電視観望の入門記事実践編を書いてきましたが、今回はちょっと毛色を変えて、電視観望の魅力ということについて書いてみたいと思います。

元々電視観望を始めた動機は、まだ星を始めたばかりの頃に個人的な観望会で、きてくれた方に星雲を見せた時の反応でした。私は星雲が望遠鏡でおぼろげながら見えていることがすごいと思っていたのですが、見た人はほとんど一様に、かなり拍子抜けというか、がっかりした様子なのです。それでも私もその気持ちは理解できました。星雲といっても写真で見るような色も何もなく、文字どおり雲のようにモヤっとしているだけなのです。そこで、昨年の星まつりにドブソニアン使いの方たちに、片っ端からアイピースで見て星雲に色がつくことはありますか?と尋ねてみました。答えは、感度のいい子供なら薄く色がついて見えるかもしれないとのことでしたが、やはり私には大口径のドブソニアンで見てもどうしても色がついているようには見えませんでした。

そんな折に、胎内の星まつりでSONYのα7Sで、その場でうっすら赤く色がついている画面をLive viewで見せている方がいました。その方と夜遅くまで話し込んで、電視観望という言葉で進めていこうとか、色々アイデアをいただいたのですが、残念ながら私には高価なα7Sを購入する余裕はありませんでした。それでもなんとかこのアイデアを活かせないかと、自宅に帰ってから色々考えて、ひょっとしたら惑星撮影用に買ったASI224MCが使えるのではないかと、20cmの反射で始めたのですが、思いの外うまくいったのがきっかけです。

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一番最初に自宅の庭でASI224MCで電視を始めた時の写真です。
最初は惑星の応用でFireCaptureを使っていました。 


昨年の夏は晴れていればほぼ毎日外に出て電視観望を試していました。今の技術はその頃にだいたい確立したのですが、なぜこれだけ続いたかというと、とにかく楽しいのです。観望会とか、人に見せるとかを全く考えなくて、とにかく一人で電視で見ているだけで楽しいのです。それもそのはずです。まだ星を本当に始めたばかりで、カメラ撮影の技術も画像処理の技術も全くない初心者が、次々と星雲とかを見ることができるのですから、楽しくないはずがありません。

色々やっていると、電視が微妙なバランスの上に成り立っていることがわかってきました。CMOSカメラのセンサーサイズが小さいので、長い焦点距離が取れないこと。焦点距離が取れないので鏡筒は短くて済み、意外に小さな口径で十分で、それでもF値を小さくできること。SNR1sに代表するようにカメラのセンサーの感度に強度に依存すること。自動導入とものすごく相性がいいことなどです。

電視観望を始めて見てみると、たいていの方はびっくりします。初心者の方はそもそも星雲を見たことがある人の方が少ないので、その場で星雲が見えることにまずびっくりします。面白いのは、ベテランの方の「今の技術はこんなに進んでいるのか、昔夢のようだと思っていたことが現実にできる時代になったんだ」というような感想です。このようなライブビューが難しいということを実際に知っている方の意見です。私は星の世界では初心者なのですが、ベテランの方達にこのように言っていただけると、なんだか少しだけですが認められたみたいで本当に嬉しく思います。

その一方、否定的な意見も少数ですがあることも聞いています。

一番代表的なものが「望遠鏡はアイピースで見るべきだ。モニターなんかで見せたらダメだ。」というような意見です。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。シャープさでは電視は眼視に全く勝つことができません。一方、カメラで長時間撮影をして画像処理をキチンとした写真のクオリティーにも、電視は全く勝つことができません。電視はちょうど眼視と写真の間のような技術かと思っています。クオリティーはそこそこだが、人間の目には見えないような星雲の色などが、その場ですぐに見えるということです。なので、観望会での手段の一つとして電視が広まってくれればいいなあと思うわけです。

もう一つ、モニターの明るさが暗順応の妨げになるという意見を最近聞きました。確かにその通りですが、観望会は安全のために、意外に明るい場所で行われることも多いので、それほど邪魔にはならないはずです。どうしてもという場合は少し場所を離れたところで試すなどで、うまく運用する方法を探す道もあるのかと思います。

それよりも観望会に来ている方たち、特に理科離れが叫ばれている現在、将来を担う天文っ子に、こんな綺麗な天体が宇宙には隠れていると、その場で実感していただくことがものすごく大事なのかと思っています。

基本的には電視に対しては概ね好意的な方が多いのですが、それでも話だけを聞いて否定する方、あまり関心のない方もいます。ですが、意外なことに実際に見ていただくと、こんなに凄かったのかとものすごく興味を持ってくれる方もいらっしゃいます。やはり百聞は一見にしかずで、それだけのインパクトが今の電視にはあるのではと思います。

電視観望のいいところを挙げて見たいと思います。

  • 星雲にその場で色がつく。
  • 一つの画面を共有して多人数で見ることができる。
  • 次に何が見たいとか、意見が出だして、みんなでものすごく盛り上がる。
  • 大人数の観望会でも一つのアイピースに並ばなくていいので、人数をさばくことができる。
  • 面白かった意見が、老眼対策です。私も少し出始めているのですが、老眼がひどくなってくるとアイピースで見るのさえ辛くなってくるそうです。そんな場合にも目に負担をかけずに見ることができるそうです。

ついでに今考えている欠点も書いておきます。

  • 解像度、シャープさ、彩度などはまだ不十分。機器の進歩がいずれ解決してくれると思います。
  • センサーサイズが小さいので、広角で画面に星いっぱいちりばめるような画面は難しいです。最近出たASI294MCに期待しています。
  • 計算機を必要とするので、荷物が増える。Revolution Imagerのような専用機を使うという手があります。
3回にわたって電視の入門記事を書いてきましたが、電視観望の楽しさが伝わって観望会などで広まってくれると嬉しいです。


もっと詳しい話はブログ上部の「特集記事」のメニューの中の「電子観望」からも行けますが、
  1. 出会い
  2. 高感度CCDでの試み
  3. 機材1 - CCD
  4. 機材2 - レンズ
  5. 電視用ソフトの紹介 - SharpCap
  6. 観測例1 - 口径60mmでのテスト
  7. 観測例2 - 牛岳
  8. 観測例3 - 牛岳
  9. 電視メシエマラソン準備
  10. 電視メシエマラソン練習
  11. 2台目のCCD
  12. 電視観望システム 
  13. 軽量化と安価な電視システムの模索
 に色々書いています。長いですが、もし興味がある方はお読みください。