ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2021年05月

前回のASI290MMに続いて、


今回は、同システムを使ったEOS 6Dのクリーニングです。


これまでの6Dの経緯

でも6Dって4月初めにクリーニングしたんですよ。その時の結果が
IMG_3360_RGB_VNG_ABE
になります。 

でも、青い馬星雲を処理した時の途中の画像を見ると
masterLight_DBE
と、既にゴミが入ってしまっているのです。

その時のフラット画像(PixInsightでABEをかけてやっとこれだけ見えるようになりました)を見てみると
IMG_3474_RGB_VNG_ABE
ゴミがいくつか残ってますが、ほとんどのものはうまくフラット処理されています。ほんの数個、天体撮影中、もしくは天体撮影時とフラット撮影時で、動いてしまうゴミがあります。これを覗くことが目的と言えます。


新しいシステムとの比較

6Dでのセットアップはこのようになります。
IMG_2428
レンズが大きくて重いため、フルサイズカメラでも全くふらつくことがありません。光源が紫色に見えますが、これで天体改造した6Dだとちょうどホワイトバランスが取れています。

今回の新しいシステムで先と同じセンサーの汚れを見てみると、
Capture_00017 15_19_14_WithDisplayStretch
と、遥かに汚れていることがわかります。汚れ自体は特に変わっていないはずです。よく見えるようになっただけです。

フラット補正などもしていなくて、SharpCapのストレッチだけでこれだけ見えるのは、やはり周辺減光の少ない中判レンズを使ったからかと思います。


このシステムの課題も見えた

ただし、この画像をコンスタントに出すのは難しいことも分かりました。

まず、SharpCapに6DをASCOM経由で接続します。この機能自身がまだベータ版のみで使えるものです。


ところが、この時に静止モードでsnapshotなどどの撮影方法をとっても、ストレッチした見たままの画像で保存することができず、ストレッチ前のRAWのような状態でしか保存することができません。仕方ないので、見たまま保存するためにライブモードにしますが、シャッターを切り続けることになります。まあ、これは気にしないこととしましょう。

とことが、シャッターを切り続けると、どうもこのライブモード時のシャッター毎に明るさが一定にならないようなのです。6Dのセンサー性能を測定した時


同様に明るさが一定にならずに調整をひたすら繰り返し、1000回くらいシャッタを切ったことを思い出しました。どうもSharpCapでDSLRを接続した時のライブモードのバグのようです。そのため、今回は上の画像のとことまで炙り出さずに、少し見にくいですが、多少明るさがばたついてそこそこ見えるくらいになるように炙り出すことにします。


クリーニングスタート

上記画像をそのように調整すると

Capture_00003 15_23_11_WithDisplayStretch_start
と多少暗くなりますが、これがスタートになります。

まず、前回の記事のASI290MMでも使った、フルサイズ専用のスワブを使います。
センサークリーニングスワブ
 

一度だけ拭いたのが以下になります。
Capture_00001 15_28_34_WithDisplayStretch_swab1
少し左上に残っていますが、ここで止めればよかったんです。


泥沼の始まり

気に入らなくて、もう一度同じスワブで拭いたら下のようになりました。
Capture_00001 15_31_36_WithDisplayStretch_tool2
左上のゴミは少し少なくなりましたが、右の方に縦にゴミが見事に並びました。ここから迷走です。

次はスワブにエタノールをつけて拭いた場合です。
Capture_00001 15_33_17_WithDisplayStretch_ethanol
ゴミはかなり取れましたが、拭きムラが残っています。

拭きムラがさらにひどくなると以下のようになります。
Capture_00001 15_34_41_WithDisplayStretch
でもこれは、乾いたスワブで何度も拭き取ることできれいにすることができます。このときに新しいスワブを出しました。ASI290MMから合わせて4本目です。でもその代わりに下のようにいつのまにかゴミがついたりします。
Capture_00001 15_36_23_WithDisplayStretch_after_mura

もうこうなってくると泥沼ですね。

この後、拭きムラとゴミをひたすら繰り返し、一進一退。毎回のクリーニングのたびに保存した画像だけで20枚。そのうち嫌になって画像も残さなくなって30回以上色々試したので合計50回以上、拭いて、モニターして、というのを繰り返しました。その中で一番酷かったのがこれでしょうか。拭きムラは最悪、かつゴミもまたついてしまっています。
Capture_00001 15_51_10_WithDisplayStretch
でも重要なことは、傷さえつけなければ、ゴミも拭きムラもとることはできるということです。


最終結果

もう最後の結果だけ示します。上の画像から1時間半後の画像です。
Capture_00001 17_02_14_WithDisplayStretch_ok
まだ濃いのが一つ、細かいのはいくつも残っていますが、これが限界でした。この最後の一個を触る勇気が出ませんでした。

おそらくこのゴミもフラット補正さえすれば全く問題ないレベルになるかと思います。これで満足することにしました。


まとめと今後

とにかく、大きなサイズのセンサーはキリがないことがよくわかりました。スワブを使ってもかなり丁寧に吹かないと、すぐにムラになったりゴミが残ったりします。意外にスワブが何度か使い回しが効くこともわかりました。ゴミはそこそこコントロールできますが、全部いっぺんにというのはかなり運に任せるしかないです。

ゴミがある程度の数になったら、大体の位置はわかるので、PENTAX イメージセンサークリーニングキット O-ICK1 39357(通称ペンタ棒)を使った方がいいのかもしれません。



次はこれを仕入れてやってみることになりそうです。

とにかく今回は疲れました。毎回の吹でかなり気を使うのと、先が見えないことです。毎回見るシステムを組んでこれです。もしかしたらセンサークリーニングは素直にメーカーに出すのがいいのかもしれません。でも天体改造をしたカメラも受け付けてくれるのでしょうか?


以前、6Dのクリーニングの記事を書きました。



前回の反省から、今回もう少し楽に確実にクリーニングする方法を考えてみました。


クリーニングのセットアップ

タイトルには大袈裟なこと書いてますが、なんのことはないF値の高いレンズに一眼レフカメラやCMOSカメラを取り付けて、SharpCapで汚れをモニターするだけのセットアップです。センサーをクリーニングして、その都度状況が見えるように、センサー部を取り外し易くしています。


使ったもの:
  • 光源: iPad ProでColorScreenというアプリを使い、任意の明るさと色を出す。
  • レンズ: Pentax 6x7の200mm。中判レンズで、周辺減光が少ないのがメリット。収差がひどく撮影に使えなくて余ってた。大きくて重いので、カメラをつけてもふらつかない。
  • アダプター:  Pentax -> Canon EFマウントへの変換、さらにCMOSカメラ用にCanon EFマウント->アメリカンサイズへの変換
  • モニターソフト: SharpCap。オートストレッチをしないと、ほとんどゴミも何もわからないので、SharpCapか、それに相当する機能を持つソフトが必須。最初はリアルタイムのフラット補正を使い、きちんと炙り出そうと考えたのだが、6x7レンズにしたために周辺減光がほとんどなく、この点に関してはSharpCapを使うメリットはあまりなかった。

今回テストクリーニングしたカメラはASI290MM、EOS 6Dです。

まずはASI290MMです。こんな感じでセットしてます。

IMG_2427

まあ、みるも無残な酷い汚れですね。さてここからクリーニング開始です。もともとクリーニングをもう少しシステム化したくなった動機がこのASI290MMです。太陽を撮影していても、ゴミが酷すぎて画像処理に影響してしまったからです。

センサー面のクリーニング

まずはクリーニング前の初期画像。実際の撮影後の画像処理ではここまで汚れているは思いませんでした。この中の目立つ大きな汚れが影響しているのだと思います。

Capture_00003 14_14_57_WithDisplayStretch_start

設定を説明しておきます。レンズのF値ですが26くらいで始めています。SharpCapはわかりやすいようにGain100、露光時間100ミリ秒にしています。iPadのScreenColorはRGBともに256段階中の256になるように設定しています(上の写真を拡大すると実際の数値がわかります)。周辺減光も少しはありますが、汚れを確認する分にはフラット補正などなしでも十分なようです。

次にブロアーで拭きましたが、ほぼ全く変わらずの画面なので割愛します。あいからずブロアーはほとんど効果がありません。

次が重要で、センサーを保護する目的でついているフィルターガラスを外して見てみます。
Capture_00005 14_16_19_WithDisplayStretch_nofilter
前の画像と比べるとよくわかりますが、画面で見て大きくてぼやけた汚れがフィルターについていたもの、小さくてシャープな汚れがセンサー面についているものとわかります。

このように、何度も簡単に残りの汚れ具合が確認できるのが、今回のシステムのポイントです。

試しに綿棒で拭くとこんな風になります。ひどいですね。
Capture_00006 14_18_42_WithDisplayStretch_nofilter_menbo

ここで今回の新兵器、センサークリーニングスワブ

を投入します。パッケージ写真はAPS-Cと写っていて、フルサイズで頼んでも実物もこの箱でくるのですが、中身はちゃんとフルサイズように幅が広いものが入っていました。

これが結構凄くて
Capture_00007 14_19_28_WithDisplayStretch_tool1
のようにかなりきれいになります。スワブは10本しか入っていないので、ケチってもう一度拭きます。
Capture_00008 14_20_24_WithDisplayStretch_tool2
のように、完全に汚れが取れました。これはすごい!


フィルターガラスのクリーニング

次に、フィルターを戻します。
Capture_00009 14_21_10_WithDisplayStretch_withfiter
問題は、この汚れがフィルターの裏か面かわからないことです。気にせずまずはおもて面を新しいスワブを出してクリーニングします。

Capture_00010 14_22_10_WithDisplayStretch_withfilter_clean
いくつかのゴミが取れたのがわかります。残りが取りきれなかった表面のゴミなのか、それとも全部裏のゴミなのかは不明です。

ここでフィルターを表裏ひっくり返します。
Capture_00011 14_23_07_WithDisplayStretch_filterflip

これをクリーニングします。もったいないので2本目と同じスワブを使いました。
Capture_00012 14_24_40_WithDisplayStretch_scratch
ほとんどの汚れが取れましたね。でもよくみると縦向きに引っ掻き傷のようなものがあります。

この引っ掻き傷のようなものを取ろうとして、少し迷走しました。フィルターを再度ひっくり返すとか、その間にセンサーにまたゴミがついたとか、いろいろやって、かなりきれいになってもういいかと思ってレンズの絞りをF45にしたのですが、実はまだ汚れが取り切れていないことに気づきました。これが下の写真です。
Capture_00013 14_29_16_WithDisplayStretch_F45
センサー面の汚れではなく、ほぼ全てフィルター面の汚れと思われます。

これをクリーニングしたものが以下になります。
Capture_00016 14_48_52_WithDisplayStretch_OK_F45
まだすこし汚れとスクラッチが残ってますが、これ以上はもう取り切れなかったので、ここでOKとしました。

F45だと上のように目立ちますが、これを太陽観測時のF10にしてみると、
Capture_00017 14_49_13_WithDisplayStretch_OK_F10
のように、ほぼ何も目立たないので大丈夫でしょう。

ちなみに、一番最初に見せた画像のF26に合わせてみると
Capture_00018 15_02_38_WithDisplayStretch_OK_F26
のようになります。少しだけ線のようなものがありますが、最初の酷い状況と比べると遥かにマシです。一度これで撮影して、影響を確かめたいと思います。


とりあえずのまとめ

このブログ記事ではクリーニングの過程はかなりはしょってますが、実際にはもっと何度も掃除して、モニターしてを繰り返しています。クリーニングの効果を毎回確認できるので、今回はかなり楽になりました。実際にかなりきれいになったと思います。スクラッチがいつついたのか、もともとついていたのかわかりませんが、これが撮影に影響を及ぼすのかは注意して見たいと思います。もし撮影に影響があるなら、フィルターだけ購入できると助かるのですが、どうでしょうか?

とりあえず、楽な方法はある程度確立できてきました。すでにかなり長いので、6Dの清掃については次回の記事とします。

 

前回の記事のFMA135のファーストライトで、星像テストのことを書きました。



そのテストのあと、せっかく晴れの時間があるので何か試そうと電視観望をすることにしました。いや、どうせ月が煌々と輝いていて撮影などは無理なので、多少の光害に負けない電視観望くらいが楽しいのかと。


セットアップ

カメラはせっかくなので同じSIGHTRONさん提供のPlayer OneのNeptune-C IIとします。同じ入門クラスのASI224MC(IMX224、1/3インチ)やSV305-SJ(IMX290、1/2.8インチ)よりは1/1.8インチのIMX464を使っているNeptune-C IIの方が多少センサー面積が広いので、導入もしやすくなるはずです。それでもセンサー面積はそこまで大きいわけではないので、今回のような135mmという焦点距離の短さは広い視野を得ることができるため、ぴったりなのではと思います。

今回はFMA135の箱の中にある、アイピース取り付けアダプター(下の写真の左の部品)を使って、CMOSカメラ(Neptune-C II)を取り付けます。

IMG_2336

さらに右の赤い足ですがファインダーベース規格になっているのでしょうか、少し汎用性がないので下にアルカスイス互換のプレートをつけてやります。

カメラを取り付けたのが下の写真になります。足が赤色でカメラと同じ色なのもポイントですね。足の下の黒い板が、アルカスイス互換プレートになります。また、カメラにはQBPとUV/IRカットフィルターをつけています。月明かりなのでQBPがあった方がいいでしょう。

IMG_2371

これらをAZ-GTiに載せたいのですが、AZ-GTiへの取り付けはVIxen規格のアリミゾなので、私はVIxen規格のアリミゾとアルカスイス互換のクランプをねじ止めしたようなアダプターを作って使っています。

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これらを組み合わせてAZ-GTiに載せます。

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外に出す際の接続ですが、
  1. カメラを適当なWindowsマシン(Stick PCやノートPCなど)に繋ぎ、そのPCをカメラの近くに置きます。
  2. このWindowsを自宅Wi-Fiにつなぎます。
  3. 家の中では別のPC(Mac)から外のWindowsにRemote desktopで接続します。
  4. AZ-GTiはステーションモードで自宅Wi-Fiに繋ぎます。
  5. 外のWindows PCでSynScan Proを走らせ、ここからAZ-GTiをコントロールします。
というようになっています。実はこの日すごい風で、ビュービュー音が聞こえるくらいでした。そんな状況でも家の中から気楽に見えるこの接続方法は、かなり快適です。
  • 必要なケーブルはカメラと外のPCを繋ぐUSB3.0ケーブル1本です。USB3.0は長さが3mという制限があるので、カメラとPCはあまり遠くには離せません。
  • AZ-GTiのステーションモードの設定がいまいちうまくいかないことがあるのですが、そんな時は5GHzのSSIDに繋がってないか疑ってみてください。AZ-GTiは2.4GHzのネットワークのみ対応しています。
  • もし設定途中間違えるなどしてどうしてもAZ-GTiに接続とかできなくなってしまったら、電源を入れっぱなしにして1時間待って見てください。ネットワーク設定がリセットされます。


電視観望開始!

早速いつものように見てみましょう。と言っても時間は既に午前3時、すっかり夏の星座がのぼってきています。なのでまずは比較的輝度が高く、見やすいこぎつね座のM27、亜鈴状星雲を見てみます。

M27_01

うん、綺麗に見えてますね。ゲイン450/650、3.2秒露光で、27枚スタックです。トータル1分半くらいでこれくらいです。

口径わずか3cmの鏡筒ですが、Player OneのCMOSカメラNeptune-C IIとのコンビで十分に電視観望楽しむことができそうです。ちなみにNeptune-C IIのゲイン650まで出せます。650とは65dBのことなので、倍率で言うと2000倍近くになります。私が持っているカメラの中で最高のゲインはASI224MCの600です。ノイズが大きいとゲインもあげにくいので、おそらく回路的にもかなり低ノイズで自信があるのでしょう。ここらへんは後発の有利さがあるのですかね。

あ、ちなみに上の写真ですが、オプションをよくみるとわかってしまうのですが、スタックはしていますが、星を認識してのアラインメントはしていません。単純にオンにするのを忘れてただけです。それでもそこまでずれてないのでAZ-GTiも結構きちんと働いてくれるのがよくわかります。

で、次のこと座のM57、惑星状星雲です。

M57_01

こちらは星がずれていってしまってますね。ここでアラインメントされていないことに気づきました。え?なんでM27の時はずれてないのに、突然M57でずれたのかって?それはM57をかなり拡大しているからです。実際の全画角を見てみると

IMG_2381

M57どこにあるかわかりますか?真ん中の少しだけ左です。M57ってこんなに小さいんですね。

次は北アメリカ星雲です。6.4秒露光の22枚で、合計2分20秒の露光です。そういえばこの時でしょうか、ライブスタックしてアラインメントしてるにもかかわらず、6.4秒の中で星がずれてくのですケーブルでも引っ掛かったかと思って外に出ると、一瞬で何が問題かわかりました。風がすごいのです。もう、ビュービューゴーゴーいってます。それでもまだ近くに置いてあるテーブルとノートPCが吹っ飛んでいくレベルではないので続行です。
NorthAmerica_01

今回は月が明るいので、SIGHTRONのQuad BadPass フィルター、通称QBPをNeptune-C IIにつけています。4つの輝線を通すフィルターですが、光害防止フィルターとしても非常に有効で、このように赤いHα成分をコントラスト良く出してくれます。

次はすぐお隣のペリカン星雲です。
Prican_01

うーん、ちょっとコントラストが低いですかね。

それもそのはず、この日はまだ大きな月が輝いています。このあとすぐにM8干潟星雲を導入したら、画面が真っ白になって、何を触っても画面もヒストグラムも動かなくなってしまいました。ちょっと寒かったので自宅からリモートで電視観望をしていたのですが、外に出てやっとわかりました。FMA135がほぼ月の方向を向いています。

気を取り直して露光時間を12.5ミリ秒、ゲインを0(先ほどのゲインの200分の1くらい、露光時間が6.4秒から12.5ミリ秒なので、500分の1くらい、合わせて10万分の1にしています)にまで持っていって、やっと月の姿を確認することができました。
moon_01

月と星雲は10万倍くらいの明るさの差があるということですね。電視観望はこんなふうに明るさの違いも数字ですぐに考えることができます。

流石に月のすぐ周りの星雲は見ることができないので、天の川中心は惜しいのですが再び北の方に戻ります。次に見たのが、うっすらとですが網状星雲。
naive_01

続いて三日月星雲。
cre+01
くどいようですが、口径3cmの鏡筒に入門用のCMOSカメラ、しかも月がかなり明るい時です。こんなものまで簡単に見えてしまいます。

今一度、M27に帰ってきました。今度はアラインメントもきちんとされてます。少し拡大しています。
M27_03

最初にあまり見えなかったM57です。今度はきちんと止まってますね。こちらも拡大しています。FMA135の解像度ではさすがにこれくらいの拡大が限界です。それでも恒星が肥大してないのは、レンズ系が相当優秀なのでしょう。
M57_03

最後ヘルクレス座の球状星団M13です。
M13

でもなんか見てて、あれ?こんなに淡かった?と不思議でした。それもそのはず、既にこのとき午前4時を過ぎていて、外に出たら既に薄明が始まって明るくなっていました。さすがにそれでは映るものも映らないはずです。それでもここまで見えるのだから、まあ大したものかと。

あらためて画像の時刻を見てみたら午前3時10分から初めて、午前4時5分頃に終わっていました。約1時間のコースでしたが、駆け足でここまで見えるのなら十分ではないでしょうか!


まとめ

いかがでしたでしょうか?

口径わずか3cmでここまで見えるとは、驚きではないでしょうか?

とにかく、口径3cmで多少暗いかと心配していたのですが、電視観望でも実用上全く問題にならないですね。さらにこれだけコンパクトなシステムとなってくると、今度はAZ-GTiさえ大きく感じてしまうくらいです。もっとまとまらないかなあとか考えてしまいます。Neptune-CIIも十分な感度があり、組み合わせ的にもちょうど良い感じでした。

FMA135ですがレンズ性能が良いため、拡大してもシャープで小さな星雲をみるのにもあまり不利にならないことも特筆すべきかと思います。このくらいの短焦点距離で収差を小さくするのはなかなか大変で、高価な高級レンズ以外では普通は恒星が滲んでしまうのですが、これだけピシッと見せてくれるのはさすがです。

うーん、この鏡筒(小さすぎてやはり鏡筒というのに気が引けます)かなり面白いです。ガイド鏡としても超優秀そうな予感がします。実際の撮影でどこまで出るのか興味津々です。頼んで試用させてもらった甲斐がありそうです。


さてさて、今日は連休2日目の日曜、朝からコメダ珈琲でこのブログを書きながら、3時間も長居してしまいました。コメダは気兼ねなく長居できるから良いですね。今日はずっと雨。コロナと月が明るいので、なかなか遠征する気にもならず。まあ、家でのんびり過ごしますかね。


Player Oneの評価もそこそこに、何と今度はFMA135の試用をSIGHTRONさんから頼まれました。


Askarの新製品FMA135



ひと月ほど前にCP+の配信のことをシュミットの店長さんと電話で話していたときです。その際にAskarのことが話題になりました。なんでもFMA135が日本でも販売されそうだということを聞いて、私の方からよかったら是非試させて欲しいと頼んだような運びです。

そもそもFMA135とは、最近注目のAskar社が出した焦点距離135mm、口径30mmの非常に小さな鏡筒です。あのAskar社が出すということで、レンズも相当気を使っていて、1枚のEDレンズを含む対物3枚玉にさらに3枚玉フラットナーをつけてあるので、収差を抑えかなりシャープな星像が期待できるようです。

新製品ということですが、日本に到着してすぐに送ってくれたみたいで、4月24日に自宅に届きました。でも到着後、なかなか天気の良い日がなくて、やっと昨晩の夜中くらいに雲が結構晴れてきてファーストライトとなりました。


早速開封

到着後すぐに箱を開けて中身を取り出してみましたが、中には3つに別れたパーツが入っていました。

IMG_2336

真ん中が本体、左がアメリカンサイズの差込口になってここにCMOSカメラやアイピースを取り付けることができます。右の赤いのが足になり、本体にスポッとはめて取り付けることができます。

本体は小さくてとてもコンパクトです。コンパクトにもかかわらず、非常にしっかりとした作りになっています。前後には金属のねじ込み式の、かなりしっかりした蓋がついています。ふたは意外に重要だったりするので、こういった細かい所も作り込んでくるAskarの姿勢は、非常に好感が持てます。

アイピース取り付けアダプターもかなり肉厚にできていて、カメラなどのたわみもほとんど出ないと思われます。


FMA135を試したかった理由

そもそもこの鏡筒(と言っていいのかというくらい小さいのですが)を試したかったのは、焦点距離200mm以下のきちんとした鏡筒というのはなかなかないからです。200mm以下となるとカメラレンズが主となってきます。でもカメラレンズで周辺まで星が点像で写るものはかなり高価になります。しかもオートフォーカスなども付いていて高機能なのですが、星を撮影する分にはそういった機能のほとんどは必要ありません。一方このFMA135は4万円程度とかなり安価な部類になり、これで星雲など撮影できるならかなり魅力的な鏡筒になるかなと思ったからです。安価な分口径わずか30mm、それでもF4なのですが、最近の明るい高級レンズと比べると、少し暗いことは否めません。まあそこは撮影時間を稼ぐことでなんとかなるのかと思います。

ちなみにメーカー推奨はAPS-Cなのですが、せっかくの短焦点鏡筒なので、フルサイズだとどれくらいの撮像になるのか、興味があるので今回はEOS 6Dで試してみました。


一眼レフカメラと接続

6Dを含めて、一眼レフカメラとの接続は一般のT2アダプターを使います。FMA135の本体にはT2ネジが切ってあるので、そこに各社の一眼レフカメラ用のT2アダプターを持ってくれば、そのまま接続できます。

IMG_2370

IMG_2368

カメラにFMA135を実際に繋いでみると、そのコンパクトさが強調されます。三脚への固定ですが、FMA135自身がかなり軽いので普通のカメラレンズと思ってしまって、カメラ本体側で三脚に固定すれば十分です。私の場合、アルカスイス互換のL字プレートをカメラ本体に取り付けてあるので、今回はそれを使って普通に三脚に取り付けました。


ファーストライト

いよいよファーストライトです。外に出てみると、まだ少し雲が残っていましたが、できるだけ雲のないところを選びます。ピント合わせはFMA135本体で行います。私は6Dでのピント出しは、カメラ側のモニターをオンにして、明るい星を選び、できるだけ拡大して映して、それが最小形になるように調整します。FMA135の場合レンズ部がヘリコイド式になっているので、回転させてレンズを伸び縮みさせます。ピント固定ネジが付いているのですが、これが結構小さくて暗い中だと苦労しました。天体撮影だと一度ピントを決めたらあまりいじらないので、もう少し固定しやすくなっててもいいかと思いました。

さて、ピントもあって、画角も決まったので、露光時間とISOを変えて何枚か撮影しますが、固定三脚だと10秒でも星が流れてしまうことがわかったので、ここで赤道儀に載せ換えます。玄関に置いてあったAdvanced VXをそのまま庭に出しただけですが、今回は極軸も取らずに、ドンとだいたい北に向けて置いただけです。こんな適当な置き方でも、固定三脚に置くより遥かにズレが少なくなりますが、ここらへんの詳しいことに興味がある方はこのページを読んでみてください。


撮影結果と星像

これで何枚か撮影した中で、露光10秒、ISO3200で撮ったときの撮って出しJPEGが適度な明るさで星が見えていました。真ん中らへんにゴミがあるのは無視してください。

IMG_4009

この周辺の拡大図は以下のようになります。

IMG_4009_cut25

内側の青の枠がAPS-Cに相当し、外側のオレンジ色の枠がフルサイズに相当します。各マスは100x100ピクセルを切り出しています。こうやって見ると、やはりメーカーの言う通りAPS-Cは十分に点像を保っています。一方フルサイズの周辺になってくると少し星像が各方向に伸びていってしまっているのがわかります。と言っても、あくまで拡大しての話で、一般の同等な焦点距離のカメラレンズと比べても全然遜色なく、全体でみている限り四隅もそこまで気になるほどでありません。むしろ折角の短焦点鏡筒の特徴を生かして、フルサイズで広い範囲を取る方向の方が面白い気がします。


周辺減光

一方周辺減光ですが、iPhoneにColorScreenというソフトを用いてホワイト画像(実際には輝度128/256のグレー画像)を出してやり、それをFMA135と6Dでフルサイズで撮影することで評価してみました。撮影はISO100、1/400秒です。その時の撮って出しJPEG画像と等高線図が以下のようになります。

IMG_4006

IMG_4006_contourPlot

等高線はPixInsightのScriptを使いました。この時の等高線の最も明るいところが0.519、最も暗いところが0.328となるので、フルサイズだと中心に比べて最周辺は0.328/0.519 = 63.2%になるので、やはりそこそこ光量は落ちてしまいます。

ちなみにAPS-Cサイズ相当の位置の最終篇の明るさが0.494程度となるので、APS-Cだと中心に比べて最周辺は0.494/0.519 = 95.2%になり、ほとんど金にならない程度になります。

こうやって星像の流れと周辺減光を見てみると、メーカーがAPS-Cまでと言っているのがわかる気がします。逆にいうと、どれくらい星がずれるか、どれくらい周辺が暗くなるかをきちんとできたので、それが問題にならない範囲で自己責任で使う分には、結構魅力的だと思います。

ちなみにFMA135で月を撮ってみましたが、フルサイズだと月がこれくらいのサイズになります。これも撮って出しJPEGなので、大きさを確認するくらいを参考にしてください。

IMG_3994

IMG_3996


まとめ

さて、FMA135のファーストライトを駆け足で紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今後撮影も実際にしていきたいと思いますが、撮りたい領域が夜中以降に出てくるので、新月期近くになるまで少し待たなければならないかもしれません。

その代わりと言ってはなんですが、今回のファーストライトの後にFMA135とNeptune-C IIで電視観望を試してみました。実は電視観望用にはFMA135をあまり使おうと思っていなかったのですが、超コンパクトシステムになりかなり面白いです。電視観望については、また次回以降の記事(2021/5/2追記: まとめました)にまとめたいと思います。



今回は自宅ノーフィルターでの星雲撮影の一環です。なかなかうまく色が出ない青い星雲を狙います。ターゲットはさそり座アンタレスの上のIC4592青い馬星雲です。

といっても撮影したのは結構前で、4月10日と11日の土日、VISACでの銀河撮影(M87M104)の後の深夜からのあまった時間で撮ったものです。乙女座銀河団を撮影した時のFS-60CB+6Dがそのまま残っていたので、VISACでの撮影が終わってからポンと赤道儀に載せたものです。両日とも撮影が始まると寝てしまいました。

実はもう結構前のことになるので、状況もあまり覚えていないのですが、記録を見るとISO800で3分露光です。10日が25枚で11日が61枚の計86枚で、総露光時間258分=4時間18分です。でも画像処理をやってわかりましたが、まだ全然足りなさそうです。この日は確か2日とも結構透明度の良い日でした。それでもやはり南のそれほど高くない位置にある星雲です。自宅から南の山までの間に丸々一つ街があり、南の低い空はやはりどうしても街明かりの影響があります。時期的も4月初めは少し早く、撮影終わりの未明で南天を少し超えるくらいです。

まあそれでも寝ながらの撮影なのでダメ元、画像処理を進めてみます。PixInsightはいつも通りWBPPで問題なく進めます。苦労したのはかなり全面に渡る感じでモクモクがあるので、ABEが使えずDBEでポイント数をかなり制限してフラット化しました。あ、もちろんフラットもいつもの昼間の白い壁で撮ってますよ。それ以外はストレッチやStarNetでの星マスク作りも問題なく進みました。

まあ淡いのはPhotoshopに渡す時点で覚悟してましたが、あぶり出しはなかなか厳しかったです。

「IC4592: 青い馬星雲」
masterLight_DBE_PCC_ASx5_ET_HT3a
  • 撮影日: 2021年4月11日2時34分-4時27分、4月12日0時35分-4時8分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x86枚 = 4時間18分、ダーク154枚(ISO800、露光180秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO800、露光1/400秒)、フラットダーク256枚(ISO800、露光1/400秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
遠目で見てる分にはまだマシかもしれませんが、拡大すると荒れ荒れです。分子雲ももっと広がっているはずですが、そこまで諧調が残ってませんでした。青い星雲だからこそのノーフィルターなのですが、やはり厳しいです。もっと暗い所に行くか、自宅なら撮影時間をもっと伸ばす必要がありそうです。リベンジ案件です。

手持ちの未処理画像はほぼ尽きてきました。これから連休ですが、天気はイマイチの予報です。新しくきたFRA135も早く試したいです。 

 

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