下の子用のスコープテックの望遠鏡のパフォーマンスが最近とても凄いです。観望会でも高級機を差し置いて、なぜか一番活躍しています。理由は簡単で、子供でもすごく簡単に天体が導入できるという一言に尽きると思います。


まずは少5の下の子、Sukeの感想です。
「星が見たいときに、家からすぐに出して使えるのでとても気にっています。ともだちが星を見たいと言って家に来たときに、お父さんは準備がすごく遅いけど、僕は誰かが見たいと思った時にすぐに見たい星に合わせてあげることができるので、とても楽しく星を観察することができます。土星、月、木星をよく見ます。このあいだのイオンモール砺波での観望会では、僕がたくさんの人に星を見せてあげることができました。色々な感想が出てうれしかったです。またこんな機会があれば、星をあまり見たことがない人に見せてあげたいと思います。」


次に簡単なスペックを書いておきます。
  • 焦点距離800mm
  • 口径60mm
  • ファインダー: 2つ穴タイプ
  • 経緯台: 微動ハンドル付き

もともと星まつりで買ったのですが、そもそも星まつり価格のせいか、信じられないような値段で購入しています。しかも子供用ということでアイピースや方位磁針などいろいろおまけしてくれました。しかもブースに手伝いできていた漫画家の由女(ゆめ)さんとも仲良くしてもらって、今になってもすごくいい買い物をしたと改めて思っています。ただし、星まつりで手に入れた機種は今スコープタウンのホームページにある現行のものではないみたいで、会社名などが鏡筒に印刷されていません。過去の画像なども調べたのですが、どうもそれらとも違うみたいで、もしかしたら試作品などに相当するのかもしれません。強いていうならアストロアーツさんのページに載っているものが近いのですが、それとて口径も違いますし、先端のフードの色など細かいところが違います。

多分、天文マニアから見たらなぜこんな入門機がいいのか全くわからないと思いますし、逆に初心者の方にもなぜスコープテックがいいのか、なかなかわからないと思います。ちなみに当然ですが、スコープタウンから宣伝してほしいとか頼まれたわけでもなんでもなく、純粋にユーザーとしていいと思っていることを書いているだけなので、その点はご納得いただければと思います。


1. 二つ穴ファインダー 
  • 下の写真にも写っていますが、この望遠鏡の一番の特徴です。なぜこんなものがと思われるかもしれませんが、この二つ穴だと子供が天体を簡単に導入できるのです。普通の光学ファインダーは子供には調整できません。多くの初心者が天体望遠鏡を購入した時、月さえも見ることができなかったというのはファインダーに原因があると思います。
  • ちなみに横についているファンダーは、同じく星まつりで買った格安ファインダーです。鏡筒に穴を開けてネジ山を切って自分で取り付けたのですが、結局子供は全く使ってくれていません。
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2. 経緯台
  • この望遠鏡セットは星を追いかけれらる赤道儀式ではなく、もっと簡単な経緯台タイプになっています。簡単にいうと、上下と左右方向に調整ができるのみで、星の日周運動を追いかけるような動きはできないということです。その代わりに導入はすごく直感的で操作しやすいのだと思います。そのせいもあり、子供でも非常に天体を導入しやすいのです。
  • ただし、倍率を上げた場合すぐに星が逃げていくので、追いかけるのにはいつも苦労していますが、子供にとっては望遠鏡を操作している実感があり、それが楽しいみたいです。微動用のハンドルが両軸とも付いているのもポイントです。

3. 軽量
  • 鏡筒がプラスチック製らしいので、強度はあまりありませんがとにかく軽いです。強度はないと言ってもアイピースで見るぶんには全く困ることはありません。
  • それよりも軽くてすぐに出せるのは子供にとってはすごく重要です。いつも私が赤道儀の極軸合わせなどでモタモタしている間にも、すぐにセットして勝手に天体を導入して見始めています

4. 31.7mmのアイピース
  • 現行のものは直径が25.4mmタイプのアイピースが標準みたい(ホーページには31.7mmにも対応していると書いています)なのですが、うちが買ったものは31.7mmしか対応していません。31.7mmだと今最も普通に出回っているアイピースなどが使えるので便利です。
  • さらに星まつりなどで特価アイピースをいくつか買っておいたので、様々な倍率を楽しむことができています。
  • また、天頂プリズムが標準でついているために、無理な体勢をとらなくてよく、楽に見ることができます。

5. アクロマートレンズ
  • 少し専門的なことになりますが、筒などは安く上げている代わりに、レンズはアクロマートレンズと言って、収差の少ない性能のいいものを使っているとのことです。もちろんアポクロマートレンズのような最高級レンズではないので、収差がないわけではないのですが、入門者が普通に見るぶんには全く不満なく見ることができると思います。
  • 以前金星を250倍くらいにして明らかに過剰拡大をした時にはさすがに赤と青のにじみが見え、収差が確認できましたが、普通に使うぶんには気になるレベルではないでしょう。

6. 価格
  • これらのセットがかなりの低価格で販売されています。一番いいところは価格自身ではなく、低価格なので気兼ねなく操作できるところです。
  • 子供が触って多少壊そうが、全く気になりません。観望会などでも完全に解放して、お客さんに勝手に触ってもらっています。下の子がいつも得意げに導入方法を説明していて、お客さんにも試してもらっています。単に望遠鏡を覗かせてもらうだけと、月でもなんでもいいので自分で導入して見たときの反応は圧倒的に違います。

さて、実際にどれくらい見えるかですが、月のクレーターなどはすごく綺麗に見えます。手持ちでは20mmと9mmのアイピースをよく使うのですが、倍率がそれぞれ
  • 800mm ÷ 20mm = 40倍
  • 800mm ÷ 9mm = 89倍
となるのですが、この二つを主に使い分けています。木星の縞、木星の衛星、土星の輪などははっきり見えます。土星の輪にあるカッシーニの隙間は気流の状態がいい時に、かろうじてなんとか見えるくらいでしょうか。この倍率だと惑星は小さいですが、これ以上倍率を上げてもすぐに視界から出てしまい、追尾が難しくなるので実用的ではないです。



逆にできないことも書いておきます。

1. 撮影
  • 試したことはないですが、カメラでの撮影は厳しいでしょう。筒が弱いのと、経緯台のために星を追いかけることはできません。
  • すごく短時間なら可能かもしれませんが、暗い天体までは映らないです。
  • 月などをスマホで気軽に写すのは、逆に色々工夫ができそうで面白いかもしれません。

2. 小さな天体の導入
  • 二つ穴ファインダーの弱点です。倍率がないために、目が悪いとそもそもその天体を見ることができずに、穴に入れることもできません。
  • オプションのファインダーがあると改善されるでしょう。

3. 星雲
  • 残念ながら、よく雑誌などの天体写真で見るようなカラフルゴージャスな星雲を見ることはできません。これはスコープテックに限らず、かなりの高級機種でも、アイピースで見ている限り星雲に色がつくことはありません。形も文字通り「雲」のような白いモワッとしたものとしか見えないでしょう。
  • 星雲の色はカメラで撮影しているから綺麗に見えるのであって、人間の目はカメラのように光をためておくことはできないですし、色についてもカメラほど敏感ではありません。

このような点が不満になってきたら、もうスコープテックは卒業です。天文マニアへの階段を確実に上がっていっています。よかったら以前書いた機種選定の記事もご覧ください。