ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2018年07月

7月31日は火星大接近。地元の富山市科学博物館でも大観望会が開かれます。

私もC8を持って参戦するため、前日に実際の機材をセットして最終チェックです。最近はMEADEの250mmをずっと触っていたので、C8は久しぶりです。とにかく軽い。20cmと口径は少し落ちますが、 随分と軽く感じます。あと、MEADEよりよく見える気がします。多分解像度の差ではなくて、光軸調整なのかと思いますが、未だにMEADEで満足に光軸が合ったと思えたことがありません。一方C8はかなり以前に気合を入れて合わせて綺麗に見えて以来、ほとんど微調整のみです。今回アイピースで見ても、星々がものすごくシャープに見えました。

この日はシーイングが良かったのもあるのでしょう。肝心の火星も綺麗見えていました。ASI224MCでちょっとだけ撮影してみましたが、砂嵐の影響がまだあるにもかかわらず、だいぶん模様が出ました。さすが最接近時です。結構気楽に撮ったのですが、私の中ではこれまででベストの火星です。

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富山県富山市下大久保 2018/7/30 23:42
C8 + X-Cel LX 3x Barlow + CGEM II  + ZWO ASI224MC
F30, 5.0ms, 70fps, gain 330/600, 2500/5000 frames

それでも眼視だと模様を見るのは辛く、本当にうっすらと何か黒っぽいところがあるかな?でも気のせいかな?といったところで、やはり砂嵐の影響はまだまだ出ているようです。

ついでにせっかくなので、先日購入したCelestronのMars Observing Filterを試してみました。 まずは眼視です。全体が紫っぽくなるのは、緑波長を透過させないというフィルターそのものの特性です。肝心の火星の模様ですが、フィルターなしで見えなかったのが、フィルターをつけると期待も混じってかほんの心持ち黒っぽくなるような気もしました。でもまあ、はっきり言ってしまうと誤差の範囲かと思います。そもそも3倍バローと20mmのアイピースで見ていたのですが、まだ明るすぎる気がします。模様が薄いので明るさに負けていると言うような意味です。

一方CMOSカメラにこの火星フィルターを取り付けて見てみました。比較してみます。最初がフィルターなし。
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次がフィルターありです。
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画面を撮影したものを比べても分かる通り、CMOSカメラの場合はフィルターをつけた方が明らかに黒い模様が見えやすくなったと「最初は」思いました。それでも、やはりこのフィルターは本質的には緑を落としてコントラストを上げているので、フィルターなしでCMOSカメラのカラーバランスを崩して緑を相対的に減らすと、同じようにコントラストが上がって見えます。また、フィルターをつけた状態で、カラーバランスをいじって相対的に緑をあげると、やはり同様に見にくくなります。

ここで色々と考えさせられてしまいました。まずカメラは人間の目に比べて圧倒的に多機能です。
  • 光を蓄積することができる
  • 光を減らすこともできる
  • 色に対して感度がいい
  • 色のバランスを変えることができる
などです。その代わりにピクセル分解能からくる制限で
  • シャープさを失う
と言う決定的な弱点もあります。
  • ダイナミックレンジが小さい
と言うのも弱点の一つでしょう。

一方、人間の目はなかなか調整が効きません。今回の火星観測フィルターを使うことで、人間の目に対して、ある特定の波長の透過率を変える機能を手に入れることができ、色のバランスを変えて、結果としてコントラストを上げていると言うわけです。そこでなのですが、果たしてこの「見やすくするためにカラーバランスを変える」のはアリなのか?と言うのが今回考えさせられたことです。

多分普通は、カメラを使った天体の撮影でカラーバランスが取れていない場合、おそらく非難ゴウゴウでしょう。実際、カラーバランスが取れていないのと、カラーバランスをあえて崩すのは違うことかと思います。なので疑問としては、「カメラでカラーバランスを変えてまで写りを良くするのはアリか?」ということなのかと思いますが、眼視でこれが認められるならば、カメラでも認めざるを得ないのではと言うしかないと思います。もちろん撮影をして残るような画像のカラーバランスがずれているのはあまりいただけないですが、普通の観望会でのアイピースを使った観望や電視観望で一時的に見るときに、カラーバランスをずらしても見やすくするのはアリなのだと思わされた一件でした。

今書いてて思いましたが、この考えがSAOカラー合成とかにつながるのでしょうかね?なんかちょっとフィルターを使った撮影も興味が出てきました。


とりあえず結論としては、電視に使うCMOSカメラは高機能すぎて、火星フィルターでできるようなことは標準の機能でできてしまう。なので、この火星フィルターは眼視限定ということが言えると思います。

あと、どうもこの火星フィルターは(一部の波長を)「暗くする」ことでコントラストを上げているので、明るすぎる鏡筒よりも、もう少し口径の小さい屈折とかで見る方が適しているのかもしれません。本番の観望会では、SukeがSCOPETECHの6cmを持っていくので、意外にそちらの方がこのフィルターが生きるのかもと推測しました。今晩試してみます。


 

つい先日KYOEIで購入してきたAZ-GTiのファーストテストです。

とりあえず試した感触を一言で言うと、これものすごくいいです。前回の記事の繰り返しになりますが、
  • 軽くてコンパクト
  • 安価(実売3万円程度)
  • ワイヤレスでのコントロール
  • 自動導入可能
  • 電池駆動可能
と、カタログなどからわかるスペックだけでも電視観望に十分使えそうです。

実際のテストですが、この日は日曜日、月食の興奮も冷めやらぬ満月のわずか2日後で、あいにくまだまだ空は明るすぎるので、機材テストにはもってこいでしょう。


器材などの準備

AZ-GTiを日本で購入した場合、サイトロンジャパンが付属した日本語のマニュアルが同封されるようです。マニュアルをよく読んで、まずは事前準備とし必要な物は
  • 単3電池8本を入れることと、
  • コントローラーとしてスマホかタブレット端末を用意しておくこと
くらいでしょうか。あ、もちろん鏡筒とか、アイピースとか、カメラは必要ですよ。

あらかじめスマホやタブレットにアプリをインストールしておきます。アプリはSynScanという名前で無料、Pro版と簡易版があるようです。今回はPro版を使ってみました。

私は今回は三脚とハーフピラーが無い、経緯台単体バージョンを買いましたが、ハーフピラーは秀逸だそうです。そもそもアリミゾ部分が経緯台本体からあまり離れていないため、鏡筒の高さや長さによっては下の三脚に当たってしまう恐れがあります。ハーフピラーはこの干渉を防ぐためにセット販売しているとのことです。しかも強度が相当あるとのことで、これ単体でも手に入れておく価値があったかもしれません。セット付属の三脚は一般的なもので、もしかしたら少し弱いかもという話でした。

今回のセットアップはAZ-GTiをGitzo GT3840Cをシステマティック化した三脚に載せています。鏡筒は電視観望用にFS-60CBに、CMOSカメラでASI294MCを取り付けています。

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上の写真を見てもわかりますが、ものすごくコンパクトになってかなりいい感じです。

私の場合は下の写真にあるように、アリガタプレートからアルカスイス互換プレートに変換するためのアダプターをつけているので、鏡筒がアリミゾから少し浮いた状態になっているため、三脚との干渉はあまり問題になりませんでした。それでも、もっと安定度を求めるためにGitzo三脚をさらに開いて使おうとすると、カメラ部分などが当たってしまうかもしれません。なので、ハーフピラーは持っておいてもよかったかもしれません。

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初期セットアップ

最初のセットアップポジションは、鏡筒を水平にして、さらに鏡筒が北に向くようにします。これがAZ-GTiのデフォルトの初期位置です。MEADEのEXT-60ATとかも同じような方式をとっていました。

その際、AZ-GTiの上部についている水準器を見て水平をきちんととることが初期アラインメント、ひいては自動導入にとって重要になります。これが狂うと、初期アラインメント時に星を最初に視野に入れるのにズレが出てしまい、星が見つからない、補正が大きくなることなどにつながります。水準器を見て少なくとも泡が中心に来るくらいまでは、一番最初に水平度を合わせるのがコツかと思います。

もし鏡筒側に水準器がついていると、さらにいいかもしれません。私の場合は下の写真のようにアルカスイス互換アダプターについている水準器を利用して、初期アラインメント前に鏡筒の初期水平度をとっています。これによって初期アラインメントの一発目の星の導入確率がかなり上がりました。

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北向きにする際に、どちら向きに望遠鏡をセットすればいいのか最初戸惑いました。AZ-GTiに対して右に鏡筒の先をつけるのか、左に鏡筒をつけるのか2つの自由度があります。マニュアルを見れば一発なのですが、AZ-GTiがL字に見える方向から見ると、鏡筒のアイピース側が手前に来るように(2018/10/24追記: ファームウェアを赤道儀にもなるバージョンに変更すると、経緯台モードで使うときにこの向きが逆になるようです)取り付けます。これを間違えると、初期アラインメント時に鏡筒の先が下を向いていくことでしょう。



接続開始

さて接続ですが、AZ-GTiの本体の電源を入れて、AZ-GTiが持っているルーターのWi-Fiにスマホやタブレットから接続します。この際、スマホやタブレットの方であらかじめWi-Fiの接続先をAZ-GTiのルーターの方に「先に」接続しておかなければ、いくらアプリでAZ-GTiに接続しようとしても、接続することができないので注意です。アプリ側でいったんAZ-GTiと接続が確立すると、アラインメントなどの操作ができるようになります。またパスワードなどの設定も、いったん接続が確立した後に「設定」アイコンからできるようです。パスワードを設定しておかないと、アプリを稼働させているほかの人からも簡単に接続されてしまうので、誤動作を防ぐためにも注意が必要です。

アプリはきちんと日本語化されているので、あまり戸惑うことはないでしょう。アプリを使って実感したのは、スマホ側の時刻や位置情報をそのまま使うので、通常の赤道儀の初期アラインメント時にあるような、緯度経度設定だとか時刻設定を全くすることなく、自動的に設定されるのがものすごく楽なことです。



初期アラインメント

自動導入の準備として初期アラインメントが必要になります。「アラインメント」アイコンをクリックします。経緯台なので、赤道儀の場合と違って極軸合わせは必要ありません。これは初心者にとっては大きなアドバンテージになると思います。アラインメント方法は、通常の2スターアラインメントに加え、簡易な1スターアラインメント、精度が上がる3スターアラインメントなどが用意されています。

1スターアラインメントは本体の水平度(鏡筒の水平度の誤差は最初の導入の時に打ち消してくれる)の精度がそのまま自動導入精度につながるので注意が必要です。水平度さえ出ていれば、後は方角の誤差のみなので、適当に左右に振ってやればターゲットが見つかるはずです。実際の操作は「1スターアラインメント」アイコンを押してから、ターゲットの星がリストアップされるので一つ選びます。「アラインメントをはじめる」ボタンを押すとすぐに導入を開始します。いったんモーターが止まったら、ターゲットが視野の中に入っているか確認します。視野の中にターゲット天体があれば、そのまま視野の真ん中まで矢印ボタンで持っていきます。視野に入っていなければ、少し大きめに動かして視野に入ることを確認して、うまく真ん中に持ってきます。

真ん中までターゲットを持ってこれたら、矢印ボタンすぐ上の丸星マークのボタンを押します。この時、丸星マークがうまく押せない時がありますが、これはバックラッシュが残っているからで、矢印ボタンをよく見ると淡く色がついて点滅しているのに気づくと思います。この点滅している方向をクリックすると、バックラッシュが除去でき、やっと丸星ボタンが押せるようになります。なかなか芸が細かいですね。

木星で1スターアランメンントを試して、土星とか星を自動導入してみましたが、水平度が出ていればそこそこの精度で実用になります。逆に水平が出ていないと、最初にターゲットを入れるのも大変ですし、それ以降の自動導入の精度が全く出ません。なので水平に自信がない場合には、ワンスターアラインメントは避けて、これ以降の複数の星でのアラインメントにすべきでしょう。

アラインメントの2つ目にブライトスターアラインメントとありますが、これは最初に鏡筒を北向きに合わせる必要がない代わりに、一つ目の星をマニュアルで矢印ボタンを使って導入する必要があります。ある意味、これでマウントに方角を教えているような方法になります。この場合、ターゲットの天体の名前と、実際にその天体が空のどこにあるかを知っていなくてはならないので、初心者にはちょっと大変かもしれません。一つ目がマニュアル導入でうまく入ってくれれば、二つ目の星は自動導入でそこそこの位置に入れてくれはずです。が、これも水平度が出ていないとずれてしまうので、ここでも水平度はかなり重要ということになります。

北の方角をあらかじめそこそこ出しているなら、次の2スターアラインメントのほうが、一つ目の星から自動導入してくれるので簡単かと思います。ブライトスターアラインメントとの違いはそこだけで、私は2スターアラインメントのほうがやりやすいと感じました。

肝心の自動導入の精度ですが、結論としては2スターアラインメントで電視観望程度ではもう十分な精度で天体を導入してくれます。3スターアラインメントは撮影とかも見据えたよほどの時しか使わないかもしれません。


コントロールボタンに対する反応も普通のハンディコントローラーに比べて全く遜色ありません。Wi-Fi経由での応答なので、最初反応速度の遅延などを心配していましたが、そんな心配は全く杞憂でした。しかも、ボタンを押してモーターを回した後に、ボタンが点滅するバックラッシュ解消機能なんかは、コントローラーソフトが容易に開発書き換えできる環境が構築されているからでしょう。あと、コントロールボタンに斜めがあるのも便利です。両軸を同時に動かしてくれます。

アラインメントを何度か試すときに、最初のデフォルトのポジションに戻す機能があるといいなと思いました (追記: コメントで彰ちゃんが教えてくれました。「ユーティリティ」の『ハイバネート」の中にあります。)。でもこのホームポジション機能は簡単に作ることができることがわかりました。「ユーザーオブジェクト」アイコンをクリックして、例えば「地上」で「軸1」と「軸2」に「0」度「0」分「0」秒を両軸とも入れてしまい、名前を適当に「ホームポジション」などとつけて保存しておけば、できた「ホームポジション」位置を押すだけで自動的に戻ることができるようになります。まだアプリを触り切っていないので、もしかしたら元々ホームポジションに戻る機能がどこかにあるかもしれませんが、このような機能が簡単に追加できるということは、操作性もかなりこなれていると言えるのかと思います。素晴らしいです。



いよいよ自動導入

自動導入は「天体」アイコンか、「ディープスカイ」アイコンを押します。指示に従っていけば特に迷うことなく、目的の天体を導入できることでしょう。自動導入ができるようになればあとは普通に観望を始めるだけです。導入速度も速く、精度も十分なので、純粋に天体を楽しむことができるでしょう。

(追記: 自動導入後、星がどんどんずれていくというケースが多発しているようです。解決策は2通りで、
  • 導入後、「さらに」を押して「ポイント&トラック」を押すか、
  • 「アドバンスト」「アドバンスト」の「ガイディングレート」を「恒星時」にして、「ユーティリティー」「追尾」を「恒星時」にする
のいずれかです。「ガイディングレート」や「「追尾」は電源を切ったりすると勝手に変更されていることがよくあるので、毎回チェックしたほうがいいかもしれません。)


導入時に気づいたことを少しだけ書いておきます。

まず、M57を導入しようとしたのですが、「導入」ボタンを押すことができずに、「さらに」というボタンを押すと「高度制限外」との表示が出て、結局導入することができませんでした。この時M57はほぼ天頂にあったため、何らかの高際に対する制限が存在するものと思われます。→その後、「設定」アイコンから「高度制限」を見たら、75度までに制限されていました。私のセットアップでは90度まででも問題ないので、90度に変更したら天頂付近のものもきちんと導入できるようになりました。

他にも、導入したい天体は「名前が付けられた天体」というリストから選ぶことができます。ところが、これがどういう順番で並べられているのかわからないのと、数が結構多いので、見たい天体を探すのに時間がかかってしまいます。検索機能があるので、ある程度名前を知っていたら検索してしまったほうが早いかもしれません。

-> もう少し落ち着いて見てみたら、明るさ順か名前順ということがわかりました。リストを表示している際に、右上の3本線の設定アイコンを押すと、並べ替えができます。また、フィルターを使うことである程度範囲を絞ることもできます。でも、なんでわかりにくかったかがわかりました。中途半端に日本語化されているからです。日本語化されているのは有名どころのごく一部で、まだかなりの数の天体名が英語のままです。英語の名前はそもそも知っているのに英語名だからわからないのか、そもそも全く知らないものなのかの見分けがパッとつきません。英語名、日本語名が混在していると、名前順にしてもものすごくややこしく見えてしまいます。

-> オススメの設定は、「フィルター」の「光度」の方を押して、「光度フィルター」をオンにして、例えばディープスカイなら「微光天体」を「10」くらいにするのでしょうか。出て来る天体数が制限されて多少見やすくなります。



電視観望のテスト

この日は試しに、AZ-GTiを使って、M27:亜鈴状星雲、三列星雲、M13:球状星団、最後に高度問題が解決できてM57:惑星状星雲とテストしてみました。満月二日後のものすごく明るい中での自宅での電視観望です。相当な悪条件ですが、それでもこれくらいは見えてしまいます。その時の写真をいくつかアップしておきます。

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面白いのは全体画像を見たときです。下の写真はM57を見たときの全画面を表示させてみたときになります。わかりにくいですが、真ん中から少し左に小さなM57が見えています。

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このマウントは経緯台なので、当然星像は回転し続けていきます。SharpCapではリアルタイムでそれらを補正して星像を重ねていくので、回転を補正した様子が画像を見るとわかってしまいます。左と下の端の方の三角の暗い部分がそれにあたります。この場合、時間にして1分程度です。結構な勢いで回転しているのがわかると思います(追記: これ、後から考えたら回転しすぎです。おそらく、AZ-GTiの方のガイドレートが恒星時になっていないために、すごい勢いでずれていっているのですが、SharpCapの自動アラインメントで補正し続けているので、AZ-GTiで追尾のズレに気づいていなかっただけだと思われます。)。SharpCapのアラインメント機能は優秀なので、ほとんど星像がぶれることはありませんが、この回転部分は後からトリミングしなければならないと言うことは覚えておくべきでしょう。当然、長く撮影すればするほど、トリミング部分が大きくなっていきます。



まとめと課題

Sky-Watcherの新製品、AZ-GTiで実際の電視観望と、撮影の可能性くらいまでテストしてみました。とりあえずのファーストテストで判明したのは、そのコンセプトと性能は思った以上で、十分実用的に眼視での観望、もしくは電視観望に対応できそうです。

今回、このAZ-GTiを実際に自分の手で確かめたかった一番の理由が、観望会レベルで電視観望を想定した場合、本当に実戦投入できるかどうかを検証することでした。具体的には、高度な機能よりも、お客さんを待たせることなく、短時間の準備で安定に見てもらえるかということが重要になります。優先度順に書くと
  • 操作はシンプルか
  • ワイヤレスの接続が簡単にすぐにできるか
  • 接続が安定しているか
  • Wi-Fiでコントロールに遅延とかが起きないか
  • 短時間で初期アラインメントができるか
  • 自動導入の精度は十分か
です。結論としては、はっきり言って全て期待以上でした。


一点のみ、安定性に関わる不安がありました。スマホ側が待機状態になると、AZ-GTi接続が途切れることがありました。それでもほとんどの場合は切れることはありません。まだもう少し使い込む必要があるかもしれませんが、不安な点なので、もし再現性があるなら改善要望を出してもいいかもしれません。

同様の問題ですが、見たい天体を選択する最中にエラーメッセージが出て強制終了せざるを得ないことが一度だけありました。

ただ、上記いずれの場合も、現在の位置を本体側で記録しているようで、再度アプリを立ち上げて接続しなおしたときに再アラインメントなどをする必要はなかったので、これはかなり安心しました。もし再アラインメントが必要なら、その都度時間を食ってしまい、観望会での実用度が一気に下がってしまいます。


ごくわずかの不具合が見られましたが、すぐにでも実用レベルで投入しても何の問題もないと言うのが私の結論です。極軸を取る必要がない、操作がスマホを使ってなので、簡単でこなれているなど、初心者にも十分進めることができると思います。電視観望用途ならばベストと言ってもいいくらいの選択かと思います。さっそく今週末の原村に持っていくことに決めました。


最近天文ショップに行っていなかったのですが、久しぶりに関東方面に行く機会があり、少し時間が取れたので秋葉原天文ショップめぐりをしました。



シュミット

秋葉原近辺には3件の天文ショップがあります。まずは御徒町駅で降りてシュミットさん。店長さんとも最近は顔なじみです。ここではセレストロンの火星フィルターを購入しました。アイピースで見るときに火星の模様がコントラストよく、よりはっきり見えるそうです。6千円くらいでそれほど高くないのと、7月31日の火星最接近の時に地元富山の科学博物館で観望会があり、その時に使えればと思ったのが購入動機です。そもそも火星は最接近といっても、土星や木星ほど模様がはっきり見えるわけではなく、さらに大黄雲とよぶ砂嵐で今も模様がほとんど見えない状態が続いています。なので少しでも見えるようにと思ったのです。Cloudy Nightsにもスレッドが立っています。一定の効果はあるような書き込みがあります。さらにシュミットさんのページを見ると他の色もあるみたいですね。リンク先のシュミットの説明でも書いていますし、スレッドの書き込みにもありますが、色によって見えかたや見えやすい場所が変わるとのこと。まあ、実際に自分の目で見て確かめるのが一番でしょう。


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でも実はもう一つの動機があります。電視観望でこの火星フィルターが使えるかどうかの検証です。店長さんの話によると、撮影で試した人がいてそれは流石に厳しかったとのことです。具体的に何がダメだったのかはわからないのと、人によってもどこからがダメだという基準が違うのでなんとも言えないのですが、どうやら波長データを見ると緑部分の透過率をごっそり落としていて、赤と青はほとんど通しているるようです。それでマジェンタ(紫)っぽくなるのでしょう。余分な色を落としているのでトータル的にコントラストが上がるのかと思いますが、撮影しようとするとカラーバランスが崩れて記録されてしまうのではないでしょうか。このあいだの天体望遠鏡博物館でも電視観望で火星を見て模様が見えたので盛り上がったので、多少カラーバランスが崩れたとしても、これでもう少しコントラストよくはっきり見えると観望会に来た人は喜んでくれるかもしれません。

あと、シュミットさんで面白いお客さんがいました。まだ星を初めてわずか一週間という方です。使っている赤道儀はEQ-35で、珍しくモーターなしの微動ハンドルでの使用だそうです。微動ハンドルを触ると揺れてしまうのが目下の悩みで、惑星もすぐに逃げて行ってしまうというので苦労しているとのことです。なのでやっとモーターセットを購入するとのことでした。今は惑星に夢中で、火星フィルターも購入していかれました。この方の話さらに続きます。


スターベース

さて次は順番通りに行けばスターベースさんです。顔なじみのS君もいて、スタックの話とかで少し盛り上がりました。ちょうど原村の準備をしていて、今年はたくさん放出するとのことで期待してしまいます。なので今回は何も購入せずに、原村での掘り出し物をを楽しみにすることにしました。S君と話しているおり、新しいお客さんが来たのでS君が対応に向かうと、なんと先ほどシュミットで会って話した方です。なんとCMOSカメラにも挑戦するとのことで、シュミットの店長さんにスターベースを紹介されたとか。改めて話して見るとなんでEQ-35が微動ハンドルモデルだったかわかりました。なんと最初の赤道儀だけはどうしても微動ハンドルでやってみたかったと。シュミットの店長さんにもさんざん止められたにもかかわらず、それでもこだわりで微動ハンドルにしたとのことで、なかなか面白そうな方です。でも微動ハンドルは一週間で満足して、次はモーターとのこと。今は惑星を見ているだけで面白いが、次は撮影もということで、カメラとバローレンズを一気に購入していかれました。私もかつてそうでしたが、誰もが通る惑星撮影の道を着実に歩んで行っていかれることでしょう。ちょうど星ナビの8月号がまだ店頭にあったので、ついでにこのほしぞloveログが掲載されたことも紹介して、惑星私もたくさん失敗しましたとか話しました。もしこのブログを読んでいただけたら、コメントとかくださると嬉しいです。


キタムラ

そんなこんなで、次はKYOEIに向かいます。と、そのついでにヨドバシの少し手前にあるキタムラでレンズを物色しました。6Dに普段使いできる、二千円程度の超格安の28mm-70mmのF3.5-4.5のジャンクレンズです。前もよく似たもの(EF 28-80mm F3.5-5.6 USM)を同じキタムラで買いましたが、下のSukeに渡したKiss X5天体改造版はレンズが付いていないので、普段使い用に取られてしまいました。安くて古いレンズですが、昼間普通に使うぶんには全く問題なさそうです。

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KYOEI

今日のメインはKYOEIに予約してとっておいてもらったSkyWatcherのAZ-GTiマウントです。三脚とピラーがセットになったものが一般的みたいですが、私は軽量化を図りたいのでマウントのみの購入です。マウントのみの方が入荷数が少なく、最後の一個と言っていました。店頭でも常駐のデモ機を見せてもらいましたが、思ったより小さくて軽くてかなり使いやすそうです。KYOEIのMさんによると導入精度も相当いいとのことで、早く自分でも試してみたいです。

目的はもちろん電視観望。これまで電視観望用にいかに軽量でシンプルで安価な自動導入できるマウントを探し続けて来ました。もともとAdvanced VXで電視を始めましたが、もっと手軽に持ち運びができて、かつ自動導入機能があるものです。これまで購入したのがMEADEのETX-60ATとセレストロンのNexterの架台部分。しかしながらこれらはいずれも中古で、ヤフオクで落としたものです。入手が大変ですし、新品だとたとえあったとしても高価になります。新品ならば、私自身は購入していませんが、Kenkoのスカイエクスプローラー SE-AT100Nはデフォルトでは自動導入はできないのですが、どうにかこうにか改造すると自動導入まで可能になるとのことです。でも改造が必要となるとやはり敷居は高く、なかなか一般の人にはオススメできません。

そんな折のAZ-GTiです。そもそも値段がものすごい。実売3万円です。この値段でよくここまでコンパクトに、自動導入まで詰め込みました。スマホとかタブレットがコントローラーになるというのも今時の流行りで、こういったことを大手メーカーが勧めてくれるのはサポートやソフト開発の面からも非常に心強く、一般の人で天文に興味がある一定層の方達にも十分勧めることができるのではないでしょうか。

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早速Gitzo三脚と合わせてみました。
かなりコンパクトにまとまりそうです。

AZ-GTiは自動導入がありますが経緯台の範疇なので、赤道儀とは違いカメラなどで撮影をしようとすると、星像が回転してしまいます(ファームウェアアップデートでAZ-GTiを赤道儀モードで動かすことも可能らしいです。)。ところがSharpCapのアラインメント機能は回転も補正してリアルタイムで星を重ねてくれるので、星像が流れないくらいの短時間露光にして撮影してスタックすれば、長時間露光と同じように撮影することもできます。読み出しノイズの点だけ不利になりますが、それでもガイドさえ必要なくなるという手軽さを考えれば、十分実用になるかもしれません。実際KYOEIのMさんはこの手法で綺麗に星団を撮影したものを見せてくれました。ここら辺のこともいずれ試してレポートしたいと思います。


さて、昨日は皆既日食、今日は曇りと、せっかく購入した新アイテムもまだ試すことができません。自分で色々試してみて、電視観望に実践レベルで使えそうかどうか、いい所、ダメな所も含めてまた報告したいと思います。










 

7月28日未明は、今年2回目の皆既月食。でも日本では明け方近くになってしまい、低高度になるので条件は悪く、しかも台風接近中ともう完全に諦めていました。

あいにく週末金曜は出張で夜遅くに戻ってきましたが、すぐに娘のNatsuが月食を自由研究にしたいから見に行きたいと言い出しました。前日夜中の3時くらいに起きて月が見えるかどうかの練習をしたそうです。自宅からは西の空は住宅街にあたり、他の家で遮られて、Natsuの計算によると欠け始めてから3分で屋根に沈んで行くそうです。なので車でどこかに連れていって欲しいということらしいです。

月が見える広いところを求めて、近くの大きな川の河原に陣取りました。多少街灯がありましたが、明るい月なのでまあ問題ないでしょう。自宅を出るときはまだ雲越しに月はうっすら見えていました。一面に一様な薄い雲がかかっているような状況でした。でも河原でセットアップをしていると雲がどんど厚くなってきます。途中ほとんど月が見えなくなり、もう諦めモードでNatsuは寝始めてしまいました。それでも30分もすると再び少し月が見えてきました。反映月食の時にはそこそこ見えるようになってきて、欠け始めの時には、それでも少しだけ薄い雲はかかっていましたが、奇跡的にかなりはっきり見えることができました。前回の月食はほとんど雲に隠れていてかろうじてCMOSカメラで見えただけだったのですが、今回は目で見ても遥かにマシに見ることができました。

今回のセットアップは、
  • EOS 6DにNIKKORの50mmをF4で付けて、ISO100で露光時間1/200秒で広角で20秒おきに撮ったもの
  • Advanced VXにFS-60CBにASI178MCを載せたもの、ゲインと露光時間は雲のかかり具合によって適当に変更
の2本立てです。

まずは広角の連続撮影です。あまり解像度が高くないのと、最後皆既ではなく雲に隠れてしまって消えているので、欠け始めから半分ちょっと欠けるくくらいまでです。

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富山県富山市神通川河原, 2018年7月28日3時17分から4時17分
EOS 6D(HKIR改造, ISO100, JPG), 露出1/200秒、固定撮影
NIKKOR 50mm, F1.4をF4で使用


ついでにタイムラプス映像にしてみました。



拡大したものはいつものように16bit RAW動画での撮影です。ですが、雲が移動して月の明るさが変わるので、それに合わせてゲインと露光時間を変えています。そのため明るさの基準がなくなってしまい、食の度合いがぶれて見えてしまうので、ステライメージ8でホワイトバランスをオートストレッチでとり、その後、食がない部分のクレーターの明るさが同じになるようにPhotoShop上で露光量を変えました。

その中の一枚です。

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富山県富山市神通川河原, 2018年7月28日3時46分
FS-60CB + ZWO ASI178MC + Advance VX
Shutter 10ms, 2fps, gain 230, 50/100 frames
AS3でスタック, Registax6でWavelet, PhotoshopCCで画像処理 

欠けて行く様子を雲で隠れる直前まで動画にまとめてみました。ただし、やはり薄雲の影響が大きく、特に後半色で欠けたのと雲で一部暗くなるのが混ざってしまいました。こうなってしまうと、明るさとかホワイトバランスとか一気に大変になるので、できるならいつか天気のいい月食時に設定を固定して撮影したいです。




ところでNatsuはというと、欠け始めくらいい起きて、自由研究のネタに愛機Kiss X7のキットのズームレンズで250mmで月食を自分で撮っていたのと、暗い中頑張って色鉛筆を使ってスケッチしていました。

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こうやって見るとスケッチも味がありますね。

それでも欠けが半分を超えたくらいから雲がまたひどくなり、どんどん露光時間と感度を上げて輪郭だけでもと思いましたが、最後は夜明けで空が明るくなり皆既の頃にはCMOSカメラの感度をもってしても全く見ることができなくなりました。残念ながら、赤銅色が見えるくらいまで食が進んだ状態は今回は見ることができませんでした。次回日本で見える皆既月食は2021年05月26日とのこと。赤銅色とターコイズブルーを綺麗に撮ることもまた目標の一つになりました。



 

香川県天文旅行の二日目です。今日はなんと、個性的な機器でアマチュア天文界に一石を投じ続けてている「あぷらなーと」さんの自宅に訪問です。


朝早く、天体望遠鏡博物館と同じ校舎でやっているどぶろく作りの人たちの声で目が覚めました。疲れていたのと冷房が程よく効いていてぐっすりと眠ることができました。実はこのブログで知り合って、天体望遠鏡博物館に行くきっかけとなったTANKOさんも校舎に泊まっていました。部屋は別でしたが4人が学校に泊まっていたことになります。TANKOさんを起こさないように注意しながら、さっそく出発の準備です。子供達はまだ寝ています。

ある程度荷物も積み込み、出発準備も目処が立ったところで、子供たちを起こします。そのころにはTANKOさんも起きていました。Sukeがサンダルがなくなったと騒いでいたら、TANKOさんが履いていっていました(笑)。昨晩の残りの食料を朝ごはんがわりに少し頂いて、結局朝8時頃でしょうか、天体望遠鏡博物館を出発しました。

昨日お風呂に入っていなかったので、朝から温泉探しです。実はすぐ近くにオススメの温泉を聞いていたのですが、残念ながら9時からオープンで時間が少しもったいなかったので先に移動し、あぷらなーとさん宅の近くの、スーパー銭湯のようなところで汗を流しました。さすがに人の家に行くのに汗臭い格好では申し訳ないです。でもそもそも長ズボンは昨日の汗で履く気にならないので短パンだったのですが、今考えたら訪問するのに短パンは無かったのではと、ちょっと反省しています。というのもあぷらなーとさん宅で、特にお母様にとてもよくもてなして頂いて、こんな格好で、しかも子供二人を引き連れての訪問で、変な人が来たと思われてしまったかもしれません。

いやー、それにしてもあぷらなーとさん、ブログを見ていても変な人と十分わかるのですが、ご本人もものすごい人でした。部屋に所狭しとおいてある望遠鏡、赤道儀の数々。本も科学関係のものばかりです。きわめつけはなんと、新作のBORG3連チャンです。

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あぷらなーとさんをブログで拝見している方はもうご存知かと思いますが、いつもものすごく変わった、とても面白い事をしている方です。上のBORG3連チャンは最新の変なものですが、その前には普通じゃ絶対見ることのない形の望遠鏡とか、千円台の格安レンズで超高分解能を実現するだとか、ピリオディックモーションを相当厳密に解析するとか、150円の分光シートでフラウンフォーファー線を見るとか、霧箱の宇宙線を天体カメラで見たりとか、もうとにかく普通の人がやらないことばかりしています。

しかも最近腕を怪我されて、来年の6月まで運転もできないにもかかわらず、手術直後に着々と新しいアイデアを考えて、すでに色々動き出しているみたいです。

私も星を始めた頃からブログを拝見させてもらっていて、一度会って話してみたいとずっと思っていた人でした。何かの拍子に香川在住という事を知って、前回の3月の香川の訪問時にコンタクトを取ろうとしたのですが、連絡が取れたのが香川旅行から帰ってきてから。なので今回7月と香川に行く機会が思ったより早く訪れたので、やっと念願叶ってお会いできたわけです。

ところがです、もちろん天文のお話はしましたよ。当然どんどん濃い話に入っていきます。でも天文の話をしている途中に、子供たちがちょっとつまらなそうだったので、「何か本でも見せてもらえば」と言ったとこらへんから一気に別の方向になだれ込みました。見せてもらったのが、あぷらなーとさんが6年生の時にやった自由研究と、中学生の時にやった自由研究です。

大人の私が見てもすごいと思ったので、ちょうど少6のSukeと中2のNatsuから見たらとんでもないものだったのでしょう。二人とも押し黙ったようにじっくり読みだし、最後には目を輝かせながら「すごい」と。なんでも香川では自由研究の競争がものすごいらしくて、クラス内で全員発表して代表を選び、学年で代表を選び、学校で代表を選び、さながら対抗戦のようでクラス代表を応援するような感じだそうです。科学好きな子の芽を伸ばすのにものすごくいい環境があるみたいです。

あぷらなーとさんの6年の時の自由研究ですが、市で2位まで行ったという集大成で、うちの子が見ても全く太刀打ちできないレベルのものです。その時の市で1位だった子は6年間かけて温めた結果を持ってきたため、どうしても勝てなかったらしいのですが、そのあと高校で再会し、向こうもあぷらなーとさんを覚えていて、未だに付き合いが続いているとか。やはり類は友を呼ぶです。

ちなみにあぷらなーとさんの6年の時の自由研究は生物系でアオミドロの観察だそうで、接合胞子というものを見つけたという内容です。生物が苦手な私には全く未知の世界でした。実は昆虫も好きらしく、アゲハ蝶がマリーゴールドを食べて成長するという事を中学生の時に世の中で初めて発見したとのこと。高校の時に昆虫雑誌に投稿論文を書いて採用され、その後全ての図鑑のアゲハ蝶の食性にマリーゴールドが追加されたという、ある意味スーパー科学少年だったみたいです。その時も、とある本職の昆虫学者から、10年かけてやっとアゲハ蝶がマリーゴールドを少し食べることが最近わかってきたくらいだと、大量の資料付きで反論が来たらしいのですが、これが中学生の結果だと聞いてさすがにびっくりだったらしいです。

肝心の天文はというと、やはり子供の頃からの趣味で、大学の時に明るいところに住んでいたので一旦中断したそうですが、その後めでたく復帰。そして今に至るというわけですが、限られた資金で色々機材を工夫して性能を引き出す、その過程を楽しむというのは、あぷらなーとさんも私もよく似たもので、この日初めて会って話をしたのに、全く初めての気がしませんでした。実は年齢的にも私が一つ下くらいで、ほとんど同じです。遠いところですが、お互いに切磋琢磨して進んでいけたらと思います。

そんなこんなで昼ごはんの時間になり、あぷらなーとさんに香川一美味しいという釜揚げうどんの店に連れていってもらいました。

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まず、ツユが面白いです。すごく大きな徳利に入っていて自分でうつわに注ぎます。

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うつわにツユを注ぐためには徳利を水平より下に傾けなければならず、あぷらなーとさんの考察では下の写真のようにテーブルの外にうつわを出して、徳利を水平以下に傾けて注ぐしかないというのを科学的に解を出したそうです。たまたま、香港から来たという外国のお客さんがいて、やり方がわからず店員さんがやった方法がまさにあぷらなーとさんがいった方法そのもので、あぷらなーとさん自身「やっぱり合っていた!」と喜んでいました。

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うどんは4人で9玉の大きなたらいに入ったものですが、最初多いかなと思ったら全然余裕で食べることができます。とにかく美味しかった。暖かいうどんですが、比較的柔らかく、中にコシがある感じです。あぷらなーとさん曰く、昔ながらの香川のうどんはこんな感じで、一般に流行っているものすごくコシがあるのは一部の店が出していたのが流行ってしまったとのことです。もにゅもにゅ、ツルツルですぐになくなってしまいました。

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お腹も膨れて再びあぷらなーとさん宅に移動する最中、幽霊の話で大盛り上がりでした。科学的に考えると幽霊はいないが、中学の頃見たことがあるとのこと。なんかよくわからないですが、あぷらなーとさん実は塾の先生で(本家のブログを見ている方は知っていると思います)、面白い話のネタをたくさん持っているのです。子供達はもう夢中で、さらにあぷらなーとさん宅に着いてから、今度は音楽の話に。ちょうどNatsuがギターに少し飽きて来た頃で、それより作曲をどうやるかに少し興味があるみたいです。私は音楽に関しては全くアドバイスできないのですが、あぷらなーとさんは音大を目指す学生のために音楽理論も教えることがあるらしくて、作曲のためのいい参考書を紹介してもらいました。帰ってから早速アマゾンで中古で探して発注したのはいうまでもありません。さらに、小説も書いているとのことで、かなり多趣味で、天文だけを見てもわかるようにそれぞれ相当やり込んでいるみたいです。

逆に意外だったのが、観望会をほとんどしたことがないとのこと。私の場合観望会は星趣味の中でもかなりの率を占めているのでこれは不思議でした。でも塾のエキストラ授業で天文も教えているらしいので、子供に星に興味を持ってもらいたいという点では十分な貢献をされているのかと思います。

結局振り返ってみると、天文の話よりも他の話が盛り上がってしまい、思ったより天文の話ができなかったと。でもあぷらなーとさんがなぜあんなブログを書き続けることができるのかが、今回とてもよくわかりました。

午後3時前くらいでしょうか、全然話し足りないのですが、次の日は私も仕事ですし、子供達はまだ学校もあります。ものすごく残念ですが、あぷらなーとさん宅を出ることにしました。私もものすごく楽しかったですが、子供たちが「来てよかったー!」としみじみ言っていたことが印象的でした。お互い遠いですが、星を続けていれば必ずまた何処かで会えるはずです。もし富山に来たら大歓迎しますので、いつかぜひ。


さて、帰りは仮眠をとりながらのんびり移動し、自宅に到着したのは0時過ぎ。まるまる二日とちょっと。今回もかなり強引な行程でしたが、初日の天体望遠鏡博物館と二日目のあぷらなーとさん宅訪問。充実し過ぎの香川旅行でした。



週末、香川にある天体望遠鏡博物館の「開館2周年記念のセミナー&観望会」に望遠鏡を持って参加してきました。3月の観望会に参加しているので4ヶ月ぶりの参加になります。

富山から香川はかなり遠いので、前日金曜日の夜からの出発です。今回は中2の娘Natsuと少6の息子Sukeを連れての3人での訪問になります。 途中パーキングエリアで仮眠をとりなが、のんびりと安全運転で舞鶴若狭自動車道経由での移動です。米原付近で大きな事故があったらしく夕方からずーっと通行止めで、大阪経由は無理でしたので、前回と同じくこの経路です。途中、暗いところを走るのでPAで天の川でも撮影しようと思ったのですが、さすがに街灯が明る過ぎて迷光だらけで厳しかったです。

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夜が空ける頃に首を抜け、朝早く、淡路島に入ったところのサービスエリアから見た明石海峡大橋はものすごく綺麗でした。

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明石海峡大橋を渡ると本州とはお別れで、淡路島に入ります。

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淡路島SAから明石海峡大橋が一望できます。

そんなこんなで香川入りして最寄りの志度というインターチェンジで降りて、早速朝からうどん屋さんに直行です。最初のうどん屋さんは「こがね製麺所」という名前の志度店。チェーン店らしいのですが十分美味しいです。3人ともぶっかけうどんに天ぷらとかフライとかトッピングして頼みましたが、量が多かったです。子供達は小サイズでしたが、私は中サイズを頼んだら丸々2玉入っていて朝からお腹いっぱいです。雑誌や漫画もたくさんあり、それほど混んでいなかったのでついつい長居してしまいました。

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店を出てそのまま天体望遠鏡博物館へ向かいます。途中のスーパーで少し買い出しをしようとしたのですが、結局買ったのはアイスのみ。暑かったです。でもこれが面白くて、多分四国とか九州限定なのでしょう、「氷」と大きく書かれたかき氷を袋に詰めたようなアイスが大量に売っています。試しに一つ買ってみたら、一見かき氷シロップをかけただけの氷のようなのに、なぜか懐かしい味でめちゃくちゃおいしい!他のアイスも買っていたのですが、この「氷」が3人一致で一番美味しくて、取り合いになっていました。

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天体望遠鏡博物館についてスタッフの皆さんと挨拶をして、代表のMさんと一緒に併設のお店でうどんを頂きました。Mさんにご馳走になってしまったのですが、なんと下のSukeは2人前も食べるなど、朝もうどんを食べたばっかだったのに、美味しくてスルスルと入っていきます。なんでも「うどんは別腹」だとかで、本当にその通りでした。いつもはぶっかけしか食べないのですが、今回はつゆにつけて食べるタイプで、わさびを入れるとものすごく美味しくて、つゆも最後まで飲み干してしまうくらいでした。聞いてみるとなんと冷凍のうどんとのことで、なおびっくりです。自分の製麺所で打って、すぐに冷凍しているとのことで、冷凍でも十分すぎるくらい美味しいことがわかりました。出来立てそのままのコシがある状態で冷凍するので、温め直しても出来たての時の美味しさになるとのことです。天体望遠鏡博物館はお遍路さん最後の八十八番目の結願寺の途中にあります。結願寺にちなんで「結願うどん」と言うそうで、ネットでも買えるとのことです。

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天体望遠鏡博物館は昔の小学校の校舎を利用しています。
地元の人の協力で成り立っているそうです。 

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ここで食べた「結願(けちがん)うどん」、とても美味しかったです。

午後から望遠鏡の準備をしておいて、16時頃からセミナー講演が二つとその後に科学対談があります。一つは重力波の話で、もう一つは遺伝子の話でした。お客さんは事前登録した80人余りの方達。小学生から年配の方まで幅広い年齢層でした。セミナーは物理と生物と、分野は違っていますが、とてもおもしろくて興味深い話でした。対談まで合わせると2時間以上という長いプログラムにもかかわらず、皆さん非常に熱心だったと思います。ただ、体育館でクーラーとかがないのでものすごく暑くて、貸出うちわを配っていました。そんな状況でも皆さん、子供も含めてとても真剣に聞いていました。この企画は非常に人気があり、本当はもっと多くの希望者がいたのですが、駐車場の台数制限から人数を限っていて、お断りした人たちもたくさんいたとのことです。

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セミナーが終わるといよいよ観望会です。体育館でお客さんに観望会を説明している間に、用意しておいた望遠鏡を移動します。まだ空は夕暮れで明るいですが、月が出ているのでAdvanced VXのソーラーアラインメントで月で初期アラインメントをします。前回は極軸合わせを失敗したのですが、今回はその反省を生かして、まずは赤道儀の水平を三脚につけた水準器できちんと出し、赤道儀の初期アランメントでソーラーアラインメントを選び、さらに月を選びます。そこそこ月の方向を向いてくれるのですが、普段使っている富山市と違うので、緯度も経度も違います。そのため月から多少ずれてしまいますが、この時ハンディコントローラーの矢印で月をいれてはダメで、赤道儀のpitch, yawのネジ調整で合わせて月をアイピースの中心に入れると、そこそこ正確に極軸が合います。ようするに、水平が出ていて、極軸が合っていれば、初期アラインメントで計算上必ず月が中心にくるはずだということから成り立つ手法です。撮影クラスだと全然不十分ですが、電視観望レベルだとほとんど問題ないですし、太陽とか月で明るいうちからある程度の極軸調整ができてしまいます。

観望会では定番のM57の惑星状星雲やM27亜鈴状星雲、M13の球状星団やM8などを電視観望で見ました。セットアップは定番のAdvanced VXにFS-60CBにASI294MC3を載せています。お客さんの中には3月の観望会にも来てくれていた人がいて、その時見たオリオン大星雲を見て感動したので、また今回も同じように星雲を見せてくれると思って来たという方がいました。


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今回はあまり写真を撮りませんでした。
M27ですが、数少ない残っていた写真です。

一人面白い男の子がいて、小学2年生と言っていましたが、講演の時も積極的に質問するすごい子なのです。電視観望で映した星雲の画面を食い入るよう見ていて、よっぽど興奮したみたいで、なんと突然鼻血を出してしまいました。キーボードに血が少しついてしまい、両親が申し訳なさそうにしていましたが、私はそんなことは全く気にしません。そんなことよりも、この子がこのまま鼻血を出すくらいの興味を持ち続けてくれると、ものすごく嬉しいです。

ちなみにこの日は上弦の月が過ぎた頃で、観望会の間じゅう月が出ていました。それでもこれほど光害の少ないところでは、電視観望ならば星雲を色付きで十分に楽しむことができるのは特筆すべきかと思います。


ところでSukeはというと、いつも観望会で大活躍の得意のSCOPETECHを持って来ていて、経緯台ながら月や木星や土星を導入してみんなに見せていました。それだけではなくて、来ているお客さん自身に自分で導入してもらったり、アイピースの前に紙を少し離しておいてそこに月を映し出してみんなで見る(その場で考え付いたみたいです)だとか、いろいろ自分で工夫していました。「お父さんみたいにコンピュータの画面で見るのじゃダメだ、紙に写した方が細かく見える。」とのことです。

この方法よくよく聞いてみると、まず紙に写して好きな大きさになるように紙とアイピースの距離を調節して、その後つまみで焦点距離を合わせて紙の上でピントを出すなど、結構考えて工夫しながらやっているみたいです。このころの子供は伸び盛りで見ていても楽しいです。

NatsuとSukeと、もう一人スタッフのお子さんで前回の3月にも一緒に遊んだ3年生の男の子と、この日はずっと3人で一緒に盛り上がっていました。前回お世話になった女性ボランティアの方には、3人あわせてまた今回も色々面倒を見てもらったみたいです。毎度毎度ですみませんが、本当にありがとうございました。夜、3人がお別れする時ちょっと寂しそうでした。またいつか来るときに会おうと約束をして別れていました。


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Sukeの愛機SCOPETECH。これが一番扱いやすいみたいです。

話は少し観望会に戻りますが、実はこの日はシンチレーションが相当良くて、試しにASI294MCを隣の人が持って来ていたSkyWatcherの25cmのニュートン反射に取り付けてもらって、土星、木星、火星を見てみました。土星はカッシーニの間隙が綺麗見えていましたし、木星の縞もかなり細かく止まって見えました。眼視だとどうしても赤一色にしか見えなかった火星も、PCの画面で見るとうっすらと模様と極が見えていました。

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PCの画面の上ですが、結構綺麗に見えてしまいます。上の写真のようにPCの画面をスマホで撮影する方もたくさんいました。

観望会が終わるころにカメラを再びFS-60CBに戻して、北アメリカ星雲を入れて、タイムアップでした。片付けのライトかついてからも北アメリカ星雲が見えるのには、自分でも結構驚きでした。でも、あまり多くの種類の星雲を見せることはできなかったので、一度夏の星雲、星団で電視観望にむいているものをピックアップする必要性を感じました。やはりどの天体がいいかなどはまだまだ知識的に未熟だなと痛感しました。


結局忙しくて夜ご飯を食べる暇も全くありませんでした。観望会が終わってからスタッフ用の簡単なお寿司や饅頭、メロンパンとか頂いてやっとお腹が落ち着いたのですが、ここからもう一つの楽しみが。なんとこの日は学校の校舎でお泊まりです。ここ天体望遠鏡博物館は、もともと小学校で、子供の希望でこの日は学校の旧家庭科室のとなりの準備室で寝ることになりました。子供たちは幽霊が出ないかとか大はしゃぎでした。

本当は月が沈んで撮影をしたかったのですが、さすがに昨晩は運転であまり寝ていないのと、明日の朝も早いので後ろ髪を引かれる思いでこの日は寝ることにしました。冷房もベッドもあったので非常に快適に眠ることができました。結局幽霊は出なかったみたいです。


香川の二日目に続きます。




 

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