前回(その1)でAZ-GTiの赤道儀化のためのハードウェア部分は大分準備ができたので、実際に鏡筒とカメラを載せてみました。

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使った機材です。
  • 鏡筒がいつものFS-60CB。
  • ガイドカメラにASI290MMを使い、そこにノーブランドの50mmのCマウントレンズをつけています。
  • 撮影用のカメラはASI294MCを使ってみました。これは後でSharpCapのベータ版を使いDitherも試してみたかったからです。 
  • この状態で、ケーブルはわずか2本でオートガイドまでできる算段になります。

まず、組んでみていくつか気づいたことです。
  • やはりAZ-GTi下のアルカスイスプレートのところが一番揺れます。ただし、あえて揺らさなければ問題なくらいにはなりそう。実際の撮影では風がなければ問題ないと思われます。もっと頑丈な傾斜のついた金属の塊とかの方がいいかもしれませんが、加工が大変なのと、トータルで重くなるのでとりあえずこのままにしておきます。
  • 赤経、赤緯とも、クランプを緩めても摩擦が大きく、なめらかには動かないので、バランス点を取るのがちょっと難しいです。多少おおざっぱなバランス調整になりますが、モーターのトルクはそこそこありそうなので、実用上はまあ問題ないでしょう。
  • 三脚の足を目いっぱい開いたほうが安定しますが、時間がたって天頂越えする時に、天頂付近を見ていると撮影カメラ部分が三脚の足に当たってしまう可能性がでてきます。AZ-GTiの赤道儀モードに反転機能はついているのか?
  • 逆に、三脚をあまり開かずにつかうとカメラは当たらなくなりますが、不安定になり転倒する可能性が出てきます。こちらの方が怖いので、三脚は開いて使うことにしました。
  • これはSWATをいじっているときに学んだことですが、上の可動部の重心位置を三脚中心上に持ってくると安定します。

さてここからソフトウェアですが、思ったより難航しました。

Windows PCを使ってAZ-GTiをガイドするためには、まずはSky-WatcherのSOFTWARE & FIRMWAREの中のSynScan Appのページからから

Windows program: SynScan Pro App, Version 1.11.0

をダウンロードして、展開、インストールします。他の方の情報によると、フォルダの場所に気をつけないと観測場所の設定ファイルが書き込めないとの情報などもありますが、私の場合は特に問題ありませんでした。きちんと日本語化もされているので、アプリのバージョンが上がってバグフィックスされているようです。 iPhoneやiPadからの操作と違うのは、PCにはGPS機能がないので、一番最初に立ち上げる時に自分で緯度経度で位置を入力しなければならないことです。一度入力すれば、次回からは再度入力する必要はないようです。

次にに必要なソフトは実際のガイドのためのソフトで、今回選んだのはガイドソフトの定番のPHD2とAZ-GTi用のASCOMドライバーです。ASCOMドライバーはSky-WatcherのSOFTWARE & FIRMWAREの中のASCOM Driverのページから

ASCOM Driver for SynScan App Version 1.2.2

をダウンロードし、実行しインストールします。もしASCOMを使うのが初めてという方や、ASCOM platformを事前にインストールされていない方は、ASCOMのサイトに行ってASCOM platoformをダウンロード、実行、インストールします。途中、必要なランタイムをインストールするためにPCを再起動が必要となる場合があるので、そのまま従って再起動します。

ガイドソフトのPHD2はすでにいつも使っているので手慣れたものですが、今回は初めてのセットアップとして、セットアップウィザードを使います。まず、ガイドカメラを選択しますが、ASI290MMなのでZWOカメラを選択します。その際、ASIカメラを接続しておくとピクセルサイズが自動で入力されます。ASI290の場合は2.90umとなりました。「焦点距離」は手持ちのガイド鏡の焦点距離を入力します。私の場合ノーブランドのCマウントレンズで焦点距離50mmなので、50を入力します。

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ASCOMドライバーがうまくインストールされていると、PHD2上で「マウント」を選択するときに、上の画面のように「SynScanMobile Telescome(ASCOM)」が選択できるようになっているはずです。マウントを選択すると、「マウントとPHD2が既に接続されていれば、ガイドスピードが自動的に設定されます」とかいう案内が出るので、「マウント(AZ-GTiのこと)」とつなぐためにAZ-GTiを立ち上げて、先にダウンロードしたSyn Scan Proを立ち上げ、接続します。と、ここで問題が起きました。AZ-GTiのWi-Fiにうまく接続できないのです。これはすぐになぜだか思いつきました。以前もあったのですが、ASIカメラがUSB3.0接続のノイズが、AZ-GTiのWi-Fi接続の2.4GHzに悪影響を及ぼすからです。そのため、ここではいったんカメラの接続ケーブルを外します。すると嘘のようにAZ-GTiとの接続が安定してできるようになり、ガイドスピードも自動的に決まります。ガイドスピードはもともと0.50だったのが1.00になりました。この接続の不安定さは後々まで影響することになりますが、とりあえずここは無視してカメラを外した状態で進めます。


蛇足ですが、ここでハタと気づきました。このテストはノートPCを使っているのでまだいいのですが、実際の撮影はStickPCを使うことになると思います。StickPCがAZ-GTiにWi-Fiで接続してしまったら、リモートデスクトップで外から接続できなくなり、StickPCの画面を見ることさえできなくなります。これはSyn Scan Proの「設定」の「Wi-Fi設定」から「ステーションモード」を選択するとインターネットにつなぐことができるとマニュアルに書いてあるので、多分これをきちんと設定すれば解決しそうです。でもマニュアルを見ると、「アクセスポイントモードとステーションモードはどちらか一方で、両方とも有効にするな」とか書いてあるので、最悪AZ-GTiに全く接続できなくなる可能性があります。ちょっと怖いので、とりあえずStickPCを使うのは後の課題としたいと思います。


さて、一応ソフト関連の準備はできたので、実際に稼働させることにします。まずはPCをAZ-GTiのWi-Fiに接続してSyn Scan Proを起動して、モーターが動くことを確認します。これは特に問題ないです。

さて、問題はここからです。ガイド用のCMOSカメラを接続した瞬間に、AZ-GTiの接続が切れてしまいます。先に試したのと同じ状況です。検証のために、以前やったようにコマンドプロンプトで

ping -t 192.168.4.1

と打ってどれくらい接続がだめになるのか見てみます。

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結果は上の写真のように、つないだ瞬間にタイムアウトのメッセージが出て、宛先ホストに届かず、たまに届いてもものすごい遅延があります。当然モーターは動きません。

その後カメラを抜くと、抜いた瞬間に接続が復帰して、モーターがまた動くようになります。原因はUSB3.0のノイズで間違いないようです。普通はここでネットワークを5GHzに変更して回避します。StickPCの時も新たに5GHzの旅行用のルーターを導入してことなきを得ました。ところが、あいにくAZ-GTiは2.4GHzにしか対応していません。これまでiPhoneやiPadで接続するときはCMOSカメラが接続されてても問題なかったのですが、これはUSB3.0とiPhoneやiPadのアンテナの位置が物理的に遠かったからだけで、例えば試しにiPhoneの天頂部をUSBポートの数cm近くまで寄せてやったら、やはり同様の症状が出ました。

いったんここで完全に行き詰りました。USBポートの位置を変えるとか、外付けのUSBポートを使うとかもダメでしたし、PCを2台使うとかも考えましたが、PHD2とSyn Scan Proとの接続が確立できないのと、なにより2台なんてシンプルでないのでダメです。このブログにコメントをくれる彰ちゃんが「彰ちゃんブログ」の中でStickPCで2.4GHzとUSB3.0でたまたまうまくいったと報告されていますが、結局なぜうまくいったのかわからないそうです。とにかく、AZ-GTiが2.4GHzにしか対応していないことが致命的です。
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しばらく頭を冷やして、はたと思いつきました。AZ-GTiが2.4GHzしかもっていないなら、USB3.0をなくしてしまえばいいのではないかと。最初USBドライバーレベルで2.0接続とか考えましたが、もっと単純にUSB2.0のケーブルを使えばいいのではないかと。昔使っていたあまりのUSBケーブルを引っ張り出してきて接続。結果これが大成功!ガイドカメラをつないだ状態で通信がすごく安定しています。調べた限りこのようなアイデアはなかったのですが、目から鱗だと思いませんか?そもそもASIのUSB3.0対応のカメラを、わざわざ遅いUSB2.0で繋ぎたいとはあまり思わないのではないかと。

惑星撮影とかではないので、そもそも転送速度は必要ありません。意外なことにUSB2.0で露光時間を1msとか短くしてもSharpCap上できちんと撮影画像は見えています。ただし、USB3.0の時と比べると、カメラを動かすと転送が追いつけなくてだと思いますが、画面がぐにゃっと曲がったようになります。それでも短くても100ms程度の露光時間にはなるPHD2でガイドする分には全く問題なさそうです。

ここまでえらい時間がかかって、やっと外に出て試そうと思ったら、夕暮れ時に晴れていた空もいつの間にかドン曇りです。でも週末は晴れるとのことなので、近いうちに試せるでしょう。次は極軸合わせがうまくいくかです。