ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年10月

ものすごく澄んだ空で月が綺麗なので赤道儀をセットして、途中で一旦目を離したすきに、妻が車をぶつけてしまい、Advanced VXが赤径軸の極軸シャフトから折れてしまい、外れるはずのない赤緯部分が分離してしまいました。幸いにも怪我などはなかったのですが、赤道儀は真っ二つです。多分一番硬い軸の部分なので、自分で修理というわけにもいかなさそうです。販売元に問い合わせてみますが、さすがに修理も厳しそうな気がします。鏡筒をつける前だったので、赤道儀だけで済んだのがせめてもの救いです。

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このAdvanced VX、精度がないとか悪くいう人もいるのですが、実は私は結構気に入っています。
  • 値段の割に圧倒的に頑丈なのです。鏡筒をつけて手で揺らしてみるとわかりますが、揺れは倍以上する値段の赤道儀に比べても悪いどころか、むしろ揺れにくかったりします。
  • ピリオディックモーションは大したことないですが、それでもそこまでひどくはなく、ガイドさえしてしまえば撮影に関しても精度的な問題はほとんど露呈しません。
  • 自動導入がまともに使えるのもいいです。きちんと初期導入さえしてやれば精度に全く不満はありません。コントローラーはSTARBOOKとかと比べると貧弱に見えるかもしれませんが、逆にシンプルなのが必要十分でいいです。
  • 世界的に見たらシェアはトップクラスのはずなので、PCとつなげた場合などに様々なソフトが必ず対応しているところもいいです。シェアが大きいということは数が出ているので、最高級というわけには絶対いかないですが、コスト的なパフォーマンスはかなりいいと思われます。
  • Celestronの中でも上位機種が沢山あるので、入門者用と言われたりもしますが、そのぶん重くなく、セットアップや持ち運びが楽です。まともに使える自動導入付きの赤道儀としては最軽量の部類に入るのではないでしょうか。
自動導入がついてこの手軽さでこの剛性なので、値段に対するパフォーマンスがむちゃくちゃいいです。

今日はとりあえずショックで、せっかく澄み渡った空なのに何も見る気になれません。赤道儀はどのみち必要なので、修理で済むものなのか、次のものを探すか...。次のを探すにしても、気に入っているので同じものにするのか、それともある意味いい機会なので他の機種を探すか...。


 その2に続く。

2917年10月27日、月面Xが出るとのことで、雲間の晴れの時を狙って月を撮影しました。上弦の月の前日で、ほぼ半月に近いです。

といっても元々月を撮影するのが目的だったわけではなく、次の日の立山での観望会に備えて、電視観望の機器のチェックが第一目的で、あ、そういえば月面Xだったと思い出しとっただけです。なので架台は赤導儀ですらなく、経緯台のNexsterでした。まあ、露出時間が短いのと、後でスタックするので赤導儀である必要もないのですが。

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富山県富山市 2017/10/27 19:21
FS-60CB + ZWO ASI178MC + Nexster経緯台
Shutter 5ms, 21fps, gain 120, 900/1000 frames


肝心の月面Xはというと、きちんと写っているようです。月面Vも写っています。それぞれ左下と右上です。

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なんでも月面Vのすぐ横にウサギさんがいるとか、いないとか。

現在電視観望には主にタカハシのFS-60QとiOptronの80mmを使っていますが、入門記事の中で言及していた比較的入手しやすく、安価なCelestron製のTravel Scope 70が使えないか試してみました。

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もともと電視観望は最初の頃は口径の大きなものを使っていたのですが、使っているCMOSカメラASI224MCのセンサーサーズが小さいため、焦点距離の短いFS-60Qのエクステンダーを外したFS-60CB状態の、焦点距離355mmで使っていました。それでも焦点距離が長い時もあるので、さらに0.5倍のレデューサを使ったりもしています。ただ、解像度の出ない電視観望にFS-60はちょっと贅沢なので、安価なiOptronの口径80mmを電視専用にと胎内星まつりで買ったのですが、ちょっと入手しにくいこともあり、より安価で入手しやすいCelestoronのTravel Scopeを試して見ました。私は胎内星まつりでシュミットさんでジャンクで鏡筒のみで購入したものですが、普通に天体ショップはおろか、普通にアマゾン楽天ビッグカメラなどでバッグまでついて一式で一万数千円で購入することができます。

感想は一言で言うと、やはり安価なのでそれなりのスペックだが、電視に限ってしまえばまあ使えないこともないと言ったところでしょうか。

まず一番困ったことは、ピント調節ネジの反転で像が大きくずれることです。ピント固定ネジがあって、それを占めると多少マシなのですが、それでも結構ずれます。まあ、プラスチックなので仕方ないでしょう。こんな時はピント調節ネジの裏の4つのネジを外して、接眼部を抜いてしまい、鏡筒の内側の接眼部が当たるところにテープなどで厚みをつけて径を小さくしてしまえば安定になります。と思って分解してみたら、3本あるプラスチックの細長い板の2本にすでにテープが付いていました。ジャンクで買ったので、誰かがつけたのか、最初からついていたのかはわかりませんが、同じようなことをやっている人もいるので方向性には間違いがないようです。

ところがやっていて気づいたのですが、接眼部を固定するネジのすぐ上に小さな穴が二つあって、その中にイモネジが入っています。このイモネジを小さな六角レンチで締めることで内側に入っている3本の板を外側から抑えることができ、接眼部が当たる径を調節できます。ジャンクで買ったのでマニュアルがないためわからなかったのかと思い、英語版のマニュアルをダウンロードして読んで見たのですが、そのような記述はないので、工場出荷時の調整以降あまり調整されることは想定されていないのかもしれません。いずれにせよテープ案は却下で、このネジ2本を調整することでガタはかなりなくなりました。

さて、実際にに導入してASI224MCでいつものようにM57を最初に見てみました。まず気づいた点が、なぜか色が乏しいのです。写真で比較します。

  • iOptron
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  • Travel Scope 70
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ぱっと見の印象がそうだったのですが、改めて比較しても明らかに段階的に変わる惑星状星雲の色が貧弱に見えます。色々試していてわかったのは、Travel Scopeの方が色収差が大きいのではないかということです。そもそも短焦点なので色収差が出やすいのですが、さらにセンサーで強度に拡大しているので、どうしても精細さにかけてしまう映像になります。

  • 参考に、昨年撮ったFS-60CBのものも載せておきます。
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場所も時間も違うので一概に比較できませんが、やはり色収差に気を使った鏡筒だと電視においても違いが出てくるようです。それでもSharpCapでの調整をきちんとすることで、楽しめる範囲なのだと思います。他には特に不自由なところは何もありませんでした。値段から考えたら十分及第点ではないでしょうか。

簡単なテストなので、今回はこんなところですが、色収差に目をつぶればTravel Scope 70でも十分電視観望を楽しむことはできそうです。もう少し広角な天体なら相対的にさらに色収差も気にならなくなるでしょう。比較的気楽に買うことのできる鏡筒なので、思い切って電視専用としてしまうのもいいかもしれません。




明日から立山の観望会に行きます。その際車は乗り入れることができないので、荷物は基本手持ちになります。過去2回、電視用に自動導入を使いたくてAdvanced VXを持っていったのですが、階段などもあるため、さすがに手で運ぶには重すぎます。

Nexsterの架台を買ってからはずいぶん軽くなったのですが、三脚部分が結構長くてスーツケースに入れることができないことがわかりました。三脚をじっくり見ていると、真ん中のプレートは下側の三脚の部分とは一つのネジで固定され、上側は3つのネジで経緯台と固定されているだけで、真ん中プレートの中心穴はほとんど何も使われていないことに気づきました。

この穴を改造して、軽くて安定なこの間システマティック化したGitzoのバサルト三脚をこれに取り付けることができないか考えました。Gitzo側のトッププレートは3/8インチのネジなので、先の真ん中プレートに3/8のタップを切ります。元から空いている穴の精度が悪いのか、少しだけ斜めになってしまいましたが、無事にGitzo三脚にNexsterの可動部分が付きました。さらに軽量コンパクトになったので、また稼働率が上がりそうです。

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取り付けてから、揺すったりしてみたのですが、さすがGitzoです。ほとんどピクッとも動きません。性能的には十分そうです。

明日の本番でぶっつけで使うのは少し怖いので、今晩早速テストしてみようと思います。


赤道儀の遠隔操作のためにStick PCを使うことがあります。Stick PCはモニターを持っていないので、いずれにせよなんらかの遠隔の画面表示が必要になります。特に、冬場の遠征ではとてつもなく寒いので、暖かい車の中から遠隔操作するというスタイルを一度経験すると、ずっと外で待っているというスタイルには戻ることができません。

そのための接続としてこれまで、
  1. Stick PCの無線LANを無理やりルーター化する
  2. 超小型の安価な簡易ルーターを使ってみる
  3. BUFFALO製のポータブル無線LANルーターで接続する
と試してきました。1.はUSB3.0カメラの雑音で接続が不安定になり、5GHzに逃げようとするもできないことがわかり断念。2.は付属ソフトがこなれていなくてバグだらけで設定が大変なのと、Windowsが動いているPCのUSBに挿さなければならず、USBポートを無駄に使用してしまうのでイマイチ使用頻度が下がってお蔵入り。3.は接続がどうも安定でなく、時々Remote Desktopでの接続が切れてしまうのが悩みでした。

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ELECOM製は変な切断はないと聞いていたので、ちょと前に5GHzのポータブルの無線LANルーターWRH-583GN2-Sを購入してみました。色をグリーンにしたのは単に安かったからです。ブラックはなぜか倍近くの値段がしました。パッと使ってみた限りでは変な切断などはなさそうです。

実際にテストして良かったと思ったのは、BUFFALO製に比べてはるかに高機能で、普通の家庭用無線LANルーター程度のことができてしまいます。例えば
  • SSIDの名前の変更
  • パスワードの変更
  • 管理者の名前の変更
  • LAN側のIPアドレスの範囲を任意に変更することができる
など結構基本的なことが普通にできます。BUFFALO製はこれらのことがことごとくできなくて、本当に簡易使用を前提としているようで不満だったのですが、ここら辺のことが見事に解決されました。特に、
  • MACアドレスを見てDHCPの割り当てIPアドレスを固定できる
のが便利で、やっとこれでその場でIPをDHCPの範囲内でやみくもに打って、Remote DesktopでStick PCを探し出す必要がなくなりました。

逆にできると思っていたのにできなかったことが、
  • 無線でWAN側につないで、LAN側からもインターネットに接続する
という、BUFFALOではできていたことができません。WAN側は有線使用が前提みたいです。これは結構痛くて、遠征時にiPhoneのテザリングなどで外につなぐことができなくなります。遠隔地では基本Stick PCに接続できればいいだけなので、外につなぐ場合は操作する側のPCを直接テザリングでiPhoneにつないでしまえば問題ないので、ほとんど大丈夫なのですが、Stick PCにアプリを入れたい時だけは困ってしまいます。それでも遠征するような光害がないところは、携帯の電波も貧弱なので同じかもしれません。まあ、痛し痒しです。

こういったことは買ってみて自分で試さないと、事前に調べただけだとなかなかわからないんですよね。それでもELECOMの方は、実際に使うときのために事前に柔軟に設定できるので、使用時に無駄な時間を取ることなく、何より安定性は優れていそうなので、すぐに実践投入できそうです。アマゾンのレビューで熱暴走の心配が報告されていましたが、これはBUFFALO製も同じような評価でした。夏場は外に出て星を見ていた方が楽しいのでそれほど遠隔操作で使う機会がなく、むしろ冬場の使用が多いのでそれほど問題ないと思います。


電視観望の入門記事実践編を書いてきましたが、今回はちょっと毛色を変えて、電視観望の魅力ということについて書いてみたいと思います。

元々電視観望を始めた動機は、まだ星を始めたばかりの頃に個人的な観望会で、きてくれた方に星雲を見せた時の反応でした。私は星雲が望遠鏡でおぼろげながら見えていることがすごいと思っていたのですが、見た人はほとんど一様に、かなり拍子抜けというか、がっかりした様子なのです。それでも私もその気持ちは理解できました。星雲といっても写真で見るような色も何もなく、文字どおり雲のようにモヤっとしているだけなのです。そこで、昨年の星まつりにドブソニアン使いの方たちに、片っ端からアイピースで見て星雲に色がつくことはありますか?と尋ねてみました。答えは、感度のいい子供なら薄く色がついて見えるかもしれないとのことでしたが、やはり私には大口径のドブソニアンで見てもどうしても色がついているようには見えませんでした。

そんな折に、胎内の星まつりでSONYのα7Sで、その場でうっすら赤く色がついている画面をLive viewで見せている方がいました。その方と夜遅くまで話し込んで、電視観望という言葉で進めていこうとか、色々アイデアをいただいたのですが、残念ながら私には高価なα7Sを購入する余裕はありませんでした。それでもなんとかこのアイデアを活かせないかと、自宅に帰ってから色々考えて、ひょっとしたら惑星撮影用に買ったASI224MCが使えるのではないかと、20cmの反射で始めたのですが、思いの外うまくいったのがきっかけです。

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一番最初に自宅の庭でASI224MCで電視を始めた時の写真です。
最初は惑星の応用でFireCaptureを使っていました。 


昨年の夏は晴れていればほぼ毎日外に出て電視観望を試していました。今の技術はその頃にだいたい確立したのですが、なぜこれだけ続いたかというと、とにかく楽しいのです。観望会とか、人に見せるとかを全く考えなくて、とにかく一人で電視で見ているだけで楽しいのです。それもそのはずです。まだ星を本当に始めたばかりで、カメラ撮影の技術も画像処理の技術も全くない初心者が、次々と星雲とかを見ることができるのですから、楽しくないはずがありません。

色々やっていると、電視が微妙なバランスの上に成り立っていることがわかってきました。CMOSカメラのセンサーサイズが小さいので、長い焦点距離が取れないこと。焦点距離が取れないので鏡筒は短くて済み、意外に小さな口径で十分で、それでもF値を小さくできること。SNR1sに代表するようにカメラのセンサーの感度に強度に依存すること。自動導入とものすごく相性がいいことなどです。

電視観望を始めて見てみると、たいていの方はびっくりします。初心者の方はそもそも星雲を見たことがある人の方が少ないので、その場で星雲が見えることにまずびっくりします。面白いのは、ベテランの方の「今の技術はこんなに進んでいるのか、昔夢のようだと思っていたことが現実にできる時代になったんだ」というような感想です。このようなライブビューが難しいということを実際に知っている方の意見です。私は星の世界では初心者なのですが、ベテランの方達にこのように言っていただけると、なんだか少しだけですが認められたみたいで本当に嬉しく思います。

その一方、否定的な意見も少数ですがあることも聞いています。

一番代表的なものが「望遠鏡はアイピースで見るべきだ。モニターなんかで見せたらダメだ。」というような意見です。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。シャープさでは電視は眼視に全く勝つことができません。一方、カメラで長時間撮影をして画像処理をキチンとした写真のクオリティーにも、電視は全く勝つことができません。電視はちょうど眼視と写真の間のような技術かと思っています。クオリティーはそこそこだが、人間の目には見えないような星雲の色などが、その場ですぐに見えるということです。なので、観望会での手段の一つとして電視が広まってくれればいいなあと思うわけです。

もう一つ、モニターの明るさが暗順応の妨げになるという意見を最近聞きました。確かにその通りですが、観望会は安全のために、意外に明るい場所で行われることも多いので、それほど邪魔にはならないはずです。どうしてもという場合は少し場所を離れたところで試すなどで、うまく運用する方法を探す道もあるのかと思います。

それよりも観望会に来ている方たち、特に理科離れが叫ばれている現在、将来を担う天文っ子に、こんな綺麗な天体が宇宙には隠れていると、その場で実感していただくことがものすごく大事なのかと思っています。

基本的には電視に対しては概ね好意的な方が多いのですが、それでも話だけを聞いて否定する方、あまり関心のない方もいます。ですが、意外なことに実際に見ていただくと、こんなに凄かったのかとものすごく興味を持ってくれる方もいらっしゃいます。やはり百聞は一見にしかずで、それだけのインパクトが今の電視にはあるのではと思います。

電視観望のいいところを挙げて見たいと思います。

  • 星雲にその場で色がつく。
  • 一つの画面を共有して多人数で見ることができる。
  • 次に何が見たいとか、意見が出だして、みんなでものすごく盛り上がる。
  • 大人数の観望会でも一つのアイピースに並ばなくていいので、人数をさばくことができる。
  • 面白かった意見が、老眼対策です。私も少し出始めているのですが、老眼がひどくなってくるとアイピースで見るのさえ辛くなってくるそうです。そんな場合にも目に負担をかけずに見ることができるそうです。

ついでに今考えている欠点も書いておきます。

  • 解像度、シャープさ、彩度などはまだ不十分。機器の進歩がいずれ解決してくれると思います。
  • センサーサイズが小さいので、広角で画面に星いっぱいちりばめるような画面は難しいです。最近出たASI294MCに期待しています。
  • 計算機を必要とするので、荷物が増える。Revolution Imagerのような専用機を使うという手があります。
3回にわたって電視の入門記事を書いてきましたが、電視観望の楽しさが伝わって観望会などで広まってくれると嬉しいです。


もっと詳しい話はブログ上部の「特集記事」のメニューの中の「電視観望」からも行けますが、
  1. 出会い
  2. 高感度CCDでの試み
  3. 機材1 - CCD
  4. 機材2 - レンズ
  5. 電視用ソフトの紹介 - SharpCap
  6. 観測例1 - 口径60mmでのテスト
  7. 観測例2 - 牛岳
  8. 観測例3 - 牛岳
  9. 電視メシエマラソン準備
  10. 電視メシエマラソン練習
  11. 2台目のCCD
  12. 電視観望システム 
  13. 軽量化と安価な電視システムの模索
 に色々書いています。長いですが、もし興味がある方はお読みください。
 

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