仕事が忙しいのと、せっかく時間ができても全然天気が良くならないので、いままで書きかけていた大量のボツ記事を少し書き加えて公開しようと思います。

今回は電視観望をするときに適したカメラ選びという観点で、これまでの経験から比較検討してみようと思います。これから電視観望を始めてみたいという方の参考になればと思います。

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なお、今回載せたものはあくまで自分でよく触ったもの、近くで見ていたもの、もしくは評判をよく聞いていたものばかりです。これ以外にも電視観望に適したカメラは私が知らないだけで、たくさん存在するでしょうし、電視観望という用途以外ではもっといろんな選択肢があるということはいうまでもありません。この点ご注意ください。


まずは通常のスペックです。それでもカメラメーカーのところには普通はSNR1sのことはほとんど触れられていません。SONY独自の値ですが、電視観望にはこのSNR1sは、いかに暗い天体を制限された時間内に映し出すという意味で、非常に重要になります。

あと、基本事項としてですが、撮影では重要なファクターになる「冷却」は電視観望にはほとんど必要ありません。手軽さも性能の一つと考えると、電力、ケーブル取り回し、重量などから、冷却にかけるコストほどメリットが得られないと考えています。なので冷却モデルは今回は考慮に入れていません。


電視観望のためのカメラ比較

CameraセンサーTypeサイズ [mm] 画素数1素子サイズ [um] SNR1sbit価格
ASI224MCIMX2241/3"4.9x3.71304x9763.750.13lx123.0万
ASI385MCIMX3851/1.9"7.3x4.11936x10963.750.13lx124.4万
ASI294MCIMX2944/3"19.1x13.04144x28224.60.14lx149.5万
ASI290MCIMX2901/3"5.6x3.21936x10962.90.23lx123.6万
ASI290MMIMX2901/3"5.6x3.21936x10962.90.23lx124.8万
ASI178MCIMX1781/1.8"7.4x5.03096x20802.40.46lx144.4万
ASI183MCIMX1831"13.2x8.85496x36722.4?126.5万
Revolution ImagerICX8111/3"4.8x3.6976x5825.0??4.0万
SV105OV27101/2.7"5.9x3.31920x10803.0?100.7万

* 価格は2011年11月20日現在の天体ショップでの典型的な税抜き価格、ただしSV105はAmazonなど。

SNR1sの値が小さいほど電視観望に向いていると言ってしまってもいいくらいかと思います。一番SNR1sのいいASI224MCでさえ、まだ暗いと思っているので、まだまだ電視観望は発展途上の技術と言えます。表を見ると、SNR1sはセンサーの1素子のサイズにだいたい反比例することがわかると思います。なのでRevolution ImagerはSNR1sの値が公表されてないとはいえ、暗い天体に有利なはずで、電視観望用のカメラとしてはうまく選んでいるのかと思います。


用途など

Camera焦点距離用途使ったことがある自分で持っている参照記事
ASI224MC150-600mm星雲、星団参照記事
ASI385MC200-1200mm星雲、星団××
ASI294MC400-2000mm星雲、星団、天の川参照記事
ASI290MC200-800mm星雲、星団××
ASI290MM200-800mm太陽参照記事
ASI178MC300-600mm参照記事
ASI183MC400-1200mm星雲、星団×参照記事
Revolution Imager200-800mm星雲、星団参照記事
SV105200-800mm月、惑星×参照記事


用途と適した焦点距離は、私の経験から独断と偏見で書いてあります。基準はM31アンドロメダ銀河の全景が見えるのが最小、自動導入で困らないくらいの範囲でM57が程よく見えるのが最大の焦点距離です。手持ちの鏡筒がこの範囲に入っていればとりあえず使うことができると思います。

もし手持ちの鏡筒の焦点距離がこんなに短くないという場合には、Revolution Imagerに付属するような0.5倍のレデューサをつけると、倍の焦点距離で同じ視野角になるので、焦点距離の短い鏡筒の代わりになります。例えば、Revolution Imagerなら400-1600mm程度の焦点距離でも使えるようになります。ただし、星像は乱れるので注意が必要です。


メリット、デメリットなど
Cameraメリットデメリット
ASI224MC感度良、安価、電視観望入門向き、惑星撮影にも使えるセンサー面積小、導入が大変
ASI385MC感度良、面積中、コストパフォーマンスいい
ASI294MC感度良、面積大、高解像度、性能だけで見るとこれがベスト、広角レンズで天の川なども値段が高い
ASI290MC感度良、電視観望入門向き、モノクロ版とセットで持つと惑星撮影で良センサー面積小、導入が大変、値段が224MCより少し高く、SNR1sは少し劣る
ASI290MM太陽電視観望にはこれ、太陽撮影や惑星撮影にはベストかモノクロ
ASI178MC高解像度、月の電視観望にはこれ感度低い、星雲には向かない
ASI183MC面積大、高解像度、ビニングが使える感度低い
Revolution ImagerPC無しで手軽に電視観望ができる、モニターなど一式込みでトータルでは相当安価、カメラでスタックできるので星雲などもOKアナログ信号
SV105ひたすら安価露光時間が500msに制限されるため星雲は向かない、月や惑星なら可


ASI294の焦点距離は、カメラレンズアダプターとカメラレンズを使うと、広角なセンサーを利用して天の川などの星景、星野を見るのにも適しています。もちろんASI224MCなどの小さいセンサーでも、より焦点距離の短いCSマウントレンズなどを使って天の川を見ることもできますが、淡い星を見るという観点から行くと、広角センサーで「焦点距離の長いレンズを使う」方が迫力があります。コントラストは眼視の場合は倍率、カメラを使った場合には焦点距離だけで決まってしまうからです。


以下、それぞれについてコメントです。
  • ASI224MC、ASI385MC、ASI294MCに関しては感度の観点からはベストに近くて、これ以上を求めるのは現時点では難しいと思います。唯一可能性のあるのが同じSONYの一眼レフカメラのα7S系です。あれはお化けセンサーで、カメラ単体で電視観望をするならベストかと思いますが、今のところ単体でのセンサーの仕様は公表されていませんし、PCに取り入れてSharpCapでスタックとかになると、一部可能になりそうな動きはありますが、まだちょっと大変です。
  • ASI385MCは実際には触ったことはないですが、周りの評判を聞いている限りは感度も良く、入門機としても相当こなれている印象です。
  • ASI224MCは入門機としては安価でいいですが、センサー面積の小ささから天体の導入に苦労するかもしれません。そういった観点からはASI294MCは16倍の面積を見ることができるので、導入は相当楽になりますし、画素数もPCの解像度よりはるかにいいので、多少PC上で拡大しても画面が破綻することなく、広角から狭角まで幅広く対応できて使いやすいです。値段さえ気にしなければこれがベストでしょう。
  • ASI290MCは実際に使ったことがないのでわからないのですが、聞いている限り評判は悪くないですし、ASI290MMはモノクロということもあり、太陽の電視観望、撮影では遺憾無く性能を発揮したこともあり、惑星撮影まで視野に入れるなら、カラーモノクロ合わせて持っておくのもいいのかもしれません。
  • 私自身は短時間しか使っていないのですが、ASI83MCはその高解像度から特にビニングを利用するとよく見えますし、使い方によっては電視観望にも向いているカメラと言えると思います。
  • Revoluition Imagerは計算機を使わない電視観望としては数少ない有力な選択肢だと思います。PCを使わないので手軽で、観望会などでも使いやすいと思います。アナログ出力なので多少ノイズが多いですが、カメラ単体でスタック機能を持っていて、ノイズ軽減ができるのは特筆すべきでしょう。今回、改めて素子の大きさを認識することができました。根本的に感度のいいカメラなのかと思います。
  • SVBONYのSV105はブログのコメントに質問があり、星まつりで少し触らせていただいたので載せておきました。ただやはり500ミリ秒までの露光時間しか取れないところが決定的な欠点だと思います。値段が7千円程度と他と比べても格段に敷居が低いので、これでうまく使えたらと思ったのですが、星雲星団はよほどうまく使わないと厳しいかと思います。現時点では月、惑星などの明るい天体がオススメです。

こうやってみて、コストパフォーマンス、手軽さ、性能と比べると、(自分では使ったことはないですが)ASI385MCがベストバイでしょうか。次点がASI294MCとASI224MCですが、これらは高価高性能、お手軽入門用とベクトルが逆方向です。

以上参考になりましたでしょうか。自分自身のまとめも兼ねているのですが、個人で見ている機種に限りもあるのでここらへんが限界です。他にもQHYCCD社のカメラも同じセンサーを使っているものは同程度の性能があるかと思われます。面白い情報などありましたら、またコメントなどでおしらせください。