ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2018年03月

前回の一気読み記事からずいぶん時間が経ってしまいました。以前、1980年代の天文ガイド一気読み記事を書きましたが、1980年と81年は手に入れた冊数が少なく楽しみだったスーパーチビテレ事件を読むことができませんでした。その後、富山のIさんに1974年から雑誌を大量にいただいたのですが、その中に1980年と81年が全て揃っていたので、少し補足しようと思います。順序は逆ですが、まずは1981年からです。

そうそう、やっと全部の雑誌が本棚に入りました。110cm幅の書棚に4列ぶんくらいで大量です。

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1981年の天文ガイド

まず最初に、私も知り合いの富山市天文台の渡辺氏の変光星の連載記事が載っています。渡辺氏に天リフオフ会の次に日に行ったサイエンスカフェでも大変お世話になりました。天文台を3月末でご退官とのことですが、この頃からご活躍されているのに感銘を受けます。退官されてもボランティアなどでまた天文台にも来られるとか。まだお若いので、ますますのご活躍を期待します。

今回はこれまでと趣向を変えて、月別に行きたいと思います。

1月号: 気球望遠鏡BAT-2号の記事があります。研究レベルですが、光害もシンチレーションも少ない上空というのはある意味理想的な撮影環境のはずです。でも記事によると-80℃でモーターの油も固まるとか、姿勢制御が大変だとか、素人では難しそうです。誰かやっている人いないのでしょうか? 

ISITカメラというCCD以前の動画カメラでのM57とM2をモニターテレビに映したものを写真にとったものが掲載されています。ISITのSITがシリコン・インテンシファイア・ターゲット、一番最初のIがII(イメージ ・インテンシファイア)とのことです。 今の電視観望の先祖みたいな記事で感慨深いです。

2月号: グループで作った天体観測所の記事があります。八ヶ岳観測所、東京五日町の観測所、室生観測所、長野県小諸の観測所、明治大学の足柄観測所などのメンバーが実名で載っています。しかもなんと分担金まで具体的に。今でも活躍されている方の名前もたくさんあります。苦労話なども書いてあって読むだけで当時の雰囲気が伝わってきます。

3月号: タカハシのFC-65が新発売だそうです。フローライトです。今使っているFS-60Qの祖先みたいなものです。

4月号: いろいろ新しいことが始まっています。新年度だからなのでしょう。

コルキットの広告がこんなに昔から出ています。これ以前の号では見たことがないので、この頃に商品化されたのでしょうか。

シュミット系の専門家の宮本氏が2月号で連載を終え、この号でインタビューを受けている記事があります。シュミットの解説がきちんと式で説明されています。以前は後半5号分しか手に入れられなかったのですが、やっと前回読むことができました。かなり勉強させていただきました。現在では考えられないような高度内容になっています。この頃はまだ骨のある記事がたくさんありました。

水素ガス増感の連載記事が始まりました。今となっては過去の技術ですが、少しでもいい写真を撮ろうという姿勢はいつの時代のアマチュアにも共通です。でも本当に大変そう。ちょっとやってみたい気もしますが、今の時代で幸せだった気もします。まあ、今の画像処理の面倒くささも未来から見たら同じことかもしれません。ちなみに9月号に新製品として、「フィルムプロセッサー」という真空装置がUNITRONから発売されています。当時水素増感がかなり盛り上がっていたのがわかります。

この号から星物語という星座についてのギリシャ神話の連載が始まりました。さらに文通コーナーも独立しました。文通で一番若い人が12歳ですよ!他に10代前半3人、10代後半9人、20代前半が一人、この21歳の方が最年長です。今の天文趣味の人たちからは信じられない年齢層です。年齢を書いてない人も4人いましたが、私はこの4人が何歳くらいなのかが気になってしょうがないです。すごい年なので年齢がかけないのでしょうか?それでもせいぜい30代以下だろうと思いますが。

6月号: JAC: 天文ニュースセンターの広告があります。週一でハガキでニュースが届くというサービスです。編集担当にはのちにマイコンの連載を始める中野主一氏もいます。当時はニュースを手に入れる手段は相当限られていたはずで、このような試みは随分と嬉しい情報だったのではないでしょうか。

夏の観測対策の記事があります。キャンプや山小屋の使いたか、グループで行った時の心得、蚊の対策など、夏の号にはこういった記事を書いてもらえると役に立ちます。8月号には「夏の蚊対策入選者発表」の記事が。面白いのは天文同好会のメンバーの一人を裸にして蚊への生贄にすることでしょうか。

「アメリカ西海岸だより」という記事が載っています。通販がこの当時から栄えていること、チェック(小切手)のこと、Sky and Telescopeに載っている広告で24時間通じる電話をかけてクレジットカードで払うという、すでに便利な社会だったことがわかります。私も読んでいてアメリカ暮らしのことを思い出してしまいました。

6月号のP84に当時の高校入試の問題が載っていました。ちゃんと考えると難しいです。でも想定していた答えがアマチュア中学生によって間違いではないかと指摘され、中学生向けの答えに加えて、天文が詳しい人向けの答えも正解になったそうです。面白いのは8月号に、その指摘をした中学生が読者サロンに投稿していることです。絶対自信のあった彼は教育委員会に電話して、2時間ほど経って東京の文部省(文科省ではないですよ)から電話が来て「中学生ならこの程度の解答しか求めていない」と連絡があったそうです。さすがにこの対応は今だったら大問題で、当時でもまずいだろうと思いましたが、1週間後に正しい解答が追加されたそうです。詳しい人が間違えるような問題はそもそも問題としてダメだと思います。

7月号: Vixenのニューポラリスが新発売だそうです。なぜか今ニューポラリスが2台家にあるのですが、37年前にできたのかと思うと、こんなに長い期間使える機材というのは天文ならではでないのかと思います。普通家電とかは10年くらいですよね。

8月号:  日食めがねが付録についています。紙型を切り抜いてフィルムを挟むのですが、フィルムが珍しい今では実現できない付録です。面白いのは、日食めがねをかけて双眼鏡や天体望遠鏡を覗いていけませんという注意があることです。当たり前です!フィルムが溶けますよ。

9月号: 昨年ノーベル賞を取った重力波について、こんな頃から取り組んできた記事が載っています。訳本の紹介記事ですが、アインシュタインの予言から100年、こんな当時からの長い研究の成果がやっと今になって出たのがわかります。

読者サロンに、11歳の誕生日を目前にした息子を亡くした母親の投稿が載っています。「『お母さん、大きくなったらオーストラリアに行って星を見るんだ』と目を輝かせていた息子...。それもこれも昨日のことのように思い出され現実が悲しくて悔しくて、涙がこぼれそうになるのを星空を見上げてグッと堪えています。」とのこと。うちの下の子もちょうど11歳。このお母様の当時の無念を思うと涙が出てきます。

10月号: 日食フィーバーの記事が写真いっぱいで6ページにわたっています。吾妻山の山頂に1200人!が集まったそうです。最近太陽に興味が出てきたので、こういった記事も興味深く読むことができます。

質問ルームに、8ミリで星が撮影できるかという質問がありました。そもそも「8ミリ」って何?という人もいるかと思いますが、昔一般の人が唯一動画を撮影できた機器です。私も実は触ったことはありません。単純に言えばフィルムカメラと同じで、現像なども必要とする写真を連続で取るようなものので、それを動画並みにしたら露光時間が全く足りず、星はほとんど映らず、撮ることができるのは月や惑星などの明るい天体くらいではないかと解説しています。面白いのは太陽のプロミネンスの撮影を提案しているところで、一コマ撮りというテクニックで1時間を3分30秒にしたらどうかと言っています。今でいうタイムラプスですね。そんな映像がもし残っていたらすごいです。

11月号: 読者サロンに某社から新発売のφ27のサングラス(アイピース部分につけるようなやつで、昔の望遠鏡セットには標準でもついていたようです)を使って日食撮影していて、一旦ピント合わせをしようと覗いて見たら、やけに明るくて「ダイヤモンドリングが見える」という記事がありした。なんと、サングラスが真っ二つに割れていたそうです。現像したフィルムはゴミだらけの汚い太陽像だったと呑気なことを書いていますが、失明しなくて本当に良かったです。この記事を読んで、フィルターが割れる可能性はゼロではないと思い、今のP.S.T.でもメーカー指定の見方以外では目では覗くまいと心に誓いました。

12月号: とうとうマイコンの記事が出始めました。中野主一氏の記事です。FacebookのHB氏の書き込みであった日立のベーシックマスターも載っています。驚くのはすでにIBMのPCがこの当時に紹介されていることです。私はこの頃まだ小学3年生。4年生でマイコンに興味を持ち出したので、その一年前のことです。すがやみつるの「マイコン電児ラン」は当時最も好きな漫画の一つでした。

さて、最後になりますが、12月号のインタビュー記事に高校3年生の女の子が出ていました。実はこの記事が1981年の中で最も考えさせられた記事でした。別に載っていたのが女子高生だからというのではありません。以前読者サロンに掲載されたこの子に届く手紙に「天文でも何でも趣味は死ぬ気でやるものだ」というのがあったというのです。まあ、変な人はいつの時代でもいるものなのですが、それでもこういった考えがあったというのは、やはり趣味というものがまだ贅沢な時代だったのかと思わされたことです。さらに話は続きます。「今までの日本人ーー60歳以上の人って無趣味の人が多いでしょう」「でもそのころの日本は貧しかったし、世の中も道楽を許さないようなところがあったんでしょうか」というところを読んで、なんでこの当時天文ガイドに載っている投稿とかが若い人たちばかりだったのか、やっと理解できた気がしました。私は単純に、望遠鏡の進化で値段もこなれていて、ちょうど若い人の興味を引いて、その人たちがそのまま年齢を重ねたので、今は年配の方ばかりなのだと、浅はかに思っていたのですが、根本的に間違っていました。天文なんていう趣味はこの当時以前は本当に贅沢なことだったのです。戦後、高度経済成長で余裕ができて、やっと趣味を持つことができる世の中になってきたのかと思います。その当時の若い人たちはやっと新しいことに興味を持つことができたのかと思うと、今の時代は平和で幸せだなとしみじみと思います。この贅沢な時代に生きていられる幸運に感謝して、宇宙を見上げようと思っています。


コメントをいただいた小麦さんと観望会の話になりました。そこでふと思い立って特集記事のところに観望会のまとめ記事を作ってみました。
http://hoshizolove.blog.jp/archives/14709532.html#kanbokai

ここには他の記事もまとめてあるので、多少読みやすいかと思います。このページは「ほしぞloveログ」の上のメニューの「特集記事」から行くこともできます。

こうやってまとめてみると、あらためて自分は観望会が好きなんだなと思います。やっぱり自分で綺麗と思うものは人にも見てもらいたいです。ここら辺が電視観望をやる動機につながっているのかもしれません。


あと、天文リフレクションズ先日の太陽の写真が今日の一枚にピックアップされました。

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太陽はまだ始めたばかりなので、本当に大した写真ではないのは自分でもよくわかっているのですが、それでもとても嬉しいものです。まだまだ改善の余地はたくさんあるので、できる範囲でやっていこうと思います。

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土曜に引き続き、日曜も朝から晴れているので太陽観測です。今日は昨日出ていなかった小さなプロミネンスが出ています。代わりに昨日大きかったプロミネンスは少し小さくなっています。こうやって日々変わっていくところが太陽の面白いところでしょうか。

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富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Surface1 (2018/3/4 11時57分 ): : Shutter 10ms, gain 175, 400/500 frames
Surface2 (2018/3/4 11時56分 ): : Shutter 10ms, gain 325, 400/500 frames
Prominence (2018/3/4 11時59分 ): Shutter 20ms, gain 325, 400/500 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理
 
手法は昨日までとほぼ同じです。ただし、太陽らしい色を出すために青と緑のセンサーの情報も使っています。

プロミネンスだけを取り出しても結構見栄えがします。もっと大きなプロミネンスが出た時に写してみたいです。

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さて、今日もう一つ大きなことをしました。手持ちのiOptronの焦点距離400mm、口径80mmの鏡筒にP.S.T.のエタロン部、及び焦点部、フィルター部を取り付けて口径を大きくして撮影してみました。P.S.T. 大口径化計画の初期テストです。焦点距離はP.S.T.と同じですが、うまくいくと口径が2倍になるので分解能も2倍細かく見えるはずです。まだ試しなので、iOptronについていたアイピース側のフォーカサー一式を取り外し、下にプレート置いてそこにiOptronの鏡筒部とP.S.T.のエタロン部より下流側を配置しました。隙間も空いていますがまあ気にしないでおきます。

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P.S.Tに口径80mmのiOptron製の鏡筒部分を取り付けました。


いちばんの問題は、エタロンがF10用に設計されているはずなので、エタロンへの入射光が平行光で無くなるはずで、性能が落ちるなどの無理がくるはずです。さて試して見ると、まず合焦は問題なくします。ただし、ピントを合わせていく過程で像がピントに合わせて拡大、縮小されるようになりました。ノーマルなP.S.T.の時はこんなことはなかったので、F値が変わったことの影響が出たようです。その後、バローも試しましたが、最初対物レンズからエタロンまでの距離が短かったため、合焦しませんでした。対物レンズ-エタロン間の距離を1インチほど長くしてやることで、無事に合焦するようになりました。

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ノーマルP.S.T.と80mm P.S.T.でこの状態で解像度を見るために拡大して撮影してみました。昨日までの5倍とは違って、Celestronの3倍のバローレンズです。Autostakkert3でスタックして、Registax6でWavelet変換しました。Phoroshopなどは使っていません。ニュートンリングが見えているのはとりあえず気にしないでください。

まずはノーマルのP.S.T.の口径40mm。

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ノーマルP.S.T.での撮影。口径40mm。

次に魔改造後の口径80mmでの撮影結果です。

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P.S.T.のエタロン部を口径80mmの鏡筒に取り付けての撮影。



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拡大図: 口径40mm(左)と口径80mm(右)。

画像処理もAutoStakkert3, Registax6も全く同じパラメータで処理したので、ある程度きちんと比較できると思います。結果は黒い筋のところを見るのがいちばんわかりやすいですが、明らかに80mmで撮ったほうが分解能が高いです。これは思ったより差が出ました。撮影している最中は外で明るかったせいか、画面上ではほとんど見分けがつかなかったのですが、画像処理をするとさすがに細かい違いがわかります。これはもっとやる価値がありそうです。やはり10cmクラスで、F10付近の鏡筒に取り付けるべきでしょうか。BFの径が5mmなのが気になり出しそうです。いずれにせよこれはもう少しチャレンジしていきたいです。


夜は子供達が集まって観望会。M42をFAMILY800と、SCOPETECHの60mmと、Vixenの初代ポラリス80Lで見比べました。古くてもさすがに口径80mmの初代ポラリスが圧倒的でした。FAMILY800はアイピースがダメなのか、もしくは汚れてしまっているのか、にじんでしまい、どの星を見ても星雲に見えてしまいました。アイピースを変えるだけでもかなりマシになると思います。あと、微動機構をつけたくなります。
 
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その時にSCOPTECH60mmに同じくSCOPETECHが販売しているスマホアダプターをつけてiPhone5で撮った月です。

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鏡像になってしまっていますが、こんなんでも結構取れてしまうので、観望会で手持ちのスマホで撮影というが受けるわけです。

さて、2日連続の太陽撮影に、P.S.T.の改造、夜の観望会と今週も充実した週末でした。


続き P.S.T. (その10): 画像処理の検証をしてみます。
 

土曜日、朝から天気が良かったのでP.S.T.で2度目の撮影です。

基本的には前回の撮影と同じ機材、同じ設定ですが、午前中ずっと晴れていたので結構な時間色々試すことができました。とりあえず撮影結果を示します。

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富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Surface (2018/3/3 11時28分 ): : Shutter 10ms, gain 180, 400/500 frames
Prominence (2018/3/3 11時26分 ): Shutter 20ms, gain 280, 400/500 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


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富山県富山市 2018/3/3 11時1分
P.S.T. + ASI178MC + x5 barlow lens + Advanced VX赤道儀
Shutter 200ms, gain 350, 80/200 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理

表面には黒点?というのでしょうか、暗いフィラメントが2箇所出ています。プロミネンスは大きなものが一つと、その上にすごく小さいのが動物のツノのように2つ対称で出ています。下の写真は大きい方のプロミネンスの拡大です。

太陽表面、プロミネンスともにP.S.T.にCMOSカメラのZWO社のASI178MCを取り付けて撮影しています。カメラをP.S.T.にそのまま取り付けようとするとピントが合わないので、カメラが少し内側に行くようにP.S.T.を多少改造しています。動画を撮影して、それをAutostakkert3でスタックし、Registax6でWavelet変換しています。エタロンの角度を調整して、プロミネンスがよく出る角度と、太陽表面の構造が出る角度が違うのでそれぞれ撮影して合成しています。

プロミネンスを撮影する際は、かなりゲインを上げて暗いところまで映るようにしています。その際太陽表面はサチり気味になっています。太陽表面を撮影するときは、明るすぎるより、多少暗いほうが構造がよく出るようです。特に、明るい外でPCの画面を見ているので、そこで多少暗く見えても十分明るい場合が多いです。30秒でプロミネンスや表面の形が変わることもあるというので、撮影時間は30秒以内に抑えました。ASI178MCだとフルサイズで18fpsくらいが限界なので500フレームで30秒くらいになります。暗くて露光時間が必要な場合はフレームレートが落ちるので、それに合わせて30秒に抑えているのでフレーム数を少なくしています。


前回の最初の撮影はまだウハウハ状態だったので、あまり気にならなかったのですが、2回目になり少し落ち着いくると、多少不満も出てきました。

まず、エタロンの角度調整で、PCの画面上のHα線の出る範囲があまり広くなく、画面の一部に偏って出てしまいます。でもこれは程度問題であって、傾向はこの個体だけではなく、P.S.T.全般に共通なことのようです。見た目で太陽の3-4割の部分が見やすいというのが一般的のようなのですが、私の手持ちのもそれくらいかと思います。

もう少し正確にいうと、太陽表面だけを見ても画面全体で明るさが均一にならないので、画面で見ている限り一部しかHα線からくる構造が見えないのです。でも実際には画像処理をすると構造は出てくるので、見えていないだけのようです。おそらくPCの画面も、人間の目も、似たような色を識別できる範囲はあまり広くなく、P.S.T.に付いているエタロンではその中の範囲に画面全体のHαの構造を抑え込むほど精度は出ていないということが言えるでしょう。

次に、これも上に関連することなのですが、エタロンの最適な調整方法がなかなか見つからないのです。エタロンの角度を変えると、画面の明るさが変わります、明るさが変わるとHαの構造も本来存在するのに見えにくくなります。そのためエタロンの角度を変えるごとにゲインや露光時間を変えたりしながら、どこの角度がいいのかをHαの構造を見ながら決めます。でもゲインや露光時間を変えてもなかなか見やすくならず、最適な角度を割り出すことができません。

そこで今回はSharpCapのヒストグラムの雷ボタンを使うことにしてみました。この雷ボタンは淡い天体を簡易的に見やすくすることができ、PixInsightのSTF(Screen Transfer Function)機能に相当するものです。これだと、ゲインや露光時間を調節するだけよりはかなりマシになりますが、それでも完璧というわけにはいかず、かなり行き来して最適点を探さなくてはなりません。結局のところ、どこが一番いいかがやはりはっきり出ないので、相当迷いながらの撮影になります。

もう一つ、プロミネンスを撮影するときに、拡大するためにバローレンズを使うのですが、センサー表面のほこりなどがなぜか拡大するとすごく目立つのと、ニュートンリングが発生します。惑星の時にもほこりは目立ったのですが、ニュートンリングは記憶にないので太陽のみに出てくるようです。エタロンが影響しているのでしょうか?ここら辺はきちんと解決しないとだめで、今回プロミネンスを撮影した写真にも表面部分にニュートンリングが出ていたので、真っ暗にして見えないようにしています。ちなみに消さないとこんな風になります。

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赤い点はホコリ、いくつかある直線みたいなものは多分汚れ、同心円状のシマシマは干渉縞のようですが原因わからずです。(2018/3/26追記: tilt mountで解決しました。)


それにしても太陽楽しいです。しかも昼なので冬でも寒くない。昨日と今日も夜に星が出ているのですが、満月期ということもあり寒い夜に外に出る気がしません。夜に無理をしないので随分気楽な気がします。でも誰かが言っていましたが、夏は暑いので昼間の太陽撮影は辛いと。冬は温かい昼の太陽、夏は涼しい夜の星がいいのですかね。


さて、P.S.T.の2回目の撮影と画像処理を終えましたが、仕上げの際の明るさや、色合いなどまだどんな感じにすればいいのかよくわかっていません。今回も適当です。おいおい詰めていきたいと思います。


続き その9へ: とうとう魔改造へ踏み出します。
 

これまでP.S.T.を何度かに分けて分解してきましたが、とうとうエタロン部に到達しました。何でこんなに時間がかかったっかというと、エタロン部と真鍮の鏡筒部が全く外れなかったからです。ここを外すだけで約2週間戦いました。

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左の真鍮でできたパイプ部分と、真ん中のエタロン部分が
ものすごく強固にねじ込まれています。

あ、毎度のことですが、分解はくれぐれも自己責任でお願いします。こんな風に分解したら当然メーカー保証は受けられなくなってしまいます。

手で回して全くダメ。潤滑剤を隙間に入れても全くダメ。百円ショップで蓋開け用のゴムの道具を使ってもダメ。結局最後は水道管を回す「ウォーターポンププライヤー」と呼ばれるかなり太いパイプをつかめる道具を鏡筒側とエタロン側に2つ使い、鏡筒とエタロン部に傷をつけないようにゴムのシートを挟んで力一杯回しました。実は最初それでも全く動かなかったので、接着剤でもついているのかと思い(海外の記事ではそう言った記述もありました)、模型用に使うかなり強力な部類の有機溶剤を隙間に流し込み、やっと緩めることができました。 外してからねじ込みのところを見てみても、接着剤が少なくともたっぷりついているような様子はありませんでした。少しだけ緩んだ後はほとんど力を入れなくても手で回せたくらいなので、もしかしたらごく少量の接着剤がついていた可能性が高いと思われます。

いずれにせよやっと外れたので、これで分解とその後の改造を進めることができます。とりあえずエタロン部と鏡筒部の全バラ写真です。

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左上が対物レンズ、その右が真鍮のパイプ、右下が出社レンズ(黄変しているみたいです)、左に向かって外部回転リングとゴムの滑り止め、入射系レンズ、エタロン固定金具、一番左の真ん中がエタロン本体とスポンジ部、その下がエタロンの筐体になります。


エタロン部は入射側から、レンズ、エタロン、レンズという構成になっています。エタロンは平行光で最もうまく働くので、レンズはF10の鏡筒からの光を平行光に変えるようなものが使われているはずです。エタロンをでた平行光は次のf=200mmのレンズで集光されます。これらのレンズを変えることで、適当なF値の鏡筒や、適当な焦点までの距離のフォーカサーなどを使えるようになるものかと思われます。ただし、BFの径が5mmなので、そこの位置にかなりの制限が出ることになるのかと思います。



分解してみるとわかるのですが、 このエタロンの調整機構はなかなか微妙かなと。エタロンの下部にスポンジ状のオレンジ色のリングがくっついて、エタロン部下側はそのスポンジを介して鏡筒側に接触していることになります。エタロン上部はねじ込み式の金具で蓋をかぶせて、エタロンを押さえつけてい流ような状態になります。外部のリングを回すことで、その金具が回転してエタロン部を押さえつける力を調節します。エタロン部はスポンジで浮いているような形になっているので、入射光に対する角度がきちんと決まっているかというとそうでもなく、スポンジ部のクッションで結構適当に決まってしまいます。

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エタロン部アップです。グリスが脇にたっぷりついています。


今回の分解でだいぶん機構もわかったので、とりあえず再び組み上げます。

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エタロンの中央部にグリスがつかないように注意しますが、上に乗せる金具を先にエタロンに乗せてから、エタロンと金具療法を一緒に下の大枠の中に入れたほうがよさそうです。エタロンを取り外す時も金具を先に外すのではなく、金具をエタロンとごとひっくり返して外した方がいいかもしれません。あと、金具をどれくらいキツく締めるかですが、これは太陽を見ながら調節したほうがいいかもしれません。後日試してみます。

さて、前回の撮影で口径が解像度を制限しているらしいことはわかってきたので、次は口径の大きな望遠鏡にエタロン部を固定する方法の模索です。みなさんここで結構苦労しているみたいです。私もゆっくり考えることにします。


続き その8へ: 2回目の撮影です。



 

天リフオフ会でのMさんからのリクエストにお応えして、SharpCapを使った電視観望でのトラブル解決集を作りました。うまく見えない時に参考にしてください。

電視観望の基本的な説明は
  1. 電視観望を始めてみたい方へ
  2. 電視観望実践編
  3. 電視の楽しさ
をお読み下さい。一度試してみてうまくいかないときに、今回のトラブル解決集が役に立つかもしれません。



以下FAQ集です。他にも気づいたら随時追加していきます。

・バージョンはどれを使ったらいいの?
2018年3月現在の最新版の3.1は、電視観望に使える最適化ボタンがついているのでオススメです。有料ですが大部分の電視観望に必要な機能は無料で使うことができます。バージョン3.0台もしくは2.9台でも電視観望でもちろん使えますが、調整に少しテクニックが必要になります。

・星雲の色が薄い 
まずは比較的見やすい天体から始めましょう。冬ならオリオン大星雲M42、夏なら惑星状星雲のM57が明るくてオススメです。

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・それでもまだ暗い。
露光時間とゲインを調整しましょう。露光時間は1秒くらいから始めましょう。ゲインはとりあえず最大(カメラによって違います)か、ゲイン最大であまりにノイズが多いならそれから50(5dB=1.7倍)とか100(10dB=~3倍)下げたくらい。

・明るさはこれくらいでいいの?
右パネルの中にある、ヒストグラム(Display Histogram Streatch)を見て下さい。ピークが左すぎたりしていませんか?ピークの位置を左側3分の1くらいになるような明るさを目安に、露光時間とゲインを合わせてください。

・画面は十分明るいんだけど、星雲が全く見えません、導入はうまくいっているはずなのに、なんで?
ヒストグラムのところにある、雷のようなマークのボタンを押してください。かなり見栄えが良くなると思います。

・あ、なんか見えた、でもちょっと見えにくいです。
カラーバランスはあっていますか?ヒストグラムの赤、青、緑のピークの位置が同じところになるくらいに、White Bal(R)とWhite Bal(B)を調整してください。その後、もう一度雷ボタンを押してください。


・でもなんか、色が赤っぽかったり、逆に緑ぽかったりしてます。
カラーバランスはかなり微妙です。White Bal(R)とWhite Bal(B)の値を5とかかえると相当印象が変わります。1とか、2くらいでかえて、好みの色になるよう微調整してみてください。その後、雷ボタンを押すのをお忘れなく。

・さっきまで見えていたのに、どこか触ったら突然見えにくくなった。
ゲインとか、露光時間とか、何か変えたりしませんでしたか?そんな時は雷ボタンを必ず再度押してください。

・結構見えるようになったけど、まだ見栄えがイマイチ
雷ボタンも完璧ではありません。試しにヒストグラムにある3本ある黄色い縦の点線のうち、左2本を動かしてみてください。左2本の間の隙間が小さいほど、淡い部分をあぶり出します。一番左の線を動かすと真ん中の線も合わせて動きますが、これで全体の明るさ(バックグラウンド)を調整できます。2本の線の隙間でピークを挟むようにするくらいがいいでしょう。

・結構見えるようになったけど画面がザラザラしている。
ゲインが高すぎるなど、ノイズが多いからです。SharpCapの目玉機能のライブスタックを試してみましょう。上の方にある「Live Stack」ボタンを押してください。下にパネルが出てきます。同時に画面がスタックされてノイズがどんどん少なくなっていくのがわかると思います。

・ライブスタックがうまくいかない 。
「Alignment」機能がうまくいっていない可能性が高いです。画素数が多くて細かすぎるカメラの場合少し調整が必要です。「Alignment」タブの「Minimum star width」と「Maximum star width」の値を増やしてみてください。「Highlight Detected Stars」にチェックを入れると画面上で検出された星にマークがつきます。マークがつかなかったらうまく検出できてない証拠です。

・Alignmentがどうしてもうまくいかない。
とりあえずAlignment機能を切ってしまうのも一つの手です。星が少し流れていきますが、自動追尾のついている赤道儀や経緯台なら多少の時間はだいじょうぶなはずです。

・ライブスタックをしたら突然画面が暗くなったり明るすぎたり。
ライブスタックのヒストグラムで雷ボタンを押していませんか?その場合は右のパネルにある小さいヒストグラムの雷ボタンをの下のリセットボタンを押してください。少し解説すると、①まずはライブスタックにあるヒストグラムでの調整した結果が、②次に右パネルにあるヒストグラムに反映されます。さらに③右パネルでの効果と重ね合わせたものが結果として④メイン画面に表示されます。2箇所のヒストグラムで操作すると混乱してややこしいので、ライブスタックにあるヒストグラムを触るときは、右パネルのヒストグラムは(雷ボタンの下のリセットボタンで)リセットして何の効果もない状態するなどしてわかりやすい状態で試すのがいいと思います。

・いろいろやったけど、それでもまだ星雲が見えない。
暗い星雲に挑戦していませんか?その場合は露光時間を増やして、ゲインを下げてみてください。読み出しノイズが小さくなるので、より淡い星雲まで見えるようになります。15秒くらいまで増やしてみてもいいです。

・それでもどうしても見えない場合は?
都会で明るすぎるとか、満月で明るすぎるとか、環境が悪すぎる場合は見えにくいです。また、カメラの感度が低い、望遠鏡の口径が小さすぎて暗すぎるなどの機器の問題も。薄雲が出ていて見えにくい場合もあります。諦めが肝心な時もあります。時間を置いて冷静に考えるとおかしい部分を思いつくこともあります。トラブル解決も楽しみの一つと思うくらいの気持ちで、余裕を持ってやるのがいいのかなと思います。


皆さんどうでしょうか?役に立ちましたか?
どうしても解決しない場合はこのブログにコメントしてください。相談に乗ります。







 

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