前回P.S.T.を少しだけ分解しました。今回はもう少し進めてBFとERFを分解して、CMOSカメラで合焦するように少し改造しています。


日曜以降いろいろ調べて判明したことは、もともとP.S.Tはアイピースによる眼視が目的のため、そもそもカメラで合焦することがあまり考えられていないようで、日本のみならず世界中で苦労していることがよくわかりました。まずこの問題を解決しないことにはアイピースで見るだけで、写真や映像を残しておくことができません。これを解決する方法はいくつかあるようです。

1. なんとかしてアイピース部分の筒を短くして、カメラをもう少し内側に持ってくる。
利点: 付属の部品を使うので安価。
欠点: なんらかの工作が必要となる。

2. バローレンズで焦点を外側に持ってくることで、カメラが合焦する。
利点: バローレンズさえあれば手軽に試すことができる。拡大して見たい場合は一番適している。
欠点: 拡大されるので全体が見たい場合にはより面積の広いセンサーが必要になりそう。バローレンズを適合させるのが難しいという話もある。

3. P.S.T.のペンタプリズムボックスでフォーカスする代わりに、別のフォーカサーを持ってくる。
利点: P.S.T改造につながっていきます。口径の大きい鏡筒への改造を考えているのならこれが一番です。
欠点: 後付けのBFを新たに購入しなくてはならず高価。鏡筒の口径を大きくすることを考えると、さらに口径の大きいBF-10やBF-15を選ぶことになりさらに高価。別途ERFも必要かも。なんとかしてP.S.T.付属のBFを使う場合、結構難度の高い工作が必要になりそうなのと、鏡筒の口径の増加は期待できない。


「手軽さ、追加投資、性能」を「簡単、安い、高性能」から「難しい、高い、性能向上低い」をA, B, Cで考えると

1: B, A, B 
2: A, B, C
3: C, C, A

といったところでしょうか。3番の性能向上の理由は、後の拡張につながることを考えてと、BFが新しくなることで手持ちのくらいかもしれないBFが改善されるかもといったところです。

さて今日はこの中の1番について少し試したいと思います。方法としては、DRAGONDEMANDさんがASIカメラ付属のアダプターを削るという面白方法を試してます。他にもアイピースホルダーを削るとかも考えられますが、不可逆な改造はできるだけ最後の手段として撮っておきたいので、もう少し色々考えました。まず最初にしたことは、BFとERFの分解です。

あ、前回の記事の繰り返しになりますが、このような改造はメーカー保証が受けられなくなる恐れがあるので、くれぐれも自己責任でお願いします。また標準構成以外で太陽をのぞいたりすると、冗談でなく失明の恐れがあるので、安全には絶対に気をつけてください。もし何か事故など起きたとしても、私はなんの責任を取ることもできません。


BFの分解

最初に上のBF部分を外します。裏を見ると2つの穴があるので、外せそうです。このような場合に写真のようなカニ目スパナがあると楽に外せますし、何より光学系を傷つけるリスクが減るので、安いものでもいいので手に入れておくといいでしょう。

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ただし、外れないように接着剤のようなもので一点止めをしているようです。

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これは引っ張るとすぐに剥がれました。

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カニ目スパナで円盤を回転させて外すと、中から立方体型のBlocking Filterが顔を出します。固定されていないので、ひっくり返したりすると転がっていくので注意です。

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BFは金コーティングされているみたいなので、どうやら初代ブルーの次の2世代目のバージョンのようです。現在は新しいブルーとのことです。BFを注意深く見てみると、かなり汚れています。

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いつも使っているFUJI FILMのレンズクリーニングキットと綿棒でふくと全て綺麗になりました。金コーティングされている面も綺麗にします。

光学系のクリーニングですが、若干コツがいります。まず当然ですが、新品の綿棒を使います。綿棒の先端ころには絶対に触ったりしないでください。手の油とかがつくと全て無駄になります。クリーニング液の量ですが、クリーニング液が鏡面に残ったまま乾燥するとそこにシミができます。拭きながら乾くくらいの少量のクリーニング液を使うのがコツです。一度吹いたら綿棒を捨てるくらいの無駄遣いをしてください。綿棒をケチると結局綺麗にならず余分に使ってしまいます。どうしても残ったしつこいカスなどは、乾燥した綿棒で多少力を入れて吹いてしまっても構いません。これくらいでどうにかなるようなコーティングではないようです。

面白いのは、BFを真横から見たときでしょうか。赤い部分と透明な部分の2層構造になっています。理由はよくわかりません。どなたかご存知の方いませんでしょうか?

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清掃が終わったらまた元の通りに組み直します。クリーニングの結果ですが、明らかに透過率が上がりました。電球などで比較したのですが、目で見て分かるレベルです。BFが暗いことが理由で格安だったのでこれは嬉しい誤算でした。ただし、まだそもそもの明るさがどれくらいあるのかは不明なので、元に戻ったのかどうかはわかりません。



ERFの分解

次はERFです。ボックスから外して裏面を見るとやはり2つ穴があるのでカニ目スパナで回転して外します。すると写真のようにフィルター部分が外れます。ここは今回の意改造の重要なポイントで、どうもERFがついている延長筒を省けばカメラまでの距離を短くすることができそうです。

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が、その前にフィルター部分の裏を見ると2つの切り欠きがあるので、さらにカニ目スパナを使って外します。これらも接着剤がくっついているので適当にはがします。分解すると写真のようになります。

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中身は「ITF 0152 #」と書かれたフィルターのようです。フィルターについている黒いものは接着剤の残りで、どうしても取ることができませんでした。まあBFの径が十分小さいので放っておくことにしました。さて、このフィルターの型番に一致したものは見つかりませんでしたが、もしかしたらITFで引っかかったMAIER PHOTONICSの

https://maierphotonics.com/656bandpassfilter-1.aspx

なのでしょうか?と思ってもうすこ調べたらCludy Nightsにも出ているので

https://www.cloudynights.com/topic/445617-itf-h-alpha-filters/

多分これで確実でしょう。やっとERFのデータが手に入りました。630nm以下と700nm以上をカットするようです。600nm以下でOD5-7、800nm以上でOD4-7と十分な除去比がありそうです。追記: よく読んだらP.S.T.のフィルターをMAIERのフィルターで交換するという記事でした。もともとP.S.T.についてるのは錆びたりするとの事なのと、MAIER PHOTONICSのフィルターは値段も$75と安いので、交換品の候補と考えるといいのかと思います。ところでITFって何かの略なのでしょうか?さらに追記:  ITF: Induced Transmission Filterだそうです。一般名詞ですね。 

さて、ERFがついていた延長筒を使わずにERFをうまくBFに固定すれば、カメラまでの距離を短くすることができます。私は最初両面テープを使ってBFの下側に貼り付けようとしました。

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くっつけるとこのようになります。

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でもこれだと、ペンタプリズムを移動して上の方に持ってきた時に干渉してしまうことがわかりました。なので順序を変えて、BFが付いているアイピースホルダーの中に入れてやることにしました。ただし固定されないので、写真のように隙間に小さなクッションを入れてやることで簡易固定しました。とりあえずひっくり返したりしても問題なさそうです。

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ちなみに、ASIカメラのアダプターにうまくねじ込めないかと思いましたが、ごくわずかフィルターの枠の系の方が大きくて無理でした。あと、ERFですが、コーティングがおもて面と裏面で違うようなので、裏返したりしないようがよさそうです。(後で気づきましたが上の写真は間違えて裏返して取り付けてしまっていました。)

さて、簡易改造ですがうまく合焦するのか。BFを前に持ってきたので太陽像が大きくなっている分入りきるか心配です。次の晴れで確かめたいと思います。

続き1: エタロン部を少し考え始めています。
続き2: 実際に合焦するか太陽で試して見ました。