ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2020年11月




「2020/11/30の大黒点」
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  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影時間: 2020/11/28 11:51 ser形式でgain 300, 10ms x 2000フレーム中上位30%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理


「口径20cmでの初のHα撮影」
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  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影時間: 2020/11/21 15:02 ser形式でgain 300, 10ms x 2000フレーム中上位50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理



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  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影時間: 2020/11/21 12:19(上)、12:24(下)、設定はともにser形式でgain 300, 10ms x 5000フレーム中上位50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

「初めての日食」

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  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.2 (64bit)
  • 撮影時間: 2020/6/8 16:44 ser形式でgain 410, 5ms x 1000フレーム中上位80%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理


「太陽プロミネンスのタイムラプス映像」

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  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: FireCapture


「2019年4月13日の太陽黒点」

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  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.2 (64bit)
  • 撮影時間: 2019/4/13 8:45頃から10時00分頃までの15本のうちのワンショット、露光時間5ミリ秒、5000枚、うち20%を使用。
  • 画像処理: AS3にてスタック。ImPPGで細部だし、PhotoshopCCで疑似カラー化と後処理。




「太陽ジェットの噴出」

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  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.2 (64bit)
  • 撮影時間: 2019/4/6 14:50頃から15時40分頃まで、モノクロ16ビットのser形式で31本、それぞれ10ms x 500フレーム x 15本, 10ms x 1000フレーム x 15本, 10ms x 5000フレーム x 1本、ゲインはそれぞれサチらない範囲で最大 
  • 画像処理: AS3にてスタック。全て上位50%使用。ImPPGおよびPhotoshopCCで後処理。
 
「プロミネンス 」

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  • 富山県富山市 2018/3/3 11時1分
  • P.S.T. + ASI178MC + x5 barlow lens + Advanced VX赤道儀
  • Shutter 200ms, gain 350, 80/200 frames
  • Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


12月5日から1月24日まで、富山市科学博物館で「星空をみよう!」というタイトルで天体写真展が開かれます。写真展の入場料は無料ですが、科学博物館の入館料がかかります。富山県天文学会会員の写真が展示されます。

今日は富山県天文学会の皆さんが集まって、展示の準備をしてきました。展示は星雲、星団銀河、星景星野、太陽、火星、月その他など、天体対象によって場所が分かれることになりました。全部で50点ほど、皆さんの力作が並んでいます。私は3点、この間フジプリで印刷した網状星雲、富山であまり撮影できなかったネオワイズ彗星、科学博物館の方のリクエストで天の川リフレクションズを提出しました。

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12月5日からの展示会では、特に休日は会員の何人かが会場にいて解説をしてくれるかもしれません。私も何日かは顔を出そうと思っています。よろしければ富山市科学博物館まで足を運んでみてください。


先週のC8での黒点撮影に引き続き、とうとう大きな黒点が出てきました。これをC8で撮影してみました。




大きな黒点出現、でも撮影できなくてヤキモキ

冬季は日が短いせいもあり、仕事があると週末以外なかなか太陽を撮影することができません。せっかく先週やっとC8で格安大口径太陽Hα撮影プロジェクト(長い...)が立ち上がったというのに、今週末は富山は完全に雨の天気予報でした。何度SCWを見返しても土曜は雨雲だらけ、日曜はもしかしたら曇りくらいかもと言った感じで、太陽のためだけに太平洋側の名古屋まで撮影に行こうかと思っていたくらいです。


奇跡的に晴れ間が!

ところがところが、今日土曜の午前11時半くらいから少し外が明るくなってきて、思わず外に出てみると一部に青空があるじゃないですか!しかも雲の流れる方向を見てると、ちょうど青空で抜けているところが太陽方向に向かっているような感じです。まだ地面も今朝の雨で濡れていたのですが、急いで準備を始めました。先週のセットアップがまだ残っていたので、準備はすぐにできます。

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こんな感じでC8にPSTがくっついています。
ちなみこれは先週日曜に準備したときに撮った写真です。
準備完了とともに曇り始めました。天文あるあるです。


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午前11時48分、間も無く雲から太陽が出るところです。

11時40分に準備開始で、ファイルの時刻を確認したら11時51分には撮影してました。

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すごい!こんな大きな黒点は初めてです。しかもC8の解像度も相まって、物凄い仕上がりになりそうです。

実際の撮影時間はわずか10分程度。すぐに全面雲がかかってしまい、撤収です。撤収後間も無く、雨がパラパラ降ってきました。本当に一瞬のチャンスでした。片付け終わったのが12時15分くらいなので、準備から撮影して片付けまでわずか30分ちょいでした。

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すごい解像度!

早速画像処理です。普段はAutoStakkert!3の後にImPPGを使うのですが、今回はもっと細部を出したくてRegistaxにしてみました。細かい調整が効くので、解像度が高いファイルの場合はRegistaxの方が良い結果が出るようです。下がその結果です。大きな黒点であることもあり、ここまでくっきり見えるなら私的にはかなり満足です。

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  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影時間: 2020/11/28 11:51 ser形式でgain 300, 10ms x 2000フレーム中上位30%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理

中心部は申し分のない解像度が出ているのかと思います。一方、ノートリミングなので、中心部以外はPSTのエタロンの性能が悪いせいと思われますが、かなりボケてしまっています。もしかしたらC8とPSTの相対的な位置の問題で、強度の収差が出ている可能性もあります。今後詰めていきたいと思います。

カラー版です。

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あと、前回撮影した黒点も撮っておきました。比較すると全然大きさが違い、今回の黒点がかなり大きいのがわかると思います。

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まとめ

今回は撮影時間が10分ほどとかなり制限されていたので、まだ条件など攻めきれていません。太陽活動がどんどん活発になっているようで、今後の撮影がますます楽しみです。

焦点距離の短い全体像も合わせて撮っておきたいのですが、PSTだとエタロンの精度の都合上全面でHαで写すのはなかなか難しいと思われます。本当は良い機材が欲しいのですが、太陽の沼はそれこそ深すぎるので、今のところはまだ自重しようと思ってます。

 

飛騨コスモス天文台での観望会の日、新月期で天気も良さそうなので、観望会終了後そのまま撮影を続けました。


TSA-120と6Dで撮影できない!?

同日午後、準備を兼ねて機材の接続確認をしていました。TSA-120に6Dをつけて撮影しようと買っておいたアダプター「CA-35」の出番がやっと来ます。と思って午後明るいうちに接続してみたら、ネジのオスメスが違いどうも接続できません。ワイドマウントを使うと書いてあるのですが、よくよく調べてみると持っているものはどうやら「ワイドリング60C(DX-60W)」が付いているFS-60用。TSA-120に接続するには「ワイドリング(DX-WR)」が付いている主にCA-35に接続するアダプターが必要そうです。よく調べてからCA-35を買えばよかった。コロナ禍で出張がないのでなかなか実店舗に行けず、送料がまたかかってしまいます。

結局この時点で今日のターゲットはFC-76に6Dをつけ、M45すばるの撮影にほぼ決まりました。最近は撮影用のカメラはASI294MCか、EOS 6Dなのですが、なんだかんだ言って撮影は6Dの方が好きみたいでし、結果も出ている気がします。これはピクセルサイズが4.3umと6.3umの差なのでしょうか、6Dの方がやはりノイズが少なく、感度がいい気がしています。


観望会後の撮影は失敗だらけ

観望会の話は前回の記事に譲るとして、Mちゃんたちが帰るとあとは一人ぼっち。クマさんに近くに来て欲しくないので、鼻歌を歌ったり、わざと大きな声を出しながら撮影準備です。

でもこの日はいろいろ失敗しまくりでした。まず撮影用のStick PCがどこにも見当たりません。仕方ないのでSurface PCを使ったのですが、6Dを使おうと思っていたのにBackYard EOSが入っていません。仕方ないのでテザリングで繋いでダウンロードし、インストールとライセンス認証を山奥ですることになりました。

ところが付け焼き刃のインストールです。設定が十分でなくて、ディザリングの幅を大きくすることを忘れてました。ディザリングはされていたようなのですが、焦点距離がそこまで長いわけではないのでほとんど動いていなかったみたいです。どれくらい動いていなかったかというと、位置合わせせずにスタックしたのが下の画像です。

noalignment

約3時間半の撮影でこれだけのズレなので、ほとんどずれていなかったことになりますが、逆にこれだけの揺れに抑えることができるなら、あぷらなーとさんがやっていたようなノイズ除去を考えてもいいのかもしれません。

でもずれなかったのが良かったのかというと、実はそうではなく、後の画像処理で分かったのですが、縦に走る縞、センサーのゴミが多数でて、画像処理に相当苦労しました。動いているピクセル数が十分でなくて散らばせられなかったために、悪いところが全部出てしまいました。試しに上の画像をABEで被りを除去してから、STFでオートストレッチしてみると、

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センサーのゴミがどこかしこに見えること、バイアスノイズ起因だと思うのですが、縦縞が残ってしまっています。

でも、これだけのゴミがあるということは、一度センサーを掃除する必要があります。またゴミの濃さが変わっているのですが、これは3時間半の間に動いているということを意味するのでしょうか?いずれにせよ折を見て掃除をします。

縦縞に関しては、今回バイアス補正を無くしたり、バイアスファイルを取り直したり、フラット補正のありなし、ダーク補正の有無、さらにフラットダークの有無でのフラット補正有無など、考えられることをほぼ全て試しましたが、この縦縞を消すことはできませんでした。

相当炙り出した場合での話ですが、ディザーで散らしたほうが簡単に消えるノイズがあるのではというのが今回の結論です。なので、少なくとも私の場合はたとえガイドで星像が完全に動かなかったとしても、七難隠すディザリングで、ディザーはやはりあった方がいいみたいです。ディザーなしで長時間露光を目指すなら、徹底したセンサー面のクリーニングと、解決できない縦縞ノイズをなんとかする必要があります。


寒い寒い

なお、この日はどんどん寒くなってきました。車の窓が凍り付いていたので、確実に氷点下だったと思います。対物レンズもかなり曇りました。ヒーターを巻いたのですが、結局追いつかず、携帯カイロを持っていたので2つ取り付けました。ガイド鏡も当然曇ります。こちらは少し出力の高いヒーターを巻いたらなんとかなりました。

あと、すごい湿気でPCもすぐにベトベトになるので、机の上のPCなどの機材には福島のスターライトフェスティバルの抽選でいただいたヤッケをかぶせておきました。撮影終了時にはヤッケに結構な厚さの霜が降りていました。

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黒いヤッケが少し白く見えますが、全部霜です。

やっと撮影が軌道に乗った午前1時半頃、ふもとの街のコンビニまで夜食を買いに行きました。10kmくらいありますが、夜なので他の車もまず走っていないので、すぐに着きます。結構お腹が空いていたので、ビーフカレーと惣菜パン一個、結構ガッツリ暖かいうちにとコンビニでぺろっと食べてしまいました。

天文台に戻ると午前2時過ぎ、車の中でTwitterとかみながら暖を取っているとだんだん眠くなってきました。午前2時半頃でしょうか、霧が濃くなってきました。でも眠くてたまらなくなってきて寝ました。4時半頃目が覚めたら霧は晴れてました。

午前5時過ぎまで撮影していましたが、目で見て明るくなってきたと感じたところで撮影を止めました。片付ける直前に東の空に金星が明るく輝いていました。

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画像処理ともう一つの失敗

さて、画像処理です。ガイドズレもなく、ディザー幅が小さすぎたためにほとんど動いていなかったので、縮緬ノイズは問題にならなかったです。縦縞が一番問題になっていて、これが制限で炙り出しきれていません。

ことろが、多分対物レンズの曇りのおかげだと思いますが、恒星の周りに奇妙な光条線が出ました。確かに撮影時の確認でも少し出ていて、あまり気にしなかったのですが、画像処理をするとものすごく目立つようになりました。ただ、レンズを見ても曇っていない時でもその場の画像でこの甲状腺も見えていたで、白濁レンズの影響かもしれません。これまでこのFC-76で撮影していてもこんなのは気づかなかったので、白濁と曇りかけたのの複合原因なのかもしれません。機会があるときに、明るい星を写してチェッックしてみます。

出来上がったのは見せる価値があるのかよくわかりませんが、載せておきます。

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  • 撮影日: 2020年11月14日1時32分-5時5分
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市数河高原
  • 鏡筒: タカハシ FC-76 (口径76mm, 焦点距離600mm) + FC/FSマルチフラットナー(x1.04)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO800,  露光時間: 180秒 x 53枚 = 2時間39分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise

まとめ

いずれにせよ、本件リベンジ案件です。TSA-120+6Dで先週、撮影し直したので、また記事にします。

というか、撮影し直すことができたので今回の記事をやっと書く気になったようなものです。せっかくの最高の透明度を無駄にしてしまいました。

 

平日ですが、晴れていたので自宅で朝まで放置撮影です。ターゲットは迷いましたが三角座銀河M33。TSA-120とASI294MC Proで狙います。本当はTSA-120と6Dで試したかったのですが、少し面積が大きすぎます。でもこの間のM31がFC-76と6Dでうまくいったので、銀河をもう少し試したくて、より焦点距離が長く、よりセンサー面積が小さい方向に行きます。


撮影

夕方過ぎの暗くなったくらいではまだM33の高度はそこまで高くないので、準備はのんびり。機材を設置して、Stick PCでSharpCapでとるとどうも通信が不安定になります。Stick PCはネットワークに繋がってないとリモートデスクトップが成り立たないので、画面を見ることができず、何が怒っているかも分からなくなります。結局全くつながらなくなってしまったので、何が起きているのか見るのに、少し前に用意したモニターアダプターを使ってみます。どうやら再起動されたみたいで、アダプターを準備している間にネットワークも復帰していました。画面を見ながら、同時にpingで安定性を見ます。

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どうもCPUの負荷によって、通信が遅くなったり、止まったりするようです。その上で過度の負荷がかかると完全に止まってPCが再起動されるようです。

ここからは推測ですが、電源容量が足りてないのではないかと。CPU負荷が大きいと電力が足りなくて、Wi-Fiまで電力が回りにくくなり通信速度が落ち、さらにひどいとPC自身が電力不足で止まってしまいPCが再起動されるのかと思います。現在はLess is moreのバッテリーを使っていて安定だと思っていたのですが、電力的にはよくても電圧的には決して高いわけではないので、電圧不足になった可能性があるかと思っています。むしろ普通のUSBバッテリーに昇圧アダプターを使った方が安定なのかもしれません。

SharpCapの極軸合わせはかなり計算負荷が高く、これが終わってしまえば今回はこれ以上負荷の大きいことはしなかったので、バッテリーはそのままとしました。今回の撮影はNINAとPHD2を使ったのですが、これくらいの負担なら全く問題なかったです。昇圧の試験は次回以降に試してみます。

あとSharpCapですが、Stick PCのWindowsが64bitでももしうまく動かなければ32bitにしろと警告が出ます。実際、極軸合わせは警告ではなく動かなかったので、これ以降は32bit版で試すことにしています。


撮影状況

今回の課題は恒星のサチリと風での揺れでした。最初の300秒の露光時間のものはゲイン120で2時間くらい撮影したのですが、どうも明るすぎて恒星中心がサチっているようなのと、途中から風が出てきたので長時間露光だと星像が大きくなるようなのです。

途中でカメラがきちんとNINAで認識されていないみたいで、撮影は進んでいるのにファイルが生成されないというトラブルがありました。この時点で、ゲインはそのままの120で、露光時間を180秒にしました。
露光時間を短くするのは星像肥大にも有利かと思ったからです。同時に温度順応でピントがズレたことも疑い合わせ直したのですが、ピントは問題なかったという判断でした。でもこのピント確認自体がどうも悪さをしたようです。

朝になって見たらそれでも180秒露光のものも中心部がまだ少しサチっていました。それよりも途中から雲が出てきたみたいで、撮影した180秒のものの半分以上は無駄になってしまっていました。結局露光時間が不足しそうなので、300秒露光の2時間分と180秒露光の2時間分の計4時間分を使うことにしました。

PixInsightでは露光時間が違ったりすると別処理でスタックするので、ダークフレームも2種類用意します。フラットフレームはゲインを120と一致させたので一種類で済みました。


TSA-120でのフラットフレーム撮影

少しフラットについて書いておきます。TSA-120ではこれまでフラット補正がうまくいったことがありませんでした。撮影したフラットフレームが全然まともでないのです。FS-60とFC-76で障子越しの自然光でうまくいっているのですが、我が家の障子は枠が狭くてTSA-120の口径をカバーする面積の障子面がありません。一方、スーパーの袋で薄明後の空でフラットフレームを撮影してうまくいっている方もいるとのことなので、今回はスーパーの袋を二重にして輪ゴムでTSA-120に取り付け、太陽光が入っている部屋の日陰部分の白い壁を映すことにしました。

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できたフラット画像は見た目はそれほど悪くありませんが、左の方に少し段差のようなものがあります。ビニール袋の取り付け方か、壁の光の当たり具合かと思って色々試しましたが、特に変化がないのでこれがTSA-120の特性かと思うことにしました。かなり炙り出しているので、それで目立っただけなのかもしれません。それよりも変化が大きかったのが、太陽に少しでも雲がかかった時で、光の光量が大きく変わることです。炙り出して見ているとすごい変化に見えるので、雲が完全に無い時を狙いました。でもこれはスタックするので、実際に光量が多少変化してもほとんど影響がないと思います。

フラット補正をした結果を見る限りは、特に問題なさそうなのでしばらくはこれでいくと思います。


画像処理

処理はいつも通りPIのWeightedBatchProcessing (WBP)で。出来上がりのライトフレームは、露光時間の違いにより300秒と180秒の2種類できるのですが、よく見ると300秒の方が細部が出ていてノイジー、180秒の方が細部がなまっているけど滑らかと、ちょっと予測と逆の結果となりました。後半のほうが風の影響が大きかったか、もしくはピント確認した時に合わせ直しが甘かったのが原因かと思います。

最初300秒のと180秒のをPIのImageIntegrationで合わせたもの(3枚以下だと処理してくれないので、それぞれコピーして計4枚をスタック)を処理したのですが、改めて4時間分合わせたものと300秒単体の2時間分を比べてみると、合わせたものの細部がどうしても鈍ってしまっています。泣く泣く2時間分を切り捨て、前半の300秒露光の2時間分だけで処理することにしました。
  • なかなか納得がいかず、何度もやり直して十日くらい過ぎてしまいました。いろいろ問題点はあります。露光時間が光害地にもかかわらず2時間と短いので、根本的にノイジー。
  • 明るい恒星の中心部がサチっているのに後から気付き、残ってしまっています。短時間露光を取り直してHDR合成しようかとも思いましたが、露光時間不足が決定的でそこまでやる価値はないと思い、今回は諦めました。
  • もう少し細部が出そうな気もしますが、ノイズを考えるとここら辺が限界かもしれません。

結果です。

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  • 撮影日: 2020年11月12日21時1分-13日22時55分
  • 撮影場所: 富山市自宅
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35マルチフラットナー(x0.98)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: ZWO ASI294MC Pro (-15℃) 
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: N.I.N.A、Gain 120、露光時間: 300秒 x 21枚 = 1時間45分
  • 画像処理: bias 100枚、dark 100枚、flat(12.5ms) 100枚、flatdark 100枚を使いPixInsightでスタック、Photoshop CC, DeNoiseで仕上げ

まとめ

風の影響が大きく、星像が肥大したことがそもそもの問題でした。

口径が大きくなるとより明るく撮影できます。その一方、明るくて恒星がサチってしまう恐れがあります。中心をサチらせても淡いところを出すのか、サチるのは絶対に避けるべきなのか、HDRを前提に短時間露光も別撮りするのか、ここら辺はこれから検討すべき課題です。

星像肥大でピンぼけを疑って、その後のピントが合わせきれなくて、2時間分の画像を無駄にしてしまいました。そのため露光時間不足から、画像処理も少し諦めた感があります。M31アンドロメダ銀河は自宅撮影でも処理に余裕がありました。露光時間が4時間半と長かったこともありますが、やはり根本的に明るい銀河だったからだと思います。M31で気を良くして撮影したM33ですが、M31に比べたらやはりM33は淡いです。と言っても銀河の中では大型な部類なのは言うまでもありません。自宅撮影ではやはりここら辺が限界なのでしょうか?露光時間をもっと長くしてリベンジしたい気もまだあります。

あ、それでも前回、3年近く前のM33が縮緬ノイズで救いようがなかったので、自己ベストは更新です。

あと2つ画像処理が残ってます。太陽とかすぐに記事に書けるものと、どんどん先送りになっているネタの差が激しいです。残ってる画像処理の一つは夏の天の川。もうとっくに季節が過ぎ去ってしまいました。あせらずに頑張って、そのうちやります。


とうとうC8にPSTを取り付けて口径20cmで太陽のHαを撮影することに成功しました!


太陽光を見ることの危険

(初記事で興奮のあまり安全性について書くのを完全に失念していました。追記しておきます。)

太陽を望遠鏡で見ることは大変危険です。特に、望遠鏡で集められた光を目で見るようなことは失明に直結するの恐れがあります。

本記事では太陽望遠鏡の改造について記述してありますが、私は改造をしてからはアイピースなど、目で覗くようなことはしていません。カメラで見るのみにして、これを頑なに守っています。

改造しても壊れていないからいいとか、自分は大丈夫など、絶対過信することなく、メーカー推奨以外の改造をしたら万が一のことは十分に起こり得ると覚悟し、決して目で覗くようなことはしないでください。ましてや、改造した太陽望遠鏡を観望会などで他人に覗いてもらうなどということは、自己責任の範囲超えていますので絶対にやめてください。他人に何か事故を負わせたときに取り返しのつかないことになる恐れがあります。

さらに本記事では大口径鏡筒使い、集光力を高めているため、発熱、火事などの危険も伴います。もし同様のことを試す場合にも、くれぐれも安全には気をつけて、自己責任の範囲内でテストするようにしてください。

くどいようですが、繰り返し書いておきます。

改造した太陽望遠鏡は決して
安全なものではないです。
もし太陽望遠鏡を改造する場合は、
絶対目で覗くことのないよう、
また火事などの事故にも気をつけて、
自己責任の範囲内で楽しむに留めて下さい。

なお、本記事では太陽望遠鏡の改造について記述してありますが、決して改造を勧めることを意図してはいません。あくまで自己責任の範囲内で、アマチュア天文機材の可能性をテストしているだけです。もし同様のことを試される場合も、くれぐれも自己責任の元でテストするようにして下さい。


口径と分解能

これまで撮影で使ってきたのは10cmの屈折なのですが、口径で分解能が支配されているのはわかっています。分解能を上げるためには口径を大きくするのが一番近道なのですが、以前熱問題でフィルターを割って以来、かなり慎重になっていたのと、長らく太陽の活動が停滞していたので、なかなか試す気になれませんでした。

最近太陽も活動期に入りつつあり、黒点もかなりの頻度で出ています。先月今月、2度撮影しましたが、まだ黒点も小さく今の分解能では細かく見えないのでいまいちパッとしません。なんとか分解能のいい黒点撮影ができなかと思っていました。


車用の遮光フィルム

今回まず試したのが、遮光フィルムです。ホームセンターで車の窓用に売っているものです。とりあえず透過率が13%と謳っているのを買って試してみました。

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とりあえずテストなのでかなり適当につけてあるのですが、取り付け方が全く問題にならないくらいに実際の映像は全然ダメ。ボケボケです。これはピントが合っていないとかではなく、どうも光が拡散されて迷光が多くなりすぎているようで、コントラストが著しく落ちたような状態です。その証拠にエタロンを回すとゴースト光が動いているように見えてしまいます。フィルターで反射しているのかとか思い、元々付けていたMARUMIの赤のR2フィルターを外したり、手持ちのカメラ用のUVカットフィルターに変えたり、HαフィルターをCMOSカメラに付けたりしたのですが全然ダメです。


UV/IRフィルターが救世主に

外で撮影しながら悩んでいるとき、たまたま何日か前に頼んでいたSVBONYの2インチのUV/IRフィルターが配達されてきました。これはもともとは夜の撮影用で、TSA-120で少し赤外と思われるハロが出たので、それを回避するためのものです。ダメ元でと、とりあえずこのフィルターを入れてみると、まだまだボケてますがそれでも像が多少マシになります。これまでのR2フィルターでは迷光が取り切れていなかったものと思われます。

いずれにせよこの時点でフィルムは使い物にならないと判断し、取り外しました。その代わりにC8の対物側の蓋を取り付け、少しだけずらして光をいれてCMOSカメラで像を見てみるということをしてみました。するとこれまでコントラストが全くダメだったものがものの見事に改善されたのです。やはりフィルムが悪さをしていたようです。

さらに気づいたことが、これまでの10cm屈折でやっていた時より、カメラに到達する光の量が全然小さいことです。これは10cm屈折で撮影するときの露光時間とゲインと比較することでわかります。少しづつ蓋をずらしていって光の量を見ますが、最後まで蓋を外しても、口径20cmにもかかわらず、口径10cmの時の光の量と同じか、むしろ少ないくらいです。違いはR2フィルターかUV/IRカットフィルターかの違いです。どうやら今回のUV/IRカットフィルターはR2フィルターに比べて、太陽光を4分の1以下にするようです。

ここで心配になったのはフィルターの温度です。透過量が少なくなったので、その分熱くなってるのかと思いましたが、全然熱くありません。普通に触って少し暖かいかなというくらいです。ということはフィルター部でエネルギーを吸収しているのではなく、光のかなりの部分を反射していることになります。これで少し安心して、試しに撮影してみることにしました。

全然関係ないですが、最近SVBONY製品を使うたびに「SVBONY」が「走れジョリー」の主題歌にのって頭でずっと回ってます(笑)

♪♪
SVBONY トゥルルル、ルルルル、ルルルル、ルルルル
SVBONY トゥルルル、ルルルル、ルルルル、ルルルル
テケテケテケテケ、テケテケテケテケ、S、V、BONY

と言った感じです。今日はSVBONYのフィルターのおかげで解決したのでさらに激しく頭の中で鳴り響いています。


口径20cmでの撮影結果

まずは蓋を半分ずらした状態で2000フレーム。フィルターの温度も、カメラに入る光量も全然問題なさそうなので、次に蓋を全部外して2000フレームです。画面を見ている限り分解能には明らかな違いがありそうです。

その後画像処理をしたのが下の画像です。少なくとも私にとっては初めてみるような物凄い分解能です。さすがに口径20cmの威力と言ったところです。この結果にはさすがに満足です。

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  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影時間: 2020/11/21 15:02 ser形式でgain 300, 10ms x 2000フレーム中上位50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理
カラーにしたものも載せておきます。

15_02_16_lapl3_ap504_IP2_color_dark_cut


同日の10cmでの結果

ちなみに、C8を試す前に10cm屈折で比較参照のために撮影しておいたものが下です。2時間半くらい前の撮影で、その後ホームセンターに遮光フィルムを買いに行きました。

実はこの日はシンチレーションがかなり良かったようで、10cmでもかなり綺麗に撮影できています。

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  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影時間: 2020/11/21 12:19(上)、12:24(下)、設定はともにser形式でgain 300, 10ms x 5000フレーム中上位50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理
特に、2枚目新しく出た小さな黒点は、プロミネンスからダークフィラメントも伸びていて、長いこと撮りたかったものの一つでした。ただし、黒点自身が両方ともそもそも大きくはないので、やはり細かくは見えません。

試しにC8で撮ったものと同じくらいの拡大率で見てみると、明らかに分解能の違いが分かります。

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わかりやすいように、黒点部分を拡大して並べてみます。左が口径20cmのC8、右が口径10cmの屈折です。

comp


やったー!

10cmと20cmの撮影結果は、撮影時間に2時間半くらいのズレがあること、ピント位置とエタロンの調整が必ずしも一緒でないことなど、条件も完全には一致していないのですが、それを差っ引いてもあからさまな差があります。20cmの圧勝です!

惑星もそうですが、動画での超多数枚のスタックはシンチレーションの影響などを軽減することができるので、口径の差がそのまま結果に反映されることが多いです。今回も多分にもれず口径を大きくした効果がそのまま出るような結果になったと思います。

この大口径太陽Hα望遠鏡プロジェクトは、ジャンク製品を多用しものすごく安価に仕上げています。多分値段を言うと、真剣に太陽をやっている方から怒られてしまうような額かと思います。その代わりに、性能はPSTのエタロンやブロッキングフィルターの精度や大きさに依存し、綺麗に見える範囲は大きくはありません。アイデア次第で光学機器の性能を上げるのはアマチュア天文の醍醐味の一つだと思っていますが、それゆえ別の面での性能の制限もあることをご理解いただければと思います。

それでも今回の結果はとても嬉しいものでした。

2年越しの計画がやっとできたー!!

これからの太陽活動期が楽しみになってきました。どんどん撮影していきます。


モニターのキャリブレーションでTStudioさんからいろいろ助言を得ました。その中の一つカラーチャートを作ってみました。

参考にしたのはこのページです。



なかなかいいフリーのチャートがないというので自分で作ったとのことです。ファイルの公開まではしていないようですが、Excelを利用したらしいので、私も同じように作ってみることにしました。VBAマクロを使えば簡単にできそうです。

上の図にはHSV空間で書いたチャートが載せてあって参考になったのですが、おそらく数値と色があってないと思います。数値から計算した正しいと思われる色をHSV空間に焼き直しました。Vが大きいところの色の違いがわかるかと思います。さらにHを360を基準に置き換え階調を切りの良い60おきになるように置き換え、彩度の段階を一つ増やしました。HSVからRGBへの変換は少し苦労しました。このページが参考になりましたが、やっとHSVの数値の定義を理解できました。

また、RGBのバーも階調を増やし、HSVと一貫性を持つために、順序を入れ替えておきました。

出来上がったカラーチャートです。PNG形式です。

colorchart_03

元のエクセルファイルもアップロードしたので、必要な方は、ここからダウンロードして下さい。ダウンロードするともしかしたら拡張子に.txtとついてしまうかもしれません。「.txt」を外すとエクセルのマクロファイルとして認識されるはずです。パパッと書いてしまったため、ソースはあまり綺麗でないので読みにくいと思いますが、ご容赦ください。

とりあえず次回フジプリで画像を印刷する時に、一緒にこのカラーチャートも印刷してみようと思います。まあ、どこまで役に立つかわかりませんが、何かしら得るものはあるのかと思います。

ところで天体写真に特化したカラーチャートってできないものなのでしょうか?例えばHα、SII、OIIIの波長をRGBに落として、さらに混合色とかも合わせてチャートを作っておけば基準になる気がするのですが。でも、波長をRGBに落とすってどうやってやるのでしょうか?

今回は小ネタです。以前コメントでTKさんが教えてくれたcr2ファイルの温度引き出し情報を、実際のやり方も踏まえて書いておきます。


一眼レフカメラの温度情報どうしてますか?

私は天体撮影にCanon製カメラをつかっていますが、みなさん撮影する時に、カメラのセンサーの温度はどうやって記録しておきますか?

ダーク補正をするためにはライトフレームの撮影時の温度と、ダークフレーム撮影時の温度を合わせる必要があります。一つの方法は、撮影終了後、気温が変わらないうちにダークフレームを撮影してしまえばいいのかもしれません。でもダークフレームの撮影はライトフレームの撮影と(枚数を合わせようと思うと)同じくらいの時間がかかります。せっかくの限られた撮影時間がもったいないですし、明るくなってきてからだと急激に温度が変わる可能性があります。

私は、Canonの一眼レフカメラでEOS 6Dを使っていますが、普通にカメラ単体で撮影して、例えばMacでファイル情報(Option+i)で見ても、いったい何度で撮影されたかの情報を得ることはできません。Canonの純正ソフトDPPでもわかりません。なので私は温度情報を得ることをほぼ主目的として、長い間BackYard EOSを使ってきました。


BackYard EOS

BackYard EOSは優秀で、どこからか温度情報を読み出して撮影した画像のファイル名に温度を書き込んでおいてくれます。有料ソフトで結構しっかりしているので、Ditherの対応など他にたくさんメリットもあるのですが、いまだに温度のためだけにこのソフトを手放すことができません。確かAPTも温度情報が得られると聞いたことがますが、私はまだ一眼レフカメラでは試したことがありません。

BackYard EOSですが、百歩譲って撮影中は温度も取れるし使っていても苦になりません。でもダークフレームを撮ろうとして、撮影時の外の温度と合わせるために6Dを冷蔵庫や冷凍庫に入れるとすると、PCと接続しながら撮影しなくてはなりません。細いケーブルを使って冷蔵庫の近くにPCを置いてもいいのですが、家族からは邪魔者扱いされるので大抵はStickPCをつなげて、リモートデスクトップで状況を確認してたりします。でもはっきり言ってStickPCもさらに電源が入ったりするので面倒なんですよね。カメラ、StickPC、電源が冷蔵庫の中に入っていると、扉を開けた時にインパクト特大で、たいてい家族に怒られます。


IrfanViewを使った温度情報の引き出し

ここまでが前置きです。今回は普通のファイルから温度情報を抜き出す便利な方法を紹介します。用意するのはIrfanViewというソフトです。もしかしたら古いWindowsユーザーは「懐かしい」と声を上げるかもしれません。その当時Susieと並んでよく使われた画像閲覧ソフトです。

まずは下記リンクから自分のWindows環境に合わせて32bit版、もしくは64bit版をダウンロードしてきて下さい。



cr2ファイルを読み込むことができるように、同ページからプラグインも入れておいて下さい。マニュアルを見るとCanonのDLLが必要と書いてあるので、EOS utilityも必要かもしれません(私の環境だと既にもう入っているのでどこで入ったかわかりません)。日本語化などもできるようです。


実際の手順

インストールが終わったらIrfanViewを立ち上げます。そこで、メニューから「ファイル」「一括変換/名前の変更」を選びます。

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次に、温度を読み取りたいcr2ファイルが入っているフォルダを選択し、cr2ファイルを選択し、真ん中少し下の「追加」を推します。左上の「一括ファイル名変更」を選択しておきます。

左の真ん中少し上の「ファイル名パターン」のところに例えば、

dark_date$E36867_tv$E33434_iso$E34855_tc$E47.cr2

と入力します。tcの後の$47が温度になります。

IMG_1230

これは各自好みの設定にしてください。番号が何を表すかはヘルプの「Text/Pattern Option」を見るといろいろ書いてます。このページはヘルプの「検索」メニューのところで「temperature」などと打ってやると出てきます。ただしこのText/Pattern Optionのページ、日本語版のヘルプファイルには入っていないようです。もし日本化してしまった場合に情報を詳しく知りたければ、言語を一旦英語に戻してください。

最後に、左下の「一括処理開始」を押すと、名前がルール通りに付け替えられたファイルが、元のファイルからコピーされて保存されます。

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ファイル名を見ると、きちんと温度情報が(この場合24℃と)入っていますね。


注意

でも一つ注意です。この温度ですが、(これもTKさん情報ですが、)
  • この温度値が何なのかを公式には謳っていない。(現時点明確な文書は無くSDKに含まれてない)
  • この温度は画像センサー温度ではなくDIGICチップ内での温度の可能性があり、その動作由来を反映してしまっている可能性がある。
  • この温度センサーは、露出時間に伴う画像センサーの発熱変化を拾えていないように見える。
  • ゆえにDSLRでダークライブラリを使用することは、そもそも最適ではない可能性が高い。
  • 信頼性の低い情報を使用し近似を試みるより、その場でダークを生成することで最高の精度が達成される。
という情報が議論されているようです。なので、必ずしも正しいとは思わない方がいいかもしれません。


まとめ

とにかくこれで冷蔵庫もしくは冷凍庫でのダークフレーム撮影がカメラ単体でできるようになり、かなり楽になりました。温度は後からまとめてみることができます。

多少実際のセンサー温度とは違いがあるかもしれませんが、ダークフレーム撮影時はそれほど急激に温度が変わるわけでもないですし、どうせ温度制御はできないので何枚かの温度の違うフレームをスタックすることになります。なので(少なくとも私は)実用上は十分かと思って使うことにします。


少し前にカラーマネージメントができるBenQのモニターSW270Cを手に入れたことを書きましたが、ただ既存のMacBook Proのモニターとの見た目の比較をしただけで、キャリブレーションまではしていませんでした。

一方、前回の記事でフジプリに頼んで天体画像の印刷を試してみました。せっかく手元にきちんとしたプリンタで印刷されて画像があるので、今回モニターをキャリブレーションしてみて、印刷画像と比べてみました。さてさて、実際どれくらい色が一致するのでしょうか?


使用機器

今回使ったキャリブレーターはX-Rite社のi1DISPLAY PROです。ソフトは付属(実際にはダウンロード)のi1Profilerを使いました。BenQのモニターにはPalette Master Elementというキャリブレーションソフトがあるのですが、MacBook Proのモニターもキャリブレーションして見たかったので、ソフトはより一般的なi1Profileを選びました。

USBでキャリブレーターを繋いであれば、自動でi1Profileのライセンスが認証されるようです。これは毎回立ち上げるたびにライセンス認証しているみたいで、うまくライセンスが認証されないように思っても、Macにキャリブレーターを繋いでありさえすれば、しばらく待てば認証されます。


実際にBenQ SW270をキャリブレーションしてみる

キャリブレーターとi1Profilerの細かい使い方はマニュアルや他のページに譲るとして、気づいたことを書いておきます。

1. 何はともあれ「ディスプレイのプロファイル作成」を選んでキャリブレーションを始めます。「簡易モード」と「詳細モード」がありますが、今回モードは「詳細モード」しか試していません。

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2. 光源タイプはBenQ、Macともに「白色LED」が自動で選択されたのでそのまま進めます。

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3. 最初は一般のモニターで見る場合の標準と言われている6500Kに合わせてみます。選んだところは3カ所だけ。
  • 白色点は「D65」というのが6500Kを意味し
  • 輝度は「120cd/m^2」
  • ガンマを「2.2」
とします。その他は全部デフォルト設定です。

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4. モニターが対応している場合は調整を全部もしくは一部を自動でやってくれます。今回使ったBenQ SW207Sは自動調整に対応しているようなので「自動ディスプレイコントロール(ADC)」を選びました。

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手動は「ブライトネス、コントラスト、RGBゲイン」が調整できるようで、こちらも試しましたが、ブライトネスは調整でき、コントラストは調整そのものが出てこなくて、RGBゲインは調整してもなにも反応がなかったといった状況だったので、SW207Sの場合はこれ以降全て自動で調整するようにしています。(後で気付くのですが、ここが「トラブル2」のポイントでした。最後の方に解説してあります。)

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5. 結果は、元々見ていた設定に比べて多少赤側により、結構暗くなりました。最初は違和感がありましたが、でも不思議な物でものの数分も見ていると慣れてしまって、これが普通だと思えます。

6. 同じi1Profileの「品質検証」でキャリブレーション の結果を検証してみても(もちろんエラーバーによりますが、何度か試しても変な失敗をしない限り普通に平均ΔEが1以下、最大ΔEが2以下もしくは3以下になります)合格と出ますし、何度か繰り返してもかなり再現性がありそうです。ここまででとりあえず、目的のパラメーターにすることは可能だということは分かりました。

その後、大きなトラブルにあたり何日も悩むのですが、これについてはこの記事の最後のほうに「トラブル1」として書いておきます。興味がある方(特にMacな方)は読んでみてください。


MacBook Proのモニターをキャリブレーション

次に同じことをMacBookProのモニターでやってみます。同様にD65、120cd/m^2、ガンマ2.2です。

特筆すべきはMacBook Proの応答の線形性です。ほぼ一直線です。

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BenQ SW207Sは少なくとも真っ直ぐにはなりませんでした。

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キャリブレーションした2つの画面を比べて見ても、非常によく似た色合いになっています。一応写真に撮ったので載せておきます。iPhoneでの撮影なので、かなり色調補正され強調されてしまって元の色の再現性はできていないですが、相対的な違いはわかるかと思います。

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ちなみに、MacBook Proで以前好みだったプロファイルだと、以下の右の画面のようになります。写真だと分かりにくいですが目で見ると相当違っていて、かなり青みがかった画面で普段作業していたことがわかります。

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印刷用のプロファイル

次に、印刷用のプロファイルとしてD50、90cd/m^2、ガンマ2.2というのでSW270Cをキャリブレーションしてみました。輝度は議論があるところですが、「星の牧場2」のよっちゃんさんによると、90cd/m^2くらいがよく印刷結果と合うとのことなので、とりあえずこの値で試します。

と、ここでまた深刻なトラブルが。複数のプロファイルがうまく切り替えられません。こちらも最後の方に「トラブル2」として、解決策とともにまとめておきます。

同様に、MacBook Proのモニターにも同じD50、90cd/m^2、ガンマ2.2を適用します。この時点でBenQ SW207SもMacBook Proも、6500Kでも5000Kでも、目的の色になることは確認できました。i1Profileの「品質検証」で検査してもかなり再現性があります。両方のモニターを目で見比べても、どちらの色温度でもよく似た色になっています。



実際に印刷したものと比べてみる

これらの結果を、前回フジプリで印刷した結果と比べて見ます。印刷物を見るときは、本当は印字をした設定のはずのD50用のライトというのが売っていて、この光の元で比較すべきです。でもこのライトが高い!なので今回は天井の電球色と、机の位置や傾きを調節できるスタンドライトの昼光色(FHC22ED)を適当に混ぜて3つの色が同じように見えるようにして見ました。

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3つを比べた結果が下になります。繰り返しますが、iPhoneで撮っているので、多少画像処理が入るため、絶対的な色は派手目に出てしまっています。相対的な違いを見てください。

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見ている限りはそこそこ色は合っている気がします。むしろ3枚モニターがあるみたいで、印刷とモニターがここまで合うものなのかと、ちょっとびっくりなレベルです。あえて言うなら、Macが少しずれているでしょうか。でもズレ具合は6500Kの時に示した写真程度で、まあ私的には許容範囲内かと。モニター同士の色の違いは写真で撮った方が顕著になるようです。逆に印刷は目で見ると光の当たり具合の影響(見ている位置も含めて)なかなか違いが判断できなくて、むしろ写真に写した方がどれくらい合っているかわかりやすいです。

印刷した色がどれに一番近いか、モニターの元の色と6500Kと5000Kをじっくり目で見て比べると、やはり5000Kでした。もちろん環境光の影響をものすごく受けるのですが、例えば背景の色が比較的わかりやすく、明らかに5000Kが一番近いです。それでも本当に一緒の色かと言うとやはり違って見えて、印刷されたものの方が一番赤く、また色温度にあまり左右されない緑が印刷されたもののほうが一番濃かったのです。

比較のために、MacのモニターだけD65 (6500K)、120cd/m^2、ガンマ2.2に戻したのが下の写真になります。

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写真でもMacのモニターだけ明らかに青みがかっているのがわかります。こちらは目で見た方がもっとよくわかります。

見慣れると6500Kが一番自然な色に見えてきます。以前好きだった色はかなり青によって見えてしまいます。5000Kはやはり黄色っぽく見えてしまいますし、暗いです。なので普段使いでは6500Kにして、輝度をもう少し明るくして使うことにします。


Macの「補正」で色合わせとか...

あと、Macについている「補正」機能も試しましたが、温度とガンマを合わせてもどうも全然違う色になるようです。なのでこの機能はこれ以上使うことはないと思います。

というより、キャリブレーターを一つ持っていれば、Macでもカラープロファイルで調整できる範囲内(ADC(自動調整)を使わないソフト的なと言う意味)で十分に色合わせができます。他のハードウェアキャリブレーションがない、一般のモニターではどうなのでしょうか?結局今回はSW270Cのハードウェアの調整はしていないことになる(下の方の「トラブル2」を参照)と思うので、もしかしたら色域とかの問題はあるものの、安いモニターでもそこそこの(私くらいの素人が、印刷したものと比較するくらいのレベルでの)色合わせくらいはできるのかもしれません。


トラブル1: HDRの罠

やっている途中に大きな問題が起きました。

一旦キャリブレーションが終わって、比較しようとして以前のプロファイルにしても全然元の色には戻らず、明るすぎになってしまいます。

ところが一旦Macと接続を外したり、BenQの電源を切ったりして、再びMacBook ProとAW270Cを接続すると、明るすぎだった元の設定が、以前のようにまともに見えるようになります。そうすると今度は、キャリブレーションした設定が暗く見え過ぎてしまいます。こうなるとせっかくキャリブレーションしたプロファイルも意味がなくなってしまうので、一からやり直しです。

ここはかなり悩みました。その後、何日かいじってやっと原因がわかりました。
  • MacBook  ProをUSB-Cで繋ぐと、SW270のHDR(ハイパーダイナミックレンジ)モードが自動でオンになっていたのです。この場合、SW270Cの「カラー調整」が「輝度」「コントラスト」「シャープネス」「彩度」「色のリセット」以外は全て無効になります。SW270C上では他のカラーモードを選ぶことさえできません。
  • ところが、キャリブレーションを進める過程で、「測定を開始」を押した後にすぐ、強制的にカラーモードはHDRオフになり、その状態でキャリブレーション が進み、カラープロファイルが作成されます。キャリブレーション 後確認してみると「ユーザー1」が選ばるようです。その選ばれたモードは何かモニターを操作するまでは持続します。
  • i1Profileを立ち上げたままBenQの電源を一度切ると、i1Profileが(誤動作で)落ちる。その後、自動でHDRモードに戻ってしまい、キャリブレートしたプロファイルで見ると画面が暗く見えるなどの問題がある。
  • 一旦Macと接続を外して再度接続すると、モニターが認識されないとう問題がある。BenQの電源を一度切ったりするとモニターが認識されるが、自動でHDRモードに戻ってしまい、キャリブレートしたプロファイルで見ると画面が暗く見える。
とまあ、バグ検証のように色々やってみたのですが、結局のところHDRオンの状態でキャリブレーションをすると上記のカラーモードの強制変更の問題をどうやっても回避できませんでした。

結局どうしたかというと、HDRモードをオフにしました。でもこのHDRモードをオフにするやり方がBenQのマニュアルとかサポートなど検索しても全く出てこなくて「条件を満たせば自動でHDRモードが選択されます」とあるだけです。逆に言えば条件を満たさないようにすればHDRをオフにできるはずなので、色々探してやっと見つかりました。Macの方のの設定にそれがあります。

「システム環境設定」の「ディスプレイ」を選んで、「BenQ SW270C」の「ディスプレイ」を選ぶと「ハイダイナミックレンジ」オプションが見つかりました。これをオフにすると色々うまくいくようです。

HDRをオフにした後、カラーモードを「Adobe RGB」にして、キャリブレーションを一からやり直しました。キャリブレーションが終了するとカラーモードは「ユーザー1」になりますが、今度はUSB-Cケーブルを抜き差ししても色はキャリブレーション されたままの色で、変なことにはなりません。

でもこれ、まだ問題を抱えていることに後で気付くのですが、詳しくは次の「トラブル2」を見てください。


トラブル2: ADC(自動調整)と複数のカラープロファイル

ここでまたトラブルです。SW270Cで2種以上のカラープロファイルはほとんど意味をなさないことがわかりました。とにかくキャリブレーションするとSW270Cの中のカラーモードの「ユーザー1」にその設定が保存されます。次に別のキャリブレーションでカラープロファイルを作っても「ユーザー1」が上書きされてしまい、元のプロファイルに戻すことができなくなるのです。なのでキャリブレーション 前後の比較がうまくできません。

そこで「カラー調整」から「色設定を保存」にして、設定を「ユーザー2」にコピーします。その上で新たにキャリブレーションします。新しいキャリブレーション の設定は「ユーザー1」に入るので、元に戻したい場合には「ユーザー2」を選べばいいというわけです。でもこれ、Macの環境設定の「ディスプレイ」から行ける「カラー」のところにそれぞれのキャリブレーションで保存されたプロファイルが、全く意味をなさなくなります。どうも設定内容を全てSW270Cの設定に押し付けてしまうようです。ここら辺はもう少しやり方がありそうなので、引き続き試してみました。

解決策としては「自動ディスプレイコントロール(ADC)」も手動調整「ブライトネス、コントラスト、RGBゲイン」も両方とも選択しないことです。そうすると、調整結果が.iccのカラープロファイルの中に反映されるようです。検証しても最大許容エラーで2以下でも合格しますので、再現性もあるようです。

さらにこのことから、もう強制的に「ユーザー1」に設定が保存されることもなくなるので、最初からAdobe RGBにしておけば、色範囲が広いカラーモードでキャリブレーションができて、その設定がファイルという意味でのカラープロファイルに反映させるのかと思い試しました。狙いはバッチリで、Adobe RGBのまま、D65、120cd/m^2、ガンマ2.2もD50、90cd/m^2、ガンマ2.2も、再現性込みでカラープロファイルを選ぶだけで切り替えができるようになりました。

これでやっとまともなやり方にたどり着いたことになります(多分)。でもHDRとADCの適用範囲、ものすごくわかりにくいです。もう少し改善して欲しい気がします。


その他、細かいトラブル

もう一つ気づいたトラブルですが、キャリブレーション 最後にカラープロファイルを保存するときののファイル名を変えられない時がありました。わかりにくかったのですが、日本語入力モードになっているときでした。入力はできるのですが、保存されたファイル名は入力を無視してデフォルトのものとなってしまいます。一番の問題は日本語モードになっていても半角でファイル名がきちんと表示だけされているので、気付きにくいことです。英字入力モードにすれば普通にファイル名を任意のものにできます。

ボタンや選択が全くできなくなる時があります。多分これはバグかと思います。i1Profile、もう少しきちんと検証して欲しいと思います。

ところで、色温度を簡単に測定する方法はないのでしょうか?キャリブレーションの時に、マニュアル調整を選ぶと、調整時にその時の色温度を測定してくれて表示してくれます。それを設定値に合わせろと言うのですが、調整時でなくてただ単に測定だけしてくれるモードがあればいいのですが。今のところ測定だけという方法は見つかってません。


まとめ

長かったのですが、まとめると
  • 今回、設定を変える前の元の色、6500K、5000Kと比較しました。SW270Cでも、MacBook Proのモニターでも、設定を変えるとはっきり違いがわかります。
  • BenQ SW207SもMacBook Proもそれぞれ同じ設定でキャリブレーション すると、目で見ても見分けがつかないくらいのレベルでかなり近い色になります。
  • 自分が好きな色(元々使っていた色)はかなり青より(高い温度)だと言うことがわかりました。また、かなり明るい画面でも全く気になってなかったこともわかりました。

比較的新しいMacと、一部のBenQモニターの組み合わせの場合、気をつけることとして、
  • HDRモードにはしない、もしHDRモードになっていたらMacの環境設定のディスプレイからオフにする。
  • カラーモードはAdobe RGBを選んでおく。
  • ADC(自動調整)はオフ、マニュアル調整もオフ。
  • 一度キャリブレートしたらSW270Cの設定は弄らず、カラープロファイルのみで設定を切り替える。
というのが重要です。でもよく考えたらHDRモードが使えないというのは、ある意味惜しいことなのでしょうか?ここら辺はまだ私には謎です。

今回、トラブル記事など冗長で長くなっているだけの気もしますが、私自身後から見てもわかるようにと、他にも悩んでいる人もいるかもと思い、そのまま残しておきます。誰かの役に立ったら嬉しいな。


昨晩は飛騨コスモス天文台の観望会でした。12月は雪が降るため今月の観望会が今年最後になります。


天気も良さそう

先月自宅に来てくれたMちゃんにも「飛騨で観望会があるよ」と知らせていたのですが、SCWの天気予報があまりにも快晴なので、改めて「冬の天の川が見えるかも」とお誘いのメールを出しておきました。するとお母様から「課題が終わったら行けそう」と返事があったので、「『課題がんばれ』と伝えて下さい」と書いたら「俄然やる気になってくれて助かる」とのこと。この分なら来てくれそうです。

今回は新月で、快晴で、休日前と、条件がすごく揃うので、そのまま観望会後に撮影も敢行しようという計画です。撮影の方はまた別の記事で書くとして、観望用の機材は惑星用にCelestronのC8 + Advanced VX、電視観望用にタカハシのFS-60CB + ZWOのASI294MC Pro(常温使用) + SkyWatcherのAZ-GTi、子供に触ってもらうようにSCOPTECHの60mmです。準備が大体終わって、午後少し仮眠を取り16時前に起きてシャワーを浴び荷物を詰め込んで、16時半過ぎに自宅を出発しました。


飛騨コスモス天文台に到着、天の川がすごい

途中工事とかで車が混んでて、現場に到着したのは結局18時過ぎくらい。まだもうすっかり暗くなっています。外に出ると空にはすでに天の川が全天にかかっています。秋から冬にかけての天の川が、これだけはっきり見えるのは珍しいです。白鳥座のあたりで2本の川に分かれているのがはっきりとわかります。

観望会の開始は19時半からなので、ゆっくり準備します。今回は鏡筒3本に、のちの撮影用にCGEM IIもあらかじめ出しておいたので結構な数です。鏡筒を3本全てマウントするくらいで最初のお客さんがきてくれました。若いカップルのようです。聞いたら高山からとのこと。初めての参加のようです。まだ準備が残っているのでSCOPETECHの望遠鏡をいじってもらおうと思っていたら、さらに子供連れのお客さんが。小学3年生と言うので望遠鏡をいじるのをその子にやってもらおうとしましたが、遠慮してかやりたがらないのと、その後続々お客さんがきてしまっているので、パッと私が木星だけ導入して見てもらいました。


すごいお客さんの数

スタッフも随時到着して天文台も開けてもらいましたが、その間にも続々とお客さんがきています。SCOPETECHのところにも列ができてしまっています。「望遠鏡もいいですが、今日は空が綺麗なので、是非とも天の川をじっくり楽しんでください」といって、夏の大三角とかの説明をします。

もともと観望会の場所はラグビー場の駐車場なので、車も入ってきてもらっていましたが、もう車を入れるスペースがなくなってきて、何人かの方には橋の向こうの離れた駐車場に車を止めてもらいました。普段の観望会は、少ない時はスタッフと知り合いの1-2家族です。一年一回のペルセウス座流星群のお祭りイベント以外でこんなに人が来たのは初めてです。先月は台風で中止、しかも今月で終わりというのが重なったのでしょうか?あと、各新聞社が扱ってくれた(お金はないので広告ではないと思います)ようです。とにかく対処し切れないほど人が来たので、スタッフみんなちょっとびっくりしていました。

でも、こんな時こそ焦るとたいてい失敗します。子供たちはすでに「これ見えるの?」とかいってC8のところに列を作ってますが、私は頑なにC8の極軸と取ります。でも子供たちの会話を聞いてるともう面白くって。

多分幼稚園か小学校低学年くらいだと思いますが、男の子が女の子に向かって自慢げに「俺、炭治郎に似てるって言われるんだ。」流行の鬼滅ネタです。すると隣に並んでた女の子が「えー、すごい!」でも暗くて顔は全く見えてないと思います。男の子はちょっと得意げに「顔に傷があるんだ。だから似てるって言われる。」「えー、どこどこ?」周りの子たちも騒ぎ出しますが、やっぱり暗くて全然見えてないと思います。

そんなこんなで極軸調整も終わる頃に、SCOPETECHの方からヘルプが。スタッフの一人が頑張って木星を追ってくれてたみたいですが、いなくなってしまったようです。あらかた木星は見てくれてたみたいので、土星を入れておきます。20mmのアイピースなので小さいですが、それでも輪がはっきりと見えるのにみんな喜んでくれます。まもなくC8も準備ができ、木星を導入します。「こちらでも木星見えますよー」と言うと、続々と人が集まってきます。衛星も縞も見えるので、皆さん驚きの声を上げています。

子供と大人で背の高さが全然違うので、アイピースの向きを変えて対処したりと結構忙しいです。でも極軸をSharpCapでかなりの精度で合わせてあるので逃げていく心配は全く無し。子供が大体見終わると、大人は放っておいてもよくなります。こうなると私の方も少し手が開くので、次はSCOPETECHの面倒をみたりとそれでもやっぱり大忙し。C8も木星の次は土星です。その頃にはドームの方も木星や土星を入れていたみたいなのですが、お客さんに聞くと外のC8のほうがはっきり見えるとのこと。ドームの方は温度順応がまだできていなかったのかもしれません。でも手が離せなくてそちらに行くことができないほどの人で、ドーム組のスタッフには申し訳なかったです。

そんな中、誰かが「火星を見たい」といい出しました。でも木星がもう沈みそうなので「木星最後になりまーす」といって再度木星を導入。新しく来た人でまだまだ木星を見逃してた人もいるみたいです。子供たちは相変わらず何度も並んで「もう俺3回見た」とか言っています。興味を持ってくれるのは嬉しいことです。低空なので収差がひどく、大人には赤と青に分かれているところも説明したのですが、「七色に分かれて見えて綺麗だ」との評価です。マニアとは視点が全く違うので、我々が気にするところは一般的には結構どうでもいいのかもしれません。

そうそう、並んでいる子供たちがあまりに騒ぐので、お母さんでしょうか「もう少し静かにしてねっていってるでしょう!」と周りのことを考えてか少し申し訳なさそうに怒っていました。そんな時は「騒いでくれるとクマさんが来なくなるのでいいですよ。どんどん騒いでください。」と言います。でもさすがに駆けずり回り出した時は「頼むから鬼ごっこはやめて!」と親が叫んでました。望遠鏡は手の届く範囲に固めたるので、ぶつかって倒れるようなことはないのですが、それより暗いので転んで怪我をしたら大変です。この時ばかりはお母様にまかせることにしました。

さて、木星がもう沈むのでいよいよ火星を導入です。だいぶ小さくなってますが、まだまだ見応え十分です。C8だと模様も多少見えるので「じっくり見ると黒いところがわかります」と言うと、子供は一瞬見ただけで「模様も見えた!」といいます。多分暗示だと思うのですが、もしかしたら目の感度がいいのか、ダイナミックレンジが広くて、本当にすぐに見えるのかもしれません。


Mちゃんも到着

このころでしょうか、課題を終えたと思われるMちゃんが到着しました。でもあまりに人が多くてなかなか相手になってあげられません。そのうちにC8の補正版が曇ってきてしまい、ヒータをつけても焼け石に水。仕方ないので少し休憩としました。Mちゃんを探すと、なんと自分の赤道儀を持ってきていました。

VixenのGPくらいでしょうか。きちんとは確認できなかったのですが、聞いたら前回自宅に一緒にいらしたUさんから頂いた(使わなかったら返してねと言うことらしいです)とのことです。でもこの駐車場、多少傾斜があり、うまく水平が出せないようで悩んでいたみたいです。というより、マスクで眼鏡が曇っていろんなものがうまく見えないみたいでした。多分時間がかかりそうだったので、「せっかくなので天の川を楽しんだほうが得だよ」といって、この間手に入れた「ナイトウォッチ」を車から持ってきて貸すことに。お母さん曰く「この間のメシエ天体の本も夢中になりすぎるのでしばらく禁止」らしいのですが、今回の本は読み出したらそれこそずっと読んでいることになると思います。

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本を見ながらMちゃんはすごく嬉しそうで、赤道儀がうまく行かなかったことも忘れたみたいで、それからお母さんとMちゃんと3人で天の川を見てました。とにかく車から降りた時に、あまりの空の凄さにびっくりしたそうです。「こんな空を見たのは初めて」だそうで、富山の街中では絶対見ることができないので、ものすごく喜んでいました。誘った甲斐があったというものです。Mちゃんは「プラネタリウムみたい」と言いますが、「いやいや、それは逆でしょう。プラネタリウムが真似をしたんだよ。」とすかさず私が突っ込みます。お母さんは「天の川がカシオペアを超えて、オリオンまでつながってる!こんなの凄過ぎ!」と大興奮です。お母さんと、Mちゃんの会話を聞いていると、お母さんの星座の知識も相当だとわかります。「すごい詳しいですね。」と言うと、「毎週科学博物館で聞いているので流石に覚えてしまいました。」とのことです。そもそも今回も富山の街中から1時間半くらいかけてここに来てるはずです。このお母さんあってのMちゃんなのでしょう。


今日は電視観望もよく見える

オリオン座が登り始めで、Mちゃん念願のオリオン大星雲を見たいと言うので、じゃあということで電視観望を始めました。でもまだM42には少し時間が早く、とりあえずM42すばるを。流石に今日は透明度もいいのでしょうか、電視観望でさえも分子雲が余裕で見えています。この写真の時点で3.2秒、87枚スタックでトータル4分30秒とのことですが、電視観望でここまで見えたのは初めてのことです。空も十分に暗いのでフィルターなども無しです。

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ちなみにすばるがモニターに映る頃にはモ結構な人が集まってきていて、Mちゃんは全然見えてなかったそうです。「こんなに分子雲が見えるのはラッキーなんですよ」と説明すると、子供たちが幸運のアイテムを発見でもしたかのように騒ぎ出します。子供に価値が伝わるか心配でしたが、この綺麗さは十分に伝わったようで、子供ながらに楽み方を工夫してくれているようです。

次に北アメリカ星雲です。本当はQBPをつけるともっとはっきりするのですが、フィルターをつける時間ロスが惜しかったのでノーフィルターです。

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もうだいぶ西の方に傾いていましたが、QBP無しでここまで見えるのはやはり空がいいのでしょう。

どなたか女性の方が「馬の星雲をどうしても見たい」とかいうので、「あ、馬頭星雲ですね。」というと、子供の一人が「バトウって何?」というので、「馬の頭と書いて馬頭(ばとう)星雲、星雲が馬の形に見えるんだよ。近くに燃える木といって、木が燃えているような形に見える星雲もあるんだよ。」というと、興味津々。というわけで次は馬頭星雲を導入し、みんなで見てみました。燃える木はすぐに形まで分かったのですが、馬頭の方は最初なかなか馬の形が見えてこなく、露光時間を12.8秒まで伸ばしてやっとはっきりしました。下の写真で20スタック、4分16秒です。

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電視観望はリアルタイム性を求めるために時間の制限もあり、一般的にゲインが高いので、リードノイズが効きやすいです。そのためノイズを減らすのに露光時間を伸ばすことが効果的なことがよくあります。

写真を撮り忘れてしまいましたが、途中M31アンドロメダ銀河とM33三角座の回転銀河も電視観望で見ました。特にアンドロメダ銀河の方は腕の構造もきちんと見えて「わー綺麗!」とか「本で見たのとおんなじ!」など、かなり迫力があったようです。そうそう、「アンドロメダですが、アンドロメダ〇〇って、なんて言いますか?」と聞いたら、ほぼ全ての人が「アンドロメダ星雲」でした。「アンドロメダ星雲は昔の呼び方で、最近はほとんどアンドロメダ銀河です。昔はボヤーっと見えていたので星雲と勘違いしたみたいですよ。」と言うと皆さん「へーっ!」と。アンドロメダ青雲とアンドロメダ銀河の名前の違いはここの解説が詳しいです。でも、真面目なページなので某アニメについての記述がないのが残念です。

他に、沈む寸前の網状星雲を見ましたが、少し見えたくらいであまりはっきりとは見えず、この時点で夏の星雲はあきらめました。 

最後はやっと上ってきたM42オリオン大星雲です。実は最初少し早い時間に、金網越しでM42をみたのですが、網の縁の太い枠で暗くなっているところがあったり、まだ低空なこともあり、解像度がイマイチでした。ランニングマンもいまいち形を認識できていません。22時前くらいになる、とある程度きちんと見えてきたんで、Mちゃんもやっと満足したみたいです。

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片付け

電視観望もひと段落した頃にはもう22時近くになっていて、だんだんお客さんも少なくなってきます。私もやっと周りを見る余裕ができてきて、残っていた他の方達とも少し話すこともできました。

22時半頃から少しずつ片付けを始めました。23時頃にはドームの方も閉めたようです。今回全然ドームのほうに顔を出すことができなかたので残念でした。ドームはかなり混んでいて、人数制限をしていたみたいで、Mちゃんもドームのほうに行けなかったので、片付け寸前に飛び込みで中を見せてもらったみたいです。

この日のスタッフは4人か、5人。忙しくてあまり顔も合わせられないような状況でした。昨年Yさんが亡くなってから、残りのスタッフだけでまずは1年、コロナで大変でしたがなんとか観望会を続けることができました。Sさんは年間の日程や、宣伝などいろいろ細かいことをやって頂いています。今回こんなに人が集まったのも、地道な宣伝の成果かと思います。まだ11月ですが、今年は今回で終わりということで少し早いですがスタッフ同士で「よいお年を」と挨拶をしました。せっかくお客さんも楽しみに来てくれているので「来年も無理しない範囲で、頑張って続けましょう」と誓いを新たにしました。Yさんの撒いた種は確実に地域に根差しています。

スタッフの方が帰ったのが23時半くらいでしょうか、最後にMちゃんとお母さんだけまだ残っていて、私と話したりしながら天の川を楽しんでいました。今日来る前にやった課題のことをMちゃんに聞いてみたらどうも学校の宿題みたいで、「同じことばっかりでつまんない」とのこと。お母さん曰く「ためてやるからダメなんだ」とのこと。難しくはないとのことなので、多分反復が辛いのでしょう。私も昔ドリルとか大嫌いでした。まあ、仕方ないですね。理科はすごい好きとのことです。あれ、そういえばこの日は富山で思考大会があったはずで「あれ?思考大会でなかったの?」と聞くと、「あー、あの算数の難しそうなやつ?」とのこと。多分挑戦するとかなり楽しいはずなので「来年は出るといいよ」と勧めておきました。

ちょっと脱線しますと、思考大会というのは数学オリンピックのミニ富山版みたいなやつで、小学生と中学生の部に分かれています。問題を見ても、知識というよりは論理性を問う良問ばかりなので、学年はほとんど関係ありません。ちょうどうちの下の子が今年も中2で受けてましたが、最近は部活にのめり込んでいて、Scratchとかもほとんど触ってなく論理的な考え方をする機会が減っているせいでしょうか「できんかった」と、半分泣きそうにブスッとしていました。うちでは毎年恒例で、思考大会の後は近所の「是空」というつけ麺を食べに行くことになっていて、ここで答え合わせをします。でも今年はコロナ禍で密を避けるため、解答の張り出しもなかったので、解けなかったところの答えを一緒に考えていました。こういった試みは、数学や科学に興味を持つ子にはたまらないイベントです。昭和32年から富山独自で続けているそうです、毎年1000人位参加するそうです。富山のこのような素晴らしい取り組みには頭が下がります。


まだまだこれから撮影

さて、観望会は一通り終わりましたが、私はまだまだこれから撮影です。こんな条件のいい日は年に何日もあるわけではありません。23時半以降、Mちゃんが全然帰りたがらないので、お母さんがヤキモキしていました。お父さんからも電話がかかってきてましたが、それでもなかなか帰ろうとしません。ところが、0時近くになって、私とお母さんのほうがまだ話を続けようとしているところに、今度はMちゃんが「撮影の邪魔になるから!」とやっと帰る気になったようです。「またいつでも遊びに来て下さい。」とお別れしましたが、Mちゃんも少し眠そうでした。車の中でいい夢を見るんだと思います。

とにかく今回の観望会は、初めてというくらい数多くの人に来てもらい、皆さんにかなり満足してもらえたようです。どこかしこから「すごくたくさんいろんなのが見えた!」とか「来てよかったー!」とか、しみじみ行っている声が聞こえてきました。やはりいい空と言うのは何ものにも替え難いです。また来年を楽しみに、そして今後も長く続けられたらと思います。


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