星座用のビノがたまってしまいました。いつの間にやら7個です。今回は実際に見たときの感想も含めて、それぞれレビューしてみます。

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左上から下に向かって、
WideBino28(新)、WideBino28(旧)、星座望遠鏡(双眼)、星座望遠鏡(単眼)、
右に移ってテレコンビノで、cokin、JAPAN OPTICS(?)、Nikonです。

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接眼レンズ側です。cokinのレンズ径の大きさが群を抜いています。



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ケースやキャップなども一緒に。順序は上と同じです。

タイトルには星座用ビノと書きましたが、正式な一般名称がよくわかりません。もともと2倍テレコンを利用して自作していたのが主流だったこともあり「テレコンビノ」と呼ばれていることもあります。商品名になるのでしょうが「星座望遠鏡」は分かり易い名前だと思います。でも一般の人にはそれでもなんのことやら、星座用の望遠鏡って???だと思います。「星座観察用双眼鏡」なんて長い呼び方もあるようです。とりあえずここでは「星座ビノ」と呼ぶことにします。


星座ビノとは

ここで少し、どれくら星座ビノがすごいのか説明しようと思います。まずこれらのビノを昼間にのぞいてもほとんどその価値はわかりません。ちょっと拡大されるだけで目で見るのとあまり変わらない。なんでこんなものにこんな値段を出すのか、全くわからないと思います。実際私がそうでした。原村の星まつりで昼間にのぞいても全然理解できなかったのです。でもこれを夜に、しかもある程度の光害地で使うと評価は全く変わります。大抵は「何これ!」「めっちゃくちゃ見える!」「こんなに星があるの!」と驚嘆の声を上げることでしょう。


見える星が増える理由 

見える星の数が増える理由はひとえに低い倍率にあります。普通双眼鏡というと10倍とかそこそこの倍率で、一見倍率が高い方がいいと思ってしまうかもしれません。ところが星座ビノの倍率はどれも2倍程度です。この2倍というのが非常にバランスが取れた倍率なのです。2倍の倍率ということは、2x2=4で4倍暗い星まで見ることができます。これはビノをのぞいたときに一辺2倍の長さに拡大してみるということなので、面積で考えると4倍に拡大してみることになります。すなわち明るさは4分の1になるわけです。ところが星は点光源なので、面積がなく広がらないために明るさは変わりません。星の明るさは変わらず周りの明るさを4分の1にするので、4倍暗い星まで見えるということになります。

では4倍暗い星(明るさが4分の1倍の星)とはどういうことでしょう?星は等級という単位で明るさを表します。都会や光害地では肉眼ではせいぜい2等星程度までしかみることができません。3等星まで見ることができればまだそこそこ暗いところになりますい。この等級という単位、2等級の差があると明るさは5倍違います。星座ビノでは4倍くらいの暗い星を見ることができるので、ざっくり2等級近く暗い星まで見ることができます

では等級ごとにいくつくらいの星があるのでしょうか?

1等星:21個、2等星:68個、3等星:183個、4等星:585個、5等星:1858個、6等星:5503個

だそうです。たとえば2等星までしか見えない都会や光害地では約90個の星が見えます。これが2等級余分に見えるようになって4等星まで見えるとすると、約850個にまで見える数が増えます。なんと約10倍の数の星が見えるのです。実際には上の表には南半球で見える星も入っているので、数としては半分程度ですが、10倍近くの数の星が見えるようになるということは変わりません。高々2倍倍率を上げるだけで、10倍近くの星の数が増えるというのだから効率がものすごくいいのです。

では調子に乗ってさらに倍率を上げたらどうでしょうか?確かにより暗い星までみえるので、見える星の数は増えます。が、今度は視野が狭くなって「一度に」見える星の数が減ってきます。しかも狭い範囲を見ることになるので、いったい空のどこを見ているかがわからなくなってくるでしょう。この2倍程度という倍率は、大多数の星座の一つ一つがすっぽり視野に入るくらいの倍率なので、自分がなんの星座を見ているかすぐにわかるのです。しかも星座にある小さな星まで見えてくるので、星座早見盤と見比べながら星座を自分で一つ一つ確認して形をトレースすることができます。自分でやってみるとわかりますが、これはかなりおもしろいですよー。星座ってホントにこんな形を結んでできているんだと実感することでしょう。こんな理由から「星座」ビノなんて呼ぶのが適しているのかと思います。

2倍という倍率は本当に微妙で、覗いてみてもあまり視野が狭くなった気がしません。もちろん視野は狭くなっているのですが、人間の目が焦点を合わせられる範囲はそれほど広くはないので、ちょうどそこらへんの範囲と、星座ビノで視野が狭くなる範囲が一致するくらいにあるためだと思います。一方星の数は上の理屈通り、本当に増えて見えます。これはびっくりするくらい増えたように感じます。「わー、こんなに星が隠れてたんだー」という言葉を発したくなるくらいです。

さて長くなりましたが、いよいよレビューといきます。まずは現行機種で、簡単に手に入れらるものからです。


現行機種

WideBino28

販売: 笠井トレーディング
倍率: 2.3倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で39mm、接眼側が実測で8mm)
入手方法: アマゾン、各種天文ショップ
値段: 1万6千円程度

長所: 入手しやすい。歪みは少ない。おすすめ。
短所: 接眼側の径が小さい。ピント合わせが軽いので首からぶら下げておくと服とかに当たってずれる。光軸中心から目がずれると大きくぼやける。現行機種の中では少し値段が高いほう。


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私が一番最初に手に星座ビノです。星を始めた年の原村の星まつりで見たのが最初です。もっとも、その時は価値を全く理解できずに、「なんだ大して拡大もしないのに高い双眼鏡だなと」思ってしまいました。望遠鏡で暗い星が見えるようになる理由がわかってから、天の川を倍率の低い双眼鏡で見たらどうなるのだろうと思った時に、初めて「あ、だから原村であんなのが売ってたんだ!」とやっと理解できてすぐに入手しました。

もともと笠井トレーディングからの販売で、私はKYOEIで買いましたが、一般の天文ショップでも売っています。今ではAmazonで手に入れられるとのことで、とても入手しやすくなっています。たまにヤフオクとかで元の笠井よりも高額な値段をつけてあることがありますが、専門業者でもなんでもないところが高く売りつけようとしているだけなので、こんなところでは買わないように注意してください。

とても見やすく、値段もそこそこ。入手性もよく、一番おすすめです。ピントも合わせやすいですが、つまみが軽くて、首からぶら下げていると服とかに当たって勝手につまみが回ってしまい、ピントがずれてしまうことがよくあります。見え方も特に不満なく、よく見えます。倍率も2倍より少し高いので、多少暗い星まで見ることができます。

接眼レンズが少し小さいのですが、視野に関しては特に不満はありません。光軸中心から目の位置がずれると大きく像がボケるのが気になります。なんでこんなことを書くかというと、子供はなかなか上手く光軸中心に目を合わせられないからです。子供は最初はピントを合わせるのさえも難しいです。大人なら多分全く問題ないです。

私としては入手性や見え方なども考え、これが一番おすすめで、とにかく迷ったらこれです。


星座望遠鏡(単眼、両眼)

販売:  スコープテック
倍率: 1.8倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で42mm、接眼側が実測で20mm)
入手方法: アマゾン(単眼双眼セット)、各種天文ショップ
値段: 単眼7千円程度、両眼1万4千円程度

長所: 現行機種では接眼側のレンズ径が大きい。入手しやすい。日本での開発、設計で、スコープテックが日の出光学に持ち込んで企画したもの。単眼だと一番安価(ただし、この記事を書いている間に笠井から最安値のCS-BINO 2x40が販売されました)。
短所: 周辺が少し歪む。

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発売は2017年だったと思います。原村星まつりで販売された直後のものをスコープテックのブースで手に入れました。もともと単眼で売っていたものを、去年2018年の原村の星まつりの頃に両眼アダプターの販売が始まりました。2つとアダプターを買うと双眼になるというものです。私は双眼の方も原村の星まつりで手に入れました。今では双眼用のセットとして、2つとアダプターが一緒になって売っているようです。

私が買った時は全部単眼(合計3つ)でレンズキャップがついてこなかったですが、今は単眼のものは対物側のキャップは付属するみたいです。でもアマゾンの写真を見ている限り、双眼セットにはキャップがついてこないように見えますが、どうなのでしょうか。

倍率が1.8倍とより視野を広く取れる代わりに、暗い星までは少し見えにくくなっています。光軸ずれに対しては上のWideBino28よりはるかにマシですが、周辺像が少し歪みます。でも実は、星座ビノ一般に言えることですが、歪みは昼間は目立って気になるかもしれませんが、夜に星を見ているとそこまで気にならないです。

値段が安いのも特徴で、試しに単眼でというなら7千円程度で購入できます。倍率も低いのであっさりした見え味が特徴でしょうか。でもこのあっさりというのは、コストも考えたらなかなかできるものではなく、日本のメーカーという特徴が出ている一品だと思います。とりあえず単眼で試してみたいというのならこれ一択です。


その他、現行機種

現行機種でまだ購入していないものが2つ (3つ?) あります。VixenのSG2.1×42とサイトロンの星空観測双眼鏡Stella Scan 2x40です。Vixenのは現行機種では結構高めなのと、サイトロンのは店舗に行ったときに何も欲しいものがないときに買おうと思ってとってあります。特にサイトロンのものはケーズデンキで購入することもできるので、天文ショップなどがないところでも、実際のものを見て決めることができると思います。これらはいつか購入したらまたレビューしたいと思います。

さらにこの記事を書いている間に、つい先日WideBino28を販売している笠井トレーディングからCS-BINO 2x40という星座ビノが発売されましたが、どうやらこれはサイトロンのものと同等の色違いらしいという噂があるのですが、実物を見たわけではないのでわかりません。単眼でも販売しているようで、価格もかなり戦略的なものになっていて、星座望遠鏡よりも安価になっているようです。(追記: 初出でCS-BINO 2x40の販売元を間違ってしまいました。ご迷惑をおかけしました。)


旧型機

ここからは現在では普通には販売されていない、多少入手困難なものです。入手順に書いていきます。普通のお店で手に入れるのは難しくなりますが、それでも特筆すべき特徴を持ったものもありますので、参考に書いておきます。


旧型WideBino28

まずはWideBino28の旧型。

販売: 笠井トレーディング
倍率: 2.3倍
口径: 公称40mm (対物側が実測で39mm、接眼側が実測で8mm)

長所: 歪みは少ない。
短所: 接眼側の径が小さい。光軸中心から目がずれると大きくぼやけるのは現行機種と同じだった。

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三重県のアイベルに行ったときに入手しました。現行機と違って白色がベースです。笠井のページで見ると、旧型機でも黒いので、さらにもう少し昔のもかと思われます。適合目幅や重量など多少違いはありますが、倍率など大きなところは同じです。見え味も現行機とほとんど変わらない印象です。中古のせいか、紐がついていなかったりキャップがなかったりします。安く入手できるのでなければ、現行機を買ったほうがいいかと思います。



テレコンビノ

ここからはテレコンビノと呼ばれる、デジタル用の2倍程度のテレコンを双眼用に自作したフレームに取り付けたものになります。基本的にピントを合わせる機構がないので、目が悪い人は星もボケて見えてしまいます。その代わりにレンズ径が大きいので、メガネをかけても視野が狭くなりません。目が悪い人はメガネをかけて見るほうがいいです。


cokin テレコンビノ

販売: ケンコートキナー (DIGITAL TELE LENS-200-52mm)
倍率: 不明、実視ではSCOPTEHCの星座望遠鏡とほぼ同じなので1.8倍?
口径: 対物側が実測で65mm、接眼側が実測で38mm

長所: とにかくレンズ径が大きい、ピント合わせをする必要がない(できない)ので、子供でも扱いやすい。
短所: 周辺ひずみが大きい。分解能が少し劣る。

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cokin製の2倍のテレコンを利用した自作のビノです。昨年の小海の星フェスで、趣味で作っているという方から手に入れました。このビノの特徴はとにかくレンズ径が大きいことです。対物側も大きいのですが、接眼側もそれに負けないくらい大きいのが特徴です。そのためすぐに星を視野に入れることができて、ほとんど迷うことなくすぐに見ることができます。初心者の方、特に子供に大人気です。観望会でも「これが一番いい」という方が多いです。欠点はピント調整ができないこと。これはテレコンビノに共通で、私はこのピント調整ができないということを最初知らなくて、購入してから「あ、しまった」と思いました。ところが意外や意外、観望会では調整をする必要がない(できない)ので、逆に扱いやすく、これも一番人気の理由です。このことが元で、もっとテレコンビノが欲しくなり、下の2種を最近ヤフオクで落としました。

ピント調整ができないと言っても、パンフォーカス(被写界深度を深くする事によって、近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見える)なので、調整がないこと自体は気になりません。それでも目が悪い人はそれなりにしか見えないので、眼鏡をかけて見たほうがいいです。私は最近度が進んでしまっていてメガネがあまりあっていないので、ちょっとボケてしまいます。

見え味ですが、レンズが大きく見やすいのはとてもいいのですが、かなり歪みます。夜だとあまり歪みが気にならないのと、レンズ径が大きいのには代え難い扱いやすさがあるので、もし入手できるのならこれはかなりおすすめです。ただ、分解能が少し劣るのを不満に思う方がいるかもしれません。


メーカー不明 テレコンビノ

販売: 不明、JAPAN OPTICS? (DIGITAL HIGH DEFINITION 2X TELEPHOTO LENS)
倍率: 公称2倍?、実視ではSCOPTEHCの星座望遠鏡とほぼ同じなので1.8倍?
口径: 対物側が実測で45mm、接眼側が実測で31mm

長所: ひずみが少ない。軽い。安価だった。
短所: 多分入手がすごく困難。色収差が目立つ。分解能が少し不満。

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まだ購入したばかりなので、実戦では使えていません。でも明るいところで見る限り、歪みとかは少ないです。あえていうなら少し色収差が大きく、分解能が他と比べると足りないことがわかります。


Nikon TC-E2 テレコンビノ

販売: Nikon (Tele Converter TC-E2 2x)
倍率: 公称2倍、実視ではSCOPTEHCの星座望遠鏡より倍率は高く、笠井WideBino28よりは倍率が低い。
口径: 対物側が実測で52mm、接眼側が実測で17mm

長所: ほとんど文句がない。キリッとしていて、ひずみも少ない。意外に入手しやすい。
短所: 中古だが、最近レンズ単体が高騰していて高い。

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念願のNikon TC-E2を使ったテレコンビノをやっと手に入れることができました。以前、小海で実物を見せてもらったのですが、見え味は素晴らしかったです。その時は他に買いたいものもあり手が出ませんでしたが、ヤフオクで手の届く値段で出ていたので今回落札しました。ところが、フレームの作りやパッケージがcokinのテレコンビノとよく似ています。もしやと思ってヤフオクで連絡を取ってみたら、小海でcokinを売ってくれた方と同じ人で私のことも覚えていてくれていたらしく、Facebookでも友達になってしまいました。この方はまだいくつもNikonのTC-E2を持っているとのことで、最近フレームを大量に作ったのでこれからもいくつか販売するらしいです。フレームを自作するのは結構大変そうなのと、テレコン自身も高騰しているのですが、こういった方から入手できるというのはありがたいことです。

見え味は改めて見ても素晴らしいです。歪みも色収差も少なく、これがテレコンの最高峰と言われている理由がよくわかります。接眼側のレンズ径がcokinには負けているので、子供とかの評価ではパッと見の視野は負けるかもしれませんが、大人なら間違いなくこちらの方が見え味に納得すると思います。


まとめ

7機種(実質はWideBino28が新旧の違いだけ、星座望遠鏡が双眼と単眼の違いだけなので5機種)をじっくり見比べてみました。1機種だけだとあまり気にならないことも、さすがにこれだけ一度に見比べると違いがよくわかります。Nikonは間違いなく見え味は最高でしょう。ピントを合わせられないのが唯一の欠点と思えてくるくらい、本当に素晴らしいです。今ならまだ入手することもそれほど難しくはありません。笠井のWideBino28は現行機種の中ではおすすめです。SCOPTECHの星座望遠鏡は双眼で買っても2つの単眼として二人で使うこともできるのでお得です。私は持っていませんが、サイトロンのStella Scanは全国にあるケーズデンキで実物を見ながら購入できるので、こちらもいいかもしれません。

色々比べましたが、基本的にはどの機種を持っていっても、実際の星空を見ればびっくりするでしょう。本当に「こんなに星が隠れてたのか!」というのを実感できるはずです。一般の方にはこんな小さな双眼鏡にしては少し高価に感じるかもしれませんが、下手な望遠鏡とか、倍率の高い双眼鏡よりもはるかに楽しかったりします。まだ経験されたことがない方は、騙されたと思って是非とも一度お試しください。