ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年07月

名古屋の実家に用事があったので、週末7月21日の金曜日、仕事が終わってから娘のNatsuと二人で車で富山から移動しました。移動の途中数河高原の飛騨コスモス天文台に立ち寄りました。薄雲が出ていたのですが、ところどころ星が見えているのでWideBino28で星見をし、少し晴れている間にドームと一緒に天の川を写しました。JPEG撮って出しに、Macのプレビューで少しだけ画像処理をしたものですが、天の川も十分見えています。

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途中ISSが綺麗に見えました。20時18分で、マイナス1.4等星だったそうです。

結局2時間ほどいたのですが、途中真っ暗闇なので娘がクマが怖いと言い出し、最近始めたギターを弾き始めました。私も一緒に歌いながら天気が良くなるのを待っていたのですが、だんだん雲が多くなり、22時頃には諦めて名古屋に向かいました。

今回の用事の一つは、CANPで知り合った紅一点のYさんのお誘いで、次の土曜日朝早くから名古屋市科学館に見学に行きました。

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科学館公認の天文クラブのメンバーと一緒に回ったので、メンバーのロケット関係の方の外の展示ロケット説明などとても充実していました。荷物は周期表のロッカーに入れます。

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すでにニホニウム(Nh)がありました。私はノーベリウム(No)を選びました。

朝早く行ったせいかフーコー振り子のスタートするところを見ることができました。ここのフーコー振り子は外部エネルギーなしで、2時間に一回ほど振り直すそうです。生の振り子を実演したいからだそうです。

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外のH-ⅡBロケット見学は暑かったですが、さすが開発に関わった方の話でとても面白いです。そもそそも外にあるロケットはパカっと二つに別れるための実験で使ったものだそうで、色々開発時の面白い話を聞くことができました。

プラネタリウムは名古屋科学館名物の生解説です。照明を一番暗くしての星の投影は、まるで山奥の光害のないところでの星空みたいで、とても迫力があります。プラネタリウムでは私は昔からこれが一番好きで、ある意味都会で唯一見える満天の星空です。今回はプラネタリウム内にWideBino28を持ち込みました。初めての試みでしたが、思ったより面白いです。ほんとの空みたいに星が増えます。実際にはコントラストが上がって増えて見えるわけではなく、拡大されるのと、裸眼もしくはあっていないメガネよりピントが合わせられるからなのですが、それでも星座観察もできるしアンドロメダ銀河なども見えて面白いです。

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プラネタリウムが終わってから生解説してくれた学芸員さんが天文関連の展示物の解説もしてくれました。5階フロアの天井にある白い六角形の枠はTMTの30mの大きさを表しているそうです。座席に同じ音を届けるために位相差をつけて音を届かせる工夫だとか、色々な裏話を聞くことができました。

科学館のお土産は星座が内側に印刷してある折り畳み傘と、宇宙食(たこ焼き)、星座表のバンダナなどです。たこ焼きは4個入りで家族で分けて食べたました。一応たこ焼きの味がして、タコも入っていました。結構美味しかったです。

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その日のお昼は名古屋名物のあんかけスパゲティです。娘はあんかけの方を頼みましたが、私は名古屋人には懐かしい鉄板に卵を引いたナポリタンを食べました。久しぶりに食べて美味しかったです。でも昔ナポリタンなんて言わずにイタリアンスパゲッティーと言っていた気がします。

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その日は娘のギター関連で楽器屋さん巡りに付き合いおしまい。昨晩実家に着いたのが遅かったので、この日はぐっすり眠りました。


次の日は天文ショップ巡りで、スターベースの名古屋店とスコーピオをはしごしました。写真はスターベースで、ちょうど留守にしている時に着いてしまい、開いていないかなあと娘が外から覗いている時です。

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スターベースは去年星を始める時に実は一番最初に一度寄ったのですが、その時はあまりに高くて何も手が出なくて、結局スコーピで最初の望遠鏡を購入しました。今回も手が出なかったのは同じなのですが、一年経って多少は経験したせいか、やっと店員さんと小一時間話すことができました。ここは高橋製作所のアンテナショップで、店員さんは実はタカハシの社員さんとのことです。途中お客さんが何人か来ていました。名古屋においても今では2つしかない天文ショップの一つなので、とても貴重です。掘り出し物はちょくちょく出るらしいので、また寄ってみたいと思います。

スコーピオでは店長さんはもちろん、お店に来ていたお客さんとも色々天文ネタで話が弾みました。こういった出会いは天文ショップならではです。こちらでは掘り出し物が一つあって、Vixenの古い手動タイプで赤道儀と経緯台が切り替えられる1200mmの屈折(多分、ポラリス80Lという型番)が格安で出ていました。少しさびがありましたが、レンズはすごく綺麗です。掃除して、また誰か星好きな子供に譲ればいいと思って購入しました。そうしたら一緒に行った娘が興味を持ってしまって、帰りの車の中で色々話が盛り上がって、自由研究で手動赤道儀のモーター化を試したらどうかという話になってきました。ただ、娘はまだ中1。設計に必要な三角関数とかわかるのか?ここら辺はまた記事(追記: 自動追尾化をまとめました。)にします。


もう一つ、実家で掘り出し物を発掘してきました。近頃ライト版が出た雑誌の「Newton」ですが、それの1981年7月号の創刊号と、会員特別配布版と書かれている創刊準備号が見つかりました。実はこれ私が高校生か大学生の頃古本屋で何冊かまとめて買っておいたものの2冊なのですが、他のものは処分してしまったみたいで、最初の2冊だけ残っていたものです。

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当時はそれほどとは思いませんでしたが、今見るとかなり面白いです。創刊にかける編集長の思いとか、中に乗っている記事もすごいです。例えば江崎ダイオードの話を江崎玲央名氏が直接寄稿していますし、ニュートリに質量があるかどうかがこの頃議論され始め、それから35年くらい経ってやっと昨年ノーベル賞です。星の記事もたくさんあります。銀河の特集の中には今見ても綺麗なメシエ天体の写真が使われています。今でこそGoogle mapで見えますが、その当時の衛星から撮った日本列島の写真を12ページにわたって紹介しています。今となっては貴重な2冊なので、大事にとっておこうと思います。

 

下の子用のスコープテックの望遠鏡のパフォーマンスが最近とても凄いです。観望会でも高級機を差し置いて、なぜか一番活躍しています。理由は簡単で、子供でもすごく簡単に天体が導入できるという一言に尽きると思います。


まずは少5の下の子、Sukeの感想です。
「星が見たいときに、家からすぐに出して使えるのでとても気にっています。ともだちが星を見たいと言って家に来たときに、お父さんは準備がすごく遅いけど、僕は誰かが見たいと思った時にすぐに見たい星に合わせてあげることができるので、とても楽しく星を観察することができます。土星、月、木星をよく見ます。このあいだのイオンモール砺波での観望会では、僕がたくさんの人に星を見せてあげることができました。色々な感想が出てうれしかったです。またこんな機会があれば、星をあまり見たことがない人に見せてあげたいと思います。」


次に簡単なスペックを書いておきます。
  • 焦点距離800mm
  • 口径60mm
  • ファインダー: 2つ穴タイプ
  • 経緯台: 微動ハンドル付き

もともと星まつりで買ったのですが、そもそも星まつり価格のせいか、信じられないような値段で購入しています。しかも子供用ということでアイピースや方位磁針などいろいろおまけしてくれました。しかもブースに手伝いできていた漫画家の由女(ゆめ)さんとも仲良くしてもらって、今になってもすごくいい買い物をしたと改めて思っています。ただし、星まつりで手に入れた機種は今スコープタウンのホームページにある現行のものではないみたいで、会社名などが鏡筒に印刷されていません。過去の画像なども調べたのですが、どうもそれらとも違うみたいで、もしかしたら試作品などに相当するのかもしれません。強いていうならアストロアーツさんのページに載っているものが近いのですが、それとて口径も違いますし、先端のフードの色など細かいところが違います。

多分、天文マニアから見たらなぜこんな入門機がいいのか全くわからないと思いますし、逆に初心者の方にもなぜスコープテックがいいのか、なかなかわからないと思います。ちなみに当然ですが、スコープタウンから宣伝してほしいとか頼まれたわけでもなんでもなく、純粋にユーザーとしていいと思っていることを書いているだけなので、その点はご納得いただければと思います。


1. 二つ穴ファインダー 
  • 下の写真にも写っていますが、この望遠鏡の一番の特徴です。なぜこんなものがと思われるかもしれませんが、この二つ穴だと子供が天体を簡単に導入できるのです。普通の光学ファインダーは子供には調整できません。多くの初心者が天体望遠鏡を購入した時、月さえも見ることができなかったというのはファインダーに原因があると思います。
  • ちなみに横についているファンダーは、同じく星まつりで買った格安ファインダーです。鏡筒に穴を開けてネジ山を切って自分で取り付けたのですが、結局子供は全く使ってくれていません。
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2. 経緯台
  • この望遠鏡セットは星を追いかけれらる赤道儀式ではなく、もっと簡単な経緯台タイプになっています。簡単にいうと、上下と左右方向に調整ができるのみで、星の日周運動を追いかけるような動きはできないということです。その代わりに導入はすごく直感的で操作しやすいのだと思います。そのせいもあり、子供でも非常に天体を導入しやすいのです。
  • ただし、倍率を上げた場合すぐに星が逃げていくので、追いかけるのにはいつも苦労していますが、子供にとっては望遠鏡を操作している実感があり、それが楽しいみたいです。微動用のハンドルが両軸とも付いているのもポイントです。

3. 軽量
  • 鏡筒がプラスチック製らしいので、強度はあまりありませんがとにかく軽いです。強度はないと言ってもアイピースで見るぶんには全く困ることはありません。
  • それよりも軽くてすぐに出せるのは子供にとってはすごく重要です。いつも私が赤道儀の極軸合わせなどでモタモタしている間にも、すぐにセットして勝手に天体を導入して見始めています

4. 31.7mmのアイピース
  • 現行のものは直径が25.4mmタイプのアイピースが標準みたい(ホーページには31.7mmにも対応していると書いています)なのですが、うちが買ったものは31.7mmしか対応していません。31.7mmだと今最も普通に出回っているアイピースなどが使えるので便利です。
  • さらに星まつりなどで特価アイピースをいくつか買っておいたので、様々な倍率を楽しむことができています。
  • また、天頂プリズムが標準でついているために、無理な体勢をとらなくてよく、楽に見ることができます。

5. アクロマートレンズ
  • 少し専門的なことになりますが、筒などは安く上げている代わりに、レンズはアクロマートレンズと言って、収差の少ない性能のいいものを使っているとのことです。もちろんアポクロマートレンズのような最高級レンズではないので、収差がないわけではないのですが、入門者が普通に見るぶんには全く不満なく見ることができると思います。
  • 以前金星を250倍くらいにして明らかに過剰拡大をした時にはさすがに赤と青のにじみが見え、収差が確認できましたが、普通に使うぶんには気になるレベルではないでしょう。

6. 価格
  • これらのセットがかなりの低価格で販売されています。一番いいところは価格自身ではなく、低価格なので気兼ねなく操作できるところです。
  • 子供が触って多少壊そうが、全く気になりません。観望会などでも完全に解放して、お客さんに勝手に触ってもらっています。下の子がいつも得意げに導入方法を説明していて、お客さんにも試してもらっています。単に望遠鏡を覗かせてもらうだけと、月でもなんでもいいので自分で導入して見たときの反応は圧倒的に違います。

さて、実際にどれくらい見えるかですが、月のクレーターなどはすごく綺麗に見えます。手持ちでは20mmと9mmのアイピースをよく使うのですが、倍率がそれぞれ
  • 800mm ÷ 20mm = 40倍
  • 800mm ÷ 9mm = 89倍
となるのですが、この二つを主に使い分けています。木星の縞、木星の衛星、土星の輪などははっきり見えます。土星の輪にあるカッシーニの隙間は気流の状態がいい時に、かろうじてなんとか見えるくらいでしょうか。この倍率だと惑星は小さいですが、これ以上倍率を上げてもすぐに視界から出てしまい、追尾が難しくなるので実用的ではないです。



逆にできないことも書いておきます。

1. 撮影
  • 試したことはないですが、カメラでの撮影は厳しいでしょう。筒が弱いのと、経緯台のために星を追いかけることはできません。
  • すごく短時間なら可能かもしれませんが、暗い天体までは映らないです。
  • 月などをスマホで気軽に写すのは、逆に色々工夫ができそうで面白いかもしれません。

2. 小さな天体の導入
  • 二つ穴ファインダーの弱点です。倍率がないために、目が悪いとそもそもその天体を見ることができずに、穴に入れることもできません。
  • オプションのファインダーがあると改善されるでしょう。

3. 星雲
  • 残念ながら、よく雑誌などの天体写真で見るようなカラフルゴージャスな星雲を見ることはできません。これはスコープテックに限らず、かなりの高級機種でも、アイピースで見ている限り星雲に色がつくことはありません。形も文字通り「雲」のような白いモワッとしたものとしか見えないでしょう。
  • 星雲の色はカメラで撮影しているから綺麗に見えるのであって、人間の目はカメラのように光をためておくことはできないですし、色についてもカメラほど敏感ではありません。

このような点が不満になってきたら、もうスコープテックは卒業です。天文マニアへの階段を確実に上がっていっています。よかったら以前書いた機種選定の記事もご覧ください。



 

前回の記事から大分時間が空きましたが、久しぶりに天文ガイドバックナンバーの読み込み記事です。

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今回は1992年1月号から12月号の一年分ですが、今回一番思ったことがワクワク感がだんだんなくなって来たことです。 なぜだか理由ははっきりしています。この時代の広告の商品が今のラインナップともう大きく変わらないからです。もう御三家の広告もとっくになくなってしまいました。シュミカセもMEADE、Celestron共に普通に一般的になっています。値段もかなりこなれています。

もっと根本的に言うと、光学系に関してはほぼ民生の技術が確立して来た感があります。赤道儀に関しもVixenのSPから8年ぶりにバージョンアップしたGP(Grate Polaris)がこの年の5月21日に手頃な値段で出ていますし、8月号ではGPの特集が組まれています。自動導入もSKYSENSORが3にまでなっていて相当一般的になったことがわかります。特にSKYSENSORはコンセプト、方向性、メーカーの姿勢など、今見ても革新的だったことがわかります。SKYSENSORについては一度別個の記事でまとめて見たいと思っています。今も普通に使っている技術が一般的に浸透して来たのがこの頃のようです。

むしろCCDやパソコンの方がこの頃から比べて現在の技術が発達しすぎているので、隔世の感があります。例えば、8月号に初期の冷却CCDのST-4の解説が載っています。X68000(なつかしい)での画像処理だそうです。同号のカラーページにはST-4の画像例も載っています。その当時の天文マニアの最高技術だと思いますが、今の電視でのリアルタイム観望くらいの画質と比較できるくらいでしょうか。時間をかけて処理していたものが今ではリアルタイムと、やはり技術の進歩はすごいですね。なお、12月号には早速ST-6の記事も載っています。また、9月号に初のステライメージの宣伝が載っています。今のアストロアーツではなくアスキーからです。マルチメディアという言葉が流行った頃かと思います。

一方で、今ではほぼ完全に廃れてしまった、フィルム時代の吸引や増感の記事がいくつかあります。やって見たかったと思う反面、正直今のデジタル一眼の時代で楽になったのはよかったとも思えてしまいます。

特集記事などです。
  • 8月号にNifty ServeのSPACE FORUMのオフラインミーティングの特集が組まれていました。やっとこの頃マニア同士のネットでの情報交換ができ始めてきた時期です。だんだん情報が雑誌オンリーからネットに変わっていく変わり目の時代です。ただし、パソコン通信の時代の幕開けであり、まだまだインターネットは全く一般的ではありません。でもいつの時代でもマニアはやっぱりマニアですね。
  • 1月号のカノープス北限記録は昨年に引き続きまた失敗に終わっていましたが、こう言った記事は後から読んでも十分楽しめます。昨年は岩手県栗駒山で雲に覆われ失敗、この年は秋田県須川温泉ですが、やはり雲で失敗。失敗なのですが、何かやって見たいという挑戦心が刺激されます。
  • 11月号には手作りの分解能測定装置の記事がありました。92年のスターライトフェスティバルでお披露目されたそうです。手軽に分解能を測定できる環境はちょっと羨ましいです。最近の興味は惑星撮影での動画をスタックする技術での分解能です。スタックした時の分解能の理論的な限界を知りたいですが、どこかにないでしょうか?自分で計算するしかないかな?それを実測で試すのも面白そうです。
  • 1月号で投稿写真に対するスタッフの批評コーナーが終了し、入選者の声に変わっています。いつかここに私が知っている人も掲載されているのではと今から楽しみです。

このブログの以前の天文ガイドの紹介記事のコメントコーナーでも面白かったと感想があった、赤瀬川原平さんのコラムですが、やはり面白いです。
  • 3月号で「ついにタカハシを買う」という記事が載っています。経緯はどうあれ、最初にタカハシを買うという一大イベントは全ての天文ファンに共通なのではないでしょうか。記事も書いてある通り、雑誌の中にそれらしき記事や写真が出てくると穴のあくほど見つめ、その僅かなニュアンスから信頼度を必死に探る。「天体望遠鏡の全て」なんて別冊が出ると、全ページ舐めるように見尽くす。赤瀬川さんは高橋製作所まで乗り込んで言ったそうです。ちなみに私の場合は最初のタカハシ(といってもまだ一本しかないですが)は福島のスターライトフェスティバルで落とした、工場に眠っていたと言うFS-60Qのアニバーサリーモデルのデモ機でした。
  • 8月号では「星派」か「メカ派」かを議論しています。赤瀬川さんは機械派だそうです。私も冷静に考えると機械派だと思います。星の写真を撮るにしても何か工夫してその成果を試したいと言うのが根幹にあるのです。ちなみにこの記事によると星派は政治的人間で自分の天文台を持ったり裕福なイメージみたいですが、メカ派はヘンタイだそうです。

モリマサユキ氏の「おもちゃの星座箱」です。
  • ケンタウルス座の紹介記事が印象的でした。「あの地平線を越えればケンタウルスの全ての姿を見られるのだろうか?その心意気は時を超え今日まで受け継がれています。ボストークとなり、アポロとなり、ボイジャーとなったのです。」とありますが、星好きな人が宇宙の深淵を望遠鏡で覗くのも同じ思いなのではないでしょうか。少なくとも私は同じです。いろいろ挑戦していきたいです。
  • この連載も6月号で終わり、7月号からは森雅之氏(なぜか漢字に)の「口笛の科学」という4コマ漫画になります。こちらも示唆に富んだ漫画で面白いです。


読者の投稿コーナーは相変わらず面白い投稿が溢れているので、バックナンバーといえども欠かさず読みます。
  • 3月号で「星見に命をかけたボク」という14歳の子の投稿があるですが、屋根で星を見ていて夜露で滑って地面に後頭部を強打、3日間眠りっぱなしで左目失明という記事がありました。奇しくも最近子供が屋根に登って星を見出したので、この記事を見てやめさせることにしました。でもこの投稿の本当の論点は、その時に双眼鏡の光軸が狂ってしまったことと、さらにカメラを踏んづけて壊してしまったので、誰かカメラ譲ってくださいと言うことでした。編集でもシャレにならないとの感想でしたが、いろんな意味で本当にシャレになりません。
  • 5月号では女子高の流星観測会の様子が報告されていました。「金、金、金」はよくある話ですが、「男、男、男」だそうです。まあ、欲というのは男も女も、老いも若きも変わらないものですね。このあいだのイオン観望会で短冊飾をみんなに書いてもらったのですが、天文マニアの七夕の短冊は「おおきなぼうえんきょうがほしい」でした。
  • 6月号には「感心してしまうアメリカ製品」という投稿がありました。「とやかく言われるアメリカ製品ですが、発想の素晴らしさと低コストで仕上げる生産技術には、ミードやセレストロンの製品などを見るにつけ毎度敬服する次第です。」とあります。私も同感です。天文に限らずですが、日本は根性で精度を出し高価な値段をつけますが、アメリカは手を抜いてそこそこの精度を安価に出すのが得意ですね。民生品は後者の方が有利な気がしています。研究レベルで、定量的に評価して必要なところに精度を出していくのはアリだと思いますが、趣味という範疇ではいかに裾野を広げるかと言うことが重要なのかと思います。まあ、最近は中国製が多いのですが、これとて精度としては十分なものも多く、決して侮ることはできません。
  • 8月号にプラネタリウムでに双眼鏡を使った観測の投稿がありました。今では結構一般的な手法ですが、この頃に発案されたみたいです。
  • この年の話題の投稿は公共天文台のあり方です。2月号で都市部に作って、「一番口径が大きいと宣伝できることが最も大事だ」と市の職員に言われたと怒っている記事に、4月号で月をまたいで反応がありました。天文マニアのわがままではないかと言う意見です。公共天文台はいろいろな役割があります。安全も考えなくてはいけません。富山の天文台には時々手伝いに行きますが、職員さんの計らいもあり、市民と天文マニアのうまい橋渡し役になっているのかと思います。天文マニアにも一般の人に見せてあげることが好きな人もいれば嫌がる人もいます。好きな人は土曜日とかには天文台に自分の機材を持ち込んで、たくさん来るお客さんの対応を手伝う人もいます。ちなみに7月号に2月号で投稿した人からさらに投稿がありました。星好きの天文台職員がいて、みんなが星好きになってくれればという意見だそうで、いずれにせよみなさん星好きの裾野が広がることを願っていることには変わりないみたいです。

また長い記事になってしまいましたが、私にとっては昔の記事は経験不足を埋める数少ない手段の一つです。と同時に、技術の進化などは趣味としてもとても楽しみながら読むことができます。昔からの天文ファンの方にも、この頃のことを思い出すきっかけになれば嬉しく思います。また次の年の分も読んだら(実はもうとっくに読み終わってはいるのですが)まとめてみたいと思います。





 

2017年7月12日、平日で少し雲があったのですが、NexStar 4SE用架台のテストをしてみました。

結論としては思ったよりかなりいいです。アラインメントは簡単で、撮影さえしなければ眼視や電視では十分な精度でしょう。Advanced VXよりはやはりはるかに軽いですし、MEADEのETX-60ATよりは重いですがそのぶん精度と十分な安定性(観望会などでトラブルなく信頼できるという意味)があります。即実践投入できそうです。

まず、初期アラインメントも何通りか方法がありますが、一番簡単な「Sky Align」は、とりあえず3つの明るい星(惑星でもいいとのこと)を入れるだけの手軽さです。今回はベガとアルタイルとスピカで試しました。実は今回は水平も、北の方向も何も取らずに試したのですが、 それでもそこそこというか、十分合ってしまいます。ただし、マニュアルを見ると水平は取ったほうがいいとのこと。水準器をどこかに取り付けようかと思っています。

マニュアルは日本語版が付属されていたのですが、6SEか8SE用の英語のものを日本語に訳したものみたいで、全く同じものがネット上にもありました。どなたかが翻訳されたのでしょうか、とても役に立ちます。 

惑星だけを使った「Solar System Align」もできるようですが、こちらはあまり正確ではないとマニュアルに書いています。今回は水平を全くとていなかったので、やっぱりボロボロでした。水平をきちんと撮ってから試したいと思います。

「Two Star Alignment」 はAdvanced VXで使っているアラインメント方法と同じで馴染みがあります。「Auto Two-Star Align」というのもありますが、こちらは今回は試していませんので、またいつか試して見たいと思います。


使い勝手ですが、 Advanced VXのコントローラーよりボタンの数が少ないので少し戸惑いますが、普通に操作するぶんには十分わかりやすいです。導入速度もAdvanced VXほど速くはないですが、全く問題ないレベルでしょう。最後の微調整で流れて止まるまでの時間が思ったより長いのが気になったくらいですが、これも十分許容範囲です。

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今回はテストで木星、土星、M57、M27、月と導入しましたが、いずれも十分な精度でした。鏡筒はとりあえずFS-60CBです。

その際ASI178MCで電視で試しました。ASI224MCに比べてセンサー面積が大きいのと、周辺の収差が気になったのでレデューサも入れずに試しました。月がちょうどぴったりくらいの大きさで入って、PCの画面の解像度に比べても十分な高解像度で見えます。画面上で拡大するとまるで月を探索しているみたいです。前回のイオンの観望会で月をあまり見せることができなかったので、これは観望会にいいと思いました。実は月は観望会では大人気メニューの一つなのです。 

昨日の天体写真展で天文台の方から天体写真についての講演を頼まれました。昨日は観望会の後、疲れてそのまますぐ寝てしまったのですが、明けて7月8日の日曜日、朝9時半ころから天文台にいって、その場でスライドを少し準備して実際にお話しをしてきました。

頼まれたのが昨日で、今朝の今朝までどのような人に話すのかあまり聞いていなかったのですが、どうやら年配の方が中心でグループで写真を撮っているので、その方達が星の写真を撮ることができるようにということでした。以前作ったスライドを直前の10分程度で多少変更して、初心者対象という形で話しました。講演自体は自分の機材を見せたりしながら、順調に進んで良かったのですが、面白かったのはその後です。天文台のプラネタリウムに入って、暗い中でドームに映した星を自分のカメラで撮影するのです。

まずびっくりしたのが、今回のために参加者全員カメラと三脚持参で、しかもほぼ全員相当なカメラとレンズを持っています。私が持っているのがCanonの60Dなのですが、NIKONのD810を持っている方もいれば、Canon 5D MarkⅢを使っている人もいて、ほとんどの方が講師のはずの私のカメラよりもはるかにいいカメラを持っていました。よくよく聞いてみると、カメラの先生を招いてみんなで富山のいい景色を撮るという試みをしているとのことです。その中でカメラやレンズを趣味のようにしている方もいるということでした。

さらに興味を引かれたのが、今回のプラネタリウムでの撮影の目的が、暗いところでのカメラの操作になれるということでした。明るいところでほとんど撮ったことのない私にとってはむしろ目から鱗で、十分なカメラの経験があるような方でも暗闇の中でのカメラの操作には相当てこずるようでした。

というわけで、最初のX7を触り始めた時にコツという形で少しまとめたことはあるのですが、今一度天体写真に慣れていない方に向けて、これまでの経験も踏まえて改めてコツを書いておこうと思います。対象は天の川などの星景写真で、(私もそうでしたが)おそらく一番最初に経験するカメラと三脚だけを使った場合です。

まず、昼間のうちにできることはやっておきます。基本的に全てマニュアルモードです。
  1. ダイアルを回してMのところに合わてマニュアルモードにします。一眼レフカメラでないコンパクトデジカメの場合には設定メニューに隠れている場合などがありますので、マニュアルなどで調べてみてください。
  2. 実際によく忘れるのが、レンズ本体の設定です。レンズのところに切り替えスイッチがありますが、マニュアルフォーカスモード、手振れ補正はオフにします。
  3. ファイル形式はRAWが必須ですが、後で処理が面倒だという方はJPGもありかもしれません。私はファイルサイズは大きくなりますが、基本的にRAW+JPGにしています。
  4. ホワイトバランスは蛍光灯か白熱電球のほうが夜空の色に近く見えます。もちろんRAWで撮っておけば後から変更できるのですが、夜空に近い色の方が後々も楽かと思います。オートホワイトバランスは何枚も撮影していると途中で色温度が変わることがあり、統一処理ができなくなるため、やめておいたほうがいいと思います。
  5. 絞りは手持ちのレンズの一番明るいところに合わせます。Fの値を一番小さくするという意味です。星像が変な形になる、周辺減光がひどいなどという場合は少しFの値を大きくして絞ります。注意することは、あえてきちんとF値を設定しないとFが勝手に大きくなったままになってしまって撮影してしまうことがあるので、必ず確認したほうがいいです。
  6. ノイズリダクションなどの機能は基本的に全てオフの方がいいと思います。ただし、後で画像処理をすることが前提です。画像処理をしない場合は長時間ノイズキャンセル機能はオンにしてもいいかもしれませんが、撮影できる時間が半分になってしまうので時間がもったいないです。
  7. 液晶画面の明るさは普通の設定だと明るすぎるののと、暗さに慣れた目を戻さないように一番暗くします。
  8. ピントを星に合わせるのは意外に難しいです。できるならば昼間に(距離はレンズによりますが)数キロメートルと十分離れたところを見ながらピントを合わせて、その位置でピント調節リングをテープなどで固定してしまいます。ちょっと高いですが、パーマセルテープが便利です。
  9. シャッターを押すときのブレを避けるために、レリーズは用意したほうがいいです。レリーズの操作も昼間のうちに十分に慣れておいて下さい。連続で撮影する場合などはカメラが持っているインターバル撮影機能で代用することもできますが、それでも最初にシャッタを切る時にはブレてしまうので、できるならレリーズを使ったほうがいいです。
  10. 一度、三脚に乗せてカメラがきちんと固定できているか、ガタがないか、方向を変えることができるかなどもチェックします。暗闇で三脚に固定するのも、カメラの向きを変えるのも、明るいところとは勝手が違います。
  11. 意外にも、レンズキャップや、レンズの付け替えなども暗闇では大変です。外したレンズキャップをしまう場所もあらかじめ決めておいた方がいいでしょう。
  12. ヘッドライトを用意しておくといざという時に楽です。ライトには赤いフィルムを貼るなどして、暗闇に慣れた目を戻さないようにする工夫などが必要です。
  13. ISOや露光時間、F(絞り)を変える場合のスイッチの位置を改めて確認しておくといいでしょう。これらは暗闇で何度もいじる必要があるので、手探りだけでスイッチの位置がわかるようにしておく必要があります。

ここまでをとにかく昼間のうちに準備してしまいます。できるならば、これらのことは真っ暗なところでもできるように、暗い場所で何度も練習しておくことをオススメします。


さて実際の撮影ですが、本番当日の撮影をする前に、事前に夜の星の撮影を試すといいです。多少明るい自宅の庭でもいいので、夜空を写してみてください。意外に星が写ることにびっくりすると思います。十分な練習をしてから、本番の当日の撮影に向かいます。

撮影時のコツです。
  1. もし昼間にピントを合わせ忘れていた場合は、Live viewで明るい星を映してから、それを5倍か10倍で拡大して、一番小さく見えるところにフォーカスリングを合わせます。パーマセルテープなどで固定したほうがいいでしょう。
  2. ライブビューモードは楽ですが、カメラの温度が上がりすぎてノイズが出やすくなります。基本的にライブビューは切って撮影します。
  3. ISO感度をいくつにするかは周りの明るさによるので、何枚か試し撮りをして決定します。感度はノイズに直結するので、ノイズが目立たない最大のISOを探します。機種やレンズにもよりますが、ISO1600か3200くらいが適当かと思います。最初あまりノイズを気にしないのなら6400とかでもいいと思います。
  4. シャッター速度(露光時間)ですが、レンズの焦点距離や方角にもよりますが、最長で30秒くらいまでだと相当拡大しなければなんとか星が流れずに見えます。余裕を持って20秒くらいまでが適当かもしれません。

とにかく、事前の練習がすごく有効だと思います。暗い中で、手だけでボタンの位置を覚えてしまうくらいにしておかないと、実際の撮影ではなかなか上手くいかないでしょう。天気も場所もベストという時間は、実はかなり限られているので、その貴重な撮影時間を逃さないためにも、十分に練習しておいてください。焦って操作を誤って、出来上がったものを見てみたら見るも無残だったということを私も何度も経験しています。


撮影した後に重要なのは画像処理です。どれくらい処理するかは人によると思いますが、ほんの少し手を加えるだけでも驚くほと見栄えが良くなったります。ここら辺は以前色々記事にしていますが、初心者向けの記事ではないので、そのうちに初心者向けの画像処理の記事も書いてみたいと思います。


2017年7月8日イオンモール砺波で県天主催で写真展と観望会を開きました。

写真展は今年春に天文台で準備したものを各所で回覧しているもので、 私が出品したものも何点か展示されていました。面白かったのは、いつものお気軽SCOPETECHが大活躍で、下の写真にあるように、片隅に天体望遠鏡覗きませんかコーナーを作り、覗くとプレアデス星団の写真を拡大したのが見えて、まるで星を見てるような気分になります。小さい子はなんで星が見えるか最初わからなくて、望遠鏡の先をずっと辿って見ていくとやっと答えがわかって、写真のところまで走っていって確認するというわけです。子供はおろか、大人の多くも面白がってくれたみたいです。

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イオンでの食事は昼はペッパーランチでステーキと、夜は銀だこ。イオンらしいメニューでしたが、こういった店が少ない富山ではまあ結構満足です。写真展の合間と観望会の準備の合間に、早めに食事を取っておくことで混雑を避け時間を節約しました。

観望会は夕方から準備を始めたのですが、朝からの快晴がいつの間にか全面曇りになっていて心配だったのですが、薄暗くなることには天頂くらいは薄雲で、なんとか星が見えるかというくらいにはなりました。望遠鏡はYSさんのタカハシのf=1400mmの60年もの鏡筒をTS赤道儀に載せたもの、FJさんの32cmドブソニアン(NINJA)、 MKさんのFS128をSHOWAのピラー型の赤道儀の載せたもの、KMさんとKGさんでC9.25が2台、KJさんのMAXVISION(私は知りませんでしたが台湾のメーカーみたいで、スカイバードで売られていたものみたいです)のEDの多分127mm鏡筒と6セットほど出ていました。MAXVISIONは以前カビが発生したそうで、全分解したとのことです。屈折も分解できるんだと驚いていたら、やはり組み立てが難しくて光軸がイマイチ合わないといっていました。

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私はC8とSCOPETECHで、SCOPETECHは下の子がいつものように経緯台で追っかけながら木星や月、なぜか土星と間違えたアンタレスなどを導入していました。なので、計8セットの望遠鏡があったことになり、かなり豪華です。

お客さんの人数は100人くらいはいたでしょうか。7時15分頃から始まった天文台の方のお話の最中、まだ明るくて一番星も出ない中、最初のドブソニアンで木星を導入したとの声をきっかけに、肉眼でも見え出したようで、次々木星が導入されていきました。あいにく私は木星を捉えることがなかなかできなくて、5分ほど遅れてそれでもなんとか木星導入。時折雲に隠れて肉眼では見えなくなったりしましたが、望遠鏡ではまだ十分に見えています。最初のお話が終わって、ドッとお客さんが集まってきたのですが、北極星が全く見えないので、極軸も取ることができなくて見切り発車です。マニュアル導入で木星、土星、月、また木星と次々に見せて、1時間があっという間に過ぎてしまい、20時30分に終了となりました。土星の輪や木星の縞や衛星を見たことのない方が多く、子供も大人も、みんなこんなに綺麗に見えるんだとびっくりしていました。確かに薄雲でしたが、シーイングは結構良かったようです。カッシーニの間隙もはっきり見えていました。月はかなりおぼろげでしたが、それでもクレーターも少し見え、皆さん喜んでくれました。

かなり曇っていた割には、望遠鏡の数もたくさんあったこともあり、お客さんの多くはとても満足されたようで、大成功だったのだと思います。


天文と全く関係ないのですが、昨日の7月7日の七夕は快晴にもかかわらず全く機材を出しませんでした。月が明るかったせいもありますが、何年も前から続けているもう一つの趣味のカブクワ取りに子供達と夜中に出かけるために、夜は早々と仮眠をとったからです。その甲斐もあり、シーズン初めとしてはカブ雄1匹、ミヤマ雄大2匹、コクワ雄1匹を含む14匹とまあまあの結果でした。夏は星と虫取りで忙しいです。


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