ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2018年02月

最近便利と思っている細かいテクニックです。赤道儀の修理ついでに紹介します。

どちらも100円ショップのアイテムを使ったものですが、一つはマジックテープの利用です。大きめの粘着テープタイプのマジックテープを赤道儀の三脚の脚に貼ってしまいます。Advanced VXの三脚は円筒形なのですが、大きめのテープタイプものなら多少曲率があっても貼ってしまえばきちんとものを固定することができます。私はStick PCを使っているので、Stick PCの裏面と、必要なバッテリーのおもて面と裏面に全部貼ってしまいます。こうすることで亀の子状態で積み上げることができます。曲がった面につけることになるのですが、3段くらいは余裕です。

IMG_3577

IMG_3576


その際、土台側をどちらのマジックテープにするかを一旦決めて、それ以降そのルールで貼っておくといいです。私は土台側がフック側、くっつけたいものの裏面が網状の引っかかる側です。

もともとStick PCやバッテリーは袋に入れてぶら下げておいたりしたのですが、袋をひっかけるところがあまり無くて苦労したり、ぶら下げた袋が風で揺れてりして苦労していました。しかもケーブルの長さが限られているので、結構上にぶら下げなくてはならなかったのが難しかったりしたのですが、マジックテープ方式はかなり上の方に付けられる上に、思ったより安定しているので相当便利です。

 今回BKP200についているフォーカサーのコントローラーも同じように、鏡筒側にマジックテープを貼ることでずいぶんスッキリしました。 

IMG_3580

IMG_3584



もう一つのテクニックは、三脚の脚に反射板と蛍光シールを貼っておくことです。これまで何度か三脚の脚につまずいてずらしてしまったことがあったのと、車とかが気づかずに当たることがあるか(ほんとにぶつけられましたが)との思いから、真っ暗な中でも蛍光シールで、光があればきちんと反射して三脚の場所を知らせてくれます。3本ともに全部貼っています。これらのシールも100円ショップで売っています。

IMG_3585
上の明るいのが反射板、下の小さい白く見える細長いテープが蛍光シールです。
蛍光シールは明るいタイプというの買ったのですが、
きちんと蓄光しておかないとあまり明るく光りません。 


あとついでに、ちょっと高級な便利グッズの紹介です。福島スターライトフェスティバルでHBさんが使っていたのですが、一眼レフカメラのストラッップを簡単に着脱できるPeakDesignの「L-BL-3」がかなりいいです。

IMG_3590


カメラストラップは天体写真の撮影時に暗いとよくひっかけることがあります。かと言ってベルトが全くないと、昼間の手持ち撮影の時には落下が怖いです。これは付けたい時に一瞬ですぐに付けることができ、外したい時にすぐに外せるので全くストレスがありません。ただし、ベルト自身は少し細いので、常用ストラップとしては厳しいかもしれません。私は三脚撮影が主で、本当にたまに手持ち撮影なのでほとんど気になりませんが、手持ち撮影が主の人は首が痛くなるかもしれません。ストラップにしては少し値は張りますが、一つで2台のカメラに取り付けることができます。事故防止とも考えるとかなりお得です。
 

車にぶつかって赤経の極軸シャルフとがバッキリと折れてしまったAdvanced VX。メーカーからは修理不能と言われ、一応自分で頑張って直してガイドまでうまくいっていたのですが、この間から少し調子が悪いです。

赤経のクラッチを外すと普通は回転するのですが少し噛むところがあって、この間ガチガチに噛んでしまいました。一旦かなり無理して外して、傷があるところを削ってコンパウンドをかけて滑らかに回るようにしたのですが、今日重い鏡筒を載せると傾いてしまうようで、再び噛んでしまいました。

多分こんなところを直す人は他にはいないと思いますが、いくつかわかったこともあるのでメモがわりに書いておきます。もちろんですが、こんなことをすると当然メーカーの保証外になってしまうので、試したい方は(恐らくいないとは思いますが)くれぐれも自己責任でお願いします。私のはそもそもメーカでも諦められたもので、直ればもうけものというくらいで試行錯誤でやっているので、自己責任でやっています。同じ方法でうまくいかなくても何の責任もとることができませんので、ご了承ください。

まず噛んでしまって引っ張っても外れない外部円筒部分を外すのは、下の写真のように裏からM6のネジを入れてやるとわりと簡単に外れます。ネジを2本が、ダメなら4本入れてそれぞれ少しづつ奥に入れていきます。ただし、中に入っているプラスチックのリングが傷ついてダメになってしまうので、必要ならばプラ板などで作り直すといいでしょう。今回はプラ板の代わりにグリスをたっぷり塗ることにしました。

IMG_3571


次に、外部円筒部分の内側は2段で内径の小さいところがあります。上の方法で上の段の内径が小さい部分はネジで途中まで外れても、途中からネジの長さが足りなくなり下の段で引っかかることがあります。その場合は下の写真のようにテコの原理で外すと楽です。ただし、内側の円筒の外面を傷つけないようにくれぐれも注意してください。

IMG_3570


うまく外れてからは、一旦グリスを拭き取って、再びはめ合わせてみます。途中多分噛むので、潤滑剤を吹き掛けたりしながら、無理をせずにはめ込みます。はめ込めないときは断面が傷ついている可能性が高いので、600番から1000版程度のヤスリで磨きます。傷がついている部分が削れるとスッと入っていきます。

その後一旦一番下まではまり込むことが確認できたら、再び外して潤滑剤を拭き取り、粗いコンパウンドのを付けて再びはめます。

IMG_3569
コンパウンド(右)と、ヤスリ(左)。
ヤスリはこの台座が使い勝手がいいので、張り替えて使っています。


ハマったら回転が滑らかになるまで、ひたすら手で回し続けます。回転が滑らかになったら再び外します。削れたところは写真に見えるように黒くなってわかります。必ず外した後は一旦コンパウンドを拭き取ります。

IMG_3573
ちょっとわかりにくいですが、手前の左側に削れた金属が黒くなって出てきています。

コンパウンドを徐々に細かいものにしていって、回転がスムーズになり、黒いのが出なくなるまで繰り返します。仕上げ用コンパウンドでも黒いのが出なくなったら全てのコンパウンド、潤滑剤など一旦綺麗に拭き取ります。

ここからグリスを塗って最終的にはめるのですが、前回はこのグリスの選択で失敗しました。用意したグリスは2種類で、ShinEtsuのシリコングリスのG30MとSUMIKOの二硫化モリブデン系のモリーペスト300です。

IMG_3568


シリコングリスは白くて柔らかく、モリブデン系は濃い灰色でもっと粘度があります。負荷がかかるところはモリブデン系がいいとのことなんですが、前回はこの円筒部分にシリコングリスを使ってしまいました。組み上げてから冬で粘度が高いはずなのに、かなり軽く回ることに驚いていました。どうもこのことが原因で、重い鏡筒を取り付けた時に負荷がかかり円筒部分が傾いて噛んでしまったようです。今回は最初からモリペーストの方にしたので、だいぶんましになりました。それでもまだ軽いので、もう少し粘度の高いグリスを手に入れる必要があるかもしれません。

いずれにせよ噛むようなことは今の所無くはなったので、しばらく様子をみようと思います。

さて、重い鏡筒と言っているのは久しぶりに出したBKP200のことで、ASI294MCと合わせて明るい電視の準備です。来週末に八ヶ岳に行くのでそれまでに一度くらいテストのために晴れて欲しいです。






 

週末晴れるかなと思っていたら結局雪みたいなので、諦めています。今週あったこととか、その他諸々を日記がわりに書いておきます。

縞ノイズ続報ですが、FlatAide Proを試させてもらいました。フリー版で制限なしで試せるのでありがたいです。結果としては、残念ながらカラー版COMSカメラではほとんど改善が見られませんでした。そもそもカラーでは難しいはずだと、オリジナルアイデアのあぷらなーとさんも言っているのと、あとASI294MCはクールピクセルよりホットピクセルの方が多いためかと思われます。

結局「縞ノイズ」の結論としては、
  1. ホットピクセルやクールピクセルの数が多いと、除去処理で同じことをする箇所が多くなってしまう。
  2. それが撮影した全枚数に同じ位置に同じ処理をしてしまうものだから、どうしてもコヒーレント(同相)の結果を残してしまう。
  3. それがガイドずれで、画面全体にどうしても残ってしまうコヒーレントな部分をずらしながら重ね合わせて縞や縮緬のようになってしまう
ということです。ならば、「なんとかして処理を枚数の途中で変えてやってコヒーレントにならないようにしてやればいいのでは」と思ったのですが、その具体的な手段を思いつくことができず、ここで断念です。とりあえず今回しし座トリプレットは縞ノイズが目立たないPixInsightのMinimumでIntegrateして、次はditherをかけて結局撮り直すのがリベンジといったところでしょうか。敗北感が拭い去れません。
(2020年4月追記: この問題、2年越しでやっと解決しました。)

ZWOのCMOSカメラだと今の手持ちのソフトではditherをするが大変そうなので、ditherをサポートしているというAPTを少し試そうと思っています。CMOSカメラの撮影の場合、ソフトは
  • 惑星: FireCapture
  • 電視: SharpCap
  • 短時間撮影: SharpCap+PHD2
  • 長時間撮影: APT+PHD2でdither
ということになりそうです。CMOSカメラではお気軽撮影を目指しているのに、だんだん複雑になってきてしまうので困りものです。


今週あったもう一つ大きなことは、Macbook Proに入れてあるBootCamp領域が壊れてしまったことです。起動不可になり、0xc0000225というコードを出します。調べていくとどうもSSDが原因のようで、Safe modeで立ち上げようとして失敗するみたいです。そういえばこの直前に、VMwareでWindowsを走らせながらPixInsightでMac側で処理していて、Mac側のSSDがいっぱいになってVMWareが停止するとかいうメッセージが出ているのを思い出しました。色々なページを見て直そうとしたのですが、BootCampでこれが起こると直すのは結構難しいみたいです。普通のWindowsだったら直るはずのことをしても全くダメでした。マスターブートレコードの書き直しとかしている最中に一旦Mac側も立ち上がらなくなって、さすがに焦ってきたので修復は諦めてBootCamp領域を消して、再インストールしました。幸いなことに、Mac側はなんとか立ち上がり、Windows側の領域を見ることはできているので、Windows側のバックアップを取り、無事に戻すことができました。それでもアプリなどはすべてインストールし直しです。


そういえばまた変なものが増殖しました。

IMG_3567


不思議です。増えることはあっても減ることはなかなかありません。

これで昼間も楽しめそうです。ジャンク格安品でしたが、エタロン部分は問題ないらしいので、格好の改造材料です。ファブリーペローキャビティーは比較的経験があるので、そこらへんがエタロンにどれくらい応用できるか楽しみです。でもとりあえず昼間に晴れてくれないとどうしようも無いのですが、残念ながら週末は土曜も日曜も雪の予報です。




 

縞ノイズの考察の続きです。と言ってもほとんど成果なしです。

せっかくのASI294MCを撮影にも使えるのかどうかを判断するためには、縞ノイズ問題を解消しなければどうしようもありません。解決する手段さえあれば、気軽な撮影にも使えると目論んでいます。何れにせよ電視観望には十分(その1その2)なのですでに当初の ASI294MCの目的は十分に達していて、さらにあわよくば撮影もという贅沢な目標です。

具体的には、せっかく長時間撮影をしたしし座の三つ子銀河の画像を有効活用するために「縞ノイズ(斜めノイズ、縮緬ノイズ)」をなくすことですが、今回は少し絞って、
ということを探ることにしたいと思います。

試したことは、
  1. ホットピクセルのみの除去とクールピクセルのみの除去の比較。
  2. ダークフレームの効果。
  3. フラットフレームの効果。
  4. ダークフレームを使っての残っているホットピクセルとクールピクセルのさらなる除去。
  5. Maximum、Minimum、Medianの違いの確認。
などです。他にも色々試していますが、かろうじて意味があることがあることだけ挙げておきます。


1. ホットピクセルのみの除去とクールピクセルのみの除去の比較

1枚のRAW画像を、オートでホットピクセルのみ、もしくはクールピクセルのみ除去して、どちらが効いているかを試しました。結果は前回のあぷらなーとさんのコメントでの推測どおり、ホットピクセルの方が圧倒的に多くて、かなりの部分が除去されているのが確認できたので、一応除去ルーチンはそこそこうまく働いていることがわかりました。一方クールで除去が確認できたのはごく僅かでした。

問題はホットピクセル除去でもクールピクセル除去でも、いずれも除去できないものがまだ結構あることです。これが前回みたMaximumで残った起点に相当するものかと思われます。まずはこの除去を目指します。


2. ダークフレームの効果

1のPixInsightでオートでホット/クールピクセル除去に加えて、ダークフレームのみを使ってホット/クールピクセルがどれくらい変わるか見てみました。結果はほとんど効果なしです。理由はリアルタイム処理をしてみるとわかりました。オートで取れる数の方が多いからで、ダークフレームを使っても除去できる数はそれほど増えないからです。これはパラメータをいじって調整すればうまく残りのダメージピクセルも除去できるのではということを示唆しています。


3. フラットフレームの効果

2の処理に加えて、フラットフレームとフラットバイアスの処理を加えました。意外なことに残ってしまう起点の除去には、このフラットフレームの補正の効果が大でした。フラットバイアスの効果はほとんど関係ないです。残っていた色から判断して恐らくホットピクセルと思われているものですが、ほとんど除去できました。この状態で、もともとバッチ処理でやっていた処理とほぼ近いものになるはずです。ここでやっと最初の疑問の、フラットも含めた前回のバッチ処理で最後だけMaximumでintegrateした時に、輝点が出てこない理由がわかりました。


4. ダークフレームを使っての残っているホットピクセルとクールピクセルのさらなる除去。

それでもまだ少し輝点が残っています。もう少しだけなんとかできないかと思い、2でやったダーク補正のパラメータをいじることにしました。

IMG_3565

下の白丸を押してリアルタイム表示で、オートで幾つ補正されるかを見ながら、それ以上に(今回やったのは3倍の数くらいで、ホットで0.1、クールで0.04くらいにしました)パラメータ調整で補正できる数を増やすことで、残っていた輝点もほぼ除去されることがわかりました。


5. Maximum、Minimum、Medianの違いの確認

上記の3、4ですでに一枚の画像で輝点をほぼほぼ除くことはできるようになったので、これで残った輝点が原因なのかどうかがやっと切り分けられそうです。この状態で撮影した枚数全てで重ね合わせてみました。その際、Integrationのパラメータをデフォルトの「Average」から「Maximum」「Minimum」「Median」にそれぞれ変えてみました。

Average: 最初にバッチ処理でやったものと基本的には同等です。

01_Average

ただ、バッチ処理の時と違い、撮影失敗に近い星像が崩れたものや、人工衛星が通った画像を省かずに全て処理したので、その影響で星像がとりあえず丸いのですがちょっと大きいのと、人工衛星の線が出てしまっています。縞ノイズはやはり盛大に現れます。この状態で画像処理を進めても背景の縞が残ってしまい、不自然に背景を暗くするしかなくなってしまうので、許容範囲を超えています。

でもこのことは意外でした。輝点が十分無くなれば、この状態でも縞ノイズは消えると思っていたのですが、見ている限り元の輝点がある状態とほとんど変わりません。これの示唆するとことは輝点そのものよりも、「輝点を処理する時に出た影響」が各画像にコヒーレントに残ってしまうということでしょうか。

ここで少し考えて、前回フラット補正なしの時に試したのですが、ホットもクールも全く処理をせずに輝点を全て残してIntegrateしたものを見てみました。

nocosmetic_calibration_integration

よくみると明るさの違うRGBの点がいっぱいあります。完全な輝点でなくても、コヒーレントに残る色々な明るさのノイズがあるということです。これらを処理した時の残りがコヒーレントに現れて縞ノイズとして残るということでしょうか。というと、これはホットピクセル除去に関係なく、明るさが違うというころからも、むしろDebayer処理のところに問題があるのではと考えられます。ここら辺もすでにあぷらなーとさんが指摘してくれています。さすがにこれは処理しきれなさそうなので、ここで今回の検証は成果なしという結論に至りました。


Maximum: これまでの検証と同じく、Averageよりも明らかに縞ノイズは少ないです。

02_Maximum_DBE

最大の明るさが出るので、星像がAverageの時よりもブレるのと、人工衛星の線が一本濃く走ってしまっています。残った輝点もはっきり出てしまっています。一つ疑問なのは、右側のアンプノイズがなぜかAverageよりも小さいことです。これはなぜだかよくわかりません。少しだけ残っている輝点は出ているのでMaximum自体の処理はされていると思うのですが。


Minimum: 今回これが一番良かったです。

03_Minimum_DBE

縞ノイズはMaximumと同程度に除去されていて、画像処理をしてもそこそこ耐えうるレベルです。変な星像の乱れもありませんし、星も変に大きくなったりしていません。。ただ一点気になったことが、不必要に暗い(おそらくクールピクセルの残り)があると、そこだけガイドのズレのぶんだけ別の縞ノイズのように目立ってしまいます。でもまあ許容範囲でしょうか。


Median: 最初Mediumと勘違いしていて、Averageと似ているけど何か違いが出るかと期待したのですが、実はMedianでした。

04_Median_DBE

Medianはより飛び抜けたところを省いて重ね合わせるものということなので、人工衛星の軌跡などは取り除かれました。その代わりにノイズを少し犠牲にするそうですが、見た目ではよくわかりませんでした。いずれにせよ、縞ノイズに関してはAverageとほとんど同じで、効果はありません。



うーん、厳しいです。このままMinimumでいっても、今回に限っては画像処理に影響ないくらいにはなっているのでもうこれでも十分な気もします。それでも次はFlatAide Proでカラーカメラでうまく縞ノイズが除去できるかもう少しだけ試してみたいと思います。(2018/2/17追記: 試しましたが、やはりほとんど効果はありませんでした。モノクロでいつか試すことにしたいと思います。)


それにしてもPixInsightの操作方法にもだいぶん慣れて来ました。今回はフラットの補正がステライメージに比べて操作できる箇所が何もないのが少し気になりました。そのためか、まだ右側上部の大きなアンプノイズがフラット補正で取りきれなくて残ってしまっています。それでも他に色々いじれるパラメータがあるのはさすがです。昨日からまた雪が降り続いています。しばらくは天気は期待できなさそうなのでまた画像処理と機器の整備くらいになりそうです。


今年もまた県天の星仲間に新年会に誘っていただきました。毎年年明けにはオフィシャルな例会と、仲のいい何人かで集まる飲み会があるようなのですが、1月21日に例会で皆さんとは顔を合わせたばかりで、しかも結局飲み会もかなり同じ顔ぶれです。

駅近くの居酒屋で、刺身がとても美味しいところでした。勝駒というとても美味しいお酒もありました。量もたくさんあり、お腹いっぱいになりました。

IMG_3564
もう食べ終わってほとんどごちそうさま間近の写真です。

料理ももちろんいいのですが、やはり話が盛り上がります。星ネタはもちろん、天文機材ネタ、コンピュータネタなど、趣味が同じ人たちなので、話が尽きることがありません。特に皆既月食は富山では雲が多すぎてみなさんダメだったみたいで、このブログでの写真を見てよくここまで撮れたと驚いた方が多かったようです。嬉しかったのは、ブログを見てくれている方が意外にいてくれていることです。月食の記事もそうですが、星カフェSPICAの記事を見て、行ってみたいという話でも盛り上がりました。電視観望の話も少し出て、県天でも興味を持ってくれている方がいることも嬉しかったです。

今回は遠くの席の方達とあまり話せなかったのが残念でした。2次会に行かれる方も結構いたみたいですが、土日は終バスの時間が早いので、私は1次会だけで退散しました。もう県天の方達とも2年近くの付き合いになり、何度か会うことで顔と人物像が一致するようになって打ち解けるようになってきました。何十年も所属している方も多いので、みなさん古くからの顔見知りにもかかわらず、私のような新参者を受け入れてくれるので、とても嬉しく思っています。


実は昨晩久しぶりに晴れて意気揚々と外に出て撮影の準備をしたのですが、赤道儀の赤経側がクラッチを緩めてもなぜか全く回らなくなってしまいました。回転部分の金属の円筒形の接触面に何かを噛んでしまっていたようで、潤滑剤を染み込ませてやっとの思いで外したのですが、傷がいくつか付いていました。再びはめようとしても、回転するどころか、回転部分を内側の円筒形のところにはめ込むことも困難で、さすがに仕方ないので、傷の部分をヤスリで削って、コンパウンドで仕上げました。その甲斐もあって、なんとかハマるようになって、前回壊れて折れてしまった時に買っておいたグリスをきちんとつけて、無事にスムーズに回転するようになりました。購入してから1年9ヶ月、酷使しすぎかもれません。

結局昨晩は修理のために星もほとんど見えずに不満だったのですが、今日の飲み会で楽しかったので、まあ帳消しでしょうか。

 

天文に興味を持ち始めてから初の皆既日食でした。楽しみにして色々準備はしていたのですが、そこは冬の北陸。天気は厳しいことは予想していましたが、2018年1月31日が平日なことと、雪のため遠くに遠征するわけにも行きません。ましてやこの日は全国的に天気は下り坂。まあ見えればいいかくらいの気持ちで自宅の庭で撮影のセットアップをしました。


whole4_narrow
富山の自宅での撮影。全て雲間の悪条件から苦労して炙り出した画像です。
上から右回りで、19時57分、20時55分、21時22分、
皆既に入って22時04分、22時35分、22時53分、
皆既から出て23時58分、0時07分です。 


夕方空を見ていると晴れ間も少しあり、満月が昇ってくるのも時々見えています。機材は広角の35mm+EOS 6Dで移動と欠け具合をみるためと、アップでFS-60Q(f=600mm)+ASI294MC(フォーサーズ)をAdvaned VXで追っかけ。雲が多かったので広角は意味がないと早々と諦め、アップのみにかけました。 キャプチャーソフトはいつもは月の時はFireCaptureなのですが、ゲイン変動が激しいので使い慣れているSharpCapをRAW16モードで使い、.serファイルで保存しました。


IMG_3527
最初の頃、まだ月が見えていた時分です。
これ以降雲がどんどん多くなっていきました。



この日は雲があまりに多いのでずっと外で待っている気にもならず、StickPCを利用しての自宅の中からのリモートでの撮影になりました。月や惑星の場合できるだけコマ落ちなしで撮りたいために、まともなUSB3.0が使えるノートPC(私の場合Macbook Pro)にするのですが、午後8時から午前1時と5時間にわたる長時間のためバッテリーが持たないことと、雲が多くて適度にコマ落ちした方が雲の影響が平均化されるので、むしろ転送速度の遅いStickPCの方が適していました。StickPCは外部バッテリーを使えるので、3.3V換算で20000mAの大容量バッテリーでこれくらいの時間なら余裕で持たせることができます。

時間変化も大きいのとファイルサイズが大きくなりすぎるてディスクが溢れても困るので100フレームを基本にしました。露光時間とゲインは雲のかかり具合で大きく変わるので、リモートで見ながらSharpCap上でその場合わせです。 


実際の撮影は20時少し前くらいからです。欠け始める前はうっすら雲がかかっていましたが、まだ結構見えます。ところが程なくして雲が厚くなってしまって半分諦めモードに。しばらくして雲間にちらっと見えるとCMOSカメラ越しでは欠けている様子がよくわかります。すかさず雲間の明るく写るところを狙って何ショットか撮影します。下はだいぶんかけてきた時。

2122
21時22分、雲間を狙っての撮影。動画のうちの一枚。
雲間といっても薄雲は常にかかっていてい、
たまたま少しだけ明るくなったような時です。


2018-01-31-1222_1-Capture_lapl8_ap27_w_wh_bg
上の動画をスタックして、画像処理をしたもの。
かなりマシになりますが、やはり雲の影響は大で、
どうしてもシャープさにかけてしまっています。


問題は皆既に入ってからくらいです。雲が相当厚くなってしまって、ほとんど見ることができなくなってしまいました。それでも時折カメラでは輪郭が映るので、その時を狙って何ショットか撮りました。下の撮って出し画像を見てもらってもわかりますが、かなりひどいものです。撮影の合間にちょくちょく外に出て双眼鏡や裸眼で見ようとしたのですが、部分月食は雲で暗いのか月食で暗いのかの見分けがほとんどつきません。暗くなった皆既中は雲越しにほんとにあるかないかくらいの、うっすら赤っぽく見えただけです。ほとんど見るに堪えなく、それでも何とか見えるようにしてしまう高感度カメラがいかに優秀かを改めて思い知らされました。

2204
22時04分の撮って出し画像。動画のうちの一枚です。
一応高感度カメラだと写っていますが、
実際の眼視では赤いぼんやりくらいにしか見えません。


2018-01-31-1304_8-Capture_lapl8_ap104_w_bg_brown
上を画像処理した後の皆既日食。
この日の富山でこれくらいまで出せれば上等でしょうか。
雲の厚さが刻々と変わるので、ゲインも露出時間もバラバラです。
色も基準となる色がよくわからないので、多分に想像が混じっています。 


画像処理ですが、実は今回雲が流れまくっている動画ばかりです。なんとか画像を抽出しようとAutoStakkert3をはじめ、Registax6、AviStack2、どれもうまくいかなくて最後は昔のAutoStakkert2も試しました。もともとダメな動画は、パラメーターをどういじってもどうやってもうまくスタックできず、その一方でうまくいく動画はどれでやってもうまくいきます。あえて言うならAviStack2が一番強力でしょうか。でも時間がかかりすぎます。4144x2816の画像約50枚のスタックで、4コア使って2時間近くかかりました。少し破綻したところは残りますが、AutoStakkertやRegistaxではどうしようもなかった動画もかろうじて見えるくらいまで持っていってくれました。それでもさすがにこの処理速度では実用的ではありません。結局あきらめてAutoStakkert3でがんばってみることにしました。

今回このような悪条件のために、AutoStakkert3をかなり使い込まざるを得ず、色々気づいた有用なことがいくつかあるのでメモしておきます。今回は月で試しましたが、機能を理解すれば惑星にも応用可能かと思われます。特に、私自身これまでなかなか意味が分からなったたパラメータとかも結構あったので、多分他の方にも参考になるかと思います。

  • CPUコアに余裕があるなら、真ん中の「Status」の横にある「Cores」を最大にしておくと処理速度が圧倒的に早くなります。元々の1コアと最大の8コアで5倍くらいは速度が違いました。
  • AutoStakkert3で月をスタックする場合、普通は「Surface」モードにするのですが、雲が常時流れているのと、ゲイン変動が激しくサチッたり暗すぎる部分がかなりあるので、スタックした像がぐちゃぐちゃになってしまいます。最初の方はPlanetモードを主に使いました。ただ、「Planet」モードのアラインメントはどうも明るい部分を追いかけているようで、雲が流れて明るい部分がずれていくようなもののスタックは得意でないようです。
  • 結局「Surface」と「Planet」は散々迷いましたが、最後は決定打が出て一択の方法に落ち着きました。一番良かったのは「Surface」できちんと緑枠の「image stabilization anchor」を(コントロールキーとクリックで)特徴ある点にきちんと置いた時でした。模様がきちんと出ているところや、エッジのところです。これはものすごく重要で、この位置によって出来上がりの画像が全く違ってきます。逆に、アンカーを画面の中の特徴のない適当なところに置いた「Surface」モードはボロボロで、「Planet」モードの方がましです。
  • Reference Frameの「Double Stack Reference」は雲などの悪条件の時はチェックしておいた方がいい結果が得られる場合が何度かありました。
  • 2)Analyseの結果のQualityとは明るさがメインのようです。他にも見ているところはあるかもしれませんが、少なくとも明るさはQualityの一つの指標になっているようです。なのでサチっているところが多いと、そこがクオリティーがいいと判断されることがあるようで困りました。
  • 2)Analyseが終わった時点で、画像が出ている画面の上の方の「Play」ボタンを押したときにターゲットが大きく揺れているようならその時点でダメです。逆に言うと、例えば揺れが後半に出ているなら、揺れていない範囲まではスタックしても大丈夫です。もし前半早いうちから揺れていたら、これ以降どうオプションをいじってもまともな画像になりません。
  • スタック枚数が少ないと、意外に変な凸凹が出て悪い結果になることが多いです。「Play」ボタンを押したときに揺れていさえしなければ、スタック枚数をできるだけ多くした方が滑らかになり明らかにいい結果が得られます。
  • 悪条件の時ほどAPサイズは大きい方がいいです。今回はデフォルトの4つの設定の中では「200」が一番いい結果でした。細かいとブロック状のノイズが出る時があります。また出来上がった画像の解像度を比べると、APサイズを大きくとった方が細部まで出るようです。
  • ブロックノイズを消すもう一つのテクニックが、画像の暗部分やはっきりしない部分にAPを置かないことです。Min Brightの値を大きくしてAPが置かれる面積を小さくしてやると、ブロックノイズが出にくくなります。その代わり、スタックの精度がなくなるので、画像がずれることがあります。
  • それでも消えないブロックノイズに悩まされましたが、最後はAPのサイズを300とか400とかデフォルトよりも大きくして、APの数を10点ほどにしてうまくノイズを消すことができました。

今回は雲が多く、そもそも動画自身のクオリティーが低いので、画像処理が大変で、月食の日からかなり時間がかかってしまいました。結果はこの記事の一番最初に貼った画像になります。改めて見ると、この悪状況の中、一応欠け始めから終わりまで追っていて、よくここまで画像処理で炙り出せたなというところでしょうか。もちろんスタックしているにもかかわらず、天気がいいところの一発どりにもはるかに及びませんが、それでもまあ満足です。眼視の方も、この悪天候の中かろうじて見えたと言っていいくらいのレベルですが、撮影も眼視も含めて初の皆既月食をいろいろ楽しむことができました。

次回今年の7月は条件が今回ほどいいわけではないですが、今一度リベンジしたいと思います。あとは3年後でしょうか。また楽しみです。



 

このページのトップヘ