ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2020年08月

最近、少しいいモニターを手に入れました。といってもBenQのものでサイズも27インチと、最近の大型モニターから見たらまだ控えめの大きさなので、多少安価で、少なくとも最高級品というわけではないです。キャリブレーションもまだ試していません。パッと見の印象は色むらもなさそうで、悪くなさそうです。


事務用に使っていたモニターの色は全然おかしい

まだまだ使い始めのテスト段階のですが、たまたまそのBenQモニターと、昔(2009年発売開始)から使っている一般クラスのMitubishiのモニター(画像処理に使ったことはなかった)で、自分の撮影した星雲を何気なく比べてみたんです。ところが全然写りが違うのに気づきました。Mitsubishiの方は自分が持っている印象と全く違って写ります。暗い、コントラストが悪く霞みがかったみたい、黒が黒でない、鮮やかさがない、色が違うと、もう雲泥の差です。普段画像処理はMacBook Proだけでやっています。外部モニターに映したこともなかったのですが、今回初めてBenQのモニターに映してみたので、ついでにこれまでの物でも見てみようと思ったわけです。


おかしいモニターを調整してみる

一見MacBook ProとBenQモニターの色はかなり似通って見えます。まだキャリブレーション前なので、よくみると多少は違いますが、それでも印象が違うほど違っては見えません。一方、Mitsubishiモニターは一見して印象が違います。そこでMitsubishiモニターを改めて同じように見えるように調整してみました。といっても調整できるパラメータはそう多くはありません。大まかにはコントラストを上げれるだけ上げ、ブラックレベルをかなり落とすとかで、あとは色温度に相当する部分をRGBでマニュアルでバランスをとるくらいです。高度な機能(ダイナミックコントラストとか、黒白伸長とか、超解像設定など)はどれもオンにするとかけ離れていったので全てオフです。結果としては多少BenQと似た色になりましたが、同じと言えるほどにはまだ遠いと感じます。あー、これくらいしか表現できないのかと実感できました。

一番違いのあったMitsubishiiモニターの設定のビフォーアフターを、画面をiPhoneで直接撮影することで伝えようとしたのですが、撮った写真を見てもほとんど違いがわからなかったです。まあ、デフォルトそのままのダメだったパラメータと、多少はマシななったものを比較できるかもしれないので、一応載せておきます。

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こちらがBefore。パラメータも初期のままです。

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こちらがAfter。明るさもコントラストも精一杯ですが、まだ不足と感じました。
まあ、古い機種なのである意味仕方ないです。 

iPhoneで撮ったものを比べると、Beforeの方が一見階調が良く、Afterの方がサチっているようにみえますが、電視観望画面の撮影でもそうなのですが、iPhoneで写すと多少鮮やかに見えてしまいます。実際の画面はBeforeが暗く迫力がなく、Afterの方が階調豊かで自然に見えます。


さらに比べてみると違いが

しかしさらにここで改めて比べてみると、設定し直したMitsubishiの画面は、BenQからは遠いですが、MacBook Proに結構近いです。最初、近いと思っていたBenQとMacBook PRoもまだまだ違いがあったのです。Mitsubishiモニター古いですが、もしかしたら意外にいいのかもと思ってしまいました。それでも目一杯増やした輝度とコントラストが不足しているのは明らかなので、まあ仕方ないですね。

色の違いを写真で表すのはどうやら不可能なようなので、言葉で説明することにします。
  • 最初のMitsubishiモニターの設定は先に書いたとおり初期設定そのままの酷いものです。実際の見え具合も全く意図したものと違っていました。
  • 合わせ直したMitsubishiモニターの設定では、MacBook Proにかなり近くなりました。それでも輝度が足りていないように、全体的に暗く見えます。コントラスト不足でもあり、背景部が霞がかって見えます。
  • MacBook Proはこれで最終調整までして画像処理したので、自分が思っているような色です。もちろん私の腕にも欠点が多々あるので、まだまだ不満なところもありますが、それでも自分なりの納得の色というのは3つのモニターを比べてもぶれてません。
  • BenQモニターはそれに比べると、赤がのっぺり出てます。彩度が高く見え、赤の階調が出ていないように見えます。ギラギラ見えるのに、諧調の豊かさはMacBook Proに劣るといったとことでしょうか。また、背景が暗く(黒く?)でるので、暗くて淡い諧調の違いがわかりにくくなります。WindowsとMacの違いかとも思いましたが、実際にWindowsからの出力とMacからの出力両方で比べてみて、少なくとも表示しているPCでの違いはほとんど感じられなくて、モニターの違いのほうが大きいと思いました。
  • 見比べたら違いははっきりわかりますが、一台だけパッと見せられたら見分けられるか?一度見て特徴を覚えておけば見分けはつきそうです。でも新たな画像を見せられて、このモニターは3つのうちどれかと聞かれたら、多分無理です。

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左からMitsubishi、BenQ、MacBook Pro。
でもこんな写真では全く違いを表すことができません。

Mitsubishiモニターは今回目で見て調整しました。MacBook ProはTrueToneはオプションを外して、あとはデフォルトの設定。BenQモニターもまだ何も調整していません。これが調整次第で今後どうなるのか、少なくともキャリブレーションで目で見て同じと思えるようなレベルまでにはなって欲しいです。

とこんなふうに言葉で伝えましたが、多分実際に画面を見てないと10分の1も伝わらないと思います。モニターの写り具合の違いをうまく伝える方法ってないのでしょうか?統一したものはキャリブレーションすれば伝えることは原理的にできるんですよね。キャリブレーションした後に、違いがわかるか?言葉でその違いを説明できるのか?ここら辺もきちんと検証したいです。


他の人は違って見えるのでは?

さて、機器の差があるので、上のように違いが出ること自体は仕方ないので特に問題にはしてません。でもこのとき思ったのが「自分がいいと思って処理した画像も、他の人が他の環境で見ると多分違った印象で見えるのだろう」ということです。

今まで自分自身でも、モニターの色に関しては気を使ってこなかったので、いまさらあまり大きなことは言えません。最近少し派手目の色使いに傾いていることもあり、もしかしたら他の人には全然変なふうに見えているのかもと心配になってきました。少なくとも同じ画像を自分のMitsubishiのモニターで見たら最初あからさまに変でした。

画像処理の最後は微調整になってきます。ここら辺の作業が一番時間がかかる割に、その調整が全部吹っ飛んで伝わってしまうかもしれないのは、なんとも惜しいと感じました。MacBook Proも自分ではキャリブレーションはしていませんが、これは最初からある程度キャリブレーションされているらしいです。何も考えてなかったのですが、ずっとこれで画像処理をやってきたのはある意味ラッキーだったのかもしれません。


今後

今回、新しいモニターを手に入れて少しだけ比べてみたのですが、今までいかに色に気を使ってこなかったがよくわかりました。それでもMacBook Proの中で画像処理が閉じていたのがせめてもの救いです。

でもまだやっとモニターだけで、キャリブレーションまで行っていません。入り口に立つ準備を始めた程度です。これからもう少し時間をかけてきちんと色のことを理解しようと思います。


きっかけは一通のメールから

先日、名古屋の天文ショップスコーピオの店長さんから突如連絡が。なんでも富山のある会社に望遠鏡一式を納品するのだが、初心者なので地元でサポートしてもらえるような富山の天文同好会はないかという質問です。

スコーピオは私が4年前に星を始めた時に、機材を揃えたお店です。実家が名古屋なので帰省の旅に寄っていたのですが、最近はコロナ禍で全然お店に寄れていません。今回、お客さんに一連の操作を説明するために富山に来くるというので「せっかくだから納品が終わったら食事でもどうです?」とか言っていたら、なぜかとんとん拍子に私もその説明会に参加することに。なんでも初めて天体望遠鏡を使うので、富山で誰かサポートしてくれる人がいると心強いというのです。私もこんな話は大好きなので、二つ返事で「行きます!」と。


説明会当日

で、先日行ってきました。スコーピオさんが休日の水曜日です。平日なので、私も仕事を終えてからの参加です。出かける際に妻が聞いてきました。

妻: 「え、何しに行くの?」
私: 「なんか会社で望遠鏡を買ったとかで、それ見に行く。」
妻: 「え、なんで?」
私: 「店側は富山でサポートしてくれる人がいると安心だから、会社側は初めての望遠鏡で近くに教えてくれる人がいると助かるから。両方からメリットがあるから。」
妻: 「え、パパのメリットは?」
私: 「無い。でも新しい仲間ができるかも。」

と答えたところ、もう呆れ顔で「ハイハイ、勝手に行ってらっしゃい!」と言った感じで送り出されました。なんでこのワクワク感を分かってくれないのでしょうか?


日本空調さんにて

18時頃にその会社に到着しました。今回会社を挙げて天体望遠鏡を導入したのは株式会社日本空調さん。富山駅からすぐのところです。駐車場で「着きました」と電話して、スコーピオの店長さんと日本空調の社長さんにお会いして、挨拶もそこそこに社内の会議室のようなところに連れて行かれました。なんとそこには社員さんがズラーっと机に座っています。20人位はいたと思います。

実は事情を全く聞いていなかったのですが、話を聞くと超面白いです。なんでも社長さんがもともと星に興味があって、ボランティア社員を募って、社長自ら作った作った天文テストで90点以上とった社員が参加しているとのこと。90点以上にならないと追試もあるとかで、この場に集まった方はそのテストをパスしてきた精鋭さん達だということです。

ここからが重要で、今回望遠鏡を会社に導入して、小学校や中学校で観望会を開いて子供たちに見てもらいたいというのです。コロナ禍でイベントとかなかなかできないので、少しでも地域の人に楽しんでもらえたらとのことです。9月には教育関係の方の視察もあるとかで、ちょっと気が早い気もしますが、そのやる気と実行力は素晴らしいと思います。


なぜか突然講義の始まり

しかも、スコーピオの店長さんも当日こんなふうに会議室に集まって話をするとは何も聞いていなかったらしく、急遽話を作ったそうです。18時過ぎから暗くなり始める19時前くらいまで、ズラーっと並んだ社員の皆さんの前で赤道儀の説明から、設置の仕方、観望会の様子まで一通り話が進みます。おそらく皆さん、実際の望遠鏡を触った人はほとんどいなくて、基本的なことからの説明です。聞いてみると、事前に送られてきた赤道儀と鏡筒を2度ほど組んでみたとのこと。でも実際に組み立てた人は限らていて、鏡筒を覗いた人もまだ半分くらいとのこと。しかも一部の機材しか触っていないので、今回一からの設置と、極軸調整の練習をして、これまで使っていない機材も試してみるとのことです。なんと、電視観望用にASI294MCもつけたセットで、街中でも相当のことまでできそうです。

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講義が終わると、外に移動して実際の機材の設置になります。場所は歩いて数分の会社の駐車場です。


実際の設置

今回納品した機材はというと、赤道儀がVixenのSXD2、鏡筒が同じくVixenのSD103Sで焦点距離が795mm。初めての機器にしてはもう十分過ぎるくらいの性能です。さらに惑星用にバローレンズ、さらにさらに電視観望用にASI294MCとレデューサーも揃えています。よく見るとASI292MCを取り付けるためのCanonマウントアダプターもあるので、そのうち広域電視観望とかもできるかもしれません。

駐車場では何人かの人が中心となって、赤道儀の設置と水平出しを始めてます。

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  • 木星が駐車場横の家屋で隠れてしまうので「赤道儀の場所、もう少し家から離れた方がいいですよ」と言って移動してもらいます。聞いたら前回とは違う場所に置こうとしてしまったようです。まだやはり目の前の機器に手一杯で、なかなか全体に目が行かないのは無理もないことです。
  • 赤道儀の設置のときも「ウェイトが重すぎでバランスが取れない、もうこれ以上内側にいかない」と迷っていたのですが、これもアイピースがついてなくて鏡筒側の重さが足りなかったためで、スコーピオ店長さんからアドバイスがありました。
  • やはり最初のうちは何度も練習が必要で、その都度その都度トラブルや気づいたことを解決していくことがそのまま経験になるのかと思います。

街中の星観察には星座ビノ

設置している最中に、手持ち無沙汰な方もいたので、星座ビノを出して星座観察をしてもらいました。ここは駅の近くでかなり街の中心部なので、富山と言っても相当明るいです。それでも星座ビノだと、目で見るよにはるかに星の数が増えるのにびっくりされたていたようです。星座ビノは結局合計6つ出して、交代でかなりの方にみてもらいました。将来観望会をやる時にもこういった星座ビノを用意しておくといいと思います。
  • 星座ビノを使って、月のすぐ近くにアンタレスがあり、その右の3つの星も見えてさそり座の形を認識してもらいました。
  • ベガの周りの三角形と平行四辺形でこと座の形を認識してもらったりします。
  • 星座アプリ(最近は星座早見版よりこちらの方がメジャーのようです)と照らし合わせて形が分かったりするので、街中でも充分星空を楽しめて楽しいと思います。

みんなで観望

望遠鏡の設置もうまくいき、自動導入も店長さんのアドバイスのもと何度か試していたようです。参加していた社員さん全員に覗いてもらっていました。設置で苦労したせいか社長さんが「全然働いてなくて見るだけか!」と(冗談で)文句を言っていました。でも社長さんすごく楽しそうで、うまく見えているのでちょっと得意げでした。
  • 最初の月ですが、今回初めて望遠鏡を覗いた半分の社員さんには相当インパクトがあったようです。
  • さらに木星は、社長さん特製テストで4つの衛星の名前を覚えていたので、皆さんそれを確認していました。縞も十分見えたようです。
  • 土星は形が綺麗で初めて見るとインパクトがあります。こちらもテストで出ていたらしく「タイタンが見えるか?」とか言っていたのですが、流石に難しかったようです。

他にももう一台、スコーピオの方でVixenの同クラスの赤道儀と鏡筒を持ってきていて、手が空いている社員さんが何人か導入の練習をしていました。ファインダーを覗きながら入れようとしているのですが、鏡筒は全然あさっての方向を向いています。でもやはりファインダーだけを覗いていると、それがわからないんですよね。外からそれを見てる人はわかるので「もっと全然左!」とか言っていましたが、本人もファインダーから目を離して改めて気づいたようです。ここら辺も経験を積んでいくのが大切だと思います。


なんと電視観望も

最後は大トリで電視観望の練習です。アイピースからCMOSカメラのASI294MCに取り替えて、まずは惑星から。
  • ソフトはSharpCapを使いました。もしかしたらASIStudioの方が楽かもしれません。今度一緒にやる時に紹介しようと思います。
  • 惑星は導入後、カメラで見ると明るすぎるので露光時間やゲインを下げる説明をしてました。
  • 電視観望だと、木星の縞とかもみんなで同時に見えるのにインパクトを受けていたみたいで、今後の観望会への発展の感触を得ていたようです。
  • その後、改めて惑星を中心に持っていきバローレンズで拡大し、ピントを合わせ直してさらにはっきり見てました。

星雲にも挑戦です。
  • 星雲はまずは輝度の高い、こと座の惑星状星雲M57です。導入後LiveStackでノイズが少なくなっていきます。ここは私も少し活躍して、ホワイトバランスと炙り出しでどんどん見えるようになってくると「おおっ!」という感じでした。明るい街中でもきちんと色がついていて、青から赤のクラデーションが見えるのは驚きだったようです。
  • 次はこぎつね座の亜鈴状星雲M27です。ダンベルの形がわかるので「英語ではダンベル星雲というんですよ」と話すと「ほーっ!」とうなずいてくれていました。
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でも社長さんが「これは操作が難しい!覚えられなさそう。」と叫んで、「〇〇君、きちんと覚えて!頼りにしてるよ。」とか言っていました。頼まれた若い社員の方も「大丈夫かなあ?」という感じでしたが、すかさずスコーピオの店長さんが「これはベテランがやるような結構難しいことをやってるんです。」とフォローを入れていました。もちろんこれから経験が必要ですが、私も近くに住んでいるので、できるだけ一緒にサポートしていければと思っています。


説明会に参加してみて

でもこの日本空調さん、さすがに技術系の会社なので理系の方も多くて、特に宇宙に興味を持った若い社員の方が何人かいました。当然モーターとかの制御専門の方もいて、結構私も話が合ったりします。モーター制御はオートガイドとかにも通じるところがあるはずです。カメラが趣味の方ももしかしたらいるかもしれないので、撮影とかまで進むかもしれません。会社の入り口とかオフィスに撮影した写真を飾っておけばかっこいいと思うのですが、どうでしょうか?この中から、星が本当に好きになって、せっかくある会社の望遠鏡を自由に使って進めてくれる方が出てくると嬉しいです。

スコーピオさんがこの日のうちに名古屋に帰る必要があったので、21時頃でスコーピオさんと私は退散しました。「またわからないことがあれば、遠慮なくご連絡下さい」と伝えておきました。すいていれば車で30分かからないくらいです。今後うまく観望会までたどり着いて欲しいです。

社長さんと何人かの社員の方には少し話したのですが、観望会を開催するのもなかなか大変だと思います。多分最初はトラブルだらけで、うまく見せてあげられないかもしれません。だんだん暗くなって木星とか見え始めると、極軸をとる時間もなく見せ始めて、全然導入できないとか、導入しても極軸があってなくてすぐに逃げてしまうとかもよくある話です。でもそこでめげずに、何度か経験を積んでもらえば、きっとそのうちうまくいくと思います。私もそのために手助けできるなら喜んで参加します。

また経験という意味で「富山私科学博物館で毎週土曜日星空観察会をやっているので、そこに参加したらいいですよ」とアドバイスしておきました。おそらく自分たちで始める前に、観望会の雰囲気を知っておく方がいいのかと思います。


終了後、少しだけ食事に

日本空調の皆さんはもう少し続けていくようでしたが、我々はここで移動し、せっかくの機会なので少しだけ食事でもしようという話になりました。スコーピオ店長夫妻と私の3人です。でも問題は、コロナ禍で21時だと店が全然空いてないのです。これから運転して帰るので、居酒屋もいまいちです。本当はおいしい回転寿司(富山は回転寿司でも本当に美味しいです)とかがよかったのですが全然あいてません。豪華なものでなくていいというので、この時間で空いている数少ないお店で、近くの駅前の富山ローカルの「まるたかやラーメン」に行きました。富山のラーメン屋はなぜかメニューにおでんが普通にあります。あんばやし(こんにゃく)や巻かまぼこは珍しかったみたいです。名古屋の赤味噌でない、生姜風味の白味噌でおでんを食べることや、おでんにとろろ昆布がかかっているのも確かに富山だけですね。普通の一般富山人の店なので申し訳なかったのですが、一応喜んでくれたみたいでほっとしました。

私も最近全然名古屋に帰れないので、店長とは久しぶりの会話になります。聞いたら、やはり会社を挙げて望遠鏡を導入するのは珍しいケースで、スコーピオさんでも初めてのことだそうです。名古屋から富山はなかなか遠くて、電話でもなかなかサポートが難しいので、私みたいなのでも近くにいてくれるとありがたいとのことでした。


天文機器の扱いのサポート

富山の同好会は富山県天文学会(略して県天)があるのですが、最近のコロナ禍で活動が停滞しているのと、観望会はまだやるのですが初心者のサポートみたいなものはあまりしていないのが現状です。実は現会員の中にもサポートを期待して入会してくれている方もいるので、もしかしたらそういった方向もきちんと考えた方がいいのかもしれません。基本的に県天は好きな人が集まっているので、勝手に技術は習得していくもんだとという感じなのですが、ボランティアを募れば世話好きな人もきっといるはずです。そういった教えて欲しいという需要は実はかなりあるのかと思います。

観望会で自分の望遠鏡を持ってきてもらって、その時に操作を教えてもらうということもあるかもしれません。でも現実には観望会では他のお客さんに見てもらうのがメインで、なかなかそういったサポートはできていません。富山市科学博物館の観望会で、一部職員さんが面倒を見てくれている時もありますが、これもその職員さんの好意でやってくれていることだと思います。

こういったサポートは天文人口の裾野を広げることにもつながるので進めていきたいですが、まだまだこれからの課題かと思います。地域でサポートを欲しているなら、ローカルに周りに住んでいる近くの詳しい人で、なんとかサポートできるのがいいなと思います。


お疲れ様でした

コロナ禍でのスコーピオさんの店舗の状況だとか、最近の新製品の話題だとか、話はつきません。奥様はあまり星には興味はないみたいですが、こういった遠くの出張にはついていくそうです。本来水曜はお店が休みなのですが、大体こういったサポートでなかなか休みにならないそうです。大変だと思いますが、好きなことでもあるのであまり気にならないとか。いや、それでも大変だと思います。

というわけで、22時過ぎくらいだったでしょうか、この日は解散となりました。天文ショップのサポートがどのようなものかも興味があったので、私にとってもいい経験となりました。日本空調さんの志と実行力は素晴らしいです。うまく観望会までたどり着いて欲しいと心から願います。私もせっかくお知り合いになれたので、今後もできるだけ協力できたらと思います。

一連のCBPのテストの一環で、作例として前網状星雲を示しました。




連日のFS-60CBでの撮影

今回、同様のセットアップで北アメリカ星雲とペリカン星雲を撮影しました。これも平日の自宅庭撮りになります。鏡筒がFS-60CBにマルチフラットナー で焦点距離370mm、カメラがEOS 6Dで露光時間3分が40枚、5分が35枚なので、合計295分、ほぼ5時間の露光です。

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前日と同じセットアップのせいもあり、撮影準備開始が19時半頃、撮影開始がまだ少し明るいうちの20時と、とても順調でした。後から見ると最初の方に撮ったのは明るすぎたので、実際に画像処理に使ったのは十分に暗くなった20時半過ぎからのものです。一番最初、前回の網状星雲と同じ設定の300秒で撮影したのですが、(その時は気づかなくて)まだ明るかったこともあり、すぐに180秒露光に変更しました。途中、0時頃に赤道儀の天頂切り替えの時にやはり暗すぎと思い、そこから300秒に戻し午前3時半頃まで撮影しました。


画像処理

他に溜まっている画像もあり、画像処理は焦らずに結構のんびりやっています。

ISO1600、露光時間1/200秒で障子の透過光を利用して撮影したフラットフレーム102枚と、同設定で暗くして撮影したフラットダークフレームは100枚は、前回の網状で使ったものの使い回しです。

今回露光時間が180秒と300秒で2種類あるので、ダークはオプティマイズオプションをオンにして、前回撮影した300秒のダークフレームを使いました。オプティマイズが効いていると、ライトの露光時間に応じてダークノイズを適当に調整してダーク補正をしてくれるはずです。ASI294MCはアンプグローが大きいのでこの手法は使えませんが、6Dの場合は変な特徴的なノイズはないので、オプティマイズ機能が使えるはずで、今回の結果を見る限り特に問題なだそうです。


出来上がり画像

結果は以下のようになりました。結構派手に仕上げています。

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  • 撮影日: 2020年8月19日20時26分-8月20日3時32分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO1600, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI290MCM、PHD2によるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒 x 40枚 + 300秒 x 35枚 = 4時間55分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC
まず第一の感想として、そこまで苦労せずコントラストも色も十分出ています。前回の網状星雲同様、自宅庭撮りでここま基本的に満足な結果です。5時間という長い露光時間も効いているのかと思います。


どこまで見栄え良くするか

多分一過性のものだと思いますが、最近派手目に仕上げています。インスタグラムの影響でしょうか?

冷静に理由を考えると、天リフやTwitterとかでなのですが、小さなサムネイルになった時に印象に残ることを考えているのかと思います。画面を小さくするとある程度はっきりさせておかないと、ぱっと見よくわからないと思うのです。例えば網状星雲なんかは細い線になってしまうので、大きな画面の状態である程度出しておかないとかなり印象が薄くなってしまいます。

といってもやってみるとわかるのですが、実は最初なかなかうまくいかなくて、炙り出そうとしてもノイズばかりが目立ってしまうことが多いです。ノイズの少ないコントラストの高い素材を最近やっと撮影できるようになってきて、ようやく派手目にすることができるようになってきました。

派手目というのを別の言葉に置き換えて良く言うなら、狭いところに押し込められた諧調をできるだけ余すところなく、可視の諧調に置き換えて使えるようになってきたと言ったところでしょうか。どこまでやるかは人それぞれかと思いますが、海外の方が派手目なのが多い気がします。

この傾向、今のところ悪い評価よりもいい評価の方が多いみたいです。特にこれまでなかった海外からの反応もあるので、やはりパッとみたときの最初の印象は大事なのかと思いました。

でも果たして濃い天文マニアの人たちから見たらどうなのでしょうか?この色合いは好き嫌いが分かれるかと思います。少なくとも素材をそのまま生かしただけのシンプルな画像処理とは違うので、お絵かきになる可能性も十分にあり、ここら辺は自分自身肝に銘じておくべきかと思います。


その他評価など

その他細かい評価です。
  • 最初赤だけを強調していたのですが、そうするとかなりのっぺりしてしまいます。赤に比例して青と緑もきちんと炙り出してやると階調豊かになるようです。
  • 北アメリカ星雲とペリカン星雲では、同じ赤でも結構違うのが分かります。ペリカンの方が赤のみが多いのに対して、北アメリカは青や緑成分がかなり混ざるようです。他の方の作例でもこの傾向は同じなので、あまり間違ってはいないと思います。
  • 明るい恒星3つが、右から青、オレンジ、緑と綺麗に出ました。これはCBPの利点の一つで、QBPではなかなか出てこないと思います。
  • いまいち暗部の諧調が乏しいです。特に中央の黒い部分です。 三裂星雲でも、網状星雲でも暗部の諧調が出にくいような傾向が見られました。これまで分子雲とかをきちんと出したことがあまりないので、経験的にまだまだなのかもしれません。今回の5時間の撮影時間も私の中では最長の部類ですが、暗部をもっと出すためには根本的に露光時間が足りないのかもしれません。もしかしたらCBPの特徴という可能性もありますが、今の私にはまだよくわかりません。ここら辺は今後検討していく必要があるかと思います。
繰り返しになりますが、庭撮りででここまで出たのは個人的には十分満足です。CBPがうまく働いたと考えていいかと思います。QBPでも赤は十分出たと思いますが、青と緑も含めた階調や、特に恒星の色はなかなか出なかったと思います。


3年の進歩

ちなみに下は3年前にフィルターなしで同じFS-60CBで自宅の庭で撮ったものです。カメラがその当時EOS 60Dだったので、今回EOS 6Dになった違いはありますが、それ以外はフィルターの有無の違いだけです。当時もかなり頑張って画像処理して、それなりに満足していました。そこから見たら画像処理の腕も上がっているとは思いますが、CBPが入ることで素材の時点で優れたものが撮れていて、仕上がりも無理をしなくても素直に出てくるのかと思います。

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こうやってみると、わずか3年のことですが、機器も画像処理ソフトも自分の処理技術も確実にレベルが上がっていることが実感できます。進歩が目で見てわかるということは、趣味でも仕事でもモチベーションを保つ上ですごく重要で、それが実感できる天体撮影はなかなかやめられません。


まとめと今後

庭撮りCBPの2作目ですが、思ったより思い通りに出ました。CBPやはり結構いいです。

まだ未処理画像が2つあります。画像処理はブログを書くよりもはるかに時間がかかります。こちらも焦らずに進めていこうと思います。次は三日月星雲の予定です。


8月23日は飛騨コスモス天文台を作ったYさんの命日です。星を見ながらYさんとの思い出を語ろうと、飛騨コスモスの会の仲間で集まりました。

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机を用意し、Yさんの写真を飾り、蝋燭と線香を立て、一人づつお祈りしました。

Yさん天文関係の写真を持ち寄り、昔話に花を咲かせます。Yさんは全国に星仲間がいて、各地に足を伸ばしていたようです。写真を見ると2016年の胎内星まつりにも行っていたとのことで、私も初めての星まつりのとしでまだ知り合いではなかったですが、どこかで会っていたかもしれません。オークション会場の写真があり、私もそこにいたはずなのですが、残念ながら写ってはいませんでした。

せっかく星仲間が集まったので、やはり星を見ます。今回は惑星用にC8を出しました。結構雲が多かったですが、ほとんどの時間、所々抜けているところがあり、月に始まり、木星、土星と見ることができました。コロナ禍で本当に久しぶりの観望会の方もいて、今年初めて見る木星と土星に年甲斐もなくキャーキャー言っていました。多分Yさんも、こんなふうにみんながコスモス天文台に集まって星を見ているのを、空の上から喜んでいてくれるのかと思います。

もう一つは、雲が多かったので135mmのレンズにASI294MC Proをつけて多少広角の電視観望にしました。三脚と自由雲台だけの手動導入です。手動導入にしては少し星雲を探すのは難しいくらいの画角なのですが、それでも雲に隠れた網状星雲が片方の東側だけ見えたとか、三裂星雲と干潟星雲とかをこの間撮った写真と比べながら「今この方向に見えているのがコレですよ。」などと説明しました。最後は北アメリカ星雲とペリカン星雲を見ました。

その後撤収したのですが、その最中にアンドロメダ銀河が見えるかというので盛り上がってしまい、最初は双眼鏡から、でもなかなか見えないので視野の広い星座ビノを人数分出してみんなでM31探しです。「ペガススの四角形の左下とカシオペアの間くらい」「もうちょっと下、ボヤーっとしたやつ」とか、色々言いながら無事に全員見つけることができました。一度コツがわかると、どこにあるか再びすぐに探し出せるみたいです。

終わってみたら月から惑星、星雲、銀河とフルコースでした。Yさんの命日で、もう一年経ったのかと思うのと同時に、やっぱり星が好きな人が集まった時は、しんみりするよりは星を見てるのがいいなと思いました。Yさんもいてくれたらもっと楽しかったのになあ。コロナ禍でなかなか集まることもできなかったですが、これからも活動続けていきますので、天国から見守っていてください。


前回の三裂星雲はCBPも使いましたが、フィルターなしの画像が一番多くQBPも使っていましたので、CBPでの作例とはまだ言えませんでした。今回からが純粋なCBPだけでの撮影となります。




CBPを使っての庭撮り

今回のターゲットは網状星雲です。やはりCBPなので、青色近辺を含む星雲を選びました。

網状星雲はむかーし、フィルターなどまだ全然使ってなかった頃テストで撮っただけで、全然あぶり出なかったので、リベンジという意味もあります。撮影日は平日なので、仕事もあるため庭撮りになります。光害地での検証と言えると思います。その代わり自宅なので、一晩中放っておいて撮影できるというメリットがあります。

網状星雲全体を入れたいので、焦点距離の短いFS-60CBにマルチフラットナーをつけて、EOS 6Dで撮ります。?(クエスチョンマーク)の形の下のところまで入れたかったので最初縦長にしようと思ったのですが、縦だと幅がギリギリなのと、西網状、東網状と言いたかったのであえて横構図にしました。

午後7時頃から準備を始めたのですが、久しぶりのFS-60CBということもあり、少し戸惑ってしまって撮影を始めたのは21時半過ぎです。というのも、今回始めて新StickPCで長時間撮影を試みました。カメラがEOS 6Dなので、撮影ソフトはこれまで通りBackYard EOSを使いました。将来的には6DでもNINAを使ってもいいかもしれませんが、これはまた別の日に試したいと思います。いくつか設定不足のところがあり時間がかかってしまいましたが、トラブルというよりは、画像保存フォルダの場所とか、ファイル名が上手くつかなかったとか、細かいことです。撮影自身は、Stick PCに関してはほとんど何もトラブルなく、一晩中、朝まで問題なく撮影を続けることができました。

撮影時間は21時半過ぎから午前4時前まで、約6時間。失敗はなかったので全部使うことができました。ディザーもあるので実質露光時間は5時間ぴったりでした。

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  • 撮影日: 2020年8月18日21時47分-8月19日3時52分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO1600, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI290MCM、PHD2によるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x60枚 = 5時間0分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC
率直な感想ですが、淡いところまでかなり綺麗に出ました。庭撮りでしたが、ここまで出れば私的にはかなり満足です。


以下、細かい感想です。まずはよかった点:
  • 青い部分がかなりはっきり出た。
  • 赤もQBPの時より補正があまり必要なかった。
  • 青だけでなく、緑の淡い部分も残っているようです。
  • 全体的にカラーバランスはQBPよりははるかにとりやすいと思います。
  • 光害に関しては、月は出ていませんでしたが、住宅地なので前回の三裂星雲よりはるかに状況は悪いです。それでもこれだけ出せるので、QBPほどではないにしても相当迫る実力だと思います。
  • とくにゴーストなど問題になるようなところも見受けられませんでした。
  • ハロのようなものもほとんどなく、星像はかなりシャープに出ていると思います。

もう少し検討したい点:
  • 網状星雲の中央に赤と青の淡い線が走るはずなのですが、さすがにそこまでは出ませんでした。もっと明るい鏡筒か、真に暗い空、さらなる(10時間クラス?)の露光時間が必要なようです。
 
  • 右側に暗黒帯が大きく広がっているはずですが、試しに極度に強調しても全く出ませんでした。黄色っぽい色になるはずで、この波長帯は苦手なのかもしれません。
  • 下の写真のように、恒星だけを強調して見てみると右側が大きなエリアで減光しているのは確認できたのですが、背景がついてこれていないようです。
masterLight_ABE_PCC_STR_all_darkarea

まあ、庭撮りでここまでは望みすぎなのかもしれません。


おまけのAnotationです。

masterLight_ABE_PCC_STR_all3_DBE4_cut_Annotated



まとめ

今回は庭撮りで光害地での検証に当たるのですが、CBPやっぱりいいです。元々彗星用途ですが、星雲用途にも十分期待に答えてくれると思います。CBPの目的の一つであった青も淡いところまで出てくれたので、私的にはかなり満足です。

網状星雲はCBPのテストとしては格好の材料だったようです。でもさすがに上を見るとキリがなくて、網状星雲はまだ全部の顔を見せてくれません。これがCBPのせいなのか、それとももっと暗い空を求めなければならないのか、はたまた露光時間が足りないのか、これからも挑戦のしがいがあります。

次はCBPを赤のみの星雲で試して、QBPと色がどれくらい変わるのか試してみたいと思います。
 

前回のCBPの検証記事が長くなりすぎたので、撮影した三裂星雲の画像処理と仕上げは別途この記事で書いておきます。




撮影時の様子とトラブル

機材は前回の記事で書いたので詳しい事は省きます。撮影ソフトはNINAを使いました。最近これが多いです。撮影自体は問題なかったのですが、「撮像」タブにあるLiveviewがいまいちうまくいかなかったです。(→後に、LiveViewではなく、1秒露光とかにして循環(ループ)をオンにして、その上で「撮像」を押すといいと分かりました。)やはりLiveViewは安定性、操作性ともSharpCapに軍配が上がると思います。そのせいか、ASI294MC Prpの露光時間とゲインの調整がすこしうまくいきませんでした。結局180秒露光で、ゲイン120にしたのですが、まだ少し明るすぎたようで、恒星が一部サチってしまっていたようです。3分露光なら0dBでもいいかもです。ゲイン120下げるとすると、-12dBなので高々4分の1です。恒星がサチると、あぶり出しのときにArcsinhStretchが使えなかったりするので結構不利になったりします。 

あと、カメラの温度は-10℃に設定したのですが、夏場で夜でも暑かったのか思ったより電力を食い、冷却用のバッテリーが一番最初に切れました。真夏は-5℃とか0℃くらいの方がいいかもしれません。少し温度を上げるだけでバッテリーの持ちが随分とよくなるようです。


撮影結果

今回撮影した32枚、合計96分の画像を全て使い、最後まで画像処理してみました。北が上になります。三裂星雲M20の青がきれいに出ています。左上に写っているのは連番のM21になります。

「M20三裂星雲とM21」
integration1_PCC_ST_all_AS6
  • 撮影日: 2020年8月14日21時4分-23時40分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、温度-10℃
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: NINA、露光時間180秒x32枚(フィルター無し17枚、サイトロン CBP (48mm): 9枚、サイトロン QBP (48mm): 6枚)  = 1時間32分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC

昔FC-76で自宅でQPBで撮影したもの
と比べると、もちろん機材も露光時間も違いますが、今回の方が明らかに青色も広範囲に渡って出ているのが分かります。ただし今回処理した画像は、フィルター無しのノーマル画像の数が一番多いので、青色がCBPによって出たかどうかの影響は少ないです。あくまで撮った全部を使いたかったという、私のもったいない精神でこうなりました(笑)。

CBP純粋の効果は次回以降のお楽しみとさせてください。


エピローグ

この日の撮影はお盆の金曜日。お盆はずっと晴れていたので、すでにこの日で3日連続の出撃でした。この後、三日月星雲とかも撮ったのですが、雲が出てきて枚数不足でした。この日は撤収で自宅に帰りましたが、夜起きてる習慣がついてしまい、結局明け方まで寝られませんでした。

その次の日、土曜の夜も同じ場所に行ったのですが、さすがに4晩目は疲れてきました。赤道儀まで出したのですが、少し雲が出ていたのを見て気力が萎えてしまって、早々と撤収。帰ろうとすると珍しく一台の車が。この場所で他の人を見るのは初めてです。

「こんばんは」と声をかけると、両親と男の子の3人で天の川を撮っているみたいです。話を聞くと子供は中学一年生、星はお父さんの趣味。小4の娘は車の中でぐっすり寝ていて、4人できているとのことです。と、こんなことを話していると奥様が突然「〇〇さんですか?」と真っ暗な中、私の名前を言うではありませんか?「えー!見えないのになんでわかるんですか?」と聞いたら「声でわかった」とのこと。でも私は心当たりはありません。聞いたら妻の知り合いで、子供つながりで私も何度か会ったことのある方です。でも声だけでわかるなんて...。そんなに特徴のある声だったのでしょうか?天の川狙いなので、短時間でもいいので雲の晴れるのを待っているとのことです。

私はこの日はもう諦めたのですが、どうやら後から晴れたみたいで、この日は全国的に天気が良かったとのことです。残念でしたが、家に着いたら結局すぐに寝てしまい、もう朝までぐっすりでした。

その後、今週はほぼずっと晴れていたので、自宅でCBP何度か撮影しました。画像処理が進んだらまた記事にします。

 

みなさんこんにちは、ほしぞloveログのSamです。最近「ほしぞloveさん」とか呼ばれたりしますが、ハンドルネームは「Sam」です。「ほしぞloveログ」と書いて星空ブログ(ほしぞらぶろぐ)と読みます。

前回
前々々回の記事で、先週金曜日にペルセウス座流星群と天の川の撮影をしてたと書きましたが、本当は今回書く記事が一番試したいことでした。少し時間がかかってしまいましたが、やっと画像処理も終わったのでまとめておきます。

QBPのこれまでのまとめ

これまで好んで使っていた、サイトロンのQBP(Quad Band Pass)はHα、SII、Hβ、OIIIの4つ(Quad)の基線を通すためこの名前がついています。このフィルターかなり便利で、自宅のような光害地でも、多少の月明かりがあっても、星雲を相当炙り出すことができます。

QBPの作例については以下をご覧ください。

















さらになんと、私がTwitterで電視観望でも使いたいと呟いたリクエストで、QBPのアメリカンサイズまで作ってくれ、もうサイトロンさんには感謝しても仕切れないくらいです。



私にとって、QBPは撮影にも電視観望にも、すでに無くてはならないフィルターになっています。


QBPの不満

このQBP、ものすごく便利なのですが、実は2つ不満があります。
  1. 一つは、最初の方の作例を見てもらうとわかるのですが、普通に赤を出そうとするとどうしても朱色がかった赤になってしまうのです。他の方の作例を見ても同様の傾向が多いので、これはQBPの特徴の一つなのかと思います。でもこれは何度か画像処理をしていて、青を少し強調してやると赤の色バランスがよくなることに気づきました。QBPの特性として、どうも相対的に青色が弱く写ってしまうようです。最後の方のバラ星雲なんかは適度に補正してあるので、初期の頃とだいぶ色合いが違うのがわかるかと思います。
  2. もう一つは記事の中で時々書いているのですが、恒星の色、特にオレンジとか緑とかが出ないのです。これは結局解決に至らず、適当に色が抜けたような状態でごまかしています。なので、どうしても色を出したい場合はQBPをあえて使わない時もありました。
そもそもQBPは青が強いM45プレアデス星団や、恒星の色に近い銀河はあまりきちんとした色が出ないようで、今のところ主にHαを出したい時にQBPをよく使っています。

そうは言っても、QBPはこの手のフィルターにしては比較的波長帯の制限をゆるくしてあるために、色バランスが崩れにくいというのが大方の評判で、私もその意見に賛成です。ただ、上記のような不満もあるのも事実なので、これをなんとか改善できないかとずっと思っていました。


CBPの検証開始

今回やったことはサイトロンから少し前に発売されたCBP(Comet Band Pass)フィルターの検証です。

 

一方、今回使ってみたCBPは彗星用に開発されたフィルターということもあり、青や緑の波長帯を通すとのことで、QBPの弱点であった、赤以外の色が意外にバランスよくでるのではという期待があります。ただ、星雲用に開発されたわけではないので、これは自分で試してみないとよくわからないでしょう。

というわけで、毎度のこと前置きが長かったですが、やっと検証の開始です。

今回のターゲット天体は青色を適度に含むM20、三裂星雲です。機材はTSA-120に35フラットナーをつけ、ASI294MC Proで撮影をします。もう8月後半なので、M20は宵のうちから高い位置にあり、しかもこの日はちょうど下弦の月のころなので、M20が沈むくらいまでは月は出てきません。さらに前回の記事でも書いたとおり、この場所は天の川が結構はっきり見える(2つに分かれているのは十分に分かります)場所なので、光害の影響があまりないところです。条件としてはいいのですが、光害のカットという意味での検証にはならないということは注意が必要です。

今回はM20を
  1. フィルター無し
  2. 48mmのCBPを取り付ける
  3. 48mmのQBPを取り付ける
という3つのケースで撮影して比較したいと思います。時間的にはこの順番で、それぞれ上から17枚、9枚、6枚撮影しました。枚数が違うのは、だんだん時間が無くなってきて焦ってきたからです。同じ日で撮った方が公平になると思ったので時間が限られてしまいました。ここら辺はご容赦ください。

高度から考えると、時間と共に位置が下がってくるので、1のフィルター無しが一番有利で、順にCBP、QBPとなるはずで、QBPの7枚目以降はまだそこそこ高度はあったのですが、背の高い木が少し入ってしまったので、そういったうまく撮れていないのは省いた枚数になります。


結果の比較

今回非常に面白い結果が得られたので、早速撮影された画像を見て見てみましょう。画像はどの場合も、1枚のRAWファイル(fits形式)をPixInsightでDebayerして、STFでオートストレッチをかけただけです。画角が同じなので、オートストレッチが公平に働いて、画像の質によって星雲などのコントラストがそのまま表されてきます。

1. フィルター無し

まずはフィルター無しのノーマルです。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
フィルターなしの場合。

特に色をあぶり出したりしているわけではないので、のっぺりした色合いになっています。それでも暗いところなのでM20の赤と青はそこそこ出ています。


2. QBP

先にQBPを見せます。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
QBPフィルターを適用。

QBPの実力通り、フィルター無しに比べて赤が相当強調されています。実際に画像をスタックして画像処理までして比較してもみたのですが、一枚でこれだけ差が出ていると、スタックしても結果に大きな違いが出ます。フィルターなしの方が枚数が多いので当然ノイズは少ないですが、淡いところの赤を出そうと思っても最初から色が出ていないものは後から処理してもなかなか出てきません。枚数が少ないQBPの方が遥かに簡単に色が出ます。


3. CBP

ではお待ちかね、最後はCBPです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
CBPフィルターを適用。

明らかに青がノーマルの時よりはもちろん、QBPの時よりも強調されています。赤はフィルターなしの場合より濃くなっていますが、QBPよりは若干薄いでしょうか。


分かりやすいように並べてみます。

com1

左から、フィルターなし、QBP、CBPの順です。CBPで青が明らかによく出ているのがわかるかと思います。赤い三裂(4裂?)の周り、特に上部や下部の青なんかは違いが顕著です。

赤はやはりQBPが一番出ていますが、ノーマルと比べるとすでに朱色がかっているのがわかるかと思います。CBPは赤に関してはある意味ノーマルとQBPの中間で、まだそこまで朱色がかっていないです。

これは期待通りというか、期待以上の結果です。


光害に対する効果

QBPよりもCBPの方が波長の透過域が増えるので、光害に対しての効果は減ると推測されます。今回は光害の影響があまりない場所での撮影だったので効果が分かりにくいため、あくまで暫定的ですが少しだけ評価してみます。

PixInsightのSTFのオートストレッチは、画像の持っている明るさによってストレッチ(あぶり出し)のパラメータを決めます。撮影したRAWファイルを何倍くらい明るくするかは、(同じ画角で撮った場合)光害に依るという意味です。光外の少ない暗い画像ほど大きな倍率をとって明るくするはずですし、光害が多く明るく写った画像ほど倍率は小さくなるはずです。出来上がった画像の(背景の)明るさはあまり変わらなくなります。

そのため、撮影した画像の背景の明るさと天体(淡い星雲)の明るさに差があるほど、背景を同じ明るさにした場合には天体がよりコントラスト良く浮き上がってくるはずです。この時のオートストレッチの倍率を比較することで、光害がどれだけ軽減されるか、言い換えると光害防止フィルターがどれくらい働いているか推測することができるはずです。

オートストレッチの値から、フィルターなしを1としたときにQBP、CBPでそれぞれ何倍明るくしたかを表にしました。色によって倍率が違うのでRed、Green、Blueで別々に計算しています。具体的にはSTFのスパナマークを押すと表が出ます。最初なかなか意味がわからなかったのですが、いろいろ試して、結局真ん中の列の逆数が元の画像から何倍ストレッチしたかに相当することがわかりました。結果は以下のようになります。

 RGB
No filer111
QBP3.983566944.486127173.40584795
CBP3.537339063.440159572.7432878

さて、結果をじっくりみていきましょう。


QBP:


この結果を見ると、まずQBPはフィルターなしに比べて4倍くらい明るくできるので、言い換えると余分な光を4分の1くらいにしているということがわかります。以前、波長帯の広がりからざっくり4倍くらい得すると推測していましたが、実測もかなりこの推測に従っているようです。




CBP:

次にCBPです。まず第一に、結果の数値だけを見るとそこまでQBPとは大きく違わないというのが印象です。CBPの方がかなり(下手したら何倍も)明るく出るのではと思っていたのですが、平均だと1.2倍程度です。

R関しては除去比は少しQBP劣りますが、ほとんど違いがありません。GとBに関してはCBPの方が光害を除去しないことになります。と言っても高々1.3倍とか1.2倍です。これはCBPが彗星の核や尾のCN, C2, C3らの基線を透過させるように、主に紫外から青を新たに通すように設計してあるため、この波長での光害に対する除去効果は軽減されるので納得です。ただ、青よりも緑の方が違いが大きいというのが少し疑問ですが、Gセンサーも青の帯域に感度はあるので、これはあり得るのかもしれません。

ここでパッと疑問に思ったのは、青に対する明るさの倍率が低いCBPがなぜQBPよりもより青色を出すか?です。これは当然、これまでカットしてしまっていた青い光をより通すようになったからと考えることができます。倍率が低くても、捨てていた青い光を拾った方が得だったということです。


結論

というわけで、ここでの結論は「CBPはQBPよりも光害に対する効果は多少低いが、違いは全然大きくはなく、むしろ青を通すことでより強調する効果がある。これは青い成分を持つ星雲に有効である。」と言っていいのかと思います。もちろんこの値は光源に依ります。繰り返しになりますが、今回は光外の影響があまりないところで試したので、街明かりの場合や月明かりの場合は結果が違ってくる可能性もあるかと思います。

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さらなるCBPの効果

でもでも、実は面白いのはここからだったのです。この検証の過程で3つの画面を見比べていて、一つ気付いたことがあります。もしかしたら勘のいい人はもう気付いているかもしれません。

上で出した3つの比較画像のそれぞれの左上の明るい星に注目してください。その左横に2つの星があると思います。これを3つで見比べてみてください。わかりやすいように拡大して並べて比較します。左からフィルターなし、QBP、CBPです。

com2


わかりますでしょうか?

なんと、CBPの星像が一番小さくて、しかも色がきちんと出ているのです。ピントの違いの可能性もありますが、他の星の大きさが大きくは変わっていないので、おそらくピントは関係なく、フィルターの違いから来ていると思われます。これは最初の方で書いた2つ目の不満「恒星の色が出ない」を解決する可能性があります。特にオレンジに近い色が出なかったので、期待できます。


なぜこんなことが起きるかというと、ここからはまだ推測なのではっきりとは言えませんが、QBPは実は赤外を通すのではという推測があります。シベットさんがここらへんの話に詳しくて



に記述があります。また、あぷらなーとさんの最近の実験でもその推測を推す結果となったようです。

QBPは赤外を素通しで、赤外の方では収差を補正しきれていない鏡筒ではハロとなって出るが、それに比べて、CBPはきちんと赤外の波長が透過しないように処理もしてあるのではという推測です。このハロを除去したい場合、QBPでは別途フィルターを入れる必要があるが、CBPでは1枚で済んで、恒星の色の再現性も高いということが考えられます。

これまでQBPで恒星の色が出なかったという方は試してみてもいいかもしれません。


まとめ

というわけで長かったですが、CBPの検証はこれで終わりです。赤はもちろん青も出て、色バランスも良く、恒星の色もきちんと出て、光害にも効果がありそうというので、私的にはある意味理想的なフィルターになりそうです。CBPはQBPであった不満をほとんど解決してくれそうです。かなり期待できそうなので、今後CBPの作例を増やしてもう少し検証していきたいと思います。


次の記事で今回撮影した三裂星雲を画像処理して仕上げています。



 

ペルセウス座流星群を撮るついでに、星景写真と星野写真も撮影しました。と言っても星野の方は流星が映らなかったものを流用です。

今回試したのは、三脚固定固定のカメラで撮影した天の川を何枚かスタックすることです。当然周辺では歪むので、それが回転していくと合わせようとしても星がずれてくるのですが、それをPixInsightのStarAlignmentで位置合したらどうなるのかというものです。


銀河中心部

まずは南側の銀河中心部を縦構図で。30秒露光で6枚です。下処理として、Lightroomでレンズの補正をします。周辺減光と歪みです。Lightroomの同期機能を使い6枚全てに同じ補正をかけ、全てtifで書き出します。それをPixInsightで読み込み、StarAlignmentで位置合わせをします。何か特別な設定をするわけでもなく、デフォルト設定です。後はImageIntegrationで重ね合わせます。

「夏の天の川2020」
integration
  • 撮影日: 2020年8月14日23時38分-23時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒x6枚=180秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsight
出来上がった画像を見てみると、特におかしなずれもなくまあいいのではないでしょうか。普通に合わせるだけだと、四隅で大きなズレが出るはずですが、それが出ないのは星の位置を認識して、画面を歪ませて参照画像に合わせているからです。手前の木も風て揺れているので、重ね合わせてもそれほど遜色はありません。

これまで30秒露光の一発撮りだったので、それに比べるとノイズが少なくなっています。光害の少ない場所というのもあるので、そもそもコントラスト良く天の川が出るというのもあると思います。ここの場所、意外に暗いようでずいぶん昔に購入したiPhoneのDark Sky Meterで測定してみると、南の空は21以上が余裕で出ます。

IMG_0460

何度か測って同じような値が出るので再現性はありそうですが、さすがにこの画像のように21台後半はよく出過ぎてる気もします。天の川が大きく2つに分かれているところくらいは見えますが、構造がそこまではっきり見えるわけでもありません。SQM表の天の川の見方と比較すると20台後半からせいぜい21くらいまでかと思います。さらに北は富山の街明かりで明るいので、天頂から南にかけてがそこそこ環境よく撮影できるのではないかと思います。まあ、車で20分ちょっとのところなので、行きやすさを考えたら貴重な場所だと思います。

ちなみに、ステライメージで位置合わせとスタックをしてみると

SI8

のように特に隅の方でのズレが顕著になってしまいます。あぶり出しはしていないので、撮って出しに近いと思ってください。ステライメージは平行移動と回転だけで位置合わせをしているからです。拡大縮小はしているのでしょうか?いずれにせよ星を認識して画面を歪ませるようなことまではしていないです。また、回転でズレていく左端のところは黒い筋になっています。


北の天の川

続いて北から伸びる天の川です。時間的にはこちらの方を先に写しています。ようするにペルセウス座流星群を撮ろうとして全然撮れなかったのものの使い回しです。地面が入っていないので星野写真と呼ばれる分野になるのかと思います。

設定は上の星景写真とほぼ同様ですが、10枚を重ねているのと、地面が入っていないのでPixInsightのABEでカブリを取り除いています。

「北の天の川」
integration_DBE
  • 撮影日: 2020年8月14日22時41分-22時46分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒x10枚=300秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsight
流石に10枚も重ねると、天の川部分も無理なく相当綺麗に出てきます。もうアンドロメダも登ってきてますね。左下に見える明るい星が北極星になります。上が天頂あたりになりますでしょうか。

星景写真同様、四隅におかしな流れもありません。ここら辺まで綺麗に撮れるようになってくると、もう少し良いレンズが欲しくなってきます。SIGMA artいいなぁ、でも結構するからなぁ...。

ちなみにこちらもステライメージ 8で位置合わせして重ねると
SI8

のように、四隅で大きくずれることがわかります。

拡大して四隅を比較してみます。
comp

左がPixInsight、右がステライメージ 8です。それぞれの画像が30秒露光なので、その間の回転成分はPixInsightでも出てしまいます。さらに、10枚を重ねたときの補正し切れない回転成分がステライメージ の方では出てしまっています。

断っておきますが、これはステライメージが劣っているなどと言いたいのでは決してなく、PixInsightとはアルゴリズムが違うということを示したいだけです。ステライメージの手軽さ、初心者への優しさ、日本語で無理なく画像処理を進められることは素晴らしいことです。今回は、三脚での固定撮影で写して重ね合わせるという(ちょっと手を抜いた)特殊なことをやっているために差が出たに過ぎません。普通に赤道儀で撮影してスタックする分には、もちろんステライメージで十分な精度で位置合わせができることは言うまでもありません。

まだたくさん同画角の写真はあるので、何枚重ねられるか試してみるのも面白いかもしれません。


まとめ

今回の結果を見ると、赤道儀などを用いなくても、三脚に置いた固定撮影だけで重ね合わせても、「PixInsightならば」うまく位置合わせができるようです。これはかなり手軽なので、これからもこの方法を進めていこうと思います。

もう少し進めると、AZ-GTiなどの経緯台で撮影して回転が存在したとしても、PixInsightだとうまく位置合わせができる可能性があるということにつながります。以前、EVOSTAR72EDとAZ-GTiを使って撮影した時は、SharpCapのアラインメント機能を使って重ね合わせましたが、



経緯台で、きちんと個別に撮影して、PixInsightで位置合わせをするのも面白いかもしれません。片ずれ問題の件もあるので、うまくいくかどうかは試してみないとわかりませんが。

もともと上の記事は初心者向けに簡単にという意図で書いたのですが、PixInsightを使うようになってくるともうさすがに初心者に向けてとかは口が裂けてもいえません。


何日か前、Twitterでまりもさんという方が画像処理に困っていて助けて欲しいとの呼びかけがありました。


ちょっと気になってたんですが、撮影と画像処理で疲れてしまっていてお盆の最終日になってしまいました。


Twitterで声かけ 

ちょうどペルセウス座流星群のブログの記事も書き終えて少し時間があったので、Twitterで「Zoomで画像処理やってみませんか?」と声をかけたらすぐに返事が。その後ダイレクトメールで個別に連絡を取り、16時過ぎから早速Zoomで下打ち合わせ。もうすでに誰かが助けてくれたかと思っていたのですが、聞いてみるとまだ私だけだったみたいです。天体写真に関しては大御所のような方もいらっしゃるので、私なんかがとも思いましたが、多少なりとも力になれるならと。もともと画像処理をZoomでいろいろ検討しながら進められないかと思っていたこともあるので、私にとってもいい機会でした。

さらにいろいろ聞いてみると、大学まで北海道で、就職の時に埼玉に出てきたとのことです。まだかなり若い方にもかかわらず、星歴はなんと16年。私よりずっと長いです。子供の頃からずっと星が大好きで、今はステラメッセンジャーとしてプラネタリウムとかいろんなところに顔を出しているそうです。関東に来たのもいろいろ交流できるからとか。

北海道の空はものすごく綺麗だったとのこと。天の川もごくごく普通に見えるそうで、うらやましい限りです。撮影の方は学生の時の天文部で、最後の学年の時にカメラを手に入れてから始めたそうです。今回も天の川を撮影したけれどなかなかうまく処理できないから困っていたとか、いろいろ余分なことも含めてしばらく話していました。

さて、今回の目的と状況ですが、
  • 伊豆半島の下田で撮影した天の川をうまくあぶり出したい。
  • 下田は光害はあまりなく、十分暗かったはずだが、画像処理で明るくしようとしても天の川がうまく出てこない。
  • 四隅が暗いので、直したい。
などです。

Twitterにあがっている写真を見たらずいぶん青かったので聞いてみたら、やはり青をベースにしたいとのこと。私も青い夜空は好きなので「Zoomで話しながら青をベースに天の川を炙り出す方法を検討しましょう」ということになりました。

その際、カメラやレンズの撮影状況聞いたところ、NikonのD5300に添付の18mm F3.5のレンズを使い、ISOが(多分)12800で20秒で写したとのことでした。処理ソフトはNikonのViewNX 2をつかっているとのことです。とりあえず撮影したファイルを送ってもらい、私の方でもViewNXを一度使ってみてファイルを触ってみるので、午後5時に再びZoomで再開しましょうということに。

さて、急いで準備です

まりもさんが夕方2時間くらいしか空いていないというので、5時からに設定しましたが、この時点でもう残り30分弱。どこまでできることやら、少し焦ってしまいます。

実は、うまくいきそうならTwitterで呼びかけて公開しようという話もしていました。まりもさんは全然OK、でも私の方でソフトの確認がうまくいかず、結局二人で話すことになりました。というのも、ViewNX 2というのは旧版のソフトにあたり、最終バージョンが5年前で、私のMacではインストールすることもできませんでした。後継でのViewNX-iというのがリリースされているようなのですが、インストールはできてもうまく立ち上がらず、メモリを200GB!!も食ったと出て応答無しで止まってしまいます。仕方ないので、まりもさんは持ってないのですが手持ちのPhotoshopをメインに、少しPixInsightで補足することにしました。

下田で撮影した天の川のRAWファイルを2つ送ってくれて、午後5時まである程度見たのですが、意外なほどノイズが多いです。キットレンズで明るくないにしても、通常のあぶり出しではほとんど出てきません。時間もないので、PhotoshopのRAW filterでレンズ補正で周辺減光を落とすのと、PixInsightでABEだけかけてカブリを落としました。少し出そうかなというところでもう時間です。5時ちょうどくらいに、Zoomに再びまりもさんが入ってきてくれました。


Zoomでの画像処理開始

さて、早速画像処理の解説の始まりです。

IMG_0462a
顔出しOKとのことでしたが、一応ぼかしておきました。

最初に「ノイズが思ったより多いみたいです」と少し話すと、どうも露光時間が間違っていたようで「1枚目が5秒、2枚目が10秒だった」とのことです。なるほど、確かに5秒ならあのノイズは納得です。聞いてみると、露光時間を伸ばしたら明るくなりすぎたとのことなので、おそらくISO12800が高すぎたのかと思います。とりあえず少しましな2枚目の10秒のほうで進めることにして、View NXが動かなかったことを説明して、手持ちのPhotoshopをZoomで画面共有して進めてみることにしました。

処理はまりもさんに見てもらうために、再び一から始めます。まずはオリジナルの画像。

01_DSC_0400_org

淡いですが、それでも天の川も十分に見えています。当然周辺減光もあります。周辺減光を生かして天の川をライトアップさせたように見せる手もありますが、ここではまりもさんの希望通り周辺減光をとってみます。

Photoshopで期待したのは、RAWファイルの読み込み時にレンズのプロファイルから周辺減光や歪みが補正できることです。ただ、まりもさんがPhotoshopを持っていないということなので、こんな方法がありますよという例を示すことになります。

02_DSC_0400_corner

最初のと比べると、周辺の暗いのがなくなっていることがわかると思います。

周辺減光をとったあとも、カブリが結構残っていたので、PixInsightのABE (AutomaticBackgroundExtractor)を使うと簡単にカブリがとれますよとかいうのを紹介しました。

03_DSC_0400_DBE2

特に上下の明るさの違いが補正され、さらにホワイトバランスもある程度撮れているのがわかります。

でも、最初から有料の凝ったソフトを使うのは大変なので、できる範囲で始めてくださいというは強調しておきました。重要なのは、周辺減光やカブリをとると、より淡いところが炙り出せるようになるということを知ってもらうことです。

あと、同じ画角で何枚か撮影したとのことなので、スタックするとノイズが減りますという話もしました。スタックは有料ソフトが使いやすいのですが、無料だとDSSとかもあります。固定撮影とのことなので、本当はPixInsightが星を認識して画面を歪ませて位置を合わせてくれるのでいいのですが、それに代わるものとしてSequatorでも近いことができます。ただ、こちらも最初は大変なので「まずは露光時間を30秒くらいまで伸ばして、ISOを3200くらいまで下げて撮影するだけで、かなりマシになるはずです」ということを話しました。

その他、Dfine2やDeNoiseなどのノイズ緩和ソフトも紹介しましたが、やはりカラーノイズとかが残りまくるので、試しただけで採用はしませんでした。

結局いつもやるように、いろんなことをうだうだ試していいものを残していくという、いつもやっている処理を見てもらったような形になります。小1時間なので大した処理もできなくて、結論らしい画像も仕上がらなかったのですが、そんなうだうだ過程を見てもらったのが一番だったかなと思っています。


GIMPの紹介

解説の中で、有料のPhotoshopの代わりに無料のGIMPを紹介しました。以前このブログでEOS kissで天の川を撮ろうというのを特集したのですが、

 

 

 

この時にGIMPの使い方を書いてあるので、まりもさんにも少し紹介しておきました。元々娘のNatsuのために書いた記事ですが、改めて読み直すと露光時間が短いとか、処理してもノイズが目立つとか、今回と状況がよく似ています。誰もが一度は通る道なのかもしれません。

GIMPから始めるのはいい経験だと思います。Photoshopを使った後にGIMPを使うと、さすがにPhotoshopは有料だけあるなと思うのですが、それでもGIMPでもPhotoshopでも処理の概念は基本的には同じです。GIMPが不満になったら月980円のコースを始めるのがいいでしょうか。

一つ注意点があって、GIMPはRAWファイルを直接読み込むことができません。Canonもそうだったのですが、今回NikonのRAWファイルの.NEF形式もやはり読むことができませんでした。ViewNXとか何かで別途読み込んでから.tif形式に変換して読み込むのかと思います。その際、tif形式は16ビットで保存するようにしてください。今のGIMPは16ビットの画像ファイルを扱うことができるので、淡い画像を出すのは有利です。


Zoom終了後

結局時間内では、レンズの歪み補正が悪さをして炙り出すと同心円状のノイズがでる、ABEだとカブリ除去が不十分とかで、Zoomが終わってから少し補正して、改めてまりもさんにファイルを送っておきました。これまでの上の写真も含めて、改めてZoom終了後に処理した過程なので、Zoom中に示したものよりも少しマシになっています。

ABEの代わりにDBEを使ったときのものです。

IMG_0467
天の川を避けて補正する点を打っていきます。
すみません、画面をiPhoneで撮ったので写り込みがあります。

DBEを含めて処理した最終画像です。
04_DSC_0400_DBE3

さらに少し青味をかけたものです。
05_DSC_0400_DBE3_blue

露光時間が短いのもあり、炙り出しも私のテクニックではここら辺が限界かと思います。メールの中に、次回撮影する時は露光時間を伸ばすことと、ISOを下げることを書いておきました。往々にして、きちんと撮影した画像ほど後での処理が必要なく綺麗に自然に仕上がって、条件が悪い画像ほど後での処理が大変で、ゴテゴテと不自然になっていくものです。

あと、Zoomの中でも話したのですが、画像処理は決してやっている本人がすごいのではなく、このようなツールを開発してくれた人がすごいだけで、我々はそれを無料、もしくは少しお金を払って使わせてもらっているのだというようなことも伝えておきました。


終わってみて

画像処理をZoomで中継して説明するというのは初めてのことでした。なかなか時間内には終わらなかったですが、それでもまりもさんは喜んでくれたようです。

私自身も十分楽しかったです。

次回、もう少し露光時間を伸ばして撮影できたら再びやりましょうと約束しました。勝手も多少分かったので、できれば今度はもう少し準備に時間をかけて、公開して他の方にも参加してもらってやってみたいと思います。

お盆休暇の金曜日の夜、今夜も天気がいいです。前日の雲がかったペルセウス座流星群撮影は惨敗でした。



諦めきれずに、ペルセウス座流星群の3日目のチャレンジです。


ペルセウス座流星群、まだチャンスはあるか?

もう極大日から二日後ですが、もしかしたらまだ見えるかもと夕方からまた同じ場所に行きました。この日は18時半ごろに自宅を出て、19時頃から設置開始。すごい快晴です。透明度も良さそう。

IMG_0454
南西方向。雲ひとつない天気です。

この日はTSA-120でのM8の撮影がメインなのですが、この話は次回以降で。それとは別に前日と同じEOS 6Dでペルセウス座流星群を固定撮影。30秒露光で放っておきます。今回これで2時間弱の229枚撮影しましたが、残念ながら流星は一つも入らず。少し悔しいので、タイムラプス映像にしました。最近のタイムラプスは手抜きで撮って出しJPEGを、PixInsightのBlinkでオートストレッチだけして、そのままjpegで出力して、ffmpegで動画にしていただけでした。今回、周辺減光とレンズの歪みを直したくて、事前加工にLightroomを使いました。
  1. Lightroomでは「ファイル」メニューの「新規カタログ」で新しいカタログを作成します。
  2. カタログが開いたら「ライブラリ」タブで撮影した素材のcr2ファイルを全て読み込みます。
  3. どれか一枚加工してから「現像」タブの下のサムネイルを全て選択し、右下の方の「同期」でその設定を全てのファイルに適用します。
  4. その後、全てのファイルを選択した上で「ファイル」メニューの「書き出し」からjpgで書き出します。このとき、後にffmpegで動画変換することを考えて「ファイルの名前」で「編集」を選択。「ファイル名」-「連番(00001)」などと固定名と連番にすることです。連番も桁数をそろえるようにします。
ファイルが書き出されたらあとはそのフォルダに移動し、ffmpeg(インストールしていない場合は別途マニュアルでインストール)で

ffmpeg -y -r 25 -i test_%05d.jpg -vf scale=1290:-1 -b:v 20000k test.mp4

などとします。先ほどファイル名に連番を入れたのがここで効いてきます。サイズは1280とか1920などの規定値だとうまくいかないみたいなので、少しずらしてあります。ビットレートも200000kくらいだとスムーズになるようです。

出来上がったタイムラプスです。

下は未処理のJPEG画像を一枚ですが、Lightroomで事前加工した分雰囲気がだいぶん違っているのが渡ります。周辺減光がなくなり、ホワイトバランスもとって少し炙り出しています。Lightroomだとレンズプロファイルが入っているので、これくらいは簡単にできます。

IMG_7685

実は、動画の方もまだカブリが残っているので、PixInsightのABEのようなカブリ取りの機能を全ファイルに一度に適用する方法を探しています。ABEやDBEは基本的に一枚だけを加工するように作られているので、今のところ一枚一枚やるしかないみたいなので、今回は諦めました。


画角を変えてやっと撮れた!

まだ時間があったので、途中画角を変えて30分ほど撮った中に、そこまで大きくはないですがやっと多少まともな流星が入ったものを撮ることができました。前日と違って、雲も全くないです。ちょうど夏の大三角の真横に流れたので、画像処理して少しトリミングしました。

「ペルセウス座流星群2020」
IMG_7940_ABE_cut3
  • 撮影日: 2020年8月30日0時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsightでABE 
3日目のペルセウス座流星群ですが、やっとちょっと満足しました。できるなら来年は火球クラスをカメラに収めたいです。


 

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