大阪に行く用事があり、兼ねてから行ってみたかった星カフェSPICAに寄ってきました。前回のCafe TEMOに引き続き、星関係をうたっているカフェ訪問の第2弾です。

場所は地下鉄松屋町駅から歩いて数分。表通りから一本入ったビルの5階にあります。

 
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階段を上がってドアを開けると、室内は壁に投影された星空を見るためか、思ったより暗くて目が慣れないうちは足元を見るのも大変です。店員さんの案内に従って席に着きます。途中VixenのPortaらしき望遠鏡、他に青い鏡筒が見えました。後で聞いたらSCOPETECHのSUBARUバージョンのメローペ 80Aのようです。SCOPETECHは自宅でも子供用に使っているのと、今使っているFS-60Qと同じような青色なので一度見て見たいと思っていました。実物を初めて見ることができたのはよかったのですが、さすがに暗くて、青色がかろうじてわかるくらいであまりよく見えなかったのが残念でした。

今回一人だったので、カウンター席に通されました。メニューはオリジナルカクテルがたくさんあり、きれいな見た目と宇宙にちなんだ名前がワクワク感を演出します。今回まず頼んだのは「アンドロメダ」。

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左の雨の日サービスのコースターをもらって来るの忘れてしまいました。残念。

綺麗な青色とライトの光がアンドロメダ星雲を思い起こさせてくれます。せっかくカウンターに座ったので店長さんと少し話しました。ちょっと驚いたのが、以外に星好きの、特にマニアと呼ばれる人たちはあまり来ないとのことです。割合的にもおそらく1割くらいだとか。世間的に見て星マニアの比率はそれほど高くはないので、まあ1割なら多いかとも思ったのですが、周りを見ると私以外はカップルが2組、残りは全て女性二人組でした。男二人というのはまずないとのことなので、天文マニアが来るのは意外に敷居が高いのかもしれません。でも一人のカウンター席は比較的空いているとのことなので、逆に一人なら気楽に来れそうという印象です。私みたいにわざわざ遠くから来るお客さんも多いみたいで、一組は山口からとのことでした。なんでもユニバーサルスタジオの帰りに寄っていく人も多いとのことです。


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カウンターの上には宇宙にちなんだ小物が。

カクテルが一杯終わって、次に夕食も兼ねて「スピカバーガー」というハンバーガーを頼みました。ハンバーグが凄くジューシーで、家庭で食べる手作りハンバークのような食感でとても美味しかったです。その時一緒に頼んだのが、「ミルキーウェイ」というカクテルです。こちらも名前のごとく天の川をイメージしています。

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19時半からはお待ちかねのプラネタリウムです。時間が近づくと準備のためにオーダーストップに。

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プラネタリウムが始まる直前にお会計で帰ろうとする女性二人組がいらっしゃいましたが、店長が必死に止めていました。これを見なければただの雰囲気のいいバーと同じだというのが持論だとのことです。
 
プラネタリウムですが、壁に映し出された星空を見ながら、店長さんの軽快なトークを楽しむことができます。話は普通のプラネタリウムとは全然違って、かなり個性的で、ちょっとお笑いが入っています。店長さんによると、話は何パターンもあるそうなので、何度かリピートして違うバージョンを聞くのも楽しいかと思います。後で聞いたところによると、一人で40分くらいは星ネタでお笑い芸人のように持たせられるそうです。

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プラネタリウムが終わって、もし天気がいい場合は外に出て実際の星を観測するのですが、あいにくこの日は小雨が降っているため天体観測は中止で、その代わりにプラネタリウムがロングバージョンだったようです。皆既月食の時には60人以上が屋上に上がったとか。

プラネタリウムが終わると、私以外のお客さんは結構続けざまにゾロゾロと帰ってしまい、店内は私だけに。そのため店長さんとじっくり話すことができました。その時頼んだのが、「コメット」というノンアルコールカクテル。女性が多いということで、ノンアルコールのオリジナルメニューも充実しています。

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下に入ったライムが彗星をイメージしています。


この店はすでに7年になるとのことのなのですが、もともと店長さんは公務員で在職中からこういったコンセプトの店を開くことを考えていたそうです。私と同じで、子供の頃から街にいて星が全然見えなかったためか、小さい頃から星が特別好きだったわけではなく、車を手に入れて遠くに星を見に行ってみたら、これまで大阪で見ることのできなかった星が、リアルに存在しているのを見てはまってしまったそうです。大阪に帰って夜空を見てみると、今まで見えなかった、というより見ていなかった星が街中でも存在しているということに気づいて、「街中でも星があるということに気づいて欲しい」という思いでこの店を続けているとのことです。前職を辞めてから2年ほどの準備の間、物件を探しつつ、科学館に多い時は週2ペースで通ったということで、その時の知識がいまのトークのベースになっているとのことです。

星のトークをカフェバーと結びつけたのは店長さんの素晴らしい才能でしょう。普通のプラネタリウムのように教育を目的として話す場はたくさんあるけれども、星を綺麗だとかロマンチックだとか、雰囲気を主に楽しむのもありなのでは?というのがこの店を立ち上げた目的だとのことです。(2018/2/3追記:店長さんがツイッターでコメントしてくれました。『ここちょっと違います(笑)これは「自分が楽しむため」の理由で、お店が伝えたいのは雰囲気でも星の美しさでもなく、「星を楽しむこと」!』とのことです。なるほど、お客さんにも星を楽しんでもらいたいというのが一番なんですね。「自分が楽しめないとお客さんも楽しめない」というようなことも言われてたので納得です。申し訳ありませんでした。)

その中で星を好きになってもられえばいいとのことで、私もすごく共感できました。ごくごく一般の人に星をもっと好きになって欲しいというのが根底にあるようで、これは一つのやり方だなあと感心しました。

天文マニアにとっては、プラネタリウムでの店長の語り口が大いに参考になるかと思います。観望会などで話す機会も多いと思いますが、私も色々アイデアをもらいました。店長さんとの会話が面白いので、もっとずっとしゃべっていたかったのですが、第二ローテーションのお客さんが来はじめて、忙しくなりそうなところで店を後にしました。とても雰囲気のいいカフェで、大阪に来た際はまた是非とも寄りたいと思います。

店長さんから、他にもこんなコンセプトのカフェが最近ちょこちょこでき始めているという話を聞きました。心斎橋、神戸、名古屋だそうです。また探して色々行ってみたいと思っています。(追記: 2018/5/17、出張の折立ち寄って見ました。)