2017年の10月も終わりの頃でしょうか、電視祭りのお誘いがありました。九州から天文リフレクションズの編集長のYさんが長野に来るというので、11月18日に中部地方でどこかで集まらないかというのです。一年ちょっと前、電視を始めた頃にYさんのblogに何度かコメントしたことがあり、画像処理や天体機器での論理的な切り口にとても共感でき、その後も何度かメールなどでやりとりしました。天文リフレクションズの立ち上げの頃からこのblogのことも色々取り上げていただくなど、是非とも一度会ってお話ししたかった方の一人です。

RASAで電視をするHUQさんに加え、Yさんもα7Sを持ってくるとのこと。私もいつもの電視機器で張り切らないわけがありません。

そんなわけですぐに「行きます!」との返事をしました。どうやら集合は「みつえ」とのこと。てっきり名古屋近辺とかでよく行く飲み屋の名前か何かと思いました。そうか飲み会か、そのあとに名古屋で星でも見えるのかな?電視だったらなんとかなるか?とか勝手に思っていました。ところが何度かやり取りしている間に奈良の方に「御杖(みつえ)」という高原があって、そこで星見だとやっと理解できたのです。よくよく考えたら、遠方への遠征は星まつりを除くと初めてのことで、俄然楽しみになってきました。これなら飲み会と違って子供も参加できそうなので、上のNatsuを連れて参加することにしました。電視の装備も万全に、木曜までに全て車に積み込み、あとは夕方に仕事が終わってそのまま名古屋方面に向かうだけにしておきました。

前日の11月17日の金曜日、夜のうちに名古屋に移動して実家にでも泊まろうと考えていたのですが、なぜかその日の昼くらいから猛烈な頭痛で、仕事も早退してしまい、結局夜になっても治らなくてその夜の出発は断念。そのまま寝続けて次の日の土曜日、12時間以上寝て朝おきたらなんとか頭痛も引いていて、せっかくの機会なので多少無理してでもと思い、朝出発することにしました。

みつえの天気予報は曇りと良くなかったので、あまり期待せずに人と会って話せたらいいやくらいに思っていたのですが、それにしても富山と出発してからずっと土砂降りの雨。こりゃあ星見なんかは無理かと思っていたら、途中で場所変更の連絡。海側の方がまだ天気が良さそうということで、志摩方面に決まりました。東海北陸道を通り、名古屋を通り過ぎ、特に渋滞もなく順調でしたが、雨はずっと振り続けています。これはとんぼ返りになるかもしれないと思い、せっかくだから通り道の津市にあるEYBELLに寄って行きました。

店長さんは相変わらず親切で、鏡筒バンドや微動ハンドルなどの細かなアクセサリーと、KASAIのWideBinoの白塗りのかなり昔のモデル、あとVixenの三脚が中古で安く出ていたので購入しました。ありがたかったのは以前ここで購入したCD-1のガイド信号入力用にとちょうど欲しかったDD-3が置いてあったので、売り物かどうか聞くと「壊れているのであげるよ」と。回路がどこかおかしいみたいですが、直して使えればラッキーです。さらにVixenのモーター用のギアまで頂きました。明るいうちに現場につきたかったので、EYBELLを午後3時頃に立ち去り、そこからは下道で現地まで向かいました。

途中、雨も止みつつあって、海が近づいて来ると西側に夕焼けのようなものが見えています。少しくらいは星も見えるかとか多少期待したのですが、現場に着いてみるとその期待を見事に裏切り、少しの曇りの後はすぐに一面に星空が広がってきました。現場ではすでにHUQさんと、今回の遠征を企画してくれたAさん、桑名に住んでいる「くわなのほしぞら」というブログを書いているMさんが来ていました。HUQさんは福島スターライトフェスティバルでお披露目したRASAを、今回はAさん所有のタカハシEM-200に載せいていて、ちょうど準備しているところでした。やはりEM-200は安定性抜群とのことで、とにかくブレずにピントが合わせられるとおもしろいこと(スターライトフェスティバルで実際に見た方は意味がわかるかも)を言っていました。私も娘と一緒に電視のための機材を準備しはじめました。しばらくすると九州からフェリーに車を乗せて来たYさんが到着し、最後に大阪からKさんが到着して全員集合となりました。HUQさん以外は基本的に初対面ですが、さすがにそこらへんは星仲間。すぐに話が盛り上がり、もう話は尽きることがありません。

私の方の電視の機材は、FS-60CBにASI224MCをつけ、それを壊れて修理したAdvanced VXに載せたものです。なかなか修理後のテストができていなくて、今回はそのテストも兼ねています。軽い鏡筒で負荷をかけずに、精度がどれくらい取れるかのまずは簡易テストです。極軸出しと、初期アラインメントは特に問題なく、自動導入の精度も問題なし。ウォームホイールの当たり具合で精度が出ないかもと言われていたので、一番心配していた追尾精度ですが、電視程度では全く問題ないことがわかりました。これなら撮影も問題ない気がします。そのうちにガイドしながら撮影を試してみようと思います。

機材の準備をしていると、今日はお客さんとおさんどんに徹すると宣言していたAさんが、なんとキムチ鍋の用意をしていてくれました。寒い中、辛い鍋は体も温まり、本当に美味しかったです。娘のNatsuはキムチ鍋は初めてで、普段からキムチ大好き少女なので、めちゃくちゃ美味しいと叫んでいました。

さて、電視にものすごく興味がある人が揃っている場での実際での電視観望ですが、空が暗いせいでしょうかM57やM27はすごく綺麗に色鮮やかに見えます。下の写真は画面をiPhone5Sで撮ったもので、なんの加工もしていない撮って出し画像です。実際の画面の見栄えもかなりこれに近いです。亜鈴の中の構造も結構見えています。

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M27亜鈴状星雲


この画像がわずか口径6cmの望遠鏡でその場で見えるということは、やはり相当インパクトがあるようです。実は私はやはり経験不足で、どんな天体が見栄えがいいかとかは、何かで調べながらでないとよくわからないのですが、HUQさんがいると次はこれがいい、次はこれはどうだと色々教えてくれるので、すごく楽でした。そうやって見たのが、NGC247とNGC253でした。NGC253の方は写真にもとったので載せておきます。横線が入っているのはPCのせいみたいです。HP製ですが、普段使っているMacだとこんなことはないみたいです。

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NGC253。この日初めて見ました。


他にもアンドロメダ銀河や北アメリカ星雲、すばるなどもみました。

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M31アンドロメダ銀河。M110も見えています。


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北アメリカ星雲


アンドロメダは構造までよくわかりますし、北アメリカも形が結構はっきり出ます。すばるは写真に撮り忘れてしまいましたが、青い色はよくわかりますが、分子間雲が刷毛ではいたような様子まではさすがに見ることはできませんでした。他にもスターライトフェスティバルで見た三日月星雲も見てみました。大きさ的にもちょうどいいです。

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井上さんのRASAはさすがに大口径なので、短時間露光でかなり明るく星雲を炙り出せます。α7Sのフルサイズ高感度センサーと相まって、わずか1/4秒毎での更新なので、雲が流れていく様子など、本当にリアルタイム感満載で色付き星雲と合わせて動く様子が見て取れます。

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HUQさんのRASAセット。
α7SをHDMIで出力してモニターで見ています。
上にあるのは撮影用のスマホ。

一方私のシステムはSharpCapでスタックしてノイズを低減させるので、HUQシステムに比べると相当安い機材で、低解像度なのですがそこそこ見える画像を炙り出してしまいます。ただし、スタックするということは、言い換えるとリアルタイム性では完全にRASA+α7Sには負けてしまうということです。結局のところ、感度と解像度(センサー面積)、露出時間(リアルタイム性)、ノイズの全てを満たす機材はなかなか難しくて、RASA+α7Sがかなり近いところをいっているのかと思います。ただ、ノイズはやはり高感度にしている分どうしても多くなるので、もしα7Sにスタック機能を載せることができれば最強のシステムになるのかと思います。ただしこのHUQさんのシステムは誰もが真似をできるというわけではなく、機材の値段やα7Sの改造など敷居が低く無いことは間違い無いでしょう。なので、ASI224MCと小口径の鏡筒で手軽に電視システムを構築するというのは観望会で普及するかという観点から考えると有利なのではと思います。


もう一つ電視で試したのが、Aさんが持っていた焦点距離200mm、F値2.8のCanonEFレンズ、通称「ニーニッパ(カメラに詳しくない私はこの意味が最初理解できませんでした)」です。これをZWOが出しているASIカメラに取り付けることができるアダプターを使って ASI224MCに取り付けてみました。昔のレンズということで、少し色収差があるのではないかと言っていましたが、多少恒星が滲む程度で、十分に明るく鏡筒がわりに気軽に使える電視システムになりそうです。FS-60CB+0.5倍レデューサよりも2段階くらい明るいでしょうか。値段も中古なら数万円だそうです。以前紹介したCelestronのTravel Scope 70の代わりに使ってもいいのかもしれません。このレンズで映した馬頭星雲と燃える木です。

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Aさんのカメラレンズで映した馬頭星雲と燃える木。


星像が少し大きくなってしまっていますが、十分に使えると思います。


途中、Natsuのギター演奏でスピッツのチェリーを歌い、空が曇ってしまって、まったりモードで椅子に座って円になって話し込んだり、YさんのFSQ-106で眼視で見るオリオン大星雲と電視を見比べたりなど、ものすごく楽しく濃い時間を過ごすことができました。

Kさんは初めてまだ2年くらいで、星暦は私と同じようなもの。ついでに年齢も同じでした。すごく真面目で、今回も一人黙々と撮影をしていました。ダークやフラット処理など、いろいろ話しました。エンジニアとのことで、いろいろ自分で試しながらやるタイプのようで、気が合いそうです。画像処理の議論をもっとしてみたいです。

Yさんは少年時代の話とか、天文リフレクションズの話とか、いろいろ聞くことができました。Yさんの顔は写真では見たことがあったのですが、星大好き少年がそのまま大人になったような、イメージ通りの方でした。今では天文リフレクションズが本職ということで、本当に好きなことに人生をかけるすごい人です。

Mさんは用事があるとかで先に帰ってしまったのですが、「くわなのほしぞら」というブログをやっていると後で聞きました。星を始めた頃から読んでいたブログの一つで、いろいろ勉強させていただいたブログです。もっとお話ししたかったです。

Aさんは実はSNSで名前だけは知っていて、後から聞いたら今年の原村で電視観望を見てくれていて、しかも議論になった時に、今でもはっきり覚えている助け舟を出してくれた方でした。なので実は初対面ではないのですが、暗い中でのことなので顔は今回初めて見ることができました。今回こんな素晴らしい企画を立ててくれて、どうもありがとうございました。

HUQさんはRASAを見ても分かる通り言わずと知れた変な人で、いろんなことを試すとてつもなく面白い人です。電視のアイデアしかり、この人から学んだことは数知れずです。

まったりモードが続き、0時近くに風が強くなってきたところで退散。帰りに松坂のファミレスに寄って、やっと明るいところで皆さんの顔を見ることができました。ファミレスでももちろん星の話で盛り上がるのですが、今回あまりに濃いメンバーばかりで、娘のNatsuは少し引いていました。Kさんと私を除いてみんな天文少年の思い出があるくらい昔から星をしているのですが、意外なことに途中結構長いこと星をやめていて、何年か前に復帰したという人が多いこと。Kさんも私も合わせて、ちょっと前はあまり星に興味がなかったことでした。こんな人たちが意外に新しいことをやりたがるのかもしれません。

ファミレスも午前2時に閉店で追い出されて、それぞれ帰路につきました。名古屋の実家に着いた時には午前4時。そのまま寝てしまいました。

次の日は朝からNatsuの買い物に付き合い、午後1時の開店と同時くらいにSCOPIOに顔を出しました。壊れたAdvanced VXの話で店長さんと盛り上がりました。天頂プリズムと、正立プリズム、微動ハンドルなどのアクセサリを買い足し、お店に来ていたカップルのお客さんが星を始めるとのことで、いろいろ話して盛り上がりました。初心者は予算の限りもあるので、やはりポルタとかになりそうです。WideBino28が置いてあったので、それも進めておきましたが、本当は赤道儀付きをお勧めしたかったです。帰りの車の中で、「もし最初に買ったのがポルタだったらこんなに続かなかったんだろうね」と、娘と話していました。

寝不足だったので実家で一寝入りして、夕方にいつもいくステーキ屋さんで300gのステーキを食べて、富山まで帰りました。

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途中、飛騨コスモス天文台に寄っていったら、少し雪が積もっていました。少し曇っていましたが、寒い中少しだけ見ていた星がとても綺麗でした。

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