2台目のCMOSカメラが必要になってきて、どうするか悩んでいたのですが、ついこの間の4月12日にZWOに直接頼んだものが、なんとわずか3日後の今日4月15日に到着してしまいました。US$300以上だとFree fast shippingが選べるのですが、それにしても速いです。支払いはPaypalですが、その場で決済ができるし、数日で届くならもう海外と言って躊躇する必要はないのかもしれません。初期不良とかの時はやはり面倒にはなりますが。

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結局選んだのは ASI178MC。いろいろ悩んだのですが、HUQさんが同じセンサーサイズのASI185MCでうまくいっているのは聞いているので、それよりも高解像度でだいぶん感度が低いASI178MCでどこまで電視ができるのか、どうしても確かめたかったからです。最悪もし電視で使えなくても電子ファインダーとしての使い道はあるはずなので、無駄にはならないはずです。ASI224MCでは付いてこなかったレンズキャップが新たに付属しています。Cマントアダプターなどは以前と同じものです。


早速ですが、今日は晴れていて、しかも22時くらいから月の出なので、写真撮影はあまり期待できないため、新カメラのテストとしました。 

まずはファーストライトでM42です。もたもたしていたら西の空の低いところにきてしまっていました。

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真ん中斜めの黒い太い影は電線で、下の三角の影は隣の家の屋根です。低いところということもあり、ASI224MCでよく見えていた構造とかまであまりよく見えていません。これはASI224MCに比べてRの感度が低いので、Hαが見にくいのかもしれません。時間がなくてあまり試せなかったので、星雲に関しては後日もう一度比較しようと思います。


さて、気づいたことですが、
  • ASI178MCとASI224MCをサンワサプライ製のUSBハブUSB-HAC402BKを使うことで、同時に2つのSharpCapを立ち上げそれぞれ表示できることが確認できた。
  • センサーサイズがASI224MCより大きいため、ASI224MCで入れていた0.5倍のレデューサーを外したらこれまでとほぼ同じ画角になる。レデューサを外せるので星像が流れない。これは結構なプラス。
  • 明るい時にASI178MCの出力画像を見ると、ASI224MCで必要だったIRカットフィルター無しでホワイトバランスが取れている。
  • Gainが510までしかない。(ASI224MCは600まで。)
  • Image ControlsのBrightnessが600まである。(ASI224MCは240まで。)
  • Stack中のDisplay ControlsやHistgramの反応速度が著しく遅い。一回、一回のスタックが終わるまで変更が適用されない。ここは大きなマイナス。
  • 左右下隅にかなり明るいノイズ、右上にも多少明るいノイズが見える。 これも結構なマイナス。 

次に、実際に時間をかけて撮った映像です。ターゲットはM100です。まずはASI178MCから。隅に明るいノイズがあるのが見えます。また横縞ノイズも見えるのと、全体的にノイジーです。星像は丸に近いです。露光時間が8秒、ゲインが450になっています。スタック時間は120秒程度です。M100を確認することはできます。右にNGC4312も見えます。

ASI178MC_M100_nobinning


次に同じ画角でASI224MC。0.5倍のレデューサーとIRカットフィルターが加わっています。そのため4隅が流れます。露光時間は8秒、ゲインは330です。スタック時間は同じく120秒です。上より明らかにノイズが少ないです。。M100の腕まで綺麗に見えています。

ASI224MC_M100_nobinning_120sec


ゲインが450と330なので、120違います。ヒストグラムを見るとピークの位置が大体位置が合っているので、これくらいのゲインの違いで、ほぼ同じ明るさになるということです。ゲインが60違うと2倍のゲイン差になるので、120違うというと4倍違うことになります。SONYの提唱するSNR1sでの検知できる最少光の差がIMX224が0.13ルクスとIMX178が0.46ルクスで3.5倍くらいの差なので、4倍違うというのはほぼ一致します。これが一番知りたかったことですが、電視に限って言えばSNR1sの値で性能が決まってしまうといってあまり間違いがなさそうな印象です。



さて、画面だけ見比べるとASI178の方でゲインさえ上げてしまえば、同じような明るさになりそこそこ映るので、あまり差がないように思えるかもしれませんが、実感としてはASI224MCの方が圧勝です。上の画像はスタックした画像なのでわかりにくいのですが、スタック一番最初の一発目に出てくる画像で認識できる天体に大きな差があります。電視ではリアルタイム性が重要になってくるので、一発目の画像の質が結構需要になってきます。そういった意味でASI224MCの方が圧勝という印象です。


また、同じ時間かけたとしてもASI178の方がゲインが高いので、そのぶんノイズも大きくなります。すごい単純計算(同じゲインの時に、同じノイズが出るとかいう適当な仮定をした場合ですが)で見積もると、ゲイン差が約4倍なので、同じ時間をかけて撮ると、ノイズはsqrt(4)=2倍の差になります。この2倍のノイズを同程度のS/Nまで持っていくためには4倍の時間をかけて初めて同程度のクオリティーとなります。至極真っ当な結論です。

同程度のクオリティーを出す場合、露出時間がゲインに比例するということは覚悟していて、まあその通りに近い結果なのですが、印象としては電視に限っていうと一発目が重要だということが実感できて、結局期待はずれでした。残念ですが、ASI178MCは主に電視ファインダーなど、広い画角で高解像度が生きる方向で使っていきます。