ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2022年03月


CGEM IIの限界

SCA260を耐荷重ギリギリのCGEM IIに載せた時の振動問題。いろいろ対策はしてきましたが、この間ちょっと小さめのM100を撮影してみると、どうしても揺れが目立ってしまい、やはり限界を感じてきました。M100の画像処理はまた別記事にするとして、これまで作例として出してきたM33馬頭星雲など、ある程度画面いっぱいに広がるものは多少のごまかしが効きます。でもNGC253とか、もっと小さな銀河を目指そうとすると1分露光くらいが限界で、それ以上ではどうしても揺れが目立ってきてしまいます。


サイトロン本社にて

今後の長期的なことも考えて、もっと頑丈な赤道儀、例えばEQ8を念頭に色々考えていました。そんな折、CP+の収録でサイトロン本社に立ち寄る機会があって、昨年購入させて頂いたSCA260の結果共々、振動のこととを話していると「EQ8でいいのがありますよ」という話になったわけです。実際に展示してあったEQ8Rを触らせてもらいましたが、ちょうどSCA260が搭載されていて、触ってみても揺れそうな気配が全然なく、もう羨ましい限りでした。でも内情はというとサイトロン訪問の数日前に雪道で車で事故を起こしてしまい、車を買い替えなくてはならなくなり、妻からは「しばらく天文機材禁止」とのお達しが出てしまっていたのです。なのでEQ8などしばらくは夢のまた夢です。

そんな恥ずかしい話をしていると「CGX-Lはどうですか?」という話になりました。皆さんご存知の通り、サイトロンは長い間セレストロンの代理店でした。その当時の展示品の一つか何かで、以前から故障していて使えるかどうかもわからないものだそうです。ジャンクとして自分で直して使うのなら格安で譲ってくれるというのです。

少しだけ動かしてもらうと、何やらエラーは出ていますが、モーターは一応回転します。エラーをスキップして初期アラインメントを試しても何か動きはします。聞くと「エンコーダーを交換したり色々やってみたが、それでも直らないのでもう使う予定はない」とのこと。「物としては大きく場所もとっているので、もし自分で直してみる気があるなら...」ということなので、速攻で「やってみます」と返事をしました。そもそも、自作で大型のイギリス型の赤道儀でも作るしかないかと思っていたくらいです。動けばラッキー、ダメでも基本構造はそのまま使えるでしょうという目論見です。


どデカい箱が到着!

その後何度かやりとりをし、保証も修理もサポートもできないけれどという約束で、本当に格安で送ってもらうことになり、待つこと数週間。3月26日の土曜日の朝、とうとう自宅に届きました。配送のお兄ちゃんは力もありそうでしたが、それでも流石に大変そうなくらい大きな段ボール箱なので、一緒に手伝いながら家の中へ運びます。大きな箱が2つと、小さくて重い箱がひとつ。赤道儀、三脚、ウェイトでしょうか。

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靴と一緒に撮りましたが、そのとんでもない大きさがわかるかと思います。

一番大きな箱から開けてみます。
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どうやら三脚のようです。それにしてもでかい。これまでのAVXやCGEM IIのものと違い、内側に開き具合を制限するフレームが付いているのと、3本の脚をまとめるベルトのようなものが付いています。

広げて玄関に置いてみます。
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脚の太さは5cmから7cmに変わっただけとのことですが、とてつもなくゴツく見えます。

もう一つの大きな箱の赤道儀も出してみます。
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テーブルの上に置いてみましたが、隣のMacBook Proと比べてもその大きさがわかるかと思います。ただ、持ち運びに関しては取っ手が上下についていてバランスよくしっかりつかむことができるので、実際の重さと比べても幾分楽になります。また、このようにテーブルの上にまっすぐ置くことができるのもありがたくて、メンテナンスが楽になります。普通は赤道儀の下は平ではなく、メンテナンスで稼働させようとすると結局三脚の上に乗せる必要があったりします。

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細かく工夫されているのは、水平調整のネジの先端が丸くなっていることでしょうか。
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CGEMIIの水平調整ネジも先端はある程度加工していますが平な部分がわかります。一方、CGX-Lのほうは完全に球面になっています。

三脚と赤道儀を取り出した空箱ですが、うまく入れ込むと赤道儀の大きな箱と中身、ウェイトの小さい箱がちょうど丸々三脚の箱の中に入ります。赤道儀の二重箱の外側の箱は入らないので畳んで上に置くなどする必要がありますが、かなりコンパクトになります。

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と言っても、一つでもまだ大きいことには違いありません。

さて、赤道儀を実際に三脚に載せてみます。赤道儀の固定は横三方向から付属のM8ネジで止めることになります。その際、手で回すだけではガタついてしまうので、毎回六角レンチで締める必要があり、ちょっと手間です。
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こうやって3台並べると、今回のCGX-Lがあからさまに大きいことがよく分かります。3台同じメーカーで並べると壮観で、さながら展示場みたいでしょうか(笑)。その後、まだ繋がっていないハンドコントローラーと、電源ケーブルを電源と繋ぎ、動作確認となります。


動作チェック

ここからは賭けになります。動けば以前のPSTジャンクみたいに超ラッキー、動かなければ大きな置き物にもなり兼ねません。

まず電源を入れると、早速エラーメッセージが。写真はDecですが、何度か試すと、RAの時もあります。
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これをそのまま進めると、DECの回転が始まり、矢印ボタンで止めたりしない限り、ずーっと動き続けます。RAの時も同様で、何かしない限りは止まりません。どうもこの機能、電源を入れたら自動的にホームポジションに移動するという、CGX以上で搭載されている目玉の機能のようです。この機能があるために、赤経も赤緯も初期位置を示す三角マークとかが見当たりません。自動でホームポジション状態になるので、そのようなマークは必要ないということみたいです。

とりあえずBackボタンでスキップできるようなので、何度かBackボタンとEnterを押して次に進みます。するとCGEM IIの初期画面と同じになります。ここからさらに進め、(昼間の確認なのでまだ確実ではないですが)ベテルギウスで初期アラインメントを取ってみると、どうやらそれらしい方向を向くようです。その後、耳を澄ますとジーッという音がしているので、追尾も一応動いているようです。

この時点でエラーが出るのはエンコーダに問題があるのではと推測しました。そこで、Stellariumで赤道儀と接続して信号がどう出ているのかチェックしてみることに。初期アラインメントで赤道儀はすでにベテルギウスらしい方向を向いています。この状態でStellariumを赤道儀に接続すると、なんとStellarium上では既にベテルギウスにいると指し示しているではないですか!これは明らかにエンコーダーは生きていることを示しています。ここから考えるに、どうもエンコーダの故障とかではなく、CGX以上では初期位置確認のセンサーが独立にあって、今回はこれがなんらかの理由で働いていないようです。

言い換えると、エンコーダも動いているので、最初のホームポジションへ行くのさえ手動でやってしまえば、あとはガイドやプレートソルブさえも動くかもしれません!


トラブルシューティングの一例

ここで一旦動作確認を終えて、電源を入れ直しエラーについてもう少し把握することにします。まず、ハンディーコントローラーに問題がないか試します。

同じメーカーの機器を使い続けることの利点の一つが、共通の部品を使えることです。今回は、コントローラーが計3つあるので、CGEM IIのものとAdvanced VXのものに順に交換してみました。コントローラーによってはなぜか赤緯モーターが回らないことがありましたが、エラーメッセージはどのコントローラーでも出るので、コントローラーが原因とは考えにくく、CGX-L本体からエラーが発生している可能性が高いという結論を出すことができます。

何度か電源を入れると、たまにCGX-Lと認識されずに、機種がわからないか、オリジナルのGTとして認識されることがありました。この時はCGX-Lのバージョンなども不明と出てしまうようです。これは電源を入れ直すことでCGX-Lと認識されたのと、頻発するようではないので、まあ放っておくことにしました。

さて、こういった時のトラブルの際の解決方法の例ですが、まずは表示を日本語から英語にします。出てきたエラーメッセージをGoogleなどで検索すると、日本語のページでは引っかかりませんでしたが、海外には同じような状況になっている人が何人かいるようです。その中で、Cloudy Nightsにドライバーのアップデートで解決したというのがまず見つかりました。そのため、CelestronのFirmware Managerを使いハンドコントローラーとCGX-Lのドライバーを最新のものにアップデートします。

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この時少し失敗して、もともとどのバージョンが入っていたか確認するのを忘れてしまいましたが、とにかく繋がっている機器(今回の場合はハンドコントローラーとCGX-L)のファームを最新のものに置き換えてくれるようです。アップデートが終わると、更新された様子が表示されます。
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ただしこれ、ハンドコントローラーで確認すると違う数字が出るのですが、まあ気にしないでおきましょう。
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少なくともFirmware Managerで出てきたバージョンはCloudy Nightsで示されたものより新しいので、大丈夫でしょう。

さてこれで再度電源を入れ直します。結果はというと、やはりまだ同じエラーメッセージが出ます。念のため工場設定に初期化することなどもやってみましたが、それでもダメです。

どうもファームのせいではなさそうと判断し、もう少し探ります。すると、ケーブルが抜けているのが原因だったという投稿がCloudy Nightsに見つかりました。構造的にケーブルがねじれて抜けるか切れるかする可能性があるとのことです。さらにそのリンク先を辿っていくと、CGXの全バラ写真が大量に投稿されているページに行き着きます。CGXとCGX-Lは三脚の違いが主なので、このページはかなり助かります。

どうやら一部分解してケーブルのチェックをすることで何とかなりそうな目処がついてきました。実際の分解は次回時間がある時にやるとして、この時点で天気が良さそうなので外に出して実際に設置してみて、できれば撮影まで試してみることにしました。


外に出してみる

まず移動ですが、少なくともCGEM IIのように赤道儀と三脚を一度に運ぶことは到底できません。重さもそうですが、大きすぎて赤道儀があると三脚を掴むところまで手が届きません。運ぶときは3つのネジを六角レンチで緩めて一旦外し、別々に運んでまた組み上げてネジを締める必要があります。両手で持てる2つの取っ手がついていることと、赤道儀の下面が平らなので、そこら辺に置くことができるので、運搬に関しては思ったより苦にはなりません。

その上にSCA260を載せてみました。これまでのCGEM IIよりもかなり位置が高くなるのですが、鏡筒にも取っ手をつけているのと、同時に下側のアルミプレートの先端を持つと斜めに傾けながら持ち上げることができるので、そこまで無理することなく赤道儀に取り付けることができます。標準で10kgのウェイトが付属しているのですが、かなり端の方に固定するとこのウェイト一つでバランスを取ることができました。また、鏡筒を載せた状態で脚の一本を持ち上げ、水平を撮るために脚を伸ばしたりすることもできました。とりあえず、思ったより持ち運びと設置は大変ではなく、遠征に持って行くのも無理ではないなとの感想です。

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SCA260を乗せた後に、実際に突っついて揺らしてみました。明らかに揺れが小さいです。全く揺れないわけではないのですが、共振周波数が高くて揺れがすぐに収束します。もしうまく動いてくれるならですが、これは期待できそうです


極軸調整

暗くなってきたので、次はガイド鏡を取り付けてのSharpCapでの極軸調整です。ほとんどの過程は問題なかったのですが、最後に固定ネジを締めると角度がずれてしまうことがわかりました。垂直は2つのネジを手で締めて固定、水平は4つのネジを六角レンチで締めて固定します。この時、最後の最後のキュっと締めるときにどうしてもずれてしまいます。そのため、そこそこ極軸が合ってきたらある程度ネジを締めてしまい、最後はあまりきつく締めすぎないようにそこそこ固定することで、ズレを抑えて極軸を合った状態に保ちました。


実際に天体を入れてみる

その後、あらかじめ赤経赤緯ともにホームポジション付近に固定してから、赤道儀の電源を入れます。昼間に試したようにポジションエラーをスキップして、あとはこれまでのCGEM IIと同様にワンスターアラインメントでベテルギウスを導入、自動追尾といきます。少なくともみている限り特に問題はないようです!

ハンドコントローラーのUSB端子とPCを接続して、SharpCapでプレートソルブも試しましたが、全く問題なく赤道儀に信号を返して位置補正までしてくれました!

また、PHD2を使ってオートガイドも試してみました。ここで一つ問題発覚です。どうも赤経方向に周期的に揺れが出ます。
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上の写真のグラフの横軸は全部で400秒ですが、左から真ん中にかけてに10秒くらいの周期で大きな揺れが出ているのがわかると思います。(追記: その後調べましたが、CGXでちょくちょくこの現象出てくるようです。赤経のみで赤緯での報告は見つかりませんでした。なにか根本的に理由があるのかもしれません。)その結果として、右の同心円グラフでみても横方向に大きな幅が出ているのがわかります。その時の撮影画像が下になりますが、やはり一方向に伸びているのがわかります。この方向は赤経方向に一致します。

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ここで露光時間を1秒から0.2秒することで周期的な揺れを抑えることができました。上のPHD2の画面の途中で変えたので、グラフの半分くらいから右側で周期的な揺れが減った様子がわかるかと思います。

その後、いくつか設定を変えて続けてみたのが下の写真になります。露光時間以外もいじっているのがわかるかと思います。
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結果として、同心円でみても縦横のバランスが取れた状態になったことがわかります。


フルサイズでの四隅の状態

その後カメラにフルサイズセンサーの借り物のASI2400MCを使い、バラ星雲を導入し撮影まで試してみました。揺れの影響を見るために、3分、5分、10分と撮影しました。

3分露光。
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5分露光。
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10分露光。
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なんと、驚くことに10分でも4隅までほぼ真円を保っています。思わずヤッターと叫んでしまいました。これはもう十分すぎるほど満足な結果です。これまでの苦労が何だったのかというくらいです。でもだんだん改善されていく様子はものすごく楽しかったですし、またこれまでの苦労があったからこそ、このありがたみが実感できるのかと思います。

もう少し見てみます。3分と10分を比べると、3分の方が星像が鋭いこともわかります。これはシンチレーションなども合わせた揺れが積分されたため、長い時間の露光の方が大きくなってしまったのかと思われます。


いよいよオフアキを本格稼働か

その後、もう一つ気づいたことがありました。上で喜んだ後、三つ子銀河を導入し、実際に長時間撮影を試み何枚か撮影していると、途中から複数枚にまたがって斜めに大きく流れはじめたことに気づきました。

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このフレームの少し前に子午線を越えてしまっていて、それが原因なのかわかりませんが、PHD2で見ても流れていないので、何らかのたわみが発生し始めたのかと思います。赤道儀を反転したらこの流れは無くなりました。今のところはっきりとした原因は不明ですが、もしたわみだとしたらいよいよオフアキの出番となります。


今後

とりあえず今回はここまで。初期ホームポジションの移動以外はすでに実用的にも問題なく、十分振動が抑えられてかなり満足なのですが、やはりきっちり直したいので、次は分解してエラーメッセージが出なくなるか試してみます。


3月3日にSCA260で撮影した馬頭星雲。



作例として仕上げるために、合計6晩も撮影を続けました。 


目的

今回の目的は、
  1. ある程度振動対策を施したSCA260で、3分露光で多数枚スタックしてどこまで恒星が点像に迫れるか見る。
  2. 馬頭星雲の、特に本体の暗黒帯部分で、細部がどこまで出るか見る。
  3. 近くのアルニタクのゴーストを抑えることができるか?
  4. 馬頭星雲のすぐ下のNGC2023の青がどこまで出るのか見る。
などです。


長期間撮影

さて6日に渡って撮影を続けた理由ですが、この時期のオリオン座は早い時間に西の低い空に傾き、高い位置で撮るには時間が限られてしまうからです。実際、6晩のうち前半3晩は、曇っていたりでセットアップに時間がかかり、撮影開始時刻が21時とか22時以降になってしまい、かなり低空での撮影からになってしまいました。後から見返すと低空の霞や雲のせいか、背景が明るすぎて星雲本体が淡くしか出ていなかったり、画面にムラがあったりしたため、3晩分の画像はほぼ全て処理には使えませんでした。


アルニタクとの攻防

特に不思議だったのが、最初の2晩にだけアルニタクのゴーストが顕著に出てしまったことです。というより、最初にゴーストを見たときに、これをどうやって除去したらいいのか真剣に悩んだのですが、フィルターなど設定を全く変えることなく後半の撮影ではゴーストが消えていました。やはりかすみのせいなのでしょうか?これはいまだに理由がわかっていません。

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上部に大きな輪っかのようなゴーストが出てしまっています。

さらに、アルニタクの周りに青い光芒が見えますが、これは高度が高い場合には出ることがなくなりました。こちらは低空の霞で散乱されて出てきていたのかと推測します。

光条線は最後まで残ってしまいました。だいこもんさんが光条線を短くする方法を提案してくれてましたが、これくらい輝度差がある恒星が画角近くに入ってくる場合は試す価値がありそうです。




振動について

今の赤道儀CGEM IIに重いSCA260を載せると振動はどうしても残ってしまいます。これまで鏡筒の軽量化を中心にいろいろ振動対策はしてきましたが、やはり露光時間1分程度が実用範囲、今回のように3分露光だと採用率がかなり下がってしまいます。風がほとんどない場合でも揺れは残るので、風が強い日はほぼ全滅です。ただ、揺れの方向はある程度ランダムになっているので、多少星像が歪んでしまっても多数枚のスタックで平均化され、仕上がりはマシになると思います。


画像処理処理に使った枚数

撮影枚数は、使わなかったものを含めると
  • R: 48枚、G: 66枚、B: 61枚、Hα: 58枚
となります。3分露光なので、
  • R: 144分、G: 198分、B: 183分、Hα: 174分で、合計11時間39分
とかなりの長時間になります。そのうち、ある程度まともで使おうとしたものが
  • R: 22枚、G: 31枚、B: 31枚、Hα: 35枚
となります。落とした画像のほとんどは6晩のうちの前半3晩のもので、撮影開始時間が遅くて低空の霞などのためです。前半3晩は撮影枚数、採択率も散々で、わずか
  • R: 0/12枚、G: 3/10枚、B: 3/10枚、Hα: 4/22枚
というものでした。後半の3晩は、前半の反省から早い時間に準備したため、一気に撮影枚数と採択率があがり、
  • R: 22/36枚、G: 28/56枚、B: 28/51枚、Hα: 31/36枚
となりました。後半使わなかった画像の多くは、やはり時間が遅くなり低空になってしまったものです。それとは別に、揺れてしまって使えないものがありましたが、それらの率はそこまで多くありません。

さらにですが、使おうとした枚数とPixInsightで実際に使われた枚数は少し違って、
  • R: 22枚、G: 30枚、B: 22枚、Hα: 23枚
枚でした。registeredフォルダを見ると実際にスタックされた枚数が判明します。BとHαがかなり落とされてしまいました。今まで気づいたことがなかったのですが、スタック時など特に位置合わせがうまくいかない時に弾かれるようです。なので今回は合計時間は思ったより少なくて、合計291分で4時間51分でした。パラメータをいじることでもう救い上げることができそうなのですが、もしかしたらこれまでの作例でもPIに登録した枚数より実際にスタックされた枚数のほうが少なかったケースがあるのかもしれません。


西の低空の影響

少し西の低空の影響がどれくらいあるのか見てみます。

1. まず、3月9日の19時13分と22時41分をB画像で比べてみます。19時のをオートストレッチにかけて、同じパラメータを22時のものに適用しました。

19時13分のB画像。
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22時41分のB画像
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明らかに22時台のほうが明るくなり、馬頭星雲が薄くなります。一番のポイントはNGC2023の写る範囲がせまくなっていること。

2. 続いて、3月10日のRを20時16分と22時53分で比較します。

20時16分のR。Bより馬頭星雲がクリアに出ているのはわかりますが、星の数が全然増えています。
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22時53分のR。この日は西が相当明るかったようです。
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これをオートストレッチしただけだと同じような明るさで比べることができます。
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明らかに淡いのとともに、画面にムラがあるのが分かります。薄い雲のせいでしょうか?

3. その一方、同じ3月10日のHαだと背景に差があまり出ません。

19時45分と
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22時21分です。
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あまりに背景の明るさが変わらないので、最初ミスかと思って再確認しましたが、やはりきちんと19時のパラメータで22時のもストレッチされてました。背景光の影響があまり出ないのはやはりナローバンドの威力と言っていいのでしょうか。背景光の明るさに差はなくても、細部ので方はきっちりと差が出ていて、やはり高度のある19時台の方が細かいです。あと、恒星の数がRに比べてかなり少なく、GやBと同程度です。波長から考えたらRに近い数が出ると思ったのですが、Hα以外の赤い領域でも多く光っているためRと差が出たということなのかと思います。

赤に比べて波長の短い青は低空でより散乱しやすいので、やはり青を出したいときはできるだけ高度が高いところで撮影するのが良さそうです。また、RでもHαでも細部の出方は結構違うので、こうやってみるといずれにせよ高度のあるところで撮るのが有利なのがわかります。


7nm Hαフィルターの効果

実はナローバンドフィルターをRGBと混ぜたのはまだほとんど経験がなくて、M33の赤ポチで混ぜたくらいです。そこで、ちょっと蛇足ですが今回使った7nmのHαフィルターを使うとどれくらい得するか、簡単に見積もってみたいと思います。

可視光が400-750nmと仮定して、光量が波長によらずに平均的に広がっていると仮定します。Hαが7nmなので、波長だけで単純にフィルターなしの場合と比較すると7/350 = 1/50と背景光は50分の1程度になるわけです。フィルターなしで撮影する場合に同程度のクオリティーにしようと思うと、50倍の時間をかける必要があります。

これは次のように考えることができます。シグナルに当たるHαはフィルター有り無しで変わらないとして、背景光が50倍だとしたらスカイノイズはルート50~7倍程度増えます。Hαフィルターをつけた場合に比べて、フィルターなしの時は、背景光ノイズに関してはルート50倍ノイジーだと言うことです。ルート50倍ノイジーなものを、同程度にするためには50倍の露光時間にする必要があり、そうすると信号は50倍ノイズはルート50倍になるので、S/N(Signal to Noise ratio)では50/ルート50 となり、ルート50倍得するというわけです。

Redフィルターの透過範囲が600nmから700nm程度なので、それとHαと比べても100/7で15倍程度となり、背景光に関してはRフィルターで15倍程度の時間をかけて、今回のHαと同程度となります。うーん、これはかなり大きな差ですね。この明らかにS/NのいいHα画像をどうやって混ぜ込んでいくかがキーになるのかと思います。


画像処理

RGBの画像処理はこれまでと特に変わりはありません。PixInsightのWBPPです。

初日の画像だけで処理した低い空のものはこのページの一番上の画像なんですが、強度のすとれっちをかけてあるので、普通のオートストレッチで見てみます。
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赤が弱く、アルニタクのゴーストと青い光芒が目立ちます。その一方、NGC2023の青が不十分です。

次はここまで使ったRGBをほぼ捨てて、オリオン座が高い空の時にRGBをほぼ全部を撮り直した場合です。NGC2023がかなりはっきりしてきました。アルニタクのゴーストが(なぜか)消え、青の光芒もなくなりました。赤もはっきりしてきました。結構いい感じですが、左下辺りにどうも緑のムラがあります。

Image17_PCC

ちょうどこの時期にPixInsightの1.8.9へのアップデートがあり、WeightedBatchPreprocessing Scriptにlocal normalizationが加えられたとのこと。local normalizationはこれまで使ったことはありませんでしたが、薄雲越しのムラができやすい撮影や、複数の日にまたがり条件が変わる撮影などの場合に、状態を合わせてくれる処理のようです。WBPPの中で自動で行われるとのことなので、実際にオプションをオンにして試してみました。

アップデート前(上)と後(下)でG画像を比較してみます。
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他は特に何もしていませんが、明らかに違いますね。ムラがかなりきちんと撮れてストレッチに伴い細部がかなり出ています。このG画像を使ってRGB合成した結果は以下のようになり、かなりまともになってきました。

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まだBに少しムラがある気がしますが、B画像はアップデート前後でほとんど違いが出ませんでした。とりあえずまだ不明な点も多いのですが、今後理解していきたいと思います。

RGB画像はPixInsightでストレッチまでして、Starnet++ Ver.2で恒星と背景を分離して、Photoshopに引き渡します。Hα画像もストレッチまでして、同様に恒星と背景を分離します。

恒星に関してはPCCを施したRGBの色が正しいと仮定して、Hαの恒星は捨てることにしました。Photoshop上でHαg像をレベル補正を使いRに変換し、それを「比較(明)」でレイヤーとして重ねます。元のRをを調整することで重なり具合を調整できますが、Hαの細部の暗い部分が鈍ってしまう可能性があるので、もう少しいい方法を見つける必要がありそうです。もちろんPixInsightの段階で重ねてもいいのですが、後に微調整をしたくなることを考えると、現段階ではPhotoshop上で処理してしまった方が楽そうです。


結果

最終的にできた画像が以下になります。

「IC434: 馬頭星雲」
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  • 撮影日: 2022年3月3日22時46分-23時7分、3月4日22時4分-22時14分、3月8日21時58分-23時06分、3月9日19時13分-22時25分、3月10日19時45分-22時2分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB, Hα:7nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、R: 22枚、G: 30枚、B: 22枚、Hα: 23枚の計97枚で総露光時間4時間51分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 RGB: 0.08秒、Hα: 1秒、それぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

まだHαからの赤が強い気がします。もう少し落としてもいいかも。馬の頭の中を含めて、細かい模様はそこそこ出たと思います。NGC2023は青色は出ましたが、もう少し細部が出てもいい気がします。画像処理の腕がまだまだなのかと思います。恒星の星像はスタックするとかなり真円に近くなりますが、少し同一方向に延びています。これは赤道儀特有の揺れが残ってしまった部分かと思います。

それでもそこそこ撮れたので、まあ満足かと思います。


まとめ

かなり長い期間かかって、やっと画像処理までたどり着けました。最初に撮影した分だけで処理したときは、ゴーストもあれば、色は全然出ないで、どうしようかと思いました。低空での撮影が問題だとわかってやっと目処が立ってきました。

SCA260での撮影は、今の赤道儀ではどうしても振動が取り切れません。同じ日の夜半過ぎからM100とM101を撮影してあり、まだその処理が残っています。今回のような画面全体で見るような星雲とかはまだいいのですが、小さい系外銀河などでは揺れによる星像の悪化がどうしても目立ってしまうことがわかってきました。撮影した銀河の処理を見てからの判断ですが、赤道儀をもっと頑丈なものにしていく必要がありそうです。

あ、今回の馬頭星雲、暗黒帯の中の模様も出てきたので結構満足して妻に見せました。でも中の模様のせいか馬の頭とは全く認識できないみたいで、首のない進撃の巨人にしか見えないとのことです。あーぁ、画像処理は奥が深いです...。



名古屋市科学館から満天NAGOYAへ



名古屋市科学館で2回のプラネタリムを堪能した後、常設展示に後ろ髪を引かれつつも時間も勿体無いので移動します。最寄りえきは矢場町ですが、時間稼ぎで栄まで歩き、そのまま地下鉄東山戦に乗り、名古屋駅の次の亀島駅まで移動しました。

その頃家族はというと、バンクシー展を見てからすでにイオン近くに来ていて、あらかじめ調べてあったラーメン屋に行っているとのことです。私は時間的にはきびしかったので、イオンの中で食べればいいやと、とにかく移動します。

亀島駅からイオンモールに行くのは苦労しました。広すぎてGoogleマップを見てもどちらから回っていけば入り口側に行くかわからなかったのです。結局裏の駐車場入り口側に回ってしまいましたが、店内に入ることはできました。その中からさらにプラネタリウムに行くのに人に聞きながら、3階にあるということがわかり、やっとのことで辿り着きました。

プラネタリウム近くに行くと何故か息子が椅子に座って休憩しています。「プラネタリウム一緒に見るか?」と聞いてみると、開口一番「ラーメン美味しかった!これまで食べた中で一番美味しかった」とのこと。食べることができない私にとってはそんなことはどうでもよく、「プラネタリウム見る?」と再び聞くと、珍しく「うん」とのこと。

一番早いプログラムは高校生が主人公のアニメ。次の回がポケモン、その次が宇宙ステーションから見た映像がメインのものでした。そこまでは待てなかったので、結局一番早い15時からのチケットを2枚取ります。高校生がどう星に絡むのか楽しみです。

開演まで30分くらい時間があったので、急いで昼食を取ります。すると、通りがけのフラダンスショップには妻の姿が。ちょっと前にフラダンスを趣味で始めたので、都会のフラダンスショップに一度来てみたかったとのことです。声をかけたのですが、趣味なので自分と同じで説明が長くなりそうだったので、何とかふっ切ってフードコートに。早く出てきそうなカルビ丼を頼んで、急いでお腹にかきこみます。気づくとすでに入場開始の14時50分、エントランスへ移動です。


いよいよドームの中へ

エントランスで客層を見てみると、友達同士の若い女性がかなり多く、他はカップルのみです。我々のように男複数というのは全くいません。しかもアニメといっても子供向けではないので家族連れの姿も全くなく、すでに浮いているかもしれません。

すぐに案内があり、中に入ります。

中ではすでにプログラム前のデモ映像が流れています。指定された席に座って上を見上げてしばらく見ていましたが、この時点でもう完全に圧倒されました。壁から天井全体に一面に直接配置された高輝度LEDでこれまでのプラネタリウムでは表現できなかった映像を次々と映し出します。オーロラが出たり、メテオストライクみたいな映像がありましたが、感動したのはたまに流れる極々普通の空の風景。例えば雲が流れる星空、普通のプラネタリウムでは絶対にありえない映像です。昼間の青空が綺麗に表現できるのもLEDのコントラストのおかげかと思います。夕方の星が出始める黄昏時の雰囲気も十分に出ています。これはすごい!

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技術的なところを見るために、席を立って壁際のLEDの写真を撮ってみました。LEDのピッチは数mm位でしょうか、間近で見たら一つ一つのLEDが認識できますが、少し離れたところではもう個々のLEDは全くわからなくなります。LEDはおそらく数10cm x 数10cm程度のシート単位になっていて、よく見ると境目がわかりますが、これも将来は解決されていくでしょう。これだけの数のLEDをムラなく表示させるのはかなりの技術なのかと思います。

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男二人組で、しかも壁際に行って写真を撮ったりしているので、ちょっと変な人と思われたかもしれません。プログラムが始まる前に写真を撮ること自体は問題ないみたいで、他のお客さんも空の写真をたくさんとっていました。でもこの極々普通の空の風景、これがどれだけ普通のことではないのか、できるならこの場で見ている人全員に理解して欲しいです。エンターテインメントはこういった最先端の技術を贅沢に消費していくのですが、それでお客さんが入り、星好きな人が増えてくれるとすごく嬉しいです。満天NAGOYAを見た方は、是非とも名古屋市科学館をはじめ全国にあるプラネタリウムにも訪れてくれればいいなあと思います。

さて、実際のプログムラムについてはネタバレになるので詳しくは書きませんが、普通のプラネタリウムレベルの正確な空を何度も映し出してくれます。ここら辺はさすがコニカミノルタです。不思議な感覚だったのは、主人公が見ている方向によって座っている観客の空の方角が一瞬で変わること。南向きの空、西向きの空、あともう一方向と三方向がセットされていました。普通の投影型のプラネタリウムでは方角が変わることは絶対にありません。おそらく今後見ている方向がさらに増えていったり、リアルタイムで方向が変化していくような映像も用意されるのではと思います。一つだけネタバレ、最後の方に出てきた街中の夜明けの空は、まるで本当に外に出ているような、ものすごくリアリティーのある風景でした。

振り返ってみると、やはりものすごいです。これまでもプラネタリウムの印象を完全に覆します。将来的にはこの形式がかなり増えるのではないかと思います。今後はもっと他の状況も再現してくれるのかと期待します。例えば皆既月食、さらには皆既日食も再現できるのではと思えるくらいです。雲越しの月とか、冬の満月の静けさとか、そんな雰囲気まで再現してくれたらと思います。あ、一つどうしても表現できないものを思いつきました。さすがに雨は再現できないと思います。

その一方、星空に関しては普通の投影型プラネタリウムも負けてはいません。満天NAGOYAのようなLEDを壁面に埋めるタイプでは、暗い空と星のコントラストは出ますが、星雲、銀河など、細かい表現は限界があるはずです。今回失敗したのは双眼鏡や星座ビノの類を持っていくのを忘れてしまったことです。最近の高性能プラネタリウム映像を双眼鏡で見ると、例えばアンドロメダ銀河などもきちんと見ることができます。LEDタイプのプラネタリウムで双眼鏡などの倍率を上げた時の映像は果たしてどうなるのでしょうか?ここら辺の追求はまだこれからの課題なのかもしれません。もしかしたらLEDと投影のハイブリッドとかも出てくるのかも。

満天NAGOYAは、LED埋め込み方式を採用した日本で初のプラネタリウムです。そして本日3月24日、横浜にも2つ目の同じ方式のプラネタリウムがオープンしました。名古屋の方でまだ見てない方はもちろん、関東の方もぜひ見に行ってください。天文ファンでこれまでのプラネタリウムに詳しいなら、全く新しいプラネタリウムの表現を思う存分楽しめるかと思います。


その後、SCOPIOと三基光学館へ

さてさてその後ですが、地下鉄東山線をさらに乗って天文ショップSCOPIOに顔を出しました。店長さんと満天NAOGYAの凄さを確認しあいました。

店内に来年中学に上がるという男の子と、その子のお父さんとお母さんがいました。お母さんの方から話しかけてくれて、どんな望遠鏡がいいのか聞かれました。ちょうど店長さんからCelestronのStarSense Exprolorerの説明を受けていたので、これいいですよと勧めておきました。子供が中学入学祝いでどうしても望遠鏡が欲しいので、子供にせかされて遠くから来たとのことです。その子とも少し話して、本当に興味がありそうだったので本を勧めておきました。店の中でも熱心に読んでいたので、結局この日は本だけ買っていましたが、すぐに望遠鏡も買うことになるのかと思います。こういった子を育てていける、リアル店舗がある都市部はちょっと羨ましいです。

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その後、実家への帰り途中に地下鉄を栄で降りてトップカメラを覗きました。特に何も買わなかったですが、科学館から数えて4箇所も天文関連で周り、大満足の一日でした。

次の日は朝早くから妻の実家の神奈川県の相模原に移動です。昼頃には着いて少し時間があったので、相模原市の田名にある三基光学館に立ち寄りました。秋葉原から移転してきたのですが、妻の実家から2キロくらいで無理すれば歩いてもいけるような距離にあったりします。

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でも残念ながらこの日はお休みなようでした。店長さん、ずっと体調を悪くしていたようですが、最近のブログで元気になってきたとの書き込みがあったので、お会いしたかったのですが。

時間が余ったので、子供と一緒に同じく田名にある淡水の水族館「相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら」に行きました。ここはタナゴ専用水槽や、タガメやゲンゴロウ、ミズカマキリなどの珍しい水生昆虫もいて、意外なほど楽しめます。

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この日の宿泊は「相模川自然の村清流の里」です。妻の実家の常宿だそうです。安くて食事も豪華で、久しぶりの宿泊での料理を堪能できました。でも運転疲れか体調を崩してしまい、夜も天気が悪かったので、電視観望セットも持っていたのですが結局披露もできず。

次の月曜日には、南大沢に向かいアウトレットモールへ。こんな人が集まるイベントは本当にひさしぶりです。ついでに近くにある学部時代のサークルの部室を覗いたりしました。昼過ぎには高速に乗り、富山に戻ります。

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3連休で富山から名古屋、相模原、富山実家巡りという、久しぶりの家族大旅行でした。私は天文関連で十分楽しめましたが、家族もそれぞれ楽しんだようです。何が一番良かったかと聞いたら「ラーメン!」とのこと。なんだかなぁ...。



3月の連休、名古屋の実家に帰る機会があり、名古屋市科学博物館と昨年末にイオンモールのノリタケ店にできたLEDタイプの全く新しいプラネタリウムに行ってきました。


久しぶりの家族での遠出

3月18日の夜遅く、名古屋の実家へ向かって走ります。家族で実家に行くのも2年ぶりです。次の土曜に朝からフルで遊ぶため、夜中移動です。到着したのは午前1時頃。その日は寝るだけですが、もう母親もいい年なのと、昨年の足の骨折で無理を言えないので、布団などは到着してから自分たちで敷いてそのまますぐに寝ます。

朝は早くから起きて、早速科学館に向けて出発。私以外はプラネタリウムなんか興味がないと、名古屋駅あたりでやってるというバンクシー展へ。午後にイオンで合流することにしました。


名古屋市科学館

前回名古屋市科学館に来たのはもう2年半前になります。



その際は午後遅くに到着したために、プラネタリウムを見ることができませんでした。その鬱憤を晴らすべく今回は2回連続で見ることにしました。

科学館は外観だけで相変わらずインパクトがあります。

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この日は隣で木下大サーカスのテントが出てました。そう言えば昔名古屋で子供を連れてサーカスを見たことを思い出しました。ちょっと見たい気もしましたが、今回は時間が取れそうも無いので、天文に集中です。

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スケジュールを見ると、11時20分のファミリー向けの回と、12時40分の一般向けの回があります。ちょっと迷ったのですが、とりあえず両方見ればいいかと思い、400円追加で2回分の席を取りました。その後、知り合いの学芸員さんに挨拶してきました。研究会などでちょくちょくお会いしている方です。突然の来訪にも関わらず、お忙しいところ丁寧に対応して頂いて恐縮でした。この日のこの方の解説は5回目の公演とかで、残念ながら直接聞くことができなくて残念ですが、とにかくここのプラネタリウムの解説はすごくレベルが高いので他の方の解説も楽しみです。

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プラネタリウム開始時刻まで少し時間があったので、常設展をちょっとだけ見ました。

実は名古屋市科学館は常設展の充実具合が尋常ではなく、冗談抜きで丸一日いても全く飽きることがありません。私が小学生の頃やはり一人で来て、お弁当持参で朝から晩までいました。今は私が通っていた頃に比べて建物が倍増されて常設展エリアは倍増していますので、さらに楽しめるはずです。この間、富山のスーパー宙ガールの小6のMちゃんに会って話した時も、名古屋に来ると「必ず科学館に行き、始まりから終わりまで8時間たっぷり滞在する」と言ってました。まあ、科学好きな子にとっては当たり前のことなのかもしれません。もうこれくらい楽しいところなので、もし余裕があるなら十分な時間をとっていくといいかと思います。

プラネタリウム開始直前に実験のパフォーマンスがありました。時間ギリギリでしたが途中で抜けてもいいというので10分程ですが見ていきました。博士と助手という役で、小さい子にも受けるようにかなり考えられています。空気砲やピンポン球をドライヤーで浮かすとか、短い間に次々とネタを披露していきます。深皿もドライヤーで浮かすことができるのは結構面白かったです。これが浮くと思った人は観客の中でわずか3人だけでした。ここら辺のやりとりは、子供たちどう話せばいいかなど、とても参考になります。


いよいよプラネタリウム

時間になりプラネタリウムへ。まだこの日の初回だからなのか、まだガラガラで指定席と知らずに空いてる席に座ってしまいました。

この回はファミリー向けというので、最初アニメか何かでもやるのかとあまり期待していなかったのですが、全くそんなことはなく全編生解説です。次の日の春分の日の説明があり、前の日の満月の説明と月の満ち欠けの説明があり、冬の大三角とダイアモンドなど、子供がいようがいまいが手抜きの様子がこれっぽっちも見られません。私が一番好きな、街中の星空から光害のない星空へ移る時の、真っ暗になって星がバーっと見えてくる様子もたっぷりと堪能できます。テープ解説や出来合いの映像を流すプラネタリウムとは明らかに一線を画した名古屋市科学館。ファミリーコースという名に惑わされてはいけません。充実のプログラムです。

終わってからプラネタリウム機材を見ながら解説席の方に目を向けると、先ほど挨拶に伺った学芸員の方がいました。実はこの方とは以前観望会について電視観望のことを少し話したことがあり、今回観望会のための機材などを紹介していただきました。


科学館での観望会

まずは口径80cmの三鷹光器製の望遠鏡。この日は一般に公開されていてドーム内に入ってみることができ、昼間のアークトゥルスに向けてありました。残念ながら曇りで、過去映像が出ているのみでした。

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大型の赤道儀に鏡筒が設置されていますが、これはわざと鏡筒側を下に、ウェイト側を上に置き、覗きやすくしたそうです。メートル競争には参加せず、80cmは都会ならこれが最大と根拠を持って決めたそうです。

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80cm望遠鏡に入る手前の屋上の開けた所が夜の観望エリアで、多い時には200人が入るそうです。

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ポイントは退避エリアがあること。雨などの機材の退避や、雷時の人の退避エリアの役割もあるそうです。こういったことは以前からの経験がとても効いているとのことで、2011年のリニューアルになってようやく長年の不満や必要だと思っていたことが実現できたそうです。例えば望遠鏡を出し入れするのに、以前は重い機材を階下から出してくる必要があったのですが、今は待避所の奥の倉庫からすぐ出すことができるそうです。

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倉庫の中を少し見せていただきましたが、その機材の運搬機が秀逸です。EM400にTOA150を載せてあるセットが5台程あったでしょうか。

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これにぴったり合うような専用の運搬機を用意しています。この運搬機、一見特注のようですが、よく見ると市販のキャリー台に一部のみ特注のアダプターをつけて、大型の望遠鏡を簡単に持ち上げて安定に移動し設置できるように設計されています。昔から科学館の企画展示を請け負ってくれていた会社と一緒に考えたとのことで、数百人規模の観望会を定期的に頻繁に、いかにスムーズに実行するために、各所に相当の工夫がされていることがわかります。

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他にも電源を取るためのコンセントが屋外なのに何箇所も設置されているとか、栄、名古屋駅方面の明るい方向を目隠しする壁とか、南側を確保する屋上設計とか、非常によく考えられています。

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屋外コンセントが多数あります。


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街明かりを防ぐ壁と、そこに観望会に役に立つ図が書かれています。

ちなみに以前の観望会の屋上の場所を教えてもらいましたが、エアコン室外機が観望方向にあったなど、反省点が多くあり、そういったことから今の形が出来上がったとのことでした。

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以前の観望会の場所。
ちょうど南側に室外機があって空気はゆらゆらだったそうです。


2回目のプラネタリウム一般コースへ

色々説明していただいている間に、次の一般向けのプラネタリウムの時間が迫ってきました。プラネタリウムドーム内に戻り、機材の説明までしていただきました。

メインの投影機が真ん中の大きな球体ですが、左に見える低い装置が太陽を投影するもの、右に見える小さい装置が天の川を投影するものだそうです。
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このCarl Zeissの機材、600という番号が示す様に600番目のプラネタリウムとのことです。もう見ているだけでその機能美に惚れ惚れします。

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クリックして拡大すると、シリアル番号が見えます。
プラネタリウムを見た際はぜひ自分の目で確認してみてください。

今回お忙しい中、学芸員の方に観望装置、プラネタリウム機材など色々解説していただきましたが、いつか名古屋市科学館で私が持っている技術の電視観望で観望会を実現してみたいです。地元名古屋に貢献できればと思うのと、都市部での観望会がどれくらい大変なのか、一度経験しておきたいという思いがあります。

一般コースのプラネタリウムも十分満足です。この日二度目でも全く飽きることのない、隙のない生解説。未来の空というテーマも面白かったです。単に何万年か先の空を見せるだけではなく、どの星が今の位置からどれくらい動くか、近い星はよく動き遠い星はあまり動かないなど、理由と共に線で結んで表示してくれます。「科学館」の名に相応しく科学的なアプローチで、天文マニアでも十分に満足できる内容でしょう。

一般コースが終わってから、再び学芸員の方と話す機会がありました。その際の会話中で、昨年新しくオープンしたイオンの名古屋ノリタケ店の中にある、コニカミノルタのLEDタイプのプラネタリム「満天NAOGYA」の話になりました。コンテンツの内容を事前に調べていたのですが、正直言うとあまり興味のある内容ではなかったので迷っていたのですが、学芸員の方から絶対見たほうがいいというアドバイスをいただきました。なんでも名古屋市科学館もリニューアルの時にLED壁面設置をやりたかったとのことですが、当時の技術ではLEDの詳細化ができなかったことと、重みで壁が耐えられなかったとのことです。イオンの方はエンターテイメント、科学館は教育ときちんとユーザーの棲み分けができてお互い共存できているとのこと。これは見に行かないわけにはいきません。


常設展の見学から、次の満天NAGOYAへ

その後、少しだけ常設展を見学しました。現在のプラネタリウムの先代の機材が展示されています。解説によると、1962年11月3日から、2010年8月31日まで使われていたそうです。こちらもカッコいいです。

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下の写真は愛知県東栄町の御園にあったプラネタリウムだそうです。私は行ったことがないですが、御園は双望会の開催場所だったことで有名ですね。

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さて時間があまりないので、この時点で移動します。次は満天NAOGYA編です。




昨晩、kyoyaさんの質問に答える形で、Zoomを使い天文入門講座を開催しました。

きっかけ

きっかけはほとんど忘れかけていたのですが、kyoyaさんと話していて思い出しました。2月末にTwitter上で何かのkyoyaさんの発言で「色々調べているとなぜかSamさんのブログに行き着く 」というのがあったのに私が反応したことかと思います。

kyoyaさんは以前Clubhouseでの星座ビノの話題で呼ばれた時に一緒に話して他ことがあります。その後kyoyaさんからDMで質問があり、それに答えているときに望遠鏡を「倍率」で理解していることに気づきました。話を聞いてみると「焦点距離」でなかなか理解できないようなのです。そこで入門講座でもやりましょうか?という話になり、kyoyaさんがすごく盛り上がってくれたので今回のことが実現しました。

今回もkyoyaさんの仲のいいかたに声をかけていただいて、結局10人近く集まりましたでしょうか。
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一人一人自己紹介してもらいましたが、メンバーは多くが初心者です。これは説明のしがいがありそうです。一部私よりもはるかにベテランの方もいらっしゃいました。もし私が間違ったことを言ったらどんどん突っ込んで欲しいとお願いしておきました。


目的と方針

今回の特徴は、あらかじめkyoyaさんの星見の環境と、やりたいこと、質問事項などを聞いておいて、それらをもとに私がスライドを作り、Zoom会議の中で互いにやり取りしてkyoyaさんと他の参加者にも「理解してもらう」というものです。

あらかじめもらっていた質問は私にとってはとてもありがたく、ある意味財産になります。初心者がどう言ったところでつまづくのか、何がわからないのか教えてくれます。例えばkyoyaさんは星雲とはかなり小さいものだと思っていたとのことです。CP+の配信のスライドの動画で月からオリオン星雲に移動するのがありましたが、その時に倍率を変えて拡大したのではと思っていたとのことです。オリオン星雲が満月ほどの大きさがあるとか、北アメリカ星雲とかもっと大きいとか、なかなか想像できなかったとのことです。

今回の講義では、数学は使わずに算数だけにして小学生でもわかるものを目指しました。kyoyaさんがわからなそうな顔をしていたら、わかってもらうまでできる限り噛み砕いて説明します。途中、同じくらいの初心者の方が先にわかったら、その方に説明してもらうという様なこともしてもらいました。コメントを見てもかなり活発にやり取りしてくれていたみたいで、その中でも倍率を変えるのgoogleマップでズームすることと同じではという意見は秀逸でした。倍率を上げて拡大するということは、見える範囲を狭くするということです。


講座の一例

プライベートな講座なので一部だけですが、使ったスライドを載せておきます。今回は質問に加え、倍率を噛み砕いて理解するとか、角度と時間の関係を実感するなどをかなり時間をかけて、わかるまでやり取りしました。

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スライド8

kyoyaさんの質問にあったのですが、「追尾しないと望遠鏡で見えている星はどれくらいの時間で視野から逃げていくか?」という様な疑問にも、できる限り自分で答えてもらうようにしました。望遠鏡の倍率と視野角の関係がわかり、星は時間当たりどれくらいの角度動くかが分かれば概算できますね。
  1. 例えば100倍の倍率で見ていると、1倍の視野を180度と仮定したら100倍で 180/100~2度くらい。
  2. 星は24時間で360度動くので、1時間で15度動く。
  3. 2度なら2/15時間=8/60時間=8分で望遠鏡の視野から逃げる。
という様な感じです。理解さえできれば小学生でも算数で簡単に出せます。


まとめ

このような議論を20時から延々と23時半まで続けてました。他の方の反応も見ていましたが、かなりわかってくれたみたいで、中には目から鱗が落ちる説明だと言ってくれた方もいました。

あ、でも「天文入門」と題打っておきながら、kyoyaさんの質問がかなり電視観望と機材によっていたので、天文らしい天文の話は全くできませんでした。そこら辺が反省材料でしょうか。

私もとても楽しかったので、他の方も興味を持ってくれるなら、そのうちに第2弾とかやってみたいと思います。

前回、LuSol-Guideというソフトを使い、太陽黒点まわりの撮影をオートガイドしながら撮影した記事を書きました。



今回は撮影したたくさんのserフォーマットの動画を元に、タイムラプス映像にする画像処理の話です。

内容的には以前まとめた太陽タイムラプス記事の続編ということになります。



大まかな概念は上のページに書いてあるので繰り返しませんが、他にガイドとタイムラプス映像にするための画像処理について主に書いてあります。

ガイドについてはFireCaptureの形状認識でしたが、これは時として太陽が画面外まで飛んでいってしまって、決して「戻らなくなる」のが問題でした。これについては前回のLuSol-Guideで別途ガイド鏡で太陽全体を見ながらガイドすることになったので、かなり解決されたはずです。

もう一つは、これまでうまくいってなかった画像処理時の動画にするときの「位置合わせ」です。hiroさんがImageJの強化版の「Fiji」というソフトを紹介してくれたため、今回位置合わせが完璧と言っていいくらいうまくいきました。



このFiji、バイオ系の顕微鏡画像処理などでよく使われているらしいのですが、ものすごく複雑で私はまだ全然細かいところまで見えていません。hiroさんが教えてくれた筋道をそのまま辿っただけです。hiroさんの説明はコメントに書かれているだけなので、改めてほぼコピペ状態でこのページにまとめておきます。わかりにくいところはコメントなどに書き込んでください。かなり便利なソフトのようなので私自身でもいろいろ検証してみたいと思います。

まずは、Fijiに行く前です。一番の問題は、AutoStakkart!3でスタックすると、画像サイズがバラバラになること。hiroさんがRegistaxで処理すると全ての画像サイズが同じになることを教えてくれました。久しぶりにResistaxでスタックをしてみたのですが、AS!3でスタックした場合に比べて細部だしの具合が甘くなってしまいます。おそらくこれは目立ったものが黒点しかないためです。AS!3はSurfaceというオプションで(例えば月の拡大のような)全面に広がったようなものも上手くスタックしてくれます。Registaxはもともと惑星撮影で発達したソフトで、アップデートが長い間されていなくて少し古いこともあるのか、今回のような光球面のスタックはうまく行ったりいかなかったりで、安定しないようです。

というわけで、今回もスタックにはAS!3を使い、その後違ったサイズで出てきた画像を以前の記事で書いたようにPhotoshopのアクションツールを使い、全てサイズを揃えます。

さらに今回、もう少し下処理をしました。各画像ごとの明るさの違い、ガイドの精度不足で黒点がブレたときの周辺減光の影響の違いを除去するために、PixInsightのABEを1次と4次で2回かけることにしました。他数枚の画像に同じ処理をするのは、そーなのかーさんのこの記事

を参考にさせていただきました。

背景補正が有ると無いとでは、仕上がったタイムラプス映像の見やすさが全然違い、細かい動きがよりみ見やすくなりました。光球面の動きはあまり目立ったものではないので、この下処理の効果は非常に大きいです。

さて、ここまで来てやっと今回の本題のFijiを使った位置合わせになります。基本的にはhiroさんが教えてくれた手順そのままで、少しだけ言葉を補足しています。
  1. FIJIを起動する。 
  2. 動画からスタック済みの一連の画像を選択し、FIJIの窓枠内にドロッする。 
  3. Plugins > Feature Extraction > Extract SIFT Correspondences を選択する。
  4. ポップアップ画面の最下部にexpectred trans Formation:[Affine]を選択しOKを押す。上手く行っていれば赤色の+マークが開いた画像の内の2枚に複数ついているはずです。 
  5. このまま続けて、Image>Stacks>Images to Stacke を選択し、ポップアップ画面のOKを押す。これで位置合わせ用として認識された複数の画像が一続きの要素として確定されます。 
  6. Stack画面の左下の▶を押すと、位置合わせ前の一連の画像がアニメとして動きます。 
  7. 更に続てけて、 Plugins > Registration > Linear Stack Alignment with SIFT を選択します。そして、expectred trans Formation:[Affine]を選択しOKを押す。 
  8. これで、位置合わせ完了です。画面の左下の▶を押すと位置合わせされた一連の画像を確認できます。 
  9. 動画から必要な部分だけ切り出したいときは、カーソルを画面を左上から右下へ動かすと選択できます。この後、Image>Crop を選択しOKで完了。 明るさとコントラストはImage>Adjust を選択すると調整バーが出てきます。 
  10. 保存は「File」->「Save as」->「Image Sequence」で、あとは好きなフォーマットで保存してください。
この位置合わせの威力は素晴らしく、これまでどんなソフトでやってもうまくいかなかった光球面の位置合わせがほぼ完璧にできてしまいます。その一方、おそらく今回は黒点があるから位置認識がうまく行っているのかと思います。純粋な光球面だけだとうまくいくかどうかはまだわかりません。

結果です。ブログでそのまま表示できるように少しサイズを切り詰めgifファイルに落とし込みました。

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いかがでしょうか?今回はテスト撮影のつもりで、わずか1時間ぶん、60枚のタイムラプスです。プロミネンスは1分単位でもかなり激しく動くことは過去の記事のタイムラプス映像からもわかるかと思うのですが、光球面はこの時間スケールではほとんど動くことはないと思っていました。今回のタイムラプス映像を見てみると、実際ほとんど動いていない部分が大多数なのですが、一部黒点の右上くらいは1時間で激しく動いていることがわかります。これは全く予測していなくて、この動きの片鱗が少し見えたときは大興奮で、夜遅いにもかかわらずできるだけ見やすくしようとして、PixInsightのContainerに初挑戦してしまいました。

撮影条件を書いておくと、

鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
エタロン: Coronado P.S.T.
赤道儀: Celestron CGEM II
カメラ: ZWO ASI290MM
撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
撮影時間: 2022/3/12 15時45分-16時44分 gain120-170, 1分おきに1ms x を5秒分、平均400フレーム程で1ファイルあたり1.7GBで合計60ショット。各動画の上位75%を使用。
画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCC、PixInsight、Fijiで位置合わせ、ffmpegで動画化。 

となります。

課題は、まだ細部出しの度合いが安定しないことです。同じ条件でとっても細部が出る場合とものすごくボケる場合の差がかなり激しいです。今回は全部同じ条件で処理したので、出ていないのもここに処理すればまだ細部が出る余地は残っているのかもしれませんが、今後のことも考え自動処理だけで済ませる方向で進めました。

この不安定な処理のため、最初は激しい動きのところも安定に取れていないからかとも疑いましたが、画像処理を進めるにつれどんどんはっきりしてきたので、おそらくこれはリアルに起こっている現象で間違いないかと思います。

あと、一枚画像をするときの最後のPhotoshopなどでの仕上げの細部出しに相当する部分があるのですが、今回はその過程を省いています。もしかしたらもう少しうまく出せるかもしれません。

もう一つは、まだ明るさが完全に言っていになっていなくて、動画にすると画面がチカチカしてしまいます。ここもまだ改良できるかと思います。

とりあえず今回はテスト撮影でしたが、それでも驚くほどの映像になりました。もう少しパラメータなど切り詰めて次回撮影に臨みたいと思います。

まだ夜に撮影した3天体の処理が全く進んでいません。今日の夜は入門講座の予定です。馬頭星雲とM100とM101、画像処理が終わってブログ記事にできるのはいつになることやら...?

 

最近太陽撮影でよくコメントをくれるhiroさんが、Lusol-Guideという太陽撮影でオートガイドを実現するソフトを見つけたと教えてくれました。私も試してみたので記事にしておきます。


なぜ太陽撮影にオートガイド?

太陽撮影は基本明るいので短時間で終わるためにオートガイドする必要はないのですが、プロミネンスの動きなどタイムラプス映像をするときにはオートガイドが欲しくなってしまいます。一番の理由はPSTなどの入門用太陽望遠鏡の場合、エタロンの精度があまりよくないため、画面内でHαの出方にムラができてまうことです。そのため撮影の位置がずれると後のタイムラプスの一コマ一コマで画像処理が一様にならなくて、動画の見栄えが悪くなってしまいます。

ところが、太陽のオートガイドはあまりいいのが無くて、例えばFireCaptureには撮影した画像にある物の形を認識してそれを保つように赤道儀に返すような機能もありますが、やはりどうしても途中で飛び跳ねたりして安定度がいまいちです。ここら辺の基本的な考え方や、hiroさんとのやり取りはこのページ

や、そこのコメント欄を追ってもらえるとわかるかと思います。


LuSol-Guide

さて、今回hiroさんによって発掘されたLuSol-Guideですが、2016年くらいに開発されたものでしょうか、もう結構古いもので、その後の開発は止まってしまっているようです。すでにhiroさんから同ページのコメント欄で結構うまくガイドできているとの報告がありますが、私も実際に使ってみました。

マニュアルがここにあります。


多少の癖があったり、使わないとわかりにくいところもありますので実際使用して気づいたことを書いておきます。


実際の使用記

まずガイド鏡を用意します。普通の夜の撮影で使うガイド今日で構いませんが、太陽光を軽減するフィルターを必ずつけてください。そうしないとカメラセンサーが焼けてしまうなどのダメージがあるので気をつけてください。

カメラですが、私は撮影用にASI290MM、ガイド様にもASI290MMを使いましたが、どうも同じカメラが2つというのは想定していない様で、Lusol-GuideかSharpCapのどちらかでカメラを動かすと、どちらかが止まってしまうという状況でした。仕方ないのでガイド用カメラをASI120MM miniにすると、すんなりと両方とも動ようになりました。

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さて、操作手順です。
  1. 左下の「Camera」ところでガイドに使うカメラを選択し「Start」を押すと、ガイド鏡で映した画像が出てきます。横の「Setting」で適当なパラメータを設定してください。後で説明しますが、サチるくらいに明るくしたほうが安定するようです。
  2. 次に右上「Mount」のところの「Connect」で赤道儀に接続します。ASCOM platformと各自の赤道儀にあったドライバーなどはあらかじめインストールしておいてください。
  3. 右下の「Calibration」ボタンでキャリブレーションを始めます。ガイドカメラの縦横の向きは出来れば撮影カメラの縦横と合わせておいた方がいいでしょう。
  4. 1-2分待つとキャリブレーションが終わます。
これでガイド準備可能となりますがその後のパラメータがわかりにくいです。

  1. まずD.Minですが、これはこの値以下のピクセルのずれはガイドしないという意味のようです。言い換えるとPHD2のように、恒星の強度分布からピクセル以下の位置を推測する様な高度なことはしていなくて、1ピクセル単位のガイドが最も精度が良いということになります。なのでここの値は「0」が一番精度がいいです。撮影鏡筒の焦点距離が2000mm、ガイド鏡の焦点距離が120mmなので、2000/120 = 17と、ガイド鏡が1ピクセルずれるだけで撮影画像は17ピクセルと大きなずれになります。D.Minの値を「1」にすると、上下左右1ピクセルずれていても何もしないようなので、撮影画像では最高でも2ピクセル分の34ピクセルの精度になってしまいます。
  2. D.Maxはその値以上はガイドしないというだけなので、適当な値例えば50とか100で構わないようです。
  3. Agressivenessはデフォルトの5でいいみたいです。増やしすぎると発振することがありました。
  4. Thresholdがまたわかりにくいです。これは太陽の位置認識の感度のようです。小さくすると小さな円で、大きくすると大きな円でフィッティングするようです。明るさで判断しているので、この値を中途半端にすると少し明るさが変わっただけで円の大きさが大きく変わります。位置もそれに引きずられてブレるので、ブレの範囲を小さくするためには、カメラの設定を太陽がサチるくらい露光時間を長めかゲインを高めにしておいたほうがいいいみたいです。 
hiroさんがThresholdの値を高めに設定した方が安定すると書いてくれていたのは上のような理由からで、明るさの変化にあまり依存しないように、最大径でフィッティングした方が誤差が少ないからだろうと思われます。


実際のガイド精度

あとは特に説明しなくてもなんとかなるでしょう。ただ、上にも書いた通りもっとも精度が良くても撮影画像で17ピクセルの誤差があるので、かなり揺れます。風とかあるとガイドカメラでも数ピクセルずれることはあるので、撮影画像で50ピクセルくらいずれることはよくあります。それでもFireCaputureでのオートガイドとかよりはマシで、少なくとも飛んでいってしまう様なことはあまりありません。雲や電線など、ガイドカメラの像が不安定だと大きく揺れてしまいますが、それは仕方ないでしょう。


まとめと今後

とりあえず最低限の実用性はありそうです。もう少し精度を良くするためには、ガイド鏡の焦点距離を長くすることですが、太陽全体を見る必要があるのでより大きなセンサーサイズが必要になってきます。もしくはピクセルサイズのできるだけ小さいカメラをガイドカメラに使っても精度は上がりますが、ASI290MMもそこまで大きなピクセルサイズではないため、ピクセルサイズ側で大きく精度を向上させるのは難しそうです。

タイムラプスのための画像の位置合わせについては次回以降の記事で書くことにします。
 

ふへーっ!晴れが続くと夜も昼も忙しくて寝不足になります。3月12日の土曜日は朝から快晴。久しぶりの太陽撮影です。 


久しぶりの太陽撮影

今日の目的はhiroさんが連日コメントで投げてくれているLusol-Guideでの太陽オートガイドのテストなのですが、その前にシーイングもそこそこなので一通り撮影してみました。機材はいつものC8+PSTです。

詳細を書いておきます。 
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 撮影時間: 2022/3/12 13時0分-13時35分 gain120-170, 1ms x 1000フレーム中上位50-80%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registax or PixInsightのMultiscaleLinearTransformで細部出し、PhotoshopCCで後処理 
ほとんどがgain120で、ごく一部のみ170、またほとんどが50%フレームを使用で、最初の2枚のみ80%使用です。 


太陽黒点

まずは黒点です。いつの間にかすごい数になっていますね。コンスタントにこれだけあると撮影も楽しいです。位置がどこかわからないので、全体を見る方法もあった方がいいかもしれません。また10cmクラスを用意しますか。一度に複数鏡筒は大変かなあ?
  • 最初は南西方向にある一番大きなAR2960。そこそこの解像度ですが、やはり画面左がHαから離れてしまっています。いつかエタロンの調整をする必要がありそうです。モノクロ版とカラー版を載せておきます。
13_00_24_lapl4_ap2556_PI_ABE
_13_00_24_lapl4_ap25561_ABE

  • さらに南西のAS2964、2966黒点群。まもなく裏に回りそうです。
13_01_12_lapl4_ap1492_PI

  • 北東方向のAR2965です。賑やかですね。左上の方は細かい黒点が散りばめられています。
_13_07_09_lapl6_ap2568_ABE_PI

  • さらに北東の出てきたばかりのものです。まだ番号はついていないみたいです。
13_06_25_lapl6_ap450_IP


プロミネンス

続いてプロミネンスです。ぐるっと一回りして撮影しましたが、大きなものが3つありました。迫力があって綺麗ですね。

  • 南側のものです。光球面も少し出たので出しておきます。
13_03_07_lapl6_ap245_IP

  • 北東方向です。
13_03_57_lapl6_ap189_IP

  • 西です。淡い外側のつながっているのを出そうと思ったので、光球面との境のちょっと処理が甘いです。
13_05_00_lapl6_ap288_IP


粒状斑

そもそもこんなのをこの段階で出していいのか?

一応粒状斑らしきものが写るようになってきました。今回はORIONの直系20cmの太陽フィルターにTeleVueの2倍のPowermateを噛ませています。

13_35_28_lapl6_ap551_IP

ただしこれ、かなりの強画像処理をした後に出てくるので、まだ何が撮れているのか確証が持てません。それでもシーイングが悪いとこんなのさえ全く出ないので、何かが写っているとは思いますが、どうなのでしょうか?

いつかベナール対流をタイムラプスで撮ってみたいです。口径20cm、焦点距離4000mmではまだ足りないのか、やはりシーイングのせいなのか?実現はまだまだ先のようです。


まとめ

太陽撮影ですが、最近とても賑やかなのは嬉しいのですが、反面数が多いと処理が大変です。時間も結構かかっているので少し方法を考えたほうがいいかもしれません。

あと、オートガイドのLusol-Guideについては長くなるので別記事にします。

さらに夜の分は馬頭星雲とM100、M101の画像処理が残っています。順に片付けます。

電視観望についてトークのオファーが

以前CANPで知り合った方から、日本天文教育普及研究会の関東部会で電視観望について話してくれないかというオファーがあり、昨晩話させていただきました。クローズドな会合で、会員以外の方の参加も可能でしたが、Youtubeなどの配信と違いZoomでの双方向の会議ということもあり、私からは宣伝は控えていました。それでも100名以上、多くの分野からの参加者があり、Zoom会議としてはかなり大型のものとなったようです。


会議の様子

内容はというと、基本的にはこれまでの講演などで話してきた事のまとめのような形にしました。ただ天文教育と普及いう事なので、機材などの説明は少し簡略化し、むしろ今後電視観望を使うとどのように普及に貢献できるかということを主に置きました。あと、電視観望の理論というか技術的背景のようなこともせっかくなので最後の方に少し加えておきました。天文っぽいことはあまり入れなかったので、そこらへんのことを期待していた方には少し物足りなかったかもしれませんが、そちら方面は私なんかよりはるかに詳しい方も多いと思うので、今回は電視観望に特化したような話にしました。

参加者は研究者、学校などの教育関係者、もちろん趣味として天文をされている方もいました。今回は会員と会員外が半々くらいだったとのことです。サイエンスに興味がある方も多いと思うので、電視観望のような見る手段だけの話がどれだけ通じるか少し心配だったのですが、興味がある方が集まっていることもあり、かなり好意的に受けとられたのかと思っています。

トークの最後にはFMA135とASI294MCをAZ-GTiにのせてリモートで自宅の庭からの空を見てもらいました。北陸としては奇跡的に全面快晴で、月は出ていましたが短時間のうちにオリオン大星雲、馬頭星雲、バラ星雲、かもめ星雲を見てもらいました。ライブスタックの時間も十分に取れなかったのでまだノイジーでしたが、かなり実際の雰囲気は伝わったのかと思います。

他の講演もすごく楽しみで、一人は大阪市立科学館の方で、eVscopeを使ってマニュアルまで書いてくれていた方で、天文学会の機関紙の「天文月報」にも電視観望で記事を書かれた方です。実はその天文月報の記事が出る直前にやりとりをしたことがあり、今回直接顔を見てお話が聞けたのが嬉しかったです。



もうお一方が、電視観望について論文を書かれた方です。教材開発というものとプレートソルブというテーマで教育の範囲で2本書かれています。




この方は本当に名前だけしか知らなくて、これまでやりとりしたことがなかったので、実際にお話しできて嬉しかったです。

天文月報も論文の方もいずれもアマチュア天文で広まっているとの記述があり、この「ほしぞloveログ」も見てくれていたようなので、とてもありがたいです。

トークについてはチャット欄に質問もたくさんきていて、いくつかはチャットで、いくつかは口頭で答えました。でも実際の会話はその後の22時から続いた懇親会のほうがいろいろ込み入ったことも話せました。

懇親会

懇親会はまずはAtom camを用いた流星観測の話がありました。1時間弱くらいこの話で盛り上がったでしょうか。その後話題はeVscopeに移り、その後ブレイクアウトルームに移りそこで電視観望を含んだ雑談に近いような話をずっとしていました。このブログにコメントをよくいただけるRainyさんもいて、今後電視観望を盛り上げていく話をしていました。0時半ころでしょうか、主催者からメインルームに戻るように促され、そこからもずっと電視観望に関する話をしていました。徐々に人数が少なくなってくると、いろいろオフレコの話も飛び出し、とても楽しかったです。結局午前2時前くらいまで続いたでしょうか。さすがに平日の夜なので、そこで私は退散。もう終わりそうな雰囲気でしたが、さらに残った方もいるのかもしれません。


まとめ

今回、星好きの方たちといろいろつながりもできました。非常に有意義な会合で、トーク、懇親会共に参加してとてもよかったです。

実際の教育や普及に関わる方たちの集まりなので、実際に電視観望の普及にもつながりそうで期待しています。トークの中でも話したのですが、やはり天文人口の裾野を広げるのが大切なのかと思います。どなたかも言っていましたが、電視観望がその一翼を担うことができると嬉しいです。

 

今回は赤道儀CGEM IIのメンテナンスです。以前Advanced VXのガタとりをしたことがありますが、CGEM IIではどうなのでしょうか?




CGEM IIのメンテナンス

もともと結構前から気になっていたのが、ウェイトバーの端を触ると赤経体がカタカタすることでした。ただ、ウェイトをつけるとほとんど揺れなくなるようなので、ずっと放っておいていました。つい最近、さらに赤緯体も注意深く触ってみると、少しですがカタカタします。CGEM IIを手に入れてからまもなく4年が経ちます。少し見直してみるにはちょうどいい時期です。


ガタのチェック

まずは赤経体のガタですが、結論だけ言うと赤経体自身のガタはありませんでした。ウェイトバーのねじに対して、赤道儀側に切ってあるネジ穴がかなりゆるくて、ネジを締め切ってもまだ少しカタカタしてしまうというのが原因でした。クランプをきちんと締めた上で、ウィエイトバーと独立に赤経体のみで揺らしてみても、ピクリとも動かないのを確認できました。実際の撮影時にはウェイトに重力がかかりウェイトバーが常に一方向に力を受けるためカタカタ動くようなことは無く、例えガイドとかでちょこちょこ前後にモーターが動いたとしても、まず問題にならないと判断しました。

むしろ問題は赤緯体の方でした。こちらはクランプを締めたとしても、赤緯体を揺すると明らかに回転方向にカタカタします。回転方向にのみ遊びがあるのは大抵の場合ウォームとウォームホイールがうまくあたっていない場合がほとんどです。


調整方法の模索

楽しそうなので、まずは何も資料など見ずに簡単にネジを外せるところを外して内部を理解しようとしました。あるところまで行ってシャフトを外すのが大変そうなので途中でストップ。それでも外している過程でなんと無くどこをいじればいいかわかってきました。これ、コストとか、メンテナンス性とかも含めてうまく考えて作ってますね。感心してしまいます。

さて、ここからネットなどでいろいろ調べていくと、どうもCelestronのCGEM IIを含むCGEM系と、EQ6、EQ6 Pro、EQ6-R、EQ6-R ProなどのEQ6系列はかなり似たような構造になっているようです。バックラッシュ調整に関しては日本語のページを含めていくつか見つかりますが、メンテナンスに関してはこのページ

が一番詳しかったです。

特に今回はウォームギヤのガタとりなので、その中のこのページになります。


要するに、ウォームとウォームホイールは特に分解などする必要もなく、外から簡単に調整できるというわけです。


実際に調整してみる

さて実際の調整です。

1. まず赤緯体の根本にある4つのM5のキャップスクリューを緩めます。
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ネジが3つ見えていると思います。
4つ目は向こう側にあるので見えていません。

2. 赤緯体の前後にある小さな穴の中のM2のいもねじを回転します。今回はウォームとウォームホイールをちかづけるほうこうなので、まずは後ろ(南)側のネジを緩めます。ここでは緩める量を例えば30度とか決めておくといいです。
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緩めるのは一番上の穴の中のいもねじです。

3. 赤緯体の前(北)側にある小さな穴の中のM2のいもねじを2で緩めたのと同量分だけ締めます。
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4. 2と3をガタがなくなるまで何度か繰り返します

今回は前後のいもねじネジを90度回転させるとガタは完全に無くなりました。

2022/3/8 追記: 赤緯のモーターを回しても、動かないことがわかりました。きつく締めすぎたようで、半分程度緩めたら普通に動くようになりました。調整後は必ずモーターが回るかどうか確認した方が良さそうです。


まとめ

ガタとりは非常に簡単です。Advanced VXでも同様のガタ取りをしましたが、それよりもはるかに簡単な機構です。ホントよく考えてあります。

もうしばらくしたらグリス交換なども含めてフルメンテナンスが必要でしょうか。その際にも今回参照したサイトを見ながらやれば、問題なくできそうです。
 

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