ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年09月

今年はあまりに天気が悪く、天気がいいときに限って月が明るいので、先月の月の時期にとうとうあきらめて月の撮影をはじめました。思ったより面白くて、途中拡大撮影にも挑戦したのですが、困ったことが起きました。その時撮れたクレーターの名前を調べるのに、エライ苦労をしたのです。

そんな話をFacebookでしていたら、以前ドームを見せてもらった小松のOさんが普段使いで勉強している本ということで紹介してくれたのが地人書館のA. ルークル 著 / 山田 卓 訳「月面ウォッチング」です。

この本は大判の科学書の類に入る本で値段も定価6000円とそこそこします。私は古本で旧版の方を手に入れたのですが、それでも定価ほどではないにしろ結構な値段でした。新版の方ももう絶版のようで中古のみあって、こちらはもう少し高かったです。 
  • 中身は最初の15ページほどに、月の特徴を簡潔に必要十分に書いてあり、ページ数も少ないので、すぐに読むことができます。 
  • 次の10ピージほどを使って、全体の写真と、地形の大まかな特徴などを書いています。
  • そのあとの160ページほどがこの本のメインで、月を76に分割して、240万分の一の詳細な手書きの絵で地形が描かれていて、分かり得るクレーターなどの地形に名前が書いてあって、その名前の由来が書いてあります。
  • 名前にはカタカナもふってあるので、日本語で表記するときの基準になるでしょう。
  • 一枚一枚の絵に縮尺が載っているので実感としてクレーターの大きさが分かります。
  • 160ページのうちの最後の10ページは秤動(ひょうどう)で見え隠れする部分を描いています。月はいつも同じ面を向けていると思いがちですが、多少左右に動いていて、その動きを秤動といいます。地球からはトータルで月面の59%の面が見えていて、41%が常に見えている面、18%が秤動で見え隠れする部分ということです。
  • 最後の「月50景」という写真ページや、観測のしかたなどの解説もあり、ここも簡潔で読みやすいです。
  • この本には命名方の解説も少し書いてあります。大元は1645年のラングレヌスの月面図だそうですが、現在の命名方の基礎は1651年のリッチョーリの月面図だそうです。クレーターについては功績のあった学者の名前をつけるという方法で統一し、月面の北から南に向かって歴史的な順序で配置されているそうです。実際に命名は長く複雑な歴史を繰り返しているので、簡単ではないようですが、この本(旧版)の発行された1996年で6233のクレーターに命名され、そのうち807が名前を持っているそうです。残りの5426は近くのクレーターの名前に文字をつけることで表現しているそうです。
  • 定価は旧版6000円、新刊4800円で新刊の方が値下げしたようです。原書は1989年初版で、翻訳に際し1992年を英語版を元に、日本語版を出した際に一部改訂をしているとのことでした。日本語版の旧版の方は1997年8月5日初版発行で、1996年の命名まで入っているようですが、新刊の方はもう少し新しいデータまで入っているのだと思います。
  • 訳者の山田卓氏は名古屋市科学館に勤務されていた方で、2004年に亡くなられているようです。サンフランシスコの書店で初めて原著を手にとったときの話、原作者とのやりとりのことなども書かれて、読んでいて訳者の思いが伝わってきます。謝辞の中にはこの間お会いした名古屋市科学館の職員さんの名前もありました。


せっかくなので、試しに以前撮影したアペニン山脈周りで、本を見ながら名前を振ってみました。この写真だけでも図5、6、11、12、13、14、20、21、22、23、24、25、31、32、33、34、35と見なくてはならず結構大変でしたが、時間を忘れてのめりこんでしまいました。

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この写真の中だけでも教科書に出てくるような科学者の名前が目白押しです。図と、撮った写真とを比較してみるとかなり面白いです。かなり小さなクレーターまで名前がついていて、他にも何か大きなクレータの名前+アルファベットで表しているクレーターもあるのですが、それらは今回省きました。クレーターが黄色、山や谷がオレンジ、平地が緑です。
  • 例えばコーカサス山脈の上の方のカリッポスの下にカリッポス谷というのが絵には載っているのですが、写真では判別できませんでした。
  • また、アリスティルスの右側にテアエテトス谷というのがあるはずなのですが、こちらも写真では判別できません。
  • 左上のヒガツィー尾根の上にあるはずのシュティレ尾根、右にあるはずのグレボーボー尾根は暗すぎて見えていません。
  • 腐敗の海の上の部分にスパーという溶岩に満たされた直径13Kmのクレーターの跡があるはずなのですが、やはり明確には確認できません。(追記: なんとか場所が特定できました。かなり薄いですが一応名前を書いておきました。)
  • アルキメデス谷も一応書いておきましたがはっきりしません。一方すぐ下の横に走っているブラッドリー谷は綺麗に見えます。
  • 左上のティモカリスの下の、直径7.4kmのハインリヒと7.5kmマクミランはなんとか見えますが、その間にあるはずの2kmのプーピンは見えません。
  • 信頼の入江の奥にあるコノン谷も全く見えません。
  • 右上ビュルグ横のビュルグ谷、その下のダニエル谷も見えません。
  • 真ん中少し右にある小さなガスト尾根とホーンスビーの間にクリシュナという直径2.8kmのクレータがあるはずなのですが、全く分かりません。そこに続くオーエン尾根も不明です。
  • 一番下のマーチスンは周囲が崩壊してはっきりしない直径58kmのクレーターとのことですが、結構見えます。
こうやってみると、谷は写真には写りにくく、クレーターは5kmより小さくなるとほとんど写っていなことがわかります。見えていないものはもう少し拡大撮影を試みて、いつかリベンジしたいです。結構月は面白いです。



月の名前はWeb場でも詳しく記しているページがあります。このページの名前もほとんどこの本の日本語表記と一致します。このページは新たに追加されたクレーターや除外されたものも更新しているので、合わせて参考にするといいのでしょう。

 

台風一過の2017/9/18、透明度に期待して撮影を始めました。次の日仕事なので、遠出はせずに自宅での撮影です。途中までは良かったのですが、結局雲が出て来てあえなく断念。撮影時間は2分x12枚のわずか24分。そのため頑張って処理をしてもさすがにこれくらいが限界です。


「網状星雲」

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富山県富山市, 2017年9月18日20時34分
FS-60Q + Advanced VX赤道儀
EOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出2分x12枚 総露出24分
f50mm+ASI224MC +PHD2による自動ガイド
Steller Image 8、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理


輝度の高いところは出ていますが、淡いところはほとんど出ていません。またノイジーなのも否めません。

先日の北アメリカ星雲はFS-60CBにフラットナーをつけてf=370mmの広角で撮ったのですが、どうしても周辺が流れてしまいました。そのため今回はFS-60Qに戻してf=600mmの多少狭い範囲で撮影しているのですが、やはり周辺は流れません。やはりFS-60Qにするためのエクステンダーの性能がいいのでしょう。実質3枚玉になるようなものです。この結果は「デジタル点写真のための天体望遠鏡ガイド」のスポットダイヤグラムで見比べたとおりなのかと思います。

でも網状星雲は全体像を見るためにも、もう少し広角で撮りたいというのもまた事実です。FacebookでHUQさんからモザイクを勧められました。もう少しいろんなものを撮ってからと思っていますが、少しモザイクにも手を出したくなってきました。

さすがに今回の写真は撮影時間が足りていないので、そのうちにリベンジしたいと思います。
 

先日撮った北アメリカ星雲が、なんと天文リフレクションズ今日の一枚に選ばれました!

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日々の天文趣味を日記がてらブログに書き始めたのが元で、最近はFacebookやtwitterにも投稿したりしています。Facebookのグループの一つに天文リフレクションズのギャラリーという投稿先があったので、今回そこに投稿したのがきっかけです。

天文リフレクションズは天文ガイド、星ナビに次ぐ第3の天文メディアと呼び声も高く、このブログも紹介されていますし、私も普段から情報源として活用させていただいています。

雑誌とかへの投稿はまだしたことがないので、実質これが初めての何かへの採用ということになります。撮影時間も短く、まだまだ不満なところもあったのですが、それでも選ばれるということはとても嬉しいものです。 

しばらく節約していたのですが、最近また物を増やし始めています。

今回購入したものは、ずっと懸案事項だったGitzo GT3840Cのシステマティック化に必要な、D801.20という三脚のトップです。トップのエレベーターがどうしても弱いことがわかっていたので、これでSWATでの撮影もかなり揺れが少なくなるはずです。フラットプレートは以前三脚と一緒に買ったものをつけています。ちょっと心配でしたが、サイズもぴったりでした。取り付け部のデザインも秀逸です。締め付けるネジにつまみがついていて、道具なしでもプレートブを取り替えられるようになっています。

Gitzoのスペアページはすごくよく整備されていて、細かいオプションも海外からでも簡単に発注できます。日本円でいくらかもすぐに確定するので便利です。Paypalでの支払いでしたが、何の問題もなかったです。送付にFedexのオプションがあったので、2千円程度追加してこれを選びました。追跡ができることと、多分早く来るのでしょう。実際に発注してから3日後には手元に届いていました。素晴らしいスピードです。

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実際に付け替えて見た写真が上です。左側に残っているのが、これまで付いていたエレベーターになります。トップの付け替えで相当頑丈になった感じです。

SWATでの撮影をもう少し充実させようと思っています。当面の残っている課題は
  • 極軸調整の手軽な方法
  • 赤緯方向の2軸目の制御
でしょうか。 

ついに念願の自宅ギャラリーができました。といっても家の奥の方の、トイレの隣の寝室手前の廊下です。誰かお客さんが来たときに、トイレに行くついでに気づいてもらえると嬉しいです。

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最近富山市天文台で行われた県天の写真展のために提出していた4枚の写真と額がやっと返ってきました。この写真は天文台での写真展の後、富山市ガラス美術館、黒部市科学館イオンモール砺波店などでも展示されました。まだまだ満足のいくものからは程遠いので、恥ずかしいこともあるのですが、それでもこの趣味を続けていく上でとても大きな励みになりました。

昔買ったピクチャーレールを頑張って廊下の上の方に取り付けて、ピクチャーワイヤーで吊るしたので、結構というか、思った以上に様(さま)になっています。この4枚をとりあえず自宅ギャラリーに飾ってみたわけですが、こうやって飾ると写真の出来以上にかっこよく見えてしまいます。やっとできた自分のスペースですが、早速妻が自分のものも飾りたいと言い出しました。でもこの場所は死守するつもりです。
 
スペースは限られているので、写真は時々入れ替えて楽しみます。またキタムラに行って印刷してこようっと。 


「真脇遺跡」
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  • 撮影日: 2021年2月13日5時39分
  • 撮影場所: 石川県能登町
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO6400、露光時間20秒 
  • 画像処理: Lightroom、Photosop、PixInsight


「ペルセウス座流星群2020」
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  • 撮影日: 2020年8月30日0時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsightでABE 


「夏の天の川2020」
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  • 撮影日: 2020年8月14日23時38分-23時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒x6枚=180秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsight

「北の天の川」
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  • 撮影日: 2020年8月14日22時41分-22時46分
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒x10枚=300秒 


「蛍と天の川」

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  • 富山県射水市, 2020年6月9日22時3分から22時36分
  • Canon EOS 60D(ISO3200), 露出20秒
  • Samyang 14mm F2.8
  • ホタル: 露出20秒 x 84枚をPixInsightで比較明合成
  • 星: 4枚をPixInsightとPhotoshopで処理



「田んぼに映る天の川」

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  • 撮影地: 富山県富山市, 2020年5月14日0時36分
  • EOS 6D(HKIR改造, ISO6400, RAW), 露出30秒、固定撮影
  • SAMYANG 14mm, F2.8  ED AS IF UMC
  • PhotoShop CC等で画像処理 



「薄明時の天の川」
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撮影地: 富山県富山市上大久保, 2019年3月17日5時7分
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, JPG), 露出15秒、固定撮影
SAMYANG 14mm, F4/2.8  IF ED UMC
Lightroom、PhotoShop CCで画像処理 


「ホテル立山で見た天の川」


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「夏の天の川と天体ドーム」

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「夏の天の川 in 牛岳」

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2016/8/10 23:08 富山県富山市牛岳
EOS X7, 18mm, F3.5, ISO12800, 20秒固定撮影
3枚をDPP4、GIMP2.9で加工、合成




 「雪の立山にかかる天の川とこと座流星群」

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撮影地: 富山県立山室堂, 2017年4月24日2時52分
EOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出30秒、固定撮影
SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSMを10mmで使用
Photoshop CC + Nik collectionで画像処理




「流れる星空」 

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撮影地: 富山県立山室堂, 2017年4月24日2時6分から4時13分
キヤノンEOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出30秒、固定撮影
SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSMを10mmで使用
JPEG無加工217枚をSiriusCompで比較明合成




「大気光」

 

富山県立山室堂, 2017年4月24日2時6分から4時13分
EOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出30秒、固定撮影
SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSMを10mmで使用
JPEG217枚を画像をPhotoshop+Nik collectionで加工後SiriusCompでタイムラプス化 


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