ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2018年02月

先週末、泊まりがけで娘のNatsuと二人で天文リフレクションズのオフ会に参加してきました。このオフ会の参加資格は「星が好きなこと」。星が好きな人が集まって、みんなでカレーを作って、歌を歌って、星を見て語るという、マニアな機材禁止、マニアな会話禁止のオフ会です。

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朝8時過ぎに自宅を出発し、八ヶ岳に向かいます。下道で安房峠を越えて松本まで出て、高速にのります。途中時間があったので岡谷で高速を降りて、諏訪にあるCOSMOSという天体ショップに寄ることにしました。

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全国でもどんどん数が少なくなっている天体ショップです。都会ならまだしも、特に地方の天体ショップは本当に貴重です。置いてある天体機材は少なかったですが、タカハシの中古のTS式の反射型が置いてあったり、ビクセンのポルタなどの入門機が置いてありました。こう行った店があるかないかだけでも、周りの星好き人口が大きく変わるはずです。ずいぶん昔からある店のようで、スペースシャトル型の望遠鏡が置いてあったり、昔のフィルムカメラなども数多く置いてありました。

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この店はコンピュータの販売やサポートもしていて、化石なども置いてあるちょっと面白いショップです。店長と息子さんで経営されているようでした。八ヶ岳に行くと話したらシカに気をつけるようにアドバイスをもらいました。夜中に多いと4-50頭見ることができるそうです。特に道にまかれた凍結防止剤の塩分を舐めに道路に出てくるそうなので、注意が必要と珍しい話を聞くことができました。ここでは星座が印刷されている暗い中で光るコップが面白そうだったので、お土産がてら購入してお店を後にしました。

ここからは下道で八ヶ岳方面に向かいます。集合場所は小淵沢インター近くのスーパーで、まずはここで夕食の材料の買い出しです。集合時間は午後2時ですが、我々は午後1時頃に到着し、さらにすぐに今回のオフ会の世話役のAさんと、天リフ編集長が到着。

しかしながら、ここでなんと買い出しのために集合したスーバーが倒産しているという事態に直面。下見に来た時はまだ経営していたとのこと、ドアから覗くとまだりんごとかジャガイモとか中に残ったままになっています。買い出しをどうしようかと相談して、駅前にもスーパーがあるというので、車組が5人揃ったところで、電車組を拾うために小淵沢駅に向かいました。駅前のスーパーは有機食材とかを主に扱う店で、美味しそうな野菜と、カレー粉まではかろうじてありましたが、肉がありません。さすがに肉のないカレーはさえないので、店の人にここら辺に他にスーパーないですか?と聞いたら、「ありません」と即答。「以前はあったんですが」とのことなので、倒産したスーパーのことと思われます。仕方ないので、駅でみなさん集合してからちょっと遠いけど国道まで出て買い出ししようということになりました。駅でさらに3人合流し、それぞれ車に分乗してスーパーへ。

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2種類のカレーの材料と、サラダ、お菓子、つまみ、ビールなどを買い込んで宿に向けて出発。

宿はネオオリエンタルリゾートというバブルの香りが少し残る別荘地です。ここでさらに一人合流して、フロントでチェックインをしますが、そこにいた白と黒のアルパカがモフモフでなんと可愛いこと。手を毛の中に突っ込んでも全然体までたどり着きません。本当にモフモフです。

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フロントの建物を見ても、かなり豪華なところのようです。ウェルカム焼き芋というのに少し後ろ髪を引かれつつ、実際に寝泊まりするロッジに移ります。どうやらここは分譲型の別荘が集まっているところで、そこの何軒かと契約して宿として管理してお客を泊めているようです。今回は10人で2棟を借りることになりました。ロッジはかなり豪華で、5人と5人に分かれて泊まるのですが、広い方に10人集まって食事とその後の交流会をすることに。

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中は10人いても十分な広さがあります。寝る部屋が2部屋と、食事をするリビングダイニングが2部屋。しかも離れなので夜中に多少騒いでも大丈夫でしょう。

カレーが2種類あるので、それぞれの棟で作って持ち寄ることになりました。我々の棟ではいわゆる普通のカレーで、いつも自宅で食べている横浜舶来亭のカレー粉です。一緒にいたKさんが兼業主「夫」で料理もお手の物で、私も一緒に手際よく調理することができました。娘のNatsuはもちろん、カメラに詳しいもう一人のKさんも協力して美味しそうな野菜乗せカレーとサラダができました。一方、向こうの棟は前回の志摩でおさんどん役だったAさんがほとんど一人でタイカレーを作っていたみたいです。あんまり料理をやらない人が向こうに集まってしまったみたいです。

18時過ぎでしょうか、食事が始まります。なんで食事がこんなに早いかというと、宿主催の星の観望会というのがあって、その一般の観望会に望遠鏡を持ち込んで殴り込みをかけよう(もちろん宿の人の許可は取っています)ということで、その観望会が19時半から始まるとのことで、食事がこの時間に始まったというわけです。

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さてさて夕食の時に自己紹介があったのですが、揃ったメンバー10人を見てみると、天リフ編集長Yさん、世話役Aさん、ドーム持ちのMさんはこの間志摩での電視の観望会で一緒でしたし、もともとこのオフ会の案が出たYouTubeで動画配信している新星系写真などでも有名なYちゃんさん、某天体ショップのMさんもいて、マニアな会話禁止なんて絶対無理そうな人たちばかりです。10人のうち3人は星に興味があるので撮影とかしてみたいとかまるで初心者のようなことを言っていた人たちですが、なかなかどうして実際にはカメラ大好きで、カメラの話題になるとピクッと反応します。自己紹介では自分が星を見始めたきっかけを一人ずつ話したのですが、天文少年ばかりで昔の面白い話を色々聞くことができました。それでもこの趣味をずっと途切れずに続けていた人は少なく、なんでかわかりませんが途中結構長い間やめて、意外に最近また星の世界に戻ってきた人が多いです。

そんなこんなで観望会の時間になったので、少し離れた観望会会場に機材をセットしに行きました。ちょっと遅かったのか、機材をセットしているまもなく、ホテル観望会のお客さんがやってきてしまいました。私はいつものFS-60Qにこの間試したASI294MCをつけ、Advanced VXに乗せて電視観望です。Aさんがなんと32インチのモニターを持ってきていて、それに映し出すことができ、大迫力のライブ映像が楽しめます。時間がなくて準備に手こずっていましたが、天リフのYさんがアイピースでM42とか導入してくれていたみたいで、お客さんをさばいてくれていました。やっとの事でアラインメントを終え、月を導入して32インチモニターに映し出すとお客さんが集まってきて、「おおすごい」とどこかしこで声が聞こえてきました。今見ている月をこれだけの大画面に出して、しかも自由に拡大縮小ができて、大気揺らぎも見えるので、初めて見る人にとっては相当インパクトがあるのかと思います。

その後M42も映し出し、しかも星雲のモクモクが色付きで綺麗に見えるので、これもみなさん喜んでくれたようです。20時半頃にもなると、お客さんは結構早くに帰ってしまい、しかも宿の大浴場が21時半までと結構早いので、我々も一部を除いてお風呂にいってしまいました。残ったのは私と娘のNatsu、天体ショップのMさんと、天リフのYさんでした。MさんはKenkoの自動導入経緯台に同じくセットの口径100mmの反射型にASI294MCをつけて電視に挑戦でした。

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ここで私はいくつか学ぶことになります。ソフトは当然SharpCapなのですが、Mさんのようなすごい方でもやはりソフトの操作には慣れが必要で、普段私がほとんど気にせずやってしまっていることも、やはり慣れていない人には、あたりまえなのですが難しいのです。特にあるトラブルの時にどこを触れば解決するのか、星を見ながらだとなかなか答えまでたどり着きません。今回は具体的には、まずM42の色が出ませんでした。ヒストグラムの雷ボタンを押せばいいのですが、ヒストグラムにたどり着くのも大変ですし、カラーバランスが取れていないと、雷ボタンをだけではうまくいかず、マニュアルでトーンカーブを整えなければいけません。もう一つはうまくスタックできないのです。これはASI294MCの解像度が高いために、認識できる星のピクセル数のMinもMaxも増やしてやる必要があります。こういったトラブルはその場その場で解決しなくてはいけませんが、やはりSharpCapに慣れていなくて初めて電視するような場合には厳しいのかもしれません。今回このことを思い知らされました。トラブル対策集みたいなのを作る必要がありそうです。

22時頃になるともう人もほとんどいなくなり、Yさんも機材を撤収してしまっていたので、私もMさんも撤収を始めました。その後はメインイベントの夜の座談会です。これが楽しみで参加しているようなものです。まずはYちゃんさん自慢のジンバルマウントで撮影した動画の上映会です。まるで映画のような映像が撮れることにまずびっくり。走っても全然揺れません。娘のNatusが撮影しているところを見て「パパ、あのカメラすごいよ」とかいっていましたが、映像を見ると本当にすごいです。しかもα7ⅡSで星を撮影しながら歩いているのですが、リアルタイムで撮れている星が全く動いていないのです。歩いているのにですよ!これにはみんなびっくりしていました。タイムラプス映像用に任意の時間でゆっくり動かすようなこともできるみたいです。値段を聞いたら10万円くらいとのこと。兼業主夫のKさんは同じジンバルマウントのコンデジ用の少し小さいものを持っていました。こちら5万円くらいとのこと。うーん、動画撮影始めたらいつか買ってしまうかも。天文ショップのMさんと娘のNatsuは惜しいことにオリンピックのカーリングを別棟で見ていたので、この映像を見ていません。でもYちゃんさんが編集してそのうちアップしてくれるというので、楽しみです。

話は尽きることがありませんが、マニアの生態をまざまざと見せつけられます。結局みんなマニアの会話ばっかりでした。止められるわけないですよね。絶対初心者なんか無理だと思います。初心者と言っていた3人もカメラ好きなのが幸いでした。でもよく考えたら冬の寒い時期に星を見るために泊まりでくるような人は、やはり物好きですよね。

今回天文関連でまかりなりにも生計を立てている人が何人かいたので、いろいろ興味深い話を聞くことができました。意外なことに一人なら十分食べていけるそうです。マニアの数は限られていて、しかもいい機材は何十年と持つこともあるので、なかなか利益は出ないのかと思っていましたが、店舗とかを持たなければなんとかなるとのこと。趣味が仕事になるならこんな幸せなことはないでしょう。でも仕事にしてしまうとどうかとも言っていたので、苦労もたくさんあるみたいです。特にユーザーのサポートは大変とのことでした。こうやって考えると、新品で買うというのはユーザーサポートの値段込みで買うということなんですね。ジャンクばかり買っている私にはユーザーサポートで問い合わせる機会が少ないので、気軽にお店に聞けるというはちょっと羨ましかったです。

あと、いかに星好きの人の裾野を広げるかという話にもなりました。Mさんが持って来た自動導入経緯台はかなりそのきっかけになるかと思います。ほとんどの普通の人は赤道儀とか知らなくて、マニアは自動で星が入るなんかすごい機械を使っているとかいう認識くらいしかありません。自動導入が気楽にできる方法があるというのはもっと認識されてもいいと思います。値段とサポートさえある程度のものになれば、爆発的に普及する気がします。特に値段はすごく重要です。今の経緯台の入門機と同じくらいで自動導入もできるならかなり魅力なのかなと思います。

娘のNatsuはというと、よくもまあこんな大人の男の人に混じって退屈しないなあと、感心するやら呆れるやらですが、結構夜遅くまで起きていました。なんでパパについてくるのか、みんな不思議がっていました。でも眠かったせいか、恥ずかしいのか、練習不足を理由にギターを持っていったのに一度も弾かなかったのは感心しません。お年頃なのかな?眠そうにしていても、寝たら面白い話が出そうだからと、なかなか寝ません。お菓子に囲まれて嬉しそうでしたが、そのうちコタツで寝てしまいました。

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夜も更けてだんだんグダグダに。

一方テーブルの方では初心者3人を囲んで、本来の目的の「せっかく来てくれた星好きの初心者をもてなす」という座談会もなされていたみたいです。でも私は残念ながら参加できませんでした。ちょっと聞いてみたかったです。夜も更けて3時過ぎ、明日用事があり、朝早い出発なので別棟に戻って眠ることにしました。Natsuを無理やり起こし、布団で寝付いたのが午前3時半でした。朝は7時過ぎに起きて、出発の準備です。何人かの人はすでに起きていましたが、まだ寝ている人もいました。後片付けもできなくて出て来てしまって申し訳なかったのですが、寝ている方にもよろしくお伝えくださいと挨拶して、宿を後にしました。午前中八ヶ岳から富山まで移動して、午後から富山市天文台でサイエンスカフェに参加です。この日は重力波のお話でした。Natusもいつもの天文仲間と会えて楽しかったみたいです。さすがにあまり眠っていないので、疲れ果ててこの日は早く眠ってしまいました。

今回のオフ会は第1回目なのですが、とても楽しかったです。第2回があるならまた参加して見たいと思います。

いつものように長い文章になってしまいましたが、ここまで読んでくださったかた、どうもありがとうございます。日記みたいなものなのでどうかご容赦ください。

 

CMOSカメラでの合焦を目指してアイピース差込部分を短く改造したP.S.T.を試してみました。

とりあえず結果だけ示します。

「初めての太陽望遠鏡での撮影」

2018-02-23-0503_9-Capture_lapl4_ap2976_w_rot

富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Shutter 12.5ms, gain 150, 80/100 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


画像処理も初めてなのでまだ適当ですが、なんとか見えるくらいにはなりました。



今日やったことを振り返ります。主には4つで、
  1. ピント合わせ
  2. エタロンの動作確認
  3. ダブルスタックのテスト
  4. SME40の調整
となります。明るくて画面が見にくいので、傘を差しながらの作業でした。ちなみに傘は星図傘です。

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まずピント合わせですが、P.S.T.改造の結果は見事に合焦。というより、むしろ短すぎてカメラを奥まで入れるとまたもやペンタプリズムでの合焦範囲を超えたので、アダプターの途中まで入れることで適当な合焦位置を見つけることができました。下の写真を見てもわかるように、きちんとエッジが出ています。

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この時既にプロミネンスが見えていました。これには結構感動しました。

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さて、ここでエタロンの調整です。画面を見ながらリングを回転させて調整します。まず、少なくとも画面の状態が変わるので、エタロンが動いていることは確認できました。そしてプロミネンスが出る位置と、表面の模様が出る位置が違うことがわかりました。プロミネンスが出る位置は、プロミネンスが一番はっきりする位置で止めればいいのですぐにわかります。問題は表面です。明るく見える位置がいいのか、暗く見える位置がいいのか、よくわかりません。時々模様が出ますが、明るすぎたり暗すぎたりして見えないような気もするので、その都度カメラのゲインを調整します。どうも一番暗くなるところから少しだけずれたところに一番模様が見えるところがあるようです。そしてこの位置は、リングの回転の真ん中に近い位置にあったので、エタロンの調整自信は必要ないことがわかりました。

この状態でASI178MCでいくつか動画を撮影しました。一番最初に上で示したものと、下が5倍のバローを入れて拡大したものです。プロミネンスを出してみました。

「太陽プロミネンス」
16_10_59_lapl4_ap3051_w_ps_cut
富山県富山市
P.S.T. + x5 barlow lense + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Shutter 200ms, gain 400, 80/100 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理
 

さらに太陽の表面のH alphaを強調して見ました。

「太陽表面」
16_06_58_lapl4_ap2545_w2_cut
富山県富山市
P.S.T. + x5 barlow lense + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Shutter 100ms, gain 400, 80/100 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


これは上手く写った方で、何が原因かわからないですが、ちょっとしたことでモアレのようなものが出てしまいます。このH alphaの模様ですが、本当に正しく出ているのかまだ確証がありません。もっと渦のように見えるのかと思っていました。やはり口径40mmだと解像度が足りないのでしょうか?ここら辺が限界なら、大口径への改造をしたくなるのがわかる気がします。

いくつか動画は撮ったのですが、ものになったのは上の3つくらいで、あとはテストレベルでした。特にダブルスタックでの撮影は厳しかったです。

まず、ゴーストが出ることがわかりました。これはダイアルつまみを回してSME40を傾けることによりすぐに消えます。

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右上がゴースト。


次に、先端の調整リングの最適位置がよくわかりません。まずシングルエタロンで653.6nmだけが見えているとすると、2つ目のエタロンを入れた時には透過光のピークが重なる位置が最適位置のはずなので、一番明るくなる位置を探せばいいはずです。ところが、調整リングは既に端に行ってしまっています。ダイアルつまみを回しても同じような効果が出るので、もう少し回してみましたが、こちらも一番傾けてもまだ明るくなり続けます。この時点で下の写真にある金具の位置を変えて、先端リングをもう少し回せるようにしました。

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その結果、一番明るくなるところがリングの回転の真ん中くらいにすることができました。

それでも画像を見るとイマイチです。まず暗い。一段のエタロンの時の10分の1くらいの明るさでしょうか。次に太陽表面の模様の出るところが一部に限られてしまっています。この結果だけ見ると、シンチレーションが安定している時に露出時間を長くして、いいところだけを映すように拡大した撮影の時のみ生きてくる気がします。ただ、このあと曇ってしまい十分な時間をかけてテストすることができなかったので、判断はもう少し先伸ばししたいと思います。

それでもとりあえず、P.S.T.は使えそうなことがわかったので十分満足です。


明日の朝から八ヶ岳で星見会です。当然P.S.T.も持っていきます。いまからとても楽しみです。
 

続き その7へ: とうとうエタロンを取り出します。
 

P.S.T.でFabry-Perot etalonを扱い始めたので、そこらへんの理屈を少しまとめておきたいと思います。今回はまず、前回示したFSR(Free Spectral Range)が、なぜこのような式になるのか簡単に考えたいと思います。

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 写真はゴムの滑り止めのリングを外して中のネジを取って、金属のリングを外したところ。本来このネジのところにシールが貼ってあって、はがさないような指示があるらしいのですが、購入したものにはそのようなシールはありませんでした。既に誰かが剥がしたのでしょうか?

このリングを外すと中にいくつも穴が見えます。この位置を調節することにより、エタロンの入射光への角度をより大きく変えることができるそうですが、これは次回晴れの日に実際の像を見ながら調整したいと思います。


概念
  1. 簡単のために波長1μm(マイクロメートル、10^-6m, 1e-6m)の赤外光を考えます。
  2. これまた簡単のために、まずはエタロンを構成する2枚の鏡の間の距離を上の光の波長と同じ1μmとします。
  3. このエタロンに上の光を入れると、ちょうど波長の長さとエタロン間のギャップの長さが同じなので定在波がたち*(もう少し詳し話は最後にします。)光が共振します。すなわち対物レンズ側から入った光がアイピース側に十分透過していきます。
  4. 次にエタロンを構成する2枚の鏡の間の距離を光の波長の10倍のと同じ10μmとして考えます。この場合、ギャップ感には10個の波がちょうど入ることになります。定在波が立つので、光は透過していきます。
  5. さてここで、ギャップの長さを10μmに保ったまま、波長の長さを少し長くしてみましょう。どれくらい長くするかというと、ギャップに9個波が入るくらいの長さの波長にします。10μm/9=1.11...μmくらいの長さの波長ということです。この場合も定在波が立つので光が共振し、光はそのままエタロンを透過していきます。
  6. 逆に波長の長さを短くして11個入れてみましょう。10μm/11=0.9090..μmの波長の光です。これも共振し透過します。
  7. 同じように、8個の波、12この波...も全て透過していきます。これが櫛のように光の波長を周期的に通すという理屈です。
  8. ギャップの長さをさらに10倍して100μmのものを考えましょう。100個の波も101個の波も99個の波も...透過していきます。P.S.T.では使われているエタロンは0.1mmくらいのギャップだというので、これくらいの数の波が実際にエタロンの中に入っていることになります。あ、ターゲットはH alphaの0.6536μmの長さの波長なのでもう少し入っている波の数は多いですね。

定式化

さて、理屈がわかったのでこれを式にしてみます。前回書いた式を考えてみましょう。

Δλ=λ22nlcosθ

  • λ: 中心波長、今回の場合6563Å=656.3nm。
  • n: キャビティー中の媒質の屈折率、今回の場合空気なので1でいいでしょう。
  • l: 2枚の間の鏡の距離、今回の場合0.1mm以下程度とのこと。
  • θ: 光の入射角、PSTの場合ここを回転つまみで調整している。動かせる幅はPSTでは0.5度程度とのこと。

1. まず、エタロンのギャップの中に含まれる波の数は

m=lλ [個]

と書くことができます。

2. エタロンのギャップの長さをキープしたまま、入射する波長の長さを変えていった時に、波長がどれくらいおきにエタロンを通過するかは大まかに言って、エタロンのギャップの長さを、含まれる波の個数で割った長さごとに起きるので、

Δλ=λm=λ2l

と書くことができます。だんだん近くなってきました。

3. ここで波はエタロンを往復しているこいうことを忘れてはいけません。そのためにエタロンのギャップの長さlの効きが2倍になります。そのためにlのところに2をかけます。

Δλ=λ22l

4. エタロンの中の媒質の屈折率が上がるとそのぶん波は進みにくくなるので密度が増します。周期的には短くなるセンスです。これは1次で効いてくるので分母にnと置いてやって割ります。

Δλ=λ22nl

5. 最後に、エタロンを光の入射方向に対して傾けると入射光から見るとエタロン間のギャップの距離が1/cosθで長くなったように見えます。これはFSRが長くなるセンスです。その項を考えると

Δλ=λ22nlcosθ

となります。やっと先日書いた式と同じになりました。

実際にはP.S.T.では入射角を0.5度程度を変えられるらしいです。近似でcosθ = 1 - θ^2 / 2と考えると、cos(0.5deg) = cos(0.5/180 * pi) = cos(0.0087) = 1- 0.0087^2/2 = 0.999962とほとんど1に近くなりますが、FSRが変わるということは、個々の透過光のピークトピークの間隔がこれくらい変わるということなので、全体の長さはこれのλ / FSR倍くらい変わるはずです。波長が600nm程度でFSRが2nmとすると300倍くらい効くはずで、1- 0.0087^2/2 * 300 = 0.978となり、透過光のピーク位置でFSRの2%くらいは変更できるはずです。うーん、でもまだ変化が小さすぎるような気がします。何か計算間違ってますでしょうか?



補足: 光の共振

上で「定在波が立つ」という書き方をしましたが、あまり正確な表現ではありません。もう少し正確に記述します。

エタロンの対物レンズ側の1枚目の鏡を(ある透過率で)透過した光が、アイピース側の2枚目の鏡で反射して、1枚目の鏡に戻り再び1枚目の鏡で反射します。その時対物レンズ側から入ってきた光と先ほどの反射光の光の位相が一致すると光は強めあって共振します。それらの光はまた2枚目の鏡で反射し、さらに1枚目の鏡で外から入射してきた光と(今度は自動的に)位相が合うので、さらに共振して強め合います。このような折り返し反射を何度か繰り返すのですが、何回くらい折り返すかはエタロンで使っている鏡の反射率と透過率で決まります。

例えば、反射率90%、透過率10%の鏡を両端に持っていると、最初に1枚目の鏡を10%光が透過して入ってきます。その光は2枚目の鏡で10%抜けるけれども9割は戻ってきます。戻ってきて9割は1割は入射側に抜けていきますが、9割は反射するので、約8割はまたエタロンの中に戻されます。大まかに言って1割抜けていくのを10回繰り返すと光は全て共振器の中からなくなるでしょう。この場合、10回片道旅行できるので5往復します。

これが反射率99%、透過率1%の鏡を使うと、100回片道旅行ができるので50往復できるでしょう。ただし、鏡のロスとかを無視しているので、ロスがあるとこの回数は当然減っていきます。P.S.TはFinesseが15程度といっているので、折り返し回数は15 / Pi * 2 = 10回程度とすると、反射率95%、透過率5%程度の鏡を使っていると考えられます。

とりあえず訂正的な説明と、少し数値を入れてみましたが、イメージは多少しやすくなったかなと思います。式をきちんと書いた方がスッキリするかもしれませんが、また時間とやる気のある時に書いてみるかもしれません。

 続き その6へ: 実際に太陽での撮影をしてみました。 

前回P.S.T.を少しだけ分解しました。今回はもう少し進めてBFとERFを分解して、CMOSカメラで合焦するように少し改造しています。


日曜以降いろいろ調べて判明したことは、もともとP.S.Tはアイピースによる眼視が目的のため、そもそもカメラで合焦することがあまり考えられていないようで、日本のみならず世界中で苦労していることがよくわかりました。まずこの問題を解決しないことにはアイピースで見るだけで、写真や映像を残しておくことができません。これを解決する方法はいくつかあるようです。

1. なんとかしてアイピース部分の筒を短くして、カメラをもう少し内側に持ってくる。
利点: 付属の部品を使うので安価。
欠点: なんらかの工作が必要となる。

2. バローレンズで焦点を外側に持ってくることで、カメラが合焦する。
利点: バローレンズさえあれば手軽に試すことができる。拡大して見たい場合は一番適している。
欠点: 拡大されるので全体が見たい場合にはより面積の広いセンサーが必要になりそう。バローレンズを適合させるのが難しいという話もある。

3. P.S.T.のペンタプリズムボックスでフォーカスする代わりに、別のフォーカサーを持ってくる。
利点: P.S.T改造につながっていきます。口径の大きい鏡筒への改造を考えているのならこれが一番です。
欠点: 後付けのBFを新たに購入しなくてはならず高価。鏡筒の口径を大きくすることを考えると、さらに口径の大きいBF-10やBF-15を選ぶことになりさらに高価。別途ERFも必要かも。なんとかしてP.S.T.付属のBFを使う場合、結構難度の高い工作が必要になりそうなのと、鏡筒の口径の増加は期待できない。


「手軽さ、追加投資、性能」を「簡単、安い、高性能」から「難しい、高い、性能向上低い」をA, B, Cで考えると

1: B, A, B 
2: A, B, C
3: C, C, A

といったところでしょうか。3番の性能向上の理由は、後の拡張につながることを考えてと、BFが新しくなることで手持ちのくらいかもしれないBFが改善されるかもといったところです。

さて今日はこの中の1番について少し試したいと思います。方法としては、DRAGONDEMANDさんがASIカメラ付属のアダプターを削るという面白方法を試してます。他にもアイピースホルダーを削るとかも考えられますが、不可逆な改造はできるだけ最後の手段として撮っておきたいので、もう少し色々考えました。まず最初にしたことは、BFとERFの分解です。

あ、前回の記事の繰り返しになりますが、このような改造はメーカー保証が受けられなくなる恐れがあるので、くれぐれも自己責任でお願いします。また標準構成以外で太陽をのぞいたりすると、冗談でなく失明の恐れがあるので、安全には絶対に気をつけてください。もし何か事故など起きたとしても、私はなんの責任を取ることもできません。


BFの分解

最初に上のBF部分を外します。裏を見ると2つの穴があるので、外せそうです。このような場合に写真のようなカニ目スパナがあると楽に外せますし、何より光学系を傷つけるリスクが減るので、安いものでもいいので手に入れておくといいでしょう。

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ただし、外れないように接着剤のようなもので一点止めをしているようです。

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これは引っ張るとすぐに剥がれました。

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カニ目スパナで円盤を回転させて外すと、中から立方体型のBlocking Filterが顔を出します。固定されていないので、ひっくり返したりすると転がっていくので注意です。

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BFは金コーティングされているみたいなので、どうやら初代ブルーの次の2世代目のバージョンのようです。現在は新しいブルーとのことです。BFを注意深く見てみると、かなり汚れています。

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いつも使っているFUJI FILMのレンズクリーニングキットと綿棒でふくと全て綺麗になりました。金コーティングされている面も綺麗にします。

光学系のクリーニングですが、若干コツがいります。まず当然ですが、新品の綿棒を使います。綿棒の先端ころには絶対に触ったりしないでください。手の油とかがつくと全て無駄になります。クリーニング液の量ですが、クリーニング液が鏡面に残ったまま乾燥するとそこにシミができます。拭きながら乾くくらいの少量のクリーニング液を使うのがコツです。一度吹いたら綿棒を捨てるくらいの無駄遣いをしてください。綿棒をケチると結局綺麗にならず余分に使ってしまいます。どうしても残ったしつこいカスなどは、乾燥した綿棒で多少力を入れて吹いてしまっても構いません。これくらいでどうにかなるようなコーティングではないようです。

面白いのは、BFを真横から見たときでしょうか。赤い部分と透明な部分の2層構造になっています。理由はよくわかりません。どなたかご存知の方いませんでしょうか?

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清掃が終わったらまた元の通りに組み直します。クリーニングの結果ですが、明らかに透過率が上がりました。電球などで比較したのですが、目で見て分かるレベルです。BFが暗いことが理由で格安だったのでこれは嬉しい誤算でした。ただし、まだそもそもの明るさがどれくらいあるのかは不明なので、元に戻ったのかどうかはわかりません。



ERFの分解

次はERFです。ボックスから外して裏面を見るとやはり2つ穴があるのでカニ目スパナで回転して外します。すると写真のようにフィルター部分が外れます。ここは今回の意改造の重要なポイントで、どうもERFがついている延長筒を省けばカメラまでの距離を短くすることができそうです。

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が、その前にフィルター部分の裏を見ると2つの切り欠きがあるので、さらにカニ目スパナを使って外します。これらも接着剤がくっついているので適当にはがします。分解すると写真のようになります。

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中身は「ITF 0152 #」と書かれたフィルターのようです。フィルターについている黒いものは接着剤の残りで、どうしても取ることができませんでした。まあBFの径が十分小さいので放っておくことにしました。さて、このフィルターの型番に一致したものは見つかりませんでしたが、もしかしたらITFで引っかかったMAIER PHOTONICSの

http://maierphotonics.com/656bandpassfilter.aspx

なのでしょうか?と思ってもうすこ調べたらCludy Nightsにも出ているので

https://www.cloudynights.com/topic/445617-itf-h-alpha-filters/

多分これで確実でしょう。やっとERFのデータが手に入りました。630nm以下と700nm以上をカットするようです。600nm以下でOD5-7、800nm以上でOD4-7と十分な除去比がありそうです。追記: よく読んだらP.S.T.のフィルターをMAIERのフィルターで交換するという記事でした。もともとP.S.T.についてるのは錆びたりするとの事なのと、MAIER PHOTONICSのフィルターは値段も$75と安いので、交換品の候補と考えるといいのかと思います。ところでITFって何かの略なのでしょうか?さらに追記:  ITF: Induced Transmission Filterだそうです。一般名詞ですね。 

さて、ERFがついていた延長筒を使わずにERFをうまくBFに固定すれば、カメラまでの距離を短くすることができます。私は最初両面テープを使ってBFの下側に貼り付けようとしました。

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くっつけるとこのようになります。

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でもこれだと、ペンタプリズムを移動して上の方に持ってきた時に干渉してしまうことがわかりました。なので順序を変えて、BFが付いているアイピースホルダーの中に入れてやることにしました。ただし固定されないので、写真のように隙間に小さなクッションを入れてやることで簡易固定しました。とりあえずひっくり返したりしても問題なさそうです。

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ちなみに、ASIカメラのアダプターにうまくねじ込めないかと思いましたが、ごくわずかフィルターの枠の系の方が大きくて無理でした。あと、ERFですが、コーティングがおもて面と裏面で違うようなので、裏返したりしないようがよさそうです。(後で気づきましたが上の写真は間違えて裏返して取り付けてしまっていました。)

さて、簡易改造ですがうまく合焦するのか。BFを前に持ってきたので太陽像が大きくなっている分入りきるか心配です。次の晴れで確かめたいと思います。

続き1: エタロン部を少し考え始めています。
続き2: 実際に合焦するか太陽で試して見ました。 

P.S.Tファーストライトで色々疑問も出たので、早速P.S.T.の分解です。とりあえずは光学系を除いた簡単な分解のみ。

当然ですが、こんなことをするとメーカー保証は効かなくなると思いますので、もし試される場合は自己責任でお願いします。この通りにやって壊れたとしても私はなんの保証もできません。

今回手に入れたものは格安のジャンク品です。なので気がなねく色々試すことができます。まず外せるところまで外して中を見ます。

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右上から下に向かって、
  1. BF(Blocking Filter): etalonで透過してきた光からH alpha付近を抜き出す働き
  2. Energy Rejection Filter
  3. プリズムとフォーカサーボックス
  4. etalon+鏡筒
  5. 対物レンズ
となります。 残念ながら固すぎて鏡筒からエタロン部分を外すことができませんでした。普通に外れるはずなんですが。

次にプリズムが入っているボックス部分の蓋を開けてみます。あ、ここのネジ外す時恐ろしく硬かったです。下手な道具を使うと舐めることがあるので、ある程度きちんとした六角レンチを使ったほうがいいと思います。

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五角形のプリズムが入っているのが見えると思います。上に乗っかっている黒いのはスペーサーで、その上にマジックテープみたいなのが貼ってあって、それがプリズムが動くときにうまく上の蓋と滑るようになっているみたいです。光は左側の鏡筒から入って、左右対称に見た五角形の左上の(写真では垂直に見える左側の)辺からプリズム内に導入され、五角形の右下の辺で一度反射し、次に左下の辺で反射、最後に右上の辺から、上側のアイピースに向かって抜けていきます。

お尻のつまみを回すことで、このプリズムがつまみの軸方向に動くことで焦点からの距離が変わります。五角形の対象軸に平行に動くことで、像の位置を変えることなく焦点からの距離を変えることができます。よく考えてあるのは、偶数回の反射(この場合は2回)なので、多少軸の角度に誤差があってもうまく打ち消すようになっています。左下についている小さなプリズムはファインダーに光を持っていくものなのすが、このプリズムへの入射光がどうやって入っているのか最初よくわかりませんでしたが、プリズムボックの太陽側の前面に小さな穴が空いていてここから光を取り込んでいることがわかりました。

さて、つまみを右に回すとプリズムが下側に移動し焦点からの距離が長くなり、左に回すとプリズムが上側に移動して焦点までの距離が短くなることがわかりました。つまみと箱の間に隙間が空くともう左に回しすぎで、この状態ではプリズムが大きくカクンとシフトしてしまっているので、ここまで回してはダメです。つまみが箱にくっついた状態で右に回していくと、そのうち止まってこれ以上回せなくなります。これがプリズムが一番下まで来た状態です。プリズムの移動距離は1cm程度でしょうか。2回反射しているので、光学的な距離としては2cm程度の範囲があると思っていいと思います。

仕組みはわかったのですが、でもこの右に回し切った状態って焦点からの距離が一番長い状態なんですよね。CMOSカメラを入れた時はもっと焦点までの距離を短くしたいんです。一番左まで回してつまみが浮くくらいまで試してまだ合焦しなかったので、やはりCMOSカメラを使う場合はもう少し内側に入れるようななんらかの手が必要です。

あと、BF、ERF、etalonの透過光をじかに見てみました。BFとERFは赤い光のみ見えます。アイピースに近いBFは直径5mmと小さく、厚みがあり、透過率もかなり低いです。ERFは直径15mm程度でしょうか。薄くて透過率も高いです。裏から見た写真を撮りましたが、左のERFは写真ではわかりにくいですが、中心の方が少し色が変わっているので、ダメージを受けているのかもしれません。

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面白いのはetalonです。赤い光が来るかと思ったら、むしろ薄い青に見えます。etalon自身は問題ないとのことなので、この色が正しいのでしょうか?これはFabry-Perot etalonの仕組みを考えればすぐにわかります。

Fabry-Perto etalonの2枚の鏡間の距離のみで決まるような、FSR(Free Spectral Range): という量が定義できます。一般的には周波数の単位の[Hz]で書くことも多いのですが、わかりやすくするために単位を波長と同じ[m(メートル)]で表すと

Δλ=λ22nlcosθ
  • λ: 中心波長、今回の場合6563Å=656.3nm。
  • n: キャビティー中の媒質の屈折率、今回の場合空気なので1でいいでしょう。
  • l: 2枚の間の鏡の距離、今回の場合0.1mm以下程度とのこと。
  • θ: 光の入射角、PSTの場合ここを回転つまみで調整している。動かせる幅はPSTでは0.5度程度とのこと。面倒なのでとりあえず0と置きます。

と書くことができます。エタロンはこの(波長の)周期で光が通っていくようなコームフィルター(櫛形フィルター)となります。

とりあえず計算してみるとFSRは20Å = 2nmか、もう少し長い程度になります。400nmから800nmまでの紫外から赤外の間だけでも数百本の波長の光が通っていきます。

その中で、エタロンが通す櫛の一本だけを考えます。その櫛の一本がどれだけの波長幅を通すかを表すような量としてFWHM(Full Width Half Maximum、半値全幅)という値があります。ある波長の透過率の、最大値の半分の値が、波長で見てどれだけの幅を持っているかという意味です。PSTでは典型的には0.7Å = 0.07nmだとか、1Å = 0.1nmだとか言われています。

FSRとFWHMで決まるような比をFinesse = FSR / FWHMといい、共振器の鋭さを表します。これは鏡の反射率のみで決まる量です。PSTの場合はたかだか15程度だそうです。上の値から計算すると2nm / 0.1nm = 20程度なので、値としてはだいたい一致します。空気中ということでオーダー的にはこんなもんなんでしょう。世の中にはFinesseが10万とかいう光共振器もあります。こういった高いFinesseは当然真空内で実現されます。

ちなみにFinesseと光の共振器内での折り返し回数Nには一意の関係があって、N=Finesse / Pi * 2という式で表すことができます。Finesseが15だとすると、光の折り返し回数はPiで割って2をかけるので10回程度エタロン内を往復していることになります。

さて、エタロンはコームフィルターと言いましたが、そのためにある波長のみが通り抜けていくのではなく、FSRおきの波長の光が数百本通り抜けていくので、欲しい赤い光だけでなく他の色の光も通り抜けるために、今回は青っぽくなったのかと思われます。こう考えると、BF(Blocking Filter)が必要な理由が自ずと見えてきます。BFの波長選択性はエタロンに比べてそれほど良くはありません。ある程度の広がりを持った波長しか選択することができないというわけです。今回の場合H alpha=656.3nm周りを中心に2nm以下くらいの波長幅で選択できるフィルターが必要となります。PSTのものではないですが、ここに同じCORONADOのBF15の透過率のグラフがあります。縦軸はODなので、1で10分の1、2で100分の1、3で1000分の1になります。このグラフによるとFWHMは縦軸最大の66%の半分の値の33%くらいのところの横軸の幅を見て、まあだいたい0.75nm程度ですね。思ったより優秀です。これならきちんと一本の櫛のみ抜き取ることができますね。

まとめると、エタロンが1Å 程度の幅の波長を「数十Å程度の周期的に」通すために、欲しい波長のみ選択することは不可能になる。そこで欲しい波長以外のいらない波長を省くためにBFが20Åくらい(データではしたのは7.5Åくらい)の幅でH aphaを通す。この2つを併用することで1Åという非常に狭い波長幅でH alphaのみ通すことが実現できるというわけです。


最後に、それぞれのフィルターの透過光をiPhone5で簡単に写真を撮りました。フィルター面での反射が激しいので、あまりわかりやすくはないですが、参考になればと思います。


  • 元画像:
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白熱電球が傘に当たって光っている写真です。

  • BF
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視野も狭く、透過率も悪いです。2nm幅だけ通しているのでこんなもんなんでしょうか。
iPhoneで適当に撮っているので、明るさはあまりあてになりません。


  • ERF
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赤くなります。視野も広く、透過率も高いので、そこそこ見えます。
透過する波長幅もかなり大きいように見えます。


  • etalon
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ほとんど普通のガラスみたいに見えます。ちょっと青みがかっています。
白い枠はiPhoneのカメラの縁です。反射が多いのでどうしても写り込んでしまいます。

etalonはわかりにくいので、障子のところも撮りました。青みがかっているのがわかりますでしょうか。

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さて、ジャンクで買ったPST、この中のどれが悪い部分なのか、それとも大して問題なく普通に使えるのか、これから色々検証していきます。

あ、あと触れてなかったですが、同じCORONADOのSOLARMAX SME40も同時に格安で買いました。こちらもジャンク品です。PSTと合わせてダブルスタックで使えるものですが、どうも像が甘いとか。こちらはまずはPSTを片付けてから試したいと思います。


続き: カメラで合焦できるような改造を試します。
 

雪の予報だった日曜の昼間、久しぶりに太陽が出ていることに気づき、早速先日手に入れたP.S.T.のファーストライトです。昼間に観測できることがこんなに楽しいとは。もうウハウハです。

まずは簡単にカメラ三脚に載せて、付属のCORONADO製の18mmアイピースで覗いてみました。ファインダーの真ん中くらいに太陽の白い点が見えると、アイピースの中に赤い太陽が見えてきました。見える範囲がものすごく狭いですが、はっきり見えています。ボックス部分についているお尻のつまみを調節してピントを合わせて、その後エタロン部分を調整します。エタロン調整リングを回していると、太陽の中に黒いもやもやしたものが見えている気がして(結局今考えると本当に見えていたかどうかはまだよくわかりませんが、とにかくその時は)もう大興奮です。これは面白いと思い、もう少し本格的に見て見ることにしました。

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セットアップ

とりあえずP.S.T.を、昨日直したAdvanced VXに載せます。Advanced VXはデフォルトでは太陽の方向に向かないようになっているので、その制限を外し、Solar System Alignで太陽を選択します。昼まで極軸は取れないので精度はあまりないですが、まあ簡易的に見るぶんには十分でしょう。一つのターゲットでのアラインメントなので、水準器などを取り付けて水平を出す工夫をするといいです。私は水準器をボンドで三脚に付けてあります。

アイピースでの視野は相当狭いみたいなので、そこにセンサーサイズの大きくないASI178MCを取り付けます。カメラはStick PCからコントロールすることにします。太陽の元だと流石にPCの画面を見るのは辛くなるので、一旦セットアップが完了したら部屋の中で見てみようという魂胆です。さてこの状態で、色々試しました。

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太陽のもとだと明るすぎてPCの画面がほとんど見えません。
これで画面の輝度最大です。


ピント

アイピースだと合焦するのですが、どうもCMOSカメラの場合はうまく合焦しないようです。P.S.T.のお尻についているつまみでは範囲を超えているのか、もう少しカメラが内側に入り込む方向で合焦するようです。そもそも、ピントがあっているかどうかの判断が慣れないとものすごく難しいです。ASI178MCで300%くらいに拡大してエッジを見ていても、明るいためかはっきりと境目が見えません。こんなもんなのか、何か間違っているのか、これは夕方今一度試しました。


軽く分解

もう少しCMOSカメラを内側に入れることができないかと思い、アイピース側を少し外してみました。まずネジがついている部分を外すと、一緒にBF(block filter)と呼ばれる部分も一緒にくっついて取り外されます。BFの役割はエタロンで落としきれない波長の光を落とすことみたいですが、BF有り無しでカメラのゲインで見て250倍くらい明るさが違うみたいです。もっとも画面の明るさが同じくらいになった時の露出時間を比較しただけなので、波長のことなどは何も考えずにかなり大雑把な比較でしかないですが、ちょっと落ちすぎなのでしょうか?BFが暗いというのがジャンクの理由で、そのために格安だったのですが、まだ本当に暗いのかどうかの判断はよくわかりません。

それよりも気になるところがあります。BFを取ると次にERF(Energy Regection Filter)というが顔を出すのですが、下の写真でわかる通り明らかに右側(太陽の下側に相当?)が欠けています。内部の何かの位置が悪いのか、これでも正常なのか、一度ボックス部分の蓋を開けてみる必要がありそうです。

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と、もっと色々試したかったのですが、途中15時頃から雲が出てきてしまいました。


夕方から、BFを外して

16時半頃再び夕焼けの中太陽が見えたので、もう少しだけ試しました。まずピントですが、アイピースではきちんと合焦することを再度確認しました。その時iPhone5で撮った画像です。

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真ん中に入っている黒い線は電線です。撮影の際、SCOPETECHのスマホ撮影用のホルダーを使っています。これがないと位置を合わせるだけでも結構大変です。撮影時のピントが甘いですが、眼視で見ている限りはエッジもきちんと出るので、調整つまみもきちんと動いているようです。

この状態でアイピースを外してASI178MCを入れて、一番ピントが合うところまで持っていって撮った動画から一枚だけ切り出した撮って出し画像です。ピントが甘いことがよくわかります。

2018-02-18-0755_0-Capture_001


次にアイピースホルダー部分と、そこに一体化しているBFを外して(ホルダーがないのでカメラが固定できないために)CMOSカメラを手で押さえながらピント調節つまみをいじると、なんとかPCの画面上でもはっきりとしたエッジを見ることができました。ということはやはりもう少し内側にカメラを差し込む必要があります。みなさんどうしているのでしょうか?

あと、くれぐれも注意ですが、このBFを外したような状態で絶対にアイピースなどを入れて目で見るようなことはしてはいけません。最悪失明することがあります。

その時の撮影動画から一枚切り出した撮って出し画像が以下のものです。雲があったり、手でカメラを持ってなのでブレブレですが、ピントはかなりマシです。

2018-02-18-0808_3-Capture

 
太陽が沈む直前まで楽しみました。まだピントもゲインも露出時間も適当、スタックするとかいうレベルでも全然ありません。エタロンの効果もまだ未確認です。画像処理もどうするかこれから調査開始です。

 続き: P.S.T.分解してみました。

最近便利と思っている細かいテクニックです。赤道儀の修理ついでに紹介します。

どちらも100円ショップのアイテムを使ったものですが、一つはマジックテープの利用です。大きめの粘着テープタイプのマジックテープを赤道儀の三脚の脚に貼ってしまいます。Advanced VXの三脚は円筒形なのですが、大きめのテープタイプものなら多少曲率があっても貼ってしまえばきちんとものを固定することができます。私はStick PCを使っているので、Stick PCの裏面と、必要なバッテリーのおもて面と裏面に全部貼ってしまいます。こうすることで亀の子状態で積み上げることができます。曲がった面につけることになるのですが、3段くらいは余裕です。

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その際、土台側をどちらのマジックテープにするかを一旦決めて、それ以降そのルールで貼っておくといいです。私は土台側がフック側、くっつけたいものの裏面が網状の引っかかる側です。

もともとStick PCやバッテリーは袋に入れてぶら下げておいたりしたのですが、袋をひっかけるところがあまり無くて苦労したり、ぶら下げた袋が風で揺れてりして苦労していました。しかもケーブルの長さが限られているので、結構上にぶら下げなくてはならなかったのが難しかったりしたのですが、マジックテープ方式はかなり上の方に付けられる上に、思ったより安定しているので相当便利です。

 今回BKP200についているフォーカサーのコントローラーも同じように、鏡筒側にマジックテープを貼ることでずいぶんスッキリしました。 

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もう一つのテクニックは、三脚の脚に反射板と蛍光シールを貼っておくことです。これまで何度か三脚の脚につまずいてずらしてしまったことがあったのと、車とかが気づかずに当たることがあるか(ほんとにぶつけられましたが)との思いから、真っ暗な中でも蛍光シールで、光があればきちんと反射して三脚の場所を知らせてくれます。3本ともに全部貼っています。これらのシールも100円ショップで売っています。

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上の明るいのが反射板、下の小さい白く見える細長いテープが蛍光シールです。
蛍光シールは明るいタイプというの買ったのですが、
きちんと蓄光しておかないとあまり明るく光りません。 


あとついでに、ちょっと高級な便利グッズの紹介です。福島スターライトフェスティバルでHBさんが使っていたのですが、一眼レフカメラのストラッップを簡単に着脱できるPeakDesignの「L-BL-3」がかなりいいです。

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カメラストラップは天体写真の撮影時に暗いとよくひっかけることがあります。かと言ってベルトが全くないと、昼間の手持ち撮影の時には落下が怖いです。これは付けたい時に一瞬ですぐに付けることができ、外したい時にすぐに外せるので全くストレスがありません。ただし、ベルト自身は少し細いので、常用ストラップとしては厳しいかもしれません。私は三脚撮影が主で、本当にたまに手持ち撮影なのでほとんど気になりませんが、手持ち撮影が主の人は首が痛くなるかもしれません。ストラップにしては少し値は張りますが、一つで2台のカメラに取り付けることができます。事故防止とも考えるとかなりお得です。
 

車にぶつかって赤経の極軸シャルフとがバッキリと折れてしまったAdvanced VX。メーカーからは修理不能と言われ、一応自分で頑張って直してガイドまでうまくいっていたのですが、この間から少し調子が悪いです。

赤経のクラッチを外すと普通は回転するのですが少し噛むところがあって、この間ガチガチに噛んでしまいました。一旦かなり無理して外して、傷があるところを削ってコンパウンドをかけて滑らかに回るようにしたのですが、今日重い鏡筒を載せると傾いてしまうようで、再び噛んでしまいました。

多分こんなところを直す人は他にはいないと思いますが、いくつかわかったこともあるのでメモがわりに書いておきます。もちろんですが、こんなことをすると当然メーカーの保証外になってしまうので、試したい方は(恐らくいないとは思いますが)くれぐれも自己責任でお願いします。私のはそもそもメーカでも諦められたもので、直ればもうけものというくらいで試行錯誤でやっているので、自己責任でやっています。同じ方法でうまくいかなくても何の責任もとることができませんので、ご了承ください。

まず噛んでしまって引っ張っても外れない外部円筒部分を外すのは、下の写真のように裏からM6のネジを入れてやるとわりと簡単に外れます。ネジを2本が、ダメなら4本入れてそれぞれ少しづつ奥に入れていきます。ただし、中に入っているプラスチックのリングが傷ついてダメになってしまうので、必要ならばプラ板などで作り直すといいでしょう。今回はプラ板の代わりにグリスをたっぷり塗ることにしました。

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次に、外部円筒部分の内側は2段で内径の小さいところがあります。上の方法で上の段の内径が小さい部分はネジで途中まで外れても、途中からネジの長さが足りなくなり下の段で引っかかることがあります。その場合は下の写真のようにテコの原理で外すと楽です。ただし、内側の円筒の外面を傷つけないようにくれぐれも注意してください。

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うまく外れてからは、一旦グリスを拭き取って、再びはめ合わせてみます。途中多分噛むので、潤滑剤を吹き掛けたりしながら、無理をせずにはめ込みます。はめ込めないときは断面が傷ついている可能性が高いので、600番から1000版程度のヤスリで磨きます。傷がついている部分が削れるとスッと入っていきます。

その後一旦一番下まではまり込むことが確認できたら、再び外して潤滑剤を拭き取り、粗いコンパウンドのを付けて再びはめます。

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コンパウンド(右)と、ヤスリ(左)。
ヤスリはこの台座が使い勝手がいいので、張り替えて使っています。


ハマったら回転が滑らかになるまで、ひたすら手で回し続けます。回転が滑らかになったら再び外します。削れたところは写真に見えるように黒くなってわかります。必ず外した後は一旦コンパウンドを拭き取ります。

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ちょっとわかりにくいですが、手前の左側に削れた金属が黒くなって出てきています。

コンパウンドを徐々に細かいものにしていって、回転がスムーズになり、黒いのが出なくなるまで繰り返します。仕上げ用コンパウンドでも黒いのが出なくなったら全てのコンパウンド、潤滑剤など一旦綺麗に拭き取ります。

ここからグリスを塗って最終的にはめるのですが、前回はこのグリスの選択で失敗しました。用意したグリスは2種類で、ShinEtsuのシリコングリスのG30MとSUMIKOの二硫化モリブデン系のモリーペスト300です。

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シリコングリスは白くて柔らかく、モリブデン系は濃い灰色でもっと粘度があります。負荷がかかるところはモリブデン系がいいとのことなんですが、前回はこの円筒部分にシリコングリスを使ってしまいました。組み上げてから冬で粘度が高いはずなのに、かなり軽く回ることに驚いていました。どうもこのことが原因で、重い鏡筒を取り付けた時に負荷がかかり円筒部分が傾いて噛んでしまったようです。今回は最初からモリペーストの方にしたので、だいぶんましになりました。それでもまだ軽いので、もう少し粘度の高いグリスを手に入れる必要があるかもしれません。

いずれにせよ噛むようなことは今の所無くはなったので、しばらく様子をみようと思います。

さて、重い鏡筒と言っているのは久しぶりに出したBKP200のことで、ASI294MCと合わせて明るい電視の準備です。来週末に八ヶ岳に行くのでそれまでに一度くらいテストのために晴れて欲しいです。






 

週末晴れるかなと思っていたら結局雪みたいなので、諦めています。今週あったこととか、その他諸々を日記がわりに書いておきます。

縞ノイズ続報ですが、FlatAide Proを試させてもらいました。フリー版で制限なしで試せるのでありがたいです。結果としては、残念ながらカラー版COMSカメラではほとんど改善が見られませんでした。そもそもカラーでは難しいはずだと、オリジナルアイデアのあぷらなーとさんも言っているのと、あとASI294MCはクールピクセルよりホットピクセルの方が多いためかと思われます。

結局「縞ノイズ」の結論としては、
  1. ホットピクセルやクールピクセルの数が多いと、除去処理で同じことをする箇所が多くなってしまう。
  2. それが撮影した全枚数に同じ位置に同じ処理をしてしまうものだから、どうしてもコヒーレント(同相)の結果を残してしまう。
  3. それがガイドずれで、画面全体にどうしても残ってしまうコヒーレントな部分をずらしながら重ね合わせて縞や縮緬のようになってしまう
ということです。ならば、「なんとかして処理を枚数の途中で変えてやってコヒーレントにならないようにしてやればいいのでは」と思ったのですが、その具体的な手段を思いつくことができず、ここで断念です。とりあえず今回しし座トリプレットは縞ノイズが目立たないPixInsightのMinimumでIntegrateして、次はditherをかけて結局撮り直すのがリベンジといったところでしょうか。敗北感が拭い去れません。

ZWOのCMOSカメラだと今の手持ちのソフトではditherをするが大変そうなので、ditherをサポートしているというAPTを少し試そうと思っています。CMOSカメラの撮影の場合、ソフトは
  • 惑星: FireCapture
  • 電視: SharpCap
  • 短時間撮影: SharpCap+PHD2
  • 長時間撮影: APT+PHD2でdither
ということになりそうです。CMOSカメラではお気軽撮影を目指しているのに、だんだん複雑になってきてしまうので困りものです。


今週あったもう一つ大きなことは、Macbook Proに入れてあるBootCamp領域が壊れてしまったことです。起動不可になり、0xc0000225というコードを出します。調べていくとどうもSSDが原因のようで、Safe modeで立ち上げようとして失敗するみたいです。そういえばこの直前に、VMwareでWindowsを走らせながらPixInsightでMac側で処理していて、Mac側のSSDがいっぱいになってVMWareが停止するとかいうメッセージが出ているのを思い出しました。色々なページを見て直そうとしたのですが、BootCampでこれが起こると直すのは結構難しいみたいです。普通のWindowsだったら直るなずのことをしても全くダメでした。マスターブートレコードの書き直しとかしている最中に一旦Mac側も立ち上がらなくなって、さすがに焦ってきたので修復は諦めてBootCamp領域を消して、再インストールしました。幸いなことに、Mac側はなんとか立ち上がり、Windows側の領域を見ることはできているので、Windows側のバックアップを取り、無事に戻すことができました。それでもアプリなどはすべてインストールし直しです。


そういえばまた変なものが増殖しました。

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不思議です。増えることはあっても減ることはなかなかありません。

これで昼間も楽しめそうです。ジャンク格安品でしたが、エタロン部分は問題ないらしいので、格好の改造材料です。ファブリーペローキャビティーは比較的経験があるので、そこらへんがエタロンにどれくらい応用できるか楽しみです。でもとりあえず昼間に晴れてくれないとどうしようも無いのですが、残念ながら週末は土曜も日曜も雪の予報です。




 

縞ノイズの考察の続きです。と言ってもほとんど成果なしです。

せっかくのASI294MCを撮影にも使えるのかどうかを判断するためには、縞ノイズ問題を解消しなければどうしようもありません。解決する手段さえあれば、気軽な撮影にも使えると目論んでいます。何れにせよ電視観望には十分(その1その2)なのですでに当初の ASI294MCの目的は十分に達していて、さらにあわよくば撮影もという贅沢な目標です。

具体的には、せっかく長時間撮影をしたしし座の三つ子銀河の画像を有効活用するために「縞ノイズ(斜めノイズ、縮緬ノイズ)」をなくすことですが、今回は少し絞って、
ということを探ることにしたいと思います。

試したことは、
  1. ホットピクセルのみの除去とクールピクセルのみの除去の比較。
  2. ダークフレームの効果。
  3. フラットフレームの効果。
  4. ダークフレームを使っての残っているホットピクセルとクールピクセルのさらなる除去。
  5. Maximum、Minimum、Medianの違いの確認。
などです。他にも色々試していますが、かろうじて意味があることがあることだけ挙げておきます。


1. ホットピクセルのみの除去とクールピクセルのみの除去の比較

1枚のRAW画像を、オートでホットピクセルのみ、もしくはクールピクセルのみ除去して、どちらが効いているかを試しました。結果は前回のあぷらなーとさんのコメントでの推測どおり、ホットピクセルの方が圧倒的に多くて、かなりの部分が除去されているのが確認できたので、一応除去ルーチンはそこそこうまく働いていることがわかりました。一方クールで除去が確認できたのはごく僅かでした。

問題はホットピクセル除去でもクールピクセル除去でも、いずれも除去できないものがまだ結構あることです。これが前回みたMaximumで残った起点に相当するものかと思われます。まずはこの除去を目指します。


2. ダークフレームの効果

1のPixInsightでオートでホット/クールピクセル除去に加えて、ダークフレームのみを使ってホット/クールピクセルがどれくらい変わるか見てみました。結果はほとんど効果なしです。理由はリアルタイム処理をしてみるとわかりました。オートで取れる数の方が多いからで、ダークフレームを使っても除去できる数はそれほど増えないからです。これはパラメータをいじって調整すればうまく残りのダメージピクセルも除去できるのではということを示唆しています。


3. フラットフレームの効果

2の処理に加えて、フラットフレームとフラットバイアスの処理を加えました。意外なことに残ってしまう起点の除去には、このフラットフレームの補正の効果が大でした。フラットバイアスの効果はほとんど関係ないです。残っていた色から判断して恐らくホットピクセルと思われているものですが、ほとんど除去できました。この状態で、もともとバッチ処理でやっていた処理とほぼ近いものになるはずです。ここでやっと最初の疑問の、フラットも含めた前回のバッチ処理で最後だけMaximumでintegrateした時に、輝点が出てこない理由がわかりました。


4. ダークフレームを使っての残っているホットピクセルとクールピクセルのさらなる除去。

それでもまだ少し輝点が残っています。もう少しだけなんとかできないかと思い、2でやったダーク補正のパラメータをいじることにしました。

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下の白丸を押してリアルタイム表示で、オートで幾つ補正されるかを見ながら、それ以上に(今回やったのは3倍の数くらいで、ホットで0.1、クールで0.04くらいにしました)パラメータ調整で補正できる数を増やすことで、残っていた輝点もほぼ除去されることがわかりました。


5. Maximum、Minimum、Medianの違いの確認

上記の3、4ですでに一枚の画像で輝点をほぼほぼ除くことはできるようになったので、これで残った輝点が原因なのかどうかがやっと切り分けられそうです。この状態で撮影した枚数全てで重ね合わせてみました。その際、Integrationのパラメータをデフォルトの「Average」から「Maximum」「Minimum」「Median」にそれぞれ変えてみました。

Average: 最初にバッチ処理でやったものと基本的には同等です。

01_Average

ただ、バッチ処理の時と違い、撮影失敗に近い星像が崩れたものや、人工衛星が通った画像を省かずに全て処理したので、その影響で星像がとりあえず丸いのですがちょっと大きいのと、人工衛星の線が出てしまっています。縞ノイズはやはり盛大に現れます。この状態で画像処理を進めても背景の縞が残ってしまい、不自然に背景を暗くするしかなくなってしまうので、許容範囲を超えています。

でもこのことは意外でした。輝点が十分無くなれば、この状態でも縞ノイズは消えると思っていたのですが、見ている限り元の輝点がある状態とほとんど変わりません。これの示唆するとことは輝点そのものよりも、「輝点を処理する時に出た影響」が各画像にコヒーレントに残ってしまうということでしょうか。

ここで少し考えて、前回フラット補正なしの時に試したのですが、ホットもクールも全く処理をせずに輝点を全て残してIntegrateしたものを見てみました。

nocosmetic_calibration_integration

よくみると明るさの違うRGBの点がいっぱいあります。完全な輝点でなくても、コヒーレントに残る色々な明るさのノイズがあるということです。これらを処理した時の残りがコヒーレントに現れて縞ノイズとして残るということでしょうか。というと、これはホットピクセル除去に関係なく、明るさが違うというころからも、むしろDebayer処理のところに問題があるのではと考えられます。ここら辺もすでにあぷらなーとさんが指摘してくれています。さすがにこれは処理しきれなさそうなので、ここで今回の検証は成果なしという結論に至りました。


Maximum: これまでの検証と同じく、Averageよりも明らかに縞ノイズは少ないです。

02_Maximum_DBE

最大の明るさが出るので、星像がAverageの時よりもブレるのと、人工衛星の線が一本濃く走ってしまっています。残った輝点もはっきり出てしまっています。一つ疑問なのは、右側のアンプノイズがなぜかAverageよりも小さいことです。これはなぜだかよくわかりません。少しだけ残っている輝点は出ているのでMaximum自体の処理はされていると思うのですが。


Minimum: 今回これが一番良かったです。

03_Minimum_DBE

縞ノイズはMaximumと同程度に除去されていて、画像処理をしてもそこそこ耐えうるレベルです。変な星像の乱れもありませんし、星も変に大きくなったりしていません。。ただ一点気になったことが、不必要に暗い(おそらくクールピクセルの残り)があると、そこだけガイドのズレのぶんだけ別の縞ノイズのように目立ってしまいます。でもまあ許容範囲でしょうか。


Median: 最初Mediumと勘違いしていて、Averageと似ているけど何か違いが出るかと期待したのですが、実はMedianでした。

04_Median_DBE

Medianはより飛び抜けたところを省いて重ね合わせるものということなので、人工衛星の軌跡などは取り除かれました。その代わりにノイズを少し犠牲にするそうですが、見た目ではよくわかりませんでした。いずれにせよ、縞ノイズに関してはAverageとほとんど同じで、効果はありません。



うーん、厳しいです。このままMinimumでいっても、今回に限っては画像処理に影響ないくらいにはなっているのでもうこれでも十分な気もします。それでも次はFlatAide Proでカラーカメラでうまく縞ノイズが除去できるかもう少しだけ試してみたいと思います。(2018/2/17追記: 試しましたが、やはりほとんど効果はありませんでした。モノクロでいつか試すことにしたいと思います。)


それにしてもPixInsightの操作方法にもだいぶん慣れて来ました。今回はフラットの補正がステライメージに比べて操作できる箇所が何もないのが少し気になりました。そのためか、まだ右側上部の大きなアンプノイズがフラット補正で取りきれなくて残ってしまっています。それでも他に色々いじれるパラメータがあるのはさすがです。昨日からまた雪が降り続いています。しばらくは天気は期待できなさそうなのでまた画像処理と機器の整備くらいになりそうです。


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