とうとうP.S.T.用の秘密兵器がオーストリアから到着しました。

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分解したP.S.Tのエタロン部の先に妙な筒がついています。
これが今回の秘密兵器です。

P.S.T.は太陽のHα機器としては非常に廉価なのですが、口径わずか40mmと小さいために分解能があまり良くなく、ドーズ限界で考えると3秒ほどにもなってしまいます。P.S.T.の焦点距離が400mmで5倍のバローレンズなんかをつけてしまうと合成焦点距離が2000mmとかになってしまい、例えば今使っているASI178MCは1/1.8インチサイズで3096x2080画素なので、一素子あたりの画角を計算すると0.24秒ほどになります。口径からくる分解限界が、センサーの画素の12.5ドット分にもなってしまうので、やはりもう少し口径を大きくしてカメラの方の分解能を活かしたくなります。ちなみに、分解能は動画の多数枚スタックで緩和されると思うのですが、枚数のルートで良くなっていくと考えてもいいのでしょうか?ここら辺の理論限界の話をあまり聞いたことが無いので、いつかまた考えてみたいと思います。

日本ではP.S.T.の改造は「庭先天体写真家?」さんや、「星への誘い」さんなど、検索すると数例がヒットしますがそれ以外はほとんど見つかりません。それでも海外ではこの手の改造はもっと盛んなようで、P.S.T.の改造はStage1とかStage2とか段階を踏んで名前がつけられていますが、口径を大きくしようとすると必ず突き当たる問題があります。エタロン部の先のネジがM50で、それを例えば2インチサイズになんとか変換して鏡筒の2インチの接眼部に取り付けるなどの必要があります。このM50から2インチの変換が大変で、改造したい場合は大方の場合特注で部品を作られているようです。特注は大変そうなので、がんばって色々探していると、世界で唯一オーストリアの天文ショップがこんなPSTの改造が前提という摩訶不思議な変換アダプターを、なんと在庫ありで置いていることがわかりました。「PST-50」という型番なのですが、結構よくある型番みたいで、Googleでこれを検索しても他のものばかり出てきてなかなかヒットしません。これを見つけたときは海外にもかかわらず早速注文してしまいました。

面白いのがここからです。発注後店長さんからメールが届いて、なんと奥様が日本人だということで、たまたま日本に帰る機会があるから、ちょっとだけ待てるなら送料が安くなるので日本に着いた時に送ってあげるよとメールが来たのです。普通だとオーストリアからの輸送は意外に費用がかかって、55ユーロの部品に35ユーロの送料がかかるみたいです。迷わず待つ方を選び日本からの送付をお願いし、今度は奥様とのメールのやり取りが始まりました。その過程でわかったのですが、なんとこの店長さんはあの有名なガイドシステム「M-GEN」の開発者だったのです。M-GENは天体写真を撮ろうとする人は一度は検討する、日本で今最も有名なガイド機材で、KYOEIさんが販売を手掛けています。ちょうど今月5月号の天文ガイドでもM-GENの詳しい解説がされていました。

とにかくこの時点で、さすがに世界で何人が必要とするかわからないアダプターをなぜ製作販売するのか、やっと理由がわかりました。本人が筋金入りのマニアで、しかも技術も才能も十分にあるショップなのです。ちなみにM-GENはLACERTA M-GENと呼ばれたりもしていますが、LACERTAとは、店長の名前と、トカゲ座(lacerta)を重複させた意味の会社名だそうです。メールのやり取りの途中で色々と話が合うところもあり、店長と奥様と結局25通ほどもやりとりしてしまい、ショップで作っている数々のオリジナルグッズからいくつかサンプルを送るので、日本でも紹介してほしいと、そんな運びになってしまいました。

届いた箱を開けてみてびっくり。予想もしていなかったものがめちゃくちゃ大量に入っています。もともと欲しかったのはPSTの2インチへの変換アダプターPST-50のみ。そのほかは全部オリジナル商品のサンプルで、順に行くと

1. まずはももともと頼んでいたPST-50。

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これをP.S.T.のエタロン部の先に取り付けると、2インチ径になるために、2インチのアイピースが取り付けることのできる鏡筒に接続することができます。実際に取り付けた写真がこのページのトップのもので、前回までは大口径化のテストとして80mmの鏡筒の接眼部をまるまる外し、下にアリガタを取り付けて無理やりくっつけていたのですが、これでやっとF値の違いや光軸合わせも心配せずに取り付けることができます。

今週末は雨のようなので、次回晴れて時間が取れるときに試したいと思います。今からものすごく楽しみです。


2. LACERTAロゴが入っている、赤いLEDが先に埋め込まれたキャップ。写真で光っているのがわかりますでしょうか?これは下のSukeがすぐに持って行ってしまいました。来年の星まつりにかぶっていくそうです。

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3. ワインボトルです。

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と言うのは嘘で、実は星座がプリントされた折り畳み傘。これは娘のNatsuが傘がちょうど欲しかったと言って持っていってしまいました。

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4. 太陽関係で、太陽用のファインダーも入れてくれていました。PSTを大口径改造するとファインダーの光の取り入れ口が影になってしまい、PST付属のファインダーが使えなくなってしまうので、これは素直に嬉しかったです。太陽ファインダーはTelevueのSol-SearcherとCORONADOのSol Rangerがメジャーですが、日本で入手しやすいのはSol-Searcherの方だけだったりします。これも日本で発売されると嬉しい方も多いと思うのですが。

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試しにSkyWatcherのBKP200取り付けてみました。特に問題なくハマるようです。

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5. 次のは今まであるようでなかった商品かと。潜望鏡タイプの小さな望遠鏡のようで、倍率を1.25倍と2.5倍に変えることができます。一見下側の穴にアイピースを取り付けられるようですが、微妙に径が合わなくてアイピースは入りません。

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最初何に使うかよくわかりませんでしたが、ここを見てやっとわかりました。極軸望遠鏡に取り付けて、無理な体勢で見なくてむ拡大鏡です。うちのセレストロンのAVXに付いているCG-5にはそのまま取り付けることができました。これはもしかすると意外なほど便利かもしれません。

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6. あと、これがどうしてもわかりません。Remote Shutter Relese Quadrublicateと書いてあるので、連動してシャッターをどうにかするようなスイッチか何かみたいなのですが、どなたかわかる方いますでしょうか?

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7. 最後にモーツァルトチョコレート。家族みんなでいただきました。

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8. あと、一緒にショップのカタログも入っていたのですが、多分オーストリアなのでドイツ語なのでしょうか、全然読めないので写真や図から色々想像を巡らします。実は海外ショップのカタログってこれまでみたことがなく、このカタログが今回送ってもらったものの中でなぜか一番面白かったです。SkyWatcherとかタカハシとかCelestronなど、日本でおなじみのメーカーのものも載っているので大体はわかるのですが、オリジナル商品もたくさんあり、こちらは結構本気で推理しないとどんなものかなかなかわかりません。

USBで接続できる電動フォーカサーシステムのようです。M-GENのようなオリジナル開発で、カタログの中ではM-GENと並んで大きく取り扱ってありました。

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こちらもLACERTAオリジナル開発のニュートン反射のようです。店長とのメールのやり取りの中でいつかこのFoto-Newtonを香川の天体望遠鏡博物館に入れたいと書いてありました。

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200kgの重さを乗せてもビクともしないLACERTAブランドの木製三脚が左下に載っています。右のページは未だに何かよくわかっていません。

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子どもの頃英語のパンフレットで、読めもしないのに想像を巡らしていたことを思い出してしまいました。ちなみに、M-GENのカタログも入っていて、こちらは英語だったので、ドイツ語?よりもはるかにすらすら読めるような気がして、なんだか不思議な気分でした。


オリジナルで、痛いところをつく非常に有用な開発を進めるLACERTAですが、今回ふとした縁から、色々話が発展しました。実はKYOEIの方ともお話ができて、M-GENの取り扱い時についても少し話をお聞きすることができました。その当時オーストリアまで交渉に行って自宅にまで招かれたそうです。LACERTAの店長さんはもちろん日本のこともよく知っていて、前回行った香川の天体望遠鏡博物館の話をしたら、是非とも次回日本に行く際には寄ってみたいとのことでした。こうやって少しずつ人の輪が広がっていくことも天文趣味の醍醐味かと思います。
 

続き P.S.T. (その14): 今回のPST-50を使ってみました。
果たしてその結果は?