないですか。アンドロメダ銀河を入れていて見ようとしていました。このカメラはアナログ出力なのですが、LiveStackの機能がカメラについているのが最大の特徴で、他にもカメラ自身に結構な画像処理の機能がついています。シベットさんと一緒にパラメータの絞り込みをしていったのですが、このカメラの画像処理機能が逆に悪さをしているところがあり、とりあえずカメラ側を出来るだけノーマルな出力にして、SharpCapに処理を任せることでかなりマシな像になりました。シベットさんも講演に来てくれて、その後いろいろ一緒にできたのもまた嬉しい経験でした。
次の日も忙しくなりそうなのと、運転のこともあるので、結局0時過ぎくらいに部屋に戻りました。かなり疲れたのですが、ものすごく充実した一日で、非常に心地よい疲れです。講演に続いてその晩に実演と、自分で考えていたことにかなり近いことができました。今回講演に来ていただいた方、実演を見ていただいた方が地元に帰って観望会などで電視観望を試してくれるなら、かなりの数の観望会で電視観望が披露される可能性があります。これは本当に嬉しいことです。
一方、nabeさんのTwitterのコメントでしたでしょうか、「あまり注目されなかった普通の望遠鏡」というような意見がありました。こういった状況はよくありません。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。あくまで電視観望も観望会などでの一手法として確立してくれればと思っているだけです。早く電視観望がごくごく一般の方法になって、アイピースでの観望も含めていろんな方法で宇宙を楽しむことができればと思っています。そして、天文人口の裾野が広がって、子供達が宇宙や科学に興味を持ってくれるきっかけになってほしいと心から願っています。
講演スライドについて
なお、今回の自分の分の講演内容については、スライド内容を別の記事で全部掲載したいと思っています。パッと見ただけだとわかりにくいこと、忘れてしまうことなどもあるかと思いますので、お役に立つのならと思っています。掲載まで今しばらくお待ちください。(2019年11月2日公開しました。)
コメント
コメント一覧 (19)
小海星フェスお疲れさまでした。想像以上にコンパクトでインパクトのある電視観望、たまたまAZ-GTiを手に入れる機会があったので本格的に取り組んでみようと思います。
記事中一点訂正させていただきたいのですが、「見向きもされない望遠鏡」というのはSamさんの電視セットに対することで、ほかの15cm屈折や30cmニュートンの眼視をされている方の場所にも人だかりはできていました。
望遠鏡が主役の天体観測と違って、望遠鏡が脇役の天体観測なのが面白いと思う反面、ちょっと寂しいなぁと思った次第です。なので、ツイッターでも書いたような「電視と眼視の両方が同時にできる観望会」ができればもっと面白そうだなという考えに至りました。
改めましてRevolution Imagerの電視観望では大変お世話になりました!また、いろいろとお話させていただく機会も持て、楽しい時間を過ごさせていただきました!
従前、アマチュアの星の楽しみ方であった天体写真や眼視に対し、新たに発生した第3(?)のジャンルがナイトビジョンや電視観望だと思ってます。この2つはいずれも一般ギャラリーにアピールしやすい要素が大きいので、今後の運用次第では世間に於ける天文分野の立ち位置向上の起爆剤となり得るポテンシャルを秘めていますね。
自分も今後、電視観望のノウハウを取得していくとともに地元での一般向けデモを行っていきたいと思っています・・・・Samさんの講演のあの盛況を見れば、今後、日本各地でそういう活動が同時多発する予感!
講演の途中で会場に入っていいものか否か非常に困っていたので、「いっそここで漏れ聞こえる声だけでも」なんて思っていたのですが、Sam様が現れた時、後光が差して見えました!ありがとうございます。
nabe様がおっしゃるように、電視観望だと、画面にばかり注目が集まってしまい、最前線で頑張ってくれている望遠鏡が霞んでしまいがちかもしれないです。
天体観測愛好家が集まっている現場であれば、当然、「何がこの天体を捕捉してるか」は解っているから良いのですが。(むしろ、何の機材で電視観望してるのか興味を持って注目されると思います。)
一般的な観測会(特にお子様多め)の時は、恐らく画面に釘付けになってしまい、「どうして画面に映るのか。」を意識されないように思います。
なので、「望遠鏡で見つけたもの(星とか)をここに映してるよー。」と『マスターオブ観測会』が教えてあげないとならないかも、と思います。
眼視だとダイレクトに「今」、星の光を見てる!という事に宇宙の神秘を感じますし、電視観望だと複数の人で「同時に」宇宙を見て共有できるメリットがあって、どちらの観測法も大好きです。
眼視初心者で経緯台しかない我が家では、導入した望遠鏡を誰から覗くか、ピント合わせは、とか、わちゃわちゃしているうちに視界から出て行ってしまったり、という惨状ばかりです。
どのデジアイピースを買うか、と共に、いっそこれを機に自動導入の架台を買うか、という課題(!)を抱えつつ、冬ボを待っているところです。
長文失礼致しました。
小海では大変お世話になりました。
講演会でのSharpCapの設定方法は参考になりました。
Samさんのブログ記事で読んでいるはずなのですが、実際に説明いただくと頭に入ります(すぐ忘れてしまいますが・・・)
残念だったのは講演時間が短かったこと。運営側には次回以降はSamさんだけで30分以上でお願いしたいところです。
また、夜、教えていただいたとおり、AZ-GTiセッティング時は三脚及び鏡筒の水平を取るようにします。
ナイトビジョンのAさんにも大変お世話になり、雲の切れた22~24時には等倍及び30cm望遠鏡で数々の散光星雲を見せていただきました。
前夜および8月の原村星まつりでは見られなかったのですが、ようやく見られました。
中年8人くらいで「次あれ見よう」とわいわい見られて楽しかったです。
目では見えない星雲が見えるのは、初めて双眼鏡で星空を眺めた時のような感動!
また普段写真で撮っている星雲が、等倍で見たら意外に大きかったことにもびっくり!
流星群時には流星がバンバン見られるともお聞きしたので、お値段80万円でなければすぐにでも購入したいところです。
10年以上は使えるとのお話だったので、1月に換算すると1万円以下・・・
買えなくはない、いやいや無茶すぎる。
私も電視観望は観望会において、有効な手段だと思っています。
自分の中でまだ運用方法が定まっていなかったり、曇ったりで、
なかなか実演できる機会がないのですが、
今後の観望会では安定して見せられるようにしたいです。
もちろん、眼視での観望も大事ですから、別の望遠鏡も必要になりますが。
>見えている画面にテキストで名前を入れるとか、
>天体の解説をテキストで書いて画面に出しておく
天候等によりその場その場で見せるものを選ぶので予め用意するのは難しそうですが、
ステラナビゲーターやSuperStarを連動させれば行けそうな気がします。
AZ-GTiならSkySafariが良さそうですが、説明が英語なんですよねぇ。
またPC等の画面が明るいのは難点ですね。
真っ黒画面でもかなり明るいですからねぇ。
タブレットで画像を見せてから望遠鏡を覗いてもらうことを考えたことがありますが、
目が眩むのと、「全然違う、色が付いていない」と思われそうで止めました。
すみません、nabeさんの発言がぐさっと心に刺さって、でもその発言が見つからなかったので正確でなかったかもしれません。
わたしも観望会で電視とアイピースの観望を見比べたりして、より宇宙に興味を持っていただけたらと思います。ナイトビジョンもそうですが、まだまだこれからも面白い手法が出てくると思います。様々な手法で宇宙を知ることができる時代になっていくと思います。個人的にはそんな楽しい時代を期待してしまいます。
nabeさんのTwitterの発言を見直してやっと理解できました。私の電視観望の機材に対してと言うことですね。すみません、完全に勘違いしていました。
確かに机の下くらいの低い位置においてあったので見えにくかったかもしれませんが、多分見たい人は近くに来て写真とか撮っている方もいたので大丈夫だと思います。
実はあの時は操作と周りの人との話で精一杯で、あまり周りが見えていなかったです。いろんな手法で見るのは本当に楽しいと思っています。電視観望は画面の光とかが迷惑になることもありえるので、うまく共存できる方法を探っていければと思っています。
私もシベットさんに会えて、いろいろお話できて楽しかったです。
ASI294MCでさらに楽しんでください。
高知でも電視観望が広がってくれると嬉しいです。
古スココレクション、楽しそうです。
電視観望は意外に古い鏡筒でも楽しめるものです。電視観望を始めたら、ぜひともコレクションを実用で使ってあげてください。いろいろ見比べるのも楽しいです。
実は私もネタでスーパーチビテレを持って行ったのですが、結局出す暇がありませんでした。意外に見えるものですよ。
お土産ありがとうございました。家族みんなで楽しみました。とても美味しかったです。
ご主人とお嬢様にも、よろしくお伝えください。
確かにソフトを連動させて導入とか、いろいろ凝ったことのできるのですが、観望会では私はできる限りシンプルにするようにしています。複雑にすればトラブルの可能性が出てきて、お客さんを待たせることにつながるからです。なので、ケーブルとかの数も最小にしています。
一人の撮影の時などは、かなり凝ったことをやって失敗しても誰かに文句を言われることはないのでいろいろ試しますが、それでもトラブルは撮影時間の現象になったりするので、やはりシンプルなセットアップが好きです。
電視はまだ発展途上なので、もっといろいろなアイデアが出てくると思います。まだまだ未来が楽しみです。
PCの取り違えや、残り時間の減少に伴うスライドの割愛など、臨場感があってハラハラドキドキして読みました。
それでも臨機応変に成果を出されるのはさすがですね。聴きにいけず残念です。
観望会でお客さんが多い時はできるだけシンプルな構成で臨むというのは大いに納得です。私なら欲張りすぎてトラブって失敗すると思います(笑)。
これを気に電視観望の輪が広がると良いですね!
小海では、屋外での電視観望は予想を超える滑らかで美しい画像でした。SharpCapの操作方法も大変勉強になりました。ありがとうございました。また、ナイトビジョンと比較できたのは、ほんとにラッキーでした。
視る方法それぞれに特性があると思いました。
CMOSカメラについてはスタックによりだんだん高精細になっていくし、多人数で同時鑑賞できる美しいカラー画像が得られます。
ナイトビジョンについてはモノクロながらラチチュードが広く、星像も小さく、時間軸で揺らぎのあるリアルタイム動画です。偶然微小流星と思われるものが視野に入った時は、感激でした。また、双眼だったので宇宙空間に自分が浮いているような感覚でした。
眼視大口径については本物の星の光の自然な迫力が代えがたいです。
小生の持っているのは、はずかしながら、ガイド用のモノクロ小型CMOSカメラにすぎません。でも、その特性にも利用価値があるように感じました。例えば、レンズを50ミリ以下の短焦点にして、フレームレートを1秒くらいにすると、疑似動画的に人工衛星や雲や航空機が動き、また、都市部でも眼視よりも圧倒的に多数の星が見えるので、「あそこの小三ツ星のもやっとしてるのが、大きくするとこれなんですよ」とか言いつつより大きなカラーCMOSカメラでの観望などへの切り替えに使えるかもしれない、と思いました。
続きです。
人の個性は多様だし、子供だけでなくお母さんやお父さんやいろんな層で構成されているので、なるべく多様な視る方法で素材を与え、あとは、観客の多様性と進化に任せてよいのではないか、とも思いました。世界はかなり包容力があるのではないでしょうか。他人の言うことはさておき、ワクワクして、自分は、どんな方法でもいい、全部の方法で見たい、全部感じたい、英語まだわかんないけど、Skysafariの写真がすてき、と思うような子も結構いるような気がします。そういう子が、やがて、天文学者になるかも。
人間は、古来道具と共存して、能力を拡張してきたように思います。(このあたり、アニメのbeatless(ビートレス)の影響か?)
長文乱文失礼いたしました。
samさんの講演をたいへん楽しく聞かせてもらいました。
ありがとうございます。
ベランダ観望家にとって手軽に機材を出すことが先決、機材が軽量であることは言うまでもありません。また、狙った天体(メシエ天体やNGC天体)をすぐに見られることも重要です。これらの条件を満たす電視観望は、私にとって好都合な手段と感じております。
一つ残念だったのは、samさんに会えなかったことですかね。
来年の星まつりには、こちらからお声を掛けさせていただきます。
あぷらなーとさんに会いたいと言う方もたくさんいました。でも香川からだとさすがに遠いですよね。
私も凝ったことをやってすでに何度も失敗しています。
実演の時にも出た意見なのですが、カメラも無線で繋げないかと言うのがありました。そうするとケーブルレスです。でも、電源は供給しなくてはダメなので、できるなら電池内蔵かとか思います。USB電源はノイジーだったりするので、意外に乾電池の方が良かったりするのかもしれません。ただ、流石に冷却は電力食いすぎで難しいと思います。
当日は朝食に付き合ってくださり、ありがとうございました。
お土産も美味しかったです。家族に大人気で、一瞬でなくなりました。
宇宙を知る方法はいろいろあるはずです。ご存知の通り研究では可視光に全くこだわっていません。アマチュア天文の範疇でも、手法はこれからもどんどん発達していくのかと思います。10年後、20年後の世界がとても楽しみです。技術とともに我々にもできることも増えてくるはずなので、アマチュアレベルでももっと世界が開けてくるのかと思っています。
一方、古い望遠鏡も好きなので、いろいろ比べながら時代の進化を楽しむのもまた一興かと。
子供達には見えない天体が見えたりする「なぜ?」というところを、科学としてを楽しんでほしいと思っています。こういったことに、観望会などを通して関わることができるのもまた、アマチュア天文の魅力だと思います。
声かけてくださればよかったのに!星まつりは時間があればできるだけ顔を出そうと思っているので、次回機会があれば是非お話ししたいです。
電視観望自分でやってみると絶対楽しいと思います。わかりにくいこととかあったら、またコメント欄に書いてください。できる限り答えたいと思います。
皆さんも書かれていますが、この第3の新しい観望の分野若い方が少しでも興味を持ってもらえると天体写真界も未来がみえてきます。見に行けず残念でしたが、またどこかでお会いできること楽しみにしています。
いえいえ、のんたさんの提案で実現したようなものです。
本当にありがとうございます。
またいつか講演の機会はあると思います。その時には是非のんたさんにも聞いていただきたいです。