SAMYANGの14mm F2.8の歪みが結構な量なのですが、Lightroomを使って補正できるということは以前書きました。それでもレンズプロファイルは必ずしも正しくないなど、星景写真を処理していく過程でいろいろ気づいたことがありましたので、メモがわりに書いておきます。


まずはLightroomの準備

実際の歪みを調べるために、多少距離があり格子状のものということで、自宅の障子を撮ってみました。穴が空いていたりして恥ずかしい限りなのですが、それは置いておいて、やはりレンズ自身の歪みは相当大きいことがわかります。一応そこそこ画角の枠に合うように障子を撮ったつもりなのですが、少し水平が出ていなかったことと、右側の方が障子までの距離が近く、左側の方が障子までの距離が遠かったようです。

IMG_1882


  1. 最初、障子の縁の方で差を見ればいいと思って枠がちょうど画角の縁の方に来るように撮影したのですが、Lightroomで開いてみるとなぜか障子の縁の方が見えていません。ヒストグラムのすぐ下にある点線の四角のアイコン「切り抜きツール」でなぜかデフォルトで一部切り抜かれて、周りの5%くらいが現像されない状態になっていました。いつからこうなっていたのかわからないのですが、まだそれほど数は多くないですがおそらくこれまでLightroomで現像したものは一部欠けて処理をしていたことになります。
  2. その他デフォルトで勝手にオンになっている処理機能があるのが心配で、一旦「現像」の全ての処理をオフにしました。右端の各種処理項目の左にある上下スイッチのようなものを全部下側にします。こうすることで変な処理がされないようにします。
  3. が、それでも一番上のヒストグラムにはスイッチは見当たりませんし、ヒストグラム部分をさわってしまうと変な処理が知らずにされてしまうこともあります。こんな時はヒストグラム部分をダブルクリックすると元に戻るようです。
  4. さらに、次の6個アイコンが並んでいるところは、それぞれのアイコンを押して初めてオフにするスイッチが出てきますし、その中の最初の「切り取りツール」はオンオフスイッチ自体がないです。その代わりに「初期化」というボタンがあるので、それを押しておきます。他にも初期化ボタンがあるものやないものもあるので、結構ややこしくて一つ一つ見ていくしかないようです。 




付属のレンズプロファイルは必ずしも正しいものではない

さて、やっとこの状態でレンズプロファイルについて検証できる準備が整いました。まずは何も補正しない場合です。プロファイルを使っていますが、ゆがみの補正量を0にしているため、ゆがみ補正についてはオリジナルの画像を同じであることを確認済みです。

IMG_5353


次にゆがみ補正がデフォルトの100の場合。かなり補正されていますが、それでもLightroomで表示した格子と比べるとごくわずかずれています。

IMG_5354


できるだけ格子に合うようにしてみると、ゆがみ補正が125程度の時が最適なようです。わずかなズレですが、100の時とは有意に違いがあることを意識しておくくらいでいいのかと思います。

IMG_5355


このプロファイルですが、以前の記事でSAMYANGのプロファイルはPhotoshopだと使えないが、Lightroomだと使えるということを書きましたが、どうやらそれは間違いで、PhotoshopでもLightroomでも.cr2のRAWフォーマットだと使えて、そこから.tifや.jpgなどフォーマットを変えてしまうと使えなくなるということがわかりました。調べてみたらプロファイルはRAW用とそれ以外で2種類あるとのことです。

でも、このことは後に大きな問題であることがわかりました。画像処理の最初の方でゆがみ補正をしてしまうと、あぶり出しの過程で、そのゆがみの跡があらわに出てきてしまうからです。

cut

処理途中の画像を一部切り抜いた画像です。
クリックして拡大するとわかりますが、右端の雲のとこらへんに縞が盛大に出ています。
Lightroomのレンズのゆがみ補正からできてしまう縞です。

なのでこのゆがみ処理を、あぶり出しの終わったできるだけ最後の方の処理過程でやりたいのですが、その時には汎用のTIFFフォーマットになってしまっていてSYAMYANGのプロファイルを使うことができません。TIFFフォーマットでもJPGフォーマットでも使えるレンズプロファイルは数が少なく、SAMYANGは残念ながらその中に入っていないようです。

では、プロファイルを使用せずに、Lightroomの「レンズ補正」の「手動」で補正した場合はどうなるのでしょうか?下の2枚の写真は真ん中らへんを合わせようとしたものと、四隅を合わせようとしたものですが、両立するのは無理なようです。

IMG_5357

IMG_5358


仕方ないので、TIFFファイルをRAW準拠の.dngフォーマットやPhotoshop用の.psdフォーマットに変換してRAW用のプロファイルが使えないか試してみました。残念ながら結果は本当に.cr2しか対応していないみたいで、全く無理でした。

次に、Adobe Lens Profile Creatorというのでレンズプロファイルを作成することができると知りましたが、マニュアルを読んでみると、格子状の模様を何枚も撮影してプロファイルを作るとかで、結構面倒そうです。しかもそれがRAW以外に適応できるかどうかもまだよくわかりません。もう少し簡単なツールとして、他のユーザーが作ったプロファイルをダウンロードするAdobe Lens Profile Downloaderというツールがあったらしいのですが、2018/1/1から配信停止になっているそうです。

そんなことをしている過程でレンズプロファイルの中身を実際に見てみたのですが、構造は結構簡単で、もしかしたらRAW用のプロファイルからTIFFやJPEGでも使えるプロファイルを作ることができるかもと思いました。


1. まずレンズプロファイルがそもそもどこにあるのかですが、Macの場合結構わかりにくいです。アプリケーションにある「Adobe Lightroom Classic CC」フォルダの中の実行ファイル「Adobe Lightroom Classic CC.app」を右クリックして「パッケージの内容を表示」を選びます。そこに出てきた「Contents」から「Resources」->「LensProfiles」->「1.0」フォルダをたどっていって、例えば今回の場合「Samyang」フォルダの中の「Canon」フォルダから「Canon (Samyang 14mm f2.8 ED AS IF UMC) - RAW.lcp」ファイルをエディタなどで開いてみます。簡単なテキストファイルなのがわかります。

2. ここで、RAWとRAW以外の共に対応しているプロファイル、例えばSONYのものや、Samyangのすぐ前のSamsungというものなどをみるとわかるのですが、まずフォルダの中にファイル名が似たものが2つづつあります。ファイル名にRAWが付いているかついていないかでRAWのみに対応するのか、それ以外にも対応するのがわかります。

3. 二つのファイルを同時に開くとわかるのですが、違う点は

CameraRawProfile="True"

の部分のみです。ここがRAW以外に対応するのは"False"になっています。違いがこれだけならば
、ここを書き換えれば動かすことができそうです。

4. ただ、ファイルをコピーして、RAWという部分を除いてペースト、上のTrueをFalseに書き換えるだけではプロファイの選択肢に出てきませんでした。どうやら「LensProfiles」フォルダの中にある「Index.dat」の問題のようですが、これは単純なテキストファイルではなくバイナリファイルのようで、簡単に書き直すことはできません。

5. そのため、既存のRAW以外に対応するプロファイルで、自分がおそらく使わないプロファイル、例えばSamsungなどの中身をごっそり欲しいプロファイルに置き換えてしまうことにしました。単純にテキストをコピペするだけです。でもアプリの中に含まれるファイルのために保護されているようなので、ファイルを書き換えようとすると認証を求められたりします。パスワードを入れてやれば普通に変更することができます。


このようにすることで、一応RAW以外対応していない目的のプロファイルをRAW以外にも適用することができるようになりました。まあ、裏技みたいなやりかたなのであまりおおっぴらにしてもダメなのかもしれませんが、あぶり出しで縞が出てしまうようなゆがみ補正では使い物にならないのもまた事実です。


と、いろいろやって調べているうちに、WindowsのLightroomで同じようなことをやっている方を発見しました。Windows版はレンズプロファイルの場所などが違うので、WindowsでLightroomを使っている方はこちらを見た方がいいかと思います。また、「CameraRawProfile="True"」とかで検索したら、海外でも同じような記述が複数見うけられました。同じようなことを考える人間は世の中結構いるものですね。


でもなんでこんな簡単なのに、RAWだけに制限してしまうのでしょうか?単純にもったいない気がします。

とにかくこれで、TIFFに変換し、PixInsightやPhotoshopなどであぶり出してから、最後にLightroomで読み込んで、TIFFフォーマットでレンズプロファイルを適用することができるようになりました。さあ、これでやっと溜まっている星景写真を処理するぞと。


あと今回、周辺光量補正については今回ライトをきちんと当てていないので何も検証していませんが、星景写真の経験からもやはり補正量が100だと不足で、200近くまで持っていってやっとまともになるくらいかと思います。まあ星景写真の場合はそこまで周辺減光にこだわらなくていい気がしますし、景色が映らない星野写真の場合もフラットフレームを別途撮影したり、PixInsightのDBEなどソフトである程度補正できるので、そちらに任せた方がいいのかもしれません。