昨日の天体写真展で天文台の方から天体写真についての講演を頼まれました。昨日は観望会の後、疲れてそのまますぐ寝てしまったのですが、明けて7月8日の日曜日、朝9時半ころから天文台にいって、その場でスライドを少し準備して実際にお話しをしてきました。

頼まれたのが昨日で、今朝の今朝までどのような人に話すのかあまり聞いていなかったのですが、どうやら年配の方が中心でグループで写真を撮っているので、その方達が星の写真を撮ることができるようにということでした。以前作ったスライドを直前の10分程度で多少変更して、初心者対象という形で話しました。講演自体は自分の機材を見せたりしながら、順調に進んで良かったのですが、面白かったのはその後です。天文台のプラネタリウムに入って、暗い中でドームに映した星を自分のカメラで撮影するのです。

まずびっくりしたのが、今回のために参加者全員カメラと三脚持参で、しかもほぼ全員相当なカメラとレンズを持っています。私が持っているのがCanonの60Dなのですが、NIKONのD810を持っている方もいれば、Canon 5D MarkⅢを使っている人もいて、ほとんどの方が講師のはずの私のカメラよりもはるかにいいカメラを持っていました。よくよく聞いてみると、カメラの先生を招いてみんなで富山のいい景色を撮るという試みをしているとのことです。その中でカメラやレンズを趣味のようにしている方もいるということでした。

さらに興味を引かれたのが、今回のプラネタリウムでの撮影の目的が、暗いところでのカメラの操作になれるということでした。明るいところでほとんど撮ったことのない私にとってはむしろ目から鱗で、十分なカメラの経験があるような方でも暗闇の中でのカメラの操作には相当てこずるようでした。

というわけで、最初のX7を触り始めた時にコツという形で少しまとめたことはあるのですが、今一度天体写真に慣れていない方に向けて、これまでの経験も踏まえて改めてコツを書いておこうと思います。対象は天の川などの星景写真で、(私もそうでしたが)おそらく一番最初に経験するカメラと三脚だけを使った場合です。

まず、昼間のうちにできることはやっておきます。基本的に全てマニュアルモードです。
  1. ダイアルを回してMのところに合わてマニュアルモードにします。一眼レフカメラでないコンパクトデジカメの場合には設定メニューに隠れている場合などがありますので、マニュアルなどで調べてみてください。
  2. 実際によく忘れるのが、レンズ本体の設定です。レンズのところに切り替えスイッチがありますが、マニュアルフォーカスモード、手振れ補正はオフにします。
  3. ファイル形式はRAWが必須ですが、後で処理が面倒だという方はJPGもありかもしれません。私はファイルサイズは大きくなりますが、基本的にRAW+JPGにしています。
  4. ホワイトバランスは蛍光灯か白熱電球のほうが夜空の色に近く見えます。もちろんRAWで撮っておけば後から変更できるのですが、夜空に近い色の方が後々も楽かと思います。オートホワイトバランスは何枚も撮影していると途中で色温度が変わることがあり、統一処理ができなくなるため、やめておいたほうがいいと思います。
  5. 絞りは手持ちのレンズの一番明るいところに合わせます。Fの値を一番小さくするという意味です。星像が変な形になる、周辺減光がひどいなどという場合は少しFの値を大きくして絞ります。注意することは、あえてきちんとF値を設定しないとFが勝手に大きくなったままになってしまって撮影してしまうことがあるので、必ず確認したほうがいいです。
  6. ノイズリダクションなどの機能は基本的に全てオフの方がいいと思います。ただし、後で画像処理をすることが前提です。画像処理をしない場合は長時間ノイズキャンセル機能はオンにしてもいいかもしれませんが、撮影できる時間が半分になってしまうので時間がもったいないです。
  7. 液晶画面の明るさは普通の設定だと明るすぎるののと、暗さに慣れた目を戻さないように一番暗くします。
  8. ピントを星に合わせるのは意外に難しいです。できるならば昼間に(距離はレンズによりますが)数キロメートルと十分離れたところを見ながらピントを合わせて、その位置でピント調節リングをテープなどで固定してしまいます。ちょっと高いですが、パーマセルテープが便利です。
  9. シャッターを押すときのブレを避けるために、レリーズは用意したほうがいいです。レリーズの操作も昼間のうちに十分に慣れておいて下さい。連続で撮影する場合などはカメラが持っているインターバル撮影機能で代用することもできますが、それでも最初にシャッタを切る時にはブレてしまうので、できるならレリーズを使ったほうがいいです。
  10. 一度、三脚に乗せてカメラがきちんと固定できているか、ガタがないか、方向を変えることができるかなどもチェックします。暗闇で三脚に固定するのも、カメラの向きを変えるのも、明るいところとは勝手が違います。
  11. 意外にも、レンズキャップや、レンズの付け替えなども暗闇では大変です。外したレンズキャップをしまう場所もあらかじめ決めておいた方がいいでしょう。
  12. ヘッドライトを用意しておくといざという時に楽です。ライトには赤いフィルムを貼るなどして、暗闇に慣れた目を戻さないようにする工夫などが必要です。
  13. ISOや露光時間、F(絞り)を変える場合のスイッチの位置を改めて確認しておくといいでしょう。これらは暗闇で何度もいじる必要があるので、手探りだけでスイッチの位置がわかるようにしておく必要があります。

ここまでをとにかく昼間のうちに準備してしまいます。できるならば、これらのことは真っ暗なところでもできるように、暗い場所で何度も練習しておくことをオススメします。


さて実際の撮影ですが、本番当日の撮影をする前に、事前に夜の星の撮影を試すといいです。多少明るい自宅の庭でもいいので、夜空を写してみてください。意外に星が写ることにびっくりすると思います。十分な練習をしてから、本番の当日の撮影に向かいます。

撮影時のコツです。
  1. もし昼間にピントを合わせ忘れていた場合は、Live viewで明るい星を映してから、それを5倍か10倍で拡大して、一番小さく見えるところにフォーカスリングを合わせます。パーマセルテープなどで固定したほうがいいでしょう。
  2. ライブビューモードは楽ですが、カメラの温度が上がりすぎてノイズが出やすくなります。基本的にライブビューは切って撮影します。
  3. ISO感度をいくつにするかは周りの明るさによるので、何枚か試し撮りをして決定します。感度はノイズに直結するので、ノイズが目立たない最大のISOを探します。機種やレンズにもよりますが、ISO1600か3200くらいが適当かと思います。最初あまりノイズを気にしないのなら6400とかでもいいと思います。
  4. シャッター速度(露光時間)ですが、レンズの焦点距離や方角にもよりますが、最長で30秒くらいまでだと相当拡大しなければなんとか星が流れずに見えます。余裕を持って20秒くらいまでが適当かもしれません。

とにかく、事前の練習がすごく有効だと思います。暗い中で、手だけでボタンの位置を覚えてしまうくらいにしておかないと、実際の撮影ではなかなか上手くいかないでしょう。天気も場所もベストという時間は、実はかなり限られているので、その貴重な撮影時間を逃さないためにも、十分に練習しておいてください。焦って操作を誤って、出来上がったものを見てみたら見るも無残だったということを私も何度も経験しています。


撮影した後に重要なのは画像処理です。どれくらい処理するかは人によると思いますが、ほんの少し手を加えるだけでも驚くほと見栄えが良くなったります。ここら辺は以前色々記事にしていますが、初心者向けの記事ではないので、そのうちに初心者向けの画像処理の記事も書いてみたいと思います。