ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2022年04月

4月25日に引き続き、今日も在宅勤務。天気もいいのでこの日も太陽撮影です。

粒状斑をみるべくNDフィルターをつけて見てみます。これまでの黒点の粒状斑はそこそこ分解できています。黒点外周にある瞳孔の線のようなところの太さよりも、粒状斑の方がまだ大きいはずなので、見えないことはないはずだと思うのですが、今のところはっきりとは全く見える様子がありません。この日は波長依存性などあるかと思い、いくつかフィルターを試しました。試したものは
  • Baaderのダークブルー
  • Baaderの黄色から赤外にかけて
  • Baaderのオレンジから赤外にかけて
  • サイトロンの800nm以上
  • CelestronのMars filter
です。でもいずれもフィルター無しの場合に比べて、どれかが特に見えるということもなく、粒状班というには程遠い写りです。もしかしたらOrion製のNDフィルターが悪いのか、C8の200mmの口径がまだ足りないのか、やはりシンチレーションがまだまだ良くないのか、いまのところは不明です。GW中、天気が良ければ引き続き何度か試したいと思います。

その一方、Hαは色々面白いことがありました。まずは、ものすごく大きなプロミネンスが出ていました。撮影中には気づかなかったのですが、実はこれの倍くらいの高さでプロミネンスがさらに左側に広がっていたようです。残念ながら撮影できなかったですが、これだけでもかなり迫力があります。せっかく黒点(AR3001)が近くにあるので、一緒に収めてみました。

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  • 撮影時間: 2022/4/28 13時31分
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • gain150, 0.5ms x 1000フレーム中上位80%を使用 
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理
今回やっと光球面も同時にうまく広い範囲で出せるようになったのかと思います。理由は撮影時にリアルタイムフラット補正をしてみたことです。Twitterで知り合いのKym さんがPlayer Oneの太陽撮影解説サイトがいいとつぶやいていたので、ちょっとみてみました。ほとんどは自分でもやっていることですが、その中でリアルタイムフラット補正がいいと書いてありました。とりあえず試してみたら、より広い範囲にわたって均一な明るさになり、画像処理が格段しやすくなったのかと思います。これまでPSTだとHα領域があまり広範囲で出ないと思っていましたが、これまで明るさの違いで見えにくかったエリアの情報をより引き出せるようになったと思います。

それでももちろん制限はあり、下の画像を見るとわかりますが、特に左右で言うと、画面右側は比較的Hαに合いやすいですが、画面左側はズレるようです。
13_28_23_lapl3_ap2556_IP
AR2993、 2994はもう消えかけですね。AR2995はまだ少し楽しめそうです。

他にも何枚か撮影したのですが、見せることができるのはギリギリでこれくらいです。明日からゴールデンウィークで、おおっぴらに昼間に連続して太陽撮影ができます。せっかくなので、普段できないことをしたいと思います。晴れるといいなあ。


今回は赤道儀をCGX-Lに変えてからの初の撮影になります。


まずは結果から

CGX-Lを三つ子銀河でテストしました。

「M65、M66、NGC3628: 三つ子銀河」
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  • 撮影日: 2022年3月27日22時33分-3月28日1時56分、3月29日21時50分-3月30日2時35分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: 無し
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI2400MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 150、露光時間10分、34枚で総露光時間5時間40分
  • Dark: Gain 150、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 150、露光時間 0.01秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

銀河の細部と浮遊感、NGC3628のヒゲとM66の周りのモヤ、微恒星の数、恒星の点像と自然な具合など、個人的にはかなり満足しています。いろんなことが実を結んだ結果だと思います。三つ子銀河は3500万光年離れているそうです。この画像を見ていると、光が3500万年も旅して地球に届いたのかと、改めて実感します。

Annotationを見ると、かなり小さいPCG銀河もたくさんあることが分かりますが、恒星と区別できて銀河とわかるものが多いです。これもまた面白いです。

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改善の理由

一番大きなのは、頑丈な赤道儀を手に入れることができたおかげです。昨年末にSCA260がきてから約半年、CGEM IIとともにいろいろ苦労しましたが、新しいCGX-Lでとうとう揺れの少ない撮影を実現することができました。SCA260はカメラなども入れると15kgを超える重量級の鏡筒になってきます。耐荷重18kgのCGEM IIならなんとかなると思っていましたが、最近のM100M101などの系外銀河撮影すると、揺れの影響で細部が再現できないことを実感するようになってきました。

ASI2400MC Proはお借りしたものですが、フルサイズでピクセルサイズ5.94μm、SNR1sが0.11lx(実はこれほとんど情報がありません。やっとここで見つけました。)とかなりの高感度です。

画像処理もこれまでの経験が成果として出ている気がします。特にここ最近で始めたdeconvolutionは今回細部を出すのに効果がありましたし、今回ノイズ処理に関する処理をほとんどしなかったために、ずっと悩んでいたノイズ除去の時に背景に出てくる大きな構造のモヤモヤもありません。これも私的には高ポイントです。


撮影

3月初めに借りたASI2400MC Proですが、天気があまり良くなくて、なかなか試すことができませんでした。その返却期限が4月末なので、なんとか成果を出さなくてはと思いと、CGX-Lを早く試したいというのでちょうどいい機会でした。

撮影日は3月末。以前の報告で撮影時のことは少し書いていて、露光時間はテストをしてみると10分でも4隅まで点像を保ちます。



もちろん揺れて伸びる場合もあるのですが、かなりの率で点像になるので十分実用範囲です。それよりもまだ不思議なのは、天頂に近づくと突然流れ出すのです。赤道儀を反転すると流れるのは無くなります。これはこの時だけでなく、これ以降も同様の状況で繰り返し起きています。何らかのたわみなのかと思いますが、むしろ水平に近い方がたわみの変化率は大きい気がするので、少し腑に落ちません。今のところオフアキの視野が(安価なものなので)狭く星の数が確保できずに実用的でないですが、いずれきちんとしたオフアキに移行することなると思います。

あとは特にトラブルもなく、撮影は2日にわたっていますが、普通に撮影は終わりました。


画像処理

画像処理に使えたのは55枚中、34枚でした。流れたものや明るくなってしまったものなどを除き、最初使えると判断したものが36枚、途中PixInsightで2枚弾かれました。

画像処理をするにあたり、PixInsightでスタックしてまず驚きました。この時点ですでに、ものすごく精細に出ています。

masterLight_BIN-1_EXPOSURE-600.00s_FILTER-NoFilter_RGB
スタック直後の画像をオートストレッチしたもの。

ところが、背景がかなり乱れていることもわかりました。フラットフレームはいつも通り明るい壁を写したのですが、これでは補正しきれなかったようです。周辺減光はまだいいのですが、妙な迷光があります。左上と右下に太い線のようなもの、真ん中に円形の光芒です。今のところまだ原因は不明です。円形の光芒は以前調べた通りフォーカサーの可能性があります。撮影時、結構周りが明るかったからです。このため、周辺部は仕上げ用にはクロップしています。クロップした上でも、これらの除去に少し苦労しましたが、後の画像処理は普段と比べてもはるかに楽なものでした。よく言う「素材がいいと画像処理が楽」というやつでしょうか。

揺れが小さいこと、さらにシーイングもよかったのかと思いますが、とにかくシャープなので、シャープ系の画像処理をほとんど必要としません。四隅を見ても、ほぼ完璧な点像です。

masterLight_600_00s_FILTER_NoFilter_RGB_integration_mosaic

シャープさ改善関して使ったのはdeconvolutionのみで、銀河の細部がかなり出るなど、これもかなりうまく行きました。deconvolutionに関しては、3回目の使用になってやっと色々とパラメータを調整できる余裕が出てきました。重要だったのはWaveletによるノイズリダクションで、うまくそろえてやらないと背景のノイズを逆に増やしてしまいます。マスクである程度回避できますが、銀河の周りと背景の境はマスクではどうにもなりませんでした。

comp1
銀河内部の解像度が上がっているのはわかりますが、
銀河周辺にボツボツができてしまっています。

これを直すためにWaveletのパラメータをいじる必要がありました。
 
comp2
銀河周りのボツボツが、かなり軽減されているのがわかると思います。

しかも今回は、deconvolutionできちんと恒星が小さくシャープになることが確認できました。これは初めてのことでしたが、やはり素材によってうまく処理できるものなのでしょうか?

露光時間も6時間分とそこそこあるので、背景ノイズもほとんど困ることはなく、こちらもノイズ系の画像処理はしていません。

あと、恒星の色がかなりきちんと出て、輝いて見えるのもうまくいきました。私的にはここまでうまく出たのは初めてだと思います。やはりこちらもシャープさが効いているのかと思います。


比較

最終的な結果は改めて上を見ていただくとして、前回の贅沢電視観望の記事で同じ三つ子銀河を見たものから処理したのはとは、流石に雲泥の差があります。

さらに、以前TSA-120で撮影した三つ子銀河と比べてみます。当時はうまく撮れたと思っていて、タカsiさんからもコメントをいただいていました。でもさすがに今回のは全然違います。細部はそこそこ出てたと思いますが、一番の違いは微恒星の数です。

light_BINNING_1_integration_DBE_ST_PCC_SNP_all_PS3

撮影時の数字を比較しても歴然とした差があります。TSA-120とSCA260を比較すると、口径が260mmで2倍強なので明るさで4倍以上、露光時間が5分から10分で2倍なので、1枚あたりで計8−9倍情報があります。焦点距離はTSA120の方が900mmで1300mmのSCA260より明るいので(1300/900)^2 = 2.1倍違い、トータル露光時間は3時間と今回の6時間で2倍有利なので焦点距離の違いとほぼ相殺、ピクセルサイズが294MCの4.63μmと2400MCの5.94μmで1.6倍有利。こう考えると、1ピクセルに入る光子で15倍くらい違いがあります。さすがにこれだけ違うと結果も違ってきて当然で、ここら辺が特に暗い微恒星の数、銀河の細部に効いてくるのかと思います。
 
数字上ではこれだけの違いがありますが、これをきちんと画像として反映させるのには、赤道儀とのバランスというものがとても重要だと、今回思い知らされました。


まとめ

SCA260が来て約半年、やっとここまで出ました。鏡筒と赤道儀の相性はやはり大切です。カメラは今後またASI294MMProに戻ります。モノクロなのでさらに分解能が出せるのか、もう少し探ります。あと、画像処理ではM51とM104が残っています。だんだん初夏の星座になりつつあり、もう銀河まつりも終盤を迎えると思いますが、もう少しこのセットアップで撮りたいと思います。


最近太陽の黒点群やそれに伴うフレアがすごいと騒がれてます。でも残念ながら土日は曇りでチャンスがありませんでした。

2022年4月25日、今日は在宅勤務。せっかくなので、昼休みを利用して太陽撮影といきたいと思います。実は赤道儀は昨晩からのM104の撮影をそのまま朝までとっておいたので、極軸も取れていてかなりの手抜きで精度良い追尾が期待できます。鏡筒をSCA260からC8+PSTに載せ替えるだけです。

シーイングはそれほど悪くはないようですが、何しろ時間がありません。でも黒点の数がけっこうあるので、それを回るだけでも時間がかかり、プロミネンスなどは見ることができませんでした。

サクッと画像処理を済ませてしまいます。共通のデータは以下の通りです。
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理

まずは一番大きなAR2993、2994です。
11_55_30_lapl3_ap2556_IP_cut
  • 撮影時間: 2022/4/24 11時55分
  • gain70, 0.6ms x 1000フレーム中上位80%を使用
こうやってみると、これだけ大きい黒点群だとエタロンの精度の均一さが追い付かなくて、周辺とかはHα線からかなりずれてしまっています。そろそろPSTの限界を感じてしまいます。

可視光画像です。といってもPSTのエタロンをHαからずらしただけです。
12_01_46_lapl3_ap2356_IP_cut
  • 撮影時間: 2022/4/24 12時1分
  • gain70, 0.15ms x 5000フレーム中上位80%を使用

AR2995です。一つだけだとまだマシですが、これもHαが出ているところか黒点がずれてしまってますね。
12_04_11_lapl3_ap2490_IP_cut
  • 撮影時間: 2022/4/24 12時4分
  • gain70, 0.5ms x 1000フレーム中上位80%を使用

最後は出たばかりの新しい黒点で、まだ番号はついていないみたいです。撮影時はきづかなかったのですが、ここには大きなプロミネンスも出ていたので画像処理で出してみました。
12_09_29_lapl3_ap1726_HP_L

こうやってみると最近の撮影の中ではシーイングは多少良かったですが、まだそこそこです。季節的にはどんどんよくなるはずなので期待したいです。特に可視光はもう少し細かく見えてもいいのではと思います。

どうも全面でHαを見るのが難しいので、エタロンを一度調整する必要があるかもしれません。もしくはもう少し焦点距離の短い鏡筒(以前使っていた10cmで1000mm、F10の屈折?)で低倍率にして、エタロンのいい範囲に入る面積を増やして広角で見ると、全体の中に黒点がどこら辺にあるか分かっていいのかと思います。もしくは、もう一台持っているPSTを別の鏡筒付けるかです。

時間をかけてタイムラプスもやりたいですが、流石にこれは休日でないと無理っぽいです。

前回記事で試したASI2400MC ProとFS-60CB +旧フラットナーで試した電視観望。

お気軽電視観望というところからは程遠いことがわかり、今回は満を辞してのTSA120の登場です。さて、どうなることやら。


TSA-120にASI2400MC Proを取り付ける

前回FS-60CBでの反省を踏まえ、TSA-120でのセットアップです。

IMG_5226

  1. まず、カメラセンサーの近くにホコリがついていた可能性があるので、ブロアーで吹き飛ばしました。
  2. 周辺が歪まないようにフラットナーを鏡筒側に取り付けます。
  3. FS-60CBで苦労した接続も、2インチアイピースが標準のTSA120なら楽勝です。カメラに付属の2つのアダプターは、2インチアイピース口の差し込み口の径に合うような48mmのものになっています。落下防止の意味も含めて、アダプターを2つ連結してカメラに取り付けます。
  4. 月は出ていないですが街中で明るいのでCBPをカメラのアダプターの先に取り付けます。
  5. カメラ本体をアイピース口に差し込みます。
  6. 架台もAZ-GTiでは当然荷が重いので、CGEM IIにします。
IMG_5235


さあ、豪華セットで電視観望開始!

この状態でM42オリオン大星雲で比較します。今回も、西の空低くの沈みかけになります。FS-60CBではなかなか出なかったのですが、TSA-120では細部までかなり出ていることがわかります。ランニングマンも写りかけています。基本的にピクセルサイズが6μmと大きいため感度が高いためか、西のかなりひどい状況の空でも十分に映し出すことができています。
03_M42
ただし、FS-60CBの時よりはましみたいですが、それでも周辺減光があります。実はこれ、周辺減光はひどいわけでは全くなく、普通の撮影時で出てくる周辺減光と同レベルです。電視観望では強度の炙り出しをリアルタイムでしてしまうために、どうしても周辺減光が必要以上に目立ってしまいます。

次に、馬頭星雲と燃える木です。一応見えてますが、あまりはっきりしません。周辺減光で炙り出し切れていないせいもありますが、そもそも隣の家の屋根に沈む寸前。これ一枚ライブスタックした次の画像は、屋根が入ってしまいました。

01_hose

次はこちらも沈む少し前のバラ星雲です。画面をiPhoneで撮影したものです。
IMG_5233

この時にSharpCapでキャプチャした画像が下になります。
Stack_48frames_307s_WithDisplayStretch

この一部を拡大してよく見るとホットピクセルが多少あります。
Stack_48frames_307s_WithDisplayStretch_hot

でも解像度が高いので、引きで全体を見ている限りはそこまで目立たないようですが、スタック時間が長くなるとミミズのように伸びていきます。これはリアルタイムダーク補正でだいぶマシになります。

下はダーク補正をした場合。少し残りますが、細くなっていて実際の電視観望で全体で見ている限りはまず気になりません。
Capture_00001 20_41_36_WithDisplayStretch_hot

これ以降はの画像は全てダーク補正をしてあるものになります。


周辺減光をなんとかしたい

周辺減光を緩和できないか試してみました。次の画像はリアルタイムフラット補正をしたものです。iPad ProでColor Screenというアプリを使い、灰色に近い色を画面に出し、鏡筒の先端に当ててフラットを撮影しました。その際、画面が明るすぎたので露光時間を100msと短くしました。ちなみにLiveStack時は露光時間6.4秒ですが、一般にゲインさえ変えなければフラットフレームの露光時間を変えても問題ないはずです。
Stack_65frames_416s_WithDisplayStretch
でもこれを見ると、どうも赤が過補正になってしまっています。この時はモノクロのフラットフレームを作成しました。

色別で補正具合が違うということのようなので、各色で補正しなくてはダメなのかと思い、次はカラーのフラットフレームを作成してフラット補正した場合です。ダーク補正が何か影響するのかとも考え、この一枚はダーク補正もなしです。
04_rose
今度は白で過補正になっていますね。これまでも何度かSharpCapでフラット補正を試していますが、うまくいったことがありません。この日もこの時点で諦めました。以後はフラット補正はしていなくて、ダーク補正はしてあります。


春の銀河を電視観望

オリオン座が沈む頃の時間帯、春はあまりカラフルな天体はなく、鮮やかさでは寂しくなってしまいます。その代わり銀河はよりどりみどり。フルサイズなので広角ですが、十分に見応えがあります。

例えばしし座の三つ子銀河ですが、やはり周辺減光が大きいですが...、この画角だと拡大して一部だけ見た方がいいと思います。
Stack_169frames_1082s_WithDisplayStretch

実際、高解像度のカメラなので、拡大画像でも全く破綻しないんですよね。むしろこれがASI2400MC Proの真骨頂で、拡大しても得られた画像は素晴らしいの一言です。実際に見ているのに近い、iPhoneで撮影したものです。
IMG_5249
もうツルッツルですよ。これで6.4秒露光で、ライブスタックでトータル20分ちょいです。

参考に、画面をキャプチャしたものも載せておきます。
06_triplet

中心部を拡大すればこんなふうにかなり見えるようになるので、たとえ2インチ対応の鏡筒でも電視観望の炙り出しで周辺減光がある程度残ってしまうことを考えると、フルサイズの広角なのを利用して導入で楽をして、目的の天体を画面中心に持ってきて、画面上で拡大というのが使い方としては現実的なのかもしれません。

ちなみに下は、10分の1の時間、ライブスタック2分の時の画像です。
05_triplet
20分と比べるとザラザラ感は残りますが、これでも電視観望なら十分過ぎるくらい綺麗なものになります。

拡大して比較してみます。左が20分スタック、右が2分スタックです。2分のほうがノイジーですが、逆に20分は画像が流れた縞ノイズが少し出ています。
comp
ただ、拡大してこの程度なので、通常の電視観望ではたとえ2分露光のものでもかなり綺麗に見えたという印象になるかと思います。

20分スタック画像を簡易処理してみました。10分程度でパッとやったくらいです。流石に長時間かけた天体写真と比べるとダメですが、それでも十分鑑賞できるくらいにはなるのかと思います。
Stack_16bits_169frames_1082s_ABE_ABE_DBE2


次はソンブレロ銀河です。20分露光です。周辺減光が目立たないように中心部を拡大しています。これだけ見えれば十分でしょうか。
08_sonblero

最後はM51子持ち銀河です。これも20分露光で、中心部を拡大。少しノイジーですが、かなり細部まで出ています。これは結構すごい!
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少しノイジーだったので、あっと思い、この段階でこれまで冷却していないことに気づきました。そのため、では冷却したらどうなるかを試しました。
24_M51
ただし、その際、SharpCapを最新版にアップデートしたのですが、少し状況がわかったようです。ほぼ同じ条件で冷却をオンにしただけですが、明らかにノイジーになってしまっています。必ずしも最新版がいいわけではないようです。インターフェースは白の明るい部分がなくなり、改良されているようです。

そもそも電視観望は長時間露光ではないので、冷却がどこまで効くかは疑問で、今回は冷却に関しての効果の判断は保留としたいと思います。

とここら辺まで試して月が出てきたので終了。ASI2400MCとTSA-120での贅沢電視観望いかがでしたでしょうか?このレベルを観望会で、しかも大型画面やプロジェクターで見せることができたら、結構すごいと思います。


まとめ

ASI2400MC Proでの電視観望である程度わかったことをまとめておきます。
  • 鏡筒をかなり選んでも、フルサイズの電視観望では周辺減光はどうしても目立ってしまう。
  • リアルタイムダーク補正は結構効く。
  • リアルタイムフラット補正は結構難しい。
  • 感度、フルサイズの解像度、ダイナミックレンジは素晴らしく、電視観望でも撮影に近いレベルで画像を得ることができる。
などです。苦労もありますが、それに見合う結果は出るのかと思います。

ただし、このカメラの値段を調べてもらうとわかりますが、ちょっとというか、かなりのものです。電視観望のためだけに購入するのはなかなか勇気が必要で、今回は借り物だから実現できたのかと思います。撮影のためにこのカメラを購入し、そのついでに電視観望をするとかならまだ現実的でしょう。予算がある公共の天文台とか、個人でも余裕がある方は電視観望用途でも検討する価値はあるかと思います。ただ、今回私も口径や焦点距離、周辺減光などで結構苦労したので、ある程度のスキルも必要になってきます。こう考えると個人で電視観望のみの用途だとは少しもったいないレベルの機材の気がしますが、ただし、得られる画像はかなりのものであることは間違い無いので、興味がある人は検討する価値があるのかもしれません。

今回はこれまでとは方向性の違った豪華機材での電視観望でしたが、かなり楽しかったです。結論としては「ASI2400MC Proは価格はすごいが、得られる画像もやはりすごい!です。
 


フルサイズカラーCMOSカメラASI2400MC Pro

普段は格安電視観望を記事にしたりしているのですが、今回は正反対の贅沢電視観望です。機器はお借りしているASI2400MC Pro、何とフルサイズのカラー冷却CMOSカメラです。センサーはSonyのIMX410。ピクセルサイズが5.94μmと大きいため、電視観望向きです。SNR1sの情報が中々見つからなかったのですが、どうやら0.11lxらしいです。やはりかなり小さいようで、期待できます。

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FS-60CBとの接続で苦労

せっかくのフルサイズなので広角で見てみようと、単焦点の鏡筒を考えたのですが、FMA135だとさすがに口径のほうが30mmで小さくなるのでもったいないです。とりあえずFS-60CBにしてみました。ASI2400MC Proの取り付けですが、一番簡単に鏡筒につけるのは付属のM48のアダプターをつけて、2インチアイピース口に差し込むことなのです。しかしながら、 FS-60CBは標準では2インチアイピースに対応していません。SKY90用のが使えるらしいのですが、残念ながら手持ちでは無いです。今回はT2マウントを利用することにしました。カメラに付属のT2リングを使うと、手持ちのZWOの旧型のCanonマウントへの変換アダプターにとりつけることができました。FS-60CBは普段から6Dを取り付けられるようみにCanonマウントになっています。

ところがこれ、FS-60CB用のレデューサをつけるとどうしてもピントが出ないのです。マウントからセンサー面までの距離が離れているためで、回転装置などを外してフォーカサーを最短にしてもまだ長過ぎます。本来はフルサイズクラス用のZWOのCanonマウントへの変換アダプターを使って正しいバックフォーカスにすべきなのですが、とりあえず手持ちのアダプターを使って試したいので、泣く泣くレデューサはあきらめました。代わりに旧型のフラットナーを取り付けると、今度は逆に距離が足りません。回転装置を再び取り付けてやっとピントが出ました。
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架台はお気軽にAZ-GTiです。
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実際の電視観望画面

さて実際の電視観望画面を見てみましょう。もう西に沈みかけているM42オリオン大星雲です。
03_M42

まず、これだけ見てもいくつか問題があることがわかります。
  1. まず、周辺減光が大きくてオートストレッチで攻め込んで炙り出すことができません。
  2. ホコリが結構付いているので掃除が必要。せっかくの高性能カメラなのにもったいないです。
  3. 旧型フラットナーにフルサイズだとやはり周辺の流れが目立つ。
などです。

時間も経ってしまい、これ以上は春なので主に銀河になってしまいます。銀河に広角は流石に厳しいのと、少し曇ってきたで、この日はこれであきらめました。せっかくのフルサイズカメラなので広角を狙っていましたが、どうやらFS-60CBでは役不足なのかもしれません。


お気軽でない電視観望へ

そもそもASI2400MC  Proは冷却をしなくても12Vの電源入力が必須です。一応販売ページにはASI294MC Proも12V電源がないとダメと書いてあるのですが、冷却なしなら12Vなしでとりあえず動くことは試しています。でもASI2400MC Proは12V電源を繋がないと、SharpCapなどで起動さえできません。なのでこのカメラでお気軽電視観望というのはそもそも向いてないのだと思います。

やはりASI2400MC Pro恐るべしです。タカハシでもFS60クラスの小口径では相手にならないようです。ここは満を辞してTSA120の登場です。TSA-120+ASI2400MC Pro、超贅沢な電視観望です。

どんなふうに見えるのか?結果は次回記事で。お楽しみにしていて下さい。



久しぶりに天文関連の小説を読みました。伊与原 新 作「オオルリ流星群」です。タイトルのオオルリは青く綺麗な鳥らしいです。私は鳥には詳しくありませんが、この小説には随所にオオルリが出てきます。


きっかけ

何週間か前、名古屋人の心の友「コメダ珈琲」で週刊誌を読んでいたら、面白そうな本の紹介が出ていました。今の世の中便利で、その場でスマホでアマゾンに注文して取り寄せてみました。読み終えたのは少し前になるのですが、ちょっと感想を書いてみます。

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プロの天文研究とアマチュア天文 

読み始めるとテンポよく進んでいきます。天文ファンなら十分に楽しめる内容でしょう。ただ、アマチュア天文の話かというと必ずしもそうでもなく、それよりも天文の研究者としてやっていくのがいかに大変かということが、よくわかる話なのかと思います。作者も研究者だったこともあり、そこら辺の経験が元になっているのかもしれません。

そもそも面白いのが、作者と私の年齢が同じところです。ということは小説に出てくる人物達もほぼ自分と同じような年齢。もう若くもなく、一方まだまだこれからやれることもあり、年齢に応じた考え方になってくるので、共感できるところも多々あります。また作者は一時期は富山大にいたとのことです。私も今富山に住んでいるのでちょっと親近感が湧きます。

ネタバレになるので多くは書きませんが、この小説の主人公の彗子は国立天文台の元研究員で、研究者としてはやっていけなくて諦めてしまったという設定です。最後の方はどんどん話が進み、謎が解けていくので、読むのを止められず夜更かししてしまいました。彗子の経歴にどんでん返しがあるのですが、その時の思いが作者の経験によるものなのか、創作なのかはわかりません。それでも道をあきらめるときの想いや厳しさが伝わってきます。これは研究者に限らず、ましてや大人や子供にも限らず、夢をあきらめるということが、本人にしかわからない人生に関わる深刻なことなのだと思い知らされます。

元々この小説は、京大の有松氏らが民生用の鏡筒Celestron社のRASA11を複数台使い、掩蔽(えんぺい)観測でカイパーベルト天体を見つけたという話に感銘を受けて書かれたとのことです。アマチュア用の機器を使うというところに、研究者を辞めても研究を続けたいという主人公の境遇をうまく当てはめています。

有松氏らの研究は、今のアマチュア天文家でも工夫すれば、普段の機器を使って研究に近いことができることを強烈に示しています。

でも実際にはアマチュア天文とプロの研究が関わることはごくごくまれです。少なくとも私が星を初めて2016年以降、アマチュアはほとんどアマチュアのみで集まっていて、プロの研究者が入ってくることは数えるほどしか例がありませんでした。例えば福島のスターライトフェスティバルには毎回国立天文台のW教授が来てくれるのですが、これはある意味例外中の例外で、アマチュアときちんと絡んでくれるのはとてもありがたいことです。昔は国立天文台のK台長がアマチュアのN氏に計算依頼をするなど、もっと交流があったのではと想像しますが、今日でもそれに類するようなやりとりはあるのでしょうか?

一方、アマチュア天文家にとってはプロの研究者は恐れ多いのかもしれませんが、講演会とか機会はあるのでもっと突っ込んでいっていいのかと思います。日本のアマチュア天文家の熱心さは特筆すべきで、この情熱を趣味だけにとどめておくのはもったいない気がします。趣味を止めるとかいうのではありません。もう少し建設的なプロとアマチュアの交流があってもいいのかと思うのです。

私もそうですが、撮影は楽しいですし、画像としてすぐに成果が見えます。一方研究はというと、例えばこの小説の元になったRASAの掩蔽観測を見ても、科学的な目的を持って計画立てて進めるなど、時間もかかるしとても大変でしょう。でも機器だけ見ても明らかにアマチュア側に寄ってきてくれてるんですよね。アマチュアグループのなかにも例えば流星観測とか、研究に寄っている活動もあります。

この小説は、ある意味プロとアマにある大きなギャップを小さくしてくれるようなヒントに溢れているように思えます。熱心なアマチュア天文家であると自認する方は、是非とも一読してみるといろんな目が開かされるのかもしれません。



タイトルの通りCGEM IIと260でのおそらく最後の作例となります。対象は M101回転花火銀河で、これも前回のM100に続き、馬頭星雲のついでに後半に撮影していたものです。


反転時のトラブル

ただ、もう1ヶ月以上前のことになるので、ほとんど記憶がないんですよね。唯一覚えていることが、USBハブの破壊です。

IMG_4704
と、こんな感じです。

赤道儀の反転の時にやらかしました。子午線近くになるとNINAが自動で反転してくれるのですが、これまでうまくいっていたので油断してました。富山は日本海側なので、北方向が街で普段は北の空を撮ることはほとんどありません。北の空での自動反転は初めてだったのです。撮影中は自宅からリモートで画像などをちょくちょくチェックしているのですが、なぜかちょっと前から画像が送られて来なくなって「あれ?バッテリー切れか何かか?でもまだ早いな?」と何の気なしに外に出て愕然としました。どうやら反転の際の回転中にケーブルがどこかに引っかかって、引っ張られてしまったようです。上のようにUSBハブのコネクタのところがもげていました。

でもこれ不幸中の幸いで、根元側に繋がっていたCMOSカメラのUSB2.0のコネクタ部や、USBハブの先につながっていたホイール、フォーカサーなどその他の損傷はなかったのです。ひとえに、このエレコム製のハブがこのコネクタ部を弱く作ってくれていたおかげです。接続部を見ても、ちょっとのハンダで固定しているだけで、強度を持たせていないようです。おそらく設計の段階で考えられているのかと思いますが、今回これに助けられました。これ以降もエレコムハブを使うことにすると思います。

根本的な対策としては、引っ張ったら抜けるような構造を途中に入れておくことかと思います。短い延長ケーブルとかでもいいですし、コネクタ変換用のアダプタをうまく使うという手もあるかと思います。USB-Cコネクタなんかはわざとかと思うほど脆弱に作られています。


撮影枚数

こんなトラブルがあり、他のことはほとんど記憶から吹っ飛んでいるのですが、残された画像を見てみると、3分露光で2日渡って撮影していたようです。それでも使える画像枚数は

R: 23/31枚、G: 8/24枚、B: 11/20枚、Hα: 4/10枚

と、トータル85枚で4時間15分撮影して、わずか46枚で2時間18分を画像処理に回すことになりました。これでもかなり甘く採用しているので、本当はもっと落としたいくらいです。Hαは赤ぽちだしだけなのでまだ4枚だけでもいいとして、Gの8枚は少な過ぎです。今回は揺れもそうですが、今見たら1日目に撮った画像はほぼ全滅、薄雲で淡い部分が出なかったのをかなり落としています。本当は撮り増しすべきなのですが、赤道儀も変わるのでとりあえずキリをつけてここまでとします。


画像処理

画像処理はいつものようにPixInsightのWBPPで、前回から始めたDeconvolutionを今回も適用しています。2度目なので少し余裕を持って処理できました。また、EZ Star Reductionで星像を小さくしましたが、今回はかなり小さくなってしまいました。効果の度合いをうまく選べないのが少し辛いところです。

あと、少し画像処理をPixInsightに移していこうと思い、Curve Trasnformationをいじってみました。Saturationを輝度に応じてカーブでいじれるのはPhotoshopではできないので、ここはメリットがあります。でも操作性はやはりPhotoshopの方が上と感じます。例えばPixInsightだとわざわざプレビューを開いて効果を確認しながら試さないといけないとかです。あと、やはりPhotoshopの一番の利点はレイヤーが利用できることかと思います。PixInsightもマスクを駆使することでレイヤーと同じようなことはできますが、やはり操作性は雲泥の差です。ただし、マスクの作成においてはStarNetも含めてPixInsightの方が星に特化されていたりするので、PixInsightで作ったマスクをPhotoshopで使うというスタイルはまだしばらく変わることがなさそうです。


結果

今回は2時間という短い撮影時間だったこともあり、かなりノイジーで苦労しました。結果というと以下のようになります。

Image88_ABE_PCC_DBE_decom_AS_AS_starreduction_SCNR_CT5
  • 撮影日: 2022年3月8日23時26分-3月9日3時26分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、R: 23枚、G: 8枚、B: 11枚、Hα: 4枚の計46枚で総露光時間2時間18分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 RGB: 0.08秒、Hα: 1秒、 RGBとHαそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

中心部はまだ明るいので細部がある程度出ていますが、外周はノイズ処理をしたので絵画っぽくなってしまったので、いつかリベンジしたいです。まだCGEM IIでの撮影で揺れが残っているので、今後CGX-Lに変更すると中心部ももう少し出るはずです。

いつものAnottationです。
Image88_ABE_PCC_DBE_decom_AS_AS_starreduction_SCNR_CT5_Annotated


それでも以前のTSA120で撮影した結果と比べるとかなりマシになっています。前回も画像処理は苦労した覚えがあり、結構ごまかしてやっとこれくらい出たのだと思います。

light_BINNING_1_integration_ABE_DBE_STR_DBE_STR_SNP_all_PS4_cuts


まとめ

最近ものすごく忙しくて、画像処理とかブログを書く時間が全然取れていません。実際今回も1ヶ月以上前の画像です。撮影したらその場でいいのすぐにメモ程度でも書いておいた方がいいですね。

さて、次からはいよいよCGX-Lで撮った三つ子銀河の画像処理です。でもその前に色々やりたいことがあって、時間が足りるかちょっと心配です。


 

前回、SCA260で撮影した馬頭星雲のことを記事にしましたが、3月のオリオン座は早くに西の空に傾くため、後半は別の天体を撮影することにしました。撮影が複数日にまたがっていたので、フラットやダークが使いまわせるよう、基本何も変えない同じ露光時間、同じゲイン、同じカメラ回転角が条件です。

少し迷ったのですが、M100に決めました。理由は
  1. 春の銀河まつりに参戦するのは今年の目標の一つであること
  2. M33などの大きな銀河はすでに試したので、少し小さめの銀河を試したかったこと
  3. 以前おとめ座銀河団を広角で撮影した時にM99やM100が小さいながらもかっこよかったから
などです。

 


まだ赤道儀はCGEM IIで撮影したときのものです。撮影は3分露光です。M100は小さいので真ん中らへんに小さく写っているだけです。これで分解能が出るのかが今回の勝負です。

でも結論だけ言うと、撮影した画像を見て早々と勝負に負けました。やはりこれくらい小さい天体を撮ろうとすると、揺れが大きすぎるのです。


撮影のことはもう忘却の彼方に

撮影は3月3日と3月9日の二日に渡りました。最初の3月3日の方はまだ使えたのが
  • R:18/20枚、G:20/20枚、B:20/20枚
とマシでしたが(それでもかなり甘い判断です)、3月9日の方は(もう忘れてしまいましたが、風が多少拭いていたのかと思いますが)使えたのがわずか、
  • R:4/12枚、G:2/10枚、B:4/35枚
と散々でした。画像を見ていると、大きく揺れて2つの点になってしまっているのが多かったです。これを見て、さすがにCGEM IIで系外銀河の分解能に挑戦するのは辛いことが実感できました。まあ、頭では何となくわかっていたのですが、信じたくないバイアスがかかっていたのかも...。

本当は3月3日の撮影でBがまだまだノイジーだなと思い、3月9日はBを重点的に撮り増ししたのですが、使えたBはわずか1割と、この揺れのおかげであまりやる気が起きずに、実際の撮影からかなり日にちが経ってしまいました。とりあえず見えるだけでいいやと重い腰を上げ、やっと画像処理を進めることにしました。


WBPPの変化

PixInsightのWBPPですが、最近いくつか気づいたことがあります。まずBiasファイルですが、これはDarkファイルがBaisを含んでいるために、もう処理には使われていません。CalibrationタブのDark設定のところであえてBiasを含まないというオプションを使うと、「検証の結果、biasを引いたダークは今後はお勧めしない」と怒られてしまいます。かといって、Biasファイルを全く指定しないとエラーで止まったりするので、Master Biasをおまじないで登録しておくことにしています。ちょっとまだ整合性が取れていないようです。

あと、Pedestalというのを入れてみることにしました。これは画像処理の過程で0以下の輝度になることを防ぐようです。
WBPP
最近のWBPPでの設定。

Reference画像をオートで選ぶと、たいていRとかの明るく画質がいいのを選んでくれるのですが、これを基準にしてしまうと例えば暗いBがIntegration時に大量に弾かれてしまうことがわかりました。実際にIntegrationされたのはわずか
  • R:21/22枚、G:16/22枚、B:11/24枚
でした。これは前回の馬頭星雲でも同じことが起きていて、原因がわからなかったのですが、Reference画像をマニュアルであえて暗めのものを選ぶことで回避できることがわかりました。その結果、
  • R:22/22枚、G:22/22枚、B:24/24枚
と全てIntegrationに回りました

RGB合成した画像を見てみると、揺れが平均化されているせいか、かなり真円に近くなりました。
Image27_ABE_PCC_crop_DBE_mosaic01

これだといいと思ってしまうかもしれませんが、一枚一枚は揺れていることと、大きく揺れることもあるので採択率は悪いし、何より銀河の解像度は出ていないはずなのでやはりダメです。


EZ Deonを(少しだけ)使ったdeconvolution

今回の画像処理のポイントは、PixInsightでDecomvolutionを試してみたことです。実はこれまで何回も試していたのですが、一度もうまく行ったことがなく、今回ScriptsにあるEZ Deconを使うことではじめておかしくない結果が得られました。

そもそもDeconvolutionはPSFをあらかじめ作るとか、StarNETであらかじめマスクを作っておくとか、R Range maskが必要とか結構面倒です。しかもマスクをの微調整で結果が劇的に変わったりします。参考にしたのはniwaさんのページ


相変わらずものすごく親切な説明で、素晴らしいです。とても感謝しています。さらにはリンギングを無くすために皆さんでいろいろ議論されたことも、最後の方のリンク先から辿ることができ、かなり実用的です。

それでもこのDeconvolution、なかなかうまくいかないんですよね。なので今回EZ Deconという簡単にdeconvolutionを試すことができるスクリプトを使いました。EZ DeconはEZ Processing Suiteの中の一つで、インストール方法はこちらを見るとわかります。


上のページは英語ですが、niwaさんが日本語でも解説してくれています。


EZ Deconを走らせると、こんな画面になります。
decom1

最初はよく分からないのでおもむろに「How to use EZ Decon」というヘルプボタンを押します。読んでいくと以下のようなことが書いてあります。

1. まずは処理したい画像(リニアステージのもの)を選択し、Star Maskを作れと言います。このスクリプトはまだStarNETのV2には対応していないようなので、今回は別途StarNet  V2で星マスクと作っておいて、スクリプト中で選択しました。

2. 次のレンジマスクはこのスクリプトでおまかせして作ってもらいました。

3. 最後「Deconvolution」タブをに移って、PSFを作れとのこと。なんとこのスクリプト、PSFが「Generate PSF」ボタン一発でできてしまいます。これはかなり楽です。

4. ここからがすごいです。deconvolutionを試すのですが、「Evaluate EZ Decon Run」ボタンを押すたびにタブが増えていき、右の方の「Change Tab to Original」ボタンと「Change Tab to Decon Run XX」ボタンを交互に繰り返し押すと、オリジナルとの違いを簡単に切り替えて比較することができます。基本的に変更できるパラメータはスターマスクをどう扱うかのみ。ヘルプに書いてますが、スターマスクを強調したりソフトにしたりすることで結果の違いを見ます。
  • もし画像がノイジーになるなら、Wavletの強さ(strength)を増やす。
  • もし画像がシャープになりすぎるなら、繰り返し(iteration)の数を減らす。
  • もし恒星にリンギングが出るなら、Star Maskの半径を増やして、恒星をよりカバーする。
とのことです。

5. うまくいきそうなら、最後に下の「Run EZ Decon」を押して実際の画像に反映させます。

でも結局このEZ deconでは、どうしても最後までリンギングが残ってしまい、結果は使わなかたんですよね。その代わり、EZ deconで生成されたPSF画像を使い、niwaさんが解説してくれていた、このページ

のもりのせいかつkさんのGlobal dark 0方法でやることで、リンギングを抑えてうまく細部を出すことができたようです。

decon_comp

左がDeconvolution前、右がDeconvolution後です。EZ Star Reductionもかけてしまったので、恒星の大きさは無視してください。銀河の細部は多少出てるようになったと思います。

というわけで、このEZ Decon、結局は簡単PSF生成ツールとしてしか使いませんでしたが、スターマスクの効き具合の感覚とかを気軽に試して、振る舞いを理解するのにはすごく役に立ちました。deconvolutionで困っている人は、一度同じように試すといいのかもしれません。

ところで、DeconvolutionのLocal supportというのがいまいち何をしているのかわかりません。スターマスクをリンギング防止に使っているのなら、恒星自身のdeconvolutionができていない気もするのです。実際、恒星がスリムになったような効果は見えませんでした。そういうものなのか、それとも撮影条件が悪くあまり効かないのか、もう少し理解する必要がありそうです。

その後、ものはついでにEZ star reductionも適用しました。以前、トール兜星雲の時にも試しましたが、その時はそこまで有用性は見出せませんでしたが、今回はかなりの効果があったようです。


いつものPhotohopでの仕上げ

あとは普通にPhotoshopに持っていっての処理でしょうか。今回少し違ったのは、Photoshopで細部があまり出せなかったことです。すでにdeconvolutionである程度の細部出しができているためでしょうか。試しにdeconvolutionなしの画像をPhotoshopに引き渡し、いつも通り加工するのですが、こちらは細部が出てきます。ですが、出来上がった画像の細部はほぼ同等でした。細部をどこで出すかだけの問題で、その画像が持っている限界があり、ポテンシャル以上のものは出ないということがよくわかりました。まだまだDeconvolutionをたいして試していないので、少し甘い気もしますが、むしろ自然な処理具合な気がしています。今後は(やっとですが)Deconvolutionの方に移行していくことになると思います。

結果です。

「M100」
Image27_ABE_PCC_crop_DBE_decom_stredu_ABE_PCC6
  • 撮影日: 2022年3月3日23時51分-3月4日4時37分、3月10日2時54分-5時1分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、R: 22枚、G: 22枚、B: 24枚の計68枚で総露光時間3時間24分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 RGB: 0.08秒、RGBそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

実は赤ポチとか青ポチとか期待してHαとOIIIも撮影したのですが、枚数が少なすぎで諦めました。M100の周りの淡いところがもう少し出るかと期待していたのですが、少し露光時間が足りないのかもしれません。もしくはゲインを例えばもう3倍とか上げた方がよかったかもしれません。

恒例のAnnotationです。M100の他にもNGC4312を始めいくつか銀河があるのがわかります。

Image27_ABE_PCC_crop_DBE_decom_stredu_ABE_PCC6_Annotated

最後に、FS-60CBで撮影した時画像
up_DBE_DBE_PCC_AS_HT_all_disks_back2_rot_denoise_larage_cut
からM100の同じ領域を抜き出して拡大してみます。
FS-60

回転して向きをあわせてますが、左端は映ってない領域でした。恒星はまだいいとして、FS-60CBで撮ったM100の解像度が良すぎてなんか怖いです。


まとめ

撮影途中で揺れているのがわかってしまい、あまりやる気の出なかった画像処理ですが、やってみると意外に実のあるものでした。これまで何度も試してことごとく諦めていたDeconvolutionですが、今回のこのEZ Deconでできなかったらもう2度とやらないかもしれないと思いながらやりました。まだ満足とはいきませんが、今後続けていく気にはなりました。それでもFS-60CBで撮ったのが今思うとすごすぎます。SCA260の口径が大きくてもまだ揺れが大きくて性能出しきれていないのでしょう。

まだCGEM IIで撮影した、M101が残っています。サクッと終わらせたいのですが、とにかく忙しくてなかなか時間が取れません。某天文雑誌の原稿もやっと目処がついてきました。その後、晴れてやっとCGX-Lで三つ子銀河と、M51の画像処理ができます。


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