先日作った画像四隅切り抜きソフトを使って、FS-60CBでの星像を比較してみました。比較対象は焦点距離の長い順から
  1. FS-60CB + エクステンダー => FS60Q: F10、焦点距離600mm
  2. FS-60CB + 旧フラットナー(フラットナー FS-60C): F6.2、焦点距離370mm
  3. FS-60CB + 新フラットナー(FC/FSマルチフラットナー1.04): F6.2、焦点距離370mm
  4. FS-60CB + レデューサー(RD-C0.72×): F4.2、 焦点距離255mm
です。条件などです。

  • カメラは2番目の旧レデューサーのみEOS 60DでAPS-Cですが、他3つは6Dでフルサイズになります。
  • また、旧レデューサー以外はQuad Band Passフィルターが入っています。ほとんど影響はないと思いますが、稀に星像が歪むという報告もあるようなので、一応気に留めておいてください。
  • 撮影場所は全て富山市の自宅ですが、どれも撮影日が違うので、条件は同じでないことをご了承ください。
  • 画像は全て撮って出しのJPEGですが、ホワイトバランスはその時々でいじっているので色はあてにならないです。
  • 何も校正していないので、周辺減光を読み取るのは厳しいです。

それでも下に示す画像を見てもらえればわかりますが、同じ鏡筒でも取り付けるオプションによって星像の違いがはっきりと出るのがわかります。


エクステンダー: 600mm 

まずは、1番のエクステンダーです。四隅と真ん中をそれぞれ250ドット角で切り取った画像と、その元の画像(モンキー星雲)になります。

LIGHT_6D_300s_3200_+3cc_20190109-22h33m50s976ms_4cut

LIGHT_6D_300s_3200_+3cc_20190109-22h33m50s976ms


四隅でもほぼ真円になっています。これなら全く文句ないです。


旧フラットナー: 370mm

次に旧フラットナーです。カメラが60DなのでAPS-Cサイズでの撮影であることに注意してください。北アメリカ星雲です。

NORTH_AMERICA_LIGHT_60s_3200iso_+30c_20170913-21h38m38s_4cut

NORTH_AMERICA_LIGHT_60s_3200iso_+30c_20170913-21h38m38s996ms

やはり四隅がかなり流れているのがわかります。結局旧フラットナーではちゃんとした撮影はこの一枚だけでした。それでも天リフの今日の一枚に選ばれた感慨深い一枚です。

星像比較とは関係ないのですが、この画像の撮影日は2017年9月13日で一年以上前です。フィルターも何もなしで、ISO3200で露光時間1分ですが、他の3つと比べてこれだけかなり背景が明るくなっています。他の3つはQBPで露光時間を伸ばせているので、QBPの効果がかなり大きいことがわかります。


新フラットナー: 370mm

新型のフラットナーです。昨日の記事で出したものと同じ画像でカモメ星雲です。

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms_4cut

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms


星像ですがほぼ真円。それでも拡大してエクステンダーとよく見比べてみると、四隅で極々僅かに円周方向に伸びているのがわかります。でもこれくらいなら私的には十分許容範囲です。


レデューサー: 255mm

最後はレデューサーです。オリオン座のM42と馬頭星雲一帯です。

ORION_LIGHT_6D_300s_800_+5cc_20190114-22h39m34s849ms

ORION_LIGHT_6D_300s_800_+5cc_20190114-22h39m34s849ms_4cut

まず、広角なのでさすがに周辺減光が目立ってくることがわかります。フラット補正は必須でしょう。星像も真ん中はまだそれほどでもないですが、四隅では円周方向にもそれと垂直にも伸びていて、十字のように見えます。それでも旧フラットナーよりはましですが、新フラットナーには完全に負けています。

拡大しなければ気にならない範囲とも言えますが、これは画像処理での補正方法を検討した方がいいのかと思います。ちょっと色々試してみようと思います。


まとめ

今回はFS-60CBについて、4種類のアダプターを試してみました。結果としては

エクステンダー > 新フラットナー >  レデューサー >> 旧フラットナー

といったとことでしょうか。ほぼ評判通りで、メーカーの言っていることも正しいと思います。やっぱり自分で確かめると納得しますね。細かい違いもよくわかりました。

できれば、これをレンズ設計ソフトで再現してみたいです。だれかFS-60CBのレンズデータとかどこかにあるか知りませんでしょうか?タカハシに聞いてもさすがに教えてくれないだろうなあ。