ASI294MCでのバーナードループの固定撮影の続きです。

さて、5秒、100枚のスタックですが、三脚にASI294MCを取り付けるだけのお手軽固定撮影のために、時間とともに画面の中で星が動いていきます。歪みが全くないレンズならば問題ないのでしょうが、そんなレンズは存在しません。なのでそのままスタックすると中心と端の方で、どうしても位置にズレが出てきてしまいます。Steller Imageは基本的に並進と回転のみで位置合わせをしているので、このような画面にひずみのようなズレがある画像をうまくスタックすることは苦手なようです。PixInsightはこんなひずみもうまくコンポジットしてくれるとのことなので、今回初めてPixinsightを使ってみました。とりあえずは無料の45日制限のお試し版です。無料といってもフル機能使えるので、試して気に入ったら購入するつもりです。

処理するものはSharpCapでASI294MCを使って5秒露光での撮影で得られた100枚のファイルです。撮影中にダーク補正もフラット補正もしてしまっています。RAW16モードでfits形式で保存したものです。


まず思ったことは、PixInsigtはものすごくとっつきにくいです。ある程度噂では聞いていましたが、これほどとは。とにかくメニューが多すぎて何がどこにあるかわからない。どれがどの機能を指しているのかよくわからないといった状況です。とりあえず迷ったところ全部書いておきます。この方法が正しいかどうかもまだよくわかっていません。かろうじてコンポジットまでできた経緯です。同じように迷えるどなたかの役に立てばという思いです。

  1. まず、ファイルをどうやって開けばいいのかわかりません。「File」メニューから「Open」は意味がありません。「Process」メニューの「Preprocessing」の中のメニューを選択して開くことが大事です。ここまでわかるのに一苦労でした。Preprocessingという言葉はSteller Imageで言うコンポジットまでの一連の処理のことを指すみたいです。
  2. その「Preprocessing」の中からまずは「CosmeticCorrection」を選びます。ホット、クールピクセルの除去などができるようです。「Add Files」ボタンを押して、今回撮影した複数の「.fits」を全て選択して開きます。次に「Output」から保存したいフォルダを指定します。フォルダを指定しないと同じフォルダにファイルが追加されていきます。「Use Auto Detect」にチェックして、「Hot Sigma」も「Cool Sigma」もチェックします。下の左の黒丸を押して実行します。問題があればここでエラーダイアログが出ますが、特に問題がなかければテキストベースのコンソール画面のようなものが出てきて、処理が進んでいくのが見えます。
  3. これまたわかりにくいのですが、それぞれの処理画面の左下の三角をクリックして、クリックしたまま枠の外に出すと「Instance」というものが作成されて、アイコンができます。このアイコンは作業のリンク(ショートカット)のようなものと理解しています。画面を消してしまっても、このアイコンをダブルクリックするとまた同じ画面が出てきます。
  4. 次に再び「Process」メニューの「Preprocessing」にいき、今度は「Debayer」を選びます。白黒の画像をカラー化します。先ほど処理してできた「_cc.xisf」という拡張子がついたファイルを「Add Files」ボタンを押して全て開きます。ここで左下の黒丸ボタンを押してエラーが出て悩みました。この解決方法は一番上の「Bayer/mosaic pattern」を「Auto」から「RGGB」に変更します。どのパターンにするかは事前に調べておいたほうがいいです。SharpCapの方でDebayer方式をかえて、変な色にならないものを見つけました。これで黒丸が押せるようになり実行できます。まだ、黒丸と黒四角の違いはよくわかりません。もし確認したければ、ここでできた「_cc_d.xisf」ファイルを「File」のメニューの「Open」から選んでみると見事カラーになっているのがわかります。ここでも左下の三角を押してInstaceを作っておくといいでしょう。
  5. 再び「Process」メニューの「Preprocessing」にいき、「StarAlignment」を選びます。位置を揃えてコンポジットするための事前計算です。この事前計算は「ImageCalibration」でもできるみたいですが、それぞれの画像で歪んでいるような場合はこちらの「StarAlignment」がいいみたいです。(2018/3/22追記: ImageCalibrationはダーク補正やフラット補正をするプロセスです。本来Debayerの前にする処理です。今回は撮影時にダーク補正もフラット補正もしているので、簡単のため割愛します。)ここも普通に「Add Files」からすぐ上で作ったカラー画像「_cc_d.xisf」ファイルを全て選びます。一つだけ違うのは、さらに基準となるファイルを一番上の「Reference Image」で選ばなければならないことです。「Add Files」で選んだうちの一枚を選びます。すぐ横の「VIew」を押して、「File」を選んで、さらに右の三角を押せば選択できます。色々オプションが選べるみたいですが、よくわからないのでまずはそのままの設定でやってみました。あとは左下の黒丸を押して実行します。
  6. 最後は「Process」メニューの「Preprocessing」の「ImageIntegrartion」でコンポジットです。同じく「Add Files」で最後にできた「_cc_d_r.xisf」ファイルを開きます。ここも色々オプションがありますが、全てデフォルトです。まだ細かいことはよくわかりません。黒丸を押して待つとやっとコンポジットされた画像が出来上がります。画像が2枚出てきて、一枚はコンポジットしたもの、もう一枚は暗い除かれたものみたいです。コンポジットされたものを「File」メニューの「Save As」で適当なファイル形式を選び保存します。同じfits形式でも色々互換性とかの問題があるみたいなので、とりあえずPixinsight標準のxisf形式で保存して、あとは色々な形式で試して目的のソフトで開くことができるか確認するといいかもしれません。Steller Imageでも開くことができるものは限られていました。
  7. ここからPixinsight語で言う「Linear Process」(Steller Imageで言うカブリ補正やレベル補正) に入っていきます。この際Screen Transfer Function (STF)というのを使ってレベル補正に相当することをしていくようなのですが、最初レベルを変えるSTFバーの出る画面がどうしても見つかりませんでした。中途半端に「Image」メニューの「Screen Transfer Function」に色々あるのがわかりにく原因で、バーを出したい場合には「Process」メニューの「IntensityTransformations」のところにある「Screen Transfer Function」を選ばなければいけません。メニューとオプション多すぎです。ここらへんで力尽きました。
ところで、以上の行程はバッチ処理での自動生成もできるみたいですが、今回はダークとかフラットが別のファイルになっていないので、理解する意味も含めて一つ一つ手でやってみました。バッチ処理はかなり便利とのことなので、次にまた試してみようと思います。


さて、比較のためにSteller Image8でも同様にコンポジットしてみました。まずSteller Image バージョン8の売りの「自動処理モード」だと、SharpCapで保存されたfitsファイル(RAW16)が白黒のままコンポジットされてしまい、コンポジットされた画像もカラー化することができませんでした。結局いつものように「詳細編集モード」で100枚を開いて、一枚一枚「ベイヤー・RGB変換」するしかありませんでした。「Altキー+I、Altキー+Y、Enter」で多少早くできますが、それでも100枚を一枚づつ手動で変換しなくてはならないことには変わりありません。この手間だけは冴えないですが、あとはバッチ処理でほぼ自動でできます。

できた画像を比較してみます。まず興味のある中央と四隅を拡大してみます。

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Steller Image8(左)                                 Pixinsight (右)


左がSterller Image8、右がPixinsightです。中央はそれほど変わりませんが、四隅を比べるとやはりSteller Image8だと流れたりぼけたりしてしまっています。Pixinsightも少し流れているように見えますが、これはレンズのせいで、一枚一枚の個々の画像ですでに流れてしまっています。f1.4のレンズを一段絞ってf2.0で撮影したのですが、ピクセル等倍で見るとまだ流れが目立つので、もう一段絞ったほうがよさそうです。

つぎに、全体の比較も面白いので見てみます。上がSteller Image8、下がPixInsightです。

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驚異的なのが、Steller Imageの方は、固定撮影のために空が流れていってしまい撮影できていない枚数が少ないところは普通に暗くなっているのに対し、PixInsightの方は撮影できていない部分も枚数で重み付けして明るさを復元していることです。

やはり噂通りPixInsightのコンポジットはかなり強力なようです。


 今回初めてPixinsihgtを使ってみました。確かに高機能で、性能もいいです。でもなぜ日本でSteller Imageがメジャーなのか?やっとわかりました。Steller Imageの方がはるかに簡単だからです。慣れの問題もあるでしょうし、Steller Imageは?なところも多少ありますが、日本語ですし、操作は想像がつきますし、ある程度一本道だし、マニュアルなどもしっかりしています。簡単にできるということは思っていた以上にありがたいことだと実感しました。


今回もコンポジットまではPixinsihgtでやりましたが、それ以降のカブリや周辺減処理、デジタル現像に相当するものはPixinsightでもできるはずですが、まだ手が出ません。PixInsightは疲れたのでしばらくはここからはいつも通りSteller Image8で続けることにします。

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富山県富山市, 2018年1月13日23時36分
NIKKOR NC 35mm f1.4 + ASI294MC 固定撮影
露出5秒x100枚 総露出8分20秒
PixInsight + Steller Image 8、Photoshop CCで画像処理


最後の仕上げにSteller Image8とPhotoshopCCで続きの処理をした画像が上になります。さすがに5秒露光の100枚だとトータル10分もないので厳しいです。画像処理でかなりごまかしています。それでも馬頭星雲あたりは見えていますし、目的のバーナードループも見えています。他にもバラ星雲もなんとか見えますし、うっすらとですがエンゼルフィッシュも少しは出ているみたいです。

自宅の庭で、赤道儀も使わない、ポンと適当に置いた三脚に固定での、わずか10分のお気楽極楽撮影
なら、まあ十分ではないでしょうか。この方法だと部屋の窓際に適当に置くだけでいいので、かなり楽かもしれません。

今の制限は、一回の露光で星が流れないという5秒からきているので、ちょっとめんどくさくなりますが、ポタ赤でも使ってもう少し長い露光時間でやってみるのも面白いと思いました。