ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2023年12月

前前々回の記事でクワガタ星雲のSAO合成をしました。



せっかくなのでいつものようにAOO合成もするのですが、普通にAOO合成をするとHαの淡い構造とかが一切出てきません。これが不満で、色々試してみました。


Hαの情報量

AOO合成をして、オートストレッチすると大体これくらいです。
Image21s

きちんとクワガタの形が出ています。でも、Hαだけの画像を見るとまだまだ模様がいっぱい残っているんです。

Hα画像を強オートストレッチしてみます。
FILTER_A_mono_drizzle_2x_integration_ABE1_ABE2_ABE4s
すごい模様が出てきます。一番暗いところが背景だとしたら、多少なりとも明るいところはなんらかのHα成分が存在していると考えていいでしょう。普通にAOO合成した画像に、このHαの模様が活かされ切っているとはさすがに言い難いのかと思います。今回はこれをどこまで表現できるかやってみたいと思います。


まずはどこまで出そうか、テスト

まずAOO合成させたものを、強オートストレッチして、さらに微調整します。
Image21_strongs
ここらへんまで出せたらHαを使い切っていると言えそうですが、いくつか問題点があります。
  1. 右真ん中に大きな黒い窪みがある。
  2. 赤がサチりかけているところがある。
  3. 星がうるさい。
くらいでしょうか。一つづつ片付けます。


1. フラット化の大切さ

まず1の黒い窪みですが、普通にAOO合成したら対して問題にならないのですが、淡いところを頑張って出そうとすると目立ってしまいます。これはOIII画像に残っていた、ε130Dの迷光の残りのようです。今回は撮影時に鏡筒にフードもつけていますし、もちろんフラット補正もしています。それでも強あぶりで、これくらいのフラットの誤差が出てくるようです。ここまででもHα、OIII共にABEの1次と2次と4次をかけていますが、さらにOIIIにDBEをかけて窪みをとることにしました。その結果が以下になります。
Image24_strongs
窪みは目立たなくなり、さらにもう少し炙り出すことができるようになりました。

しかしながら窪みが目立たなくなったことで、今度は右上に注目すると、赤が構造なしでのっぺりしている気がします。本当にHα成分があるのか、カブリなのか見極めが難しいところです。仮にカブリだとすると、ここだけをうまく取り除くのは結構難しそうです。

今回は、ABEの2次を再度かけ、右上と、左下の赤も少し緩和するようにしました。もっとはっきり除いてもいいのですが、そもそもここら辺の領域を強度に炙り出しいる参考画像がほとんどなく、何が正解かよくわかりません。これ以上やると恣意的な操作になると判断し、今回はそのままで残しました。
Image24_ABE1s
こういったカブリ問題は、将来PixInsightのMARSプロジェクトがうまくいったら解決するのかもしれません。



情報を余すところなく引き出して炙り出す場合、上の操作のように「正しい背景にするというよりは、あぶり出しやすいように、できる限りあらかじめフラット化させておく」方向になるのかと思い思います。そのため、フィルターやセンサー面についているゴミはうまくフラット補正で除けないと、強あぶり出しの際にとんでもなく目立ってしまったり、周辺減光や迷光もフラット処理がうまくいかないと、そこの輝度差で制限されてしまって炙り出しが十分できないなど、致命的になる可能性があります。

先日の記事のように
最近はソフトの力でかなりの補正が効くようになってきていますが、BXTは分解能は出せても淡いものを出すことにはほとんど助けになりません。ソフトで補正が効かないこともたくさんあり、今回のように淡い構造を引き出し切ろうとすると、光学機器の段階での丁寧な汚れの除去や迷光処理、確実なフラット補正がとても大切だと言うことも肝に銘じておきたいものです。

次に、SPCCでナローバンドを選び、AOOの正しい波長と、手持ちのフィルターの波長幅を入力します。重要なことは、ニュートラルバックグラウンドをどこにするかです。プレビューで一番暗いところを選択して「Region of interest」に設定しておいた方がいいでしょう。これをしないと、赤が再び出にくくなったり、暗いところが緑がかったりしてしまいます。RGB画像を別撮りなどしていない場合は「Oprimize for stars」にチェックを入れておくと、星の色を優先的に最適化するとなっていますが、試したところ少なくとも今回は大きな違いはわかりませんでした。SPCCがうまくいくと、赤がかなり残った状態で色バランスが取れるようになります。


2. 恒星にはBXT

次に2の星がうるさいことですが、やり方は色々あると思います。今回は簡単にBXTを使ってしまいましょう。恒星も併せて十分にあぶり出しても、恒星自身が小さければ、全体を見た時のうるささは緩和されるはずです。今回はHαの淡いところを画面全体で見せたいので、トリミングやバブル星雲のところのみを拡大することなどは考えていないです。そのためSAO合成の時よりもBXTの効果は緩和させて
  • Sharpen Stars: 0.25, Adjust Star Halos: -0.30, Automatic PSF: on, Sharpen Nonsteller: 1.00
としました。


3. ストレッチは迷うところ

最後に3のサチり気味(=飽和気味)の赤をどう扱うかです。ストレッチをいかにうまくするかと言う問題です。

既に赤は色が十分出ているので、ArcsinhStretchは色が濃くなりで使えませんでした。意外なのがMaskedStretchが本来マスクで、本来はきちんとサチるのを保護してくれるはずなのに、赤のサチりを強調してしまい使えなかったことです。結局ここでは、HistgramTransformationで恒星が飽和しない範囲で軽くストレッチして、ここでStarNet2で恒星と背景を分離し、その後背景のみ必要なところまで強調しました。その後、私の場合はPhotoshopに引き渡して最終調整します。


仕上げ

最後のPhotoshopは個人の好みによるところも大きいでしょう。今回は赤の淡いところを残します。OIIIの青を少し持ち上げて色調を少しでも豊かに見せるのは、いつもの手段です。赤ももう少しいじって、強弱をつけたりします。それでも色相(RGBをそれぞれどれだけストレッチするかと、各色のブラックポイント)自体はSPCCで決めたので、それ以上は触っていません。

結果です。
Image24_ABE1_SPCC_BXTSS025_HT2_s_cut

元がHαとOIIIの高々2色なので、前回のSAOと比べてもどうしても赤でのっぺりしてしまうのは避けられません。実はAOOにする前に、なんとかSIIを使えないか、いろいろ比率を変えて試しました。複雑な比率にして、そこそこよさそうな候補はいくつかあったのですが、結局AOOのシンプルさを崩すほどいい配色は見つからず、結局今回はSIIは使わずじまいです。いつかHαとOIIIとSIIまで使った擬似RGB配色で自然に見える組み合わせが見つかるといいですが、少なくともAOOを凌駕するものでないとダメだと思うので、そんなに簡単ではないと思います。

今回のHαを余すことなく引き出すAOOですが、懸念事項の一つは画面全体が赤に寄ってしまう印象を受けることです。でも赤にのみ構造がある限り、そこを出そうとすると赤を底上げする以外に今の所いい方法を思いつきません。アメペリも同じように処理をしていて、こちらも背景が赤いですが、それでも暗いところは存在していて、それ以上明るいHαが全面近くに渡り散らばっています。

今回、やっとこのAOO手法を言語化して記事にしたことになります。他に、全体をもう少しニュートラルに寄せて、Hαにふくまれる淡い構造もきちんと強調できる方法を探していきたいと思います。


まとめ

前回の記事で年末の挨拶をしてしまったのですが、今回の記事が本当の2023年最後の記事になります。 年が明けてからのんびりまとめようと思ったのですが、大晦日に少し時間があったので、まとめてしまいました。

クワガタ星雲をとおしてSAOとAOOの議論を少ししたことになります。でもまだ十分かというとそうでもなく、SAOの色がまだハッブルパレットと違う気もしますし、AOOは全画面真っ赤問題をなんとかしたいです。所詮人工的な色付けになるので、多少色相とかいじってもいい気もするのですが、今のところはまだ躊躇しています。理由は再現性がなさそうなところです。複雑になりすぎないというのも重要かと思います。何かいい方法はないのか?今後も探していくことになるでしょう。またいい方法があったら記事にします。


日記

最近はブログ記事を休日のガストのモーニングで書くことが多いです。以前はコメダのモーニングのみでしたが、最近はガストと半々か、ガストの方が多いくらいです。ガストのドリンクバーが飲み放題でいいのと、最近はマヨコーンピザが安くて美味しいからです。多分田舎のガストなので、朝はガラ空きで、混んでくるランチタイムくらいまでは長居も可能なので、とても居心地がいいです。同じようにPCを広げている常連さんも何人かいます。この記事も最後の仕上げを大晦日にガストで書いています。

これから実家の名古屋に向かいます。元旦は実家で、おせちをつまみながらのんびり過ごす予定です。残念ながら新年2日の北陸スタバ密会は中止になってしまいました。時間が少しできるので、またノイズ計算の方を進めたいと思っています。


2023年に撮影した天体写真のまとめです。2022年のまとめはこちらにあります。

2023-12-30 - miyakawa


SCA260

「M106」
Image249_a_conv5x3_bconv5x3_Lab_CTx3_SCNR_HT_SCNR_BXT_bg4_cut
  • 撮影日: 2023年3月19日20時48分-20日4時9分、20日19時25分-23時19分、28日19時51分-29日4時38分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGBHα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L:80枚、R:10枚、G:10枚、B:14枚、Hα:44枚の計158枚で総露光時間13時間10分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L:0.001秒、128枚、RGB:0.01秒、128枚、Hα:20秒、17枚(dark flatは32枚)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「M27: 亜鈴状星雲」
masterLight_BIN_2_300_AOO_SPCC_BXT_DBE_MS_MS_BG2_cut_X3
  • 撮影日: 2023年10月12日20時59分-22時52分、10月17日20時34分-23時29分、10月18日18時18分-22時35分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260 (f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα, OIII
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、Hα:44枚、OIII:44枚の計88枚で総露光時間7時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、42枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα, OIII:10秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「M101での超新星爆発」
masterLight_BIN_1_8288x5644_300_00s_L_integration_ABE1_DBEcrop2
  • 撮影日: 2023年5月17日22時21分-5月18日3時8分(JST)、5月17日13時21分-18時13分(UTC)、2023年5月24日21時58分-23時1分(JST)、5月24日12時58分-14時1分(UTC)
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: 無し
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (0℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120で露光時間5分x47=235分 =3時間55分(爆発前)、5分x10=50分(爆発後)
  • Dark: 0度、Gain 120で、露光時間5分x44枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240で露光時間 0.01秒x128
  • 画像処理: PixInsight


ε130D

「北アメリカ星雲とペリカン星雲」
Image14_SXT_for_O_AOO_SPCC_ABE1_BXT_NXT_ABE4_MS3_s_cut
  • 撮影日: 2023年5月3日1時22分-2時9分、5月3日23時44分-5月4日3時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間5分、Hα: 30枚、OIII: 22枚の計28枚で総露光時間4時間50分
  • Dark: Gain 240、露光時間5分、温度-10℃、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain240、露光時間 Hα: 0.2秒、64枚、OIII: 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


 NGC6960, 6979, 6992, 6995: 網状星雲
AOO_crop_SPCC_BXT_HT_HT_NXT_bg_more_s
  • 撮影日: 2023年5月16日2時14分-3時32分、5月17日2時1分-2時42分、5月17日0時12分-1時49分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 21枚、OIII: 19枚の計40枚で総露光時間3時間20分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、118枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、64枚、OIII: 0.2秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「おとめ座銀河団」
final_50

「マルカリアンの鎖」
Markarian_large

「M99とNGC 4298、4302」
M99

「M88とM91
M88_M91
  • 撮影日: 2023年5月15日21時1分-16日0時7分、5月16日21時2分-23時23分、5月17日21時0分-23時6分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO LRGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、露光時間5分、L: 55枚、R: 11枚、G: 8枚、B: 11枚の計85枚で総露光時間7時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、37枚
  • Flat, Gain100、L: 0.01秒、128枚、RGB: 0.01秒、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、0.01秒、256枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「Sh2-240: スパゲティ星雲」
Image22_DBE_SPCC_back_BXT_HT1_HT2_NXT_SCNRG6_cut
  • 撮影日: 2023年11月21日0時8分-5時23分、11月21日22時48分-22日2時25分、11月22日22時14分-23日3時14分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 48枚、OIII: 70枚、R: 9枚、G: 9枚、B: 9枚、の計145枚で総露光時間12時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「Sh2-157: クワガタ星雲」
Image13_rot_cut

「バブル星雲」
Image13_bubble_cut_small
  • 撮影日: 2023年11月21日19時5分-21時22分、11月22日18時27分-22時5分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm、SII6.5nm、
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 28枚、OIII: 24枚、SII: 23枚の計75枚で総露光時間6時間15分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 1秒、OIII: 1秒、SII: 1秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


再処理

「NGC6888: 三日月星雲」
Image11_SPCC_BXT_HT_HT_CT_SCNR_NXT_maskB_CT_CT_CT_ok2
  • 撮影日: 2022年5月25日1時8分-2時59分、26日0時33分-2時56分、30日0時37分-3時0分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間10分、Hα: 12枚、OIII: 13枚、SII: 13枚の計38枚で総露光時間6時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間10分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「IC4592: 青い馬星雲」
masterLight_180_00s_RGB_integration_ABE_SPCC_ABE3_cut
  • 撮影日: 2022年5月6日0時10分-2時57分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI2400MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: SharpCap、Gain 150、露光時間3分x55枚で総露光時間2時間45分
  • Dark: Gain 150、露光時間3分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 150、露光時間 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「NGC2359: トールの兜星雲」
Image07_ABE1_DBE_SPCC_BXTbad_NXT_stretch2_cut
  • 撮影日: 2022年1月22日22時2分-23日2時5分、1月27日18時57分-21時00分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα:7nm、OIII:7nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: オフアクシスガイダー + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα27枚、OIII36枚の計63枚で総露光時間3時間9分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間0.2秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

「M51:子持ち銀河」
masterLight_ABE_crop_BXT_BXT_Lab_conv5_Lab_CT_bg2_cut_tw
  • 撮影日: RGB: 2022年4月2日20時32分-4月3日3時50分、LとHa: 2023年3月29日20時17分-3月30日4時34分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB、Hα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240で露光時間10分がR: 7枚、G: 7枚、B: 10枚、Gain 240で露光時間5分がL: 47枚、Hα: 21枚の計27枚で総露光時間240+340 =580分 =9時間40分
  • Dark: Gain 240で露光時間10分が64枚、Gain 240で露光時間5分が128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240で露光時間 RGB: 0.03秒、L: 0.01秒、Hα: 0.2秒、 RGBがそれぞれ64枚、LとHαがそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


まとめと反省

今年は枚数がそれほど多くなく、再処理も合わせて12枚でした。撮影だけして未処理のものもまだ4枚ほどあるので、実際にはもう少し多いですが、処理に時間がより長くかかったりしていたり、忙しく処理せずに放っておいたらそのままというのもあるので、その意味でも少し反省しています。

これまで撮ったことのない新規天体が「M106」と「クワガタ星雲」2つ、今継続撮影中でまだ未処理の「ダイオウイカ星雲」と「ドルフィン星雲」を入れても4つです。クワガタ星雲ついでの「バブル星雲」を入れても5つです。やはり少ないですね。

過去に撮ったことのある天体のリベンジは「M27亜鈴状星雲」「北アメリカ、ペリカン星雲」「網状星雲」「おとめ座銀河団」「スパゲティ星雲」の5つです。だんだん新規天体より既存天体の取り直しの割合が増えています。もしかしたらこれはダメな方向かもしれません。でもどれも再撮影の甲斐は十分にあって、あからさまに進化しているのがほとんどなので、それはそれで満足です。

「M101」は超新星爆発があったので楽しめましたが、もともとLだけ撮って既存のRGBと合わせての再処理のつもりだったので、もし何も起こらなかったらお蔵入りだったかもしれません。同様の再処理が「M51子持ち銀河」で、こちらも元々RGBのみの撮影で、さらにL画像だけ新たに撮ってLRGB合成しています。

画像処理側での再処理が「三日月星雲」「青い馬星雲」「トールの兜星雲」の3つです。主にBXTでの改善です。三日月とトールの兜は見た目にもあからさまに解像度が増しました。青い馬は収差の改善なので、拡大しないと分かりませんが、BXTの収差補正の可能性を示すことができました。BXTは最近バージョン2のAIバージョン4というアップデートがあり、さらに格段に進化しているので、再々処理をしてもいいのかもしれません。もしくは、BXT1では補正しきれなかったもっと過去の画像を再処理しても、さらに格段に改善されるかもしれません。2023年はBXTで始まり、さらに年末もBXT2で盛り上がったと言えるでしょう。

枚数はそれほど多くはありませんでしたが、それでも十分に楽しめた天体撮影でした。その一方、太陽や月はあまり盛り上がりませんでした。太陽は休日と晴れの日が中々合わないのと、粒状斑が今のところうまく出ていなくて動機がだだ下がり気味です。月も2022年末に皆既月食があり盛り上がりすぎたので、その反動か2023年はほぼ活動ゼロです。

そもそも今年は晴れの日が少なかったのですが、新鏡筒のε130Dはちょうど今かなり楽しめています。とにかく最初から分解能がものすごくて、出だしこそ星像流れでのんびりでしたが、バックフォーカスがきちんとあってからは、今現在も撮影していることを含めてかなりの稼働率です。その分、重いSCA260の稼働率が減ってきていますが、実は焦点距離430mmのε130D+フルサイズくらいの広角の対象はそれほど多いわけではないので、いずれまた1300mmのSCA260+フォーサーズに帰っていくでしょう。

ε130DとSCA260の比較で、取り付けてあるカメラも考えると、画角が一辺で6倍くらい面積だと36倍くらい違うので、その中間くらいがあるといいなと思い始めています。しかも自宅でスカイノイズが大きいので、効率のいいできるだけ明るい鏡筒がいいです。今ある手持ちだと焦点距離800mmでF4のBKP200とかでしょうか。これにあまり大きくない、例えば今と同じASI294MMとか取り付けるか、いっそのこと使っていないカラー冷却のASI294MC Proでもいいかもしれません。コマコレクターは持っているのですが、ε130DやSCA260に比べるとそれでも多少星像は伸びるので、BXT2が前提になると思います。

こんなふうに、来年もまた夢が広がりそうです。

いつも長いブログ記事を読んでいただいてありがとうございます。ネットでの付き合いの方、直接お会いした方、この一年たくさんの方々と関わることができました。一年間本当にお世話になりました。

2024年も、良い年でありますように。また今後とも、よろしくお願いいたします。


BlurXTerminator version 2.0 and AI version 4がリリースされました。



以下BXT2とかAI4とか呼ぶことにします。以前のものはBXT1とか単にBXTでしょうか。BXTというのはバージョンに限らずBlurXTerminatorの略語の場合もあるので、ここでは文脈によって使い分けたいと思います。


Correct only

まず、恒星についてはこれまでのBXT1に比べて明らかに大きな改善です。以前もこの恒星の収差を改善するCorrect onlyがかなりすごいと思って評価しましたが、その当時は星雲の細かい模様出しが第一の話題の中心で、恒星を小さくすることが次くらいの話題でした。収差などを直すCorrect onlyはあまり話題になっていなかったのが残念でした。でも今回はむしろ、この収差補正の方が話題の中心になっていて、しかもその精度が格段に上がっているようなので、より精度の高いツールとして使うことができそうです。

今回のBXT2で修正できるものは:
  • First- and second-order coma and astigmatism: 1次と2次のコマと非点収差
  • Trefoil (common with pinched optics and in image corners with some camera lenses): トレフォイル(矢状収差?) (歪んだ光学系や、いくつかのカメラレンズで出る画面四隅において一般的)
  • Defocus (poor focus and/or field curvature): デフォーカス:  (焦点ズレや、もしくは像面歪曲)
  • Longitudinal and lateral chromatic aberration: (縦方向、横方向の色収差)
  • Motion blur (guiding errors): 動きのブレ(ガイドエラー)
  • Seeing/scatter variation per color channel: 各色ごとのシーイング/散乱の違い
  • Drizzle upsampling artifacts (2x only): ドリズルのアップサンプリング時の偽模様(2倍時のみ)
とのことです。

ちなみに、BXT1の時に修正できたのは以下のようなものなので、BXT2では圧倒的に進化しています。
  • limited amounts of motion blur (guiding errors): ある一定量までの動きのブレ(ガイドエラー)
  • astigmatism: 非点収差
  • primary and secondary coma: 1、2次のコマ収差
  • unequal FWHM in color channels: 各色のFWHM (星像の大きさ) の違い
  • slight chromatic aberration: 多少の色収差
  • asymmetric star halos: 非対称なハロ

なので、まずは星雲部分を補正する前に、一度Correct Olnyをチェックして収差などによって歪んで写った恒星がどれだけ改善されるのかを、十分に味わうべきでしょう!星雲部の模様出しとかは他のツールでも似たようなことはできますが、上に挙げたような収差補正をここまでやってくれるツールはBXTだけです。画面全体を見ている限りは一見このありがたさに気づかないかもしれませんが、拡大すればするほど、こんなに違うのか!というのを実感することと思います。

では実際に比較してみましょう。全て前回のクワガタ星雲の処理途中のリニアな段階での比較です。

1. オリジナル画像
まずはオリジナルの画像です。
Image13_mosaic_original
ε130Dは、スポットダイアグラムを見る限り非常に優秀な光学系です。同系列のε160EDやTOA-130N+TOA-645フラットナーといったスーパーな鏡筒には流石に負けますが、FSQ-130EDとコンパラくらいでしょうか。反射型なので光軸調整さえ安定してできれば、間違いなく最強の部類の鏡筒と言えると思います。上の画像は四隅でもかなり星像は小さくなっていますが、まだ少し流れが残っています。

2. BXT1相当 (BXT AI2)
ここにまずは、BXT1相当の、BXT2に従来のAI Ver.2を適用します。ここではCorrect onlyでの比較です。
Image13_mosaic01_BXT

四隅の星の流れは明らかに改善されていることがわかりますが、星の大きさなどは大きく変わることがなく、これだけ見てもε130Dの光学性能の優秀さが伺えるかと思います。

3. BXT2 AI4
では上の画像で十分で、高性能鏡筒に今回のAI4をかけても意味がないかというと、そんなことはありません。BXT1では微恒星を救いきれていない場合が多々ありました。このページの「もう少しL画像を評価」の2のところ以降に、

「BXTはかなり暗い最微恒星については恒星と認識するのは困難で、deconvolutionも適用できないようです。そうすると逆転現象が起きてしまうことも考えられ、より暗い星の方がそれより明るい星よりも(暗いけれど)大きくなってしまうなどの弊害も考えられます。」

と当時書いていました。そして暫定的な結論として

「この逆転現象とかはかなり拡大してみないとわからないこと、収差の補正や星雲部の分解能出しや明るい恒星のシャープ化など、現段階ではBXTを使う方のメリットがかなり大きいことから、今のところは私はこの問題を許容してBXTを使う方向で進めたいと思います。シンチレーションの良い日を選ぶなどでもっとシャープに撮影できるならこの問題は緩和されるはずであること、将来はこういった問題もソフト的に解決される可能性があることなども含んでの判断です。」 

と書いていますが、今回は実際にソフト的に改善されたと考えて良さそうです。

実際に見てみましょう。BXT2 AI4を適用したものです。
Image13_mosaic02_BXT2_4
一見BXT1との違いがわからないと思うかもしれませんが、少しぼやけて写っているような最微恒星に注目してみてください。BXT1では取りこぼしてぼやけたままに写っているものがBXT2ではきちんと取りこぼされずに星像が改善されています。

このことはリリース次のアナウンスの「Direct linear image processing」に詳しく書いてあります。

One of the most significant “under the hood” features of AI4 is that it processes linear images directly. Earlier versions performed an intermediate stretch prior to neural network processing, then precisely reversed this stretch afterwards to restore the image to a linear state. This was done because neural networks tend to perform best when their input values lie within a well-controlled statistical distribution.

While this worked well for most images, it introduced distortions that compromised performance. Flux was not well conserved, particularly for faint stars, and the network could not handle certain very high dynamic range objects (e.g., M42, Cat Eye nebula). These compromises have been eliminated with AI4, resulting in much more accurate flux conservation and extreme dynamic range handling.

要約すると、

BXT2では直にリニアデータを処理することができるようになった。BXT1ではニューラルネットワークの処理過程の制限から、一旦ストレッチした上で処理し、その後リニアデータに戻していた。そのため恒星の光量が変わってしまったり、特に淡い恒星では広いダイナミックレンジを扱うことが難しかった。BXT2ではこのような妥協を排除し、その結果より正確に光量を保つことができ、大きなダイナミックレンジを扱うことができるようになった。

というようなことが書かれています。これは大きな進化で、実際に自分の画像でも微恒星に関しては違いが確認できたことになります。


Nonsteller

Niwaさんが恒星の締まり具合から判断して、PSFを測定してその値を入れた方がいいという動画を配信していました。その後訂正され、PSFの設定はオートでいいとなりましたが、一方、私はこのPSFの設定は星雲部分の解像度をどれだけ出すかの自由度くらいにしか思っていないので、測定なんていう手間のかかることをしたことがなかったです。

BXTのパネルは上が「Steller Adjustments」となっていて、「Sharpen Stars」とか「Adjust Star Halos」とかあるので、こちらは恒星のためのパラメータで、恒星の評価はこちらを変えて判断すべきかと思います。とすると真ん中の「Nonsteller Adjustments」は恒星でない星雲部などのパラメータで、星雲部を見て判断すべきかと思われます。このPSFが星雲部にどう働くかはユーザーにとっては結構なブラックボックスですが、必ずしも測定値を入れなくても、星雲部の出具合を見て好きな値を入れればいいのかと思っていました(BXT2ではここが大きく変わっています)。

というわけで、いくつかのパラメータを入れてどう変わるかを見てみましたが、これまた興味深い結果になりました。

1. まずはオリジナルのBXTをかける前の画像です。こちらも前回のクワガタ星雲の画像の中のバブル星雲部分拡大していて、リニア処理時の画像になります。まだ、バブル星雲もかなりボケてますね。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR1_Preview01

2. 次は右下のリセットボタンを押して、すべてデフォルトの状態でどうなるかです。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR_BXTdefault_Preview01
恒星は上で書いた収差補正などが入り、さらに星を小さくする効果(0.5)で実際に星が小さくなっているのがわかります。そして確かに星雲部の分解能が上がっているのがわかります。今回の画像は全てBin2で撮影しDrizzle x2をかけてあることに注意で、これにBXTをかけたことになるので、相当な解像度になっています。

3. さてここで、PSFの効果を見てみます。パラメータはSharpen Stars: 0.70, Adjust Star Halos: 0.00, Sharpen Nonsteller: 1.00で、PSF Diameterだけ変えてみます。極端な場合のみ比べます。まずはPSFが最小の0の場合です。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR_BXTSS07PD0_Preview01

次にPSFが最大の8の場合です。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR_BXTSS07PD8_Preview01

あれ?恒星は確かに少し変わっていますが、星雲部が全く同じに見えます。このことは、PSFを1から7まで変えて比較しても確認しました。


4. BXT1時代にはPSFを変えたら星雲部が大きく変わっていたはずです。念のためAI2にして確認しました。

PSFが4.0の場合。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR_BXTSS05PD4_Preview01

PSFが8.0の場合です。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR_BXTSS05PD8_Preview01

他のパラメータは全て同じなので、やっぱり明らかにPSF Diameterだけで星雲部が大きく変わっています。

5. ここで、再びAI4に戻りもうひとつのパラメータ「Sharpen Nonsteller」をいじってみました。1.0からから0.5に変えています。
Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR_BXTSS07PD8N05_Preview01
これまでのSharpen Nonstellerが1.0の時と比べて、明らかに星雲部の分解能は出にくくなっています。

今回のリリースノートでは星雲部の記述がほとんどありません。ということはPSFに関しては大きな仕様変更?それともバグ?なのでしょうか。ちょっと不思議な振る舞いです。でもBXT1の時のように星雲部の解像度を出すパラメータがPSF DiameterとSharpen Nonstellerの2つあるのもおかしな気もするので、BXT2の方がまともな設計の気もします。いずれにせよ、今回のAI4ではすでに星雲部に関しては最初から最大限で分解能を出してしまっていて、これ以上の分解能は出せないようです。BXT1の時には星雲部の解像度出しが大きく扱われていたので、これを期待して購入すると、もしかしたら期待はずれになってしまうかもしれません。

でもちょっと待った、もう少しリリースノートを読んでみると、BXTの2度掛けについての記述が最後の方にあることに気づきます。

The “Correct First” convenience option is disabled for AI4 due to the new way it processes image data. It is also generally no longer necessary. If desired, the same effect can still be accomplished by applying BlurXTerminator twice: once in the Correct Only mode, and then again with the desired sharpening settings. The same is true for the “nonstellar then stellar” option: it is generally not needed anymore with AI4, but can be accomplished manually if desired.

Correct Firstとnonstellar then stellarはAI4では使えなくしたとのことで、その代わりに一度Correct Onlyをかけて、その後にCorrect Onlyを外して好きな効果をかければいいとのことです。

実際に試してみましたが、いくつか注意点が必要そうです。下の画像は、上で使ったオリジナルの画像から
  1. Correct Only
  2. Sharpen Stars: 0.70, Adjust Star Halos: 0.00, Automatic PSF: on, Sharpen Nonsteller: 1.00
  3. Sharpen Stars: 0.00, Adjust Star Halos: 0.00, Automatic PSF: on, Sharpen Nonsteller: 1.00
  4. Sharpen Stars: 0.00, Adjust Star Halos: 0.00, Automatic PSF: on, Sharpen Nonsteller: 1.00
4回かけています

Image13_ABE1_RGB_ABE4_SPCC_SCNR1_BXTCO_SS07auto_SS0auto_SS0auto

まず、星雲部の解像度出しを後ろ3回でかけていることになりますが、その効果は回数分きちんと出ていて、複数掛けで効果を増すことができるのがわかります。その一方、Sharpen Starsは2回目のみにかけ、それ以降はかけていません。これは繰り返しかけると恒星がどんどん小さくなっていき、すぐに破綻するからです。3回目のみにかけるとか、4回目のみにかける、もしくは小さい値で複数回かけてもいいかと思いますが、恒星が破綻しないように注意してチェックする必要があると思います。

最も重要なのが、PSFの設定です。BXT1時代にはここをマニュアルで数値を入れてやることで、星雲部の解像度が調整できましたが、ここまでの検証でBXT2ではその効果は無くなってしまっています。しかも、ここで試しているようなBXT2の複数回掛けで固定PSFにすると、小さくなっていく恒星に対して間違った値のPSFが適用されてしまい明らかに恒星が破綻していくので、Automatic PSFを必ずオンにしておく必要がありそうです。

というわけで、ここまでの検証でまとめておくと、
  • BXT2は星雲部の解像度出しの効果が弱いので、複数回がけで効果を強くすることができる。
  • 複数掛けは作者がOKを出している。
  • Sharpen Stars(と、今回は検証してませんが多分Adjust Star Halosも)は無理をしない。
  • PSFはオートにしておいた方が楽で変なことが起きないのでいい。
と言うことがわかりました。PSFはNiwaさんの言うようにBXT2をかけるたびに毎回きちんと測定してからその値を入れるのでもいいかもしれませんが、私の方では今回は検証していません。


BXTの中身について推測

BXTですが、まだまだブラックボックスなところはたくさんあります。ここからはあくまで個人的にですが、どんなことが行われているのか色々推測してみようと思います。

最初に、AIと言っていますがどこに使っているのか?です。自分だったらここに使うとだろうという意味も込めて推測しています。

まずは「恒星とその他の天体の区別」にAIを使っているのではないかと思います。これはStarXterminatorで既に実装されているのでおそらく確実でしょう。画像の中にはものすごい数の星があります。全てまともな形をしていればいいのですが、収差などで崩れた形の(元)恒星もきちんと恒星と認識しなければいけません。ここはAIの得意とする分野だと思います。でも、恒星の認識率も100%にするのはかなり難しいと思います。リリースノートで示されているような種類の収差を膨大な画像から学習しているものと思われ、逆にそうでないものは恒星でないと判断すると思います。ハッブルの画像などから学習したと書いていますが、ハッブルの画像は逆に収差は比較的小さいと思いますので、これと収差があるアマチュアクラスの画像を比べたりしたのでしょうか。それでも現段階でのAIなので、学習も判別も当然完璧では中々ないはずなのですが、例えば銀河などはかなりの精度で見分けているのかと思います。

個別に恒星が認識できたら、恒星にのみdeconvoutionを適用することが可能になるはずです。上での検討のように、BXT1では超微恒星は星像改善がなかったものが、BXT2では無事に恒星として認識できて星像改善されているので、このことは認識できた恒星にのみdeconvoutionを適用していることを示唆しているのかと思います。従来のdeconvolutionは効果を画面全体に一度に適用せざるを得ないので、恒星部と星雲部に同様にかかってしまいます。恒星が星雲を含む背景から分離でき、そこにのみdeconvolutionをかけられるなら、個別に効果を調整できるので、従来に比べてかなり有利になるでしょう。

ただし、恒星が小さくなった後に残る空白の部分は、従来のdeconvolutionでは黒いリング状になりがちなのですが、BXTはかなりうまく処理しているようです。説明を読んでも「リンギングなしでうまく持ち上げる」くらいしか書いていないのでわからないのですが、ここでもAIを使っているのかもしれません。例えば、簡単には周りの模様に合わせるとかですが、もう少し考えて、恒星の周りの中心よりは暗くなっているところの「背景天体の形による輝度差」をうまく使うとかも考えられます。輝度を周りに合わせるようにオフセット値を除いてやり、模様を出しやすくしてから、それを恒星が小さくなったところの背景にするなどです。S/Nは当然不利なのですが、そこをAIをつかってうまくノイズ処理するとかです。本当にこんな処理がされているかどうかは別にして、アイデアはいろいろ出てくるのかと思います。

あとBXTの優れているところが、画像を分割して処理しているところでしょう。512x512ピクセルを1つのタイルと処理しているとのことで、その1タイルごとにPSFを決めているとのことです。収差処理もおそらく1タイルごとにしているのでしょう。現在のAI処理はそれほど大きなピクセル数の画像を扱っていないので、どうしても一回の処理のための画像の大きさに制限が出るはずです。でもこのことは画像の各部分の個々の収差を、それぞれ別々のパラメータで扱うことにつながります。四隅の全然別の収差がどれも改善され、恒星が真円になっていくのは、見事というしかありません。これをマニュアルでやろうとしたら、もしくは何かスクリプトを書いて個々のタイルにdeconvolutionをかけようとしたら、それこそものすごい手間になります。画面全体に同じ処理をする従来のdeconvolutionなどとは、原理が同じだけで、もう全く違う処理といってもいいかもしれません。


微恒星の補正について

もう一つ、極々小さい微恒星がさらにdeconvolutionされたらどうなるか考えてみましょう。

もともと時間で変動する1次元の波形の周波数解析によく用いられるFFTでは、サンプリング周波数の半分の周波数以下でしか解析できません。この半分の周波数をナイキスト周波数と言います。要するに2サンプル以上ないと波として認識できず、周波数が決まらないということです。ではこの2サンプルのみに存在するインパルス的な波を、無理矢理時間軸で縮めるような処理をしてみたらどうなるでしょうか?元々あった2サンプルで表現されていた波が2サンプル以下で表現され、より高周波成分が存在するようになります。

これと同じことを2次元の画像で考えます。上のFFTの時間が、画像のドットに置き換わり、縦と横で2次元になったと考えます。周波数と言っているのは画面の細かさになり、「空間周波数」という言葉に置き換わります。細かい模様ほど空間周波数が高く、荒い模様ほど空間周波数が低いと言ったりします。

1ドットのみの恒星は、本当に恒星なのか単なるノイズなのか区別のしようがありません。少なくとも各辺2ドット、すなわち4ドットあって初めて広がりのある恒星だと認識できます。この各辺2ドットがナイキスト周波数に相当します。超微恒星に対するdeconvolution処理はこの4ドットで表されている恒星を、4ドット以下で表現しようとすることになります。その結果、この画像はナイキスト周波数以上の高周波成分を含むことになります。

deconvotionはもともと点像であった恒星と、その点像が光学機器によって広がりを持った場合の差を測定し、その広がりを戻すような処理です。その広がり方がPSFという関数で表されます。広がりは理想的には口径で決まるような回折限界で表されますが、現実的にはさら収差などの影響があり広がります。BXTはあくまでdeconvolutionと言っているので、ここに変なAIでの処理はしていないのかもしれませんし、もしくはAIを利用したdeconvolution「相当」なのかもしれません。

BXT1からBXT2へのバージョンアップで、処理できる収差の種類が増えていて明確に何ができるのか言っているのは注目すべきことかと思います。単なるdeconvolutionなら、どの収差を補正できるのか明確には言えないはずです。でもAIで収差の補正の学習の際、どの収差か区別して学習したとしたら、deconvolution相当でどのような収差に対応したかが言えるのかと思います。そういった意味では、やはりBXTのdeconvolutionは後者の「相当」で、AIで置き換えられたものかと思った方が自然かもしれません。


BXTの利用目的

ここまで書いたことは多分に私自身の推測も入っているので、全く間違っているかもしれません。BXTの中身の実際はユーザーには全部はわからないでしょう。でも中身はどうあれ、実際の効果はもう革命的と言っていいほどのものです。

個人的には「個々のタイルでバラバラな収差をそれぞれのPSFで補正をして、画像の全面に渡って同等な真円に近い星像を結果として出しているところ」が、マニュアルでは絶対にやれそうもないところなのでイチオシです。もちろん今のBXTでは完璧な処理は難しいと思いますが、現在でも相当の精度で処理されていて、BXT1からBXT2のように、今後もさらなる進化で精度が上がることも期待できそうです。

では、このBXTが完璧ではないからと言って、科学的な目的では使えないというような批判は野暮というものでしょう。そもそもBXTは科学的に使うことは目的とはしていないはずです。

それでもBXTを科学的な側面で絶対使えないかというと、使い方次第だと思います。例えば、新星を探すという目的で、BXTでより分解能を増した上で何か見つかったとしましょう。それが本物かフェイクかの「判断」は他のツールも使うなどして今の段階では「人間が」すべきでしょう。判断した上で、偽物ということもあるでしょうし、もし本物だったとしたら、例え判断はBXTだけでできなかったとしても、そのきっかけにBXTが使われたいうことだけで、BXTの相当大きな科学的な貢献になるかと思います。

要するに「ツールをどう使うか」ということだと思います。今の天文研究でもAIが盛んに使われようとしていますが、主流は人間がやるにはあまりに手間がかかる大量のデータを大まかに振り分けるのを得意としているようです。ある程度振り分けたら、最終的な判断はAIに任せるようなことはせず、やはり人の目を入れているのが現実なのかと思います。AIは完璧ではないことはよくわかっているのだと思います。


まとめ

BXTはどんどんすごいことになっていますね。今後はBXT以外にもさらに優れたツールも出てくるでしょう。将来が楽しみでなりません。

何年か前にDenoise AIが出た時も否定する意見はありましたし、今回のBXT2も推測含みで否定するケースも少なからずあったようです。デジカメが出た時も否定した人が当時一定数いたことも聞いていますし、おそらく惑星撮影でWavelet変換を利用した時も同じように否定した人はいたのかと思います。新しいものが出た時の人の反応としてはごく自然なのかもしれませんが、私は個人的にはこのような新しいツールは大歓迎です。新しいものが出たときに否定だけするような人から、新しい革新的なツール作られるようなことなどほぼあり得ないでしょう。新しいツールはその時点では未熟でも、将来に発展する可能性が大きく、その可能性にかけるのが正しい方向かなと思っています。

実際私も、電視観望をしていて頭ごなしに否定されたことが何度がありました。でも今では電視観望は、眼視と撮影の間の手法として確立してきているはずです。当時否定された方達に、改めて今電視観望についてどう思っているのかお聞きしてみたかったりします(笑)。

BXT素晴らしいです!!!

今回はクワガタ星雲のナローバンド撮影です。私自身ナローバンドはまだよくわからないことが多くて、これまでも結構迷走していました。今回ハッブルパレットについて考えてみて、やっと納得できてきました。


撮影

11月20日からの晴れの日の数日間、自宅の庭でε130Dを使って撮影しています。午前0時くらいを境に一晩に前半、後半で2対象、同じものを何日か続けての撮影です。この前のスパゲティ星雲も、今回の記事のクワガタ星雲もその内の一つです。他にもダイオウイカさんや、イルカさんなどが未処理で残ってますが、ダイオウイカさんは露光時間が全然時間が足りていなくて、イルカさんはOIIIはいいのですがHαが強風で全滅だったのでさらに撮り直しです。



平日なので撮影を開始したらあとは寝てしまいます。NINAの自動導入とプレートソルブで放っておいても勝手に対象に向けてくれますし、EAFでピント合わせもしてくれます。天気さえ良ければ、しかもナローなら月夜でも撮影できます。

今回のクワガタさんはスパゲティ星雲が上がってくるまでの前半の、全て月が出ている時間帯での撮影です。そのためナローバンド撮影としましたが、実際どこまで写るのでしょうか?

クワガタ星雲はSh2-157という番号がついています。HαがメインなのでAOO撮影で処理されている場合が多いようですが、SAOでのハッブルパレットで撮影されることも多いようです。今回はせっかくなので象の鼻星雲以来のSIIも撮影しました。今回の結果を見る限りナローバンドなら、月などでかなり明るい状況でも十分炙り出せるようです。




ハッブルパレットの理由

俗にハッブルパレットと呼ばれる画像を見てみると、オレンジと濃い青に寄っているものが主流に見えます。ハッブル望遠鏡オリジナルの創造の柱の場合はまだ緑が残っていますが、JWST(James Webb Space Telescope)の画像になると、さらにオレンジ青ベースが顕著になり、緑が消えていく方向のようです。

この手の色を出すには、これまでの経験上SAO(SIIをred、Hαをgreen、OIIIをblue)で1:1:1で合成をして、PixInsightのSCNRでGreenを1.0で抜いてやると、かなり近い色になります。このことを少し考えてみます。 

まず、 SII、Hα、OIIIの中で一番明るいのはHαです。これを最終的に一番出ていないgreenに持っていくのは一見無駄なように思えますが、SCNRの働きを考えると理にかなっているようです。SCNRは「緑の天体というものが実在しないために、画像から緑を除去する」というような説明をされることが多いようです。

そこで、SCNRの定義を探したのですが、いまいち見つかりません。プロテクションの定義はすぐに見つかるのですが、 これはGをどう置き換えるかについてのみの記述で、RとBをどう置き換えているかの記述がどこにも見当たりません。SCNR変換後のRとBを見てみると、両方とも明らかに変換前よりも明るくなっているので、元のG成分がRとBに行っているのは確実です。SCNRは、もう少し正確には余分なG成分をRとBに割り振ると考えた方がよさそうです。

SCNRでGを抜いた画像は以下のようになります。赤とか青にならずに白くなっている部分も多いので、Gを全く無くしているというよりは、RGBのバランスが取れるようにGをRとBに配分したと考えてよさそうです。
Image68_ABE_SCNR_ABE

試しに、PixelMathで
  • R: A*0.33+O*1
  • G: A*0.33
  • B: A*0.33+O*1
として変換してみた画像が以下になります。
Image71_ABE_PM_ABE

恒星の赤ハロがSCNRとPixelMathのなぜこんなに違うのか理由はわかりませんが、星雲自体の色の傾向は正しそうです。念の為StarNet2で背景だけ分離してみます。上がSCNR、下がPixelMathです。まだ少し赤系が違うところはありますが、大まかにはオレンジと青で傾向はあっていそうです。
Image68_ABE_SCNR_ABE_SN2

Image71_ABE_PM_ABE_SN2_CT_HT

途中、StarNet2が消えていたのに気づいたので再インストールしました。再インストール方法はこのページの中くらいを見てください。 PixInsightをアップデートした際か、BXT2をインストールした際に消えてしまったのかと思いますが、MacのM1ですが、今の所StarNet2の再インストールで、問題なくBXT2とAI2もAI4も共存できています。

ハッブルパレット、もしくはJWST画像の2極の色の「オレンジ」はRとGが混ざった「黄色」と「R」を混ぜたものと考えると、反対側の「濃い青」はBとGが混ざった「Cyan(明るい水色)」と「B」を混ぜたものと考えることができます。こう考えると、一番明るいHαをSAOとして最初Gに置いてやって、そのHαを余すことなくRにもBにも配分して、しかもカラーバランスが取れるようにGにも残すというやり方は、一番情報の多いHαを余すことなく使っているという点において、かなり理に適っているといえるのかと思います。ところで、Rを消すように最初HαをRに置くこともできますし、Bを消すように最初HαをBに置くこともできるはずです。ハッブルパレットが「Gを消す」方向としているのは、やはり緑の天体は基本存在しないということなのでしょうか。

あ、当然ですが本物のハッブル望遠鏡は我々アマチュアが使うフィルターとは全然別のフィルターを使っています。ですが、コンセプトとしてはそこまで間違っていない気はしますし、少なくとも我々アマチュア天文の範囲では上のように考えてハッブルパレットをまねるのは、持てるリソースを最大限利用するという観点からはそれほどおかしいことではないのかと思います。

さて、これまでずーっといまいち納得できなくて迷走してきた3波ナローバンド合成ですが、

今回の検証で自分的には色々納得ができてきたので、今後はSAOで合成して、SCNRで緑を抜くという方向で進め、撮影もどんどんしていきたいと思います。PixelMathの方は恒星の色がうまく出なかったので、ここからはSCNRの方を標準とします。


バブル星雲、でも小さい!

画像処理中に気づいたのですが、下の方の真ん中少し右のところに、なんとバブル星雲が入っているではありませんか!

ただし、さすがにε130Dの焦点距離430mmだとかなり小さいです。今回bin2で撮っていたので、解像度的には少し不利です。そのため、Drizzleのx2で処理し直して、そこにBXTをかけてみました。BXTは新しいAI4も検証したのですが、これは別記事で書きたいと思います。以前の検証で、Bin2でもDrizzleなどで解像度を増し、そこにBXTをかけることで、BXTのまだ残っている余地を引き出すようなことができることがわかっています。BXT2のAI4バージョンでの効果はまだわからないので、少し試してみました。

comp

左がdrizzle x1、右がdrizzle x2にそれぞれBXT2のAI4をかけたものになります。ただし、左のdrizzle x1は元画像が小さいので、Photoshopで同じ大きさにしたときに再サンプリングされていますので、意図せずして解像度が上がっています。それでもこの程度です。これだけ見てもdrizzle x2にBTX2でも解像度をさらに引き出しているように見えます。


画像処理と結果

画像処理ですが、ハッブルパレットの検証に時間がかかったこと以外は、それ以降特に困ることはありませんでした。淡いモクモクを引き出すためにABEなどを使ってのフラット化に気をつけて処理し、途中BXTを注意深くかけ細部を出します。今回は色を出すために ArcsinhStretchでストレッチして、あとは仕上げでPhotoshopにひきわたしてさらに彩度を上げていくだけです。結果は以下のようになりました。

「Sh2-157: クワガタ星雲」
Image13_rot_cut
  • 撮影日: 2023年11月21日19時5分-21時22分、11月22日18時27分-22時5分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm、SII6.5nm、
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 28枚、OIII: 24枚、SII: 23枚の計75枚で総露光時間6時間15分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 1秒、OIII: 1秒、SII: 1秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回もっとオレンジと濃い青になるかと思ったのですが、思ったより緑成分も残っていますし、オレンジもどちらかというと金色に近く、また濃い青もシアンに近い青になりました。これはSII成分やOIII成分が比較的強かったからなのでしょうか?色バランスはもう少し場数を踏む必要がありそうです。

淡い部分については、月明かりといえどさすがナローバンド撮影、かなり出ているかと思います。クワガタという名前ですが、牙が2本以上あるように見えてあまりクワガタっぽくならないところが残念です。星雲本体だけでなく、周りにもたくさんのHαが広がっていて、非常に面白い領域かと思います。

下部の真ん中より少し左に、マジェンタの小さな天体が見えています。最初これ何か失敗したのかと思ったのですが、どうも本当に存在している天体のようです。拡大してみると、マジェンタとシアン色に分かれているのですが、これはSIIとOIII画像にのみ存在していて、Hαでは何も見えていないことに起因するみたいです。でもなんの天体か調べても全然分かりませんでした。もしかしたら撮影ミスの可能性もまだあるのですが、どなたか同じ領域を撮影した方とかいらっしゃいますでしょうか?

NINAで自動導入した際にSh2-157で指定すると、左牙の根元の明るい部分が中心になるようです。そのため、画角として星雲本体が少し上に行き過ぎている印象を受けます。もう少し下に移動してもよかったかもしれません。drizzleで2倍の解像度になっていて分解能だけは十分にあるので、下の画像のようにクワガタ星雲本体が中心となるようにトリミングしてみました。「クワガタ星雲」とあらわにいう場合はこちらの方がいいのかもしれません。
Image13_trim1

ついでにいつものアノテーションです。他のシャープレス天体もたくさん写っていますね。Sh2-152,  153, 156, 158, 159, 162, 163くらいでしょうか。Sh2-157は確かに牙の根元の明るい部分を指すようなので、Sh2-157がクワガタ星雲というよりは、Sh2-157の周りにクワガタ星雲があると言った方がいいのでしょうか?英語だとLobster claw nebulaと言うそうですが、StellariumでもSh2-157がLobster claw nebulaそのものと出ています。
Image13_rot_cut_Annotated

うーん、この左下のマジェンタの天体、アノテーションでも出てきません。何なのでしょうか?ゴミとかと判明するまでは撮れたものなので残しておくことにします。

あと、上部真ん中より左のバブル星雲部分を切り出して、もう少し見えやすくなるように処理しました。
Image13_bubble_cut

まだ拡大できますが、下くらいが限界でしょうか。
Image13_bubble_cut_small

これがどれくらいの領域かというと、下の画像の緑枠で囲ってあるくらいの場所です。
Image13_trim_frame

こんな小さなエリアですが、今回はε130Dの分解能と、Drizzle x2、BXTが相まって、チートクラスの解像度になっています。焦点距離430mmでここまで出るのでびっくりです。でもこれもいつか長焦点で撮ってみたいので、リベンジ案件としておきたいと思います。


まとめ

久しぶりのSAO合成でしたが、やっとハッブルパレットも納得できてきたこともあり、ちょっとおもしろくなってきました。でもまだ色合いが違う気がしていてい、むしろ以前の象の鼻星雲の時の方がよりハッブルパレットに近い気がしています。

それでもかなり淡いところまで出たので、結構満足です。あとクワガタ星雲でメジャーなAOOも時間があればやっておきたいと思いますが、これはまた別の記事に。


日記

最近忙しくて、休前日とか休日にしか画像処理やブログ書きの時間を取ることができません。未処理の画像がまだ溜まっていますし、途中になっているノイズ解析とかもあります。やりたいことは溜まっているので、ブログ記事のネタには困っていませんが、記事自体が最近長くなっているのでもっとシンプルに速く書けないかとも思っています。天気はしばらくあまり期待できなのいので、残っているネタをひとつづつ片づけていこうと思っています。

他にも物書きが溜まっていたり、正月は再び北陸のどこかのスターバックスで天文密会が予定されていたりで、年末年始の休みも予定でいっぱいになりそうです。

最近機材欲は減っている気がします。ε130Dが調子が良さそうなので、しばらくはこのまま続けて、飽きてきたらまたSCA260に戻るのかと思います。現状が430mmでフルサイズ、1300mmでフォーサーズの2種がメインで、ちょっと間が空いていてその中間がないので、もしかしたら手持ちのBKP200を撮影に持ち出すかもしれません。焦点距離800mmとちょうど中間くらいで、F4と明るいので効率よく撮影できそうです。撮影できるまでに時間はかかるかもしれませんが、コマコレはあるのでそこそこの画像にはなるはずです。コマコレがあってもやはり周辺では乱れると思いますが、BXT2の威力がかなりすごいので、その効果込みだと十分実用レベルになる気がします。


週末は二日に渡って愛知県豊田市にある旭高原元気村に行ってきました。


きっかけ

きっかけはonetrickさんのXへの投稿でした。なんでも11月11日に旭高原元気村に「気ままに星空観望仲間」が集まった時、ある高校の天文部の生徒と顧問の先生が来ていたとのことです。そしてその高校は私の母校で、しかもこの日は天文部の合宿の下見ということでした。12月に再び天文部メンバーを連れて合宿に来るそうです。そんな話をしていたら、以前大鹿村の観望会でお世話になったKatoさんから「ちょうど同じ日に元気村で集まりがあるので参加しますか?」とのお誘いが。うまくいくと現役の天文部員とも会えるかもと思い、参加するとの返事を出しました

私は星を始めたのが2016年で、子供の頃の星の思い出というのはほとんどありません。30年以上前の高校の時も天文部があり、クラスの女の子が天文部のメンバーだったのは覚えていますが、当然部の様子なんかは全然知りませんでした。なので、古くから天文をやっている人の高校の時の天文部の思い出の話とかを聞くと、とても羨ましく思ってしまうのです。

今回はもしかしかしたら現役の高校の天文部員と話せるチャンスかもしれません。しかも母校なので、当時に比べて今はどうなっているのかにも興味があります。そんなこんなでXのDMで天文部の公式アカウントに連絡を取ってみました。程なくして返事が来て、実際には合宿は金曜から一泊ということがわかりました。どうやら授業が終わったらそのまま移動するようです。そんなわけで、金曜の夜と、さらに土曜の夜の集まりにも予定通り顔を出すことにしたので、2日連続で元気村に行くことになったのです。


元気村に向けて出発

金曜は富山を夕方に出て、東海北陸自動車道で美濃関JCTで東海感情自動車道に入ります。豊田環八ICで降り、国道153号線を走ります。20時頃に元気村に到着したでしょうか。

駐車場に何人かの若い人たちがいたので、早速声をかけるとやはり母校の天文部の生徒たちでした。しかも部員の皆さんも私のことを聞いていたらしくて、すぐに打ち解けることができました。この時点でも何人かの子と話すことができました。例えば高校の学祭が6日もあるのですが、その伝統もしっかり生き残っていました。生徒会活動が当時からものすごい盛んで、この日も生徒会のメンバーの子がいて、今の様子を色々聞くことができました。この日は22時くらいまでが部としての活動で、あとは有志で好きなことをするとのことです。そもそも有志という言葉もひさしぶりに使われているのを聞いた気がします。高校の頃は有志活動というのもすごく盛んで、例えば当時映画で出てきた「死せる詩人の会」とか有志で作ったりしていました。多分本質的には雰囲気は今もあまり変わっていないみたいで、皆さんとても楽しそうに高校生活を過ごしている雰囲気が伝わってきました。

残念だったのは天気で、目で見て星は何も見えなかったのですが、せめて何か見えないかと、50mmのNIKKORレンズで広角電視観望を試してみました。いろんな方向に向けますが、全く星のかけらも見えず、雨こそ降っていなかったものの、雲がかなり厚かったのかと思われます。それでも広角電視観望セットに興味を持ってくれた部員もいて、詳しいことを聞くきたいというので連絡くれるそうです。もしこのブログを読んでいたら、ぜひ気軽に連絡してきてください。

結局星は見えないので、22時半頃から宿に入って部員の皆さんと天文関係で少しお話ししました。この宿はつつじ屋敷と言って、古民家を手本に現代の大工さんが昔の日本家屋を再現したとのことで、 和室が何部屋もあり、たくさんのに人数が泊まれるようになっています。

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つつじ屋敷を次の日の朝に撮ってみました。

すでに布団が引いてあるところもあったり、トランプなどで各自楽しんでいるようでした。母校であるこの高校、基本的にものすごく自由で、生徒の自主性を限りなく尊重しているのですが、今でもその伝統は続いているようです。私が高校生の時どんなだったかとか、当時と今を比べたりかなり話が盛り上がりました。元々星見で夜遅くまで起きているはずなのですが、あいにくの天気でどうしようもないため夜更かししても大丈夫みたいです。結局0時近くまで話し込んでいました。そういえば、1年生の時に山での合宿があるのですが、その当時も「先生から夜起きている権利を勝ち取ったゾー」と騒いでいたのを思い出しました。その合宿もまだ続いているとのことです。その合宿所は部活でも使うことができて、夏に天文部で合宿するかもしれないので、ぜひ顔を出して欲しいと言ってくれた生徒もいました。私も昔のことをたくさん思い出すことができて、とても楽しむことができました。天文部員の皆さん、顧問の先生、突然の訪問を受け入れてくださり、本当にありがとうございました。


一旦実家へ

その後、機材などを片付け、午前1時頃に元気村をでて名古屋市内の実家に向かいました。実家への道が怖かったです。最初の頃は濃霧で、その後も夜の雨で視界が悪いのと、カーナビの情報が古くて新しい道にあまり対応していないのと、夜だから渋滞はないので下道で実家に向かったら何度か迷ってしまいました。結局午前3時位に実家に着いたので、結構余分な道を走ってしまいました。そのまますぐに寝てしまい、次の日は用事を済ませて、親と一緒に近くの(富山には無い)ブロンコビリーでランチを取り、再び元気村へ出発します。

市内は混むと思い、ガソリンだけ追加して実家近くのICからすぐに高速に乗ります。でも名古屋の高速に全然慣れていなくて、途中一度間違えて高速を降りてしまいました。下道はものすごい渋滞で、高速に戻るだけで結構な時間をロスしてしまいました。しかも今回は猿投グリーンロードを使ってみたのですが、茶臼山の方の出口まで行ってしまい、どうやらかなり遠回りをしてしまったようです。まだ名古屋と元気村でどの道を通ると一番いいのかがいまいちわかっていません。結局元気村に到着したのは17時くらいになってしまいました。


再び元気村

この日も天気は全然ダメでしたが、昨晩も来たつつじ屋敷の中にはすでにたくさんの人がいて、もう宴会も始まっていてかなり盛り上がっていました。私もそのままテーブルにつき、周りの方といろいろお話しさせてもらいました。元々あまり事情を聞いていなかったので、最初普通の観望会と思っていたのですが、どうやら今回の集まりは「気ままに星空観望仲間」の年1回の大合宿みたいなもので、しかもコロナでここ数年できなかったので4年ぶりの大きな集まりということがわかりました。そんな集まりにゲスト参加で参加させて頂いて、とてもありがたかったです。

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囲炉裏があり、炭火でいろいろ焼いたのが出てきます。
右上に見えるのがダッチオーブンで丸焼きにした鴨です。

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鴨に入刀。私もいただきましたが、
ホクホクでジューシーでとてもおいしかったです。

皆さんとても熱心な天文ファンで、18時頃から開会の挨拶がてら自己紹介が始まったのですが、持っている機材がものすごいです。口径40cm以上のドブの話が普通に出てきて、50cm台、60cm台の話も出てきます。ミューロンの30cmなんて話もありました。この会ができた経緯も聞くことができ、最初3人だったのがここまで大きくなったそうです。名古屋勢にドブ勢が多い理由がやっと理解できました。自己紹介は小一時間続いたでしょうか。皆さんそれぞれ、とても濃い天文生活を送られているようです。自己紹介の後は、ビンゴゲームや、ジャンク市、オークションもあり、皆さんすごいテンションです。

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気ままにほしぞら観望仲間の旗を見ながら、ビンゴ大会の様子。

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ジャンク市の一部。こちらはひいひさんの出品です。
この中でNEWERのカラーフィルターセットを頂いてしまいました。

個人的にも、何人かの方とつっこんで話すことができました。遅くまで話していた方もいたようですが、豪華な夕食とお酒、前日の疲れも出てか、私の方は片付けの後は比較的早めに布団に入りそのまま寝てしまいました。夜中過ぎには晴れの予想でしたが、多分ずっと曇っていたようで、外に出て星を見た方はほとんどいなかったようです。

朝起きると、もう味噌汁とご飯が用意されていました。Katoさんが調理担当も兼ねてくれていたのですが、夕食も朝食もとても美味しくいただけました。名古屋の赤味噌のおでんと、朝食の味噌汁は懐かしくとてもおいしかったです。


富山へ帰宅

朝外に出ると小雪が舞っていました。妻に聞くと、富山は暴風雨警報が出ているらしく、午前9時前には元気村を出ることにしました。片付けをほとんど手伝うことができなかったので、非常に申し訳なく思います。帰り道は、明るい昼間の移動と、やっと地理に慣れてきたこともあって、迷うことなく高速ICまでたどり着き、無事に富山まで帰ることができました。雪も全然大したことはなかったです。

星まつり以外では久しぶりの遠征でした。え、遠征じゃあないだろうって?いや、ε130Dを持っていったので、天気がよかたら撮影しようと思ってました。ホントです。たまたま天気が悪かったので飲んだくれてただけです。

母校の天文部員の皆さん、気ままに星空観望仲間の皆さん、二日共とても楽しい時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました。星を続けいている限り、どこかでお会いすることもあるかと思います。その際はまたよろしくお願いします。

SharpCapのバージョン4.1.11226 (10月30日) 以降から、独自のビルトインのプレートソルブ機能「SharpSolve」が搭載されました。これでもう、外部のプレートソルブソフトをインストールする必要がなくなります。不安定だと思われていたトラバースを使って試してみたので、記事にしておきます。


設定方法

使い方ですが、 メニューの「ファイル」SharpCapの設定画面を開き、「プレートソルブ」タブを選びます。
01_PS_setting
  1. 「プレート解析エンジン」のところで「SharpSolve(SharpCap's built in plate solver)」を選びます。もしこの選択肢が出てこない場合は、SharpCapのバージョンが古いことが考えられますので、今一度バージョンが4.1.11226より新しいかチェックしてみてください。バージョン番号はSharpCap画面の一番上のところに表示されています。
  2. 焦点距離は自分が使っている望遠鏡の値を正しく入れてください。
  3. 解析範囲が視野角で0.5度以上の場合はもうこれでOKですが、もし0.5度以下の視野で解析したい場合は、インターネットに繋いだ状態で「インデックスファイルのダウンロード」を押してください。ネットの速度にもよりますが、1分程度でダウンロードが終わり、その後「0.25度」が選択できるようになります。
設定はせいぜいこれくらいです。実際に試してみましょう。


SharpSolverのテスト

今回架台は経緯台のトラバースで試しました。以前ASTAPやASPSでプレートソルブ試した時に、AZ-GTiに比べてトラバースだと明らかに不安定なことがあり、その後コントローラーソフトのSynScan Proを最新版にしてAZ-GTiもトラバースもかなり安定になったという経緯があります。このトラバースで動くなら、おそらく他の架台だとほぼ問題なく動くでしょう。

適当に初期アラインメントをします。画面に星が表示されますが、最初の導入なのでおそらく方向は正確ではないはずです。今回もベテルギウスを導入したつもりが、全然画面内には来ていません。試しにまずはここでASTAPを実行してみました。

ASTAPでの恒星の認識はうまくいくときはうまくいくのですが、たまに(方角や、星の見え方によって)全くうまくいかない時があります。こんなときは代わりにプレートソルブエンジンをASPSに切り替えてその場を凌いでいたのですが、ASPSは解析するのに時間がかかってじれったいのと、ASPSでもうまくいかないことがあって、そんな場合は見ている方向をわざと変えてやって認識させたりしていました。

このSharpSolveはかなり優秀みたいで、今回たまたまASTAPでうまく認識できなかったのですが、SharpSolveに変えたら全く問題なく認識できました。しかも認識の速度がかなり速いです。ASTAPもそこそこ速いと思っていましたが、SharpSolverはそれ以上の速度です。

うまくいくと以下のような画面になり、何度くらいずれていたがが出てきます。
02_PS_setting_success

今回は2.23度ずれていたとのこです。赤道儀や経緯台をSharpCapに接続しておいて、このずれを架台にフィードバックして課題の向きを補正することで、架台が今向いていると思っている方向と、実際に向いている方向を自動的に一致させます。

ちなみに、「プレートソルブ」という単語の意味は、「今見いている視野の方向を計算して求める」ということに過ぎず、架台の方向を補正するという意味は含まれていませんが、最近では「方向の補正」まで含めてプレートソルブという単語で表すことが多くなってきていますね。


まとめ

今回はSharpCapの新機能「SharpSolve」でプレートソルブを試しましたが、安定性、速度はこれまでのプレートソルブソフトを凌駕しています。トラバースでも全く問題なく動いたので、かなりのものでしょう。これでトラバースでの電視観望が完全に実用レベルになったのかと思います。

まだSharpSolveを試していない方は是非とも試してみてください。


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