2019年6月15日、今回は関東で開催のCANPに参加してきました。今回は準備していた電視観望のトークもあって、とっても濃い〜二日間でした。


CANPに向けて出発

土曜日、この日は朝5時起き。展示用の電視観望の機材を準備して、朝6時過ぎに自宅を出発。7時台の新幹線に乗ることができました。このペースだと東京には9時台後半に着くことができます。CANPの受付開始時間までしばらく時間があるので、10時開店のKYOEIに立ち寄り時間を潰します。

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開店直前に到着したのはいいのですが、ちょうど出社してきたショップのMさんと今回のCANPのことで話し込んでしまい時間を潰しすぎ、もう一つの目的だったスターベース に立ち寄ることができませんでした(結局次の日に寄ることになりました)。雨も降っていたので、この日は諦めてそのまま会場のある新川崎駅に向かうことに。


いざ、会場へ

秋葉原から川崎駅までは乗り換えを含めて30分くらい。川崎駅から会場までは歩いて10分くらいでしょうか、結構な雨の中、途中同じCANP参加者らしい方と挨拶を交わしながら会場に向かいます。なんか、やっぱり星をやっている方は雰囲気でわかりますね。12時頃に到着したのですが、会場に着くと中にはすでにかなりの人が。今回の会場は大学の敷地内にある会議室です。

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13時の開始まで、受付や知り合いとの挨拶です。2年前のCANPのときと違い、知り合いも何人かいます。かんたろうさんや天リフ編集長はじめ、一緒のホテルに泊まるメンバーとも無事に顔合わせすることができました。特に仙台からきたKさんはお会いするのは初めてです。でも夜の二次会の席でも隣同し、2日目帰るときもこのKさんとスターベースまで一緒に行くことになり、今回一番喋ることになるのでした。

今回は流星会議と重なる日程で、あちらの濃い方達が来ていないはずなので、いつもよりは普通なはずとどなたかが言っていました。それでも100人越えの参加者みたいです。これまでで一番人数が多いと説明がありました。


いよいよトークの始まり

13時になるといよいよCANPのはじまりです。話をよく聞きたかったので、前の端の方の空いている席に座りました。実行委員長の挨拶があり、そのまま委員長が最初のトークです。今回はフルのトークは一人1時間の持ち時間。質問時間も十分に取ることができ、一つ一つのトークががかなり充実しています。

最初の話ということでしょうか、「初心者のための」という触れ込みですが、さすがCANP、全然初心者向けではありません。カメラセンサーの原理から入り、ダークノイズの温度依存性など、ある意味天体写真をやっている人でもあまり考えないようなことも話してくれます。興味深かったのは画素数が多いとダークノイズが目立たないが、実際にはダークノイズが減っているわけではないよという話。これは電視観望でビニングをした時と同じで、ビニングして画素数を減らすと、信号は大きくなって画質が上がるはずなのに、逆に空間分解能が悪くなりノイズが目立ってしまって汚く見えてしまうのと同じことかと思いました。
DDP(Digital Development Processing)、ステライメージでもおなじみの「デジタル現像」の説明で銀塩カメラの現像液の感度から持っていった話は秀逸でした。銀塩カメラの現像にはエッジ効果まであったと言うものです。DDPを式で表した解説は非常にわかりやすかったです。

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2人目は天体写真で日本で最もアクティブな方の一人です。デジカメと冷却CCDの違いについてですが、彗星の撮影例をふんだんに示して、話してくれました。冷却CCDはデジカメに比べて自然な感じになるとのこと。画像処理も冷却CCDはあまりあぶり出す必要もないので処理の時間もかからないそうです。あぶり出すことよりも、より自然にというのが、究極的に行き着く先なのでしょうか。

3人目はラッキーイメージングです。豊富な撮影例でラッキーイメージングでどれくらい細部を改善できるかを話してくれました。相当長い時間をかけていろいろ検証されていて、最適なパラメータを詰めているようです。私はまだラッキーイメージングを始めたばかりなので、もう少し時間をかけて詰めていきたいと思いました。実はこの方、私が星を始めるときにこの方の撮影したM57と淡いはずなのに綺麗に写っているIC1296を見て、ものすごく憧れました。今回やっとお会いすることができました。夜の懇親会の前に、いろいろお話しすることができてとてもうれしかったです。

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4つ目はパネル討論ということでしたが、実際には5人の分野ごとのスペシャリストが一人10分くらいかけてそれぞれ話しような形式でした。
  • 最初の方は惑星。シンチレーションがいい時の土星の動画を見せてくれて、どれくらいの生動画だと、どれくらいの静止画になるかという目安を示してくれました。年に何日あるかないかというシンチレーションの時の動画はカッシーニの観劇も生動画ではっきり見えていて、とても参考になりました。惑星撮影も星像をみてFWHMがダメなら撮影しないそうです。
  • 二人目は八ヶ岳のリモート天文台のリッチークレチアンでの撮影例です。銀河も星雲も撮り尽くし、あとは惑星状星雲だけしか残っていなくて、その前に今は電視観望を楽しんでいるとか。撮影ですが、こちらもシンチレーションが大事で、FWHMをみてダメだったらその日は諦めるとのことです。
  • 次の方は映像作家の方ですが、今回は趣味の方の天体写真の話で、M42を例にとって、仕上げ方は100人100色でいろんな撮影例があっていいという話。この方もリッチークレチアンでリモート天文台を持っているとのことです。古いカメラをずっと使っているのですが、ライブラリーが溜まっていたり、癖を知っているので、新しい機材になかなかできないとのことです。新しいことを試す開発段階は終わっていて、今はいかに安定に稼働させるかどうかだそうです。Windowsもアップデートしたくなくて、かなり昔のバージョンを使っているとのことです。
  • 4人目は大御所の方の話です。昔冷却CCDを購入し、その時に撮影を目指した対象天体が雑誌の連載につながったとか、ほぼ見たい天体は見てしまったとか、長年の経験がものをいう興味深い話ばかりでした。鍋で作ったεは最高です。海外に行く時のノウハウなども面白かったです。
  • 最後の方はAO(補償光学)の話でした。SBIG製品が中古で出回っているとか。でも私にはなかなか見つかりません。AOは興味があるので買える値段なら考えてみたいです。


いよいよ懇親会

その後は懇親会。一緒のテーブルになったメンバーに、学生と社会人一年のグループがいました。この中に一昨年前の原村で隣になった時の学生さんがいて、このブログを星ナビに紹介してくれた話で盛り上がりました。若い人はこの5人だけだったと思いますが、それでもここに来るくらいの若手がいるということはとても嬉しいことで、将来を期待してしまいます。話を聞くと、所属する大学の天文部にはなんと100人!もの部員がいるそうです。その中で撮影までするのが20人くらい、赤道儀を持っているのはわずか3人くらいだとのこと。学生には厳しい趣味かもしれませんが、焦らなくていいので、ゆっくり楽しみながら裾野が育ってくれればと思います。

テーブルにはベテランの方も何人かいて、いろいろ話すことができました。一昨年のCANPでの私の発表を覚えてくれている方が隣席で、ドームを持っている話だとか、とてもうらやましかったです。

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テーブルでの話は楽しかったのですが、バイキング形式の食事は一瞬で食べ尽くされてしまい、まだまだお腹がすいています。これは否が応でも二次会で盛り上がりなさいというサインなのでしょうか。

食事が落ち着いてきたところで、星ナビの編集の方のトークが始まります。内容は雑誌編集の裏側で、普段では絶対聞けないような話が盛りだくさんで、とても面白かったです。私はまだ雑誌に投稿したことはないのですが、この話を聞いていつか投稿してみたくなりました。

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二次会へ

宴もたけなわですが、そろそろ一日目解散の時間。次はこの日泊まる予定の川崎に移動し二次会です。メンバーは大御所の方や超ベテランの方を含めた11人。一緒のホテルの5人、前回CANPでご一緒した方、初めて会う方もいて、とても楽しかったです。

朝に挨拶した仙台からきたKさん、隣の席だったのでいろいろ話していると、以前ブログにコメントをいただいた方だとわかりました。私もよくその方のブログを見ています。なんとKさん、この趣味のこといまだに奥さんにも子供にも秘密だとか。しかも10年も!撮影した後もこれ見よがしに一眼レフカメラを首からかけて帰ってきて、星雲も惑星も全てそのカメラで撮っていることになっているそうです(笑)。確かに家族内での天文機材をめぐるトラブルは熾烈を極めますが、まさかここまでするとは。次の日もKさんとはこの話題で話していたのですが、撮影はたいてい平日で、遅くなると残業だったことになるらしいです。でもなぜか雨の日とか満月近くは残業はなくなるらしいです。統計取られたらバレるかなあとかおっしゃってました。面白い人です。

同じ趣味の人だと、よく会う人でも、初めてでもネタも尽きることなくどれだけ話しても話足りないくらいです。それでも去年までのような宿泊とセットではないので、限られた方としか話せなかったのは少し残念でした。夜中までいろんな人と話せるのは、なかなか大変だとは思うのですが、魅力なのかと思います。まあ、次の日の講演で寝不足になるのですが. . .。

結局0時頃まで盛り上がっていて、自宅に帰る人の終電が近づいてきたということで二次会も終了です。5人で歩いてホテルまで移動してチェックイン。結局午前1時過ぎに眠りにつきました。とても濃い1日でしたが、明日は自分のトークもあり、まだまだ楽しい時間は続きます。